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「これが私の生きる道!出世編?2(ガンダムSEED)」

ヨシ (2006-01-24 13:28/2006-05-05 02:17)
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宇宙は広い。
見つめていると、漆黒の空間に吸い込まれるよう
だ。
この広大な宇宙の片隅で、我々ちっぽけな人類は
愚かな戦争を繰り返している。
人類の新たな希望であるコーディネーターでもそ
れに変わりはないようだ・・・。

 「うーん、詩って難しいな」

 「それ詩なんですか?ヨシさん、詩人の才能あ
  りませんね」

大きなお世話だニコル・・・。

 

 
クルーゼ隊に配属された俺の最初の仕事は、アス
ラン達に実戦を経験させる事だった。
クルーゼ隊は特殊任務遂行のための部隊であるが
、特殊な任務はそんなに沢山はない。

そもそも、沢山あったら特殊とはいえない。
我々は基本的に艦船とモビルスーツの部隊なので
、特殊と聞くと想像される潜入や破壊工作などは
あまり行わず、敵拠点への強行偵察や小規模拠点
の破壊、暗躍する海賊や連合の通商破壊艦隊の撃
滅が主な任務であった。
潜入や破壊工作はちゃんと訓練を受けた人間がや
ればいいのだ。
俺達は訓練を受けていないので、そんな事は出来
るはずがない。

そんなわけで、クルーゼ隊の任務は今まで俺が渡
り歩いてきた部隊とそうは変わらない。

クルーゼ隊の編成と戦力を説明しておこう。
まず、旗艦はナスカ級戦艦「ヴェサリウス」で艦
長はアデス艦長で、歴戦のベテラン艦長である。
最近は、クルーゼ隊長の奇行に悩まされて、転属
願いを出したという噂もあるが・・・。
その他に、ローラシア級巡洋艦「ガモフ」と俺達
と一緒に転任してきた「フユツキ」の二隻と、特
殊揚陸艦の「リベッタ」の計四隻で構成されてい
る。
「フユツキ」は俺が開戦の時にお世話になった艦
であり、艦長もオキタ艦長がそのまま留任してい
たのでなつかしい再会になった。

彼は開戦以来、「フユツキ」を己の手足のように
操り、多数の連合艦艇を血祭りにあげて自分の艦
をほとんど損傷させた事が無いという伝説の男だ
った。

特殊揚陸艦とは、開戦後に建造された艦船の種類
である。
建造とはいっても降伏して拿捕されたり、損傷が
激しくて放置されていた連合軍艦艇を改装しただ
けのものであり、双方でおこなわれるようになっ
た通商破壊戦を行った後に、降伏した輸送船や護
衛艦艇を拿捕してプラント本国に廻送する要員を
乗せるための船である。

尚、この艦は改装される前の艦種によってスペッ
クが大きく変わり、戦艦を改装した艦をもらえる
と、娯楽スペースや補給事情が大きく改善されて
好評だった。

「リベッタ」は元は巡洋艦なので、まあ普通とい
った所である。

最初にクルーゼ隊長と今後の方針を相談したのだ
が、急ぐような緊急の任務は無いとの事なので、
アスラン達に実戦経験を積ませる戦場の設定を行
う事にした。


(月プトレマイオス基地〜地球パナマ上宙航路)

ここは連合最大の資源輸送ルートであり、毎日最
低一つは輸送船団が発進する。
エンデュミオンクレーター喪失からようやく立ち
直り、資源生産量が日々増大していく中での輸送
の阻止は戦線が膠着している今、ザフト軍最大の
任務であった。

 「いいか、みんなよく聞け。お前達の初の実戦
  は連合の輸送船団の殲滅だ!幸運にも、ホー
  キンス隊との合同任務と相成った。(黄昏の
  魔弾)の勇士が拝めるかもしれないぞ」

 「質問があります」

イザークが手をあげる。

 「我々、新人はともかく。たかが輸送船団ごと
  きに二つの隊で当たるなど、戦力過剰な気が
  するのですが」

うーん若いな。
戦力イコール兵器オンリーだと、思っているのだ
ろうな。
ここはしっかり教えてあげないと。

 「いいかイザーク、お前は二つのミスを犯して
  いる。まず第一に輸送船団という名称だけで
  敵の戦力を過少評価している。敵の船団は輸
  送艦約50隻護衛は戦艦2隻、改装空母3隻
  、巡洋艦6隻、駆逐艦18隻で、近日まれに
  ない大艦隊だ。偵察部隊の連中大手柄だな」

 「第二に、お前は輸送艦隊の撃破を過少評価し
  ている。敵の物資の輸送を阻止することが時
  には敵の一個艦隊を全滅させるよりも大きな
  価値を持つ事がある。特に今日の物資が兵器
  として生産されたなら、多数の同胞の命を奪
  う事になるだろう。今日の作戦の失敗は決し
  て許されない。以上、二点からお前は間違っ
  ている何か反論は?」

 「いいえ!ありません!私の思い違いでした。
  申し訳ありません」

 「わかってくれればいいさ。初陣でなんでも知
  ってたら、俺達は必要ないしな」

他のパイロット達が納得したような表情をする。

 「それでは、作戦を伝える。ホーキンス隊は左
  側面からで、俺達は右側面から攻撃だ。作戦
  はいつもの様に(らっきょの皮むき)で行く
  。俺は今日はアスラン達のサポートで忙しい
  から、オロールが残りの全モビルスーツ隊の
  指揮を執ること」

 「了解であります!カザマ副隊長」

オロールはクルーゼ隊創設以来の古参パイロット
で、俺と同い年の短髪に刈り上げた体育会系の男
である。
短期集中コース出身のパイロットながら、モビル
スーツ隊の指揮をとるのが上手い。
俺が一時期ながら、「おっさん」ことスズキ部長
を部下にしていたので俺を認めてくれている。
短期集中コースパイロットにとって「おっさん」
は神に等しい存在なのだ。

モビルスーツ隊を発進させて編隊を組み輸送船団
に向かう。
反対側で戦闘の光が見える。
ホーキンス隊が戦闘を開始したようだ。
こちらも察知されたようだMA隊が向かってくる

 「それでは戦闘開始!オロール、後はよろしく
  な!」

 「了解!」

俺達以外のモビルスーツ隊は艦隊に突っ込んでい
く。
作戦は輸送船団撃滅の基本戦術の「らっきょの皮
むき」だ。
輸送船団を守っている護衛艦艇を外側から、らっ
きょの皮をむくように一隻づつ落としていく。
護衛艦艇を始末できれば輸送船団は降伏するのが
常だからだ。
俺達は三機二個小隊を組み、今日の小隊長は俺と
アスランであるが、これからはローテーションで
交代でやらせるつもりだ。

今日は、初陣なので少し艦隊から離れた位置では
ぐれたMAや損傷した駆逐艦などを攻撃させる。
アスラン達は多少緊張しているようだが、大きな
ミスもしないで敵を落としていく。

30分ほどで敵旗艦撃沈の報が流れる。
オロールがやったようだ。
ミゲルが落とすと思っていたのだが、以外だった

どうやら、MA隊の中に「エンデュミオンの鷹」
がいて今、ガチンコで交戦中らしい。
ミゲルは新型の指揮官専用機シグーで戦っている
らしいのだが、勝負がつかないようだ。
さすが、敵ながら鷹さんはすごい。  
ちなみに俺の機体も今回の戦闘からシグーを使っ
ている。
今日は慣らし運転程度だが、加速がたまらない。
最高だ! 

アスラン達も初陣にしては過大な戦果をあげ、敵
の抵抗ももうすぐ終わるだろう。
特に問題は無いはずだが、何か忘れている気がす
るのは気のせいだろうか?。  
その時、不意に雑音混じりで無線が入る。

 「カザマ!クルーゼ隊長が突然ムウ・ラ・フラ
  ガがいると叫んでシグーで出撃してしまった
  。何とか止めてくれ!」

アデス艦長の心の叫びが聞こえる。

 「無理です。あきらめましょう」

俺は即答で答える。
無理なものは無理なのだ。

急に後ろセンサーが鳴り、振り返るとクルーゼ隊
長のシグーがものすごいスピードで横をすり抜け
ていった。

 「カザマ君!後はまかせる!私はムウ・ラ・フ
  ラガの相手をしなくてはいけないからな!」

 「・・・・・・・・・・・・・・・。了解」

結局、輸送船団は降伏して四十七隻の輸送船を拿
捕した。
護衛戦力は戦艦一隻、巡洋艦二隻、駆逐艦二隻改
装空母1隻が降伏。
巡洋艦二隻と駆逐艦六隻がバラバラに逃げ出して
残りは撃沈された。
尚、「エンデュミオンの鷹」はクルーゼ隊長の到
着する前に機体を捨てて巡洋艦で脱げ出していた

戦闘は終了したが、やる事は山のようにある。
降伏した艦船に陸戦隊を送り、捕虜を連行して集
め廻航要員を送る。
連合の艦船部隊の兵士には女性も多く、捕虜にし
た彼女らの武器チェックは女性兵士に任せなけれ
ばならない。
捕虜を性的に虐待したなどと言われてはたまらな
いからである。
ザフト軍の軍律は歴史が浅いが厳格なのだ。
全ての作業が終わり、廻航準備が整う。
この頃には応援の部隊が多数集まってきていて、
連合の逆襲に備えている。
今回は船の数が膨大なのでホーキンス隊と共同で
護衛に入り、プラント本国まで帰還する。

今回は大戦果だ。
偶然とはいえ、アスラン達は武運に恵まれている

彼らの前途は明るいようだ。

プラントまで船を送り届けた後は、すぐに、任務
に戻る。
その後の俺達は多数の輸送艦隊を撃破し、海賊を
撃ち、コーディネーターの傭兵部隊と戦い五人は
実力を付け始めていた。

時は経ち十二月一日。
今年も後一ヶ月となった頃、「フユツキ」のモビ
ルスーツ隊の隊長が代わるらしいという噂を聞い
た。 
クルーゼ隊長に聞きに行くと事実のようだ。
誰なのか聞いてみたが、クルーゼ隊長も知らない
らしい。
突然の話で、「フユツキ」のランスロット隊長も
驚いたようだ。
新隊長は明日に補給物資と共にやってくるらしい
ので、お楽しみにしておこうと思った。

次の日、補給物資が入ってくるが予定が変わり、
交代要員は次の日に直接モビルスーツで飛んで来
る事になったらしい。

 「勿体付けやがって!どうせ、たいした奴じゃ
  ないんだろう!」

待ちぼうけを喰らったディアッカが1人で毒ずい
ている。

 「女性だったら最高なんだけどな」

ラスティーがぼそりと発言したが、それはまずあ
りえないだろう。
パイロットの女性比率は1%ほどで、俺ですらほ
とんど会った事がないのだ。
しかも、ザフト上層部は彼女らを前線に出す事を
嫌い、本国のテストパイロットや軍港の補給艦へ
のモビルスーツ積み込み作業等にに使っているの
が実情なのだ。

 「まあ、とりあえず補給物資がきたから。万々
  歳という事で」

補給物資には手紙も含まれる。
Nジャマーの影響でメールが使えない場所が多く
なっていて、手紙は復権しつつあるのだ。

 「あっ、ラクスからだ」

アスランの顔がうれしそうだ。
いい奴なんだが、日頃無口でムッツリしているよ
うな表情の彼が笑う事は非常に珍しい。

 「よかったな!アスラン」

俺の良心がものすごく痛む。
ビデオメールが入っていたようだ。
近況報告と新曲のプロモーションが入っているら
しい。

 「ヨシさん。あなたにも、ラクスからビデオメ
  ールが届いてますよ。新曲のプロモーション
  だそうです。あなたが大ファンなのを覚えて
  いたようですね」

 「あっそう!嬉しいな」

嬉しそうに答えるが内心はビクビクものだ。

 「部屋に戻って、新曲聞こうっと!」

俺は自室に急いで帰り、ビデオを再生した。
始めは、新曲のプロモーションビデオが普通に入
っている。 

そして、曲が終わり、暫らくノイズが流れると新
しい映像が映りだした。
ラクスが自室で1人で撮っているらしい。
今日は下着姿でとても刺激的でデンジャラスだ。

 「ヨシヒロ。お久しぶりです。あなたと別れて
  約三ヶ月とても寂しいです。クリスマスにお
  会いできると嬉しいのですが・・・。わがま
  まを言ってごめんなさい。あなたの為に、新
  しい下着を買いましたの。似合いますか?お
  返事お待ちしています。世界中の誰よりも愛
  してますわ」

ラクスが投げキッスをした後で映像は終了する。
また、ラクスは暴走したようだ。
先月はガーターベルト・・・。
先々月はきわどい水着で・・・。
プロモーションビデオの名目で送られてきて、後
ろに入っているのだ。
きっと、アスランは信じて疑わないだろう・・・

これが、ただのプロモーションビデオである事を
・・・。 

俺は早速、必要な作業に入る事にする。
ディスクから、エッチなメールのデータを抜き取
り、自分のパソコンのプライベートホルダーに入
れて他人が見れないように強度の暗号をかける。

危険なので消去したいのが本音なのだが、それを
するとラクスに叱られてしまうからだ。
彼女は定期的に見て欲しいらしい。
ただ、ラスティーやディアッカがラクスのプロモ
ーションビデオを貸して欲しいとよく頼みにくる
ので、この作業は最優先で行わなければならない

この映像は最重要国家機密だ。
外に漏れたら、確実に俺は社会から抹殺される!


次に返事のビデオをつくる為に、1人でビデオを
回して撮影をする。
内容はあなたに会えなくて寂しいとか、愛してい
ますとか、恥ずかしい言葉を満載して撮影を終え
てから急いで補給艦に郵送をお願いする。
補給艦はすぐに帰ってしまうので、スピードが命
なのだ。
普通はこんな短い時間に返事を書く奴はいない。
なるべく、最新の映像が欲しいというラクスの希
望をかなえているのだ。


いつの間にか、俺も尻に敷かれている・・・。


これだけを書くと、ラクスが一方的に俺に迫って
いる印象を与えかねがいが、実際のところ、俺は
ラクスが好きだし、愛してもいる。
彼女の歌と愛らしい笑顔ですぐにファンになって
しまったし、アスランから会ってくれと頼まれた
時には天にも昇る気持ちだった。
ただ、その後の急な展開にとまどっているだけだ

それに、婚約者であるアスランへの罪悪感へもあ
る。
アスランを弟のように思っている俺には、こいつ
は拷問だ。

返事をいれたディスクを補給艦の担当兵に渡して
からラウンジへ行ってみると、アスラン達がお茶
を飲みながら会話をしていた。

 「アスラン、良かったですね。ラクスさんから
  愛のメッセージが届いて」

ニコルが微笑みながらアスランをからかう。

 「本当羨ましいよな。あんなに可愛い娘が婚約
  者だなんて」

 「そうそう。しかも、プラントのトップアイド
  ルでナンバーワン歌手ときたもんだ」

ディアッカとラスティーも続けて言う。

 「お前には、勿体無いくらいだぞ。アスラン」

珍しく、意地悪な笑顔をしながらイザークが会話
に加わる。

 「それで、どんな愛のメッセージが届いたんだ
  ?」  

内心、ヒヤヒヤしながら聞いてみる。

 「俺達は実際に見てないんですけど、ラクス様
  が一人でビデオをまわしてメッセージを入れ
  たみたいですよ。(お元気ですか?)とか、
  (お早い帰りをお待ちしています)とかいう
  内容らしいです」

 「俺もラクス様にそんな言葉をかけられてみた
  い」

ラスティーとディアッカが羨ましそうに言う。
すると、アスランは珍しく、満面の笑顔をうかべ
ていた。
よっぽど、嬉しかったようだ。

 「それで、服装は水着かなんかだったりしてな
  」

俺がふざけた振りをしながら探りを入れると。

 「ラクスがそんな事をするわけないじゃないで
  すか。新しいコンサート用の衣装を披露して
  くれたんですよ」

アスランが少しむっつリとしながら答えた。

 「ははは、ごめんなアスラン。俺の心の奥の願
  望を口にしてしまって」

あわてて弁明する。
あの映像はやはり俺向けのものらしい。
アスランに見つかったら、射殺されるかも。
それとも、戦闘時に後ろから撃たれたりして・・
・。


日付が変わり、いよいよ期待の新隊長の着任の日
である。
モビルスーツで直接「フユツキ」に着艦後、ラン
スロット隊長と任務の引継ぎを行い、その後に、
ヴェサリウスに挨拶に来るらしい。

急に警報が鳴ったので驚いたが、どうやら新隊長
のモビルスーツの接近を探知したらしい。
ブリーフィングルームのモニターを見ると、シグ
ーが一機接近してくる映像が映っていた。

 「うーん、腕はいいようだな。ところで、あの
  シグーなんか少し形が違うな。カスタム機な
  のかな?」

俺が疑問を口にすると、ラスティーが事情を教え
てくれた。

 「あれは、シグーディープアームズという機体
  で、ビーム兵器搭載用の実験機です。研究と
  実験がひと段落ついたので、ビーム兵器の実
  戦テストの為に、前線部隊に数機回される予
  定らしいですよ。まさか、うちの部隊だとは
  思いませんでしたけど」

さすがは、軍と取引のある大企業の御曹司。情報
が速い。
一時間ほどして艦橋にあがると、クルーゼ隊長に
挨拶している新入り君がいた。

 「(フユツキ)モビルスーツ隊編隊長に着任し
  ました。シホ・ハーネンフースです。よろし
  くお願いします」

なんだ、俺の教え子じゃん。
彼女はアスラン達の同期で俺が鍛えた二十人の中
の唯一の女性兵士であり、女性ながら赤服をまと
っている才媛である。
しかも彼女、プラント医師会の会長の孫であり、
彼女自身 も十四歳で医師免許を取得している。
人生の勝ち組だ。

 「久しぶりだな!シホ、元気でやってたか?」

 「はい。教官もお元気そうで」

艦橋で他人の目があるので、彼女は俺を律儀に教
官と呼ぶ。
もう、教官ではないんだけど。

 「少し、話を聞きたいな。ここは、戦闘宙域で
  はないし、少しくらい(フユツキ)に戻るの
  が遅れてもかまわないだろ?アスラン達も呼
  ぶからさ」

 「はい。私もお話する事があるので、オキタ艦
  長には帰りが遅れる旨を伝えてあります」

ラウンジに移動してお茶を飲みながら話す。
彼女はアカデミー卒業後、新型機のテストパイロ
ットを務めていたが、実戦に出たいと人事部に働
きかけて今回の異動につながったらしい。

 「しかし、いきなり編隊長で大丈夫か?指揮経
  験ないんだろ?」

 「テストパイロット部門の責任者のスズキ隊長
  にいろいろと教えていただきました。実戦は
  未経験ですけど」

 「スズキって(ジロウ)のこと?」

 「はい。何でも、結婚されるとかで、事部の配
  慮で一時的に本国勤務にまわされたそうです
  。結婚式にはヨシヒロさんも出て欲しいと、
  伝言を承りました」

 「(ジロウ)が結婚か。俺と同い年なのに・・
  ・。人生の墓場に直行か・・・。(でも、俺
  もいつかはラクスと結婚するのかな?考える
  のやめよう)」

ちなみに彼女は日系人なので、俺をヨシヒロさん
と呼ぶ。 

 「わかった。喜んで出席させていただくよ。返
  事は俺が出しておくから」

 「確かにお伝えしました」

ここまで話し終わったところで、アスラン達がラ
ウンジに入って来る。

 「シホちゃん久しぶり!元気してたかな?」

 「あなたに心配されても嬉しくありません!」

 「つれないな。シホちゃんは」

ディアッカは相変わらず嫌われているな。
シホちゃんなんて呼ぶからだけど。

 「久しぶりだなシホ」

 「一緒に戦えるんですね。僕もうれしいですよ
  」  

 「私もよ、アスラン、ニコル」

この二人とは仲が良い。

 「フン!俺の足を引っ張るなよ!」

 「イザークは相変わらずね。それじゃあ女性に
  もてないわよ」

それには、俺も賛成だ。
イザークも、もう少し女性への言葉使いに気をつ
ければいいのに。

 「よっ!」

 「こんにちは。ラスティー」

珍しく話さないな。
ラスティーの奴。

 「ところで、上からの命令なのですが、私のシ
  グーはヨシヒロさん達が交代で使って、デー
  タを取って欲しいそうです。機体は置いて帰
  りますので」

 「シホは何に乗るんだ?」

 「ヨシヒロさんの予備機のジンに乗ります」

 「別にいいけど、あれは俺以外の人間にはジャ
  ジャ馬で扱いにくいぞ」

俺はシグーに乗り換えていたので、以前の愛機の
黒いジンは予備機になっている。
始めは普通のジンだったのだが、各地を転戦して
いるうちに、現地の整備班に色々いじられてカス
タム機に変わってしまったのだ。

 「大丈夫ですよ。OSは書き換えますし、私も
  一応は赤服です」

 「ところで、帰る前にヨシヒロさんに二人っき
  りでお話があるのですが・・・。軍機に抵触
  するので、他の人は抜きで」   

 「いいよ。俺の個室で今からでいい?」

 「はい」

俺は彼女を連れて個室へと向かう。
みんなが明らかに俺を疑いの目でみつめている。
しょうがないだろ!軍機なんだから! 

部屋に入り彼女に椅子を勧める。
腰掛けた彼女から衝撃の言葉が出る。

 「ラクスから伝言です。浮気しないでください
  との事です」

 「な、何で知ってるの?ハーネンフースさん!
  」

俺はあきらかにうろたえている。  

 「私とラクスは子供の頃からの親友です。私達
  に秘密なんてありません。恋の悩み相談くら
  い受けていますよ。今回の異動も私の前線任
  務希望とヨシヒロさんへの浮気監視任務が一
  致した結果にすぎません」 

ラクス・・・。
また、ザラ閣下にお願いしたな・・・。
彼女の行動力には驚かされる。

 「わかっているとは思うが、この事は・・・」

 「全員に秘密ですね。特に、アスランには」

 「わかってるじゃん。頼むよ、シホ」

俺に新たな心の負担が増えた気がする。
あっ、でも彼女は数少ない女性兵士だ。
もし彼女の事をアスランが好きになって、ラクス
との婚約解消まで進んだら俺の罪状は消滅する。
これはチャンスだ!ガンバレ俺!

 「質問があるのだが、シホはアスランの事をど
  う思う?」

 「私とアスランをくっつけようとしても無駄で
  すよ。私はラスティーと結婚を約束した仲で
  す。お互いに愛しあっていますし。それと、
  この事はご内密にお願いします」

 「了解」

作戦失敗・・・。

その後、彼女はOSを書き換えた俺のジンに乗っ
て「フユツキ」へと帰っていった。
彼女も卒業後、腕をあげたみたいであのジャジャ
馬の機体をちゃんと乗りこなしていた。

新体制になったクルーゼ隊だが、任務は以前と変
わらず、というか俺が着任してきてからは特殊任
務なんて発生していなかった。

特殊任務自体無いわけではないが、そういうのは
、専門の特殊部隊が行っている。
その部隊の隊長はヨップ隊長という人らしいが、
あのクルーゼ隊長の友人という経歴だけで、変人
のにおいがする。
もう1人、クルーゼ隊長にはギルバート・デュラ
ンダルという友人がいるらしい。
彼は、議会で外交委員長を務めているアイリーン
・カナーバ議員の下で外交官の任についていて、
今彼は地球に降りて同盟国や中立国との折衝に飛
び回っているらしい。
以前はDNA解析の専門家だったらしいが、昔つ
きあっていたタリア・グラディスという女性を不
倫の上に妊娠させてしまい、彼女の家庭を崩壊さ
せてしまった。
自分との組み合わせでは妊娠の可能性がほとんど
無いと判断した彼女が妊娠したことにより学者の
仕事を干され、路頭に迷いかけたところをカナー
バ議員に拾われて今の仕事についているという話
だ。
尚、タリア・グラディスは軍人で艦長として優秀
だった為、出産後軍務に復帰してナスカ級戦艦の
艦長を務めている。 
そして、デュランダル外交官の帰りを待っている
そうな。
結構いい話なんだけど、不倫というところがさす
が、クルーゼ隊長の友人だと思う。

12月24日になり、クリスマスイブが訪れた。
任務中ではあるが、アルコールが入っていないシ
ャンパンを抜き、食堂でケーキが出され、仲のい
い同僚達でプレゼントを交換して楽しむのが恒例
だ。
俺もアスラン達にプレゼントを渡し、俺は今日が
誕生日なので、彼らから少し豪華なプレゼントを
貰う。
俺も十九歳で最後の十代だし、彼らは金持ちの息
子なので遠慮なくもらう事にする。
アスランからは最新型のノートパソコンを、イザ
ークからは、日本の古典アニメの入った記録ディ
スクセットを、ディアッカからは、最高級玉露と
艦内でも淹れられる急須のセットを、ニコルから
はバイオリンを、ラスティーからは高級ブランド
のスーツを、シホはプレゼントを贈るとラクスに
叱られるとの事でクリスマスカードのみだった。
ラクスからは男性用の香水と、またアスランには
見せられない内容のビデオレターだった・・・。     

ちなみに、ラクスにはクリスマスに届くように、
プレゼントを事前に送っていた。
品物は彼女の髪の色に合わせてピンクダイヤモン
ドのネックレスにした。
その時に、カタログでプレゼントを選んでいる時
にアスランに見つかってしまい、咄嗟に母親に送
ると嘘をついてしまったので、また少し心が痛ん
だ。
アスランはラクスにまたハロを送ったらしい。
少しは考えた方がいいと思う。

クリスマスが終わり、大晦日になった。
我々は、初めての命じられた特殊任務のためにL
3宙域にいる。
連合が海賊を密かに雇って、プラント向けの輸送
船団を襲わせる為の基地を作っているという情報
が入ってきたので、確認と破壊の任務が下ったの
だ。
L3のコロニー群は中立国の管理下にあるものが
多く、プラントとも貿易を行っていて輸送船が多
数航行しているが、船籍は中立国なので連合の艦
隊は手が出せない。
そこで、海賊を雇って襲撃させる計画らしい。
国際法違反なのは明確だが、連合も切羽つまって
いるらしく、そこまで考えられないようだ。

情報にあった場所を探索すると、小惑星にモビル
ポッドやジンが取り付いて、何かの建設作業を行
っている。

偵察を続けているとこちらを察知したらしく、作
業を止めて向かってくる。

 「オロール、シホ、クリス、雑魚は任せた。な
  るべく全滅させろ。降伏した奴以外、情けは
  掛けるな!」

クリスはガモフのモビルスーツ隊の隊長だ。
技量は並だが、部下の統率が抜群にうまい。

俺達は三機ほどいるジンを落としにいく。
連携プレイで二機は簡単に落としたが、残りの一
機がえらく強い。
こうしてるうちに、アスランとディアッカが被弾
してジンが損傷する。
こいつは強敵だ!
中途半端な数では損害が増えるだけだ!

 「みんなさがれ!俺が一人で倒す!反論は許さ
  ない!」

俺は無線を国際チャンネルの周波数にあわせて通
告する。

 「俺はザフト軍のヨシヒロ・カザマ!一騎打ち
  を要求する。貴官の名前が知りたい!」 

 「俺の名前はムラクモ・ガイ。傭兵だ。申し出
  を了承する。悪いが死んでもらうぞ(黒い死
  神)」

ムラクモ・ガイ。
サーペント・テールかよ!
強敵じゃねえか。
いくらアスラン達が上達してきたとはいえ、相手
が悪すぎる。
俺が倒さなければ。

今日の俺の機体は運良くシグーディープアームズ
だった。
この機体はビームライフルが使える以外はシグー
とそれほど変わらず、エネルギーの消耗が少し多
めで稼動時間が短めなのが欠点くらいの高性能な
機体だ。 

ビーム兵器の小型化は連合も開発を進めており、
MAに搭載されるようになると、ジンの被害が増
えると予想されており、対抗策として対ビームコ
ーティングシールドの開発と全モビルスーツへの
装備が予定されていた。
完成までにまだ時間がかかるらしいのだが。

まずは、相手をけん制する為に、ビームライフル
を撃つ。
射撃は正確な筈だが、歴戦の傭兵には当たらない

向こうも突撃銃を撃ちかけてきたが、けん制が目
的らしくこちらにも当たらない。

お互いに高速でドッグファイトを繰りひろげなが
ら、銃火器を撃ちあうが命中しない。
やがて、向こうは弾が切れてしまい、俺も活動時
間を伸ばしたいのでライフルを撃つのをやめる。
お互いに火器を捨てて、陣馬刀を抜いて格闘戦に
移行した。
俺は実は格闘戦の方が得意だ。
集団戦法を尊重するので、発揮するチャンスはほ
とんど無いが。
しかし、向こうも格闘戦は得意分野らしく、ほぼ
互角の戦いが続く。
暫らく斬りあっていたが、シグーのエネルギーが
尽きかけているようで、警告ランプが鳴る。

 「やばいな!エネルギー切れか!」

わずかに隙ができたようで、俺の陣馬刀がはじき
飛ばされてしまった。

 「覚悟!」

相手が刀身を振り下ろす。
このままでは真っ二つだ!

 「ええい!一か八かだ!」

起死回生の為に、俺は振り下ろされた刀身を真剣
白羽取りでつかむ。

 「成功だ!やった!」

賭け員に成功した俺は、動揺する相手のジンのボ
ディーに蹴りを入れて陣馬刀を奪い取り、両腕と
頭を切り落としてコックピットに刃を向けた。

 「降伏しろ。勝負は俺の勝ちだ」

ムラクモ・ガイはジンから降りてくる。

 「甘いな!俺を殺せばいいのに」

 「少し興味があってね。部下に欲しいなんて思
  ってたりして」

 「俺は傭兵だ!誰の指図も受けん!お断りさせ
  てもらうよ」

いきなり目が眩むような大きな光が発生する。
光がおさまり、目が見えるようになる頃には、彼
の姿は消えていた。
損傷したジンを残して・・・。

 
この後、ヴェサリウスに戻るとシホが憤怒の表情
で待っていた。
試作品のビームライフルを捨ててしまったからだ

回収はされたが、修理不能らしい・・・。

 「ヨシヒロさん!この試作品ライフルがどれだ
  け貴重な物かわかりますか?何度も実験中に
  爆発事故を起こして、ここまで安定させるの
  にどれだけ苦労したか・・・・・・・・・・
  。ヨシヒロさん、聞いてますか!?」

初めて部下に説教された・・・。
しかも、俺のくだらない価値観でムラクモ・ガイ
を逃がしてしまった。
やはり、殺しておくべきだったのだ。
あいつが傭兵を続けるかぎり、味方が殺される危
険がある。
次にあったら、確実に殺す!
すっかり沈んでいる俺をよそにアスラン達は伝説
の傭兵ムラクモ・ガイを圧倒した俺を賞賛してい
た。


年が明けて1月1日。
新年そうそう俺はクルーゼ隊長に呼ばれる。
彼の個室に入ると、アデス艦長が先に待っていた

 「ご苦労だなカザマ君。内密に相談したい件が
  あってアデス艦長と共に呼んだのだ」

 「それで、何の相談ですか?」

 「実は、現宙域のすぐ近くに、ヘリオポリスと
  いうオーブ所属のコロニーがある。ここに潜
  らせていた諜報員から今、興味深い情報が入
  っきたのだが、方針を決めねばならない。多
  数決を取る事になるかもしれないので、三人
  での相談となったのだ」

 「興味深い情報とは気になりますな」

 「実は、ここにはモルゲンレーテの研究所と工
  場があるのだが、彼らは、連合の依頼でモビ
  ルスーツの開発をしているらしい」

 「モビルスーツですか?」

確かにありえない話ではない。
モビルスーツの開発技術はプラント発祥のものだ
が、戦争が激しくなりジンは連合に多数鹵獲され
ている。
技術は漏れているのだ。
技術力に定評のあるモルゲンレーテが開発をして
いるのなら、完成は時間の問題だ。

 「しかし、オーブは中立とはいえ、プラントに
  好意的なはずでは?連合のしかも兵器開発の
  要請を聞くとは思えませんが」

アデス艦長の疑問ももっともだ。

 「これは、私の友人でもあるデュランダル外交
  官の話だが、オーブを治めている五大氏族の
  うち、サハク家とアスハ家の親戚筋にあたる
  セイラン家は連合と太いパイプをもっている
  らしい」

 「まあ、中立国が交戦国に代わって武器を開発
  するなんて話は、歴史を勉強していれば珍し
  くもありませんが、問題はただ作った武器を
  売るだけなのか?中立国内で運用試験までし
  てしまうのか?試験をしているのがオーブの
  軍人なのか?連合の軍人なのか?それが問題
  です」

 「連合の軍人ならどうなのかね?」

 「私なりの国際法の解釈で言えば、交戦国の軍
  人が中立国内で兵器の訓練や性能検査をした
  ら、それは軍事行動です。そして、それを見
  逃している中立国は中立国ではありません。
  法的には敵です」

 「確かに、そうかもしれないな。では、どうし
  たらいいと思う?」

 「難しいですね。証拠をつかんで外交ルートか
  ら抗議してもらうのが常識なんですけど、相
  手に開き直られて無視される可能性が大きい
  です。特に連合の場合には」

 「君だったらどうする?」

 「とりあえず、証拠を掴みます。現役の連合の
  軍人が関わっているところを。その後はまだ
  思い浮かびません」

 「まあ、そんなところだな。アデス艦長はどう
  思う?」

 「私も賛成です」

 「では決まりだ。カザマ君、ヘリオポリス潜入
  は頼むよ」

 「えっ!」

 「何でです!俺はモビルスーツのパイロットで
  潜入なんてやったこと無いですよ!」

 「アカデミーの成績は優秀ではないか」

 「実戦経験なしなんで無理です!」

 「まあ、そう言うな。これは命令だ。君は現地
  の工作員と連絡を取ってくれればいい。更に
  言うと、オーブのIDを持っている君は適任
  なのだ。聞けば、ご家族も住んでいるそうじ
  ゃないか。しかも、父君はモルゲンレーテ社
  勤務だ。情報も集めやすい」

 「良くご存知で・・・」

 「特殊部隊のヨップ君とは長い付き合いでね。
  君の事を調べてもらったんだ」

 「了解しました・・・。」

 「それと、何人か連れて行ってくれ。三枚ほど
  短期在留ビザを用意したものでな。まあ、こ
  いつは精工な偽造品だ。ヨップ君特製だから
  まずバレない代物さ」

俺は慣れない潜入任務を行う事になってしまった

しかも、部下を3人も連れて・・・。

 

 

 

(ヘリオポリス入国審査窓口にて)

 「君、オーブ国民なんだ。ずっとプラントにい
  たの?」

 「ええ、プラントは戦争の影響で人手不足なん
  ですよ。給料もいいですし。開戦から今まで
  プラントでコロニーの外壁補修作業をやって
  いまして、今度、独立する事になったんです
  。そこで、顧客獲得の為に、中立国のオーブ
  のコロニーを回る事になりまして」

 「ふーん、若いのに感心だね。ウチの息子に見
  せてやりたいようだ。それで、後ろの三人は
  ?」

 「私についてきてくれた部下です。勉強させよ
  うと思って連れてきました。こいつらプラン
  トから出た事が無いんで。ちゃんと、短期在
  留許可証はありますよ」

俺は三人の書類を入国審査員に見せる。

 「うん、間違いないようだね。えーと、アスラ
  ン・アズナブルさんとニコル・バジーナさん
  とシホ・マスさんね」

 「はい、間違いないです」

 「ヘリオポリス観光楽しみですね」

 「本当、楽しみ!」

 「おい、遊びじゃないんだからな!仕事なんだ
  ぞ!」

 「ははは、まだ若いんだから遊びも大切さ。そ
  れではよい旅を」

特に問題なく審査を抜ける。
民間用の宇宙服を着て潜入して、他の入国審査の
民間人にまぎれこんだのだ。
大雑把な作戦だが、意外と上手くいった。
俺にはまだ運があるようだ。

連れて行くメンバーの選出だが、シホは一番に決
めた。
女性のそれも美人にはみんな油断するものだ。
後は消去法で決めた。
イザークはキレやすいから、潜入には不向きだ。
ディアッカは知らない女性にすぐ声を掛けるから
ダメ。
ラスティーはシホと一緒にして二人の関係が周り
にバレルと困るのでダメ。
実は、シホに先日のお返しをしただけだけど。

宇宙港を出てから、レンタカーを借りる。
宿泊する場所をさがす前に、モルゲンレーテを見
ておく事にする。

工業カレッジが併設されているようだ。
講義を終えた学生が下校している。

 「中立国ですか。平和なんですね。学生が軍事
  訓練なんてしてませんし」

 「ニコルよ。オーブにだって仕官学校はある。
  プラントにも普通の学校も沢山ある。そう一
  概には比べられないさ」

校門前で車を止めて会話をしていると、こちらに
向かって七人ほどの集団が会話をしながら歩いて
くる。

 「だから大変なんだよ。カトウ教授が次から次
  へと課題を出してきて。こんなのやってるの
  僕だけだし」

 「そういえばそうだな」

 「しかし、すごい量だよな?俺だったら絶対無
  理!さすが、工業科トップのキラ!」

 「茶化さないでよ」 

 「そうよ。最近、キラが忙しくて相手にしても
  らえない姉貴はご機嫌斜めで妹の私がいい迷
  惑!だからさ、今日から親父は本国に長期出
  張で母さんも付いていってしまったから誰も
  いないのよ。お邪魔な私はミリィの家に泊ま
  りに行くから二人っきりで楽しみなさい。キ
  ラのお母さんにはトールの家に泊まりに行っ
  てるって連絡してあげるから。トール、いい
  でしょ?」

 「親友の俺としてはキラの為に一肌脱がないと
  な」

 「グッドナイト! キラ」 

 「えっ、私達は付き合い始めてわずかだし。そ
  んな男の子と家でふたりっきりだなんて・・
  ・」    

 「そうだよ!レイナのお父さんの留守を利用す
  るなんてよくない!」

 「お前な!男だったらやる時はやるんだよ!」

 「これはチャンスなのよ!レイナ!ファイト!
  それとも、キラが好きじゃないの」

 「そんな事は無い!私はキラが好き!愛してい
  る!」

 「僕もだよ。レイナ」

 「じゃあ、今夜は二人っきりという事で決定!
  」

 「俺達、いい人だな。友情に厚いよな!」

 「ふざけんな!この野郎!可愛い妹に手ぇ出し
  やがって!」

 「おい!キラ!お前一人だけ大人になるつもり
  か?そんな事、俺は認めないぞ!」

俺はわかるけど何故アスランが?

 「すいませんが、どちら様で?」

 「レイナとカナの兄のヨシヒロです。よろしく
  」

 「キラ・ヤマトの親友のアスラン・ザラです。
  よろしくお願いします」

 「お兄ちゃん・・・」

 「兄貴・・・」

 「アスラン・・・」

予想外の展開だった・・・。

 「あの二人、潜入工作の意味わかってるんです
  かね?一応、ヨシさんの家族への接触と情報
  収集は任務の内ですけど・・・。あんなに大
  騒ぎを起こして・・・」

 「これが致命的なミスでない事を祈りましょう
  。ニコル」


その後、俺達はレイナとカナの家に行くことにし
た。
妹達の親友もついてきた。
お茶を飲みながら談笑する。

 「へー、プラントで働いていらっしゃるんです
  か。どんなお仕事を?」

茶色ショートカットの少女が聞いてくる。
彼女はミリアリア・ハウという娘さんだ。
妹達の一番の親友らしい。
美人というよりは可愛いタイプの娘だ。

 「コロニーの外壁の補修屋だよ。戦争の影響で
  成長産業でね。最近、独立したんだ。ヘリオ
  ポリスに来たのは、他国の顧客を獲得するた
  めさ」

 「その若さで社長ですか。すごいなー!」

目が細くて地味な少年が褒めてくれた。
嘘だからつらいものがある。
彼はカズイ・バスカーク、カレッジの同級生だ。

 「他の3人はお友達ですか?」

茶色の髪で天然パーマっぽい少年が聞いてくる。
彼はトール・ケーニヒ。
同じくカレッジの学生で、ミリアリアの彼氏でも
あるそうな。

 「社長が独立したので一緒に付いて行く事にし
  たんですよ。ぼくは、ニコル・バジーナです
  。よろしくお願いします。ニコルと呼んで下
  さい」

 「私はシホ・マスです。よろしくお願いします
  。シホで結構です」

 「アスラン・アズナブルです。よろしく。アス
  ランと呼んでください」 

 「ところで・・・」

 「この偽名なんとかなりませんか?あきらかに
  変ですよ」 

ニコルとシホに小声で聞かれる。

 「その名前は、俺が崇拝してならない古典アニ
  メのキャラクターから取って・・・」

 「もういいです・・・」

納得してくれたようだ。

 「あれ?アスラン・ザラじゃないの?」

茶色の髪、アメジスト色の瞳の少年が聞いてくる

こいつの名前はキラ・ヤマト。
俺の妹の彼氏である。
始めは取り乱したが、やさしそうだしレイナが好
きな男なので、特に文句は無い。
顔は女の子みたいだが、美形でカレッジでは主席
らしい。
それに、よく見ると着やせはしているが、体は筋
肉質で本人は積極的では無いが、運動も得意のよ
うだ。

 「アスラン・ザラ?確かプラントの国防委員長
  はパトリック・ザラだったような・・・」

色眼鏡をかけた品のいい美形の少年が考え込んで
いる。
彼はサイ・アーガイル。
同じくカレッジの学生である。
年齢はみんなより1つ上でこのメンバーのまとめ
役だ。

 「みんな、すまない。実は内緒にしてほしいん
  だけど、こいつザラ委員長の息子ってだけで
  結構苦労してるんだよ。こいつ自身はただの
  民間人なのに。今回もザラの名前を出すと混
  乱するから仕方なく偽名を使っているんだ」

 「わかったよ、アスランごめんね」

 「そういう事なら了解だ。どうせアスランって
  呼ぶからファーストネームは関係ないしな」

 「みんな、気を使ってくれてありがとう」

 「ついでに言っておくけど、俺もヨシヒロ・ア
  マミヤで通ってるから。実は、ザフトに同姓
  同名のトップエースがいて、よく間違われる
  んだ。プラントだと受けがいいから営業の役
  に立つけど、他の国ではね・・・。だから、
  俺も名前で呼んでくれればいいよ」

 「わかりました。ヨシヒロさん」

 「兄貴が軍人と同じ名前ね・・・。一番似合わ
  ない職業だものね」

そんに軍人に見えないか?カナ。 

 「ネットのサイトで見たことあるけど、(黒い
  死神)のヨシヒロ・カザマ、(黄昏の魔弾)
  のミゲル・アイマン、(オレンジハイネ)の
  ハイネ・ヴェステンフルスは若手のトップエ
  ースでプラントでは有名人らしいよ」

カズイは多少、ミリタリーマニアであるようだ。 
俺って、意外と有名人?
それよりも、「オレンジハイネ」が広まっていた
とは。
苦労して広めた甲斐があった。感動した!

ん?なんかハイネの悲鳴が聞こえた気がする。

 「アスランは彼らに会った事あるの?お父さん
  の関係で」

キラが尋ねる。

 「父は仕事を家庭に持ち込まないからな。プラ
  ントのニュース映像で見たくらいだ」

アスランが答える。

 「それで、お兄さん達のこれからの予定は?」

 「多少、営業には向かうが。最近、休みがなか
  ったから基本的に遊びだ」

 「それで、泊まる場所は?」

 「まだ、決めてない。これから探そうと思って
  」

 「家でいいじゃん。私達しかいないし」

 「そうだな、そうするか。アスラン達もそれで
  いいか?」

 「ご迷惑でなければ」

 「大歓迎ですよ。お兄さんが日頃お世話になっ
  ているのですから。お礼も兼ねて是非どうぞ
  」 

とレイナが誘う。

 「それでは、そうさせていただきます」

その後、カレッジの友人は帰宅する事になった。
キラは少し悲しそうな表情をしていた。
レイナとの二人っきりの時間を潰してしまったか
らである。

 「(すまん!キラ!せっかくのチャンスを。い
  つかいい事があるさ!)」

一応、心の中で謝っておいた。
アスランはキラが帰宅する前に、自分がここに来
ている事を両親に黙っておいてくれるように頼ん
でいた。

彼の両親にいらぬ気を使わせてしまわないように
というのが、表向きの理由だ。
俺も、両親にここに来ていることを内緒にしてく
れるようにと妹達に頼んだ。
気恥ずかしいのと、そのうちオーブ本国へ会いに
行くと説明して・・・。

本当はあわせる顔がないだけだ・・・。
軍人になった事がすでにバレてると思ったし・・
・。
妹達はミリタリー系のサイトなんか見ないけど、
両親はどこから情報を集めているかわからないか
ら・・・。


開戦以来、家族との連絡は途絶えている。
ニュートロンジャマーの影響でメールは使用地域
が極端に狭まり、手紙がポピュラーな連絡手段な
ったからだ。


夜、レイナとカナが夕食を作ってくれた。
シホは手伝おうとしたが、

「お客さんだから、今日は休んでてください」

やんわりと断られて、リビングのソファーに俺達
と座って待っていた。
夕食ができあがり、みんなでいただく。
昔から料理は上手だったが、ここ数年で更に上達
していた。

 「二人とも、更に上手になったな」

 「そりゃあ、四年近くも経てば上達するわよ」

 「お兄さんは料理しないの?」

 「ほとんど、外食だな」

 「作ってくれる彼女いないんだ」

 「今はいないな」

 「今は?昔はいたの?」

 「ノーコメントだ!」

 「ケチだな教えてくれても・・・。シホさんは
  知らない?それとも、兄貴と付き合ってる?
  」

突然の質問にシホが料理を噴出した。

 「なっ、何を言ってるんですか!私達はそんな
  関係ではありませんよ!ヨシヒロさんは、上
  司兼お兄さんみたいなものです」 

 「お前達はどうなんだ?レイナはキラが彼氏な
  んだろ?カナは?」

 「私は今、特に好きな男性はいない」

 「でも、カズイはカナに気があるみたじゃない 
  」

カズイからアタックを受けている事をレイナに暴
露される。

 「いや、カズイは良い友達だけど。付き合うよ
  うな男性とは違う気がする」

 「ところで、2人とも何故に工業科?」

 「私は情報処理やOS理論に興味があって。カ
  ナはお父さんのような優秀なバッテリーの開
  発者になりたいからだそうよ」 

 「昔は漠然とお父さんのようなエンジニアにな
  りたいって考えていたけど、戦争が始まって
  ザフト軍がNジャマーを地球にばら撒いて、
  エネルギー不足で沢山の餓死者が出たってニ
  ュースを聞いた時に、沢山の高性能のバッテ
  リーがあれば死んでいく人が減るのになって
  考えたんだ」

ものすごく立派な考えだ。
戦争に勝つ為とはいえ、あれを地球に落としたの
は俺達だって考えると心が痛む。

 「ところで、兄貴!手紙の返事くらいよこせ!
  物凄く心配したぞ。もし、ユニウスセブンに 
  でもいたらって。母さんなんて大慌てで、親
  父も被害者名簿を取り寄せて真剣に調べてた
  し」

 「手紙なんて、よこしてたの?」

 「住所がすぐ変わるからって、郵便局に私書箱
  を設置してたじゃない」

レイナがあきれた表情で答える。

 「あ!忙しくて一度も取りに行ってない」 

 「ヨシヒロさ〜ん」

 「すいません。さすがにかばえません」

 「素直に謝りましょう。ヨシさん」

シホ、ニコル、アスランに立て続けに見捨てられ
る。

 「すいませんでした・・・」

 
食後、交代でシャワーを浴びて寝ることにする。

 「兄貴!シホさんを借りるよ。女3人で仲良く
  寝るから」 

 「あんまり質問攻めにするなよ!俺達も寝るか
  らな。オヤスミ」

女性陣は親父と母さんの寝室で寝るようだ。
俺達はなぜか用意してあった俺の部屋に布団を敷
いて寝る。

 「アスラン、ニコル日本人は布団を敷いて寝る
  のが習慣だ」

 「僕は初めてです」

 「俺もですよ」 

 「さて、明日は現地工作員に接触して情報を集
  めるからな。早めに寝るぞ・・・」

俺達は眠りについた。 

 
 

 「シホさん。1つお聞きしていいですか?」

 「なんです?レイナさん」

 「お兄さんはプラントでは、どのような生活を
  送っているのですか?」

 「ヨシヒロさんは楽しく暮らしています。お友
  達も多いですし、先輩にも後輩にも信頼され
  ています。私も可愛がってもらっています。
  本当のお兄さんができたみたいで本当に幸せ
  です。多分、アスランとニコルも同じ様に考
  えていると思います」

 「そうですか、本当によかった。お兄さんは家
  族の中で1人だけコーディネーターとして生
  まれて来ました。日本に住んでいた時は優秀
  すぎる為に、みんなに敬遠されて、妬まれて
  、無視されて・・・、私達家族しか向かい合
  ってくれる人がいなかったんです。お兄さん
  は幸せなんですね。本当によかった。シホさ
  ん、これからもお兄さんをよろしくお願いし
  ます」

 「私からも、兄貴をよろしくお願いします」 

 「いいえ、こちらこそよろしくお願いします」 

夜は更けていった。


朝、朝食を食べて妹達はカレッジへ、俺達は現地
工作員に会いに行く。
指定された公園へ向かうと、目印のホットドック
屋がみえる。

 「いらっしゃい」 

 「ホットドック4つ」

 「ケチャップとマスタードはご自由にどうぞ」

 「おい、あんたがかけてくれよ。量は任せるか
  ら」

 「暗号は間違っていないな。カザマさんだろ」

 「アマミヤと呼んでくれ」

 「わかった。手短に伝える。モルゲンレーテ社
  は確かにモビルスーツを開発している」

 「大西洋連邦の軍人の存在は?」

 「将校は技術者にまぎれこんでいて詳しい人数
  は不明だ。名前さえわかれば情報部に連絡し
  て仕官学校の卒業生名簿から判明するんだろ
  うが、そこまで行くのが難しい。大西洋連邦
  の兵士が変装してモルゲンレーテ社を警戒し
  ているし、技術者は外出禁止で外には出てこ
  ない。俺達でも侵入不能だ」

 「わかった。それは俺達でやってみる。モルゲ
  ンレーテ社に隣接しているカレッジの学生と
  知り合いになったから情報を引き出してみよ
  う。もし、仕官の名前が分かったら本国への
  連絡と結果の報告を頼む」

 「わかった。成功を祈る」 

俺達は公園を後にした。

 「さて、学生さんはどのくらいの情報を知って
  いるのだろう」

 「そういえば・・・」

 「なんだ?アスラン」

 「初めてキラ達に会った時に、キラだけ大量の
  課題が出て大変だって」 

 「よく覚えてるな。そういえば、あいつはそん
  な事を言ってたな」 

 「キラさんの専門は何ですか?」 

とニコルが尋ねる。

 「昔はパソコンが得意で、プログラミングもハ
  ッキングもお手の物だった」

 「プログラミングか・・・。何のプログラムか
  ・・・。もし、モビルスーツの基本動作用の
  OSなら・・・。ナチュラルがモビルスーツ
  を動かす為に、鹵獲したジンのOSを解析し
  て・・・」 

 「その作業をキラにやらせていると?」

 「あくまでも、予想だ。放課後にキラを捕まえ
  て探りを入れる。ついでに、レイナとの馴れ
  初めを聞いてやる」

 「どっちが主目的なんですか・・・」

ニコルの質問に答える者はいなかった。


放課後、レイナと下校中のキラを捕まえて、近く
の喫茶店に入る。

 「悪いなキラ。実は、レイナとの馴れ初めを聞
  いておこうと思って」

 「レイナさん。同じ女として、興味があります
  」

 「親友の俺に隠し事はしないよな」

 「僕も聞きたいです」

4人で包囲する。

 「いや、あのですね・・・」

 「私がお答えします。カレッジに入学してから
  暫らくして、ミスカレッジコンテストが行わ
  れて私が優勝したの。カナは準優勝だったけ
  ど。それから、ストーカーまがいの事をして
  くる困った人をキラが撃退してくれて・・・
  」

キラ男じゃん!
カッコイイじゃん!

 「偉い!気にいった!俺をお兄さんと呼んでい
  いぞ!」

 「男性はこうあるべきですよ」

シホは断言する。

 「でも、そんな二人の邪魔はよくなかったかな
  ?」

アスランは申し訳なさそうだ。

 「いいえ、最近僕だけ課題が多くて・・・。今
  日はすぐ家に帰る予定でした」

 「工業科主席のキラが補習のわけないしね」

 「どんな内容の課題なの?」

 「何かのOSの解析らしいです」

 「ふーん。よかったら見せてくれない?俺も仕
  事上、多少OSを組むから興味あるし」

ノートパソコンの画面にデータを出してもらい見
せてもらう。
大正解だ!ジンのOSの一部だ。

 「うーん、少しは分かるけど、難しいOSだね
  。君は優秀だな」

 「そんな事はありませんよ」

その後、カレッジの話を聞いて、キラと別れてレ
イナと家に帰った。
その帰り道。

 「ところでレイナ。俺があげたブレスレットま
  だしてるんだな」

 「勿論。今頃気づいたの?カナもしてるわよ。
  大切な宝物だし、シンプルだけどカッコイイ
  って評判いいのよ」

 「他にアクセサリーは?キラから貰った事ない
  の?」

 「キラは花専門よ」

 「駄目な奴め!今度、アクセサリーを贈るよう
  に忠告しないと」

 「そんな余計な事はいいって!」          

こんな話をしながら家に帰ったのは、約四年振り
の事であった。

 
数日が経ち、日曜日になった。
あれから、色々と調べてみたが、有益な情報が集
まらない。

 「ニコル!今日はお休み!決定!」

 「決断早いですね」

 「だから生き残っているの!お前達、どこか遊
  びに行ってもいいよ」

 「そうですか?実は例の公園で野外コンサート
  があるので行きたいんですよ」

 「許可する。行って来い!」

 「私も行きたいので付き合います」

シホが付いていくらしい。

 「俺は機械工学博物館に行ってきていいですか
  ?」

 「許可する」

みんな出かけてしまった。
レイナはキラとデートに行ったようだ。

 「兄貴、車だして!」

1人残っていたカナが俺にお願いをする。

 「別にいいけど、買物か?」

 「それもあるけど、お父さんから連絡があって
  、会社のデスクの上に忘れ物をしたから、取
  って来て郵送して欲しいんだって」

 「何を?」

 「愛用の耳掻き。新しいのを買ったけど、馴染
  まないから嫌なんだって」

 「バカ親父だな〜」

チャンスだ!
親父の職場はモルゲンレーテ社だ。
家族なら入りやすい。

車でモルゲンレーテの正門まで行く。
作業着姿だが、銃をもった連中が警備している。
姿勢の良さからすぐに兵隊出身者だとわかる。

 「こんにちは。シュウイチ・カザマ技術課長の
  娘です。父が忘れ物をしたそうなので・・・
  」

といいながら、IDを見せる。

 「彼女の兄です。ヨシヒロ・アマミヤです」

と言いながら俺もIDを見せる。

 「ファーストネームが違うのに、兄弟?」

 「母方の実家に養子に入ってまして」

 「ふーん、特に問題ないから行ってよし。あん
  まり中をうろつかないでね」

社員の家族だからチェックが甘い。
でも、親父を利用しているんだよな。
バレたら親父に迷惑がかかるかもしれない。

 「ふーん。兄貴のIDってそうなってるんだ。
  親父からは聞いてたけど」

 「今のところ、プラントを逃げ出すほどの失敗
  はしてないからそんなに必要ないけど」

駐車場に車を止めて、親父のデスクのある事務所
を探す。
ついでに、道行く人で軍人っぽいのを探す。
姿勢がいい人間が一番の候補だ。
軍人は訓練をしているから姿勢がいい。
何人か候補はいるが、おっさんや兄ちゃんで話か
けるのが難しい。
名前を素直に教えてくれるわけも無いし。

ふと、顔を上げると女性士官っぽい人をみつけた

作業用のつなぎを着ているが姿勢がやけにいい。
最低でも軍人あがりだ。
スタイルが良くて、胸が大きい。
ちょっと嬉しい。

 「スイマセン。そこを行くお美しい人」

彼女は振り返る。
美人は自分の容姿に自身があるから、必ず振り返
る。     

 「なんでしょうか?」

 「私、あなたに一目ぼれをしました。是非、お
  仕事が終わった後で食事にお誘いしたいので
  すが」

 「すみません。私、職場に泊まりきりで。しか
  も、今社則で外出禁止なんです」

 「そうですか・・・。それは残念です。よろし
  ければお名前を教えて欲しいのですが。私の
  名前はヨシヒロ・アマミヤです。父がここに
  勤めておりまして、ちょっとした所要で伺い
  ました」

 「そうですか。私、マリュー・ラミアスです」

 「必ず、折りをみてお誘いしますので、楽しみ
  にしていてください」

 「ええ、機会がありましたら」

 「では、ごきげんよう」

 「さようなら」

やった、名前を聞き出せた。
俺はほぼ間違いないと確信する。
早速、後で照会させてみよう。
彼女は俺をただのナンパ野郎だと思ったはずだ。
こっそり、写真も撮っている。
初めて使用した、特殊工作員用の小型カメラを使
ってである。
このカメラはシャッター音が全くしない優れもの
なので、誰にも気づかれていないだろう。 
任務の達成感でうち震えていると、後ろから殺気
がする。

振り向くと、カナが修羅の表情で立っていた。

 「バカ兄貴!ナンパなんてするな!」

俺はカナにぶん殴られた・・・。
しかも、拳で・・・。  

なんとかカナをなだめて事務所を探し、耳掻きを
見つけた。

急いで、モルゲンレーテを出て耳掻きを郵便で送
り、買物を済ませて帰る。

帰宅すると、アスラン達も帰宅しており、例のデ
ータの送信をアスランに任せて、のんびりする事
にした。

明日の正午までには結果が分かるだろう。
俺の推測が正しければ、あのデータは証拠になり
、外交ルートなどで抗議を出す時に使われる。

1時間ほどでアスランが帰ってきたが、様子がお
かしい。

 「すいません。ヨシさん、ニコル、シホ。お話
  があります」

 「なんだ、あらたまって」

 「わが社の重要な事なので、ちょっと人のいな
  いところで」

例の公園まで行って話しを聞くことにする。
例のホットドック屋もまだいる。

 「詳しい話は、彼から聞いてください」

 「どうしたんだ?情報屋!」

 「クルーゼ隊からの定時連絡だ。今日、輸送船
  に偽造した連合の艦船がヘリオポリスに入港
  。同じく、モルゲンレーテ宇宙艦船ドックで
  新造戦艦の偽装作業を確認。我が隊は作戦を
  変更して、連合製モビルスーツが運び出され
  る前に奪取作戦を遂行するものとする。作戦
  開始時刻は明日午前十時。潜入要員は作戦開
  始の混乱に乗じて脱出せよ、以上です」

 「了解した」

 「お前はどうするんだ?」

 「私は草ですよ。目立ったら終わりです。作戦
  が始まったら、シェルターに避難します」

 「正しい意見だな」

 「ところで、なにか武器を持っていないか?」 

 「車が一台とサブマシンガンが人数分ならすぐ
  にでも」

 「では、用意してくれ」

 「だめですよ、命令違反です」

ニコルが反論する。

 「それは分かっている。それでも俺はやる。命
  令違反は覚悟の上だ。一分でも作戦が早く成
  功すれば、カナやレイナやキラ達の死ぬ確率
  が減るからだ!」 

 「それとも。彼女達に教えに行けというのか?
  もうすぐザフト軍の攻撃が始まります。早め
  に避難してくださいとでも!」 

誰も答えない。

 「君達は命令通りに撤退しろ。軍令違反は俺だ
  けでいい」

 「いいえ、俺はやります」

 「私も」

 「僕もです」   

 「そうか・・・、ありがとう。感謝する」

俺達はモビルスーツ奪取作戦に参加する事にした

命令を無視して・・・。   

その後、何事も無かったかのように家に帰り夕食
を済ませて早めに就寝した。

 
そして、運命の日。
俺達は商談があると嘘をついて朝6時に家を出る

例の公園では情報屋が車と武器を持って待ってい
てくれた。

お礼を言ってから、モルゲンレーテ社へ向かう。
モルゲンレーテは早朝とは思えないくらいの数の
作業員と監視の兵士がいた。
俺達は対人センサーを避けながら、倉庫裏の茂み
に隠れた。
目標の位置は昨日の来訪時に目星をつけてある。
監視がきびしい場所が目標だ。

 「懐に入り込めてよかった。大型トレーラーの
  台数からして、モビルスーツは港に運び出す
  ようだな」

 「どうします?もっと奥まで潜入しますか?」

 「あせるなニコル。十時になればイヤでも始ま
  る。それまでは待機だ」

十時まであと二時間半、時間が経つのが遅い。

 「カレッジの一限目は九時からか」

 「逃げ延びてくれよ。レイナ、カナ・・・」  

時刻は九時三十分になった。

 「大型トレーラーの駆動音が聞こえるな。港へ
  の輸送作業がはじまったようだ」

先日購入した小型の双眼鏡で覗くと、三台のトレ
ーラーの発進準備をしているようだ。
大型の荷物を載せているようだが、中身は確認出
来ない。
次に、今まで隠してあった装甲車や自装砲・ミサ
イル搭載車などが出てきて護衛にあたる。

 「大きさからいって、モビルスーツの可能性が
  高いな。今までは、倉庫の中で確認が困難だ
  ったが、外に出てきてくれて嬉しいかぎりだ
  」

 「ついでに、あまり出てきて欲しく無い物も出
  て来ていますが・・・」

 「ヨシさんが目星をつけてるもうひとつの倉庫
  はどうですか?」

 「多分、あの三台の次だろう。最低でも二機の
  モビルスーツが置いてあると思うんだけど・
  ・・」

作戦開始の十時まで、後一分・・・。

 「装備を確認しろ!」

 「全員OKです」

 「さて、はじまるぞ!」

十時なると同時に、港から爆音が聞こえてきた。
どうやら、事前に潜入して時限爆弾を仕掛けてい
たようだ。

 「クルーゼ隊長のやることには隙が無いな」

 「本当にですね。どうやら、本気で奪取するつ
  もりみたいですね」

 「シホ、もしかしたら、新造戦艦も狙っている
  のかもしれないぞ」

 「クルーゼ隊長ならありえそうですね」

とアスランも答える。

十分ほどすると、ジンが進入してきてこちらに向
かってきた。

 「まだ、出るのは早いんだけど、流れ弾が飛ん
  できたら死ぬよな俺達」

 「そうならないように祈って下さい」  

と、シホが言う。

 「俺、無神論者なんだけど・・・」

進入したジン部隊がトレーラーの周りの戦闘車両
を次々に撃破していく。
その爆発に巻き込まれて、護衛の兵士も吹っ飛ば
される。

しばらくすると、ノーマルスーツを着た多数の兵
士が銃撃をしながらトレーラーに取り付いていく

 「赤いノーマルスーツ。イザーク達が出ている
  な」

 「ヨシヒロさん。向こうに護衛の兵士が集中し
  ていて、こちらは手薄になりました。チャン
  スですよ」

 「よーし。もうひとつの倉庫に突入だ!」

俺達は隠れていた茂みを飛び出して、走り出す。
向こうの騒ぎで俺達はまだ気づかれていない。
サブマシンガンを懐にしまっているので、私服の
我々は逃げてきた学生くらいにしか思われていな
いようだ。
しかし、倉庫の前ではそうはいかなかった。

 「おい!お前達なにを・・・」

いい終える前に、護衛の作業着姿の兵士を撃ち殺
した。
こちらも、私服で戦闘をしていて国際法違反だが
、それはお互い様だ。
倉庫の扉は開いていていた。
外の戦闘はひと段落したようだが、連合側の護衛
戦力は全滅だろう。
ジンに装甲車で立ち向かうのは無謀なのだから。

 「ヨシさん。モビルスーツの奪取に成功したよ
  うです。三機のモビルスーツが発進します」

ニコルが外の状況を教えてくれた。

 「よし、突入だ!抵抗を排除しろ!」

俺は命令を出す。

 「いいわね!この二機は必ずアークエンジェル
  まで運び出すのよ!」

女性の大声が聞こえた。
俺達は突入と共に、見える人影を全て撃ちたおす

残りの抵抗も障害物越しの銃撃戦で片付ける。
暫らくすると、抵抗が終わり銃撃が止んだ。

 「ニコル!シホ!右のモビルスーツを機動させ
  て発進だ。俺とアスランは左のモビルスーツ
  をやる」

命令してから、モビルスーツへ駆け上がる。

 「うっ!」

 「シホさん!」

ニコルの叫び声が聞こえた。
シホが銃撃を受けたようだ。
見ると、腕に被弾していた。
よかった、命には別状はない。

俺は、シホを銃撃した男を撃ち殺し、奪取予定の
機体のコックピットへアスランと走った。

そこには、昨日声をかけたマリュー・ラミアスが
銃を構えて座り込んでいた。

 「あっ、あなたは・・・」

彼女は呆然としている。
突然の事で俺を銃撃できないらしい。

 「チャンスだ!」

俺は彼女の銃を撃ち落とし、接近して鳩尾にパン
チをいれた。

 「うっ!」

意識を失い、体の力が抜ける。 
今までは容赦なく射殺してきたのに、俺は彼女が
殺せない。
昨日、わずかでも話してしまったのでためらって
しまったのだ。
自分の甘さに反吐が出る!

 「アスラン!ヨシヒロさん!」

上から叫び声が聞こえてきた。
見上げると、キラが俺達を驚きの表情でみつめて
いた・・・・・・。


 

 
 「アスラン、ヨシヒロさん。あなた達はどうし
  て・・・・・・」

 「時間が無い!こういう事だ!キラ・ヤマト!
  」

 「キラ・・・すまん・・・」

 「アスラン!急ぐぞ!時間が無い!」

気絶しているマリューをアスランが抱えてコック
ピットに乗り込む。
最後にキラに叫ぶ。

 「俺の最後のお願いだ!レイナとカナを頼む!
  本当はこんな事を頼めた義理じゃないけど」

最後の言葉は小さくて聞こえたかわからなかった

コックピットに乗り込んでシートに座り、アスラ
ンにマリューの様子をみさせる。
目が覚めて暴れたりしたら大変だからだ。

主電源を入れてコントロールパネルをチェックす
る。
基本的にはジンに似ている。
なんとか動かせそうだ。
急いでOSのチェックを入れるが、ひどい出来の
OSでまともに動きそうにないので、自分でプロ
グラミングする事にする。
途中でニコル達がモビルスーツの機動に成功した
ようだ。
機体を立ち上がらせている。

 「こちらは準備OKです。ヨシさんはどうです
  か?」

ニコルが俺達の状況を聞いてくる。

 「このモビルスーツ、背中のパックらしい物が
  まだついて無くて飛べないみたいだ。連れて
  いってくれ」

 「わかりました」

少ししてプログラミングも終わり、機体を機動さ
せる。
ニコルの機体は赤い色のモビルスーツだった。
俺達はその赤い機体に抱えてもらって港まで飛ん
で行き、その後外で待っていたヴェサリウスに帰
艦した。
モビルスーツ奪取作戦の成果は五機という結果に
終わった。

  

 

 

帰艦後、マリューさんを医務室に運び、クルーゼ
隊長の個室へ四人で行く。

 「以上で報告を終わります。クルーゼ隊長の命
  令を無視して勝手な行動をしたのは、私の独
  断です。アスラン達に責任はありません。彼
  らは上官の命令に逆らえなかっただけです。
  処分は私一人だけでお願いします」

そう、俺達の行動は俺自身の独断だ。
処罰されるのは俺だけでいい。

 「カザマ副隊長・・・」

 「何も言うなアスラン。お前は発言を認められ
  ていない。シホとニコルもだ!」

 「カザマ君。君は勘違いをしている。私は君に
  処罰を与えるために呼び出したのではない」

 「と、いいますと?」

 「君達の活躍で、本来三機しか奪えなかったも
  のが五機も奪えたのだ。しかも、連合の士官
  らしき人物も確保している。君の功績は大き
  いのだよ。外交問題が絡むので今回は難しい
  だろうが、これはネビュラ勲章ものの働きだ
  。どうして君を罰せねばならない?」

 「命令無視は事実です」

 「公式には、君達は私の命令で奪取作戦に参加
  したことになっている。ご苦労だったな。少
  し休みたまえ。詳しい報告書は後で提出して
  くれればいい」

 「ありがとうございます。カザマ副隊長以下四
  名退室します」

    


 「お咎めなしか・・・。しかも、えらい褒めら
  れようだ。でも、俺は妹達を騙してしまった
  」

 「俺も親友を騙してしまいました」

 「すまないなアスラン」

 「いえ、俺の選択の結果です。ヨシさんは悪く
  ありません」

 「私も、ヨシヒロさんの妹さん達とはいい友達
  になれると思ったんですが、残念です」

シホも辛そうだ。 

 「妹さん達綺麗でしたね。また、お会いしたい
  ですけど無理でしょうね」 

ニコルも残念そうに言う。

 「ところで、シホ。腕の傷は大丈夫か?結婚前
  の女性の肌に傷をつけてすまなかったな」

 「かすり傷ですよ。私は医者だからわかります
  。跡も残りませんよ」

 「それならいいが」

 「さて、少し休むぞ。俺は仮眠を取りたいよ」

その後、自室に戻って仮眠をとっていると、連絡
が入る。

 「クルーゼ隊長から出撃命令です。連合の新型
  戦艦がヘリオポリス内部に逃げ込みました。
  モビルスーツ隊は撃墜の為、出撃します」


中立国のコロニーは歴史の流れに翻弄されて、新
たな戦場になろうとしていた。 

 


中立国のコロニーで戦闘を行う。
正直、気はすすまないが仕方のない事だ。
俺達はモビルスーツで出撃する。
ガモフのモビルスーツ隊を直衛に残して、残りは
全機出撃だ。
今日の俺の愛機は通常のシグーである。
シグーディープアームズは今日は分解整備中の為
、使えない。
残りの機体は全てジンであり、シホだけは俺の前
の愛機であるジンカスタムを使っている。
あれから彼女は「フユツキ」に戻って編隊長の任
務に復帰していた。

 「コロニー内に侵入後、敵戦艦を落とす。全機
  、突撃!」

俺を先頭にモビルスーツ隊がコロニーに突撃する

妹達が心配だったが、シェルターに非難している
ものと割り切っておく。

コロニー内部に侵入すると、敵戦艦が浮かんでい
る。
そして、その周りを数機のMA隊が飛び回ってい
た。  

 「MA隊を落としてから、敵艦に攻撃開始!デ
  ータにない艦船だ。搭載火器の見極めを間違
  えるなよ!」

艦船を落とす基本戦法は、搭載火器を黙らせる事
にある。
ザフト軍が戦術的に優勢なのは、モビルスーツが
護衛のMA隊を落とし艦船の火器を黙らせて沈め
るか、損傷を与えて我が軍の艦船が止めを刺す状
態を作っているからである。

一方、連合は攻撃力の要であるMA隊や航空機が
モビルスーツに落とされて、艦船が丸裸にされて
叩かれるという悪循環に陥っていた。

もし、モビルスーツがなければ、ここまでのザフ
ト軍の優勢はなかったであろう。
艦船をすり潰していたら、ザフト軍に勝ち目はな
いからだ。


 「MA隊はたいした技量では・・・。あれ?あ
  のガンバレル搭載の機体は・・・。(エンデ
  ュミオンの鷹)!」

こちらは敵艦の攻撃で忙しいのに・・・。
俺が相手をして止めないとな。
ミゲルがいれば任せるのに・・・。

「エンデュミオンの鷹」への対応を考えていると
、突然、雑音混じりの無線がはいる。
何か、デジャブな感じだ。

 「カザマ!クルーゼ隊長が出撃した。ムウ・ラ
  ・フラガを感じたらしい」

アデス艦長は半分あきらめ口調だ。

 「本当にいるから任せましょう。俺は部隊指揮
  で忙しいですし」

 「やはり、いたか!ムウ・ラ・フラガ!今日こ
  そ決着をつけないとな!」

クルーゼ司令の声が無線が入り、ガチンコ勝負が
始まる。
その行動はまるでストーカーであり、敵ではある
が鷹さんが哀れに感じる。

しばらくすると、MA隊はほぼ全滅してジンの部
隊は敵艦の火器を遠くから狙い撃ちにする。
鷹さんはクルーゼ隊長に致命的な損傷を受けて、
敵艦に逃げ込んだ。
機銃はほとんど潰し、ミサイル、ビーム砲もあら
かた黙らせ、すでに浮いているだけの状態だ。
投降勧告を出そうとしたその時、艦前部左右の足
のようなものの上から大型の艦砲がせり出してき
た。
やばい!発射状態だ!

 「敵艦前方のモビルスーツ隊待避!」

強力なエネルギー砲が発射される。
こんな強力なものをコロニー内で撃つか?
待避の間に合わなかったジンが爆発する。
オロールの隊の四機が巻き込まれた。
あれでは助からない。
しかも、エネルギー砲はコロニーのシャフトを直
撃して崩壊が始まった。 

 「次の発射までにあの砲を潰せ!」

アスラン達が砲を潰して艦橋にとりつき降伏勧告
を出した。

 「こちら、大西洋連邦所属艦アークエンジェル
  、降伏勧告を受諾する」

若い女性士官の声で降伏する旨の返事が来た。

結局、ヘリオポリスは崩壊して敵の戦艦は降伏し
た。
始めから降伏していれば・・・。
歴史にIFは無いが、悔しくてたまらなかった。
俺は家族の住処を奪ってしまったのだ。

 


※K−2様、ジント様指摘により修正をいれまし
た。
 ご指摘ありがとうございます。
 私のSEEDの知識はテレビ版1回、コミック
 版(全5巻)の立ち読み1回のみです。
 どうしてもわからない事はSEEDの公式サイ
 トの情報を見て探しています。
 また、すでに公式の設定を逸脱しているものが
 多数ありますが、作者の脳内創作なので生あた
 たかく見守ってください。
    
 
       あとがき

今日まで遅い正月休みなので更新しまくり
ました。
これからの更新速度は不明です。
仕事の忙しさ次第です。
急に、数日お休みができたので始めてss
を書いてみました。
題材は種ガンとGSのどちらかで迷いましたが、
作品数が少なく、比較される対象の少ない
種ガンにしておきました。
ちなみにGSのストーリーアイデアは
横島の高校の後輩をオリキャラにした
お話です。
優秀なGSを祖父に持っていた主人公が
幼少の頃、普通の生活が送れるようにと
強力すぎる霊力を封印されます。
祖父はそれからすぐに亡くなり、
主人公もその事を忘れていましたが、
高校の部活の先輩と横島たちのいざこざに
巻き込まれ。
偶然、横島の霊波刀で殴られた主人公は
封印が解けて霊力が溢れ出て大量の
霊を寄せてしまい、大騒ぎになります。
自分の母親から祖父の事を聞き
真実を思い出した主人公は
GSを目指して美神の事務所で
見習いGSを始めるのですが、
真面目な性格が幸いして
アクの強いメンバーに
振り回されます。
はたして、彼は一人前のGSに
なれるのでしょうか?

というような話ですが、2本同時は
無理なのであきらめました。
とりあえず、種ガンの完結目指して
頑張ります。

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