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▽レス始

「幻想砕きの剣 7-8(DUEL SAVIOR)」

時守 暦 (2006-01-04 22:14)
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「………ルビナス?」


「ええ」


「………ナナシ?」


「はぁい☆」


 気だるい体を起こした大河の前で、2人の美少女が覗き込んでくる。
 スレンダーな妹…ナナシは大河にピッタリくっついて、グラマラスな姉…ルビナスは腰をかがめる。
 胸の谷間が丸見えだ。

 暖かい感触と色香に、思わず反応する大河。
 幸か不幸か気付かれず、ナナシは大河に頬擦りなどしている。
 初めて感じる、はっきりとした感触と暖かさを満喫しているようだ。


「どうしたの、ダーリン?
 そんな鳩が豆を食べたと思ったら碁石だった、みたいな顔をして」


「ダーリンは寝坊介さんですの?」


 唖然としている理由を解って軽口を叩くルビナスと、理解していないナナシ。
 何とも対照的な2人である。
 体系と性格だけでなく、格好も対照的だ。

 ルビナスは大河より少し低いくらいの背丈で、髪を長く伸ばしている。
 相変わらずの白髪だったが、以前の体よりも艶が増していた。
 服装は緑を基調としたドレスのような服で、明らかに気合が入っている。
 大河の出迎えのために、態々着替えてきたのだろう。

 ナナシの背は、以前の体と変っていない。
 前よりも出るトコは出ているが、それ以上に線が細く、アンバランスな印象を受ける。
 しかしそれが彼女の雰囲気に似合っている。
 さながらニンフのようである。
 服装は紫を散りばめた服で、膝上20センチくらいのズボン。
 活動的な格好だが、やはりこっちも新品である。


 一方リコも唖然としていた。
 体となるホムンクルスを作っていたのは知っていたが、まさかこうまで…。


「って言うか、ルビナス…アナタ、その胸は反則でしょう。
 確かに小さくはありませんでしたが、当社比1.2倍くらいになってますよ。
 シリコンでも入れたんですか。
 明らかに意図的な操作が…」


「ナンか言った、リコちゃん」


 ボソリと呟いたリコに、振り返りもせず言い放つルビナス。
 背筋を悪寒がザワっと走り、慌ててリコは倒れて寝たフリをした。
 迂闊な発言は死に繋がる。


「体が…完成したのか……」


 ようやく我に帰った大河。
 ナナシとルビナスに見とれていたというのもあるが、不意打ちすぎて事態を受け止められなかったらしい。

 楽しそうにベタベタ引っ付くナナシは放置しておいて、ルビナスは大河の前に座り込む。
 ちょっとだけ三角地帯が見えているが、大河はそれに気付いていない…勿体無い。
 微笑んで、ちょっと首を傾げた。

 大河はちょっと戸惑ったが、何を求められているのか気がついた。


「あ、ああ…メッチャ美人だぞ、2人とも…。
 うん、ルビナスはコケティッシュな感じがイイし、ナナシもそのアンバランスさが堪らん」


「ふふふ…ん、好し♪」


「いや〜ん、ダーリンに褒められちゃったですの〜♪」


 大河に褒められてご満悦の二人。
 周囲でベリオや未亜が大量の砂糖でも飲まされているかのような夢をみていたが、それは関係ない。

 改めて足を崩し、ルビナスも大河によりかかった。
 ムチムチした感触に、思わず陶然となる。


「お疲れ様、ダーリン。
 早速で悪いんだけど、みんなを保健室に運んでくれない?
 私達も手伝うから…ね?」


「ん、あ、ああ…」


「イチャイチャしていたいのは山々なんだけど、目の前に病人がいるんじゃ気分も出ないもの」


「病人って言っても、単なる車酔いですの〜」


 ルビナスはナナシの反対側から、アダルティーに迫る。
 耳に息を吹きかけ、首筋に唇を寄せ、大河の手をゆっくり撫でる。
 単純に暖かいナナシの抱擁とは違い、ゾクゾクするような心地よさを感じさせた。

 しかし何時までも浸っている訳にも行かない。
 何だかんだ言ってもリリィは毒を喰らった後だし、他の皆もただの車酔いとは言え、放っておいては風邪を引くのがオチだ。
 仕方なしに立ち上がる大河。
 それに合わせて、ルビナスとナナシも離れた。

 大河はダリアに向き直る。
 ダリアは砂糖を吐きそうな気分になって、甘さを中和しようとさっきから食塩など舐めていた。


「えーと、救世主クラス一同、全員無事帰りました」


「はい、お帰りなさい〜。
 詳しい報告とかはまた後で聞かせてもらうから、今はこの子達を運ばなくっちゃねぇん」


 食塩を放り出し、ダリアは満面の笑みを向ける。
 一応敬礼して承諾の意を示し、とにかく運んでしまおうとリリィを持ち上げた。
 順番から言ったら、彼女が最優先だろう。


「それじゃあ、俺はコイツを保健室に連れて行くから…。
 みんなの体の検査とかしておいてくれ」


「はぁ〜い。
 でもダーリン、それなら皆さんもゼンジーお爺ちゃんの所に連れて行った方がいいんじゃないですの?」


「いやそうは言っても、運べないんじゃないか?」


 そう言って振り返る。
 しかしそこには予想外の光景が広がっていた。


「え? え? え?」


 別段大した事ではないが、未亜達が持ち上げられていたのである。
 ダリアがカエデを、ナナシがベリオを、ルビナスが未亜を。
 しかも力んだ様子は全く無い。
 リコは自分で立っていた。

 ダリアはまぁ解る。
 彼女はあれでも諜報員だし、体術の心得もある。
 重心を探り当てて持ちやすい体勢にするのも簡単だ。

 ルビナスもそれと同じ事をやっているのだと思えばいいかもしれない。

 だがナナシにそんな頭は無いだろう。
 例え脳味噌が新品になっているとしても、本人が細かい事や難しい事を考えない。

 気を失った人間とは、意外に重たいものである。
 それを小柄なナナシや一見非力なルビナスが軽々と持ち上げているのだから、目を疑いたくなるような光景だった。

 驚いている大河を見て、ナナシとルビナスが顔を見合わせて笑った。


「驚く事じゃないわよ。
 色々と機能を付けているって言ったじゃない。
 怪力なんて基本よ、基本」


「か弱い女の子としては、ちょっと不本意ですの〜。
 でもでも便利だし、ダーリンのお役に立てそうですのよ!」


 どうやらホムンクルスの体は、見かけよりもずっと力があり、なおかつ色々とギミックがあるようだ。
 すっかり忘れていたが、これなら人間一人くらいは簡単に運べるだろう。

 大河が驚いているのを尻目に、ダリアはさっさと保健室に行こうとする。
 が、途中で止まった。


「リコちゃん、アナタは寮に帰って眠った方がいいんじゃないかしらぁ?
 保健室のベッドは、簡易ベッドを組み立てても四つまでしかないし…」


「はい……お言葉に甘えて……それでは」


 相変わらず青ざめた顔で、リコはフラフラしながら寮へ帰って行った。
 それを見送って、大河達は歩き出す。

 人目が少なくて助かった。
 もし誰かに見られていたら、救世主クラスについてまた噂が巻き起こるのが目に見えている。
 日が暮れた道を、クラスメートを持って歩く4人。

 ナナシ以外は、お姫様抱っこからおんぶに切り替えている。
 ナナシはちょっと身長が足りていない。


「それで、向こうはどうだったの〜?」


「………酷いもんです。
 村に着いた時は、もう一人も……いや、一人は居たのかな?
 エレカとやらが敵だと決まった訳じゃないし…」


 ダリアは迂闊な質問をした自分を反省した。
 何もこんなタイミングで聞かずともよかろうに。

 大河は沈みそうになった心を引き摺り上げた。
 こう言っては何だが、大河はこの手の事は何度も経験している。
 伊達に戦場に居た訳ではない。
 しかしそれで無力感に慣れて行く事も無い。
 ただ、少しばかり立ち直るのが早くなったり、自責の念に捕われている間にもちゃんと仕事をこなすようになったりするだけだ。

 少し気まずい雰囲気になり、大河達は無言で歩く。
 その雰囲気を打破せんとしたのか、ナナシが大河に話しかけた。


「あの〜、ダーリン、ちょっと聞きたい事があるんですの」


「? 何だ? 俺はツルペタから爆乳まで、形と感度が良ければ全く差別しないぞ」


「ダーリンが節操なしなのは解ってるですの。
 そうじゃなくて、ネコミミを付けている人を知らないですの?」


「ネコミミ?」


 と言われて、即座に思いつくのは自分の腕の中で眠るリリィである。
 薬の効果が続いているのか、頬がほんのりピンク色に染まっていた。


「ネコミミがどうかしたのか?」


「ああ、それがね……体を完成させて意識を移した後、後始末としてゴミを処分しに行ったのよ。
 その時に、ちょっと間違えて焼却炉の中に薬品が入っちゃって…。
 そしたらね…」


 ナナシとの会話に割り込んだルビナスは、未亜を片手で持ち直し、もう一方の手でポケットを探る。
 そして何やら不思議な色の液体が入った瓶を取り出した。


「今は溶けちゃって見えないけど、燃えちゃった何かの残骸がこの中に入っちゃったの」


「このお薬は、中に要れたものがどんな物だったか、再現するためのお薬ですのよ。
 これに特別な光を当てると、ええっと……く、屈折した根性が無効の顔面に映し出されて…」


「空間的、時間的に屈折した光が、向かい側の画面に映し出される、よ。
 時間的にはともかく、それだけだと単なる顕微鏡と大差ないんだけど、この薬は分子とかを活性化させて、細胞の分裂を手伝う作用があるの。
 ちょびっとしか復元されないんだけど、無機物でも作用するのが凄い所ね。
 ホムンクルスを成長させて行った結果を予想するのに使うのよ。
 で、折角入ってきたんだし、と思って中にある物を解析してみたら…」


「こーんなネコミミさんが出てきたんですのよ!」


 ナナシがルビナスの懐から写真を取り出した。
 そこには黒くて形の整った、上品さよりも可憐さが強調されているミミ。
 間違いなくリリィが使っていたネコミミである。


(あ、アイツ燃やしてやがったのか!?
 いくら俺に反発したからって、それは無いだろ!?」


「あら、大河君はこのミミが誰のミミなのか知ってるみたいね?
 それにしても、可愛いわ…」


 横から覗き込んだダリアが言う。
 大河は動揺のあまり、声を漏らしてしまっていた。

 ナナシとルビナスは、このミミの持ち主が誰なのか興味津々である。


「それでそれで?」


「ダーリン、教えて?」


「「このミミ、だーれの?」」


「………これ、リリィのだ」


「「「リリィちゃん!?」」」


 流石に予想外だったようである。
 思わず大河に抱かれているリリィに目をやる3人。


「な、何でリリィちゃんが…」


「前にちょっとしたイタズラっていうか勝負でな…。
 冗談半分で着せたら、ヤミツキになっちまったらしい。
 予想以上の破壊力だったぞ。
 そりゃー萌え心とかリビドーとかが、ものっそい勢いで噴出してくるような感じで」


 大河の言葉を聞いて、ちょっと想像する3人。


「………イイ」


「カワイイですの〜」


「飼いたい…むしろ愛でたい……。
 シャンプーとか掛けていじめたい…」


 恍惚とした面持ちになる。
 想像だけでこの有様とは、ネコりりぃ恐るべし。
 ちょっとだけ大河はトンでもないモノを作り出してしまったのではないか、と考えたが、後悔なんぞ微塵もしない。
 する訳がない、人として。


「おーい、そっちは道が違うぞ〜。
 戻って来−い」


 保健室に向かう道から逸れ、どこか別の方向に歩いて行きかける。
 大河の声で、なんとか3人は戻ってきた。
 しかし顔が赤かったり息が荒かったり瞳が潤んでいたりして、悦った名残が思いっきり残っている。


「で、でもダーリン、考えてみたらちょっとエチケット違反ですの。
 人の…こういう趣味を勝手に喋ると嫌われちゃうですのよ」


「いいんだよ、これは罰なの。
 今回、リリィが一人で抜け駆けしただろ?
 場所によっては軍法会議で銃殺刑モノだぞ。
 でも殺す訳にはいかないから、こうして一部の人間に」


「吹聴してるって事ね…。
 でもソレ、ある意味銃殺刑よりもキツイ…」


 もう往来を歩けなくなるかもしれないくらいにキツイ。
 道行く人全てから、ハァハァな視線や生暖かい視線や何かを期待する気配が伝わってきた日には、もう一生布団を被って外に出ません、てな気持ちにもなるだろう。
 ……ちょっと試してみたくなった大河だが、宝は独り占めしたくなるのが人の常。
 これ以上ネコりりぃを衆目の目に晒せるか、って心境である。


「でも、萌えちゃった…違った、間違いじゃないけど、燃えちゃったのよねぇ…ネコミミ」


「俺が…俺が迂闊な発言をしたせいで…」


 後悔に項垂れる大河。
 しかし、その横でナナシとルビナスが横目でアイコンタクトを取っていた。
 無言で頷く2人。

 ルビナスが未亜をナナシに持たせた。
 ナナシは特に力むでもなく、軽々と未亜を持ち上げる。


「安心して、ダーリン!
 幸にもその欠片はここにあるわ。
 一日…いえ、夜まで待ってくれれば、更なるパワーアップを遂げてネコミミは復活するわ!」


「ナニ!?」


 驚愕の声を上げ、急に元気になる大河。
 その目には、敵と戦っている時以上の光が瞬いている。
 失われた物が戻ってくるかもしれない。
 しかも、少年漫画の王道パターン…死んだと思われていた味方が、更なるパワーアップを遂げて帰ってくるというアソビ。
 これで無反応なら大河ではない。

 それを見て更に気合が入るルビナス。


「今から私は作業に取り掛かる!
 それまで私の研究室には、一歩も入れなくなるからね!」


「それじゃあ、ナナシはダーリンの部屋に居ますの。
 ルビナスちゃん、頑張ってですの!」


「私も学園長に掛け合って、明日の講義を免除にしてもらうわぁん。
 後の事なんか気にせずに、全力でやって頂戴!」


「多謝!
 かそくそーちっ!」


カチッ


 音がしたと思ったら、もう居ない。
 ルビナスの研究室がある方向に目を向けると、それこそ残像も残さないほどのスピードで走るルビナスの後姿。
 早い早い、もうカエデ以上のスピードだ。
 どうやら、これも新しい体に付けられた機能らしい。
 今のルビナスは、きっと音よりも早く動き、光よりも早く思考するだろう。
 この調子なら、夕食が終わった辺りには完成していそうである。


「…ルビナスちゃん、世界から加護を受けている気がするですの」


「ネコミミを蘇らせるために、世界と契約して英霊になったってか?」


「うーん……なんて素晴らしい自己犠牲精神…」


 世界と契約はともかくとして、ここに突っ立っていても仕方がない。
 そろそろ本格的に寒くなってきたし、とにかく保健室に急いだ。


「………うむ、問題ないよ」


 大河からよく解らない医療器具…ミーティアと書いてある…を外し、ゼンジーは太鼓判をついた。
 既にリリィ達の検査は終わり、全員問題なしと結果が出ている。

 ちなみに、ゼンジーは診察のためでも、未亜達の素肌を見ていない。
 医者とは言え自分の女達の肌を見られる、という事に対して苦い顔をした大河。
 他意はないと解っていても、その辺は理屈ではない。
 独占欲が強すぎる気がするが、それでも抑えようとはしていた。

 しかしゼンジーは大河の内心をあっさり読み取り、苦笑しながらダリアに手伝いを頼んだのだ。
 結果、未亜達はカーテンで仕切られた区画内で、ダリアからの診察を受ける事になる。
 昼行灯を装っていると言えども、彼女は諜報員であり、また名医ゼンジーをして「一部の分野においてはワシよりも秀でている」と言わしめる。
 多少心配は拭えなかったが、大河はダリアに任せてゼンジーに診察をしてもらった。
 ただ、我侭を言った(口には出してないが)代わりに、ゼンジー愛用の道具の手入れを手伝う事になったが。

 検査結果のカルテを見て、ゼンジーは首を傾げる。


「はて…。
 問題はないが、どう言う訳か揃って内蔵が少々弱っておるな。
 毒の類でもなし……大河君、心当たりはあるかね?」


「ははは……心当たりというか…確信が」


 言わずもがな馬車の揺れだ。
 そこまで酷かったのか、と大河は思い返した。
 途中から慣れたと思っていたが、精神は慣れても体が慣れなかったようだ。

 ともあれ、大した事ではない。


「ぼちぼち嬢ちゃん達も目を覚ますじゃろう。
 大河君、ここに居るかね?」


「はい。
 目が覚めるまで付き添ってやりたいので…。
 あと、今の内に医療器具の整備、やってしまいますか?」


「うむ、そうじゃな…。
 では、これとこれを頼む。
 ああ、簡単に拭いてくれるだけでいいぞい。
 細かい使い方なんぞ解らんじゃろう?」


 確かに、大河には見慣れない物ばかりだ。
 知識として持っている物はあるが、やはり扱いなれていない。

 手渡された布で、丁寧に擦る。
 元々気を使って手入れされているらしく、汚れの類は殆ど見られない。
 それでもこうして手入れを続けるのは、ゼンジーの医者としての良識のためか、それとも個人的な趣味なのか。

 暫くして、一つ目の器具が磨き終わった。
 次をやろうとして、ふとゼンジーに目をやる。



「ぬあ!?」


 茶色と黒がそこにあった。
 何かと言うと、茶色は錆で、黒は……犠牲者?

 そう、伝説のチェーンソー、セリーヌである。
 大河の驚愕にも気付かず、ゼンジーは上機嫌にセリーヌの隙間に溜まっている埃を取り除いている。
 というか、病室にこんな代物持ち込んでもいいんだろうか。


(こ、これがあのダウニー先生をも恐れさせるセリーヌ…。
 妖気が漂っておられる…)


 しかしその妖気も、ゼンジーの前では借りてきた猫のように大人しい。
 どうやらゼンジーを完全に主と認めているらしい。
 ゼンジーが学園最強と噂される理由である。


「………う、う…ん」


 セリーヌの妖気に当てられたのだろうか、リリィが唸り声を上げてうっすらと目を開けた。
 大河はそれに気付いて手入れの手を休め、リリィの顔を覗き込む。


「よう、起きたか」


「ん、大河…?
 あっ、イタタタ…」


 リリィはぼんやりとした目をしていたと思ったら、起き上がろうとして頭を抑えた。
 ぐらぐら揺れている。


「どうした?
 頭が痛いのか?」


「ううぅ……世界が揺れてる…」


「ゼンジー先生?」


 まさか何かあったのか、と思い、ゼンジーを振り返る。
 しかしゼンジーはセリーヌの整備を続け、振り返りもしない。
 ぶっきらぼうに答えた。


「心配せんでも、そりゃ二日酔いみたいなモンじゃ。
 嬢ちゃん、お主何か薬…いや、大量に植物か何かを吸い込みやせんかったか?」


「あたたた…え、ええと…確か何か…粉末を吸い込んだ…よーな…」


「ソレじゃな。
 有害ではないが、それによって何かのショックが引き起こされたのじゃろう。
 まぁ、睡眠薬の過剰摂取みたいなモノじゃわい…睡眠薬では死ぬがな。
 遅くても明日の朝には完治するよ」


「そ…ですか…」


 リリィはまた倒れこみ、周囲を見回す。
 自分が保健室に居る事に、ようやく気付いたようである。


「…大河……ナニがどうなったの…?
 どうして皆も…」


「聞いた通りだよ。
 いや、すまなかったな、あんなモノ吸わせちまって。
 大したモンじゃなかったんだが…まさか本当に効くとは…」


「…あれ、何だったの?」


「今は聞かないほうがいいよ」


 含みを持たせるような大河の言い方に、余計に気になると思ったリリィだが、追求するような元気はない。
 まだまだ頭痛が続いているのだ。


「それで、皆して臥せってるのは、あの馬車に酔って倒れたんだよ。
 そのまま気絶して、何とかここまで連れてきたんだ。
 かく言う俺も、ちょっと前まで倒れてたけどな」


 大河はリリィの頭に響かないように小声で言いながら、リリィに布団をかけた。
 ちょっと顔を赤くして、そっぽを向くリリィ。
 大河は、『あれ、何か反応が素直だな』と不思議に思った。

 布団を頭まで被って、リリィは途切れそうな声で呟く…本人は話しかけているつもりなのだろうが、声量が低いので聞き取りづらい。


「大河…ごめん…」


「ん?」


「一人で意地を張って、とんでもない事しちゃった…」


 多くは語らないが、それだけに反省の色が篭っていた。
 そこに見える後悔の色は、ひょっとしたらネコスーツを燃やしてしまった後悔も含まれているのだろうか。


「…ま、実戦経験の足りないルーキーにはよくある事だ。
 今回は結果オーライだったから、ちょっとした罰を受けてもらって…まぁ、それだけだな。
 それに、もう理解しているみたいだし、どうこう言っても仕方ない…」


「………さっき馬車で引っ掛けてくれたのは罰じゃないの?」


「あれだけで済むワケないだろーが」


 糾弾しているかのような言葉だが、明らかに口調は笑っていた。
 だからリリィも、それほど引け目を感じずに済んだ。

 リリィは少し考えると、セリーヌを見つめてうっとりしているゼンジーを呼んだ。
 悦っている所に、無理矢理現実に引き戻されたゼンジーは気分を害したようだが、それで患者にどうこうするような根性曲がりではなかった。


「なんじゃい?」


「容態はどうなってるんですか…?」


「お主も他の皆も、単なる疲労じゃよ。
 明日にはもう完治しとる…大事をとって一日休んだ方がいいんじゃが、肉体よりも精神的な休息の意味が強いな」


「そうですか…ありがとうございます。
 ………大河…」


「ん?」


 リリィに礼を言われたゼンジーは適当に手を振り、またセリーヌに見入っている。
 妖刀に魅せられかけている人斬りみたいでちょっと怖い。

 リリィは少し考えてから、大河に話しかけた。
 その真剣な口調に、大河も黙って耳を傾ける。


「明日の昼、ちょっと付き合って…」


「デートか?
 それだとあんまり遠くまでは行けないな」


「ん…それも、いいかもね…」


「…なに?」


 予想外の切り返しに、大河は面食らって口を止めた。
 リリィはちょっと笑って、冗談よ、と付け足した。

「それで、付き合ってくれるの?」


 大河は少し考える。
 大河はこの後、ミュリエルの元に出頭して、簡単な報告を済ませるつもりだった。
 当然の事ながら、リリィの事も話さない訳にはいかない。
 報告すれば、何らかの処罰がリリィに下るだろう。
 そうなると、明日の昼の用事とやらも潰れてしまうだろう。
 だがまぁ、ミュリエルに頼めば何とかなるだろう。
 ダメだったとしても、精々謹慎を喰らう程度である。
 無視した所で、誰も困りはしない…更なる罰を受けるだろうが。

 大河自身は、自分の体調にも寄るが他のメンツの調子を見て回るつもりだった。
 体は無事でも、心の疲弊までは癒されない。
 少しでも癒す事が出来れば、と思っていた大河だったが…。


(考えてみれば、全然問題ないな…。
 あいつらの事だから、どーせネコりりぃを見るだけで疲労なんぞ吹き飛ぶに決まってるし)


 酷ぇ言いようだが、限りなく事実だ。
 現に馬車の中でも、かなりエキサイトしまくっていた。
 疲労なんぞどこ吹く風、だ。
 となると、未亜達との話にそれほどの時間をかける必要もなくなる。
 元々、最も気を使わねばならない相手はリリィなのだ。
 付き合った所で特に問題はない。


「どうなの?」


「…解った。
 じゃあ、昼飯をちょっと早めに食って…そうだな、12時30分くらいでどうだ?」


「…それでいいわ。
 それじゃあ、私はそろそろ戻る…と言いたい所だけど…みんなに謝らなくっちゃ…」


 ゴタゴタ続きで、リリィはまだ正式に謝っていなかった。
 大河も気付いてなかったが、これはリリィの責任ではあるまい。
 騒ぎまくっていた大河達が悪い。
 謝るタイミングを、片っ端から潰していたのだから。


「ゼンジー先生、そんな訳なんで、もう少しベッドを使わせてもらっていいですか?」


「構わんよ。
 大分回復してきているとはいえ、お主は病人じゃ。
 保健室のベッドを使う権利は十分に有る」


 慈悲深いお言葉だが、セリーヌをいとおしげに撫でながらでは色々な意味で危険である。
 ちょっと警戒しながらも、リリィは布団に横たわった。
 もう体は回復していると思うが、虚脱感が拭いきれない。
 その心の片隅には、まだエレカの事が引っ掛かっていた。


(エレカ…アンタ、本当に“破滅”の民なの?
 あんなに必死に頼んできたのは、ウソだったの?)


 答えは返ってこない。


 その後、暫くして未亜達は目を覚まし、あのリリィが頭を下げてくるという未知の現象に遭遇するハメになった。
 ベリオがちょっと錯乱しかけたりしたが、まぁ些細な事だ。

 とにかく、意識が戻ったのだから何時までも保健室に居るわけには行かない。
 整備したばかりのセリーヌで、試し切りされては堪らない。


「さて、俺はメシにするけど…どうする?」


「…私はもう限界です…。
 ご飯は明日の朝にして、今日はもうお風呂に入って休ませてもらいます…」


「私も…まだ内臓がフラフラ揺れてる感じがして、何か食べても戻しちゃいそうなの…」


「拙者も疲れたでござる…」


 口々に答えるベリオ達。
 ヤワだなーと思った大河だが、口には出さない。
 リリィも口には出さないが、相当疲れているようだ。

 リコもかなり疲れているのだろう。
 食堂に彼女の姿は見られなかった。
 肉体的な疲労がどうこうではなく、単に長時間高速の馬車に揺られていた精神的な疲労のためだろう。

 一方大河はというと、疲れなど微塵も感じさえない勢いで夕食を平らげていく。
 普段のメニューの傍らに、一つだけ見慣れない飲み物があった。
 徳利に入った酒である。
 大河は夕食を食べ始める前に、東側…村があった方向…を向いて、お猪口に入った酒を軽く掲げた。
 手向けの酒、という事だろうか。

 その大河の横に、腰掛ける者が居た。


「よう大河、この席いいか?」


「座る前に聞くもんだぞ、そーいうのは」


 久々に登場したセルである。
 時々周囲に注意を払っている。
 どうやら傭兵科生徒に見つからないか、警戒しているらしい。
 ならばこんな人目に付く所に来るなと言いたいが、食堂は例外なのだ。
 何せここの料理長の機嫌を損ねれば、当分食事を作ってもらえない。
 だから学食は、食料争奪のため以外の喧嘩は全く起きない、一種のサンクチュアリと化しているのだ。

 大河の隣に座ったセルだが、その表情には翳りがある。
 大河は自分も似たような顔をしているのだろうな、とぼんやり思った。


「不景気なツラしてるな…」


「…戦争の前だ。
 不景気にもなるさ」


「そーだなぁ…」


 セルの返事も、何時ものキレが見られない。
 そのまま暫く無言で夕食を突付く2人。


「…アルディアちゃんとの仲はどうだ?
 と言うか、あっちに帰らなくてもいいのか?」


「ああ…俺の役目は、アルディアさんのお守りというかパシリというか…そんなトコだからな。
 今日はアルディアさん、何処かに出かけてるんだ。
 昨日の夕方くらいに出発して、まだ帰ってきてない。
 その間、俺の仕事は無いからな…学園で課題とかを済ませておこうと思ってな」


「ふーん…」


「ああ、そう言えば、最近のアルディアさんは人格交代が少なくなってきててな。
 ひょっとしたら精神的に安定しているとか、そんな感じなのかもしれん」


 会話にも食事にも、あまり興が乗らない。
 また無言になった。

 暫くの間、食堂のガヤガヤと騒ぐ声だけが響く。


「…大河、帰る時は手伝ってくれよ。
 ここは安全だけど、食堂から一歩でも出たら傭兵科の殆どが俺を捕らえに来るんだ」


「……そう言えば、お前のルームメイトから伝言を預かってるぞ。
 えーと…『衣装を洗って待っていろ』だったか」


「んなっ!?」


 なんだか知らないが、セルは大河の言葉にショックを受けたようである。
 顔が青い。
 脅えているようにも見える。


「と、とうとう来たか…。
 しかし、そーゆー事なら今日は返って安全かもしれん…。
 アレは月の綺麗な夜にやるんだし、衣装を持っていない人間をムリに引きずりこむ事はないハズ…」


「一体何事なんだよ…」


 大河に聞かれて、セルは暫く迷うような素振りを見せた。
 しかし結局首を振る。


「い、いや…やっぱり話すわけにはいかん…。
 アレは傭兵科に伝わる門外不出の儀式だし、何より情報漏洩をしようものならOBの方々まで出てきてしまうかもしれん。
 そーすると容易に気絶も出来なくなる…。
 大河、悪い事は言わない。
 このことに関しては一切詮索するな」


「そりゃまぁ、特に知りたいとも思わないけどさ…」


「教えてやる、と言われた時もすぐに耳を塞いで逃げるんだ。
 聞いたら確実に引きずり込まれるぞ。
 これは親友としての忠告だ」


「あ、ああ…」


 何時になく真面目な顔のセルである。
 それにしても、一体傭兵科の儀式とはどんなシロモノなのか。
 吸血鬼かゾンビのような扱いである。
 つまり噛まれたら感染する。


「そ、それは置いておいて…アルディアちゃんは何処に行ってたんだろーな?」


「何でも、家業の手伝いみたいなもの…らしい。
 俺も連れて行くつもりだったらしいけど、執事長がダメだって言ってな。
 まぁ、明日には帰ってくると思うけど…」


 そこまで言うと、セルはまた表情を暗くした。
 さっきからお互いにこの調子である。
 基本的に騒がしい性質の二人だから、気まずい事この上ない。

 案の定、大河がキレた。


「ええい、メシの最中だってのに辛気臭いわ!
 セル、何があった!?
 何を悩んでいる!?
 この際だから、お互いの腹に溜まってる鬱陶しいモノ吐き出してしまえ!」


「う…」


 直球勝負でストレートを喰らったセルは、明らかに怯む。
 しかし誰かに聞いて欲しかったのか、ポツリポツリと話し始めた。


「…ちょっとした愚痴みたいなモンだけどさ…いいか?」


「一層辛気臭くなりそうだが…言ってみろ」


「そうか……。
 いやな…俺、どうして傭兵になろうとしたんだろうな、と思って」


「はぁ?」


 えらく根本的な疑問である。
 確かに大河はセルが傭兵科に居る理由は知らない。
 名門フローリア学園に在籍している所からして、学費に困らない程度には金があるのだろう。
 普段彼がバイトをしている所も見た事はない…別の意味でバイトしてはいるが。


「ほら…もうすぐ“破滅”との戦いが起きそうだろ。
 で、そうなったら当然俺たちも駆り出される。
 それは…納得行かないけど、まぁいいんだよ」


「いいのか」


「よくないけど、いいって事にするしかない。
 俺は傭兵の卵だ。
 死地に向かう事も当然あるし、天寿を全う出来るとも思ってない。
 でも、俺は…俺達はまだ学生なんだ。
 卒業してしまえば、腹を括りもする。
 だけど、今はまだ…」


 モラトリアムってヤツだな、とセルは溜息をついた。
 大河は黙って聞いている。
 セルは返答を求めていないのが解かっていたからだ。


「それに…俺は今更気がついた。
 戦いに行くっていうのは、誰かを置いていく事なんだって。
 人並みの幸せが欲しければ、傭兵なんかになるべきじゃない。
 誰かと結婚して、何処かに就職して……。
 退屈かもしれないけど、代わりに愛する人を心配させるような事もない。
 いや、心配はさせるだろうけど、傭兵として戦場へ向かった時みたいな心配はかけないだろう。
 少なくとも、命の危機は少ない…。

 ……俺は、どうして…」


 セルは言葉を飲み込んだ。
 大河はそれを聞いて、セルが何を考えているのか大体見当がついた。

 つまり、戦いが始まれば、セルはアルディアを置いて戦場に向かわなければならないという事だ。
 アルディアの事は詳しく知らないが、執事長…大河はあのオバケモドキが執事だと思えなかったが…によれば、セルはアルディアの唯一の友人である。
 セルに万が一の事があれば、アルディアは激しく哀しむだろう。
 それでなくても、セルが遠い戦場に向かってしまえば、アルディアはまた孤独になってしまう。
 大河達も、そうなってしまえばアルディアに会えるかどうかすら解からない。
 それに……。


(今コイツ、愛する人って言ったよな…。
 本気でアルディアちゃんに惚れたのか?
 …しかし、気付いてないみたいだけど…)


 アルディアの容姿を思い浮かべ、大河はセルはちょっとロリは入っている、と思った。
 ……大河が言える事ではない。


「それじゃあ、傭兵は辞めて、アルディアちゃんとずっと一緒にいるか?
 それも選択肢の一つだと思うぞ。
 逃げたというヤツも居るかもしれないが……間違った選択では、ないと…思う」


「…………いや…」


 セルは大河の言葉を吟味し、少し考えた。
 しかし結局頭を振る。


「やっぱり俺は傭兵だ…。
 理由も解からないけど、俺は傭兵になる。

 子供の頃には、誰か一人を守るナイトに憧れてた気がする。
 不幸な美女を、世界から守る最強のナイトにな。
 それが、どう間違って傭兵に…。
 ま、今のご時世じゃあながち悪い選択肢でもなかったと思うけどな」


 冗談めかして、セルは言った。
 しかし、その表情からは迷いが晴れ始めている。
 大河に愚痴を言っている間に、何かしらの天啓でも得たのかもしれない。
 その天啓が、『汝、剣を捨てて螺子を取れ』とかいう内容でなかったのは、まぁ感謝するべきだろう。

 結局、傭兵になろうとしている理由は自分自身でも解からないのだろう。
 誰かを守るためでもなく、そこに叶えたい夢が在るわけでもない。
 生きていく手段ならば他にもある。
 ひょっとしたら、単なる惰性なのかもしれない。
 しかし人とはそういう者ではないだろうか。
 どちらを向き、何処を目指すのか解からないとしても、中には自分がするべき事を知っているように行動する人物も居る……まるで世界が導いているように。


 セルは残っていた水を一気に飲み干し、大きく息をついた。
 今度はセルが聞き役に回る番である。


「それで、お前はどうしたんだ?
 確か今日は、救世主クラスの初の実戦だったんだろ。
 ……まぁ、予想はつくと言えば…つくんだけど」


「…ま、大方予想通りだと思うよ」


 大河は肩を竦めた。
 それを見て、セルがニヤリと笑う。


「つまり、危ない所を間一髪で助けた美人のおねーさまを口説こうとしたら、未亜さん達に血達磨されちまったと」


「そっちか…。
 確かに赤髪危機一髪なタイミングで助けた美人の女は2人ほど居たが」


「ほほう!?」


「一人はリリィだ」


「……あ、そ…」


 機先を制され、勢いが萎えるセル。
 大河とリリィの反目は、学園では結構有名である。
 …より正確に言うと、リリィが大河によくおちょくられているのが知れ渡っている。
 救世主クラス筆頭だった彼女の、普通の生徒らしい所が多々見られるようになり、結構ファンが増えていたりする。

 しかしそれだけに、大河とリリィの間に何かあると言うのは想像し辛いらしい。
 外では思いっきり『ツン』だし、『デレ』ことネコりりぃは超重要機密事項である。
 ヘタに情報漏洩すれば、闇に葬られる人命が…。

 セルは気を取り直した。


「で、もう一人は?」


「……エレカ…なんとかっていう名前らしい」


「なんとか? らしい?
 お前にしちゃ珍しいな…女の子のチェックを怠るなんて」


「仕方ないだろ、速攻で戦闘に突入したんだから。
 ………しかし、なーんか見覚えがある気がするんだよな…。
 遠目だったから、顔はよく見えなかったんだけど、何か引っ掛かる…」


 首を捻って考え込む大河。
 それはそれとして、セルは大河からエレカの情報を引き出そうとする。


「で、そのエレカちゃんは?
 無事だったのか?」


「無事…無事か?
 確かに戦闘での怪我はなかったけど…」


 セルは眉をしかめた。
 大河にしては歯切れが悪い。
 普段なら、もっとストレートに言ってくる。
 よほど言い出し辛い事でもあるのかと、セルは頭を巡らせる。
 が、所詮はセルだ。


「ま、まさかそのエレカちゃんがモンスターに捕まって触手とかスライムとか何だかイロイロと特殊な陵辱劇が!?」


「止めんかメシが不味くなる!」


 ゲシ


 セルの顔面に鉄拳インサート。
 セルは後方に仰け反りかえり、腹筋の力で戻ってきた。


「冗談だって…。
 で、どうなったんだ?」


「この野郎、本気で打たれ強いな…」


 それが傭兵の強みである。
 セルに致命傷を与えようと思ったら、召喚器でも使うか、問答無用で急所を狙うしかない。

 それはともかく、大河は目の前の夕食を突付きながら思案する。
 何処まで話していいものかと思ったが、セルが相手ならば大して問題はないだろう。
 しかしリリィが先走った事は話すつもりはない。
 陰口を垂れ流すようなものだからだ。


「えーっとな…。
 モンスターから救出した後、カエデがエレカを馬車の中に放り込んでおいた筈なんだよ。
 勿論鍵も閉めてたし、特に外傷も無かった。
 毒も受けてなかったみたいだしな」


「ふーん。
 ま、足手纏い…というか、護衛対象が在っちゃ戦いにくいもんな」


「ああ。
 で、モンスターを倒して、いざ口説きに行こうとしたんだが…その前に生き残りが居るか確かめるのが先だ。
 俺とベリオと未亜が生き残りの探索、残りは馬車の護衛とエレカの治療…の筈だった」


「…筈だった?」


「エレカが居なくなってたんだよ」


 セルと話している間にも、大河の頭は回転している。
 当然エレカの事についてだ。
 彼女が本当に“破滅”の民なのかも気になるが、見覚えがあるのが気にかかる。


「馬車が壊されていた訳じゃない。
 内側から鍵が開けられていて、足跡を殆ど残さずに何処かに行っちまった」


「……実は格闘とかを嗜んでいて、コッソリ避難している村人の所に戻った、とか?」


「カエデによると、体術の鍛錬をした形跡は見られなかったそうだ。
 避難場所に行くのに、足跡を消す理由は…ああ、魔物に場所を悟られない為ってのがあるか。
 でも、どうやらそれも違ったらしい。
 止めてあった馬が一頭居なくなっていた。
 多分、何処かに走り去ったんだろ」


 セルはそれを聞いて、不思議そうな顔をしている。
 何故エレカがそんな事をしたのか、予想もできないのだ。

 実を言うと、“破滅”の民の存在は公表されていない。
 理由は単純、発表してしまえば疑心暗鬼に囚われ、折角まとまりかけた陣営が崩壊してしまうからだ。
 普通なら情報を与えて事前に混乱を防ぐ方がいいのだが、現在“破滅”対策を練っている主な人物は、クレアとアザリンである。
 アザリンは、理由はどうあれ、かつて“破滅”に与したホワイトカーパスの人間だ。
 それを民衆が知った時にはどうなるか?
 ヘタをすると暴動が起き、ホワイトカーパス州は悪意の嵐に晒されるだろう。
 “破滅”の民がそれを煽り立てる可能性はかなり高い。
 実際に公表されるとすれば、“破滅”の民という言葉は出さず、トチ狂った新興宗教などの建前を使う。

 大河は少し考える。
 セルに“破滅”の民の事を話すべきか。
 これでもセルは結構口が堅いし、立ち回りも上手い。
 適度にプレッシャーを掛けておけば、ペラペラ喋るような事は無いだろう。
 元々、“破滅”の民の存在に気付いている者は結構多いのだ。
 もっとも、気付いた所で「まさか」の一言で終わってしまうが。


「…ま、セルも知っておくべきだよな…。
 いいか、これは他言無用だぞ。
 …と言っても、人間の歴史を顧みればそれほど珍しい事じゃないんだが…」


「?」


「…人間でも、“破滅”に協力するヤツは居るんだ」


「………? …何かの冗談…じゃ、ないよな」


「ああ、厳然たる事実だ。
 不思議か?」


 セルは暫く黙り込んだが、やがて首を横に振った。


「いや、人間ってのは生き汚いからな…。
 生き延びるためなら、“破滅”にだって協力するだろ」


「そうじゃない。
 簡単に言ってしまうと、終末思想というか、文字通りの“破滅”願望というか…。
 “破滅”こそが尊いモノ、と考えている連中が居るんだよ」


「そ、そんなムゴッ!?


 思わず大声を出しかけるセルの口を、大河が塞いだ。
 ミシミシとセルの顎がイヤな音を立てる。
 掴撃のよーだ。

 セルは根っからのアヴァター生まれ、アヴァター育ちである。
 その為、“破滅”はこの世界の住民全てにとって敵、という価値観が根付いている。
 だから、生き延びるためでもないのに“破滅”に協力するというのが信じられないのだろう。


「ま、要するに一種の宗教みたいなモンなんだろうな。
 悪魔崇拝とか、世界を滅ぼして一から再生するとか、そんな感じの…。
 その崇拝対象が“破滅”だったとしても、何の不思議もないだろう」


 セルの顔から手を退ける。
 セルは手形のついた顔を摩りながら、納得行かない、という顔をしている。
 しかし感情は納得しなくても、理性では理解しているらしい。
 フローリア学園の生徒は、“破滅”の民の行為を眼にしているからだ。
 召喚の塔を爆破したあの事件を。


「…確かに、そういう事もあるかもな…。
 召喚の塔の爆破については、そう考えた方が辻褄が合う。
 せめて学園の生徒や教師じゃなければいいんだが…」


「どうだろうな…」


 大河とセルは周囲を見回した。
 誰かに聞き耳立てられているような気分だ。


「…ダメだな、疑心暗鬼になりかけてら」


「この話は一端終わりだな」


 大河は残っていた酒を一息に飲み干した。
 少し強めのアルコール臭が鼻をつく。


「あ、酒があるんだったら俺にも飲ませてくれよ」


「もう無いよ…。
 食堂じゃ流石に酒は置いてないからなー」


 在ったら救世主クラスの特権で飲みまくるのに、と心底残念そうな大河だった。
 未成年に酒をくれるかはまた別の話である。


「で、エレカの話の続きだけどな」


「ああ、そう言えばそんな話だったっけ」


「……村人は、一人も生きていなかった」


「………」


 予想はしていたが、やはり衝撃は大きい。
 セルが聞いた別の話も、似たような内容だ。


「こっちも2名ばかり帰ってきてない…。
 ……戦争、か…。
 傭兵としては稼ぎ時なんだろうけどな…」


「…今は学生なんだろう?」


「戦場に放り出されれば、否応なく傭兵になるさ」


 暗鬱とした気分を抱えながらも、大河とセルは軽口を叩く。
 しかし、どの道逃げ場はないのだ。
 大河は救世主候補である以上、セルは傭兵として生きると決めた以上、戦う事から逃げるという選択肢は選べない。
 今愚痴を言い合っているのは、決戦開始になる前に、言いたい事を吐き出しているだけである。


「ダーリーン…」


「? 今の、ナナシちゃんの声じゃないのか?」


「…だな。
 ルビナス…じゃない」


 唐突に聞こえてきたナナシの声。
 大河は立ち上がって周囲を見回した。
 人ごみの中から突き出した、ピコピコ動くリボンが見える。


「ちょっと迎えに行ってくるわ」


「ヘイヘイ、さっさと行けやこの色男」


 どうでもよさそうに手を振るセル。
 しかし内心では、ナナシの登場を歓迎していた。
 華が増えるという事にではない。
 そもそもナナシという華は、大河にベッタリだ。
 それを見ているだけでは、こちらが虚しくなるだけである。

 それでも感謝しているのは、ナナシが放つ暖かい雰囲気があるからである。
 少々マヌケ時空に引き込まれている気がしないでもないが、セルは元々ギャグキャラである。
 なんら問題はない。

 ナナシが放つ陽気は、それだけで周囲をお気楽な空間に変えてしまう。
 悪く言えば緊張感がなく、よく言えば楽観的。
 今の暗鬱とした気分を吹き飛ばすには、最高の人材であった。

 大河がナナシを連れて戻ってきた。


「あ、セルさんですの。
 こんばんわ〜、ですの」


「はい、こんばん…わ……?」


 セルの声が尻すぼみになる。
 軽く挙げた手が、へにょりと曲がった。

 大河が連れてきたのは、ナナシではなかった。
 中身はナナシなのだが、セルは彼女の体が変った事を知らない。


「え、えーと…ナナシ…さん?」


「はいですの。
 この度ルビナスちゃんが体を完成させて、目出度くリニューアル新装開店ですのよ!」


「え? え? え?」


 混乱するセル。
 セルはナナシが休眠状態にあった事を知らない。
 ずっとアルディアの家に居たので、その辺の情報に疎くなっているのである。
 大体からして、研究科の連中は秘密主義だ。

 ロリっ子ボディから、スレンダーな妹タイプに変化したナナシに戸惑っている。
 言うなれば、花穂から咲耶だろうか。
 お構いなしに、ナナシは続けた。


「ルビナスちゃんの体もバッチグーですの。
 これでようやく、ルビナスちゃんと一緒にダーリンに抱いてむぐむごむご


「ハッハッハ、ナンデモアーリマセンヨ」


 慌ててナナシの口を塞ぐ大河だが、セルはしっかりと聞き取っていた。
 戸惑いが吹き飛び、心の底から原初の感情が吹き上がる。
 そう、嫉妬という名の感情だ。


「聞こえた…聞こえたぞ大河ああぁぁぁ!
 貴様、未亜さんというものがありながら何と羨ましい!
 あまつさえルビナスさんとサンピーだと!?
 許せん、表に出ろ大河!」


「落ち着け、落ち着けってセル!」


「イヤ〜ン、ナナシを巡るオトコの対決ですの!
 争奪戦勃発ですの!
 女冥利に尽きるですの〜☆
 でもでもナナシの役じゃ、『『どっち!?』』って言えないですの」


「た・い・があああぁぁぁ!」


「私を虎と呼ぶなー!
 出でよ、士郎から貰った虎竹刀!」


 誰かに乗り移られかけながら、大河は竹刀を取り出した。
 ちなみにトレイターを変化させているだけである。
 虎のストラップは見て見ぬフリをするべきだろう。
 というか、芸が細かいぞトレイター。

 あわや激突、という瞬間に。


「待てぃご両人!」


「「!?」」


 割り込んできた人の声。
 反射的に動きを止めて振り向くと、そこには見覚えのある人物がいた。


「あ、確かセルのクラスメートの…」


「げっ、傭兵科3号生筆頭ケルビム・アロンタイト…」


 妙に説明的なセルの台詞を聞いて、ケルビムは頷いた。


「うむ、ご紹介に預かったケルビムだ。
 当真、その節は色々と世話になったな」


「あ、ああ…まぁ…ははは」


 セルから『何しやがったコノヤロウ』という視線を受けて、乾いた笑いで誤魔化す。
 しかしその一切を無視して、ケルビムは言葉を繋ぐ。


「話はちょっとばかり聞かせてもらった。
 セルよ、貴様の気持ちはよく解る。
 当真よ、漢として褒め称えよう、男の敵ながら天晴れと。
 しかし、ここは食堂である!
 私闘は禁止されている。
 速やかに外に出て続きをやれ」


「止めはしないんですの?」


「うむ、俺が尊敬する人物はこう言っている。
 男は死闘の中でこそ磨かれる、と」


 そう言って、ケルビムは大河とセルを力技で立たせて、無理矢理外に連れて行く。
 大河もセルも、反抗すると更に話がややこしくなるため、特に反抗しようとしない。


「…ん? 外に…出る?」


「あ? どーしたセル」


 ふとセルが顔を上げる。
 足を止めて、血相を変えて振り返った。
 その目が窓の外に向かう。
 そこに何を見たのか、一瞬動きを止める。
 そして次の瞬間、踵を返して別の出口に向かって突き進む!


「おおっと、逃がしはせんぞ」


「は、放せーっ!?」


 が、ケルビムがセルを片手で持ち上げた。
 足が宙に浮き、逃げるに逃げられない。

 何事かと目を見張るナナシ。
 視線で大河に問いかけると、大河は少し考えて手を打った。


「そーか、傭兵科の筆頭がここに来てるって事は、他の連中も集合してるんだ。
 セルは傭兵科の血の掟を破ってるから、儀式とやらに参加するのか…」


「うむ、そういう事だ。
 衣装はこちらで用意してあるから問題ない。
 丁度よく騒ぎを起こしてくれて助かったぞ、当真」


 そう言われて、ちょっとばかり罪悪感を覚える大河。
 結果的には、誘蛾灯の役割を果たしてしまったようだ。


(とは言え、これでウヤムヤになってくれたか…。
 セルの憂鬱も吹き飛んだみたいだし、まぁ結果オーライかな)


 などと考える大河。
 しかしそれは甘かった。

 ナナシを連れて外に出る大河。
 ちなみに食事はもう終わり、食器はついでとばかりにナナシが片付けている。
 そこには暗闇の中で爛々と、赤い光を放つ目が幾つも浮かび上がっていた。


「…目に鬼火が宿ってるですの…。
 あ、ひーちゃんが飛んでる………」


 鬼気に釣られたか、ひーちゃんこと人魂が上空をフラフラ飛んでいた。
 セルはまだ逃げようとして、必死で足をジタバタさせている。
 最後の手段と剣を抜こうとしたが、ケルビムが剣の柄を抑えてしまい、抜くに抜けない。


「落ち着けセル。
 心配するな、今すぐ儀式にはかけん」


「なに……?
 ほ、本当か?」


「うむ」


 セルは動きを止めた。
 ケルビムは基本的にウソをつかない。
 ただ応用的にウソをつく…つまり相手に誤解をさせたり、本当の事を言わなかったりする。
 だから警戒心を捨ててはいないが、取り敢えず大人しくする事にした。


(どっちにしろ逃げなきゃならんが…今ジタバタ足掻いても勝機はない。
 なら暫く大人しくしていて、気が緩む一瞬を狙って逃げるのが唯一の勝機…)


 望みは捨てない。

 セルが何を考えているかはお見通しだろうが、ケルビムはセルから手を離し、満足げに腕を組んだ。
 それでもセルは逃げようとはしない。
 周囲から寄せられる嫉妬の気とか色々に少々腰が引けているが、腰を抜かさないだけ見上げたものだろう。

 その様子を、後ろからボケっと見ている大河とナナシ。
 自分達はもう蚊帳の外だと、高を括ってしまったようだ。


「さて…諸君、我ら傭兵科希望の星にして大罪人、セルビウム・ボルトはここに捕縛された!」


「「「「「「「「「
   殺せ! 殺せ! 殺せ!
             」」」」」」」」」


「諸君らの気持ちと要望はよく解った。
 しかし、それよりも前にやらねばならぬ事があるッ!」


「「「「「「「「「「「
    殺せッ! 殺せッ! 殺せッ!
                 」」」」」」」」」」」


「よかろう、ただし殺すのはセルではない!
 両手に花…いや、彼の者の普段の言動を見れば、両手に花束と言っても差し支えなかろう!
 そんな事が許されるか!?」


「「「「「「「「「「
   ガンホー!ガンホー!ガンホー!
                 」」」」」」」」」」」


「…あ、何か俺イヤな予感がしてきた…」


「我々傭兵科男子生徒は、『暑苦しい』だの『汚そう』だの『筋肉ムキムキで不快指数が高い』などと、独断と偏見だけで根も葉もない罵詈雑言を垂れ流されているというのに、ポッと出てきてフローリア学園の高嶺の花・救世主クラスの皆様とイチャイチャイチャチャイチャイチャ、グラニュー糖に埋もれて溺死しろっての!」


「「「「「「「「「「「「「
     KILL!
          KILL!!
                KILL!!!
         」」」」」」」」」」」」」


「でも汚いのは、お部屋を全然お掃除してないから本当ですの」


 大河の冷や汗もナナシの呟きも無視し、ヒートアップしていく。
 いつの間にやら、セルさえも混じっていた。


「そう、今真に討つべきはセルではない!
 セルは確かに大罪を犯したが、それは我等傭兵科の内での事。
 しかして貴奴めは、フローリア学園の全男子生徒と、一部の女生徒の敵である!
 社会的正義の名の下に、しっとの星の名の下に!
 花園を荒らしまわる盗人を制裁するのだ!!!!
 さぁ時の声を上げるぞ!
 我々は敵を倒しに行くのではない。
 ブッコロしに行くのだ!」



「「「「「ぶっ  ろす!」」」」」


「「「「「「「「「「「「「「「「「
Yeahhhhhhh
    !!!!!!!!!!
      」」」」」」」」」」」」」」」」」


 …ちなみにケルビムの容姿は、耳が尖っていて犬歯が発達していて目付きが悪い。
 従兄弟に『悪魔のコウモリ』を指揮する外道が居るとか居ないとか。

 凄まじく士気の傭兵科生徒達。
 何か悪夢を見る思いで、ナナシと大河は目を細めて遠くを見ていた。
 物凄い殺気が押し寄せてくる。


「…ところで、ナナシは俺に何か用だったんじゃないのか?」


 現実逃避に、大河はナナシに注意を向ける。
 ナナシも茫洋とした表情で返答を返してくると思われたが、その予想は外れた。

 弾かれるように顔を上げ、大河に詰め寄る。


「そう、そうでしたの!
 大変ですのよ!」


「だからどーしたの」


「ルビナスちゃんが、あのお薬を完成させたんですの!」


 あのお薬を完成させたんですの。
 あのお薬を完成させた。
 お薬を完成させた。
 薬が……完成…。


 十秒経過。


「なっなっなんだってーーーーーーーーー!?」


 大河一人で、傭兵科全員にも負けずとも劣らぬ絶叫。
 あの薬とは、当然ネコりりぃ復活薬のことだ。

 これに燃え上がらずして、大河は大河たりえるか?
 断じて否。


「く…くくくくく…」


「うふふふふふ……」


 突如顔を合わせ、含み笑いを漏らす二人。
 ケルビムはその様子を怪訝に思った。
 しかし他の傭兵科生徒は、テンションが上がりすぎて気付いていない。


「待て者ども、様子がおかしい。
 無闇に突っ込む「人誅ーーーー!」あ、待てというのに!」


 暴走した傭兵科生徒が、大河に飛びかかる。
 ナナシに万が一でも被害が行かないように配慮しているのは、評価されてもいいだろう。
 しかし、大河に触れる事は適わなかった。


「フンっ!」


「ぶげらっ!?」


 傭兵科生徒は、大河が無造作に突き出した右腕に撃墜された。
 3秒ほど空中で硬直し、ズルズルと落下する。


「と、当真…?」


 ケルビムと、その隣のセルは大河を見る。
 なにやらオーラが立ち上っていた。
 ピンク色なのがメチャ怪しい。

 大河はゆっくり顔を上げて、決然と宣言した。


「…大儀の名の下に罷り通る……。 道を開けィ!!!!!」


 大河の大喝で、一気に均衡が崩れた。


「「「イィーーーーーーーッ!」」」


「道を開けるですの!!
 私達はルビナスちゃんと一緒に、あのネコに会いに行くんですのよ!」


「この再開を邪魔する無粋な輩は、断じて容赦しないぞ!」


 如何にもやられ役な叫びを上げて、3名が突撃。
 しかし、今度はナナシに足を払われて地に伏せる。
 立ち上がる前に、大河の足が閃いて、一瞬で意識を刈り取った。


「くっ、こうなってしまっては仕方が無い!
 セル、第7分隊と第9分隊、特殊部隊の指揮を任せる!
 行くぞ!」


「応ッ! 第7分隊、第3分隊が責め疲れる前に入れ替われ!
 特殊部隊は月を背負って待機、狙撃のチャンスを狙え!
 第9分隊、続けーーー!」


「「「「「「オオォォォォォォォ!」」」」」


「負けるかー! ナナシ、ニューボディのお披露目だぞ!」


「了解ですの!
 萌えには燃えで対抗ですの!
 ドリル・ブーストナッコォォォォ!
 これでポカポカですの〜!」


 大河の全身が、なんか妙な輝きに包まれる。
 ナナシが背中から取り出した、松ボックリを連想させるでっかいドリルを両手に構える。

 地響きを上げ、フローリア学園始まって以来の大規模戦闘が開始された。
 ナナシのぶん投げた松ボックリ型ドリルが、傭兵科生徒達を次々に吹き飛ばしていく。
 大河の光る拳が、軽く3メートルほど人を吹き飛ばす。
 吹き飛ばされた屍を踏み越えて、また傭兵科生徒が向かってくる。

 すぐ傍の食堂では、テーブルを移動させて食事をしながら見物している物好きが多数。
 勿論賭けが発生しているのはデフォである。


「ぬおおおおおお!
 俺達の萌力を舐めるなーーーー!」


「貴様こそ、我々のしっと魂を舐めるなーーーーーーー!」


「ドリルになら殴られても抉られても本望だぁぁぁぁ!」


 人が飛び矢が飛び庭が一部飛び鳶(剥製)が飛びドリルが飛び、もう阿鼻叫喚の有様だ。
 大河とナナシは萌えの心で凄まじく戦力がアップしているが、傭兵科一同もしっとの心で不死身と化している。
 殴っても殴っても、十秒ほどで復活してくるのだ。
 中にはドリルで殴られるために復活してくるツワモノも居る。

 しかし、所詮はしっとの力。
 確かに強大な力だが、萌えという全人類の永遠の夢の前には通用しない。
 燃えの力も、少しずつ萌えの力に押されつつある。
 そのタマシイ込めた拳によって、殴られる度に少しずつしっとの心が崩される。
 彼らもナナシにこっそり萌えているからだろーか。


「くっ、しっとパワーが減衰してきている…このままではジリ貧だな…」


「大技を叩き込もう。
 ケルビム、アレを使うぞ」


「…アレか、その手があった!」


 ケルビムとセルは何か企んでいるようだ。
 大河とナナシは気付かず、相変わらず大乱闘を続けている。
 ナナシにぶん殴られて、ちょっと怪しい光が目に宿っているヤツも居るが、まぁいいだろう。

 セルとケルビムは分隊に指示を出し、大河を挟むように移動した。


「!? セル、ケルビム!」


「大河…お前が悪いんだぜ。
 この禁断の秘儀を使う事になっちまった」


 沈鬱な表情だが、セルは止めようとはしない。
 大河はセルとケルビムが何かする前に、さっさと殴り倒してしまおうとする。
 だが、暴走するイナゴのように傭兵科生徒達が纏わりついてきて、振り払うのが精一杯だ。


「くっ、攻勢が激しくなっている!?
 見縊りすぎたか……!
 ナナシ、無事か!?」


「ハイですのー!」


 少し離れた場所から、元気な声が帰ってくる。
 何か得体の知れない機能でも使っているのか、時々閃光が走った。
 しかしナナシもこの大群を相手にするのが精一杯らしい。
 それでも傭兵科生徒達は危害を加えず、行動不能にしようとしているだけだ。

 焦る大河を他所に、セルとケルビムは構えを取った。
 丁度2人の中心に大河が居る。

 おもむろにケルビムが口上を述べ始めた。
 セルもそれに合わせて口上を述べる。


「西に幸せな奴がいるならば………」


「全て刈り取り皆殺しッ!
 東に愛があるならばーーーッ!」


「全て摘み取り無に還す…ッッ!」


 得体の知れない氣に包まれ、大河は焦る。
 雲霞の如しだった傭兵科生徒の群れも、大分減ってきている。
 だがまだ自由に動ける程ではない。

 セルとケルビムが、同時に腕を掲げてクロスさせる。


「しっと団特攻部隊、我ら幸せバスターズ!
 受けてみよ、この魂の方陣技!
 突・撃イイィィィィ!!!!!」


 雄叫びと供に、大河の体に凄まじい衝撃が走る!
 どんな攻撃を受けたのか、認識する事すら出来なかった。
 気がつけば、大河はキリモミ回転しながら宙を舞っていた。

 猛烈な勢いで吹き飛ばされ回転している筈なのに、妙に景色がゆっくり見える。
 空が見えた。
 新円を描く満月。


(ああ、今夜はこんなにも……月が………綺麗だ…………)


 グチャッ


「だッ…ダーリーン!」


 大河は受身をとる事も無く、車田落ちで地面に激突した。
 ナナシの叫びが響き渡る。
 余波で吹き飛ばされた生徒達の間を縫って、ナナシは大河に駆け寄った。

 ピクピク痙攣する大河。
 しかしそれを見ても、ケルビムとセルは気を緩めなかった。


「はぁ…はぁ……今のは…会心の一撃だったが…っ、く…」


「ぜぇ…ぜぇ…わかってる…一番恐ろしいのは、ここからだ…」


 2人は萌えの底力を知り尽くしている。
 どれだけ不利な状態からでも、あらゆる道理を無視して復活するその力。
 息の根を止めて尚、安心できはしない。

 2人も肩で息をし、何もしなくても倒れそうだ。
 それだけの力を、先の一撃の篭めたのだろう。
 その余波で、大河に取り付いて動きを止めていた生徒達も吹き飛び、倒れて動かない。
 しかし彼らは恨みもしないだろう。
 なぜならこれはフローリア学園における、しっとと萌えの……。


「じ…じ……じ…ジハードじゃああぁぁぁ!!!


「あ、愛の奇跡ですのー!!」


 大河、復活。
 何かもーあっちこっち血塗れだが、依然としてその気迫に衰えは無い。

 拳を天に突き上げて雄々しく立ち上がる大河を見て、ナナシは歓喜を、セルとケルビムは恐怖と一抹の敬意を抱く。
 ギンッ、と大河は2人を睨みつける。


「やはり最後は貴様らが残ったか…。
 お前たちのしっとが強いか、俺たちの萌えが強いか…。
 因縁の決着をつけるぞ!」


「因縁って…ダーリン、お2人と何かあったんですの?」


「いや、無いけど…そういう事言わないでくださいよ、盛り下がる…」


 ちょっとテンション低めにセルがナナシに抗議する。
 あ、と気がついて、ナナシは笑って誤魔化した。

 一方ケルビムは、ナナシの疑問も意に介さずにノリノリである。


「よかろう!
 富の偏在を無くすため、貴様を倒す!
 男と女というのは、一対一の付き合いがよいのだ!
 複数の女性を同時に、しかも平等に愛するなど出来るものか!
 貴様のように一人で何人も囲うタラシがいるから、我々のようなモテない男が生み出されてしまうのだ!」


「たわけ!
 そのような心構えであるかぎり、モテる事はおろか人に惚れられる事すらないわ!
 愛しい人はどれだけ居ても、その愛が冷める事も薄まる事もないのだ!
 大体その人物の魅力や性格に関わらず一対一に決まりきっているなど、それは共産主義と同じではないか!
 働いても働かなくても、他の皆と同じ分しか配給されない。
 努力してもしなくても同じなら、俺は日々ダラけて生きる。
 人はそれを悪平等というのだ!」


「我々が共産主義ならば、貴様は民主主義とでも言いたいのか!?
 ふざけるな!
 人は物ではないのだぞ!
 貴様がやっている事は、美学も何もなく金や宝石を買い集める成金の所業にすぎぬ!
 そもそもだな…」


「何を言う!
 だからそれは…」


「そうではなかろう!
 貴様は………」


 際限なくディープな会話に進みつつある。
 セルとナナシは、2人をボケっとして見つめていた。


「……何を言ってるのか、サッパリ解らねー…」


「そうですの…こんな事をしている場合ではありませんのに。
 時にセルさん、傭兵科の皆様から逃げなくてもよろしいんですの?
 ダーリンとの対決が終わったら、何か儀式があると…」


 セルは難しい顔をした。
 腕を組む。


「逃げたいのは山々なんですが…。
 まだケルビム…俺達と大河の対決は終わってないでしょう?
 対決が終わるまでに逃げないと儀式にかけられてバッドエンド。
 かと言って、今逃げると大河との対決が始まった時、ケルビムは一人になってしまう。
 言わば、我が身惜しさと戦友への義理の板挟みになっている訳です」


 セルは『大河が勝って全員気絶してくれれば丸く治まるんだが』と考え、頭を振ってその考えを振り払った。
 仲間の敗北を祈るなど、最低の行為である。

 が、ナナシはそれを見て何を思ったのか、傍らに落ちていた剣を拾い上げた。
 流石に抜かれていない。
 頑丈そうな鞘に納まっている。


「………?」


 セルが黙って見ていると、ナナシはセルの影に鞘を突き刺した。
 やはり何をしているのか理解できない。

 ナナシは自分の手を握ったり開いたりして、何かを確かめているようだ。
 今度はケルビムを見る。
 相変わらず大河と、妙に専門的な話をしていた。

 ナナシは足音を立てずにケルビムの背後に忍び寄る。
 ゆっくりと右手を上げ、ケルビムに向けた。

 セルは慌てて警告しようとするが、何故か体が動かない。


(こ、これは…まさか影縫いの術ってヤツか!?)


 ナナシがセルの影に鞘を突き刺したのはこの為だったらしい。
 こんな技能がナナシに備わっているとは思いもしなかったセルである。
 ちなみに、言うまでもなくこれは新機能の一つである。


(クッ、ケルビム気付け…!)


 声を出せず、心中で祈るセル。
 しかし次の瞬間、鋭い閃光が走ったかと思うと、ケルビムは力なく崩れ落ちた。


「だから高度経済成長とは……って、ケルビム?
 あ、ナナシ……何かしたのか?」


「えへへ。
 放っておくと何時までも続きそうだったから、強制終了ですの。
 新機能・雷様招来!
 いわゆる一つのスタンガンですの」


 帯電する右手を大河に見せる。
 へー、と感心する大河。
 その視線をセルにやると、まだ戦うのかと問いかける。
 同じく視線で否と返すセル。


「ナナシ、セルを開放してやってくれ」


「はーい。
 安楽死ですの?」


「…………!」


 怖い冗談を言うナナシに、必死で何かを伝えようとするセル。
 冗談だと解っていても、身動きが全く取れない状態で言われると文字通り冗談抜きに怖い。

 必死に呪縛を解こうとするセルに苦笑しながら、ナナシは鞘を抜き取った。


「……っはぁ!
 あー、自由に動けるって素晴らしいわ」


 再び動くようになった体を解し、セルは周囲を見回す。
 もう立っている者は大河、セル、ナナシのみ。

 計らずも、セルにとっては最良の展開になったようだ。
 コキコキ首を鳴らして、荷物を手に取った。


「もう帰るのか?」


「ああ、アルディアさんが帰ってきた時に出迎えなかったら、拗ねちまうからな」


「はいはい、ゴチソーサマですの」


「ま、この連中には適当に口裏を合わせておくよ」


「感謝するぜ、親友」


 冷やかすナナシに手を振って、セルは傭兵科生徒が起きださないうちにこの場を去った。
 少しの間見送って、大河はナナシに向き直る。


「さて、色々と余計な手間を食っちまったが、早い所ルビナスの所に行くか」

「ルビナスちゃん、新発明の自慢をしたくてウズウズしてるですの。
 遅くなればなるだけ、自慢話が長くなっちゃいそうですのよ」


 それはもう説明好きの某戦艦の医者みたいに。
 マッドは説明しだしたら止まらない。
 勘弁してくれ、と呟いて大河とナナシは駆け出した。

 まぁネコりりぃの事なら何時間だって語り合ってやる、という心情もあるにはあるのだが、この場合ネコりりぃではなくて発明品の事になるのが目に見えている。

 どういう理屈か、大河の怪我はもう殆ど治っていた。
 あっという間に駆けていく2人。

 その後には、気絶したままの傭兵科生徒一同が残される。
 しかし彼らは風邪を引かない。
 なぜなら、例え意識を失っていても、鉄をも溶かすイキな3,000℃がその心の中で漲っているからだ。
 ああ、しっと団よ永遠なれ。


 余談だが、誰一人として彼らを部屋に運んでやろうとか考える者は居なかったようだ。




新年あけましておめでとうございます!
今年も宜しくお願い申し上げます。
お年玉を…冗談です、すいません。
レスが戴けるだけで無情の喜びです。

ちょっと文字を大きくしすぎてしまいました。
我ながら読みにくい...すみませんでした<m(__)m>


友人からスパロボを借りて初めてやってみたんですが…思いっきり嵌まりました。
ネタが欲しいだけだったから、かなりズルしましたけど…。

ざ、斬艦刀がマジでスゲー!
ネタとしては知ってたけど、改めて見るとまた…。
アレでデカブツを一刀両断にする快感に病みつきです。
最初は斬艦刀一文字斬りが一番でしたが、最近では雲耀の太刀の時、気がつけば合わせて「チェストォォォォ」と呟いている始末です。
流石に叫びません……未熟!


それではレス返しです!
スパロボに夢中になって、投稿を忘れかけたオバカさんでした。

1.鈴音様
はは、やっぱりベタでしたか…。

破滅の軍団がアクティブなのは、総大将がアレだからでは?
あの様子を見て、部下達が「自分達がどーにかせねば!」と思ったとか。


2.くろこげ様
骨折ってそんな感じだったっけ…?
一回右足の親指が折れた事があるけど……でもあの後、自転車で家に帰ったしなぁ…。

後始末も自滅って、何やら黒い事を仰いますね。
いっそ奴らが哀れよ…。
しかし景品を一名だけに限定させると、連中が足を引っ張り合うと思うのですがw


3.神曲様
こ、この場合の偉い人と言うと……私?

枕に使ったのは、薬などという上等なモノではないんです。
別に調合とかもしてません。
あれが何だったかは、多分次の次あたりで判明します。

Gガンキャラ…確かに違和感はありませんが…クレア様が馬になっておられる!?


4.沙耶様
いえいえ、時守も半分忘れかけてましたから。
あんまり使い所がないしなぁ…。

何時の間にかネコりりぃが所有物として扱われているよーですが…まぁ、寝不足にならないように祈ってます。


5.砂糖様
うぉっぷ、それはまた荒行ですな…。
塩で相殺しないとw

明るく振舞ってはいますけど、やっぱりショックが大きいでしょう。
そこで、悪夢を駆逐するためにネコりりぃを…いえいえ、これは2話ほど先の話で。

ミミがなくてもネコはネコ。
しかしどっかの二頭身ロボットはタヌキになりましたがw
ああ、ネコもいいけどイヌもいいなぁ。
近付くと「撫でてくれ」と言わんばかりに擦り寄ってくるイヌ…。
ネコりりぃとイヌカエデのコラボとか、いつかやってみたい…。


6.アレス=アンバー様
触手でいじいじは無かったでしょうねぇ。
魔物自体がかなりギリギリの状態だったから、余計な事をせずにサクっと殺ってたと思います。

おニューボディのお披露目…どうしよう、折角つけた機能を披露する機会が殆ど無い。
2人の戦闘シーンはかなり遠いし、そうなると日常の細々とした機能ばかり…うぅ、燃えない…。

リリィのオシオキは、かなり悲惨な事になりそうです。
しかも丸々一話分以上は使います。
録画をミュリエルに見せる事はないですね、必要ありませんから。
その代わり、誰かさんが他の映像を見ます。


7.3×3EVIL様
読みにくかったですか?
誤字が多かったのは確かですが、普段通りに書いたつもりなのですが…。
風邪を引いてた覚えもないし…何でだろう…?

エレカとバトらせると、今後の展開にちょっと差し支えが…。
もし大河君がエレカの顔を見ていたら、ストーリーが急展開する可能性がありましたので。

親子丼は、この章の終わりまでお待ちください。
なーに、あと3週間ほどですよ(遠ッ!)


8.竜神帝様
セル君、とうとう捕まってしまいましたw
何とか切り抜けたようですが、結局衣装の謎は解けないまま…。


9&10よしね君様
クレアルートに入れないんですか?
時守はまだリリィルートをうろちょろしてますが…てっきり、タイトル画面の一番下にある項目あたりから入るのかと…。

リリィに魔法少女やらせても、元が同じく魔法少女ですから…。
…でもフリフリレースとか着せてみるのは面白そうですなw

イムは昔の望みの事なんぞ、もーとっくに忘れてますw

お察しの通り、他爆装置は大魔王アリスのアレです。
サイコロで爆破を出したかった……本棚のどこに埋もれているんだろう…。


11.なまけもの様
ロベリアによる強化…というより、実を言うとアレは…(汗)

えぇ全くですね、リリィが無事だっただけで万々歳ですよ。
あの触手の村長に、本気で殺意を抱いたものです。

むぅ、生き残りを探す描写をするのをすっかり忘れていた…不覚。
カスケード君は無事ですよ。
これから先、一回だけ出てくるかもしれません。


12.流星様
いやぁ、アザリン様でもそこまではやりませんよ。
諜報員を送り込むにしても、少なくとも足手纏いにならない程度に使える人を選びます。

ところで…仮にエレカが触手の村長の位置で、リリィに触手プレイを強要した場合…判決は死刑でしょうか?
ちなみにエレカはそこそこ美少女です。


13.竜の抜け殻様
何だか忙しいようで、ご苦労様です。
戦闘シーンには満足いただけたでしょうか?
どうも別の方向に意識が行ってるみたいですがw

残りの破滅の将…イムはMになったし、ムドウとシェザルはほぼ決定。
ダウニーはあのザマだし、そうなるとオリキャラとロベリアのみか…。
……もう一捻りしたいところです。


14.カシス・ユウ・シンクレア様
私も早い所クレア様ルートに行かなければと思っているのですが…どうしても手がスパロボの方に。
一日に4話くらいのペースで進めています…時々丸一日スパロボになりますが。

原作のときから、デレ時の破壊力が大きかったですもんねぇ。
デートイベントの時なんて、女王様風味の格好でテレ隠しに怒鳴ってるのがまた…。
先日DSDで再び目の当たりにして、どーしてもストーリーを進められずに立ち往生してましたw

DSDで色々と変っているといえば…コンフィグ画面でボタン配置を変えようとした時に、「ハイパーモード」なるモノを発見しました。
L1で発動するようなのですが、戦闘中に押しても何も起きません。
ナンでしょこれ?


15.アルカンシェル様
あけましておめでとうございます!

この際だから魔物もちょっと壊れさせようとは思ってるんですよね。
元々DSの魔物って、どこかマヌケな連中が多いですし。
“破滅”でさえなければ、結構仲良くなれるんじゃないかと思うくらいに。
自ら破滅するから、だったらいっその事『自爆の将』と改名させたいですな。

そう、スーツはなくなりました。
しかしミミとシッポはまだ生きている!
復活の準備は整った、さあリリィを服従させて(これで一話)飲ませてネコミミを復活させる(これで一話)のだ!
…復活は2話ほど先になりそうです。
お年玉代わりに投下したかったのに…。


16.悠真様
あの薬は薬じゃなくて、ただの……なんですけどねw
何はともあれ、ネコりりぃを堪能していただいたようで何よりです。

カスケードは無事ですよ。
その辺に放り出されていますから、今は野生化しかけていますけど。

負けてレベルアップ…。
いかん、今の予定では負ける前にメチャクチャパワーアップしてしまう。
しかもそのままの状態だったら、ガンダムとでも生身で殴りあえるようになってしまう…。
マスターな人には勝てないでしょうけど、ちょっと洒落にならない事に…。

オリジナル技ですか…ゲームで使っている術を使って、他のゲームや漫画の技を再現するっていうなら幾つか思いついてます。


17.ATK51様
謹賀新年、です。
伏せカード…かな?
伏せは伏せでも……。

ロベリア…ああ、あの方ですか、巴里の怪盗。
……あっちの方が色っぽいかなぁ。

自分での判断については、本当は常にやっている筈なんですけどね…。
流される事、選択しない事は選択とは認められていません。
という事は、選択とは選ぶ事ではなく、決める事なのでしょうか。
…ちなみに悪魔のミカタの堂島コウからの引用です。

全員がネコ化はちょっとワンパターン過ぎますから、やるなら種別を色々変えてみようと思います。


18.K・K様
オギャンオス!

救世主クラス初の実戦は、一応禁書庫での戦いなのでは?

そう言えばリコも知りませんでした。
未装備ネコりりぃ以前に、凄い説教か物凄い折檻がリリィに直撃するかと…。

双子にしようかとも思ったのですが、一応色違いの姉妹が居ますから。
完全に同じにしようにも、それは別のネタに被るので…。


19.ナイトメア様
あけましておめでとうございます。
おお、なにやら芸風が変わっておられますね。
ナナシにはアレな機能を一杯つける予定でしたが…どれにしよう?
超機人大戦をやっていたら、これいいなーと思う機能が色々…。
とりあえずグルンガスト参式のドリルブーストナックルをつけてみました。
さて、ルビナスをどうするか…。

未亜は…ギリギリ? 境界線?
まだ実行犯にはなってません…一応。

上海シリーズですか…名前は聞いた事がありましたけど…聖地に行った事ありませんので…(涙)
今度ググって見物してみます。

吸血鬼シリーズ…ヴァンパイアハンターですか?
時守的にはワンコはカエデだったのですが、DSDで見事にバニーに変りましたねぇ…。
ナナシがダボダボの服…いいかも。
容姿だけじゃなくて、暗器の代わりに内臓兵器も使える事だし…。
それにしても…凄まじい執念。
そんなにょぅι゛ょが好きですか。
ならいっそ、巫女さん大河を……。


20.水城様
年末年始はキツイですねぇ…。
一部を除き学生には楽なモノなんですけど。

ネコりりぃが固有結界!? 誰の心象風景なんだろう…。
ルビナスはグラマラスで、ナナシは出るトコ出てますが…萌え死しちゃってませんよね?
まだ出てきたばかりだし。


21&22.舞ーエンジェル様
時守も早いところクレアルートに行かねば…。
ブルマと来ましたか、キレそうだから辛うじて避けていたのに…。
よし、キレよう。
どこかで無理矢理にでもシーンを入れよう。
ところで、体操服はブルマから出すべきでしょうか出さないべきでしょうか。
時守的には出していたほうが…。

お風呂で親子丼かぁ………む、フローリア学園の公共浴場じゃ無理ですね…。
学園長の家辺りに行かないと…。
最初の親子丼は、ぢつを言うともうほぼ書ききってしまっているので、かなーり先になりそうです。
オリジナル展開は入りまくって、一段落しないと…。

体操服から、さくらんぼが透けて見えますな。


23.神〔SIN〕様
クレア様大人バージョンがあるのか…これはスパロボを一端中止して、DSDに集中しようかな?
でも借り物だから、いつまでも積んでるわけにもいかないし…。

殺さないでギャグキャラに、か…う〜む、少なくとも一人は当面の死が決定してるんですけど…。

魔王に関しては、神話その他とは全く関係ありません。
…この際だからちょっとだけネタばらししちゃいますが、彼らが魔王と名乗っているのは、ネットワークの最初の一人が戯れに名乗った呼称をそのまま使っているだけです。
その者が魔王と名乗ったのは、○○の罪を背負って生きるからなのです。
はい、魔王に関してはこれ以上はノーコメント。
順調に話が進めば、クライマックス付近で魔王の由来が出てきます。

ダウニーとの薔薇モノ?
多分聖地で誰かが買っていったんじゃないでしょうか。
フローリア学園にあるかどうかも定かではありません。


24.なな月様
あけおめ、同じく積みゲー消化中の時守です。
今年もよろしくお願いします。

コタツの中で寝そべって、弛緩しきっているネコりりぃ…イイ!

アンソロジーですか…値段次第ですが、ちょっと様子を見るべきかなぁ…?
破滅の将がケモノ美少女だった日には、大河が速攻で暴走してしまうではないですか。

汁!?
汗じゃなくて汁!?


25.ディディー様
どーもシリアスが性に…というか指に合わないようですw

はっはっは、そろそろリリィも自分から受け入れに行きますぜ。

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