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「幻想砕きの剣 7-7(DUEL SAVIOR)」

時守 暦 (2005-12-28 19:51/2005-12-28 21:34)
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 大河達が乗った馬車が村に到着する少し前。
 リリィはエレカに協力してもらい、魔物に奇襲をかける算段をつけていた。
 普段通りにエレカが食料を渡し、その瞬間に壁ごとブチ抜いて攻撃。
 正直な話、勝算は高いとは言えない。
 しかし現段階では、これ以上の策は無い。


「そ、それじゃあ行って来ます!」


「ええ、よろしくお願い…。
 (……これでよかったのかな………)」


 自分の選択に疑問を抱いたリリィだが、もう遅い。
 ここまで来たら、迷っている暇は無い。
 突き進むのみである。

 エレカを送り出したリリィは、窓から見えない死角を計算し、そのルートを伝って建物…村長の家に近付いた。
 壁に張り付き、目標の窓を確認する。
 口の中で呪文を呟き、リリィはレビテーションを使って浮かび上がった。


「よっ……と…おっとと…」


 フラフラしながらも、目標の窓に近付く。
 その時、窓がゆっくり開かれた。
 一瞬固まったリリィだが、そこからエレカが顔を出したのを見て溜息をつく。


「リリィさん…大丈夫ですか? (うわ、浮いてる…)」


「ええ…。
 それより、段取りはいいわね?」


「はい。
 それじゃあ、40秒後に…」


 リリィは頷き、窓から離れる。
 エレカも首を引っ込めた。

 エレカはそのまま廊下を歩いて、人質が囚われている部屋に向かう。
 一方リリィは、魔物が居ると思われる壁の傍まで急いで移動し、魔力を溜め始めた。

 ジリジリと時間が経過する。

 現在20秒。
 エレカが部屋の扉を開けた頃だ。
 リリィは魔力を貯め始める。

 30秒。
 予定通りに行っていれば、人質に脱出の準備をするように伝え、そろそろ撤退する頃だ。

 35秒。


 …3。


 …2。


 …1!


「パルス・インパルスッ!」(奇襲なので小声)


ドゴオオォォォォン!


 リリィは貯めに溜めた魔力の一部を使い、壁をブチ破った!
 濛々とした煙が舞い、リリィの視界を覆う。
 その中で、ノッソリ動く大きな塊が一つ。


「そこか!
 アークディアクル!」


 狙いを定めて、リリィは氷を放った。
 周囲の粉塵を凍りつかせながら、リリィの放った氷は魔物に向って直進する。
 魔物も突然の奇襲に混乱していたのか、避ける暇もなく直撃。
 大きな氷のオブジェが出来上がった。
 粉塵の一部が凍りつき、視界が少し晴れた。
 氷に閉じ込められたモンスターも姿が垣間見える。


(甲羅に、無数の触手…なるほど、エレカの言った通りだわ)
「エレカ!
 人質を連れて逃げなさい!」


「は、はいっ!」


 粉塵の中から、エレカの声が返ってくる。
 しかし腰でも抜かしたのか、逃げていく足音は全く聞こえない。
 歯噛みしたリリィは、出力を落してアークディルを連射する。
 ダメージよりも、動きを止めるのが目的だ。
 だが氷がブルブル震えだす。
 中の魔物が、自由になろうとして抵抗しているのだ。


「くっ、もう…!」


 氷の揺れが激しくなる。
 ヒビが何本も入り、リリィのアークディルでは補強が間に合わない。

バキン!

 ついに魔物の触手の一本が、氷を突き破って飛び出した。
 反射的に氷を放つ手を休め、回避行動を取ろうとしたリリィだが、一瞬遅かった。


「痛っ…!」


 その一本は、致命傷こそ与えなかったものの、リリィの足に切り傷を刻んだ。
 しかしそれほど深い傷ではなく、放っておいても致命傷になったりはしない。
 無視して反撃しようとしたリリィだったが、粉塵が収まった部屋の中を見て動きが止まる。

死体。死体。死体死体死体残骸。

 人質と思しき、何人もの人々が無惨に殺されていた。
 ショックと怒りで、リリィの集中が途切れた。
 その隙を見逃すような魔物ではない。

 氷から解き放たれた魔物が、リリィを吹き飛ばさんと体当たりをかけてきた。
 リリィは咄嗟に後ろに下がり、壁に開けた大穴から飛び出した。
 残っていたレビテーションの効果で着地のショックを和らげ、すぐさま移動する。
 一拍置いて、魔物の巨体が落下してきた。
 ドスン、と大きく地面が揺れる。
 その揺れでリリィは少しバランスを崩したが、ブレイズノンを投げつけて牽制し、体勢を立て直す。
 4メートル程の距離を置いて、リリィと魔物は向かい合った。
 隙を窺うリリィ。
 が、魔物は予想外の行動に出た。


「グゲゲ……ヤルナ…」


「! 喋れるの…!?」


「カカカ、ワレラ“ハメツ”ノモノハ、ロベリアサマノカゴノモト、ダレデモシャベレルワ。
 キサマラノコトバハ、ツカイニクイガナ…」


「ふん…まぁいいわ。
 殺された人達の仇、とらせてもらうわよ」


 そう言うと、リリィは再び術を編み始める。
 ……怒りのせいだろうか、さっきから目がチカチカする。
 妙な悪寒を感じる…実戦だからだろうか?


「死になさい!
 ヴォルテックス!」


 文字通り紫電の速さで、雷が宙を舞う。
 巨体ゆえの鈍重さを背負った魔物は、これを避ける事は出来ない。
 しかし触手を盾のように使い、電撃を防ぐ。
 逆に触手を一本、槍のように伸ばして反撃する。


「チッ!」


 舌打ちしながら、横っ飛びに避けるリリィ。
 が、着地と同時に足から少し力が抜けた。
 疑問に思う暇も無く、今度は5本の触手が迫ってきた。


「パルス!」


 リリィは魔力の塊を無数に生み出し、細かい制御をせずに飛び回らせた。
 触手のうち3本はパルスに弾かれ、残りの2本はリリィ自身が移動して避ける。
 しかし、リリィは自分の体の変調を明らかに感じ取っていた。


(か、体が重い…?
 さっきから視界にヘンな光が入る…。
 しまった、これは…)


「毒……!?」


「ヨウヤクキイテキタカ…」


 リリィがよろめいたのを見て、魔物はニヤリと笑った。
 何とか体を支え、解毒の術を使おうとするリリィ。
 しかし何分不慣れな術のため、効き目が現れるまで時間がかかってしまう。
 ルビナスから習ったばかりだし、やはり系統が違うのが決定的である。


「くそっ、何時の間に…」


「フン、ソノアシノキズヲツケタシュンカンカラ、ドクハマワリハジメテオッタワ」


 魔物の触手が最初に氷を破って出てきた時の攻撃で、リリィは毒を受けてしまっていた。
 聡明なリリィの事、どの攻撃によって毒を受けたのか解らなくても、接触による毒だろうとは見当がついている。
 それでも疑問に思うように口に出したのは、時間稼ぎのためだ。
 この手の魔物に通じるかは不安だったが、知能を持っている事が逆に幸いだったようだ。


「ソレニシテモ、ドーイウカラダヲシテイルノダ。
 ワシノドクヲウケテ、アレダケウゴキマワッタトイウノニ、マダタオレモセヌ。
 ドクニメンエキデモアルノカ?」


「…毒…に、免疫…」


 心当たりはある。
 先日ゼンジーから告げられた。禁書庫に潜った後の診療結果である。
 ゼンジーの話によると、リリィの傷口、服からは毒が検出されたというのに、当のリリィは全くの正常だった。
 理由は解らないが、少なくともリリィ自身の力ではないはずだ。
 自分で治療した覚えも、誰かに治療された覚えも無い。
 しかし、ある程度の予測はできる。

 まず、自分の体には恐らく毒が入り込んでいた。
 にも拘らず平気だったのは、体内の何かが毒を打ち消していたからだろう。
 体の外側にある毒には全くの手付かずだった事から、それが窺える。
 リリィにはそんな体質は無い。
 考えられるとすれば、何かが自分の体の中に注入されている可能性だが…そもそも、オートで毒を打ち消せるような便利な代物を、リリィは見た事が無かった。


(いえ…できそうなヤツが二人ほど居たわね…。
 ルビナスと………大河)


 ルビナスに関してはまだ解る。
 原理はさっぱり解らないが、何度も一緒に食事をしたりお茶をしたりしている。
 こっそり何か仕込んでいても不思議ではない。

 大河の方はさっぱり解らない。
 リリィにも、大河の手の内は読めないからだ。
 大河は連結魔術の使い手である。
 どんな使い方があるのかリリィはよく知らなかったが、あれだけ汎用性が高い技術であれば、そのくらいの事は出来てもおかしくない。

 そして、ルビナスは自分に何か仕掛けている暇があったら、ホムンクルスの生成や休憩、大河へのちょっかいに時間を費やすはずである。
 消去法で、大河が残った。


「……だとすれば、一番心当たりがあるのは何時ぞやの鎧と戦った時だけど…」


 異世界の魔力を変換して自分の体にストックしたり、その魔力で作り出された神水を飲んだ。
 その力が、まだリリィの中に残留しているのかもしれない。


「…結局……アイツに助けられたの…?」


 悔しげな顔をするリリィ。
 それを敗北の証と思っているのか、魔物は特に手出しをせずに、リリィが崩れ落ちるのを待っている。

 複雑な心境を一端脇に退けて、リリィはこの状況を打破すべく打算を巡らせる。


「うっ…」

ドサッ


 リリィは一声呻いて、膝を突く。
 毒が回ったらしい。
 苦々しげに、魔物を睨みつける。


「ヨウヤクタオレタカ。
 …フン、ソノカオツキガ、キニイランナ。
 ドレ……」


 魔物は足音を立てながら、ゆっくり近付いてくる。
 勝利を確信しているらしく、触手も殆どを甲羅の中にしまっていた。
 2本の触手を伸ばし、リリィの体を持ち上げようとする。

 が、その瞬間にリリィは消え去った!


「ナニ!?」


「くたばれええぇぇぇぇ!!!!!!」


 リリィの絶叫が、すぐ横から聞こえる。
 魔物は慌てて振り向こうとしたが、その短い足では素早い方向転換はムリである。


「ファルブレイズノン!!!!」


―――

ズゴオオォォォォォ………


GUOOOOooooGAAAAaaaaaa!!!!!!!」


 甲羅の隙間から、爆炎が叩き込まれる!
 密閉された空間で爆発した炎と衝撃は、内部で暴れまわり、魔物の内臓に深刻な衝撃を与え、甲羅にヒビを入れる。


「っはぁ、はぁ、はぁ……お生憎サマ。
 アンタの毒なんて、もうとっくに無効化されちゃってるわよ」


 原因はやはり不明だが、魔物の毒はリリィの動きを少し阻害する程度の働きしかしなかった。
 眩暈を感じ、体の力こそ抜けたものの、それもすぐに消え去った。
 解毒の呪文を使ったのが良かったのかもしれない。
 そこで毒が効いているフリをして油断を誘い、最大の一撃を叩き込んだ。
 気に入らなくても、大河に感謝すべきなのだろうと思うリリィだった。


「オ゛オ゛オ゛オ゛ォ゛ォ゛ォ゛………」


「くっ、まだ息がある…逃げるか!」


 爆発で息も絶え絶えになった魔物は、ヨロヨロと逃げ出そうとする。
 触手の半分近くが千切れ、甲羅にヒビが入り、内臓に酷い損傷を受けているとしても、魔物の生命力を甘く見てはならない。
 禁書庫の守護者ほどではないにしても、とにかく再生能力が強かったり、死ににくかったりするからだ。
 この機を逃せば、自分が回復しきらないうちにまた襲ってくる可能性がある。
 もしそうなった場合、リリィは勝てると言い切れない。


「このっ…」


 残り少ない魔力を総動員し、何とかトドメを刺せるだけの術を編もうとするリリィ。
 しかしそれよりも早く、魔物は跳躍していた。
 残った触手をロープのように使い、村長の家の2階に逃げ込んだのである。

 フラフラしながらも立ち上がり、後を追おうとするリリィ。
 逃げ込んだ建物ごと崩壊させるのが最も確実なのだが、今のリリィにそれだけの力は残っていない。

 建物の構造を思い出そうとすると、ふと気がついた。


「エレカ……逃げてないの!?」


 奇襲をかけ、魔物を外に引きずり出してから充分な時間が経った。
 しかし、エレカが逃げ出した姿を全く見ていないのだ。
 村人達の…恐らくは父親も…死んだ姿を見て、ショックを受けて放心状態になっているのかもしれない。


「クッ……わ、私のせいで………!」


 後悔に沈むリリィ。
 だが、その時間さえも与えられない。


ドスン!


 大きな音に振り返ると、そこには魔物が再び飛び出してきていた。
 相変わらず重症だが、それよりも……。


「ウゴクナ!
 コノムスメヲコロスゾ!」


「ぐ…」


 エレカが触手の一本に捉えられていた。
 エレカは何も認識していないのか、騒ぎもしないし泣きもしない。
 ただ青白い顔のまま、脱力しているだけである。


「キサマハキケンダ…。
 オアソビナドセズニ、スグニコロス!」


 もう駆け引きの余地も無いようだ。
 魔物が遊び心を出して、痛めつけようとか考えているならば、まだチャンスはあった。
 だが、魔物はリリィを排除する事しか考えていない。

 例えリリィが大人しく殺された所で、次にはエレカも殺される。
 しかも、徹底的に嬲られて。
 ならば人質がいようとも動くのが正しい選択なのかもしれないが、リリィはそこまで割り切れるような人間ではない。

 ピタリと触手の一本がリリィに狙いを定める。
 それを睨みつけて、リリィは最後のチャンスだと言い聞かせた。


(あの触手に、電撃を叩き込む…。
 私は死ぬだろうけど、これで倒せればエレカは助けられる…。
 ……………ごめんなさい、お義母様…。
 私の浅はかな判断で…。
 ………ごめんね、みんな…)


 リリィは覚悟を決めた。
 気付かれぬように、かつ急いで魔力を練り上げる。
 その構成が完成する寸前。


「シネ!」


「!」


 魔物の触手が、一直線に伸びる!
 魔法の詠唱は間に合わない。


(そんな…)


 リリィの体を一瞬絶望が支配した。
 一瞬がやけに長く感じる。
 しかし、体は全く動かない。
 ゆっくりと伸びてくる触手を目に写し、それでも何とか足掻こうとした。
 自分の体を貫いた瞬間に触手を掴み、ヴォルテカノンでトドメを刺す。

 風を切る二つの音を聞きながら、リリィは奥歯を噛み締めた。


(………?
 風を切る音が…二つ?)


 疑問を感じた瞬間、リリィの時間は元に戻った。


 ビュッ!

 ガキィン!


「!?」


「グアッ…」


 伸びてきた触手は、横から凄まじい勢いで飛んできた何かに切断された!
 思わず目をやると、そこにはえらく鋭い光を放つ、フリスビーのような物…円月輪が壁にめり込んでいた。
 疑問を抱くよりも早く、聞きなれた声が響く。


「トレイター、戻れ!
 カエデ、人質を捕らえている触手をぶった斬れ、未亜は援護!
 そこのボーッとしてる鉄砲玉娘、お前は回復に専念しろ!
 あとでお仕置きだからな!」


「え……え、ええ!?
 た、大河!?
 カエデと未亜まで…」


「ベリオ殿とリコ殿も来ているでござるよ。
 ちょっと遅れるでござるが」


 通りぬけ様に、カエデがリリィに囁く。
 そのまま疾風の速さでエレカに走り寄り、彼女を拘束していた触手をクナイで断ち切った。
 触手から血が流れ出すが、今のカエデはゴーグルを着けているので見えていない。
 カエデはエレカを抱えて一端退こうとするが、今度は別の触手が伸びてきた。


「ニガ……サン……!」


 魔物も必死である。
 エレカは現在、唯一の生命線と言っていい。
 まだ戦えない事も無いが、戦力差は歴然としている。
 押し込まれて仕留められるのが目に見えていた。


「ええいっ!」


 必死でエレカを取り戻そうとする魔物だが、その足元に矢が突き立った。
 次の瞬間、魔物の体に電流が走る!


「グガガガガ…!」


 未亜が放った、ライトニングアローである。
 魔物が足止めされている間に、カエデは一気に離脱した。

 次の瞬間、大河が斬り込む。
 トレイターを普通の剣の形に戻し、まだ動く触手を数本ずつ纏めて叩き切る。


「コノッ…!」


 魔物が大きく飛び上がり、上空から触手を放つ。
 しかし、そこに走りこんでくる人物が一人…ベリオである。


「ホーリーウォール!」

 グシャグシャグシャ


「凍らせて」


 斥力の壁にモロに突っ込んだ触手は、強い圧力をかけられて引きちぎれる。
 さらに次の瞬間、ベリオの後ろから出てきたリコが、ネクロノミコンを使役して冷気を吹きかけた。
 千切れた触手が凍りつく。
 もう魔物は満身創痍である。


「み、みんな…」


 リリィが思わず言葉を失う。
 が、次の瞬間全員からドギツイ目で睨みつけられた。


「うっ…」 


「無謀」

「短慮」

「アホ」

「トンマ」

「へっぽこ」


「ううぅ…」


 口々に、シンプルかつ反論できない言葉でチクチク苛められ、リリィはちょっと泣きそうになった。
 内心涙しながらも、八つ当たり気味に魔物を睨みつける。

 隣に居るカエデに、小声で話しかけた。


「エレカ…さっきの子は?」


「向こうにいる御者さんの所に置いてきたでござる。
 あの馬達はとてもとても賢い故…そう、自分の力と状況も省みずに一人で出て行く鉄砲玉よりも賢いゆえ、大丈夫でござろう」

「そ、そぉ…」


 カエデも結構怒っている。
 これは後で総攻撃を喰らうな、と未来予測を立てて、リリィは少し暗い気分になった。

 しかし今は戦闘中である。
 相手が手負いと言えども、油断は即刻死に繋がる。


(とにかくコイツをブッ血KILL!)


 完全に八つ当たりだ。
 高まるリリィの魔力に呼応したかのように、大河達は一斉に攻撃を開始した。 


「ストレートアロー!」

 グオゥッ!


 未亜の渾身の一撃が、真っ直ぐに魔物に向かう。
 叩き落そうとした魔物だが、未亜が「召喚器の力が強くなっている」と言ったのは伊達ではない。
 なんと叩き落そうとした腕を、逆に弾き飛ばしてしまった。


ガギャンッ!


 魔物の甲羅を貫いて、矢が突き刺さる。
 しかし、痛がる様子は見せない。
 どうやら生死の境目で、余計な感覚はシャットアウトされているようだ。

 続いて大河とカエデが同時に走る。
 カエデが懐から取り出したクナイを一斉に投げると、魔物は首を引っ込め、未亜の矢に砕かれて出来た穴を庇う。
 しかし大河は構わず直進すると、穴ではなく今にも完全に壊れそうな甲羅に狙いを定めた。
 トレイターを手甲に変え、同時に爆発機能を付ける。


「砕け散れェ!」

ガッ ズドォォン!


 大河の雄叫び通りに、甲羅は完膚なきまでに砕け散った。
 好機とばかりにカエデが詰め寄る。


「鬼神! 槍! 連! 脚ーーーー!!!!」


 文字通り槍を連想させるような鋭い蹴りの嵐が、無防備になった魔物の体に幾つもの足跡を刻み込む。
 異音が響く所からして、全身の骨を砕かれているのだろう。

 そしてカエデがトドメの一蹴りで吹き飛ばすと、そこにはリコが待っていた。


「……ハルダマー」


 カエデに吹き飛ばされた魔物は、見事にリコが作り出した重力場に飲み込まれる。
 そして、魔物の上に大きな影が落ちる。


「ホーリー……」

「パルス……」


 上空に、ベリオが作り出したエネルギー塊が浮かんでいる。
 そしてそのもう少し上に、リリィが魔力を放つ寸前の体勢でジャンプしている。

 そして、その光景が魔物が最後に見た光景だった。


「スプラッシュ!」
「インパルス!」


 落下し始めたホーリースプラッシュを、後ろからパルスインパルスが後押しする。
 やがて二つのエネルギー塊は交じり合い、溶け合い、一つのエネルギーとなった。
 普段ベリオが使っているのとは段違いに大きいホーリースプラッシュの完成である。
 落下し、魔物に直撃した瞬間、エネルギー塊は一気に弾け飛ぶ。
 天に向かって、巨大な光の柱がそそり立った。

 光の柱は少しずつ細くなっていく。
 数秒もすると、完全に消えてしまった。
 その爆発後には、もう何も残っていない。
 クレーターさえも無い。
 あるのは滑らかな穴ボコのみ。
 その強力すぎる破壊力は、土を綺麗サッパリ消し飛ばしてしまったようである。

 その破壊力に、放ったベリオとリリィも言葉を無くす。
 とにかく、魔物は完全に吹き飛んだようである。


「やった…みたいだな」


 大河の言葉を皮切りに、リリィ達は一気に力が抜けた。
 それでもカエデは警戒を怠っていない辺り、流石は忍者と言った所か。
 それぞれ壁によりかかったり地面に座り込んだりして、思い思いの体勢で休んでいる。

 何も言われないが、その分気まずいリリィ。
 謝ろうにもそれだけの気力が残っていないし、どんな顔を見せればいいのか。
 功を焦って(理由はどうあれそう見える)単身抜け駆けし、一般人を危険に巻き込み、挙句死が決定したと思ったら助けられる。
 メンツ丸潰れである。

 リリィが取るべき態度に迷っていると、大河がそれに頓着せずに話しかけてきた。


「リリィ、状況は?」


「え?」


「だから、生存者は?
 他に魔物は?
 さっきの女の子は誰だ?
 戦えていたから大丈夫だとは思うが、今すぐ手当てしないと危険な傷は?」


「あ、あぁ…。
 生存者は…さっきの女の子と、村から離れた洞窟に何人か避難してるらしいわ。
 魔物はあの一匹だけだったみたい。
 さっきの子は……毒牙にかけそうだからノーコメント。
 体の傷は……まぁ、大丈夫…みたい。

 あの、大河…ちょっと聞きたいんだけどさ…」


 接する態度に困りながらも、リリィは大河に答える。
 ついでだから、毒が中和された理由に心当たりがないか聞いてみた。


「毒…!?」


「あ、大丈夫よ、もう中和してあるから」


「そ、そうか…。
 ………俺が原因だとしたら、やっぱり連結魔術だよな…。
 確かにそういう現象はあるけど…いやまて、理論的には…ん?」


 大河は学園地下で、神水を作り出した時の術の構成を思い出す。


(あの時の構成…確か……。
 ……エネルギー源決定…。
 変換対象の分析……事前の情報に間違いなし。
 変換後の形式決定…。

 …オーマ連結開始……第一法則連結完了。
 第二法則連結問題なし。
 第三法則連結、エラーあり。
 第四法則連結……完了。

 エラー値を移動……第三法則57番地に割り込み成功。
 変換開始…質量定義…ゼロ………問題なし。
 寿命設定……特になし…ただし影響が出るようなら、10秒後に停止。
 変換……物質に注入、幻影シミュレーション経過、実体化開始……OK。
 準備完了。

 …………周辺との整合問題なし。

 ………ただし影響が出るようなら?)


 そこまで考えて、致命的なミスに気付いた。


「あ……変換した対象の、不祥事が無かった場合の寿命を決めてない…。
 なるほど、空間にかかっている負荷が中々消えなかったのもそれが理由か。
 今すぐ…はまだ毒が消えきってないかもしれないから、帰りに消しておくか…」


 これが毒が中和された原因であった。
 寿命の設定を忘れていたため、癒しの魔力は神水と供にリリィの中に染み込み、そのまま残留していたのである。
 さすがに裂傷の類は治せないが、打撲や毒の類は問答無用で治療できる。
 禁書庫で毒が無効かされていたのも、これが理由だ。

 ついでに言うと、連結魔術を使った痕跡である負担が妙に後を引いていたのは、リリィの体の中に在る筈の無いモノ…寿命のない魔力が内包されていたからである。
 普通なら定められた寿命に従って消え去るのだが、その設定を忘れたばかりにずっと存在し続け、空間に負担を与えていたのだろう。
 失敗失敗と頭を掻く大河だが、リリィとしてはそのドジに感謝していた。
 怪我の功名、人間万事塞翁が馬である。

 ベリオが急に立ち上がった。


「どした?」


「さっきの女の子の様子を見てきます。
 敵が居そうにないとはいえ、御者さんも放っておく訳にはいきませんから…」


 そう言われて、未亜達は気絶した御者を放置したままだったのを思い出した。
 それぞれ立ち上がり、体をゴキゴキと慣らす。
 怪我は大した事はないが、気分が悪い。
 ぶっちゃけた話、リリィは毒を強引に分解した後遺症、そして他は半日かかる距離を短時間で突っ走って来た代償である。
 要するに車酔い…馬車酔いだ。
 緊張が解けた反動で、一気に吹き出てきたらしい。
 どちらかと言うと揺れよりも心理的な要因が原因だったが、そっちの方が酷い…。

 ゾロゾロと一応警戒しながらも戻る大河達。
 警戒しているとはいえ、やはり気が抜けているのは否めない。
 馬車が止められている場所を知らないので、リリィは自然と後ろを付いていく事になる。
 その間も、リリィは未亜から質問を受けていた。
 先走った事に関してではなく、状況についてである。


「それで、どうなったんです?」


「…結局エレカの押しに負けて、協力してもらう事にしちゃったわ。
 バカな事だって解ってたけど、どうしても…。

 それでエレカによると、どうも人質はちょっと前まで生きてたみたいなの。
 食料を運んでる時に、何度か接触したって…。
 煙幕で見えたのは一部だけだったけど、何人も殺されていた…」


「え、でもそれって、部屋全体を見たんじゃないんですよね?
 ひょっとして生き残りが…!」


「!!!」


 未亜の指摘に、リリィは顔を跳ね上げた。
 てっきり全員死んでいると思っていたが、よくよく考えてみると確認した訳ではない。
 何故今まで気付かなかったのか。
 慌てて引き返そうとするリリィだが、その腕をカエデが掴んだ。


「待つでござるリリィ殿!
 また先走るおつもりか!?
 見れば、すでにリリィ殿は戦える状態ではないでござる。
 ここは回復役のベリオ殿と拙者に任せ……ダメでござった、拙者は血が…では師匠に任せて、リリィ殿はここに居るでござる!」


「そうですね。
 一見した所、あのエレカという人には大した傷はありませんでした。
 簡単な毒の治療くらいなら、私でも充分です」


 カエデに諫められ、リコに言われて、リリィは少し俯いた。
 自業自得とはいえ、我ながら情けないと思う。

 ベリオと大河は、既に走り出していた。
 なぜか未亜も大河に連れられている。
 まぁ、人数的には妥当だろう。
 それを複雑な心境で見送って、リリィ達は馬車まで歩き出した。


「エレカ?
 エレカ…?
 カエデ、エレカは?」


「おかしいでござるな…そこに寝かせておいたのでござるが」


 馬車に到着し、エレカの姿を探すリリィだが、どういう訳か見当たらない。
 振り返ってカエデに聞くも、カエデも不思議そうだ。

 カエデはエレカを御者と一緒に、馬車の荷台に横たえておいた。
 念の為に扉も閉め、外から鍵までかけた。
 魔物が外から抉じ開けた訳でもなさそうだ。
 鍵も馬車も、全く壊れていない。
 しかし何故か扉が開いている。
 明らかに中から開けられているのだ。

 リコが馬車の中を覗きこむ。
 特に荒らされている様子も無く、御者が一人で眠っている。


「…居ませんね。
 何かに襲われた様子が無いのが救いですが…」


 突如、カエデが四つん這いになって耳を地面につける。
 何事かと目を丸くするリリィの前で、暫くカエデはじっとしていた。


「…ダメでござる。
 足音もしないという事は、この近くには居ないでござるよ」


「足跡はどうです?」


「………む…僅かながら…」


 この辺りの土は割りと柔らかく、歩けば微かに痕跡が残る。
 カエデはそれを追って歩き出した。
 本当に微かな痕跡なので、それを見極めるためにカエデは自然と四つん這いになって地面に顔を近づける事になる。
 リリィとリコは、まるで地面の匂いを嗅ぐ犬みたいだ、と同時に思った。

 リリィは内心焦っている。
 自分が協力を頼んだばっかりに、エレカは…。
 まだ致命的な事になったと決まってはいない。
 しかし、ここでまた先走っても同じ事の繰り返しになるだけである。
 グッと堪えるリリィだった。

 カエデが頭を上げる。


「……妙でござるな。
 小走りで、村の外に向かっているでござるよ」


「村の人たちの所に帰ろうとしたのでは?
 村から離れた所の洞窟に避難しているんでした…よね、リリィさん?」


「エレカはそう言っていたわよ」


 しかしカエデは納得しない。


「小走りで、と言ったでござろう?
 それに、この痕跡の少なさは……偶然ではござらん。
 明らかに足跡を残す事を避けるような歩き方でござる」


「でも、エレカがどうしてそんな事をする必要があるのよ?
 大体、エレカはどう見てもそんな事が出来る子じゃなかったわ」


「……そこが解らないんでござるよなぁ…」


 姿形で技能が変わる訳でもないが、カエデはエレカを抱きかかえたのである。
 その時の筋肉の付き方などから、戦闘訓練を受けた経験はないと判断した。

 第三者が連れ去った?
 否。
 鍵は内部から開けられていたし、外に出てからエレカを確保したのだとしても、それでは足跡が残る。
 エレカを担いで歩くなら、足元にかかる圧力は倍近くなるのだから。

 では本人が去って行った?
 何のために?
 魔物から逃げる為なら、こんな面倒な走り方はしない。
 操られている可能性も低い。


「とにかく、この足跡を追ってみるでござるよ。
 何者かの罠の可能性もある故、注意しておいてほしいでござる」


「解りました。
 リリィさんと2人で、結界を張ります。
 魔力を流すので、そちらのコントロールをお願いします」


「わかったわ」


 移動式の結界は、意外と難しい。
 一方にのみ張るのなら簡単だが、全方向に張り、移動の妨げにならないようにするのは高等技術である。

 カエデがゆっくり移動するのに合わせて、リコとリリィも進む。
 暫く歩くと、カエデが足を止めた。


「………足跡が消えたでござる。
 どうやら木に登って移動したようでござるが…」


 見上げるカエデ。
 リリィとリコにはさっぱり解らないが、カエデの目には木の上を移動して行った痕跡がはっきりと見えている。
 再び追跡を始めるカエデ達。
 結界を張っておいたが、結局罠も仕掛けられておらず、そのまま森を突っ切って出てしまった。

 カエデは再び地面を見る。


「…………完全に足跡が途絶えた…。
 追跡はもうムリでござるな。
 この道は…馬車が通ってきた道でござるが…」


 轍の後がはっきりと残っている。
 左右を見たが、やはり痕跡らしき物はなかった。
 土が固いのだ。


「カエデ…どうにか出来ない?」


「…エレカ殿が心配なのは解るでござるが、今は師匠達と合流した方が…。
 エレカ殿が何故こんな技術を持っているかは解らぬでござるが、何者かが奇襲をかけて来たら、今の拙者達だと勝てるかどうか分からぬでござる。
 あっちの方で何か発見があったかもしれぬでござるし」


「そうですね。
 エレカさんが何者なのかは知りませんが、一筋縄では行きそうにありません」


 カエデだけでなくリコにも言われ、リリィは納得行かないながらも承諾した。
 どの道、その道の専門家であるカエデが追跡不可能と言っている時点でもう打つ手はないのだ。

 今度は普通の道を通り、村に戻っていくリコ達。


「それにしても、すごい轍…。
 一体どんなスピードを出したの?」


「多分すぐに解かると思いますよ。
 あのパターンで行くと、帰りも同じくらいスピードを出しそうです」


「それはイヤでござるなぁ…。
 あ、この辺、多分リコ殿が瞬間移動で逃げた辺りでござる」


 カエデが何気なく言葉に棘を混ぜる。
 ちょっと冷や汗を垂らしながら、リコは後ろを歩いていた。
 前から前衛役のカエデ、戦える状態ではないリリィ、後衛のリコ。
 リリィを守る陣形である。

 何事もなく、村へ辿り着いた3人。
 破壊され、虐殺された後に心が痛む。

 しかしそうした所で、何が変るわけでもない。
 とにかく大河達と合流しようと、足を速める。
 相変わらず馬車の中で御者が眠っているのを確認し、また鍵をかけてから先を急ぐ。

 村長の家まで急いで来たリリィ達だが、そこまでの道のりに、リコは違和感を覚えていた。
 何かがおかしい。
 在るべき何かがない。
 その違和感の正体を掴めないまま、扉を開いて中に入る。


「師匠は?」


「2階が人質達が捕まっていた部屋よ。
 思いっきり壁が壊れていた所…。
 多分そこに居るわ」


 リリィの案内で3人は進む。
 ボロボロになっている階段を登り、穴が開いている廊下を歩き(何度か床を踏み抜いた。女としてちょっと屈辱)一際大きな扉を開けた。
 風が吹き込んでくる。
 思いのほか冷たい感触に首を縮込ませる。

 中に入ると、ベリオと未亜と大河がしゃがみ込んでいた。
 ドアの開いた音を聞いて、未亜が振り返る。
 酷く顔が青い。
 死体をモロに見てしまったのだろう。


「みんな、無事?」


「はい…こっちは、何も襲ってきてません…でも……」


 未亜が青い顔のまま、大河とベリオを見やる。
 何事かと目を向けると、大河が真剣な顔で、ベリオが痛ましげな顔で死体を覗き込んでいた。


「…ベリオさん?
 大河さん?」


 リコの声に、大河が振り返った。
 その表情には、明らかな疑問符が貼り付けられている。
 カエデが言葉を発する前に、大河がリリィに問いかけた。


「おいリリィ、あの…エレカって子は、昨日までは食料を届けて、人質と話もしてたんだよな?」


「え? ええ…。
 それに、お父さんが捕まっているって…。
 それが何よ?」


 大河は何も答えず、もう一度死体を覗き込んだ。
 一体何があるのかと、リリィ達は周囲を見回す。
 乾いた血、独特の匂い…そう、死骸が腐った匂い…。


「…腐った…匂い?」


 カエデはふと気付き、傍にあった死骸に近寄った。
 そして何かを確かめようとして、手を触れる。


「あ、血が…」


 が、血に触れて反射的に手を引っ込めた。
 だが凝固してしまっているせいか、トラウマは発動しなかったようだ。
 恐る恐るもう一度手を伸ばし、死骸に触れる。

 リコとリリィも近寄った。
 未亜は大河の隣で、震えながらも同じように死骸を見ている。
 カエデの手付きを見るに従って、リリィも何を調べているのか理解できた。
 そして、それと同時に混乱する。


「死後……少なくとも4日…でござるな」


 4日。
 それだけの時間があれば、腐るのには十分だろう。
 白骨化している死骸も在り、それ以外も蛆虫すら沸いている。
 ウジャウジャウジャウジャ蠢くそれを反射的に消し飛ばしたくなったが、それをやる訳にはいかない。
 情報を得られなくなるというのもあるが、それは死者に対してあまりにも酷というものだ。


「ベリオさん…他の死骸もですか?」


「ええ。
 一番新しい死骸でも、2日か3日以上は経っています。
 これでは……」


 エレカの証言と食い違う。
 リコが覚えた違和感も、その辺りが原因である。
 そこでリリィがふと気付いた。
 そもそもエレカが消えた事を知らせに来たのだ。


「そ、そうだった!
 エレカが、エレカがどっかに行っちゃったのよ!」


「行った?
 攫われたとか、そういうんじゃなくて?」


 未亜の疑問に、リリィは頷いて答える。
 馬車の鍵が中から開けられていた事、そして足跡を残さず去り、そして消えた事を、一息に述べ立てた。

 未亜は顔をしかめた。
 言ってはなんだが、あからさまに怪しい。
 エレカが消えただけなら誘拐の可能性もあるが、矛盾した証言の証拠を前にすると話は変ってくる。
 そう、エレカの言葉がウソだった、という可能性が現れるのだ。
 リリィはエレカへの感情移入からそういった発想は出てこないが、リコとカエデも未亜と同意見らしい。

 それを言うべきか迷う未亜。
 言うべきなのであろうが、リリィの受ける衝撃を考えるとどうしても躊躇う。
 しかしその顔を見て、リリィは未亜達が何を考えているのか悟ったらしい。
 一瞬激昂しかけるが、彼女達はエレカと話をしていないという事を思い出して気を静める。


「……エレカが怪しいと思うのは解るけど…。
 あの子、モンスターの人質に捕られてたのよ。
 大体どうしてエレカが…」


 そこまで言って、リリィは言葉を止めた。
 信じたくはないが、やはりこの言葉が脳裏をよぎる。
 “破滅”の民。

 エレカを信じたいという思いと疑念がぶつかり合い、言葉に詰まるリリィ。
 そのリリィに、大河は検死をしながら話しかけた。


「リリィ、その…人質になった経緯とかを教えてくれ」


「……ええ…。
 あの子に協力を頼んだ所までは話したわね?
 それで食料を届けてもらって、注意をそっちに向けたの。
 それで、注意がエレカに向けられているタイミングを見計らって、そこの壁を突き抜けて魔物に奇襲をかけたって訳。
 その魔物はすぐに外に出たんだけど、どうやらその時にはエレカは腰を抜かして動けなかったみたい。
 途中経過は省くけど、魔物を追い詰めたら、今度は魔物のヤツ、ここまで飛び上がってエレカを捕まえたわ。
 それからまた飛び降りてきて、盾にして私を殺そうとしていたの」


「………………そうか…」


 大河は暫く考え込んでいたが、急に立ち上がった。
 頭を振って気分を切り替え…周囲は死骸だらけなのでスッキリしなかったが…歩き出す。


「一端ここの捜索は中止だ。
 リリィ、馬に乗ってきたんだよな?
 どこに繋いでる?
 案内してくれ」


「繋いでないわ。
 帰りはアンタ達が来るだろうから、馬が何かに襲われた時に逃げられるようにしてたの。
 放っておいて食べられちゃったら寝覚めが悪いもんね」


 今度はリリィが先頭に立つ。
 大河が何を考えているのか訝しみながらも、リリィ達は村長の家を出た。


「ここがそうよ。
 …やっぱり居ないわね…。
 あれ?
 餌が箱ごと無くなってる…」


 リリィが連れて来たのは、村から少し離れた場所にある森だった。
 そこは比較的土が軟らかく、馬の蹄の後が残っている。
 一箇所を中心に、ウロウロウロウロしたような後。
 これはリリィが去った後に、自分はどうするべきか迷った跡だろう。
 しかしその一方で、どこか別の方向に向かって一直線に駆け出した跡が残っていた。


「これは…明らかに誰かが乗ってるよね」


 未亜が地面を見ながら言う。
 リコもそれに頷いた。
 ベリオは先程の死骸を間近で見て少し気分が悪くなったのか、黙りこくっている。

 カエデが木々の上を見上げた。


「……木の上に、何者かが移動した形跡があるでござる。
 この移動の仕方は……先程の足跡の主と同じでござるな」


「それは…つまりエレカって事?」


 リリィは恐る恐る聞いた。
 真実を知るのは恐ろしいが、目を背ける訳にはいかない。

 大河が顎を摩りながら言う。


「馬に乗って行ったのがエレカとやらだとすると……。
 こりゃ明らかに敵対行動だな…しかも意図された」


「そんな!」


「リリィだって、薄々気がついてるんだろ?
 エレカの証言と、あの家の死骸との食い違いは?
 例えリリィの奇襲で生き残りを吹き飛ばしちまったんだとしても、死体かその一部は残る。
 どちらも無かった。

 何故馬車の扉が中から開けられていた?
 その後、足跡を消して去った理由は?
 どうしてこんな、カエデ並みの身軽さを持っている?

 ここだってそうだ。
 馬は逃げたんじゃない。
 餌箱ごと持ち去られているんだから、誰かが回収して行ったと見るべきだろう。

 …実はさっき、この村の住民票を見つけたんだが」


 反論できないリリィに、大河は懐から取り出した、血がこびり付いた冊子を渡した。
 その意図を察して、黙って受け取るリリィ。
 無言でページを捲り、エレカ・セイヴンの名を探す。

 ………無い。
 ……無い。
 無い無い無い…。


「エレカの名前が…無い…」


 動かしがたい証拠を突きつけられて、ついにリリィは認めるしかなくなった。


「エレカは、この村の人間じゃない…。
 あの子は……“破滅”の民…?」


「そうでないとしても、彼女はもうここには居ないでしょう…」


 騙されていた。
 ひょっとしたら、魔物と戦い始めた時に逃げずに部屋に残っていたのは、人質として捕まったように見せかけ、リリィの行動を封じるためだったのかもしれない。
 エレカの行動の端々に、不審な点が覗いている。
 あの魔物は知性があったようだし、条件次第で取引が成立したとしてもおかしくない…あくまで可能性の話だが。
 世界を滅ぼす“破滅”の民を名乗る連中だし、自分の命をエサに使ったテロくらいなら平気でやりそうである。

 “破滅”に取り付かれるでもなく、“破滅”に与する民。
 召喚の塔爆破の際にも告げられたが、心のどこかで「まさか」という思いがあった。
 “破滅”のモンスター達を倒せばそれで終わりだ、と思いたかったのかもしれない。
 だがその幻想は終わりを告げる。
 リリィ達は人間が敵になる事がある、と初めてはっきりと認識した。

 だが人質の事はともかくとして、エレカから教えられた魔物の情報は本当だった。
 態々敵に、本当の情報を教える必要はないはずだ。
 それに本当に敵対行動をとるなら、大河達が乗ってきた馬車を破壊するという手もあっただろう。
 ぶっちゃけた話、敵対行動にしては行動が中途半端なのだ。
 何より、リリィは彼女が懇願する時に見せた目がウソだとは、どうしても思えなかった。
 だが何か訳があったのだ、で済ますには、リリィの“破滅”に対する感情は深すぎる。

 真偽の程はどうあれ、この村に留まる理由はもう無い。
 生存者は一人も居なかった。
 これ以上留まっても、危険が増すだけである。


「せめて、埋葬くらいはしてあげたいけど…」


 ベリオが鎮痛な表情で言う。
 しかし小さな村とはいえそれなりに人数は居る。
 全員を埋葬するのは、時間がかかりすぎた。


「じゃあ、いっそ火葬にでもするか?
 纏めて焼こうにも、触っただけで殆どの死体は崩れるから、その場で焼かないと…。
 あっちこっちで死んでるから、村ごと焼き払う事になると思うが…」


「……いえ…。
 それでは周囲の森を巻き込む危険があります。
 それに、この村はここの人達が生きていた証です。
 火葬のためとは言え、全てを葬り去るのは忍びない……」


 結局、もう出来る事は無いのだ。
 精々帰還してから、この村の埋葬を頼むくらいだ。
 それもこの時勢では、何時になるか解ったモノではない。

 大河達の胸に、無力感が飛来する。
 例え召喚器を使える救世主候補と言えども、所詮は単なる一個人だ。
 伸ばした手は意外と遠くまで届くこともあるが、決して無限に伸ばせる訳ではないのだ。
 助けられない者は、どうやっても助けられない。
 助けられる者しか助けられない。
 それが無性に悔しかった。


 とにかく、何時までも落ち込んでいても仕方がない。
 今は帰還する事が先決である。

 馬車に戻ると、既に御者は起きだしていた。
 馬達の世話をしていたが、帰ってきた大河達を見て手を止めた。


「御者さん、怪我とかありませんか?」


「ん? ああ、お蔭様で…。
 ところで、もうお帰りかい?」


「ああ、これ以上ここに居ても仕方がない。
 また何か来ない内に、さっさと帰ったほうが身のためだ」


 肩を竦める大河。
 そこに悔恨や無力感を読み取ったのか、御者は何も言わずに帰り支度を始めた。

 黙って乗り込むリリィ達。
 リリィ以外は躊躇していたが、他に帰りの便は無い。
 妙に及び腰な未亜達を見て不思議そうな顔をしていたリリィだが、その理由は5分後まで理解できない。

 ゆっくりと馬車が動き出す。
 少なくとも村から出て暫くはゆっくり進むらしい。
 カーブが多いので、スピードが出しにくいのだろう。

 村の外に出ると、ベリオが後ろの扉を開けて村を見る。
 そして十字を切って、聖書を暗唱しはじめた。
 吹き込んでくる風が、ベリオの髪を揺らす。


「天にまします我等が神よ、かの者達の魂を導き…」


 ベリオの言葉を聞きながら、それぞれが自分の知っている方法で祈る。
 未亜とカエデは両手を合わせて拝み、リリィは左胸に右手を寄せ、リコは奇妙な印を切る。
 リコを見て大河が驚いたような顔をしたが、誰も気付かなかった。

 大河も印を切る。
 リコと同じような印だが、少し違う。
 それを以って祈りとし、大河はベリオの横に移動した。
 そして横からベリオの体を固定する。


「その魂の行く先に、安寧と静謐のあらん事を…」


 ベリオが横目で問いかける。
 大河は苦笑して、無言で御者を指差した。
 それだけで理由は伝わったようだ。
 このまま御者が急加速すれば、開いた扉の前に居るベリオは振り落とされてしまいかねない。
 目配せで感謝の意を示し、ベリオは暗唱を続けた。
 少しずつ離れていく村。
 しかし血の臭いはこびりついたままで、一向に晴れようとはしない。
 まるでベリオ達の心境を表しているかのようだった。


 暗唱が終わる少し前。
 もう村は森に隠れて、全く見えない。

 そろそろスピードが出てきた。
 ガタゴト揺れて、ベリオは何度かバランスを崩しかけては大河に支えられていた。
 未亜達は祈りを中断し、座り込んで重心を低くする。
 こうした方が体は振り回されにくい。
 ベリオも祈りを中断し、扉を閉める。


「? ベリオ?
 皆も……どうしたのよ?」


「リリィさんハイ」


 不思議そうな顔をするリリィに、未亜がどこから取り出したのか、座布団を渡す。
 取り合えず受け取ったリリィだが、未亜の意図が全く読めない。
 座れというのだろうか?


「リリィ殿、それは頭に被るのでござるよ」


「座布団を頭に被ってどーするのよ」


「すぐに解ります」


「ええ、リリィにも一度は味わって貰わなければ」


「ま、所謂一つのお仕置きと考えてくれ給へ」


 全く意味が解らない。
 しかし何となくイヤな予感に突き動かされ、リリィは言われた通りに座布団で頭を覆う。
 見ると途轍もなくマヌケな姿だが、それを笑う者は一人も居ない。
 何故なら笑っていると、突然の揺れで舌を噛みそうになるからだ。


「それで、これが一体「ィィィィイイイイEEEEE行っくぜあああぁぁぁぁぁーーーー!」…!?」

ガゴン


 突然の咆哮に、慌てて振り向くリリィ。
 しかしそれは失策だった。
 体を捩った瞬間に急加速、あまつさえ石でも踏みつけたのか縦に揺れる。


「わっ、わっわあぁぁぁ!?」


 バランスを崩し、倒れるリリィ。
 ボフン、という音がして、座布団に覆われたリリィの頭が馬車の荷物に直撃する。
 しかも思いっきり角だ。

 倒れて頭に火花が散ったリリィだが、怪我は無い。
 座布団が効いたようだ。


「いったぁ〜……」


「「「「「大成功〜☆」」」」」


「ア、アンタら何考えてんのよ!?」


 リリィ咆哮。
 しかしそれも、どこ吹く風と受け流された。
 相変わらずガタガタ揺れるため、立ち上がらずに座り込んでいる。


「いやー、リリィだけあの恐怖を知らないっていうのはちょっと癪でなー」


「別に打ち合わせなんかしてないよ。
 皆して、何を企んでるのか察してくれただけ」


 見事にハマッたねー、とニコヤカに笑う。
 カエデも、リコとベリオまで笑っている。
 リリィの頭に青筋が浮いた。

 さっきまでの気まずさは、とりあえず吹き飛んでいる。
 代わりに事と次第によっては、馬車ごと吹き飛ばすのも辞さずと言わんばかりの雰囲気だ。

 しかし大河は大笑いしたままだし、リコはどこ吹く風、カエデも声を上げて笑っている。
 そして未亜とベリオはニヤニヤと不気味な笑みを浮かべている。
 どれが一番気に障ったかは定かではないが、とにかくリリィの堪忍袋の尾は切れた。


「ア・ン・タ・ラわぁぁぁ「ハイ」ぁぁぁ!!!……?」


 絶叫するリリィに構わず、何時の間にかリリィに近寄ったベリオが座布団に手を伸ばした。
 そして中身を取り出し、少し破いてリリィに渡す。
 意味不明の行動に、リリィは思わず動きを止めた。


「えい」


 今度は未亜が座布団の中身を叩く。
 得体のしれない粉が噴き出して舞い上がった。
 思わず少し吸い込んでしまい、慌てて振り払う。


「な、何なのよさっきから!
 幾ら何でも、ちょっと陰険っていうかしつこすぎない!?」


「何を言ってるんです。
 まだまだ続きますよ」


「そうそう。
 リリィさんが先走ったお蔭で、まずリリィさん本人が死に掛けて、騙されていたとはいえ民間人を危険にさらしたよね?
 チームワークを乱した者は、軍隊じゃ厳しく厳しく、厳し〜く処罰されるの」


「うっ…」


「ついでに言うと、拙者達はリリィ殿に追いつくのに、死ぬかと思うような恐怖をずーっと味わっていたのでござるよ。
 今の馬車のスピードの2倍…いやさ3倍強の速度で、もうあっちこっちがガタガタ揺れて、いつ馬車が分解するかと…」


 思わずリリィは外を見る。
 既にまともに景色が見えない。
 この3倍?
 今度は馬と御者を見た。
 御者は意味不明の叫びを発しつつ、何故か自分自身と一緒に馬達をムチ打っている。
 自分に活を入れているのだろうか?

 そもそも3頭とはいえ、どうしてこんなスピードで走れるのか。
 明らかに生物学的限界を超えている。

 いつ馬車が限界を超えて壊れるのか。
 いつ馬達が限界を超えて、足を縺れさせるのか。


「そ、想像しただけでも………? あ、あれ?」


 恐怖で眩暈を起こすリリィ。
 思わず床にへたり込んだ……が、体の調子がおかしい気がする。
 強い酒を何杯も飲んだような…リリィは強い酒を飲んだ事は無かったが…感覚で、頭がボーッとして視界が揺れる。
 何だか気持ちよくなってきた…性的な意味でなく、気分的な意味で。

 ベリオがリリィの顔を覗き込み、頭や頬に手を当てる。
 冷たい感触が気持ちいい、とリリィは思った。
 暫くリリィの体に触れていたベリオだが、感嘆したように息を吐いた。


「………?」


 どうしたのかとリリィが訝しんでいると、ベリオは大河に顔を向けて、親指を立てて見せた。
 何がなんだかよく解らないが、ベリオと大河がグルなのかとリリィは思う。
 非常に危険な予感がするのだが、脳味噌を温めるような熱のせいで、まともに思考が出来ない。
 酩酊感は、ますます強くなってきていた。


「……問題……ません…。
 ……ともと有害では…りませんから……」


「……さか、ホント……効くとは…なかった…。
 ……プロジェクト……予定………繰上げ…」


「では……でござるな…。
 …にしても…………マタ…………猫又のよう…」


「……はははははは、ひょほほほほ………」


 リリィは視界が90度になっているのに気がついた。
 大河達の声がするが、何を言っているのかさっぱり理解できない。
 あと何やら奇声が聞こえる。

 リリィは眠気に襲われ、瞼が急速に重くなってくるのを感じた。


(でも、ガタガタ揺れて寝心地悪いよ…。
 せめて下が柔らかくて、出来れば温かい所……あ)


 寝転んだまま、リリィは自分でもよく解らない移動方法で寝床(今決めた)に向かう。
 ぐにゃりぐにゃりと、体をくねらせて……これは主観で、実際は……声の出所に向かう。


「…………」


「………………!?」


「…………!!━━(゜∀゜)━━!!」


 何やら外野が五月蝿い。
 が、リリィにそんな事は関係なかった。
 柔らかくて温かい寝床を探り当て、リリィはその上に乗った。
 手にはちゃっかり確保していた枕…座布団が握られていて、そこに頭を埋める。
 何かが視界を舞ったような気がするが、急速に酩酊感が強くなり、リリィの意識は沈んで行った。


 馬車の中。
 行き道程ではないにしろ、超スピードで突っ走る物体の中は酷く揺れる。
 ガッタンゴットン揺れまくって、座っていても時々バランスを崩すほどだ。
 勿論そんな状況で、ノンビリしたり出来る訳がない。

 にも拘らず、御者の狂声が響く馬車の幌の中は、マッタ〜リとした空気に包まれていた。
 未亜達は何かとてつもないα波でも浴びたかの如く、その表情からは険とか棘とかいう物が一切無くなっている。
 そして、その視線は一箇所に集中されていた。


「………んにゅ…なー…」


「「「「「!!!!!!!!」」」」」


 一同、声に出さず、動かずに絶叫。
 あ、カエデが興奮のあまり鼻血を拭いた。
 しかしこういう時に限って血液恐怖症は機能しない。
 平然と腕で血を拭い、鼻息も荒くソレ……大河の膝の上のリリィに見入っている。

 実はリリィが持っている座布団には、ちょっとした薬が仕込んであった。
 リリィはそれを吸い込んでしまったのである。
 その効果であっという間にリリィは正気を失ってしまった。
 最初は冗談交じりで未亜が言ったのを、どうやってか大河が実現させてしまったのである。
 どうやらその辺に生えていた植物を取ってきて、座布団に仕込んだらしい。

 正気を失ったリリィは、何を考えたのか、床を這って移動しはじめた。
 何をしているのか、と見物していたら、リリィは大河の元まで辿り着き、なんと膝の上に丸くなってしまったのである。
 枕に顔を埋めているから、身じろぎする度に薬が出てきて、リリィを更なる眠りに誘う。
 よほど心地よいのか、その寝顔は赤ん坊が母親に抱かれているかのようだ。

 リリィが丸めた手で顔を擦る。
 またも無言で絶叫。

 大河の温もりがもっと欲しくなったのか、更に引っ付いて丸くなる。
 頭を撫でてやると、かすかにゴロゴロと声を出す。

 そう、リリィの動作はネコそのものだったのである!
 ネコミミシッポこそ付いていないものの、充分な破壊力がある。 有り余る。


「こ、これがネコりりぃ殿……。
 装備無しでこれならば、か、完全武装ならば………ッ!」


「スゴイんですよ、あのリリィは…。
 本当に、大河君に懐いているのが勿体無いと思うほど…」


 声を押し殺しながら会話するベリオとカエデ。
 カエデはネコりりぃの事は知らなかったが、チームーワークを乱した罰という名目で、行き道の時に暇潰しに大河がバラしてしまったのだ。
 ピンと来なかったカエデとリコだが、未亜・大河・ベリオがそろって熱く語りまくり、興味が沸いてきていたのである。

 そして目の前のリリィを見て、猛烈に完全なネコりりぃが見たいと思うようになっていた。
 それを察したのか、大河はニヤリと笑う。


「そんなにいきり立つな…。
 心配しなくても、リリィに対する罰則はまだ続くぞ。
 当然ネコスーツも着てもらうさ。
 しかも、ベッドルームならお触り自由。
 俺の部屋はベリオの貼った結界があるからな、いくら鳴こうが吼えようが一向に問題ない」


「「「「!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」


 俄然ヒートアップするリコ達。
 しかし、未亜達は知らない。
 そのネコスーツが、どのような末路を辿ってしまったのか。
 いざその時になって、カエデ達が暴動を起こさなければいいのだが…。


「ンははははははははひひーーーーん!」


 静かなる熱狂と、やかましい狂熱を乗せ、馬車はフローリア学園に急ぐ。


「とは言っても今日は疲れが抜けてないかもしれないからな…。
 大事を取ってゼンジー先生に見せて、少なくとも一日休んでからだな…」


「そんな……折角あのミミとシッポをゴニョゴニョ出来ると思いましたのに…」


 時は過ぎて、夕暮れが沈む頃。
 フローリア学園に、一台の馬車が走りこんできた。
 閉じられた門の前で一度立ち止まり、係りの者に御者が書類を見せる。
 暫くすると、ゆっくりと門が開かれ、馬車は学園内に入って行った。
 後ろで門が閉じる。


「さ、着きましたぜ…………?」


 所定の位置まで馬車を移動させた御者が振り返って声をかける。
 しかし、どう言う訳か答えは返ってこない。
 怪訝に思って振り返ると、救世主クラスは揃って馬車の中で倒れていた。


「んな!?」


 慌てて立ち上がり、馬車の中に入って倒れている赤毛の少女…リリィを覗き込む。
 しかし心配していたのとは違い、彼女は妙に安らかな顔で眠っていた。
 とりあえず心配は無さそうだ。

 ホッと一息つくと、他の面々も見て回る。
 顔は青いが、特に異常は見られなかった。


「……そっか、疲れてたんだな…。
 それで昼飯を食った後、ついつい眠ってしまったと…」


 御者は一人で納得する。
 村から帰る途中に、食事のため他の町に立ち寄っていた。
 死臭が染み付いているので救世主候補達は外に出なかったが、その代わりに御者が買ってきた弁当を貪るように食っていたものだ。
 あの惨劇を見た後によく食べられるものだが、やはり肉体は正直らしい。
 カロリーを使いまくった体は、本人の意思を無視して栄養補給を求めた。
 ちなみにリリィはずーっと眠ったままだった。
 食欲が満たされれば、睡眠欲が湧き出てくるのが人間の常である。
 帰りの旅路の途中で、本格的に眠ってしまったのだろう、と御者は納得した。


「とはいえ、どーしたモノか…。
 とりあえず、ゼンジーさんを呼んでくるか。
 ひょっとしたら、何処か怪我とかしてるかもしれないし」


 そう呟き、御者は救世主候補生達に毛布をかけた。
 簡素な物だが、無いよりはマシだ。
 馬達を寝床に連れて行き、エサを与えるとそのまま保健室に直行していく。

 その後で、リコが微かに身動ぎし、青い顔のまま起き上がる。


「………うぷ…」


 口を抑えて、また倒れこんだ。
 実は、御者の推測は半分程度しか的中していない。
 リコ達は眠ったのではなく、気絶したのだ。

 そもそもの間違いは、腹が減っていたとはいえ、無思慮に昼食を平らげてしまった事にある。
 確かにそれだけなら、睡眠欲が沸いてくるだけだろう。
 しかし、リコ達が居たのは暴走しまくる馬車の中である。
 ガッタンゴットン、明らかに想定範囲外の揺れ方をするあの馬車の中である。
 ここまで言えば、何があったのか予想がつくだろう。
 結論から言おう。
 酔った。

 食事の後に凄まじい揺れを絶え間なく強要され、あっという間に気分が悪くなる。
 何気に吐きそうになったが、何とか堪えていた。
 しかしそれでも限界は来る。
 と言っても、別に吐いた訳ではない。
 気絶したのだ。
 一人、また一人と倒れていくリコ達。
 しかし何が出来る訳でもなく、自然と全滅してしまったのである。


 倒れて唸っているリコに影がさした。
 優しく抱き起こされ、口元に冷たい感触が伝わってきた。

 水。

 直感したリコは、反射的に喉を鳴らして飲み干した。
 途中で何か固形物が混ざっていた事に気がついたが、もう遅い。

 ゆっくりと目を開けると、そこには見慣れない女性が居た。


「…………」


「あ、気がついた?
 酔い覚ましの薬を飲ませてあげたから、大分楽になったんじゃない?」


「………ん……」


 リコは呻いた。
 確かに少しずつ楽になって来ているが、まだ本調子ではない。
 ゆっくりと寝転がされ、リコは天井を見た。

 冷静になってみると、リコを支えていたのは目の前の女性ではなかった。
 後ろで誰かがリコを支えている。
 毛布を再び被せられた。

 寝転がったまま見ていると、彼女達…2人とも女性だった…は、気を失ったままの大河達に薬を飲ませていく。
 頭がガンガンして、2人の会話が上手く聞き取れない。
 だが取り合えず危険人物では無さそうである。


(と言うか……何だかこの気配、前にも感じたような…)


 スッキリしない頭で観察する。
 姉妹なのか、妙に似通った姿をしている。
 しかし性格はかなり違うようだ。
 大きな方…かなり肉感的というか、グラマラスな体系…の方は、茶目っ気があるが落ち着いている。
 小さな方は、やや細めのスレンダーな体ながら、出る所は出ていて、こちらは天真爛漫な性格が容易に見て取れる。

 誰だったか思い出そうとしていると、もう一人闖入者が現れた。


「みんな、お帰り〜!
 無事で何よりだわぁ〜ん♪…って、どーなってるの?」


 ダリアである。
 どうやら教師の仕事を放り出して来たらしい。
 本当ならば最初から門の所で待っているはずだったのだが、御者の暴走ぶりが予想以上で、大河達が思ったより早くに帰ってきてしまったのだ。

 ともあれ全員怪我らしい怪我は無いと聞いてマキシマムサイズな胸を撫で下ろし、取るものも取り合えずすっ飛んできた。
 しかし来て見ると、確かに怪我は無さそうだが、何故か全員倒れている。
 混乱しつつも、姉妹(仮)の姉に問いかける。


「あ、ダリア先生……大丈夫ですよ。
 重度の車酔いです。
 ゼンジー先生から聞いたけど、本当に凄かったみたいですねー、あの馬車…」


 リコの頭がスッキリしてきた。
 あの薬の効果か、酔いが醒めるのが早い。


(この声…ひょっとして……)


「ダリアせんせー、兎に角ダーリン達を保健室に連れて行くですの。
 知らない間にヘンな病原菌とか入ってたら大変ですの!
 兎にも角にも検査検査〜♪」


(こ、この喋り方は……!)


「そうねぇん、出来れば大河君達に自分で歩いて行ってほしいんだけど…それはちょっと酷ね。
 それじゃあルビナスちゃん、ナナシちゃん、おニューなバディの性能のお披露目って事で、大河君達を保健室に運んでちょうだいな」


「ルビ…ナス……?」


 ピクリと大河が動いた。
 目を覚ましていたらしい。


「…ナナシ…?」


 大河とリコの呆然とした声に、姉妹(?)は振り向いた。


「「なーに?」」




DSD入手!
そしてキングダムハーツ2入手!
あまつさえ友人に機人大戦を貸してもらってさぁどうする!?

いやー、ネタのためなら速攻でクレアルートをクリアするべきなんでしょうけど、意外と時守は堪え性がなかったようです。
一日に2話から3話がペースで、それ以上やると頭がボケっとしてきます。
まぁ、来週か再来週には多分…。


それではレス返しです!


1.ATK51様
あの流れは王道とかいう以前に、時守に芸が無いからかも…(汗)
でも、実際にアレは本気で効きますよ。
時守も随分前になりますが、自分が書いた小説を友人に覗き見されて…うぁ〜!

パピヨン型ベリオ……って、ちょっとマテ時守、何故そこで武装練金のパピヨンを想像する!?
む…いやマテ、それはそれで悪くないかも…胸元からおヘソとか、ピッタリ張り付いてボディラインを隠さないところとか…。

カエデの馬車での発現は、優等生な訳ではなく、身に染み付いている考え方です。
忍びたる者、何時何処で死んでもおかしくありませんし、捨て駒にされる事もありますから、その辺も含めて自分で判断しないと…。
大河の隊長がムドウだったら……ヤバイ、今まで書いてきた隊長像を鑑みると勝ち目がなくなる(汗)


2.ディディー様
ムドウのは笑いとゆーよりは、単に顔に締りがないだけかも…だって未亜ルートで大河に斬られた時でも笑ってたよーなw
笑って死ねる人生…笑い話になりませんな、ムドウの場合。

リリィは…どうやらイヂメ(?)の標的になってしまったよーです。


3.神曲様
そうだった…ネコミミ買いに行くついでに村に行かせればよかったんだ…。
棒読みで心配されると、ネコミミも複雑っぽいですね…。

神父にカツラを渡したら?
……何が降臨するか、私は想像するのもイヤですよ?
アシュタロスでも勝てませんよ?

御者さんのネタは、アレは魔術師オーフェン…が一応元ネタですね。
送迎最速理論は、確かマヴラヴから取って、あとはイニシャルDと逮捕しちゃうぞの足ブレーキです。


4.くろこげ様
状況はむしろ、原作よりもある意味悪かったようです。

御者さんは気に入ってくれましたか?
実は同人少女と血縁関係が……ウソです、今考え付いたからちょっと打ち込んでみただけです。

例えしっとマスクといえど、痛いモノは痛いです…治療する間もなく治りそうではありますが。
だから1撃…約2秒ごとに骨折の痛みが襲ってくるとw
しかし、しっと団を回収するなら何かエサがいりますね。
救世主候補生達の写真なんて上等なエサは使わずに、その辺の動物園のサルの交尾の写真で充分でしょうかw


5.沙耶様
ぬあーーーー、そう来たかーーーーー!?
ふーん、いいもん、時守ももう手に入れましたからね。

ぬぅ、こんな所で人間関係の重要さを見せ付けられるとは…。
就活の参考になるかも…w


6.翁香様
お久しぶりです!
2−2で大河の叫びに同調していただいて以来でしょうか。
まだ読んでいてくれて嬉しいです!

御者さんは知る限り色々混ぜてみましたから…。
しかし、あのリムジンって何処で作られたんでしょーか…。
車検とか出してるのかな?


7.水城様
ネタバレ待ちになりますか…。
アシュが作ったカツラなら、ダウニーでも世界意思に止められないかもしれませんが…あのアシュですよ?
きっと自爆機能とか付いてます。


8.流星様
いちおー、ベリオは精神病患者…に分類されるのでは?
今でも立派な2重人格ですし。

パワーアップの話までちょっと話数がかかるかもしれませんが…その時には全力を持ってエロに投球しようと思います!
コスプレなら、全員が同じ動物の衣装で揃えるのもアリですね…。


9.黄色の13様
水銀旅団のカメラ小僧部隊その他でも可w
いや、マジで世界の壁を越えそうですね…。
終わりのクロニクル、買おうと思っているのですが……本棚が一杯です。
この前新しくでっかいの買ったばかりなのに(涙)


10.竜神帝様
フラグが完全になるには、もう2,3話使う事になりそうです。
ちなみにエロ100%になりそうです。
久しぶりに帯に18禁表記をつけなきゃ。


11.カシス・ユウ・シンクレア様
DSDを入手できたでしょうか?
初っ端からクレアルートに突っ込めるかと思ったのですが、それが出来た場合レベル1のまま神と遣り合うハメになるかと思うと…。
結局1日に3話のペースで、レベル上げしながらやっています。

パピヨンの願いは、そう遠くない内に叶えてあげようと思います。
ただし、体を作る時にちょっとした細工をするつもりですが…。

リリィは無事でした。
例えどんな窮地に陥ろうとも、私がネコりりぃを愛している限り、悲惨な目には合いません…多分。
別の意味で悲惨かもしれませんけど…。

さらに上を行く馬車ならば、やはりDQ6のファルシオンでしょう。
だってあの馬、何かタマシイが宿ったと思ったら、羽を生やした上に馬車を引っ張って空を飛びますから。


12.悠真様
実を言うと、リリィが乗ってきた馬がカスケードだったりしますw
実を言うと、足ブレーキは見た事がないんですよ…TUTAYAに無かった…。

こねこりりぃ………………萌死!
我が人生に一辺の悔いなし、と本気で思ってしまいましたぜ…。
目が開いて間がないこねこがいいですね!
こう、「お母さん?」って聞かれてるようなカンジで首を傾げられた日には…!

すいません、今回の“破滅”のモンスターはザコでした。
まぁ、“破滅”の根深さを強調したという事で…。


13.なまけもの様
色々とご指摘、ありがとうございます!
後で時間がある時に直しておきます…。
でも、「言わなんだ」は方言であってますw

貧ちゃんがスモール化したのは、ただの根性と違いますよ。
なんと自分の霊気とかを自分で削りまくって、冗談抜きで命を削って小さくなったのです。
あわれw


14.アレス=アンバー様
何せ根の世界ですから、あらゆる世界のヘンタイが勢揃いしているんですよ。

馬車なのに足ブレーキが出来たのは、これまた送迎最速理論の応用です。
何メートルもある車を市街地で運転するのに比べれば、容易い事だと思いませんか?
足と地面間の世界を縮めているのでしょうw

血涙説教ネタ、なかなかいいタイミングが浮かびません。
入れるならココだ、という目論見があったのですが…何故か電波が勝手に手を動かし、話が明後日の方向に(汗)
もう少しタイミングをずらして入れようと思います。


15.UNI様
はじめまして!
楽しんでくださっているようで、大変嬉しいです!

御者さんの師匠は、やはりあの財閥の運転手さんです。
そしてその人の師匠にして最速理論の原型を作ったのが、某頭文字Dの誰かさんです。
単なるマイ設定ですけどね。

PS2無くても、やっぱり買ってしまいますよね…。
ウチのオヤジも同じ事をやってましたw
しかし、レジまで40分か…どれだけ並んでたんです?


16.砂糖様
ぬぅ、やはり最後に立ち塞がるのはあの御者か!
負けるな野郎供、こっちは足が連中の1.5倍あるんだ、馬力だって負けちゃいねぇぞ!
オラッ、地平線の彼方がゴールだ!
勝負勝負勝負〜!

……何か、オーストラリアのサバンナ辺りを2台の馬車が暴走する白昼夢を見ました。

エレカについては…単なる偶然?
適当に名前をつけて、何かに似てるなぁ…と思っていたのですが…そっか、エウレカセブンに似てたんだ…。


17.獣様
はじめまして!
し、師匠とは…時守はそんなに立派なナマモノじゃないッス!
ですから、ここは一つ同じ道を目指す“同士”でどーでしょう?

時守も、DSの事を考えている時は妙に優しい気持ちになれたりします…。
時々暴走しそうになりますが。

DSをプレイした事が無いそうですが、別にファン失格という事はないでしょ。
時守だってKanonもやってないし東鳩もやってないし、ましてアニメも見ていませんし。
…しかも手元にあるのに。
2次創作だけでも、立派なファンだと思っています。
それに世のSSを読んでから、原作をやって比べてみるのも面白いですよ。
知識が偏るのは、否定できませんが…。

導きの書を入手したら教えてください!
でも救世主になって、世界を滅ぼしたりしませんよーにw
…兄貴達のベルサイユに導きの書があったらどーしましょ。


18.試作弐号機様
ベリオも趣味の一つくらいは持っていたでしょう。
いくら罪悪感に固まりまくっていたと言っても、いきなり生活習慣を変えるのは難しいですしね。
でも自分に都合のいいポエムを書いた後、ちょっと自己嫌悪に侵されたり。

召喚器の性能UPには、ちょっとややこしい理由があります。
まぁ、その辺は今後…。
しかし、ジャスティとの融合…どうしよう、考えてなかった…。
予定通りに行くと、トレイターとジャスティが融合すると×××という事に…あれ、別に問題ないのかな?


19.K・K様
オギャンオス!

一人の部屋で、ネコミミをふにふにするリリィ………いかん、鼻血でた。

ベリオはああ見えて、結構オトメですからねー。
ベリオルート最終戦後の壊れ方はすごかった……DSDで久々に見て、かなり萌えました。

そうだった、マキバオーの鳴き声は「んあ〜」だったっけ…。

ネコミミの末路、その四人に同時に知られたら…リリィはマジで救い様がないんですが(汗)


20.ナイトメア様
うーむ、御者さんの暴走は、大河達の騒動よりも書きやすかったですから…。
何気に便利なキャラでした。

お言葉に甘えて、チャンスがあればナイトメア様考案の技とかを使わせてもらいます!
機人大戦はやった事がないから、友人にその内聞いてみよう…。

EXモードは結構ですが…未亜を完全に犯罪者にする気でしょーか?
あ、今の大河も同じ穴の狢か…。
ぬぅ…元ネタが解らん……無念、切腹!
…でも巫女さん大河は案外出番があるかも(汗)

あとEXムドウは、鎧を纏っている間は自分から攻撃を受けに行くような気がします。


21.アルカンシェル様
受験対策、ご苦労様です。
アッパラパーだった時守とは偉い違いや…。

ベリオとブラパピが分離したら戦力的に敵も大変でしょうけど、それ以上に多分時守が大変です。
わーい、人数多すぎて書き切れねー!

やはりカエデはギャグキャラでしょう。
彼女にシリアスは似合いません…あと萌えが似合います。
バニーカエデに、速攻撃沈されましたから。

ムドウの変身シーンを想像しちゃったじゃないですか!
うわ、めっちゃキモい…。


22.鈴音様
馬車ドリフトも凄いですが、もうちょっと凄まじい業を知ってます…。
そのうち大河にやってもらおうと画策している次第です。

究極超人は、漫画でしか見た事ないんです。
ああ、今なら絶対に見るのに……。

エレカは…思いつきの一発キャラに…分類されるのでしょうか?
一応今後も出てくる予定ですが、彼女はちょっとややこしい人物だし…。


23.なな月様
ああ、これは揉めますね。
時守も散々悩みました。
つうか、誰だよその王立生物学者は!?
ええい、余計なチャチャを入れおって!
この拘りは、権威なんぞでは解決できんというのに!
しかし真名はともかくとして、これからもその手の混乱が起きそうですね。
例えば図鑑に載せる際には、ミミを中心に撮るかシッポを中心に撮るか、はたまた全体像を写すべきか…。

リリィに見敵必殺をやらせると、フローリア学園がエライコトになる気がします。
特に大河と会って暫くした頃など…。


24.舞―エンジェル様
カエデのバニーに始まり、リコのスク水、リリィの水着に撃沈されました。
ええ、それはもう戦艦大和よりも完全に撃沈されましたよ。
彼女達を、ウチの大河が見たら……最悪、描写がなくなります。
時守が萌え死して、続きを書く所ではなくなる可能性が。

ぐあー、早くクレア様ルートに突入しなくては!
…しかしアレですね、今後クレア様ルート18禁付でPC版が再発売された日には、もうどうするべきでしょうか。


25&26.神〔SIN〕様
あぅ!
シェザルのナルシスト化はもう確定していたのに、読まれてしまった!
これはもう一捻り加えないと………む、ちょっとパンチが弱いけど思いついた。
メモしとこう。
シェザルに肉はもったいありません、麦で充分ですよ麦で。

分身の術については、アレは色々な方式がありますよね?
スピード、仕掛け、高密度のエネルギー、そしてリズムによる幻惑。
ボディに使えそうなのはエネルギーだけですが、これってよく考えるとメッチャ危険じゃありませんか?
物質に触れられるくらいで、本体から離れてエネルギー供給が尽きても問題なく存在できる高密度エネルギー…ヘタに突付くと大爆発が起きますぜ。
大河君は、とっくにカエデの純潔を奪っています。
疑問の余地もありません。

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