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「まぶらほ〜魔獣使いの少年〜閑話その2(まぶらほ+モンコレ)」

ラフェロウ (2005-12-16 04:43/2006-02-12 20:37)
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「ふんっ、はぁっ!」

―――ヒュンッ―――ヒュンッ―――

月光が照らす薄明かりの中、一心不乱に刀を振る一人の少女。

少女の頬や額には汗が流れ、それが刀を振ると同時に宙を舞い、月明かりに反射する。

一心不乱。

正にその言葉の如く刀を振るのは、巫女服のような袴姿の少女、神城凛。

九州において古くから続く退魔の家系である神城家の人間であり、彼女もその剣術を学んでいた。

まぁ、本家の厳しい修行が嫌で葵学園を受験してこっちへ出て来てはいるが。

そんな彼女の剣の腕前はかなり高く、剣道でも好成績を残している。

だが、最近の彼女はさらに強くなろうと躍起になっている節がある。

その理由は彼女の学園での先輩である少年にあった。

「(あの時の先輩は、まさに一流の剣士だった。私ではまだまだ、到底敵う腕前ではない。)」

凛の脳裏に浮かぶのは、大量のベヒーモス相手に一歩も引かずに戦い、あの化物を打ち倒した姿。

他の人からしてみれば、素手でその化物をダウンさせたゲーマー教師の方が凄いと思うが、やはり彼女も女の子。

戦闘時のキリッとした和樹のカリスマにメロメロ(死語)だったり。

ただ、彼女はそんじょそこらのミーハー少女とは違い、その少年に対する思いには理由があった。

最初、彼女は本家からの勝手な命令でその少年を婿に迎えて来いと言われた。

その事に腹が立ち、頭に血が上った彼女は、自分の自由を守る為に実力行使に出てしまった。

なんだかんだでその事は有耶無耶になってしまったが、少年は命が狙われたにも関わらずまったく気にせずに彼女と向き合っていた。

それどころか、頭に血が上った彼女に対して、大切な事を教えてくれた。

『他人の自由を奪ったら、その時点で自由になる権利は無くなる』

正にその通りだった。もしあの時彼女が少年を殺していれば。

そうならなくても、怪我を負わせれば間違いなく彼女は捕まっただろう。

そう思うと背筋がゾッとする凛。

だがその理由は、自分が捕まることよりも、少年を傷つける事の方が大きかった。

「(私がこの手で先輩を…嫌だ、そんなの考えられんっ)」

風椿玖里子から聞いた少年の話。

極悪非道、悪党の巣窟と呼ばれる2年B組に在籍し、彼らの悪事を尽く潰してきた彼らに対するリベリオン。

現在は転勤で居なくなった前担任も、彼のお陰で持病が治ったとか。

他にも、校舎内に紛れ込んだ野良犬を優しく帰したとか、怪我をしたツバメを保護したとか、園芸部が困ってた所を助けたとか、色々あった。

なんでも、生徒内でも『B組で唯一信用・信頼できる男』が共通認識らしい。

さらに恐ろしい事に、あのB組生徒を、既に何人も更生させたらしい。

まぁ、ほぼ全員女性なんですけどね。例外が駒野と數馬。

話だけ聞けば、何処のGTOだ?と言えるだろう。

彼の場合GSSか?まぁどうでも良い。

兎に角、人格・容姿の面ではまったく問題無い男と言える。

多少、マイペース過ぎて鈍感だと言う点が玉に傷かもしれないが。

だが、凛にとって一番の問題は、彼の実力の方だった。

彼女は軟弱な男が嫌いだ。厳しい本家で育てられた影響なのだが、これが影響して例の襲撃事件が起きてしまったと言える。

何せ、B組女子が改竄した彼の情報が『毒にも薬にもならない無能かつ軟弱な少年』なのだから。

もっとも、その情報を信じているのは入学して日が浅い一年と、B組男子くらいなのだが。

実際は『男に良薬、女に媚薬、下衆と馬鹿には猛毒』な男と言える。

基本的に博愛主義者なのか、男でも女でも関係なく親切で優しいのが彼の一番の長所だ。

だが、その反面下衆や馬鹿などの、自分及び周囲に対して害を与える人間には、それはもう怖ろしい程に容赦ない。

それに関しては、凛は目の前で見たのだから。

彼は基本的に専守防衛だが、事が事なら遠慮なく相手を殲滅する男だ。

普段のほにゃほにゃマイペースからは信じられない程に冷血で冷徹、そして熱血な男。

そのギャップに益々凛ちゃんメロメロ(死語)なのだが、それは置いておく。

はっきり言って、ただ優しいだけや、強さだけの男なら凛は惚れたりしない。

では何故凛が彼に惚れたか?簡単だ、彼は己の身も省みずに人を助けられる、勇気を持った少年だから。

その姿に、凛は心を射抜かれた。

最初は、自分に対して酷い事をした少女を追いかけ、慰めた時。普通の男なら命狙った(狙ったのは凛ちゃんだけだが)相手を追いかけて慰めるなんてちょっと無理だ。

次は話だけだが、B組男子の暴走から、女子二人を庇いながら戦い、見事殲滅した話を聞いた時(言ったのは玖里子)。

その次も玖里子に聞いた話だが、例の学生寮合体事件の際に館から溢れたグール達と戦い、見事に倒したた上に、幽霊少女の形見の鎧まで確りと確保していたと聞いた時。

そして極めつけが、この前のベヒーモス事件。

楓の木に残されたけやきの思念体を助ける為に、全力で戦ったあの姿。

そして終わった後も、何も求めずに、ただけやきと楓が助かった事に喜んだ無欲さ。

何処までも真っ直ぐで、何処までも純粋な少年。それが式森和樹の、神城凛から見た評価だ。

若干、天然女垂らしとか鈍感朴念仁とかも評価されているが、まぁこの際無視だ。

ベヒーモス事件で、さらに強まった彼に対する思い。

さらに、別の感情まで生まれていた。

それは恐怖と憧れ。

前まで淡い恋心と尊敬の念だけであった凛に、この二つが加わっていた。

恐怖は、その身に強大な悪魔を封印し、それを自在に操る事と、その時の彼の雰囲気。

憧れは、その強い力を持っていても、決して驕らず、また悪用も乱用もしない彼の強さ。

正直、退魔の家系である凛からしてみれば、悪魔そのものが剣となっている武器を扱うのはかなり抵抗がある。

が、それを持って使いこなしているのは想い人である少年。

なら何の心配もないじゃないか。と言う結論に至った。

S級召喚獣すら使役する彼だ、悪魔の剣くらいお茶の子さいさいなのだろうとも思ったり。

まぁ、ベヒーモスはまだ子供なのでランクで言えばまだBくらい。良くてAランク扱いなのだが。

余談だが、子供ベヒーモスは確りと和樹が保護し、今は彼の檻の中だ。

強力な魔獣を従わせ、さらに悪魔そのものである剣を操る人間。

本来ならそれだけで畏怖の対象になるだろう。

だが凛はそんな事まったく思わなかった。

畏怖だなんてとんでもない。彼は、まさに一級の剣士ではないかと尊敬するくらいだ。

一度、凛は和樹と軽く手合わせした。

彼が使う剣は基本的に西洋剣なので自分とは戦い方が違うが、それでも簡単に一本を取られてしまった。

その事に関しては純粋に驚くだけで別に悔しさなどは無い。

だが、明確な目標が出来た喜びだけは確かにあった。

以来、何かにつけて彼と稽古しようと思っている凛だが、周囲の女性がそれをさせてくれない。

夕菜は元より、玖里子や宿敵沙弓、それに幼馴染である千早達もあからさまに妨害してくる。

それは凛も同じなので文句は言えないのだが。

ベヒーモス事件の際、彼の戦いを見ていた少女達は、さらにその思いを強くしたように思える。

彼は自分の戦っている姿と、その身が封印し、契約している悪魔剣の姿をあまり見せたくなかったようだ。

剣の形をしていても、悪魔は悪魔。その事で色々思われるのはあまり好ましくない。

特に、彼曰く大好きで大切な仲間に、少しでも恐怖や畏怖を持たれるのが怖いのだろう。

だが、そんな彼の気持ちを知ってか知らずか、まったく変わらず…もしろもっと積極的にアタックを繰り返す少女達。

その姿に、彼も安心した事だろう。

ただ、その少女達の姿に触発された他の少女達まで積極的になってきたのは頂けないが。


凛は深く考える。

この先、益々ライバルは増えるだろう。

この前だって、目の前で唇を奪うという暴挙(凛達から見て)に出たスピリットや、彼に妖しく迫る保険医の妹など、魅力的な女性がどんどん増えているのだ。

凛が他者に自慢できるものと言えば、剣の腕前くらいだ。

客観的に見て、凛はそりゃぁもう美少女なのだが、それと同じくらいのレベルの美少女が何故か彼の周囲には多い。

さらに、凛には無い豊満なボディを持った女性も出現している。吸血姉とか保険医妹とか植物女神とか喪服管理人とか。

強さに関しても、自分より強い人が居る。実は人じゃないだろ!?と突っ込みたいが。吸血姫とか保険医妹とか。

それでも、凛には幼い頃から学んできた剣しかないのだ。

だから、今日もこうして寮の庭で稽古する。

いつか、彼の隣で戦えるように。

彼の足を引っ張らないように。

そして、彼を守ってあげられるように。

今日も凛は、刀を振るう。


閑話その2   「凛ちゃんのお料理と女王様のご褒美!?」の1


最初に言っておこう、式森和樹は鈍感でマイペースだ。

鈍感云々の部分は遺伝的なモノかもしれないが、実はマイペースの部分は、生来ではなく、自分自身で培ったモノだったりする。

彼が学び、行使する召喚術で一番重要なのは、強く柔軟な精神力だ。

魔獣や魔物、天使に悪魔、それらの存在を支配し、操るには、人並み外れた精神力が必要になる。

精神力が弱い人間では、支配できなかったり、逆に支配されたりしてしまう。

近年の召喚獣の暴走事件はこれが原因である。

そうならない為に、召喚術士は精神を鍛えるのだが、和樹は変わった方法でそれを行った。

普通なら、精神統一や座禅などで精神を鍛えるのだが、彼はそれを二の次にし、先ず身体を鍛えた。

『精神を鍛えるなら先ず身体を鍛えんしゃい。健全な精神は健全な体に、強い精神は強い体に…ってな。』

と、キセルを吹かしつつ、和樹の剣の師匠が言った。

それを素直に信じた和樹は身体を鍛え、次に何事にも動じない事を培った。

主にドッキリやお化け屋敷なんかの仕掛けみたいな奴を延々経験させられたり。

その次は実際に凶暴な魔獣を召喚して、戦う。

手っ取り早く精神と肉体を鍛えるには、実践を積むのが最適だと言われたからだ。

他にも、自称姉の暴走や直視したくない人(?)のお陰で何事にも動じない精神を手に入れたのだが…。

それは別の意味で言えばマイペースであり、冷静沈着とはちょっと違っていた。

まぁ、戦闘時は冷静沈着なのでOKなのだろうか?

とりあえず、和樹はその修行のお陰で対象に支配されるという事は少なくなった。

天使や悪魔などの、存在そのものが大きい連中はまだ危ないが。

それに、喪服美人の管理人さんに心乱されているのでまだまだ修行が足りないのだろう。

それとも管理人さんの方が凄いのか?

どちらにせよ、和樹は基本的には動じない男である。


「はれ?厨房から明かりが……。」

夜の鍛錬を終えて(一応和樹も剣や召喚術の訓練をしている)寮に帰ってくると、普段ならもう暗いはずの厨房から明かりが漏れていた。

寮が合体した事で大きくなった学生寮だが、何故か女子が集中してしまい、現在この寮で暮らしている男子は和樹を含めて僅か数名である。

そんな男子が厨房を使う事は少ないので、恐らく居るのは女子だろう。管理人さんとは先ほど遭い…もとい逢い、挨拶を交わしている。

まぁ、あと少し離脱が遅かったらまたお部屋に拉致されていただろう。

彼女が後ろ手に持っていた荒縄が激しく気になるが、今は忘れよう。

で、和樹君も人の子、好奇心には勝てずに食堂の方から厨房を覗き込むと…。

「……………………湯煙殺人事件、学生寮で起こる惨殺、血泥みの厨房2005…?

「湯煙出てないし殺人でもないし何より年代入れるな時期がばれるから。

意味不明な言葉を呟いた和樹に突っ込むのは、その後ろに何時の間にか居た和美嬢。

「はりゃ、和美?どうしたの?」

「どうしたもこうしたも無いわよ、厨房から変な物音がするから気になって来てみたら、あの通りでしょう?」

と、二人してにゅ〜…と食堂側の入り口から中を覗く。

そこは正しく竜巻通過の民家。

彼方此方に食器や器具が散乱し、食材だったと思われるモノが無残な姿を晒している。

「あぁ、チャーリー、スミス、ラウル、君達のことは忘れないよ…。」

「誰よそれ。」

ナスニンジンホウレン草。」

「名付けるなッ」

ペチっと和樹の頭を叩きつつも、中の様子を窺う和美。

鈍感マイペースな上に、実は幼馴染達の前ではボケまでかます和樹君。

いよいよ無敵モードか?(何の)

そんな小声のコント(?)に気付かずに、竜巻の中心ではその惨たらし惨状を作り上げている人物が次の犠牲者に手を出した。

―――スガンッ――――ザシュバシュグチャッ―――

酷く形容し難い音が響く厨房。

血が飛び散り、肉が切り裂かれる。

「あぁっ、ジェシカが!」

鯖がジェシカ!?

ジェシカと呼ばれた鯖が無残な肉塊と化し、そのまま魔女の鍋へと放り込まれる。

その中では、赤くて紫で青くて白っぽい黒の、どんな色やねんと突っ込みたい色合いのスープと、どう見ても牛の頭にしか見えない物体と、何故か豚のらしきモノ、それに鶏に思える鶏冠付きの頭に、先ほどの惨殺された鯖がそのまま入った

プカリと浮き上がった鯖の頭がとってもシュール。

と言うか既にもう何がなんだか。

「あれって何してるのかしら……?」

「新しい命の誕生かな?」

「た、確かになんか生まれそうよね、主に粘々でドロドロなゲル状生物が。」

和樹のボケもボケと思えない光景が目の前に。

怖いことには大抵慣れた和美だが、流石に魔女の鍋までは見たこと無かった様だ。

と言うか、本業の魔女さんでもここまで酷くならないんじゃないかと思われ。

傍から聞くと酷い言われ様だがそれも仕方ない。

だってとってもデンジャ・ゾーン。

一歩踏み入ったら自分のあの鍋の中へ直行しそうだ。

無論、バラバラで。

「で、どうする?」

「どうするって、あんなに一生懸命な顔してるんだから、邪魔したら悪いよ。」

和美の言葉にそう答える。

確かに、惨殺鬼は一生懸命な顔でピーマンをミンチにしている。

もはや何が目的かすら不明だ。

と言うか、一生懸命な顔が血とか野菜の破片とかでもうなんて言うか鬼気迫るみたいな?

「でもあのままだと厨房使えなくなるわよ?」

「それは拙いね。よし、なら俺が………凛ちゃん。」

と言って食堂側の扉から姿を現す和樹。

その声にビクッと厨房で惨殺をしていた人影…神城凛が身体を震わせる。

「ふひゃっ!?せ、せせせせ先輩っっ!?!」

「うん、こんな時間にどうしたの?」

「いえ、あのこれはその…っ!な、なんでもないので気にしな――あっ!!」

慌てているのかブンブンと振り回される腕から、先ほどまで解体に使われていた包丁がスポッと抜ける。

その切っ先が向いていたのは………和樹。

「うがっ!?」

ガキッ―――――

「「和樹・先輩っ!?!」」

仰け反った和樹の頭。その顔面に突き刺さり、取っ手が真上を向いている。

凛と和美には、和樹の顔面に包丁が突き刺さったように見えた。

その光景に和美は驚き、凛は血の気が引く。

「あ、あうらいおりんひゃん…。」

が、包丁を歯で止めていた和樹が顔を起こす。

その姿に安堵して脱力する二人だった。


「料理?」

「は、はい…。」

和樹達に事情を聞かれて、何故か正座して話す凛ちゃん。

別に正座する必要は無いのだが、和樹を危険な目に遭わせたのもあって、しゅん…と項垂れている。

「料理…ごめん、私には黒魔術の儀式にしか見えないわ…。」

「うぅ……。」

和美の頭を抑えながらの言葉に、更に小さくなる凛。

和樹がおもむろに鍋におたまを入れてみると

ギャァァァァァァッ

何故か奇声をあげた

その声にビクッと驚く和美と凛。製作者が驚いてどうする。

和樹はマイペースだが、よく見ると冷や汗がタラリ…。

「と、とりあえず、この鍋の中身は処分するわよ?なんか放って置くと分裂・増殖しそうだし…。」

「は、はい…。」

確かに、化学反応とか起こしてる。本当に新たな生命を誕生させたのか凛ちゃん!?

「でもどうやって処分しようかしら…グリちゃんたち食べられるかしら?

「和美、皆が物凄い勢いで騒いでるんだけど。」

物騒な言葉が聞こえたのか、それとも野生の勘で察知したのか、檻の中のグリフォン達が物凄く必死に抵抗しているらしい。

その気持ちは分かる。

「冗談よ。そうね、とりあえず穴掘って燃やしましょ。」

と、言うわけで寮の裏庭に穴を掘って鍋ごと焼却処分。

微妙に土壌が汚染されたが、たぶんバクテリア達が頑張ってくれるだろう。

後日、その場所に紫色とか赤色とかのアリエナイ色の雑草が生えたが、管理人さんが持ち出した謎の青いゲルをかけたらジュウジュウと音を立てて溶けたとか。

そのゲルが入ったビンにはJAMだが邪夢だか書かれていたらしいが、見た人間は揃って記憶を無くそうと努力したらしい。


「それで、どうして急に新生物…じゃない、料理をしようなんて考えたの?」

「そ、その、誰にも言いませんか…?」

和樹の部屋に場所を移し、座って向かい合う三人。

借りてきた猫のように大人しく縮こまった凛の姿に、可愛いな〜なんて感想を抱く和樹。

「大丈夫よ、和樹に害を為さない限り、女の子の秘密は守るわ。」

つまり、男の秘密は守らない上に害を為したら即バラすんですね?と思う凛だったが、相手はB組最強の策士だ、口で自分が勝てる訳が無い上に、既に現場を押さえられた。

凛に逃げ道なし。

「そのですね…この前、山瀬先輩が先輩に手作りのお弁当を渡していまして…。」

「ふんふん。」

ベヒーモス事件のサンドイッチの事である。

「それを美味しそうに食べる先輩を見ていたら、私も何か作って食べて貰いたいと思いまして…。」

「むふむふ、なるほど。それで急に料理なんてしてたのね…。ところで、今まで料理の経験は?」

「全く。本家では毎日厳しい修行ばかりで、料理などの家事は一切触れさせて貰えなかったもので…。」

もし触れていれば、今頃神城滅んでたんじゃ…なんて怖い想像をしてしまう和美だったが、頭を振るってその想像を忘れる事に。

「松田先輩…?」

「あ、な、なんでもないわ。で、何を作ろうとしたの?」

「その、先輩が前に食べたいと言っていたビーフシチューを…。」

あれがビーフシチューとな!?と驚く和美。

和樹は「あぁ、そう言えば…」とか呟いていたり。

以前、寮の休憩所(テレビ・自販機等が置かれた憩の場所みたいな所。玖里子が作らせた)で行列が出来る美味しいお店と言う番組を見ていた和樹達。

そこで紹介されたビーフシチューを見て、和樹がつい「食べてみたいなぁ…」と言ったのだ。

だが、だからと言って料理経験0の初心者が、いきなりビーフシチューに挑むとは、無謀にも程があると頭を抱える和美。

ビーフシチューは、シチューやカレーと違い、だた切って焼いて煮込めばいいという料理ではない。

牛肉焼いて、ワインで煮込んで、さらにデミグラスソースとか色々必要なのだ。

と言うか、何故ビーフシチューに豚肉(豚足?)とか鳥肉(お頭?)とか鯖丸々一匹とか入れるのかが謎。と言うか必要ない。

もう既に作る料理の時点で失敗していると言っていい凛ちゃんだった。

「無謀な挑戦するのね…。」

「お、お恥ずかしい限りです……。」

自分でも無謀だと理解していたらしい。

だが、作り始めて止めるに止めれない状況になってしまったようだ。

普段は冷静なのに、暴走すると一直線なのが彼女の短所と言うか、玉に傷と言うか…。

料理の基本は目玉焼きから。と言う、嘘か本当か不明だが格言(?)が存在するのに、卵料理飛び越えていきなり煮込み料理ですか。

「そのチャンレジ精神は凄いわ…。」

「は、はぃ…。」

もうすっかり小さくなってしまっている凛ちゃん。萌え〜とか叫んでる作者は無視しよう。

なお余談だが、和樹は後日玖里子に連れられ(拉致され?)てテレビで紹介されたお店に行き、ビーフシチューを食べてくる事に。

凄く美味しかった、頑張って再現してみるね。と笑顔で話す和樹に、もう和美達萌え萌えだとか。今は関係ないが。

因みに、和樹の料理の腕前はかなり高い。寮での生活は基本的に自炊なのだから自分で料理するのは当たり前だが、それを差し引いても和樹の腕前は高い。

両親が神社の仕事で忙しいため、割と小さい頃から培った腕前である。

千早には負けるらしいが。

「私もそんなに料理上手じゃないから強く言えないけど、凛ちゃんは先ず、手順を覚えることね。一応聞くけど、まさか野菜とか洗ってないなんて事は無いわよね?」

和美としては、本当に何気なく聞いただけであり、他意は無かった。

だが、流石は剣術一直線な凛ちゃんだ。

「無論です、ちゃんと洗剤で洗いました!」

と、えっへんとばかりに無い胸を張る凛ちゃん。

和美と和樹の顎がカックンっと落ちる。

「あ、あれ?どうしました?」

「凛ちゃん…基本的に、材料を洗剤で洗うのはダメなのよ…?」

え”!?で、ですがテレビでは女子高生が洗剤でお米を…っ!

「いや、それ自体が間違ってるから。と言うか、その番組その間違いを見て笑う番組だから。」

和樹のちょっと疲れた突っ込みが入る。ちょっと言ってる事辛口だが、まぁそんな番組である事に変わりはない…と思われる。

作者も学校の調理実習で女子が洗剤でお米洗っていたのを見てマジで驚いた一人である。

「そ、そんな…わ、私はなんて間違いを…っ」

と、orzみたく嘆く凛ちゃん。

本当に、色々な意味で難儀な子である。

「はぁ、仕方ないわね。今度夕菜ちゃんたちにも事情を話して、お料理会でも開きましょ。ちょうど私もレパートリー増やしたかったし。」

と言って笑う和美に、凛はまるでお釈迦様でも見るかのように顔を上げた。

「あ、ありがとうございます松田先輩っ!!」

「良いってば。だからお願いだから拝まないで。

ほんとに拝んでた。

「じゃぁ、俺も参か「ダメよ。」……なんで?」

「あのね、和樹の為に料理するのよ?そこに和樹が参加して、しかも凛ちゃんより美味しい料理なんて作ったら洒落にならないでしょうがっ」

「………そうなの?」

「え?あ、その…せ、先輩に居られるとちょっと…。」

と、申し訳なさそうに言う凛ちゃん。

その言葉に、「そっかぁ…」と残念そうに呟く和樹。

本当に鈍感である。それくらい察しろと和美は心の中で突っ込んでいた。

後日開かれたお料理会は、夕菜・千早の主婦レベルコンビが講師を務めたが、惨敗だったと見学者・沙弓は語る。

何があったかは和樹は知らないが、夕菜と千早が数日に渡り意気消沈し、凛がどんよりとしたオーラを纏っていたとか。

なお、出来た作品は燃えないゴミとして処分されたそうだ。

ゴミ収集の人が悲鳴を上げていたとかいう噂が聞こえたが、和樹は無視した。


「うわっ、式森それ待ったっ!」

「ごめん無理。もう連鎖入ったし。」

黒い携帯ゲーム機でピコピコとパズルゲームに勤しむのは、B組唯一の男子仲良しトリオ、和樹・駒野・數馬。

フライング・ディスク・システムが残念ながら装備されていないDXなパックで販売された携帯ゲーム機では、プヨプヨしたパズルを消して連鎖を起こしていた。

和樹が操るキャラの枠内で、積み重ねられた色とりどりのパズルが次々に消えていく。

そして數馬の場所に、無色のデカいプヨプヨしたのが大量に降ってきた。

「うわ負けたっ。くそ、式森なんで携帯ゲーム強いんだ?」

「あはは、やり込み度が桁外れな人が相手だから…。」

言わずもがな、伊庭かおりである。

「………くっ、駄目か。」

駒野が呟き、和樹の勝利が決まる。

通信にケーブルが必要ではないのが、技術の進歩だと思える。

ゲーマー教師が授業中に「今の携帯ゲーム機じゃ、奥義『ケーブル断絶』が使えなくてなぁ…」とか言っていたが、同意する生徒は居なかった。

将棋盤のちゃぶ台返しみたいな技だと思えば簡単だが、そんな事するのはあまり居ないだろう。

和樹が小学生の頃、某ポケットに入るモンスターで対戦して実際にかおりがそれやったそうだが。

「式森く〜ん、私も混ぜて〜っ」

と、最近発売された白い同機種を掲げてやってきたのは、B組の食いしん坊コンビの一人、西脇 裕子。

「あれ?西脇さんも買ったんだ。」

「うん、パックで買っちゃった。お陰でお財布寒くて、放課後のオヤツが半分になっちゃうけど。」

それでも半分なのかよっ、と駒野と數馬が心の中で突っ込む。

携帯ゲーム機購入は、裕子が一番乗り。その事実に現在資金調達中の面々が悔しげに彼女を睨むが、ちょっぴり不思議ちゃん混じりな裕子は気付かない。

現在、某ゲーム教師に影響されて携帯ゲームがマイブームな和樹。

是非とも共通の話題&ラブラブなゲームプレイを!と意気込む女子達が、お値段が高い携帯ゲーム機を買おうと奮闘中である。

なお、僅差で今日買いに行く予定の一子と涼が一番悔しそうだ。

だが本当の強者は、裕子ではなかったりする。

「式森、紅尉先生が呼んでたぞ。至急来てくれってさ。杜崎さんも。」

と、丁度1プレイが終わったところで教室に戻ってきた御厨 真吾に声を掛けられる。

彼、重度の薬物マニアであり、保険医でありマッドである紅尉を崇拝しているらしい。

「先生が?なんだろ。分かった、ありがと御厨。」

御厨に礼を言いつつ席を立つ和樹。そこで今プレイ中の試合をどうしようと思い、周囲を見回す。

「あ、春永さんやる?」

「………うん…やる〜……すぴ〜…。」

寝息と共に返事して手を差し出す那穂。

彼女が寝ていたのは、和樹の机。昼食を共にしてそのまま寝ていたようだ。

その光景に、裕子を含めた女子達が「しまった!」と悔しげに顔を歪ませる。

本当の強者。それは和樹の指紋とかついた彼のゲーム機でプレイする人間である。

本日の勝者、眠り姫の那穂。

「?…ま、いいや。行こう沙弓。」

「ええ。……………哀れね。」

クラスに居た女子達が挙って机や壁にorzな感じで崩れる光景に和樹は一瞬頭を捻るが、とりあえず紅尉の元へ向かう事に。

教室を出るときの沙弓の言葉が痛かった。

「…………………相変わらずだな、式森は。」

「だな。まぁ俺には怖ろしいとしか思えな……げぇっ!?

「うわ〜んっ、春永さん19連鎖なんて反則だよぉっ!」

「……すぴ〜…。」

平和そうに眠る春永。だがその手は信じられないほどに的確にパズルを積み、連鎖を繋いでいく。

寝てるのだから見えないだろうに、何故か繋がる連鎖。

寝ながらマラソン完走、寝ながら英文朗読に続き、寝ながら落ち物パズルで19連鎖が加わった瞬間だった。

本当に怖ろしい生徒は、彼女かもしれない……。

余談だが、那穂が負けたら彼女と次の人が交代というルールが直ぐに出来上がるが、昼休みが終わる直前どころか、和樹が戻ってくるまで彼女は負けなかったとか。

しかも次の授業担当がかおりだったものだから、彼女まで参加しての大落ち物パズル大会になったとか。

「那穂……怖ろしい子っ!!

「何を言ってるいるの怜子?絵柄も変よ?

「なんとなくよ、気にしないで。」

ゲームに興味が無い…と言うか苦手な怜子と雪江がそんな会話していたり。


「失礼しま〜す。」

「失礼します。」

和樹はちょっと間延びした声で。沙弓は小声で声をかけ、保健室へと入った。

保険医のマッドな噂のお陰で、屯したり仮病を使って寝たりする生徒は皆無な保健室。

それどころか本当に体調不良でも黒い噂が絶えない保健室に行ってたまるかと我慢して倒れる生徒が居たり。

あまり救えた事ではない。

「む、来たか。すまないな、貴重な昼休みに呼んだりして。」

「あ、先輩。………それに杜崎。

先輩の部分は嬉しそうだが、その後が小声で忌々しげなのがちょっと怖い。

「いえ。構いませんよ、実験と解剖以外なら。あと凛ちゃんはどうしたの?」

「中々手厳しいな。彼女も君達と同じように私が呼んだのだ。とりあえず座ってくれ。」

と言って、凛が座る長椅子を示す紅尉。

凛の隣に和樹が座り、その隣に沙弓が座る。

凛と沙弓を近づけて配置するなと、和美から言われているので素直に実行したようだ。その辺は偉い。

「それで、話はなんですか?ボルグなら元気ですよ?」

ボルグ、とは、ベヒーモス事件で和樹に懐いたベヒーモスの子供の名前である。

性別が男の子なので、カッコいい名前が良いと言う案で名付けたそうだ。

名付け親は千早である。

愛称はボルちゃんと呼んであげよう。

「あぁ、それは紫乃から聞いている。今日呼んだのは、魔法局からの依頼なんだ。召喚術士である、君にね。」

その言葉に、和樹のほのぼのとした雰囲気が消えた。

「つまり、召喚獣の事件ですね?」

「そうだ。今回は魔法局でも扱いに困る相手だそうだ。そこで、日本でもトップクラスの術士である君に依頼が来た。」

「あ、あの、先輩?どういう事ですか?」

そこにおずおずと口を挟む凛。彼女には和樹達が話す内容について行けないようだ。

「そうか、神城君は知らなかったな。式森君は世界でも希少な召喚術士、しかも高レベルの術士だ。その技量を見込まれ、彼方此方から彼に召喚獣による弊害や事件の解決を願う依頼が来てね。最も、彼はまだ学生で、正確なプロフィールも公開していないので、私が代理として依頼などを請け負っているんだ。」

「早い話、私たちの召喚獣版よ。」

紅尉と沙弓の言葉に納得したように頷く凛。

神城、それに杜崎等の退魔の家系も、企業や個人以外にも、国、つまり魔法局等から依頼が来ることもある。

和樹は、その中の召喚獣専門の人間なのだ。

召喚獣による事件・事故はかなり多い。

偶発召喚や召喚ミス、金や力目当ての横暴な召喚などで様々な弊害や災害が起きてしまう。

それを解決する為に、廃れている召喚【術】が使える人間が必要となってくる。

召喚【魔法】では、対処しきれない事も、術士達なら可能なことが多い。

それ故、世界でも実は召喚術士は希少かつ貴重な存在なのだ。

さらに近年、召喚術も隠蔽され始めたため、和樹のように高レベルの術士が存在しないのが現状である。

和樹の存在は、『高度な召喚術を使える優秀な人間』として、魔法局その他に伝わっているが、殆どの情報を紅尉が隠蔽しているので局の召喚獣科などから引き抜きが来る事も無い。

そんな和樹に依頼される事。

「つまり、危険な仕事なんですね?」

「そうだ。そこで、普段は杜崎君に護衛として一緒に仕事して貰っているのだが、丁度いい機会だから神城君にも同伴して貰おうとおもってね。」

「何故ですか?」

紅尉の言葉に鋭く返したのは、凛ではなく沙弓だった。

「今までの依頼も、私と和樹で十分でした。それが何故今回に限って神城まで…。」

「それなのだが、今回の相手は……人型種だ。」

紅尉の言葉に和樹はピクッと眉を動かし、沙弓が少しだけ納得した顔になる。

「あの…人型種とは…?」

「人型、つまり人に近い姿形をしている種族…。例えるならエルフやリザードマン、ハーピーやオークもかな?彼ら人に近い種族を、人型種って呼ぶんだ。そして、大概の人型種は、人と同じで賢く強い。ただの獣や魔獣と違って、団結したり罠を張ったりして、頭を使うからね。高レベルの戦闘スペルだって使うかもしれない。だから普通の召喚獣より対処が難しいんだ。」

「そうね、以前のゴブリンにも酷い目に遭わされたわ…。」

と、悔しげに呟く沙弓。

以前頼まれた依頼で、彼女はゴブリンに攫われるという失態を犯してしまった。

誘拐を得意とするゴブリンであり、危ない所だったが、和樹が影に潜ましておいてくれたシャドウ・ストーカーと、追いついた彼に助けられて無事だったが、人型種に油断すると危険だと身を持って体験した事件であったと沙弓は語る。

「報告だと、少なくても5体の人型種が確認されたそうだ。つまり、人手の意味もあって神城君に頼んだのだが、不満かね?」

「いえ、俺としては凛ちゃんに手伝って貰えるなら心強いです。」

そう返す和樹の言葉に、凛はかなり感激した。

実際、和樹の言葉に嘘は無い。

凛は、確かにまだ未熟な面は多いが、相手が相手なら実際かなりの強さなのだから。

この前のベヒーモス事件でも、レギオンタイプを葬った数では実は彼女4位なのだ。

一位は問答無用でかおり。二位が和樹で、三位は沙弓である。

その事を考えると、戦力としては申し分ないのだ。

「では、詳しい事はこの詳細を見てくれ。いつも通り、対象は君の好きにしてくれて良いそうだ。」

「分かりました。」

紅尉から詳細が書かれた紙を受け取り席を立つ和樹。

それに倣い、凛と沙弓も続いて立ち上がり、失礼しましたと保健室を出る。

和樹は依頼を受ける際、一つだけある条件を提示している。

それは、対象の殺生与奪権を自分に寄こせという物。

大抵の依頼者は、召喚獣達を処分しようとするのだが、中には事故などで来てしまった魔獣や魔物も多い。

そんな彼らを問答無用で殺すのは忍びない和樹は、この条件を提示し、話が分かる相手なら送還してあげたりしているのだ。

実は和樹の檻に居るペガサスは、サーカスで見世物にする為に召喚され、暴れて逃走。

その後和樹に保護された過去を持っている。

人の好奇心は怖ろしいモノで、召喚獣を見世物やコレクションにしようとする人間は後を絶たない。

一応国は召喚獣の見世物等を禁じているが、それでも取り締まりきれないのが現状だ。

召喚獣が暴れたりするのは、そういった連中が無理矢理召喚したりするから起こるモノで、一番多い事件でもある。

「今回の事件も、馬鹿な金持ちの道楽だね。」

「またなの?そういった人間に比べたら、まだB組はマシかしら。」

詳細が書かれた依頼書を見て呆れたように会話する二人。

凛も書類を覗き込み、そして顔を顰めた。

「確かに…救えませんね。」

書かれていた内容はこうだ。

○月×■日未明、■■県■■■市に住む、金融会社社長の自宅にて召喚魔法による事件発生。
会社社長は愛玩具として女性型人型種を召喚するも、支配に失敗し、召喚された人型種に暴行を受け全治半年の怪我を負う。
その後人型種達は近隣の森へと逃走。
当局が通報を受け追跡するも、森内部で攻撃を受け捕獲は難航。
よってそちらに捜索・捕縛権を移譲する。

といった具合に書かれていた。

もはや呆れるしかない。

そもそも、人型種に限らず、召喚獣達はかなり賢い種が多い。

和樹のヘルハウンドもグリフォンも人の言うことを理解できるし、ベヒーモスのボルグに至っては簡単な計算すら出来ると紅尉が言っている。

まぁ、戦闘スペルを使えるのだから賢いのは頷けるが。

そして、賢ければ賢いほど、【真の名】を支配するのが難しくなる。

普通の人間一人が召喚魔法で支配できるとしたら、精々グール数匹か妖精一匹が良い所だ。

10年以上召喚術の勉強・訓練をしている和樹ですら、まだS級召喚獣の支配には成功していない。

A級ならキマイラ等を支配した事があるが、彼らの場合和樹が召喚した訳ではないし、モンスター種であることも幸いして和樹が支配できたのだ。

もしA級の、例えばデーモンでも召喚したとしよう。

恐らく支配は出来るかもしれないが、その際和樹の精神に負荷がかかり過ぎるだろう。

出来なければ逆に精神を食い尽くされ、廃人、その後デーモンに殺されるだろう。

成功しても使役するのも難しい。

アザゼルは契約を交わした間なのでその辺りの心配はないが、契約していない人間だったら恐らく持っただけで煉獄の炎に燃やされていただろう。

あれはそういう悪魔だ。

話を戻すと、賢い相手ほど支配するのが難しくなる。

そして、人型種は総じて賢い種である。

そんな種族を、ただの金融会社の社長程度が召喚・支配なんぞ出来る訳がない。

召喚【獣】と括られているが、相手によっては人に限りなく近く、人より遥かに上の種族も存在する。

相手を獣だと思って油断するからこうなるのだ。

和樹達は、その社長に一切同情しなかった。

殺されなかっただけマシだろう。

以前送還したキマイラは、召喚主を食い殺しているのだから。

最も、その召喚主も同情できない黒い人間だったらしいが。

「どうしますか?この場所ならそれほど遠い訳ではありませんし…。」

「そうだね。ペガサス達なら一時間程度かな?紅尉先生の依頼だから、今から準備して今夜探そう。彼らは夜じゃないと姿を現さないらしいし。」

「そうね、なら鞄取りに行きましょう。」

一度教室に戻り、その後三人で準備をする事にした和樹達。

和樹達が教室に戻ると、担任まで一緒になってゲーム大会を開いているという場面に遭遇するが、気にせず帰宅した。

因みに、夕菜がかおりと那穂の連鎖攻撃を食らって「ひ〜んっ」と泣いていたり。


その2へ続く。


あとがき

閑話は基本的にほのぼので行こうかと思っているラフェロウです。

今回の閑話は数話で続く予定です。

凛ちゃんのお料理と、和樹君のお仕事のお話でございます。

ベヒーモスの名前も決定。ボルグくん。某弓兵の螺旋剣とはなんら関係ありませんよ?(オイ)

はてさて、森に逃げ込んだ人型種はいったい何なのか。

和樹君たちは無事彼らを見つけることができるのか。

そんなこんなで次回に続くのです。


…ノー・ガール・ノー・クライ無くしました………orz。

どうしよう、近所の本屋さんにも無いYO!


潜水漢様
感想ありがとうございます。

いやはや、煉獄は単純にアザゼルの能力なだけで、和樹が煉獄へ落ちろと言ったのは、単純にそれが理由です(汗)
地獄でもOKなんですが、何故か私は煉獄のフレーズが好きで…某剣客漫画の戦艦が影響?(何)

あまりダンテなどの話は知らないので、大変勉強になりました。
やはりあのワイトは地獄の落とすべきでしたかねぇ…(オイ)
因みにアザゼルの炎に存在を焼かれたモノは、魂のそのものが焼かれるので蘇れません。除外ですから。

面白いと思っていただいて幸いです、パソコンが壊れない限り書き続けます(何)


D,様
感想ありがとうございます。

暗い話は私はダメダメなので、どんな作品でも救いを求めてしまうのですが…流石に楓編はちょっと無理でした(汗)
本当はけやきを転生させて和樹のお供に…なんて考えていましたが、技量不足で無理でしたorz。

残念ながらかおり先生は現時点では無理です。それでもたまに入ろうと挑戦していたり…(何)

和樹の剣は悪魔そのものです。一応剣の形になっていますが、封印解けばアザゼル本来の姿にもなれる設定です。封印解けませんけどね(何)

管理人さんと血の契約…そうなると和美嬢達には強敵ですなぁ…(ニヤリ)

和樹の純潔は…はてさてどうなるでしょう?(何)


ディディー様
感想ありがとうございます。

かおり姉さんは一応人間ですが吸血鬼の能力持ちですので問答無用に強いです。
時代は姉!姉キャラが世界を制するのですよ!!(←お前も何言ってる)

和樹が年上に弱いのは、和美達と出会うまで親しい人がかおりと紫乃だけだったのが原因の一つ。
同年代は千早だけだったので、自然と女性・年上には優しくしなさいと調きょ…もとい、教育されてしまうことに(笑)
夕菜はきっと清純派のまま頑張ってくれるでしょう。……たぶん(何)


なまけもの様
感想ありがとうございます。

今現在かおりだけが壊れキャラだったり(何)
吸血シーンは毎度毎度同じ事してます。2週間に一度、和樹から吸血してます。
原作のかおり先生は…現在アレなので、このお話では和樹LOVEで突っ走ってもらいます(何)
あーぱーとナイムネ…ここにカレー狂師を一つまみ(マテ)
あ、ゲーム狂いだから条件満たしてる!?(オイ)
血塗れさんとは…因縁浅からぬ中ではあります。
閑話が終了したら大ドイツ博でのお話の予定…なのに本無くすって私はアホか…orz。

金ぴか英雄王…髪の毛逆立たせてみましょうか?(何)
それともワル和樹モードの時に鎧を…(マテ)

エシャルさんは高位のスピリットなので、容量的にはB、多くてA級程です。
彼女が入っている第9の檻には、現在彼女しか入っていないので容量は余裕です。
和樹君、和美にファーストキス奪われてからは、何かと唇を奪われてますので(苦笑)
紫乃も唇奪ってます(何)

そうです、子供ベヒーモスも和樹君の檻の中です。
このまま行けば本気でガクガク動物ランドに…(何)

純潔争奪勝負…まだエントリーが終わってませんからねぇ…(ニヤリ)


ジェミナス様
感想ありがとうございます。

私もダーク系苦手です(汗)
友人にダーク系も書けなきゃ面白い話は書けないぞと言われ、まぶらほで挑戦して…自己嫌悪(何)
陵辱と猟奇殺人はやり過ぎた…(マテ)

そうですね、モンスター種にとっては、逆らえない相手と言うより、従うべき相手とも言えます。
なんでそうなのかは彼のしゅ…おっとここからは有料ですよ(何)
と言うのは冗談で、メイド編の後に予定しているお話で明かされる予定です。

女性陣の反応は、他人ならそれほど気にしませんが、和美達だと多少気になるようです。
が、和美達がまったく気にしていないのであまり重要な話ではなかったり(マテ)


SLY様
感想ありがとうございます。

和樹、金ぴかになる。が主題です(マテ)
その内和樹君には更なる変身を遂げてもらう事に…(何)
属性持ちの女性はまだまだ増えますよ〜(オイ)

ダークエルフのお姉さん…拷問隊に!?(マテ)


私も欲しいです、ブラウニーズ(切実に)


千葉憂一様
感想ありがとうございます。

そうか、黄金聖闘士でも可か!(何)
そうなると和樹は…どの星座でしょうね?
ワル和樹モードで鎧着たらきっと言ってくれるでしょう(何)

手が早いのは主人公の宿命ですから(マテ)
むしろ、剣魔の和樹に比べると遅い方ですよ(←比べる相手が間違ってる)
唇にキスは、かおりとかにされまくってますので、所謂外国の挨拶だと誤認している部分があったり…(苦笑)

管理人さんルート…つまり閑話で彼女と和樹の甘々な新婚さんごっこを書けと言うことですね!?(違ッ)


REKI様
感想ありがとうございます。

アドレナリンとか出まくったかおり姉さんは誰にも(和樹除く)止められませんから(汗)
リナ姉…それだと学園ごと吹き飛びますよ(何)
楓編も千早編も、暗いのはダメダメなのです…(汗)

そしてカード化企画キターーー!
待ってましたよ、紫乃さん!
彼女本気で強いですからねぇ…凛ちゃん軽くあしらうし、夕菜に対しても余裕余裕…(苦笑)
マッドは…マッドですから。深く考えちゃいけません(オイ)

永遠のアセリアですと!?
実は私、このサイトに来る前はアセリアサイトでお世話になっていまして(苦笑)
アセリア良いですよアセリア。雑魚スピが一番好きなんですけどね(何)


偽・無法召還士様
お久しぶりです、そして感想ありがとうございます。
PC吹き飛びですか…ご愁傷様です。無事復帰されたようで何よりです。

閑話は説明が多い話になってしまいがちなのですが、面白いと思っていただけて幸いです。
小ネタは…また思いついたらあとがきの前のでも(何)

ハーレム拡大…デルピエロだけでなく、他の人の血も混ざってるかもしれませんねぇ…(苦笑)

剣はレーヴァテインでもOKかな〜と思ってたのですが、そうなるとスルト様の扱いが難しくて…なにより有名な剣ですしねぇ…(汗)
オリジナルを思いついたのは、何故かFetaのホロウやってる時だったり(何)
空中庭園編は、もう少しお待ちください(汗)

ワイト君、戦った相手とやり方が拙かったですね。
ただ、ワイト全体で見れば、人(?)の良いワイトも居るでしょう。たぶん(何)

ブラウニーズのお手伝い…なるほど、潜在魔力の活性化による防御力上昇現象ですか…。
確かに納得できる案です、それで行きましょう(何)
正直、モンコレって謎な能力が多くてモンスター選ぶときに困ったりします(汗)
でもそれを想像するのが楽しかったり…(何)


ダイ様
感想ありがとうございます。

そうです、時代はお姉さんなんです!!(←また何言ってる)
子供ベヒーモスは残念ながらオスです。
モンスター種の場合、オスメス関係なかったりします。
名前はカッコいい名前と言う事でボルグ君です。気軽にボルちゃんと呼んで上げましょう、噛まれます(何)

煉獄と蓮獄…どうなんでしょう?
多分違うと思いますが…詳しい人情報プリーズ(マテ)

流石に親分は無理ですが、別の人の真似なら可能かも…(何)
よし、今度妄想…もとい、構想してみます。

ラミアのお姉さん…彼女も血吸いますね。そうなると和樹君が貧血に!(何)
私のかおり先生カード、ご希望にお答えして次回の更新で掲載させて頂きます。
…大したものじゃないのでそんなに期待しないでくださいね?(オイ)

今回のカード化は和美嬢ですか。
このお話ではメインヒロインの一人ですから、強さもクローバーでしょう(何)

能力は…怖っ、特に二つ目、問答無用ですね(苦笑)
これつかったら相手嫌がるだろうな…良いですね(何)

ただ一つ。属性聖・魔を持つのは、モンコレ世界では特別な存在らしいです(聖女とか)
なので、このお話でも属性聖・魔を持つのは和樹と夕菜、それに紅尉兄妹だけだったりします。
原作のカードでも、黄金樹の捜索隊・黄金樹の勇者・聖エルドの神官戦士だけらしいので。
そうなると、和美は属性は聖と火の方が印象的には良い様に私は思いました。
とは言え、私的設定なのでその辺りはあまり気にせずとも大丈夫です。ちょっと気になっただけですので(何)
これからもナイスな能力持ちのカード期待しております。

…脅迫ネタだけで彼女十分怖いです(何)


ケルベロス様
感想ありがとうございます。

某虎の人と…確かに!(何)
もうハイテンションな所とかかなり似てるというか…(汗)

いえいえ、あの町はありませんよ。
あったら色々と大変な事に…(汗)
実はかおりのゲームに皆つきあったことあったり(何)

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