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「幻想砕きの剣 7-9(DUEL SAVIOR)」

時守 暦 (2006-01-11 22:32/2006-01-18 23:22)
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 翌日の朝の事である。
 大河は研究科の一室で雑魚寝していた。
 その周りにはルビナス、ナナシ、そして昨晩遅くに帰ってきたイムニティが眠っている。
 と言っても、ルビナスとナナシはイムニティの存在を感知していない。
 小さな結界を張って隠れているのだ。

 机の上に、小さなカプセルが二つ転がっていた。

 ナナシが小さく呻く。
 差し込む光に、ナナシの顔が歪んだ。
 眩しい日差しに、ナナシは目をショボショボさせながら伸びをした。


「ん〜〜〜〜〜〜〜〜っ……。
 朝ですの…。
 おニューな体は、寝起きがいいですの。
 慣らしなしで動いても、腕が取れたりしませんもの…」


 それは寝起き云々の問題ではなかろう。
 とにかくナナシは起き上がり、周りを見る。
 見慣れたルビナスの研究室だ。

 大河は暢気に眠っているし、ルビナスも満足げな顔で眠っている。
 残念ながら(?)、大河とナニをシたのではない。
 昨晩傭兵科一同を退けルビナスの元にやってきた大河とナナシは、長時間放って置かれて不貞腐れたルビナスのご機嫌取りをしていたのだ。

 と言っても、おべんちゃらやお世辞を言っていた訳ではない。
 彼女の機嫌を直すには、一言言えば事足りる。
 「新発明の説明をしてくれないか」と。

 ルビナスはその一言だけで不機嫌を遥か西方浄土に放り出し、立て板に水とばかりに細かい原理を述べだしたのだ。
 当然その殆どは理解出来ていなかったが、ルビナスはお構いなしに喋り続ける。

 細かい理屈は省くが、このカプセルをリリィに飲み込ませれば、ネコりりぃが復活するのだ。
 他にどんな説明が必要だというのか。

 軽く2時間ほど、さっぱり理解できない自慢話を続けていたルビナスだが、話が一段落つくと同時にバタリとソファーに倒れこんでしまった。
 さては新しい体に不都合でもあったのか、胸囲を欲張りすぎるからだなどと慌てたものの、実際は単なる疲労だった。
 どうやら生命力を燃焼させてまで、薬の完成を急いだらしい。

 彼女を自室まで運ぼうとしたのだが、それはナナシが止めた。
 何せルビナスは、研究室に住み着いているようなモノである。
 当然自室にはロクに帰らず、従って掃除もされていない。
 もう埃だらけである。

 仕方なくルビナスをソファーに寝かせ、毛布をかけて放置した。
 大河も疲れていたので、眠ったままの彼女を自室まで運ぶ気力はなかったからだ。

 ナナシはというと、彼女の部屋はまだ無い。
 体が完成したのが今日だったため、細かい手続きはされていない。
 しかし今日中には救世主クラス専用の部屋が宛がわれるだろう。

 彼女は大河が帰らずに研究室で眠るのを見て、自身も速攻で眠りの国に飛び立った。
 当然大河に添い寝している。
 彼女が大河に迫らないのは、「ルビナスと一緒に」という約束を律儀に守っているからのようだ。

 それはともかくとして、ナナシとルビナスが眠りについて暫くすると、今度はイムニティが瞬間移動で戻ってきた。
 クレアの方には寝所に結界を張っているらしい。
 そのまま少し大河と話をしたのだが……その内容については、また後で。


「ダーリン、ダーリン…朝ですの。
 確か今日は、リリィちゃんに呼び出されてるはずですの。
 早くしないと、朝ご飯を食べそびれちゃうですの」


 ユサユサと大河を揺するナナシ。
 本当は感覚が蘇った体で、密着して温もりを感じたり、手触りを確かめたり、ちょっと舐めて味を確認したり、秘密な場所を秘密な何かで秘密秘密してみたいのだが、大河の事情を考えて、そちらを優先しようとしているのである。
 ……健気よのぅ…。

 揺さぶられた大河は、僅かに目を開けた。
 どうも此処が何処だか理解していないっぽい。

 しばらく呆然としていたが、ナナシを見て首を傾げる。
 どうやらナナシをナナシだと認識できないらしい。
 ムリも無いだろう。
 面影は残っているものの、先日…と言っても結構前だが…までのナナシと姿が違いすぎる。
 暫く違和感が残るのは仕方ない。

 目が覚めるに従って、大河はようやくナナシを認識した。
 ゆっくり起き上がり、周囲を見る。
 ルビナスはまだ眠っている。
 イムニティは姿は見えないが、存在を感じる。


「…おはよう、ナナシ」


「おはようですの、ダーリン。
 ちょっと抜け駆け……Chu♪」


 ナナシは笑顔で挨拶すると、ゆっくり近付いて大河の頬に口付けた。
 大河もお盛んな事に、ナナシの頬にキスをする。
 嬉しそうにはにかむナナシ。


「えへへ…」


 何も言わずに、ナナシは満面の笑みを浮かべている。
 大河はナナシを頭を撫でながら立ち上がり、大きく体を伸ばした。
 床で眠ったものだから、体が痛い。


「えーと…今何時だ?」


「9時前ですの。
 一現目は遅刻決定ですのね」


 ちなみに今日は救世主クラスは休講である。
 無論、初陣の疲れを考慮してだ。
 しかしその休日にも、大河はリリィに呼び出されている。
 起きるのが思ったより遅くなってしまったので、予定していた未亜達の様子見は午後になるだろう。

 大河とナナシはルビナスの寝顔を覗きこんだ。


「…当分起きそうにないな……」


「根性燃やしてましたから、無理もないですの。
 でもでも、お昼ご飯を食べる頃には起きるですのよ。
 ナナシには解るんですの」


「解る?」


「テレパシーですの!
 ブロックしていない時なら、お互いの状態とか考えがある程度解るんですのよ!」


「へぇ…そりゃ便利だな」


 所謂双子間の不思議現象というやつだろうか。
 ともあれ、これでは起こすのは忍びない。


「仕方ないか…ルビナスにちょっと聞きたい事があったんだけどな」


「何ですの?
 テレパシーを使えば、ルビナスちゃんの知識はある程度引き出せるから、ナナシにも答えられるかもしれないですの」


「…テレパシーの領域を超えてないか?」


 超えているかもしれないが、仕掛けたのはあのルビナスである。
 マッドが既存の物を作るとは考えないほうがいい。

 半信半疑だったがモノは試しだ。
 大河は質問してみる事にした。


「じゃあ聞くけど…この薬、一度飲んだら効果は半永久的に続くんだよな?」


「ハイですの。
 服用者の意思である程度コントロール出来るけど、ええと、でーえぬえー配列のシオモトパイオツ…じゃなくてパイレーツが変わっちゃうから、あーと、えーと…」


「…つまり、DNAの塩基配列が変化するから、もう戻る事は出来ないって事か?」


「そう!
 そうですの!」


 パチンと両手を叩いて大河を指差す。
 やはり知識は引き出せても、ナナシでは有効に活用できてないようだ。
 顎を摩りながら、大河は質問を続ける。


「それなら、どうしてカプセルが二つあるんだ?
 リリィに飲ませるなら、一つで充分だろ?」


「ああ、それは単なる勢いですの。
 一つに使う材料が思ったより少なかったんで、モノはついでだと予備薬も…」


 なるほど、ルビナスが力尽きている訳だ、と大河は納得した。


「それじゃあ、この余りの薬は使う予定は無いんだな?」


「ハイですの。
 …ダーリン、誰かに使いたいんですの?
 ナナシとルビナスちゃんは無理ですのよ。
 ホムンクルスの体は芸術品ですの。
 ヘタに手を加えると、どんな副作用が出るか解らないんですの」


 思わずナナシとルビナスがネコミミを着けている姿を想像する。
 ネコミミを着けて『はにゃ〜ん』とばかりにホエホエな笑顔を見せるナナシ。
 同じくネコミミを着けて、四つん這いになって胸を強調しながら流し目で『ニャン』と鳴く化け猫ルビナス。
 勿論2人ともベッドの上で並んで、そして片手は招き猫のように顔の横に。


「クッ……無念!


 しかしどんなに想像した所で、無理なものは無理なのだ。
 大河の趣向のために、ルビナスとナナシの体を危機にさらす訳にはいかない。
 しかしきっとルビナスなら何とかしてくれるだろう。
 そう、いつの日か……。
 しかし、やるなら他の動物にせねばなるまい。
 キャラが被るとちょっと面白みがない。
 何がいいかな……割と本気で募集します。


「それでダーリン、誰に使うつもりですの?」


 大河の内心の慟哭をサラっと無視して、ナナシは尋ねる。
 大河も一端妄想を打ち切り、懐に手をやった。


「誰かは…まだ秘密。
 その代わり、ルビナスが起きたら一緒にコレを見てくれ。
 俺が薬を飲ませようとしている理由も多分解るから」


 そう言って、大河はナナシに幻影石を手渡した。
 ナナシは幻影石をシゲシゲと見る。
 しかしラベルの類は一切見られなかった。


「今見ちゃあダメですの?」


「ダメ。
 俺が恥ずかしい」


「?」


「それとな、他に人が居る所じゃあ絶対に見ちゃいけないからな」


「はぁ…解ったですの…」


 クエスチョンマークを大量に浮かべながらも、ナナシは頷いた。
 大河はルビナスに毛布を掛けなおし、無闇に晴れている空を見た。


「さて、俺はそろそろ行くよ。
 リリィに呼び出されてるから、用心の為に色々とやっておきたい事があるんだ」


「名残惜しいけど、時間ですの。
 さよなーら〜すーるのーは、つーらぁい〜けぇど〜」


「じーかんーだーよっ!
 しーかたーがーない。
 またあーうー日ーまでー」


「「ごーきーげぇんよ〜」」


 微妙に踊りながら、大河は扉を開けて出て行った。
 ちょっと長さんに会いたくなった。
 残されたナナシは、大河が使っていた掛け布団に潜り込む。


「えへへ…ダーリンの匂いですの…」


 温かな感触を存分に愉しみながら、ナナシは眠りに落ちて行った。


「ああ……新刊が、新刊が………待ってぇ〜」


 …イムニティは、本を枕にまだ眠っていた。


 とにかく空腹を何とかしようと、食堂へ向かう大河。
 食堂の中は相変わらずで、所々で洒落にならない惨劇が起きていたが、それは若さの発露というモノだろう。
 しかし少しだけ普段と違う点がある。
 と言っても、食堂の中にあるのではない。
 外にあるのだ。


「……景気よくぶっ壊れてんなー…」


 昨晩の大立ち回りの結果、中庭は物凄い破壊後がそこかしこに見られた。
 最も大きな破壊後は、庭の中心付近……おそらくセルとケルビムのコンビネーション攻撃、『しっと団特攻部隊・幸せバスターズ』の力だろう。
 生身で武器も使わずどうやってこんな威力を出すのか興味がある所だ。
 練馬区のヒーロー高校生三人組の必殺技でも使ったのか。

 セルを除き全滅した傭兵科生徒達はというと、朝のうちに起き出して、用務員の人とかが来ない内にさっさと退散していた。
 と言っても、昨日の大騒ぎは何人もの生徒や教師に目撃されている。
 恐らく近日中…というか今日中に呼び出しを喰らうだろう。


「そうなると、俺も懲罰を覚悟せにゃならんのだが……。
 俺の懲罰というと…」


 大河の脳裏に、ナナシに渡した幻影石がよぎる。


「…イヤではないが、そのまま乗ってやるのはシャクだなぁ…。
 よし、ここはルビナスとナナシを先に呼び出して…」


 何やら計画する大河。
 あからさまに邪悪なオーラを放ち始めるが、周りの生徒は気にしない。
 なぜなら生徒達一人一人が、無闇やたらと熱いオーラを放っているからだ。
 ぶっちゃけた話、育ち盛りの食欲は恐怖に勝つのである。

 危険なオーラを放ちながらも、大河は食事を注文する。
 恐らく朝昼兼用になると思うが、今から満足するまで食べる訳にはいかない。
 何せあのリリィから呼び出しを受けているのだ。
 用件がどうあれ、穏便に済む保障などドコにも無い。
 何時でも動けるようにしておかねば。


 食事を終え、自室まで歩く。
 その途中に未亜達の様子を見ようと思っていたが、何故か部屋には居なかった。


「…?
 てっきり泥のように眠ってると思ったんだけど…」


 思ったよりタフなのかもしれない。
 頭を掻きながら、大河は足を進める。
 どの道、昨日の今日であっさり立ち直れはしないだろう。
 肉体的な疲れはともかく、死に直面した衝撃は大きい。
 ゴーグルをかけていたとはいえ、カエデが失神しなかったのが不思議なくらいだ。

 屋根裏部屋の扉を開けた。


「………なるほど」


 ベッドの上に人影がゾロゾロと。
 一人用のベッドに4人も寝転がっていた。
 酷く眠りにくいと思うのだが、気にした様子は無い。


「よーするに、自分の部屋よりも、俺の部屋の方が安心できるって事なのか…?」


 毎晩毎晩情事を続け、朝までナニしていればこうなる…かもしれない。
 要するに大河の近くに居たいのだろうか。


「しかし……中々刺激的な格好ですにゃあ…」


 大河の目は、絡み合っている4人を見つめている。
 それぞれパジャマに着替えているのだが、よくよく考えてみると、未亜以外の寝巻き姿を見るのは初めてだったりする。
 一緒に眠る時は大抵ヤッた後に後始末もせずに眠るし、そうなるとほぼ確実に裸で眠る。
 風呂に入った後でも、基本的に彼女達は寝巻きに着替えない。
 恥ずかしいというのもあるが、寝巻きには寝る前に着替えればいい、というのが彼女達の考え方らしく、自室で鍵を掛けてからしか着ないのだ。

 それはそれとして、彼女達の寝巻きにも結構個性が現れていた。

 未亜は大河と同じ世界で一緒に暮らしていたから特に珍しい格好ではない。
 ちなみに蒼のストライプで、少しサイズが大きい。
 これぐらいが眠りやすいらしい。

 カエデは和風に襦袢を着ている。
 細かい事を言うと襦袢とは違うのかもしれないが、大河には違いが解らなかった。
 彼女の平均よりもやや豊満な胸元が覗いている。
 裾が捲れ、カエデの引き締まった足が丸見えである。

 意外だったのはベリオで、彼女は何気にネグリジェだったりする。
 下がかなり透けて見える。
 以前まではごく普通の、地味な寝巻きだったのだが、ブラックパピヨンが自分の趣味に合うように入れ替えてしまったらしい。
 また買いなおしてもイタズラの餌食になるのが目に見えているため、諦めてそのまま着ているベリオだった。
 どの道、普段は人に見せないので問題は無い。
 結構大人っぽいのでドキドキしたり、何気に気に入っているのはヒミツ。

 リコは…ある意味イメージそのままと言うか、機能性一辺倒である。
 大きくも小さくも無いパジャマで、色は明らかに適当に選んだとばかりの組み合わせ。
 実はリコ、最近はお洒落に凝りだしていたりする。
 理由は言わずもがな大河のためだが、まだパジャマまでは買っていない。
 普段着や平時は人に見せない部分が優先されているのだが、普段着に関してはあまり出番は無い。
 何だかんだ言っても今の服装が動きやすいらしく、訓練などが無い完全休日にしか着ないのだ。
 残念ながら召喚陣の補正などで忙しく、完全な休日は当分存在しない。

 その4人が、まるでネコ団子のように絡み合っているのだ。
 スラリとした腕が誰かの胸に入り込んでいたり、艶かしい足と足が絡みあっていたり、顔と顔がすぐ近くにあって、一見するとキスでもしているかのように見えたり。
 時々モソモソ動くのだが、これはもう愛撫しているようにしか見えなかった。
 特にカエデの着物などは脱げ易いので、大事な所がもうちょっとで見えそうで見えない。

 思わず目が固定されてしまいそうな気配を感じて、無理矢理視線を引き剥がす。
 このまま見ていてもいいのだが、それをやると暫く後に確実に理性の糸が切れる。
 その結果疲れている未亜達に襲い掛かり、リリィの呼び出しに遅れ、更に未亜達による制裁すら待っているだろう。

 何よりも、今夜はリリィに『お仕置き』をせねばならないのだ。
 これ以上に重要な事があろうか、いや無い。
 今日は丸一日我慢して、それこそ活火山のように煩悩エネルギーを溜め込まねばなるまい。
 おそらく未亜達もそうするはずだ。
 来るべきネコりりぃの姿を想像し、身悶えし、内側から沸々と沸きあがってくる衝動を苦労して抑えるだろう。


「くくくく……全開放した時が愉しみだ…。
 待っていろよ、リリィ…」


 邪悪な笑みを浮かべながら、布団を掛けなおしてやる。
 誰も魘されたりしていないのを確認してから、大河は闘技場に向かった


「来たわね、悪役」


「何で悪役?」


「アンタの周りに、煩悩の名残とか邪悪なオーラ力が巻きついてんのよ!
 どーにかしなさいソレ!」


 これが闘技場に到着して、リリィと顔を合わせて最初の会話である。
 苦笑して、大河は深呼吸した。
 その程度で名残とやらが消え去るかは疑問だったが、まぁそんなものだろう。
 冷たい滝に打たれて心頭滅却しろとか言われた所でどうしようもない。

 多少は薄まったのか、リリィはブツブツ言いながらも矛を収めた。


「で、結局何の用だ?」


「アンタの事だから、もう解ってるんでしょ…」


「つまりボスネコはどっちか戦って決めようと」


「誰がネコだー!
 ……いや、それはいいとして」


 おや、という顔をする大河。
 普段ならもう少しからかわれてくれるのだが、妙にリリィが冷静だ。
 いや、微妙に顔が赤くなっている。


(怒り…じゃないな。
 照れ………なのか?)


 リリィを見つめる大河。
 その目を受けてちょっと居心地が悪くなったのか、リリィはフイと目を逸らした。
 そのまま話を続ける。


「まずは…昨日も言ったけど、もう一度礼を言っておくわ。
 ……助けてくれて、その………ありがとう」


「どういたしまして。
 でもお礼を言う時には、出来ればそーいう張り詰めた表情じゃなくて、萌える表情か色っぽい表情がいいな」


「そうなるかは、これからの展開次第よ」


 またしても大河の軽口を受け流すリリィ。
 大河は内心舌打ちした。
 これではリリィのリズムを崩す事もできないし、何より遊べない。

 どうやら今日は冗談抜きで本気らしい。
 そう見て取った大河は、密かに戦闘体勢を整えた。

 間合いを計り、ジリジリと距離を詰める。
 今までのリリィなら、大河との会話に集中するあまり、こう言った事前準備には気付かなかっただろう。
 だが、リリィは大河の動きに合わせて、ゆっくりと位置を変えて見せた。


「……なるほど、一見すると私と話しているだけに見えるけど、その実こっそり優位を獲得すべく動いてるのね…」


「…何か悪いモノでも食ったのか?
 リリィのクセに、えらく冷静というか注意力があるというか…」


「フン、私は元々こうなのよ!
 単にアンタに反発して、感情的になっていたから気付かなかっただけだわ」


 コメカミがちょっとヒクついたリリィだが、堪えている。
 それを見て、大河はリリィを評価し直さざるを得なかった。


(まいったな…付け入る最大の隙を自覚しやがった…。
 昨日の実戦で、戦いは騙し合いだって事を実感したからか?)


 戦いとは、始まる前に勝敗が決まる。
 ならば当然ながら、戦う事を決めた時点から勝ちに行くのが最低条件だ。
 今までのリリィには、それが無かった。
 本人は頭を使って戦っているつもりだったが、それはあくまで決められた…己が無意識に決めた範囲内での事に過ぎなかった。
 ルールの無い実戦の場に立っていても、どこかで授業でやる試合のような考え方をしていたのである。
 だからエレカに簡単に騙されてしまったのだろう。


「お察しの通り、呼び出した理由は簡単よ。
 ……私と戦いなさい!」


「何故?」


「態々言わせる気?
 決まってるじゃない。
 救世主クラスのトップがどっちなのか、ハッキリさせる為よ!」


「……俺はまたてっきり、ネコは自分より強い相手にしか従わないとかそーゆー理由かと」


「…………」


 ダメ元で挑発するように言った大河だったが、それを聞いてリリィがピタリと動きを止めた。
 頬がピクピク動いている。


(…図星?
 コイツ、ネコをもう完全に受け入れたのか?)


 もしそうだったら嬉しいような、ちょっと物足りないような。
 しかし、この勝負、絶対に負ける訳にはいかない。

 大河は、リリィの心の一部が負けたがっている事を敏感に見抜いていた。
 救世主クラストップの重圧のためではない。
 自分がネコになる事を受け入れるためだ。
 例え感情が納得していても、リリィは意地っ張りである。
 理性が邪魔をして、最後の一線だけが越えられない。
 そしてリリィ自身も、それを自覚しているようだ。
 つまり言い訳と切欠が欲しいのだ。

 とはいえ、手を抜いてくる訳ではない。
 トップを決めるというのも本気だろうし、負けたくないのは今でも同じだ。


「ここで勝たなきゃ…漢じゃないね」


「そういう事は、確実に勝てる時にだけ言いなさい。
 アンタが巻けたら、世の中の女性のために去勢してもらうわ。
 オトコじゃないんだから、問題ないわよね?」


「…死を覚悟しとけ、一応な」


 宦官なんぞになるのはゴメンじゃ、と大河は内心闘志を膨れ上がらせる。
 リリィも呼応して、魔力を膨れ上がらせた。

 2人の目が合う。
 合図もなしに、両者は地を蹴った!


 まずは間合いを取ろうとするリリィと、そうはさせじと詰め寄る大河。
 間合いは変らなかった。
 リリィが下がった分だけ、大河も同時に進んだのである。
 意図してやったのではなく、召喚器で多少なりとも強化されたリリィの速力と、素の状態の大河の脚力が同等だったのだ。

 しかし前に進み続ける大河に対して、リリィはバックステップを用いた。
 後ろに歩くならともかく、飛びのいたのだから、同じ速度を維持し続ける事は出来ない。
 着地で生じる減速を逃さず、大河は大股で前進する。


「パルス!」


 リリィの指先から、不規則な軌道を描きながら魔力塊が飛ぶ。
 大河は走りながらも身を低くして避け、その反動を利用して大きく飛び上がる。
 召喚器が無い事を考慮に入れると、オリンピックで金メダルを取れる高さだ。
 その下を、リリィが放ったブレイズノンが薙ぎ払った。


「トレイター!」


 太陽を背に、大河が叫ぶ。
 リリィは空中に居る大河に狙いをつけようとし、間に合わない事を悟って右に飛ぶ。
 トレイターを空中で召喚したという事は、多少なりとも重心が移動し、バランスが崩れるという事。
 バランスを崩して着地する寸前を狙うリリィ。
 しかし、その目論見は外れた。


(剣を…持ってない!?)


 さっきの叫びは擬態、と悟ると同時に、リリィは膝を折ってしゃがみこむ。
 そのすぐ上を、大河の裏回し蹴りが切り裂いた。

 魔法を放つ暇も間合いも無いので、リリィは体を急旋回させる。
 マントが翻り、大河に叩きつけられた。


ビシィ!


「ぐっ!?」


 リリィのマントは、ただの布着れではない。
 耐久性や保温性、対刃性に加え、実は端の方に鉛が仕込んである。
 これを振り回してぶつければ、蹴り飛ばす以上のダメージを与える事が出来る。

 まともに叩きつけられた大河は、ぐらつき、同時にマントに視界を塞がれる。
 次の瞬間、リリィの鋭い直蹴りが大河の腹に突き刺さった!

 堪らず吹き飛ばされる大河。
 さらにリリィはマントに巻かれている大河に向かい、指を指して呪文を唱える。



「ヴォルテックス!ヴォルテックス!ヴォルテックス!ヴォルテックス!ヴォルテックス!ヴォルテックス!」


 文字通り息つく暇もない連続攻撃。
 無数の雷光が大河に襲い掛かった。

 しかし大河もさる者と言うべきか、首の力だけで跳ね起きるや、鋭い横っ飛びで雷光の殆どを回避する。
 横に飛びながら回転し、マントを振りほどいた。

 リリィは更に追撃しようとする。


(まだ召喚器を呼び出していない…。
 私なんかそれで充分とでも言いたい訳?
 でもそれなら好都合ね、態々戦力を増やしてもらう理由はないわ。
 大河が油断するのが悪いのよ)


 ここで激昂したりしない辺り、リリィの成長が見て取れる。

 大河との距離は大分離れた。
 召喚器を呼び出していないので間合いを詰めてくるのに3呼吸以上、召喚器を呼び出して突っ込んでくるにしても2呼吸の時間が要る。
 今は安全領域だと判断し、リリィは一気に魔力を練り上げる。
 が、それは判断ミスだった。


「せりゃあッ!」


「!?」


 大河の気合に、咄嗟に魔力を前方に解放する。
 何の属性も持たされずに放出されたそれは、攻撃力は一切持たなかったが、向かい風のように作用する。
 そして同時に体を逸らす。
 次の瞬間、リリィの右肩があった場所を凄まじい剛拳が貫いていた!


「なっ、いつの間に召喚器を!?」


「最初からだ!」


 さらに連撃を叩き込んでくる大河。
 何とか致命傷を避けながら、リリィは間合いを取ろうとする。
 魔力で張ったシールドが、大河の一撃をもらう度に大きく歪んだ。


(そうか、トレイターを何かの形に変えていたのか…!
 多分指輪か腕輪、さもなくばイヤリングの類…)


 おそらく闘技場に入って来た時から、用心の為に召喚しておいたのだろう。
 平時から召喚しておくのは肉体の負担が大きいが、この程度なら問題ない。
 そして身体能力を抑えて、リリィに『大河は生身の状態だ』と思い込ませる。
 そのままリリィが隙を見せるのを待っていたのだろう。


(この辺りが、大河には及ばない…)


 リリィは、自分が騙し合いには向いていないと考えて内心苦笑した。
 しかし暢気に笑っている場合ではない。
 救世主クラストップの地位、そう簡単に渡してやる気はなかった。

 魔力のシールドをその場所に固定し、リリィは真後ろに飛んだ。
 シールドは壁の役割を果たして、大河が前に出るのを拒む。
 一瞬後には砕け散ったが、それで充分である。
 再びリリィの間合いに戻った。


 大河は内心で舌打ちをする。
 何だかんだ言っても、リリィは強い。
 単純すぎるのが珠に瑕だが、こうした整備されている闘技場ではその欠点を利用しきれない。
 その弱点も、自分で自覚して直そうとしている。
 経験不足なので上手く行っているとは言い難いが、先日までとは雲泥の差だ。
 かなり戦い辛い。

 周囲に障害物がもっと在れば有効に使えるのに、と大河は思った。


(…なら簡単だな、作ればいいんだ、作れば)


 大河はリリィに向け、突然走り出した。
 リリィは慌てずに魔力を練り上げ、魔法を放つ。


「アークディルッ!」


 氷の塊が大河の目の前に出現した。
 大河はトレイターを斧に変え、走りながらブン投げる。

 投げられたトレイターは猛烈な勢いで回転し、真正面からリリィが放った氷を打ち砕いた。


「ウソッ!?」


 かなり分厚い氷だったので、リリィは大河が上を越えてくるか、左右を通ってくると思って狙いをつけていた。
 咄嗟に狙いを変更するが、風切音を率いて何かが飛んでくる。
 リリィは咄嗟に倒れこみ、飛んできた何か…トマホークを回避した。

 危なかったが、ともあれこれで大河は無手だ。
 起き上がると、走ってくる大河の姿が見える。
 一気にケリをつけようとしたリリィは、ふと悪寒を感じて飛びのいた。


ガツン!


 一瞬前まで倒れていた場所に、何かが突き立った。


(い、今のはヤバかった…!
 コイツ殺す気!?
 カエデの時には、爆弾を後ろから当てる程度だったのに!)


 顔が青い。
 大河を睨みつけると、流石にやりすぎだと思ったのか、ちょっと怯んだ。
 しかしすぐに気を取り直す。


「トレイター!」


「! させるもんですか!」


 トレイターが大河に呼ばれ、その手に戻ろうとする。
 しかしリリィは咄嗟に手を伸ばし、宙を滑って行こうとするトレイターをガッシリ掴む!
 運良く刃になっていない場所を掴んだらしく、リリィは手に力を篭めてトレイターを引き止める。


「チッ、無茶しやがる!」


 そう言いながらも、大河は好機とばかりに走り出した。
 リリィがトレイターを抑えている以上、その動きは制限される。
 チャンスと見たが、それは甘かった。


「ブレイズノン!」


「うおっ!?」


 手が使えなくても、魔法は放てるのだ。
 咄嗟に飛び上がり、炎を避ける。
 危なげなく着地し、今度こそリリィを射程内に捉えようとした時だった。


「返すわよ!」


 リリィがトレイターから手を離したのである。
 引き止められていた反動も手伝って、トレイターは凄まじい勢いで飛び出す。
 反射的に、大河はそれを避けようとした。
 そのままにしていても、召喚器は主を傷つける事はないのだが、反射的な行動だ。
 しかしトレイターは大河に当たる直前で、慣性を無視したかのように動きを止める。
 体勢を崩しながらも、大河はトレイターを掴んだ。

 しかし、リリィの攻撃準備は既に整っていたのだ。


「極大ッ! パルス・ロアッ!」


 丁度仰角45度の高みから、極大の魔力塊が迫ってくる。
 避けられないと判断した大河は、魔力塊に向かってトレイターの切っ先を向けた。


貫け! 剣+ナックルで飛ぶ剣!(そのままじゃん!)」


 次の瞬間、大河の手からトレイターが消えた。
 リリィの頬を突風が撫でる。


「なっ!?」


 そしてリリィが放った魔力塊は、中央に大きな穴を開けられて爆発寸前だった!
 大河の放った一撃は、魔力塊を貫通してリリィの頬を掠めて飛び去ったのだ。
 この距離で爆発したら巻き込まれる。
 リリィは舌打ちしてシールドを張った。


「槍よ来い…もといトレイター、戻れッ!」


 同時に大河が叫び、物凄いスピードでトレイターが大河の元に舞い戻る。
 大河がトレイターを掴むと、その勢いのままに大河を引っ張って行く。

 爆発。

 大河が一瞬前まで居た場所には、ちょっとしたクレーターが出来上がった。

 リリィが着地し、大河が構える。
 戦況は膠着状態に陥った。


(くっ、強い…それは知ってたけど、ここまで粘るなんて…。
 もう何度も必殺のタイミングで放ってるのに、まともなダメージを与えられない…。
 それに奇策をどんどん繰り出してくるから、守りに入ったら防げるかどうか…。
 何とか動きを止めないと…)


(学習しすぎだっての…。
 前みたいに突っ込んで来てくれれば簡単に料理できるのに。
 攻撃力に任せるんじゃなくて、ちゃんと考えて戦うようになってきた…。
 さて、どうする?
 最近トレイターの攻撃力が妙に上がってきてるから、下手な事をすると取り返しのつかない事になるし…)


 暫く動きを止めて睨み合う。
 互いに手の内を読み合っている。

 しかし、やはりリリィはこう言った心理戦は苦手のようだ。
 今までと違い相手の心理まで計算に入れてはいるが、どうにもぎこちない。


(……待てよ? 心理戦?)


 リリィはちょっとした引っ掛かりを覚えた。
 大河の動きを止めなければならないのだが、考えてみればずっと止める必要はない。
 一瞬でいいのだ。
 その一瞬が致命的なタイムラグとなるように動けばいい。


(そうか…これが私に足りなかった事…。
 今までみたいに相手に合わせて行動を変えるんじゃなくて、相手を自分側に引きずり込めばいいのね。
 考えてみれば、大河はいつもそういう戦い方をしていたわ……。

 それはそれとして、止めるんなら……)


 リリィの脳裏を、ある漫画の必殺技が思い浮かぶ。
 原理的には難しくない。
 というかむしろ簡単だ。
 問題は……自分の精神。


そ、そんな恥ずかしい事ができるかー!?
 で、でも他に方法は思いつかないし……。
 相手が相手だから、失敗しても多分…)


 顔が紅潮するリリィ。
 それを見て、大河は彼女の心の乱れを読み取った。

 その機を逃さず、一気にリリィに突っ込む。
 リリィは撃退しようとしたが、一瞬行動が遅れ、大河の接近を許してしまう。


(クッ、迷ってる場合じゃない!
 次に間合いを確保したら、すぐに仕掛ける!)


 が、今はとにかく大河から離れなければならない。
 トレイターをシールドで防ぎながら、リリィは下がるタイミングを計る。
 シールドがトレイターを防いだ瞬間を見計らって、リリィは後ろに跳んだ。
 先程と同じ行動だったが、それはミスだった。


「そらよっ!」


「!?」


 シールドを飛び超えて、何かが飛んでくる。
 リリィは反射的に狙いを定め、炎を放って撃墜しようとした。


「ブレイズノン!」


ドガアアァァァァン!


「キャッ!?」


 炎を当てられた『何か』は大爆発した。


(しまった、爆弾を投げたのか…!
 上に爆弾という事は……)


 何時ぞやのダウニーと同じ事をしてしまったリリィ。
 ただしアフロにはならない。
 その代わりと言っては何だが、爆風で服のボタンが一つ二つ千切れ飛ぶ。
 お構い無しに、リリィは思い切り高く飛び上がった。


ゴッ!


 そのすぐ下を、大河が猛スピードで通り抜けた。
 シールドの上に爆弾を放り投げて注意を逸らし、本人はシールドの横から迫っていたのだ。


「パルス!」


 リリィは空中を滑るに移動しながら、大河に向かって牽制の魔力塊を放つ。
 大河は難なく回避したが、それによって間合いは広がってしまった。


(もうちょっと…うん、この辺りね)


 リリィはレビテーションで飛距離を調節し、策に最適な間合いに降り立った。
 キッと大河を睨みつける。

 大河も再び動きを止め、リリィの隙を窺っている。
 少しずつ間合いを詰めようとしていた。


「…このままやっても、お互い消耗していくだけだわ。
 次の一撃で勝負をつけない?」


「……悪くない。
 最後に立っていた方が勝ちってワケだな」


「この距離だと、アンタがかなり不利だけどね」


「構わんさ。
 その位丁度いいハンデだよ」


 この期に及んで自信満々に軽口を叩く大河に苦笑して、リリィは魔力を練り上げる。
 最大の一撃を放つために。


(距離があるとはいえ、大河のスピードなら…私が一発目を放つ瞬間には、射程距離内に私を捉える事が出来る。
 フェイントの類は一切無し。
 突っ込んでくる大河を撃墜するには……攻撃力もそうだけど、それ以上にスピードがある攻撃でなければならない。
 となると……使うのはヴォルテカノンね。

 後は……私の覚悟次第。
 ええい、赤くなるな私!
 ここが勝負所よ!!)


 充分な魔力を練り上げて、リリィは大河に向かって話しかけた。
 大河も出方が決まったのか、トレイターを大剣の形に変えていた。
 以前闘技場や地下で見た時とは違い、それほどの威圧感は放っていない。
 おそらく破壊力はそれほどでも無いだろう。
 攻撃を防ぐ事に重点を置いた、壁と兼用の剣。
 トレイターを使ってリリィの一撃を防ぎ、そして反す刀で寸止め。
 それが大河のシナリオだと推察した。
 しかしリリィは、それを破る手段を思いついていたのだ。


(これを防げるかしら?
 ……あぅ、やっぱり止めよーかな…ダメダメ、ここまで来たんだから勇気を出して!
 でも出来ればもーちょっとロマンを…)


 イロイロと葛藤する心をリリィは強引に抑え付けた。


「じゃあ、準備はいいわね大河。
 これを喰らってまだ動けるなら、大人しく負けを認めてあげるわ。
 古来から、全力での一撃はその人の心を表現するという…。
 そう……これは私の全てを表す、私に放てる最強の一撃よ!


(だってやっちゃったら、もう戦うどころじゃないもの!)


 リリィの内心の叫びも知らず、大河は不敵に笑った。
 リリィの中に溜め込まれている魔力は、直撃すれば大河と言えども戦闘不能になる威力を秘めている。


「かかって来い!
 お前の全力を吹き飛ばして、俺が勝つ!」


 トレイターを背負い、その身に力を収束させる。
 2人は睨み合い、緊張が高まっていく。
 …ただし片方は、やや別の方向に緊張が高まっているのだが。


………3。


………2。


…………1!


「行くぜぇッ!」


 大河が先んじて駆け出した!
 その音速を超えんばかりの踏み込みは、一瞬で2人の距離を半分以下にしてのけた。
 しかしリリィは、腕を前に伸ばしただけでまだ呪文を唱えていない。
 しかし、大河がリリィを捉える前にはあの魔力は放たれるだろう。


(ブレイズノンとパルスなら剣を盾にして、ヴォルテックスとアークディルなら飛び上がって避ける!
 その後動けないリリィに剣を突きつけてエンド!)


 凄まじい瞬発力に任せた、大河の作戦だった。
 全身系を研ぎ澄まし、リリィの攻撃のタイミングを測り、いつでも回避行動を取れるようにする。
 特に聴覚に集中していた。
 リリィは魔法を放つ時、大抵は呪文を唱えるからだ。

 しかし、それが仇になるとは誰が思っただろう。
 射程距離まであと半歩。
 大河の感覚は、リリィが攻撃を放とうとしている事を鋭敏に察知した。


(来る!
 炎か、氷か、電撃か!?
 それとも魔力塊か!?)


 そして、リリィは……。


「ら、らぶらぶビィーム!」


「……へ? とっ!?」


バヂャヂャヂャヂャヂャヂャヂャヂャヂャ


「ヌああああああぁぁぁぁ!?」


 電撃の直撃を喰らい、大河はスパークしまくった。
 しかしリリィはというとそんな場合ではなく、自分の言ったセリフに思いっきり硬直している。
 羞恥心の限界を超えたらしい。

 リリィの作戦とは、要するにこれである。
 人はあまりにも予想外の事象に相対した時、一瞬ではあるがその動きを止める。
 文字通り全く揺るがない、明鏡止水の境地にでも達して居れば話は別かもしれないが、レベルが違いすぎる。

 極限まで張り詰め、柄にもなくシリアスになった大河の十八番を奪うように、リリィはマヌケな(敢えてこう表す)名前の技で大河の注意を奪ったのだ。
 自分の攻撃を察知するため、大河が聴覚を研ぎ澄ませている事まで計算に入れた、必殺の策である。
 ぶっちゃけた話、某女子寮に居る退魔の剣を使う誰かさんが使った『告白剣』である。
 そう言えば彼女もツンデレだ。

 そして見事に成功した。
 しかし高い攻撃力の反作用を示すように、リリィは顔から首筋から真っ赤にして、両手で顔を覆ってしゃがみ込んでしまう。
 その内心は。


(言っちゃった言っちゃった言っちゃった言っちゃったどうしよう言っちゃった言っちゃった言っちゃったどうしよう言っちゃった言っちゃった言っちゃったどうしようどうしよう言っちゃった言っちゃった言っちゃったよー!)


 …乙女よのぅ。
 告白兼用(?)の攻撃を受けた大河は、倒れ伏してピクピク震えている。
 しかし意識までは失っていないらしく、手足を震わせて何とか立ち上がろうとしている。
 そこはかとなく幸せそーな雰囲気を纏っていたりいなかったり。

 リリィは暫くしゃがんだまま悶えていたが、周囲が静かになったままである事に気付き、恐る恐る指の間から周囲を見る。
 そこには、大河が起き上がろうと悶えていた。


(え、えっと…か、勝った…の?)


 リリィの胸を、複雑な感情がよぎった。
 勝ったのはいいが、大河が倒れてしまっている。
 まるで告白をして、その情熱を受け止められなかったような感覚だ。


(勝っちゃった…の?)


 戸惑いつつも、自分も立ち上がろうとする。
 頭の中がオ−バーヒートして、大河に勝利宣言をするとかいう発想も出てこない。

 正直な話、策を思いついた時点でこの展開は予測できた。
 あのタイミングならば、大河は避けられたはずである。
 そもそも、大河の瞬発力ならば、それこそ刃が体に接触した瞬間に魔法を放たねば当たらない…さすがに回避に徹している時は、だが。。
 確かにラブラブビームで一瞬のタイムラグを稼ぐ事はできたが、ほんの一瞬だけ間に合わなかった。
 リリィが口籠ったせいで、発射がゼロコンマ1秒遅れたのである。
 たったそれだけだが、致命的だった。
 にも拘らず、当たったのはどうしてか。
 理由は簡単である。
 大河が避けようとしなかったからだ。


(コイツの事だから、逃げずに受け止めるだろうとは思っていたけど…)


 立ち上がって欲しい。
 リリィは無意識にそう願った。

 それに反応した訳でもあるまいが…いや、実際に反応したのかもしれない。
 大河は震えながらも、ゆっくりと体を起こした。


「んんんんんん……っぐ、はぁ……」


 天を仰ぐようにして立ち上がり、トレイターを支えに立ち上がる大河。
 それを見て、リリィの顔には全力の一撃を耐えられた悔しさよりも、喜びが強く浮き出ていた。


(大河…立った! 立って、くれた……!)


 立ち上がった大河は、リリィに向けてニヤリと微笑んだ。
 そしてトレイターを突きつける。
 これで大河の勝利は確定だ。


「ゲームセットだ…。
 ふっ……痺れるような愛の秋波、確かに受け取ったぜ…。
 文字通り身に染みたぞ」


「ど、どうして…避けなかったの……?」


 震える声で、大河に質問するリリィ。
 その答えは予測ができているし、またそうあって欲しいと思っているのだが、どうしても大河の口から聞きたかったのだ。

 大河は胸を張って、まるで電撃のダメージなど皆無であるかのように堂々と宣言した!


「何故!?
 何故だと!?
 決まっているだろう!
 リリィ、先日までは反目していたお前が、それこそ一世一代の勇気を振絞ったあの一撃を!
 普段は『アンタなんかキライ』と言わんばかりなのに、あんな嬉しい名前の技を!
 その心の全てを表した『らぶらぶビーム』を!
 人として避ける事が出来ようか!
 漢として弾き飛ばす事が許されようかッ!!

 否!
 断じて否ッ!
 それは即ち、告白をはぐらかすのも同じ事!
 真正面から受け止め、堂々と耐え切ってこそ
想いを受け止めたと言えるのだーーッ!」


「大河……!」


 感極まっているリリィ。
 もう勝負の事なんぞ忘却の彼方である。
 両手を胸の前で組んじゃったりして、気分は一昔前の恋愛映画のヒロインといった所か。

 私も、とリリィが更に言い募ろうとする。
 だがそう簡単にはは問屋を卸させないのが大河である。
 事もあろうに、前後の話の流れをスパッと無視してこんな事をいいやがった。


「あ、でも耐え切ったんだから俺の勝ちな。
 あと昨日先走った罰はまだ終わってないし、絶対命令権も行使するから。
 …それにしても嬉しい格好だな」


 …リリィはピシっと固まった。
 もう最悪である。
 告白してOKした直後に、「あ、でも俺、他に付き合ってる人が居るんよ」とか言われたみたいな。
 …実際複数と付き合っているんだが。

 石化したリリィに、更にヒビすら入る。
 確かに大河はリリィのらぶらぶビームを受け止めたし、それに耐え切って、ある意味ではリリィの想いに答えているだろう。
 リリィ自身も、大河をいきなり独占できるとは思っていなかった。
 未亜という最大の難敵が立ちはだかる事はとっくに解りきっていたし、そもそも救世主クラスは全員敵だ。
 最初はある程度妥協して、そこから何とか独占できるポジションに移動するしかない、などとこっそり考えてさえいた。
 そういう意味では確かに予想通りの展開だったが…。


(イクラナンデモ……コノタイミングハナイデショ………)


 さめざめと内心で涙を流すリリィ。
 それと同時に、沸々と怒りが湧き上がってくる。
 それこそ文字通り飼い猫にだってなるつもり…というか、自分を受け入れてくれたら覚悟を決めてネコになろうと思うほどに腹を括っていたというのに、この仕打ちは無いではないか。
 せめてもうちょっと浸らせてくれても…。

 心が異常なほどに平坦になっていく。
 しかし平坦ではあっても、ボルテージは急速に上昇しまくっていた。
 激しすぎる感情のあまり、魔力を制御しそこなってしまい、体の周りでパチパチ弾ける。

 大河を半目で睨みつけると、大河はトレイターを支えにしたままリリィをじっと見つめていた。
 …正確に言うと、その胸元を。


(……コイツ何処を見て…!?
 そ、そういえばさっきの爆発でボタンが…!)


 慌てて目をやると、そこには動きやすさを重視して選んだシンプルな下着の白。
 肝心な部分は見えていないが、当然素肌も晒されている。


「いっ……いやあああああぁぁぁぁぁーーーー!?
 らぶらぶビームっ!らぶらぶビームっ!らぶらぶビームっ!らぶらぶビームっ!らぶらぶビームっ!らぶらぶビームっ!らぶらぶビームっ!らぶらぶビームっ!らぶらぶビームっ!らぶらぶビームーーーー!!!!!」


「ぐはっ!!!?ゲホっ!?あがぁ!!ゲハッ!ゴボッ!げひょっがはっげふっあががホゲゲゲゲ!!
 ま、待て待てリリィ、それはちょっと卑怯だぞ!
 らぶらぶビーム連発は禁じ手だ!
 それは回避不許可、言わばの精神コマンドで無条件に必中がかかるような必殺技なんだぞ!?」


「うるさーーーい!」


 顔を真っ赤にしたまま、リリィは片手で肌と下着を隠し、もう一方の手で電撃やら魔力塊やら炎やら氷やらよく解らないエネルギー光線を連発する。
 さすがにこれの連発を喰らえば、大河と言えども洒落にならない。
 集中力が低下し、魔法の構成も勢いに任せた粗雑なものになっているから致命傷にこそならないものの、数が数である。

 先も自分で言った通り、大河はリリィから放たれるらぶらぶビームっ!を避ける事が出来ない。
 どうやら体が自分から喰らいに行くらしい。
 そんなんだから、あっという間にボロボロになり勝者(一応)とは思えない有様になっていく。
 それでもなおらぶらぶビームを連射しながら、リリィは叫ぶ。


「どうしてこうなるのよーーーーーーーーー!」


 ご愁傷様。

 ぢつは大声で叫ばれる恥ずかしい名前の技に、一体何事かと闘技場前に人が集まりつつあるのだが…どう聞いても癇癪を起こしていると思われるリリィに恐れをなし、誰一人は入ってくるは無かったそうだ。


 大河がリリィの癇癪に捉えられ、一歩一歩あっちの世界に近付いている頃。
 ルビナスとナナシは、ミュリエルの休憩時間を見計らって彼女の元に訪れた。
 ミュリエルは驚きこそしたものの、彼女達を歓迎した。
 記憶を失っているとはいえ古い知人と、α波を周囲に放出しまくっている少女。
 気分転換にも丁度いいだろう。

 ミュリエルは姿の変った2人に少々違和感を覚えているようだったが…特にルビナスの胸に…、大した事ではないと割り切ってしまった。
 しかし内心で頭を抱えている事もある。
 それはルビナスの記憶の事である。

 ミュリエルは、ルビナスの記憶を蘇らせる方法を知っている。
 彼女が身につけていたロザリオを首にかけ、呪文を唱えるか、ルビナスとナナシを心底大切にしてくれる人にキスをしてもらう、という方法。
 しかし、これには実は問題がある。

 まず第一に、ロザリオに篭められていた術式は、あくまでもルビナスが作ったホムンクルス…つまり墓の中で眠っていた頃の体に対する術だ。
 ロザリオに秘められた術はただの切欠に過ぎず、蘇らせるべき記憶は最初からホムンクルスの脳に凍結圧縮してある。
 当然の事ながら、別の体になってしまった以上、この術は使っても意味がない。

 それなら体を変える前に使えばよかっただろうが、それをしなかったのは2つ目の問題のせいだ。
 なにせ脳に眠っている記憶を直接蘇らせるような術なので、非常にデリケートなのである。
 一歩間違えれば、即廃人になってもおかしくない。
 体が腐敗していただけなら、まぁ何とかなるだろう。
 かつてのルビナスは、脳の保存にだけは、それこそ偏執的なまでに力を入れていたのだから。
 問題だったのは、中途半端に記憶が蘇えっていた事。
 恐らく、発動条件が何らかの形で、これまた中途半端に満たされてしまったのだろう。


(恐らく、誰かが…間違いなく大河君でしょうけど…が、ナナシさんにキスをしたんでしょうね…。
 ルビナスの事を知らなかったのに術が発動してしまった理由は…簡単に推測するならば、ルビナスの術が何処か狂っていたか、若しくはナナシさんの全て=知らなかったとはいえ、当然ルビナスの事も含まれる…魂が同じであるだけに、ある意味では同一人物と言えない事もないのだから…を愛しく思ったら、図らずも条件を満たしてしまった…。
 しかし発動条件が中途半端だったため、エネルギー不足のような形で記憶の解凍が中途半端に終わってしまった…そんな所ですか)


 多少無理のある推論だが、いずれにせよもう検証は不可能に近い。
 だが、ミュリエルはそれに少しだけホッとしている部分があった。
 千年前、彼女は仲間だったロベリアと殺し合い、結果的には殺され、さらに謀略に嵌めた形でロベリアを封印してしまった。
 他にも知られざる救世主の真実、“破滅”の意味、書の精霊の事など、知らない方が幸せだと思う事が山ほどある。
 当然の事ながら、今のルビナスはその手の事は憶えていない。
 それもいいのではないか、とミュリエルは思うのだ。
 勿論、このご時世にそんな悠長な事を宣うような余裕は無い。
 しかし明るいルビナスの笑顔を見ていると、彼女が過去を憶えていないことに少しだけ感謝したくなってしまうのだ。
 かつてのルビナスは、ロベリアと対決する時から…あるいは導きの書により真実を知った時から、どこか翳りを抱えていた。
 無論それは自分達も同じであったが、それでもミュリエルはルビナスの抱えていた苦しみは、自分達よりも大きいものであったと思っているのだ。
 そういう風に思われる所が、ロベリアにとっては気に入らなかったのだろうと、今になって思う。


(だから、もう少し…彼女に夢を見させてあげたい。
 …まぁ、記憶を戻そうにもその方法が無いのだけれど…ね)


 心の中で独白しながら、ルビナスが優雅な手付きで紅茶を入れてくれるのを見つめるミュリエル。
 その隣では、ナナシが持ってきたお菓子を皿に並べている。
 こしていると、本当に仲のよい姉妹のようである。
 実際、似たようなものだ。


(あら、この紅茶の入れ方…アルストロメリアがよくやっていた入れ方だわ)


 …時折こういう、かつて自分達と供に旅をしていた頃の面影を発見しては、懐かしい思いに晒される。
 決して深いではない感覚だが…。


(…私も歳を取った、と感じるのは…正直複雑ね…)


 お肌の曲がり角の年齢だ。
 最近は肌の艶や化粧のノリがよくなってきているが、それはやっぱり大河とのナニのせいだろう。
 思い出して悦りかけた自分を引き戻し、ミュリエルはナナシを見た。


(……癒されるわねぇ…)


 満面の笑みを浮かべるナナシに、ミュリエルは肩から力が抜けていくのを感じた。


 5分もすると、お茶の準備は整った。
 美味しそうな紅茶が、湯気を立てている。

 ナナシは子供のようにさっさと飲んでしまおうとしたようだが、まだ『熱い』という感覚になれていないのか、ちょっと飲んでは慌てて口を離している。
 ルビナスはのんびりと飲んでいて、ミュリエルとの雑談に華を咲かせていた。
 時々お菓子を摘む。
 皿の中の菓子は、2割ほど無くなっている。
 言うまでも無く、食べたのはほとんどナナシだ。


「それでね、その時ナナシちゃんったら…」


「あらら…」


「若き日の過ちですのぉ…」


 当然の事ながら、休憩中には専門的な話も面倒臭い政治的な話も抜きだ。
 どうでもいい事に議題は集中し、ともすれば惚気話になりそうになればミュリエルが何気なく修正し、賢人その他への愚痴になりそうになればルビナスとナナシも揃って悪口を言い、まるで学生の昼休みだ。
 リリィの前でさえ見せた事の無い笑顔で、ミュリエルはコロコロと笑う。

 その顔を見て、ちょっとナナシが申し訳なさそうな顔をしたが、気付かれはしなかった。
 …そう、気付かれてはいないのだ。
 お菓子の中に、ある薬が入っている事や、ルビナスが持ち込んできた紅茶の葉に、ちょっとした呪縛の術の下地が刷り込まれている事など。

 罪悪感に駆られたナナシだが、それもすぐに消え去った。
 ナナシの目に映ったのは、机の上に置かれている香水。
 細かい種類まではわからなかったが、花の匂いの香水である。


(これが…証拠隠滅に使った香水ですの…)


 ナナシの脳裏に、大河に渡された幻影石に保存されていた映像が蘇える。
 いわれた通りにルビナスと一緒に見たのだが、それはもうショッキングな映像であった。
 ナナシは勿論、ルビナスも口をあんぐりを開けて見入ってしまった。
 ルビナスの実験室は完璧な防音機能を持っているからよかったものの、何気に音も大きく、我に帰って焦ったものだ。

 その後、大河が幻影石をルビナス達に見せた意味を考察し、そして実行しに来ているという訳である。

 既にミュリエルは紅茶を飲み干し、薬も我知らず摂取してしまっている。
 仕込みは万端、後は時間の経過を待ち、ミュリエルの今日の仕事が終わった頃を見計らって仕上げにかかるだけだ。


(でも…ちょっと複雑ですの…。
 やっぱりナナシとルビナスちゃんの番は、明日に回して三人だけの方がいいかも…)


 物思いに沈むナナシ。
 ミュリエルは珍しい姿に首を傾げ、ナナシに話しかけた。


「どうかしたの、ナナシさん?」


「へ? な、何でもありませんの。
 ただ、ダーリンがこの体を気に入ってくれるのか不安ですの…」


「ああ、そうですか…。
 確実に気に入ってくれると思いますよ。
 大河君は美人なら誰でも…とは言いませんが、ストライクゾーンはかなり広いですし」


「でもルビナスちゃんのおっぱいの方が大きいですの…」


 恨めしげな目でルビナスを見るナナシ。
 ルビナスは困ったように頭を掻いている。


「そんな事言ったって、2人とも大きかったらキャラが被っちゃうじゃない。
 そっくりな容姿でダブル巨乳もいいかな、とは思ったけど…。
 その辺の事は、ちゃんと2人で相談して決めたでしょ?」


「うぅ〜…でも、実物を目の当たりにするとフツフツと悔しさが湧き上がりますのぉ〜」


 苦笑して2人の会話を聞いているミュリエル。
 彼女も女だし、かつての彼女も平均以下だったりするのでナナシの気持ちはよく解る。
 二十歳前後になって急速に育ってくれたが、これはこれで意外と肩が凝るのよねぇ、と優越感交じりに思うミュリエルだった。

 ナナシの愚痴を聞きながら、ミュリエルは紅茶を入れなおした。


 結局何事も無く、ミュリエルとナナシとルビナスのお茶会は終わりを告げた。
 お茶会に何事かを期待するのが間違っているのだが、この学園ではそうは行かなかったりもする。
 当人達が何かやらかさなくても、他の誰かが揉め事を起こし、その後始末が学園長に回ってくるのだ。
 その大半は大河達救世主クラス絡みか、ルビナスを筆頭とする研究科の実験絡みか、何かと不審な伝統を伝える傭兵科がやらかすお祭騒ぎ…祭は祭でも血祭りになる事が多々ある…か、他にも色々と仲の悪い学科同士がいがみ合ったりしていて、揉め事の種には事欠かない。
 更には王宮からの連絡を受けたと思ったら、クレアからの重要な命令や情報だったり、一転して賢人や他の勘違いした権力者の愚にもつかない催促や喚き声だったりする。
 特に最近は忙しい。
 “破滅”の動きが活発化してきているからだ。

 うんざりする事ばかりだが、そうも言っていられない。
 ルビナスとナナシのお蔭でリフレッシュできたし、もう一頑張りしようとミュリエルは気合を入れなおした。
 重要な書類に目を通しながらも、ミュリエルの頭は同時に幾つかの事を考えられる。


(ダリア先生からの報告を聞くと、村人はとっくに全滅していたとの事…。
 ならば王宮に助けを求めたのは誰?
 千年前の“破滅”のモンスターは確かに人語を喋れる事もあったけど、文字までは使えなかった。
 今の“破滅”も似たような者だとしたら、人為的な工作の線が強いわ。
 その辺りを洗い直して、“破滅”の民に繋がるラインを探し出せないかしら…)


(今月は出費が多いわね…。
 今回のリリィ達の遠征でそこそこ予算を取れるようになったけど、まだ少し…。
 生徒達を戦場に送るから予算をよこせ、何て事も出来ないし…。
 ………あら?
 これは…傭兵科のOBから寄付金?
 結構な金額じゃない……これは足を向けて眠れないわね。
 これで予算も何とかなる…)


(リリィの処罰はどうしようかしら?
 救世主クラス内でお仕置きはされているだろうけど、それはあくまで身内の事。
 適度に罰を与えなければ、組織として示しがつかない…。
 出来が悪いとはいえ、母親としても一言くらい言っておかないと)


(大河君にかけた術は、まだ有効なのかしら?
 また愉しみたいのだけど……一昨日シたばかりなのにまた疼いてくるなんて、私ってばそんなに欲求不満だったのかしら…。
 まぁいいわ、ヤっちゃいましょう。
 どの道、念のために術の補強をしておこうと思っていたし、大河君を手駒にできるなら18禁なんか安いものよ。
 安いどころか、むしろお徳……おっとヨダレが…)


 …別に分割思考を体得している訳ではない。
 ただ似たような事は、慣れれば結構できるものだ。

 それはともかく、ミュリエルはシリアスな考えと欲望に素直な考えを同時に展開できるらしい。
 しかしそれも、時が経つ毎にどんどん欲望に染まっていく。


(そうね…遠征の報告も兼ねて、夕方あたりに大河君を呼びましょう。
 ええと、一昨日に匂いを消すために使った香水は…まだ充分あるわね。
 まったく…大河君ったら、あんなに大量に出すんですもの。
 香水が無かったら、丸一日はイカのよーなニオイが漂ったままだったでしょうね。
 はぁ、それにしても凄かった…)


 淫らに腰を振っていた自分の痴態を思い出して、ミュリエルは少し赤くなった。

 何はともあれ、大河を呼んでお楽しみと決めたからには、グズグズしてはいられない。
 面倒な事は全て終わらせて、心置きなく満足するまで付き合ってもらわねば。

 ミュリエルはただでさえ超人的なスピードで仕事を片付けていたのに、更にスピードアップした。
 少々サインが汚くなってしまったが、別に問題は無い。


(それにしても…何だか体がムズムズするような…)


 別に体の調子が悪いわけではない。
 ただ、体の中で何かが組み変っているような気がするのだ。
 首を傾げるミュリエルだが、魔力で自分の体を検査してみても、特に問題は見られない。
 疲れているのかしら、と考えるのを止め、とにかく仕事を終わらせて大河を呼ぼうと張り切るミュリエルだった。


 暫くして仕事が片付き、ミュリエルは大河を呼ぶ。
 とはいえ何処にいるのかさっぱり見当がつかない。
 トレイターを召喚していてくれれば、その力を探知して大河の居場所を知る事も出来るのだが…原則としては、学園内で濫りに召喚器を呼び出す事は禁じられている。
 そんな事に縛られる大河ではないが、それでも用も無いのにトレイターを呼び出したりはしない。
 召喚器を使った反動というのは、意外と大きいのだ。
 本人には自覚もないし、運動量を考えると殆ど疲れていないも同じなのだが、疲労は少しずつ蓄積していく。
 何せ人体という器に、召喚器の莫大なエネルギーが注ぎこまれるのだ。
 戦闘状態ならば剣を振るい、魔法を放ち、体を躍動させ、怪我を治療してその力を発散させる事ができる。
 だが平時の場合、そんな激しいエネルギー消費は無いに等しい。
 だから召喚器を身に着け続けていれば、エネルギーが飽和状態になってしまい、そこから更に微弱なエネルギーが注がれ続けていき、疲弊して最終的には体を壊してしまう。
 最も、夜にぐっすりと眠ればすぐに回復できる程度の疲労だが。
 ついでに言うと腹も減る。

 だから大河と言えども、用もないのに召喚器を呼び出しているとは考えにくい…のだったが。


「あら…闘技場にいるわね」


 なぜか大河は闘技場で、トレイターを持ってじっとしていた。
 さらにリリィもその傍に居る。


「…あの娘の事だから、救世主クラストップの座がどちらのものか、ハッキリさせる為に挑んだのでしょうけど…」


 学園長、半分正解。
 ネコりりぃの事とかも色々と絡んでいるのだが、さすがのミュリエルもそこまでは知らない。

 何にせよ好都合である。
 大河とリリィは、特に戦闘状態にあるわけでは無さそうだ。
 おそらく、既に一戦終えた後なのだろう。
 召喚器を身につけたままなのは、勝負で負った傷を癒すためだと推測される。


「さて……それでは呼びますか。
 リリィと大河君が何を話しているかは気になるけれど…」


 ミュリエルはリリィに向けて思念波を放つ。
 あまり長い距離を隔てていると極端に精度が落ちるが、受け取る側のリリィも優秀な魔法使いだし、充分通信が成立するはずだ。


(リリィ…リリィ…聞こえますか?)


(………?
「おっ、お義母様!?
 あ、いや何でもないのよ、お義母様から念波が…ちょっと待ってなさい」
 …失礼しました、何事ですか?)


 どうやら大河に、痛い人でも見るかのような視線を向けられたらしい。
 無理もないといえば無理もないか。
 唐突にあんな声を上げれば、誰だって何事かと思う。


(そこに大河君は居ますね?)


(はい、ちょっと怪我をしていますが…かすり傷です。
 電流もほぼ抜けましたし)


(そうですか。
 ならば、時間が空いている時に学園長室に来るように伝えてください。
 18時までに来れなければ、ちゃんとその旨を伝えるようにと)


(少し待ってください………………。
 …………………問題ないそうです。
 今から行く、と言っています)


(そう。 ありがとう、リリィ)


(い、いえ…それより、大河に何か用でも?)


(ええ、昨日の事で聞きたい事が色々とあるのです)


(き、昨日の事…ですか…)


 リリィの声が淀む。
 おそらく、先走った事について叱責を受ける事を想像しているのだろう。
 ミュリエルは内心で苦笑して、先にフォローを入れておく事にした。


(遠征の内容や結果はどうあれ、よく生きて戻ってきてくれたわ。
 私にはそれだけで充分よ……)


(お、お義母様…)


(でも、暫くしたら今回先走った処罰を下します。
 それまでは、ゆっくり体を休めていなさい。
 これは…その、義母としての命令よ)


(は、はい!)


 柔らかく言い添えて、ミュリエルは通信を切った。
 慣れない“母”を演じた…いや、前面に出したお蔭で、頬に赤みが挿しているのが解る。
 ミュリエルは自分の母もこんな気持ちだったのかな、と思い、一瞬だけ過去の思い出に沈んだ。

 それにしても、とミュリエルは思考を切り替える。
 いつまで経っても、リリィは自分に慣れてくれない。
 いや、慣れてはいるのだろう。
 彼女は自分を尊敬してくれている。
 しかし、赤子や幼児のように甘えてくれる事は一度もなかった。
 普段は厳格な学園長なので無理もないと言えば無理もないのだが…。


(やっぱり、少し寂しいわ…)


 溜息を一つついて、ミュリエルは動き出した。
 義母としての感情や過去の追憶はともかくとして、今は大河の事が先だ。

 自分のお愉しみに限った事ではなく、遠征先で何があったのか、大河にかけた呪縛はまだ有効なのか、など調べなければならない事もある。
 先んじて重要な書類は片付けてしまう。
 飛び散った液やらナニやらで濡れてしまっては話にならない。
 それから術をかけるのに必要な薬品を混ぜた香水を振りまき、大河を呪縛する準備を整えた。


 全ての準備が終わって5分ほど経った。
 学園長室の扉がノックされる。


「どうぞ」


「当真大河、呼ばれて飛び出てただ今参上…っと。
 学園長、何か用ですか?」


「ええ。
 でもその前に、そこに掛けて頂戴。
 場合によっては、少し長い話になりますから」


「いえ、立ったままでいいっす。
 ……何だかへンな匂いがしますね」


「香水の匂いです。
 先日貰ったので試してみたのですけど…感想はどうです?」


 例によって、ミュリエルと大河の間で妙な緊張感が溢れ出す。
 大河は一層警戒を強めているようだ。
 椅子にも座らず、何時でも扉から飛び出せる位置に陣取っている。
 よく見ると、呼吸も極力少なくしているようだ。


「どーも、妙な匂いが混じってますね。
 素材はいい匂いを放っているんだけど、その中に全く関係のない匂いが放り込まれている感じです。
 これさえなければ、まぁいい匂いだと思いますよ」


(香水に混ぜてある薬品に気付いた?
 …どこまで鋭いの、この子は……)


 大河の目が鋭くなっている。
 注意を逸らそうと、ミュリエルが口を開きかけた瞬間。
 大河の手が、ミュリエルからは見えない角度で閃いた。
 ノーモーションで投げられたそれに、ミュリエルは気がつかない。

 投げられたのは、小さな袋。
 計算された軌道で、袋は家具の陰を通ってミュリエルに迫る。


「それで、何の用なんです?」


「昨日の遠征の事です。
 ダリア先生から一応の報告は受けましたが、詳しい事はバフッ!?


 足元から聞こえた何かの音に、ミュリエルは即座に一歩引いた。
 しかし大きな椅子に遮られて、それ以上退がる事は出来ない。


(しまった、速攻で仕掛けられた…!)


 足元を見ると、袋から何やら白い粉のような物が舞い上がっている。
 咄嗟に口を塞ごうとしたが、その前に体がグラリと揺れた。
 机に手をついて体を支えようとしたが、腕にも力が入らない。
 どういう理屈か、魔力さえもコントロール出来なくなってしまった。


(クッ……何の…つも…り…)


 ミュリエルの意識は、抵抗の暇もなく闇に飲まれて行った。



むぅ、微妙に読みにくくなってるような気が…。
ちわっす、時守です。
ああ、冬休みが終わってしまった…(泣)
これからまた授業が始まるのか…朝眠いな〜。
スパロボもまだ終わってないというのに…。

クレアルートをやろうとした時に限って、妙な眠気に襲われます。
次こそは負けんぞー!


1.ATK51様
生身のビックリ箱…いい得て妙ですね。
これでどんな便利機能が出ようと、全てルビナスの仕業の一言で片が付こうというものです。

セルの会話に関しては、戦う意志というより成し遂げる意思、と言った方が正確な気がします。
羽ガンでも、武力行使はしなくても戦う…というよりは抗って、目的達成のために行動していましたから。
正義や信念は確かに人それぞれですが、それは言い訳に使われるものではない、という事でしょうか?
信念や正義の違いだけで何もかもが許される訳ではないのに、それを免罪符に使う事がよくありますからね…。

前半がシリアスだっただけに、後半のテンションがミョーな具合に上がってしまいましたw
反萌え主義キャラ…一人くらいはいるかもしれませんね。
それが「バカらしい」と切って捨てているのか、はたまた硬派一徹なのかは解りませんが。
後者であれば、例え巻き込まれてもしっかりとキャラクターを確立してくれるでしょう。


2.流星様
殺意は軽くで済むのですか。
ダブルキョニューとどっちが良かったでしょう?
しっと団に入ると、あっという間に抜けられなくなるので返事もせずにさっさと逃げましょー。

ごめんなさい、ネコりりぃの復活はもう一話先でした。
あとスパロボは、第2次・第3次スパロボαです。
なぜか友達は1次だけ持ってないよーで。


3&4.くろこげ様
セルはハーレムルートでも生きてますぜ。
EDでは出番なかったと思うけど。
つーか、セルは二の次でいいからクレア様を生存させてほしかったと思う時守です。

うわっ、黒!
スッゲー策略家だ…これなら確かに皆纏めて引っ掛かってくれるでしょう。
そして与えた人形にも、しっかり爆弾とか仕掛けておくのですねw


5.砂糖様
戦場であるというのに、その傍らには一輪の……一輪?
今回はナナシ一人でしたが、多分今後も似たような戦いは勃発しますよw
その時はきっと一輪どころではありません。

それはともかくとして、セルは冗談抜きで踏み込みましたね…。
しっと団の儀式は、ほぼ例外なくサバトですぜ。


6.謎様
うおっ、すごいハァハァ具体だ!
でもすいません、次の話で出ますから…。


7.アレス=アンバー様
斬艦刀は大河にやらせたいなぁ…丁度よく3メートルのでっかい剣も使ってるし、台詞も結構合う場面が思い浮かんでます。

傭兵科に入学するという事は、しっと団の門戸を叩くと同義語ですw
ハンマーへブンを喰らっても平気かどうかはともかくとして、アレが光になると思いますか?

カエデはカエデでまともじゃない気がしますが…確かに最近キャラが薄いなぁ…何か考えておかないと。


8.鈴音様
ルビナス作ですから、危険は危険でも予想外の方向に行くかもしれませんよ?

虎竹刀に関しては、単に形を真似ただけなんですけどね。
そういう事が出来るのにも、一応理由はあるんです。
リリィのオシオキは次回!


9.竜神帝様
う〜む、痛い所を付いてきますねぇ…。
でも先読みされると捻りたくなる時守は、もーちょっとややこしい(強引な)話を考え付きました。
前にも考えたのですが、ちょっと難しそうだと没にした案に変更しようと思います。


11.古人様
ええ、ネコ好きには堪りませんね。
ネコりりぃ専用とか書いてあったら、買い占めますかw


13&16.黄色の13様
ピンポーン、梅ちゃんと紅男の怪力コンビです。
あの思い切りの良さがとてもよかった(笑)


14.舞ーエンジェル様
ED時ならともかく、初体験でリリィに口淫は無理でしょうなぁ…よっぽど優しく雰囲気に酔わさないと。
…ネコりりぃのふぇらは…立っている大河に四つん這いで、ですか?
それとも寝転んでいる大河の上に圧し掛かってですか?
うーん、悩むなぁ…。

万解は冗談抜きで使えそうですね。
形状変化はトレイターしか出来ませんけど、力を全解放する時の合言葉とかに使えるかもしれません。

まぁまぁそう焦らずに…今はとにかくリリィが先です。
そーゆーのは一段落ついてから、という事で…。


15.米田鷹雄(管理人)様
いつもご苦労様です。
今後も健康に気をつけて頑張ってください!


17.カシス・ユウ・シンクレア様
時守もやっとこさクレアルートに突入です。
昼は授業で帰ったらスパロボやって、晩飯を食べてからプレイ…なので遅々として進みませんw

ね、ネコりりぃをクレアが調教!?
どこからそんな素ン晴ラシイ電波を!?
むぅ、次の濡れ場でのクレアの役割はもう決まっているので、今後の課題ですね。

文字通り倒れるまで頑張ったルビナスに拍手を…。


ハイパーモードはイージー以下だったんですか。
ずーっとノーマルでやってたから、出ない訳だ…ありがとうございました!


18.なまけもの様
聖戦…というと、なにやらインディ・○ョーンズが思い浮かびます。
聖杯の代わりにネコミミ?
トレージャーハンターが山ほど寄って来るかも…。

ルビナスとナナシの機能は、時守の気分とノリ次第でいくらでも都合よく増殖しますw

うーん、レス返しで露骨にヒントを出しすぎましたね…。
が、上で書いたようにもう一捻りする事に決めました。
よくよく考えてみると、終盤への布石にもなってるんですよね、さっき気がついたんですけど。


19.よしね君様
自分も現在クレア様ルートをやっています。
でもここの所スパロボの続きが気になって…。
でも今週中には大人クレア様を拝んでやろうと画策中です…無理かも、二日酔いで。

リリィに喋るマスコット…むぅ、考えなかったけど案外イイかもしれない。
召喚器だって一応意思を持ってるんだから、ライテウスが精霊化して動く手袋にしてみましょうか?

王の財宝?
いえいえ、○次元ポケットですw
それと影縫いは、ルビナスがニューボディに付けた機能の一つです。
ナナシ本人は原理が全く解っていません。


20.3×3EVIL様
あ、アブねーバイトですね…(汗)
ちなみにその500円はきっちりネコババしましたか?w

色々な方の期待を裏切ってしまったよーで申し訳ありませんが、ネコミミ復活は次になりました、ゴメンナサイ。
というか、本気で話が進みません…どうしよう(涙)

今年もよろしくお願いします<m(__)m>


21.神曲様
時守ではないとすると…ネコミミの居られる世界に“破滅”なんぞを遣わしやがった神の野郎でしょーか?

あけましておめでとうございます!
時守が借りたのはαなのでドモンは出ませんが、マスターアジアは本気で出てほしかった…。

この場合世界と契約しても、対価は殆ど必要なさそうですね。
だってネコミミ復活は世界の総意ですからw
知識はとっくにあるので、薬品作成に必要な時間の短縮…かな?

リコにしてみれば、胸が大きな人が増えるのは死活問題でしょうねぇ…。
イムとリコはあのままでいいのにw


22.悠真様
ぐああぁぁ、見たい!
時守も見たいッス!
燃えと萌えとしっとがぶつかる超大作を見たい!

食堂で観戦は正解でしょう、巻き込まれると普通人は速攻で潰されます。
もし生き残ってしまったら、その時はしっと団と同類扱いに…(汗)

小指どころか、中指から手首の辺りまで思いっきりどうぞ。
こねこりりぃの一言で、リリィがダウンしたシーンを30分くらいで書き上げてしまいましたからw

いやいや、しっとの入らない燃えは決して萌えに劣るものではありませんよ?
大河だってスーパーロボットを目の前にすれば、戦う意思とか速攻で放り出してロボットを操縦させてくれと頼むでしょうw

しっと団で“破滅”を倒すと、しっと団にかなりの影響力というか発言権を持たせる事になりますよ?
曲りなりにも、“破滅”を打ち払った事になるんですから…。
まぁ、どうこうしない内に自滅すると思いますが。


23.ナイトメア様
不調言われる割には、えらくネタ多いですね…時守も見習わねば。

あー、三本立てはともかくとして…しっとで全てが救われるような世界はイヤですなぁ…。

超兵器ヘッド…あれはちょっとびっくりしましたねw
人相が益々悪くなってたし…。
よし、ここは凶悪フェイスじゃなくて、一昔前の少女漫画みたいな目がキラキラ光る(ただしレーザーの光)お面にしよう!
さもなくば、某オカマの悪魔の実の能力者の「世界一面白い顔」に…。

ベリオのバニーはバストサイズが決め手ですね。
あれを活かさない道はない…。

巫女さん大河は、祭り上げられるにせよ最下層に行くにせよ、それはそれで順応しそうな気が。

パピヨンイリュージョンは…実はもうちょっとパワーアップさせてみようかと(ニヤリ)

スクリームシンフォニー?
…珍しくマトモな(失礼)技が出た…。
ギャグが入ってない…。

し、白鳥沢が来た…いかん、ヤツを止めろ!
止めなければ日本が世界に誇る漫画文化が、漫画文化がぁぁぁ!
これが文化汚染というものか!?

ちよ父…アンタは出てきても、漂っているだけでは…?
シェザル、そうなったら君は速攻で背景行きが決まる。

ベリオ、とうとう開き直って盗品を使ったのね…。


24.アルカンシェル様
こんな事もあろうかと、はいずれ言わせてあげます。
ただしその場合は十中八九、行き詰った時守がヤケッパチで突破を目論んでいるのでしょうけど。
いやマッドは便利ですね、どんな常識外れな代物を出してきても誰も反論しない…。

しっと団は根強い人気(?)を誇ってますからね。
きっと男女問わず、彼らに共感を覚えた人間は沢山いたでしょう…かく言う時守もその一人。
え? 勧誘? いや、俺は君らを操る側だからw


25.K・K様
何はともあれ、ようやくリリィ屈服までこぎつけました。
後はルビナスの薬を飲ませるだけです。

そう言えばイムもアルディアの顔を見てたんだっけ、忘れてた…。
ま、エレカとアルディアがイコールかどうかは、レッドへリングを撒き散らしながらストーリーが進むので、その内に…。

学園長には、ネコミミはまだバレていません。
ダリアもなるべく知っている人を少なくしたかったようですねw
ナナシももう少し弾けさせたかったのですが、彼女のキャラだとソッチ系に暴走するのがちょっと想像しづらいです。


26&27.神[SIN]様
しっと団は脳が単純ですから、極端な話大声を出せばそれで士気はあがります(笑)
嫉妬が萌えに勝ってたまるかー!
シリアスモードなら追い詰められる事はあるかもしれませんけど、ギャグなら絶対に負けません。
というか、嫉妬が勝ちません。

そうですね、ルビナスボディは胸がもう少し大きくなったルビナスの体…現在ロベリアボディ…です。
ナナシは……ルビナスボディを、全体的に細くしたような感じでしょうか。
ナナシの現在のウェストは、人類の限界に挑戦するくらい細いイメージで。


28.なな月様
う〜む、どんどんアヴァターだけでなく世界に珍妙な宗教やら伝記やらが溢れかえりつつあるようで…。
というか、アンリ・シットーって本当にありそうな名前ですな。

うむ、いくらしっと団が萌えと戦おうとした所で、しっと団本人も萌えを持っている以上、絶対に勝ち目はない。
なぜなら最終的には自分自身が敵だから、ですね。
…真世界萌え教…入信しようかなぁ……。
ネコミミ戦隊に壊滅させられるのも、それはそれで…。

分かり合えずともいいではないですか。
世界は敵か味方の二極ではなく、通行人、同盟関係、やや味方、ライバルなどなど、様々な関係があるでしょう。
互いを認め合わずとも、切磋琢磨する関係ではいられない事はないと思います。
以上、いい子ちゃんぶってみました。

セルの首チョンパは些細な事ですか…ヒドイ…ま、どーでもいいけどねw
うむ、我々には一人いればそれで充分、それもまた萌えの形というものよ。
…萌えつつエロが出来ればなぁ…。


昔話…かつて12支の動物を決める時に、神様はこう言いました。
「1月1日に私のところへ来た先着12種の動物を12支としよう」
ところがネコは何日に行けばいいのか忘れてしまい、ネズミに聞いたところ
「1月2日に行けばいいんだよ」
と答えたそうです。
結局ネコは騙されて12支にはなれず、それを根に持ってネズミを追いかけるようになったそうです。
以上、どっかの絵本で読んだ昔話でした。

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