インデックスに戻る(フレーム有り無し

▽レス始

「幻想砕きの剣 7-4(DUEL SAVIOR)」

時守 暦 (2005-12-07 19:54/2005-12-14 21:44)
BACK< >NEXT


「………あの、大河君…クレア様は…」


「…あっちで身嗜みを整えてる。
 ヘタに見ると何をされるか解からんぞ」


 クレアとややディープな行為を終えて、図書館から出ようとした大河。
 その大河に、司書さんが話しかけてきた。
 彼女はその卓越した聴覚とヘンなセンサーのお蔭で、大河とクレアが何をしていたのか予想がついている。
 ぶっちゃけた話、ムチが何かを叩く音が聞こえていたのだ。
 無論一般人では聞き取れない程度の音しか漏れていないが、司書さんは一般人ではない。
 大河がクレアに暴行を加えているのかとも思ったが、クレアから助けを求める合図もなかったし、何よりも殺気や狂気といった、バイオレンスシーン特有の殺伐とした空気が漂っていなかった。
 それどころか濡れ場特有の、ガンパレでいう「エッチな雰囲気」がBGMとともに流れ出す始末。
 ムチの音と流れ出す空気のギャップ、何より彼女は初体験の真っ最中のはず。
 幾らなんでも、勘違いだったら気まずい所の話ではない。
 割り込んでいいものかどうか、流石の司書さんも判断に困った。


「……えっと…クレア様にお怪我はない?」


「…今回は無い。
 少なくとも跡が残ったり、血が流れるようなヤツは。
 ただ、体中色々と液ビッショリだから」


「その微妙な言い回しが気になるんだけど…」


 とにかくクレアに怪我は無いらしい。
 だったらあのムチの音は何だったのか?
 ひょっとしたら大河が打たれていたのかとも思ったが、その形跡も無い。
 まさかクレアのような少女が特殊な性癖を開花させているとは夢にも思わない司書さんだった。


 クレアが身嗜みを整え、部屋から出てきた。
 その顔つきが少女のものから、一つステップアップした女性の顔に変っているのは気のせいではないと思う。
 足取りはフラフラと揺れ、何か痛みを堪えているように顔を顰めている。
 ぶっちゃけ蟹股で、まっすぐ歩けていない。
 理由なんぞ言わずもがなだ。
 オマケに拭い損ねたのか、髪とかにちょっとネバつく何かが付着していた。

 大河と司書さんの姿を捕らえ、顔が一瞬で赤く染まる。


「た、たた、大河!
 それでは私はもう行くからな!」


 そう言って、フラフラしながらも図書館を走り抜けていく。
 図書館ではお静かに、などと言う暇も無い。
 司書さんは、呆気にとられてクレアを見送った。


「……大河君…何かした?」


「まぁ、司書さんが想像してる通りの事を」


「………クレア様の年齢にやったら、普通に犯罪ストライクな想像なんだけど?」


「……じゃあほぼ的中してますな」


 大河はそう言うと部屋に戻り、すぐに袋を背負って出てきた。
 その袋から、なにやら禍々しい何かが放出されているような気がする。
 いや、禍々しいと言うよりは、いかがわしいと言ったほうが正確だろうか。
 …少なくとも、初心者に使っていい代物ではない筈。


「あ、あの、ちょっと大河君…」


「ストップ!
 何が言いたいかはよく解る。
 が、幸せなんて人それぞれだし…」


「思いっきり言い訳じゃない!?」


「ノン!
 言い訳違う!
 せめて詭弁と言ってくれ」


「なお悪いわよ!」


 いっそ司書さんも口封じにヤってしまおうかと考える大河。
 しかしリスクが大きすぎる。
 というか、大河にはカエデすら超える隠行術の使い手である司書さんを無力化する自信はない。
 現に今も、司書さんは大河の邪心を感じ取ったのか微妙に距離を空けている。


「と、とにかく誰にも言わないように!
 言わなくってもクレアの初体験を言い触らすような真似はしないだろうが…」


「しないわよ。
 この忙しい時期にクレア様が男に…それも救世主クラスとは言え、平民に体を許したなんて知れてみなさい。
 議会のジジィどもから王宮の懐古主義者まで、どれだけ騒ぎ出すか目に見えているもの」


 そうでなければからかい倒すのに、と司書さんは歯を食い縛って悔しがった。
 クレアにとって、この点だけは“破滅”に感謝すべきだったかもしれない。
 仮に司書さんがダリア辺りに漏らしたりしたら、クレアは丸一年はからかわれ続けるだろう…。

 ともあれ、やはり乱入しなかったのは正解だったと司書さんは思った。
 愛情表現(?)に目を瞑れば、クレアは歳相応…あからさまに早熟だと思うが…の顔を見せる、幸せな少女に見えたからだ。


「まぁ、解かっても言わないだろうからあんな事をしたんだけどな…」


「…確信犯じゃない……弁解の余地も与えられないわ」


 あんぐりと口を開ける司書さん。
 大河は彼女を一瞥し、何でもない事のように言い切った。


「心配しなくても、“破滅”と戦う前準備としてその手の連中は排除するさ。
 俺が救世主になって……“破滅”を追い払うだけでならないけどね……ハーレムでも作れば、クレアの事もちゃんと責任が取れる。
 しかも八方問題なしで」


「八方問題だらけだと思うけどねぇ…」


 司書さんの呟きも、ご尤もである。
 無論大河とて、そこまで簡単に考えている訳ではない。
 しかし同時に、どうにもならない問題だとも思っていなかった。
 何せ時期が時期である。
 最終手段であるが、クレアを死んだ事にしてしまう、という手もある。
 無論記録上の事だけだが、基本的にお役所にとって人間とは書類で構成されている生物なのだ。
 記録上死んだ事にしてしまえば、そうそう追われまい。
 特に権力を欲する連中は、チャンスとばかりに王女不在の隙を狙って暗躍するだろう。
 尤も、それが終わった後にクレアを狙ってくるかもしれないが…。

 とはいえ、クレア自身がそれを承知すまい。
 彼女は生粋の名君である。
 同期にアザリンという同じ名君が居るが、その能力は間違いなく一級品。
 その彼女が、自身の役割を放棄する筈が無い。


「ま、その辺はどうとでも出来るよ。
 最終手段その2としては、クレアの結婚相手に細工をするとか色々あるし」


「……毎晩睡眠薬を飲ませて代わりに大河君が夜這うとか?」


「それも浪漫を感じるが…いや、結婚相手を捏造する。
 子供の居ない有力な家系と取引して、傀儡…意思を持たないホムンクルスを跡取りとして仕立て上げる。
 クレアはソイツと結婚して、実際にはフリーダムと言う訳だ。
 ま、花嫁衣裳は堂々と着せてやりたいし…俺が救世主になったら、本当にハーレムを建てるかね」


 よくもまぁ考え付くものである。
 しかし意外と有効かもしれない、と司書さんは思った。
 血の繋がらない世継ぎなど珍しくないし、例えホムンクルスと言えども結婚してしまえば面と向かって歯向かう者もそうそう居ない。


「でもね大河君、政治の世界はそんなに甘い所じゃないのよ。
 汚泥よりもなお汚いものに全身を浸からせる事になる。
 それでもアナタはいいの?」


「単純な計算だよ。
 手を汚すデメリットより、クレアや未亜達と公然と添い遂げられるメリットの方を選ぶ。
 俺は政治屋向けじゃないが、やってやれない事はない」


 甘い。
 司書さんの目から見れば、大河は楽観が過ぎる。
 しかし、それを実行するだけの実力…まだ開花していない部分もあるが…があるのもまた事実。
 これは大きな賭けであろう。


(……裏の仕事の方は…私達が代行するべきね。
 元々そういう役職なのだし、大河君は政治家と言うよりは……そう、シンボルに近い。
 救世主になれば、自然と民は彼に味方するでしょう…。
 ならば足を引っ張ろうとする連中を排除できれば、クレア様にとってもこの上ない戦力となる筈)


 そこまで考えて、司書さんはふと気がついた。
 何時の間にか、自分も大河に協力する事を前提に考えている。

 さては自分もシンボルに惹かれたか、と密かに苦笑した。
 ……男のシンボルの事ではない。


「解かったわ。
 責任をちゃんと取りなさいよ?」


「うむ、一生面倒見てやらねばな。
 …未亜からのガードとかも含めて」


「ははは…」


 未亜の噂については、彼女も色々と聞いている。
 極度のブラコンで、大河にヘタに近付くと暗闇から矢が飛んでくる、というフォーク・ロア。
 ちなみにあながちウソではない…。
 あながち、というのは飛んでくるのは矢だけではないからだ。
 時には手裏剣、電撃、スライム、そしてムチ…。
 あくまで時々噂で囁かれるだけで真偽の程は定かではないが。


「未亜に関しては、今回はあまり心配する必要は無いけど」


「あら、どうして?」


 まさか未亜自身から誰かを調教しろと言われた、などとは言えない。
 いや、むしろ別の意味で守る必要があるのか?
 だがクレアも意外と調教を愉しみそうだし…。

 司書さんに聞かれ、大河は余計な事を言ったと口を詰まらせる。
 しかし口が詰まった事で、司書さんが何かに勘付いた。


「ちょっと大河君!?」


「……あ、この本は」


「ちょっと!?」


『シンジ君…僕は君に会うために生まれて来たのかもしれない』
 『カヲル君…あっ、どうして(PI−)に手を…駄目だよ、ここはお風呂なのに…』
 カヲルの手がシンジに伸びる。
 シンジの胸を撫でながら、カヲルは唇を近づけ
ブシャアアァッ!!!…ホント、この手の本に耐性が無いのな」


 司書さんはまたもホモネタによって撃沈されてしまった。
 適当に手に取った本を戻し、大河は頭血で汚れた床を避けていく。
 途中で司書さんが妙に幸せそうな顔で気絶しているのが目に入ったが、態々起こす理由も無い。
 どうせ彼女の事だから、放っておいても復活する。
 何せあのダリアの部下だ。
 そもそも腐女子はホモネタの為なら地獄の底の地下からでも這い上がってくると言うのがお約束である。
 大河は司書さんが起き上がってくる前にさっさと退散した。

 その後復活した司書さんが大河が手にしていた本をドキドキしながら持ち帰り、いざ中身を見て大暴れしたのは別の話。


「イムニティ、そこに居るな」


「…何ひょ、まふたー」


「………?」


 図書館から出て、大河はイムニティを呼び出した。
 彼女が現れる時には、自分で結界を張っているので誰かに目撃される心配はない。
 別に見られてもいいと思うかもしれないが、彼女の容姿はリコにそっくりなのだ。
 少なくとも噂になる。
 そしてイムニティの事がミュリエルに伝われば?
 かなり面倒な事になるのが予想された。

 ミュリエルがリコ…当時はオルタラ…とイムニティと会った時とは、姿形は全く別物なのだろう。
 そうでなければ、リコが赤の精霊だと気がついている筈である。
 と言うか、気付いてないのが不思議なくらいだ。
 実際、今でもミュリエルはその可能性を検討していたりする。
 リコは導きの書の存在と隠し場所を知っていた。
 それだけでも気付く切欠としては十分だ。
 そこに対となるイムニティが現れたら?
 恐らく疑念は確信に変わり、イムニティと話していた大河に疑いの目が向く事は間違いない。

 それはともかくとして、大河に呼び出されたイムニティは何故か鼻を抑えていた。
 よく見ると、手の下から血が滴っている。


「……何で鼻血なんぞ出しとるんだ?」


「解からないわよ…。
 ただ、さっきのマスターの朗読を聞いてから、何だか頭に血が…というか氣が上って…」


 どうやらイムニティにはヤオイ好きの素質もあるらしい。
 彼女本人は気付いていないようだが、結構ダメダメな精霊かもしれない。
 ひょっとして導きの書を通じて、対になっているリコの影響を受けているのだろうか?
 …いや、多分元凶は大河の煩悩だ。


「何時から居たんだ?」


「最初からよ。
 マスターが緑色の粘液で出来た生き物を背負って走り回る少し前から、あの子にスパンキングしまくった所まで」


「…粘液? 生き物?」


「ええ。 何なの、あの生き物は?
 何時の間にかマスターの背中に乗ってるし瞬きした瞬間に消えるし、マスターの走った後に粘液を残して行ったわ。
 そもそもどうしてあんなの背負ってたのよ」


「…俺はそんなの背負った覚えはないぞ」


 呆然として大河は呟いた。
 情事(鬼畜風味)を見られていた羞恥心はともかくとして、何かを背負って走った覚えなぞ…。


「………あったな、そう言えば」


 ただし冥界の住人を。
 多分イムニティが見たのは、大河に取り憑いて新しい住処に移る途中の幽霊だろう。
 改めて指摘され、ブワッと鳥肌が立つ大河だった。

 ブルブル頭を振って、嫌な想像を振り払う。


「そ、それはともかくとしてだ。
 イムニティはどれ位の距離を転移できる?
 ここから王都まで、瞬間移動で移動できるか?」


「ええ、出来るわよ。
 普通ならちょっと難しいけど、誰かさんが大量に精を注いでくれたから、氣が溢れかえってるのよ。
 瞬間移動で10往復は軽いわね、あくまで気分的にだけど。
 全く…どういう体してるの?
 並みの救世主候補なら、これだけのエネルギーを放出・吸収されたら問答無用で塵にかえるわ」


 呆れてイムニティは言い放つ。
 ちなみにイムニティが鼻血を出しているのは、大河の朗読に興奮しただけでなく、それによって膨れ上がりかけたエネルギーがちょっと漏れ出したのである…多分。


「なら好都合だ。
 イムニティ、これはマスター権限で命令だ。
 クレアを守れ。
 ただし人知れず…ああ、クレア本人には言っておいてくれ。
 クレアには話を通しておいたから」


「ああ、尻叩きの最中にそんな事言ってたわね。
 齧り付きで見てたから気にしなかったけど」


「齧り付き!?」


 しまった余計な事を言った、とイムニティが慌てて口を紡ぐ。
 先日リリィとの情事を覗き見していた事もあるし、これでは出歯亀が趣味と言っているようなものではないか。
 出歯亀が趣味で、ロープで野外に吊るされて感じる白の精霊。
 ……ロジックも威厳もクソもあったものではない。


「そ、それよりどうして私があの子を守るの!?
 私達の存在意義は、マスターの傍に存在し、仕える事なのに」


「その傍に存在する、と言うのは情事の覗き見も含まれるのか?」


「うぐっ」


 意地悪くイムニティを追撃する大河。
 言葉に詰まったイムニティを見て笑う。


「勝つには色々と必要だって事さ。
 極端な話、イムニティからの力の供給があるから、俺の方は大抵の事は何とかなる。
 でもクレアは…アヴァターの民の実質的な指導者は、はっきり言って戦闘能力は無い」


「まぁ、歳が歳だしね…」


 幾らなんでも、あの年齢で戦うのは難しい。
 専門の訓練を積み続けていれば話は別かもしれないが、彼女は王宮で専ら事務仕事をして育った。
 護身術も身につけてはいるが、それも基本的に遁法…逃げる隠れるが基本である。
 彼女の護衛を擦り抜けて害を与えるような相手にクレアが勝つのはムリだから、正しい選択と言えない事もないだろう。


「クレアが倒れたら、人間側の勢力は足を引っ張り合って自滅するのがオチだ。
 つまり“破滅”の民は、クレアを潰せば勝ったも同然の状況になる。
 狙わない手はないだろ?」


(ま、それでなくても魔導兵器のマスターだしね…)


 胸中で呟くイムニティ。
 しかし、彼女はそれを告げる気は無い。
 彼女は大河と契約し、仕えてはいるが、リコと違って新しい世界を望んでいる。
 大河に反旗を翻す気は無いが、やはり全面的に協力と言う訳にはいかない。


(結局はマスターの意思に従うんだけど…)


 イムニティは自分が大河に惹かれている事を自覚している。
 それは初めてのオトコだからかもしれないし、封印から開放してくれたからかもしれないし、理由など無いのかもしれない。
 だが今はまだ……。


「仕方ないわね……私は彼女の護衛に回るわ。
 で、いつになったら帰ってきていいの?」


「そーだな、朝から夕方までは帰ってきていいぞ。
 クレアに危険が迫ったら間髪居れずに守りに行ける、ってんならこっちに居てもいいが」


「はぁ!?」


 イムニティは予想外の返事に半眼になった。
 いつになったら、と言うのは何時になったら、という意味ではなくて、時期的な質問だった。
 しかし返ってきた返事はえらく具体的と言うか…。


「ほれ、前に契約書を貰ったろーが。
 ココん所見てみろ」


 何処からともなく契約書を取り出す大河。
 プロスさんには及ぶべくもないが、イムニティには何処から何時出したのか全く見えなかった。


「…一日10時間のフレックスタイム制…。
 じゃあ、ナニ?
 命令に従ってあの子を守るのは10時間だけでよくて、後は帰ってきてもいいって事?」


「そーいう事だ。
 俺は律儀だからな。
 あ、フレックスタイム制と言っても、仕事の時間帯に制限はあるぞ。
 昼間は護衛兵とかも居るから、多少の事は対応出来るだろ。
 だから自然と仕事時間は夜になる。
 昼間に行ってもいいけど、そっちは残業扱いになる。
 ところで、残業手当はナデナデ縛ってヤルのとどっちがいい?」


「どっちも捨て難い…じゃなくて!
 何で残業手当がそんなの!?」


「リコは喜ぶけどなぁ…。
 頭を撫でてやったら、日向のネコみたいにゴロゴロ喉を鳴らすし」


「あ、あのリコが!?」


 自らの対の意外な一面に、イムニティは驚きを露にする。
 千年振りに封印から外に出て以来、自分の事もリコの事も、意外な事ばかり発生している。
 これは何かの吉兆、凶兆だと思っていいのだろうか?

 それはそれとして、リコが頭を撫でられてご機嫌だったと聞き、イムニティに奇妙なライバル心が燃え上がる。


「……いいわ、やってやろうじゃない。
 あの子の護衛、引き受けたわよ。
 ただし、報酬は…」


 ギラッ、と目を光らせるイムニティ。


「ナデナデでもエッチでもどっちでもいいから、リコの前で思い切り激しくしなさい!
 それはもうリコにシタのよりもずっと激しく丁寧に、リコが嫉妬しまくるくらいに!」


「…マヂか?」


「大マジだっての!」


 頭に血が上っているのか、自分が何を言っているのか理解してないイムニティ。
 思いっきり墓穴を掘っている。
 墓石で蓋をされた墓穴の中で、さらに穴を掘っている。
 その内、星の裏側まで掘りぬくかもしれない。
 具体的に言うと、本気で大河に溺れるという事だ。

 リコに見られている前で、ナデナデならまだしもエッチに及んだらどうなるか…。
 リコの嫉妬はともかくとして、露出(視姦?)プレイ+大河の本気…。
 白の精は本気で腹下死するかもしれない。
 いや、何時ぞやの禁書庫での事を考えたら、嫉妬だけでも充分死ねるかもしれないが。

 自分がやる事ながら、大河はちょっと心配になった。
 ならヤルなと言いたいが、同じオスとしてそれだけは言えない。


「ま、まぁそれで良いなら…。
 でも変更は効かないぞ?」


「ええ上等よ、今からでも行ってくるわ!」


「あ、ちょっと待て」


 肩をいからせてテレポートしようとするイムニティを、大河は呼び止めた。
 まだ何か用かと言いたげな視線を受け止めて、大河はイムニティの頭に手を伸ばす。
 そのまま頭を撫でる。


「ちょ、ちょっとマスター!?」


「給料…いや、ボーナスの前払いだ。
 そんなにプンプンしたまま行くな。
 体に悪いし、クレアも居心地が悪いだろう」


「…フン」


 ちょっと頭が冷えたのか、イムニティは膨れっ面のまま大河のナデナデを受けている。
 しかしやはり心地よいらしく、表情が時々蕩けそうになっていた。
 ほんのり頬を染めて、半開きになりそうになる口元を、ピクピクさせながらも堪えている。
 しかし大体10秒間隔で忍耐力が切れ、目の光が鈍くなり始めて体から力が抜けていく。
 そして大河に倒れ掛かる前に我に帰り、危ない所でバランスを保つ。


(……なんか…一昔前のオモチャみたいだな)


 微妙に失礼な感想を抱く大河であった。


 そのまま暫くイムニティの頭を撫でていたが、ふとイムニティが視線を動かす。


「どうした?」


「…人の気配…なんだけど、何だか覚えのある気配だわ…。
 懐かしい気配……誰だったかしら?
 本人の気配じゃなくて、誰かにひどく似ているような…」


 その気配が誰のものだったか思い出そうとしているイムニティ。
 しかし彼女の記憶は千年前のものである。
 導きの書に閉じ込められている間に忘却したり無意識に脚色したりを繰り返し、随分変ってしまっている。
 ことに気配などという抽象的、感覚的な記憶を留めておくのは難しい。

 頭を撫でるのを止めて、大河は周囲を見回した。
 生徒達がウロウロしているくらいで、特におかしい人物は見当たらない。


「どっちだ?」


「こっちよ……ああもう、思い出せないと気分が悪いわ!」


 白の精霊は結構神経質らしい。
 そのままイムニティの指差す方向に歩いていく。
 その間にもイムニティは気配の主だ誰だったのか思い出そうとしている。
 イムニティが向かったのは、学園の門の方だった。
 そこで止まるのかと思いきや、外に出てしまう。
 本来なら外出届などを出さなければならないが、今はイムニティが張った結界のお蔭で見咎められない。


「便利なもんだな。
 夜這いとかにも使えそうだ」


「女連れで夜這いをかけてどうするのよ。
 リコのマスターみたいな性癖はないわよ、私は」


「じゃあ縛ってその辺に転がしておくから、自分で慰めるとか」


「…………(想像中)……!?(←正気に返った)
 な、何を馬鹿な事を言ってるにょよ!?


 ややどもりつつも、イムニティは逃げるように足を速める。
 その先は、学園を取り囲むように生い茂る森の中。
 青姦するにはもってこいの場所だ。
 しかし今はイムニティは誘っているわけではない。
 大河の事を忘れたかのように、森に分け入って進んでいる。
 向かう先は、より見通しが悪い方。


「何でこんな所に…?
 逢引の真っ最中だったらどうするんだ?」


「その時は出歯亀…いえいえいえ、私はこの気配が誰のものなのか知りたいだけよ。
 どうこうする気はないわ。


 何のかんの言いながらも、大河もちゃっかりついていく。
 ちなみにもし情事にぶち当たったら、当然のように出歯亀をするつもりである。
 そしてその後…またはその途中にイムニティをご賞味する。


「足音を抑えて…この先よ」


 そう言うと、イムニティは忍び足で進み始めた。
 木々の影と影を渡り歩いて、巧に覗きに適した位置を探し出す。
 妙に手馴れている。
 彼女にこんな事をする機会は無かった筈なのだが…。

 深く考えるとロクでもない結論になりそうなので、大河は一端思考を中断した。
 イムニティに続き、大河も同じく移動する。
 しかしこっちは木々の影を渡るのではなく、木に登ってカエデよろしく枝を伝って移動する。
 枝は殆ど揺れていない。


(……イムニティ、居たぞ。
 そこの木に登れば見えるはずだ)


(了解…ほいっと)


 呪文も唱えずにレビテーションを使い、イムニティは生い茂る葉の中に溶け込んだ。
 葉の間から除き見ると、そこには確かに4人の人影があった。

 一人は寝転んでいて、その横で立っている小柄な影。
 もう二人は中肉中背で、その片方からは何やら妙なオーラが漂っている気がする。


(……私が探しているのは、あの小柄な影ね。
 やっぱり見覚えはないのだけれど…………)


 人影の中で、一際小柄な影を見つめるイムニティ。
 遠いのと葉っぱが邪魔して視界が悪いのでよく見えないが、知人にあのような人物が居た記憶はない。


(勘違いとも思えないんだけどね…)


 一方大河は、四人の人影のうち、寝転んでいる影を見つめていた。
 流石の大河も細かい顔の造作は見えないが、それでも人を判別するには充分な距離である。


(あれは……セル?
 昼寝…じゃないな、青カンしてたら乱入された?
 ノー、それにしちゃ安らかに眠っていらっしゃる…。

 って事は、あの小柄な人はひょっとしてアルディアちゃんか?)


 地面に寝転がっている人物はセルだった。
 顔自体は殆ど見えないが、服装でわかる。
 相変わらず愛剣も持っている。

 大河はセルがこんな所でお眠しているのが不思議だった。
 いかにアルディアが家主で無垢な女の子と言えど、手を出すまいと思うセルではない。
 ムリな行為を強いる事はしなくても、このような人気のない場所に来たなら確実に口説こうとする。
 それが、他人が居るとはいえ昼寝?
 正直考えられない。


(あれ、待てよ…?
 あのヘンなオーラ背負ってる人は、アルディアちゃんの家にいた使用人だか執事だかじゃないのか?
 何だか背中に悪寒が走ると思ったら、あの人のオーラが原因か…)


 やっぱり人外かも、と思う大河だった。
 それはそれとして、アルディアと執事(仮)は何やら話し込んでいる。
 と、執事がアルディアに何やら荷物を渡した。
 いつもの事のようにアルディアは受け取り、執事ももう一人の人影と供に去ろうとする。
 しかし、執事はふと周囲を見回した。
 鋭く、油断のない、どよ〜んと淀んだなんか怖い目。
 大河はその瞬間、反射的に気配を全力で消していた。

 執事の視線が、大河の隠れている辺りを撫ぜる。
 息を止めて大河は視線をやり過そうとした。
 周囲では虫が五月蠅い。
 人間が居てもお構いナシに鳴く虫だが、今はそれが有難い。

 数瞬の後、執事は踵を返した。
 アルディアとセルをその場に残し、何処へともなく…多分屋敷だ…去っていく。

 その後姿が森の中に消えて、ようやく大河は緊張を解いた。


「……っはぁ…。
 ………何者だ、あの人…。
 物凄い寒気がしたぜ…」


 腕に手を這わすと、思った以上に鳥肌が立っていた。


「…本当に…気付いてなかったのか…?」


 改めて執事の眼光を思い出し、背筋を振るわせる大河。
 彼の直感が告げている。
 あの執事は只者ではない。

 確かに見かけからして只者ではないが、それ以前に根本的に違う。
 凄まじい実力を感じ、そして血の匂いを感じ取った。


(単なる執事が、あんな気配を出すかよ…万能執事じゃあるまいし、過去に何かあったのか?
 いいや、あの感じはまだ充分現役…つぅか、一仕事終えてきたって感じだったぞ)


 未だに警報を収めない生存本能を強引に沈める大河。
 一方イムニティはと言うと、アルディアを観察するのは止めたらしく、何やら不機嫌そうに溜息をついている。


「どうした?」


「どうしたもこうしたも無いわ…。
 こんな所まで来たのに目的の相手が誰だったか分からないし、濡れ場でも演じてくれるのかと思えば…」


 濡れ場を演じられそうなのは、未だに寝ているセルとアルディアのみ。
 この状況で何が期待できよう。
 人によっては相手が寝ていても行為に及ぶかもしれないが、相手はあのアルディアである。
 妙に幼く、精神的年齢と肉体的年齢が噛み合っていないアルディアである。


(いや、彼女は多重人格だって話だし…。
 もしかしたらそういう人格もあるのか!?)


 思わず期待(?)する大河。
 しかし同時に、もしそうなったら止めるべきか否か考える。


(…やっぱ止めるか。
 イムニティは期待してるかもしれないが、それは俺が満足させてやればいいし。
 目の前で他人の濡れ場見てもいい気分じゃないしなー)


 それに、アルディアも精神的ダメージを受けるかもしれない。
 彼女が行為の意味と内容を理解しているかはともかくとして、あのような幼い少女…あくまで大河が知るアルディアの印象…が行為に及ぼうとするのは、人として止めたい。
 ……つい先程アルディアと同い年の王女を相手にスパンキングかましたのは棚の上…むしろ棚の裏の埃の下に放り出されている。

 しかし、大河の心配は無用だった。
 アルディアはセルに近付き、頭の方に回りこむ。
 何をする気かと見ていると、セルの頭を軽く持ち上げ、なんと自分の膝の上に載せてしまった。
 俗に言う膝枕である。
 セルのくせに何と羨ましい……腹を殴って吸収した人造人間を分離させ、完全体から引き摺り戻してくれようか。
 しかしセルの部品を分離させると内蔵が千切れて死んでしまいそうなので自粛する。

 セルは相変わらず眠ったままだ。
 普通の睡眠とは少し様子が違う。
 ひょっとしたら、故意に眠らされているのかもしれない。
 アルディアは何やら戸惑った表情をしながらも、セルの頭を撫でている。
 そこはかとなく幸せそうだ。
 暖かい風が森を揺らす。
 どこかで鳥が鳴いた。


「………ねえマスター」


「ナンだイムニティ」


「私はこんなのを期待してたんじゃない…もとい、気配の元が誰なのか探りに来たのに、どうしてこんな光景を見なければいけないの?」


 イムニティは今にも砂糖を吐けそうだ。
 というか、現在進行形で砂なぞ吐いている。
 内心エロエロな展開を期待して来た…もとい気配を辿って来たと言うのに、いざ蓋を開けてみれば、今時青春漫画でも無さそうなベタな展開。
 期待外れもいい所だ。
 このくらいなら大河達も普通にやっているのだが、イムニティにはまだ耐性がついていない。
 イムニティは何だか虚しくなってしまった。

 大河が返事をするよりも早く、イムニティは踵を返す。


「イムニティ?」


「私はそろそろ行くわ。
 あの子…クレアは王都だったわね?
 または王都に向かう道の途中」


 クレアはまだ学園に居る。
 しかし大河達はそれを知らない。
 尤も、現在帰り支度を始めているので大差ないかもしれないが。


「ああ、もう行くのか。
 夜まではまだ時間があるけど」


「クレアの警備をするなら、周辺の地理も把握しておきたいわ。
 ああ、報酬を貰いに今晩…はムリでも、明日か明後日には一旦帰ってくるから」


「ん、それはいいが…王都に行って、仕事を忘れないでくれよ」


 揶揄交じりに言われた言葉に、イムニティは非難がましい視線を向ける。
 今は多少(?)性格が変っているが、これでもイムニティは沈着冷静、論理的な思考を旨とする白の精霊である。
 確かに千年振りの王都には珍しい物目新しい物が目白押しだろうが、自分の享楽にかまけて使命をないがしろにするような真似はしない。
 と言うより、使い魔的性質を持つ彼女には不可能と言っていい。
 その彼女が仕事を忘れる?
 このマスターは自分の事を理解していないのか、とイムニティは少々失望に囚われた。

 が、大河の心配は少々予想の上を行く。
 彼はイムニティ以上にイムニティの事を理解しているのかもしれない。


「そんな顔するなって…。
 さっき、ホモネタの朗読聞いて鼻血出してただろうが」


「あ、あれは……男と男の絡み合いを聞いて興奮なんかしたわけないじゃない!
 私は単にアナタとクレアの絡みを見て…」


 どっちにしろ、ちょっとヘンタイは入っている。
 しかしその程度なら大河は全く気にしない。
 なぜならイムニティの気持ちがよくわかるからだ。
 要は夜中の公園で露出プレイとかに励んでいる女×女を見て興奮するようなものだ。


「それもどうかと思うが……王都には聖地があってな」


「聖地?」


 いぶかしげなイムニティ。
 人間が定めた聖地なぞ、アヴァターの中で最も長く生きた二人の片割れである彼女には関係ない。
 何せ神に作られ、今も神の意思…それが彼女達に刷り込まれているプログラムならばだが…に従う、宗教に当てはめれば天使にあたる存在だ。
 俄か宗教で定義された聖地など、地面に線を引いて「この中は僕の陣地」と叫ぶお子様の如し。
 ただの土地と大差ないのである。
 彼女にとって聖地と呼べる場所があるとすれば、そこは導きの書が安置されていた聖殿…今は禁書庫となっている…しかない。
 その聖地も、今では千年間閉じ込められ続けた忌まわしい監獄。

 そもそも、その聖地が自分に何の関連性があるというのだろうか。
 かつての聖地は学園の下、人が定義した聖地が王都にあるとしても、任務を忘れるほどに興味深い何かがある筈もない。


「いやいや、お前が思っているような意味じゃない。
 確かにメッカはメッカだが、反社会的な人外魔境兼ドリームランドと言うか、むしろレアアイテムと愉快なコスプレキャラクターとオタクを掛け合わせた
人種のサラダボウルというか…」


「? ? ?
 一体何を言ってるの?」


 流石のイムニティも全く理解できない。
 大河から伝えられる言葉で想像しようとするが、イムニティの頭に浮かんだのは意味不明な装飾を付け、地面にこれまた意味不明な…見る者が見れば涎を垂らさんばかりの…器具を置いて、なぜかビニ本を丸めてバシバシ地面を叩く、「さぁ安いよ安いよ〜」とか叫びまくる人物が所狭しと犇めき合う謎空間だった。
 一部合致している点が無いでも無い。


「そんな所、千年前には無かったわね…と言っても、私達が訪れた事のある土地は極一部だけど」


「そうなのか?」


「私達は基本的にマスターに付き従うもの。
 自覚がないマスターなら自由に行動するけど…。
 私達に選ばれたマスターは、そのまま救世主として覚醒するか、人の居ない場所に移動するか…。
 それでなくても、すぐにでも“破滅”を打ち払おうとするから、その手の娯楽施設には立ち寄らないのよ」


 リコが意外と世間知らずな理由はこの辺りが原因だ。
 ことにイムニティなどは、千年間のブランクがあるのでもっと激しい。


「それで?
 その聖地とやらに何があるって言うのよ」


「…色々あるが、メインは……同人誌ってやつだな」


「?」


「一言で言っちまうと、何かの作品…アニメや漫画、小説とかのキャラクターを使って、自分達で勝手にストーリーを作る本だ。
 オリジナルもあるけどな。
 勿論その内容は…限度はあるが自由。
 原作を無視したカップリングだって出来るし、18禁も普通にある」


 18禁の部分でちょっと反応したイムニティだったが、所詮は2次元とタカを括った。
 まぁ、同人誌の凄まじさ…もとい素晴らしさは自分で読んで見なければ理解し辛いだろう。
 その辺は大河も承知の上なので何も言わない。


「それでな…カップリング自由って事は……まぁ、男×男ってのも…」


「………Really?」


「いえーす。
 それ以外にも口に出せない行為を描いている同人誌が山ほど…」


 思わず英語で尋ねるイムニティ。
 目が見たこともないほど大きくなっていた。

 イムニティの脳裏には、既に耽美な妄想が走馬灯の如く走り続けている。
 イムニティ本人はそれの意味を理解できてないし、なぜそんな光景を(妙に詳しく)妄想できるのかも解からない。
 ただ、その妄想に…正当なロジックの外側にあるはずの妄想に、激しく心惹かれる。


「そそそそ、それはつまり、さっきマスターが読んでいたような本が…」


「結構ある。
 イベントの趣旨にもよるけど、あの辺りには野菜本を専門に扱う店もあるし…」


「ままま、ますたー!
 ちょっと給料を前借してもいいかしら!?」


 目を血走らせて大河に詰め寄るイムニティ。
 やっぱり余計な事を言い過ぎたか、と大河は後悔した。
 しかし言ってしまったのだから仕方ない。

 カツアゲされているような気分になりながら、大河は財布から金を取り出した。
 イムニティとの契約では、一日10時間働き、時給は750円。
 どこぞの守銭奴とは違って労働基準法は守るのだ。


「ほれ、一万円(日本円に換算)。
 全く…俺がこんな大金を人に貸す事になるとは…」


 苦虫を噛み潰したような大河。
 これも救世主クラスとしての高給ゆえである。
 地球に居た頃は未亜と同じで倹約癖が身についていたので、3桁後半以上の金を使う時には心臓がバクバク鳴っている。
 ましてや人に貸すなぞ何を況や、だ。


「感謝するわマスター!」


 ひったくるように大河の手から金を受け取るイムニティ。
 彼女はやろうと思えば立ち読みから万引きまでやり放題なのだが、そこそこ良心はあるらしい。
 今にも鼻血を垂らさんばかりのイムニティに頭を痛めながら、大河は財布をしまう。


「それじゃあ、私はこれから聖地に行ってくるからね!」


「あっ、おい、本当に大丈夫なんだろうな!?」


「まかせて!
 案内されなくても、見事に本を探し出してみせるわ!
 それじゃ、アデュー!」


「そーじゃなくてクレアの護衛を…!
 ああ、行っちまった…」


 大河の制止も聞かず、あっという間に姿を消したイムニティ。
 物凄く不安である。
 今すぐクレアが“破滅”に狙われると決まった訳ではないし、本当に危険な時期になるまでにはイムニティも冷静になるだろう。
 が、一抹の不安を拭いきれない大河であった…。


「……どっちに行けば帰れるんだ?」


 ちょっと途方に暮れる大河。
 しかし、その大河にかけられる声があった。


「おい大河?
 何やってるんだ、こんな所で」


「大河?
 おお、大河だ。
 何か面白い事を見つけたのか?」


「あ?」


 振り返った大河の目に映ったのは、何時の間にか起きていたセルとアルディアであった。
 アルディアの手には、先程執事から渡された荷物が持たれている。
 恐らくセルが持とうとしても断られたのだろう。
 そうでなければ、セルはこういうポイント稼ぎのチャンスを見逃さない。

 荷物の中身が気になりつつも、何とか上手い言い訳を考える大河。
 イムニティの事を人に言う訳にも行かない。
 結局恍ける事にした。


「いや、ウトウトしながら散歩してたら何時の間にかな…。
 それにしてもイイモノ見れたな〜♪
 セル、この事を傭兵科の連中に密告したらどうなるだろうな?」


「出会い頭に脅迫なんぞすんじゃねぇ!
 それはともかく、本当にこんな所まで…。
 できるだけ人目につかない場所を選んだってのに」


「俺だって、どういう道筋を通ってここに居るのかさっぱり覚えてないんだよ。
 おかげで道に迷うかと思ったぜ」


 ぬけぬけとよく言う。
 セルは呆れたような顔をしながらも、一応信じたようだ。


「それじゃあ、学園まで連れて行ってやるから、俺とアルディアさんの事は秘密な」


「…ま、いいだろ。
 ところでアルディアちゃん、こんな所で何をしてたんだ?」


 渋々ながら了承し、大河はアルディアに矛先を向けた。
 極力表には出さないが、大河はアルディアを観察していた。

 大事そうにバッグを抱え、相変わらず胸にはセルがプレゼントしたと思われるブローチを着けている。
 表情は幼さを感じさせる。
 どうやら人格は以前大河と会った時のままらしい。


「ん、爺から預かり物なんだ。
 爺はこれから用事があるから、これを家に持って帰って欲しいんだって」


 そう言ってアルディアはバッグを見せる。
 中には何が入っているのか、意外と重量感がある。
 アルディアが片手で軽々と持っているのが不思議なくらいだ。
 案外力持ちなのかもしれない。


「ふーん…中身は何だろ?」


「さぁ?
 でも、他人の荷物を勝手に開けるのはやっちゃいけない事だぞ」


 めっ、とばかりに人差し指を立てて大河に釘を刺すアルディア。
 内心ちょっと考えていた事を見透かされ、苦笑いで誤魔化した。

 一方、セルはというと首を傾げている。


「えーと…あの、アルディアさん?
 ジュウケイさん…もとい執事長がここに居たんですか?」


「ああ、さっきまで居た。
 でもセルは眠ってたから」


「眠ってた…?
 …………そう言えば、ここでのんびりしてる時に急に眠くなって…」


 セルは眠る前の事を思い出そうとしている。
 しかし記憶に妙に霧が掛かっており、明確に思い出せない。

 戸惑うセル。
 その頭を、アルディアの手が優しく撫でる。


「よしよし、きっと疲れてたんだ。
 ごめんな、あっちこっちにお遣いに行かせて」


「そ、そんな事ないッスよ!
 元々家に泊めてくれる条件だったスから、アルディアさんに悪い所なんて何処にもないッスよ」


「そうそう、疲れていたんだとしたら、自己管理の出来てないコイツの責任だよ。
 一応傭兵科だってのに、何をやってるんだ?」


「う、反論のしようが無いな…」


 自己管理は傭兵には必須科目だ。
 例えアルディアが各地にお遣いをさせてセルが飛び回っていたとしても、疲れが溜まっているのに休息を取らなかったのはセルである。
 傭兵失格の烙印を押されても仕方ない。

 苦笑いするセルを横目に、大河は執事…ジュウケイというらしい…が去っていった方向を見つめていた。


(急に眠くなった…?
 見た所、セルには大して疲労は溜まってない。
 むしろ健康そのものだ。
 それがどうして…………。

 やはり魔法…いや、薬か?
 霞扇の術…?)


 霞扇の術とは、扇子に粉末状の薬品を仕込み、パタパタ扇ぐ事によって薬品を飛ばす術である。
 風下にしか使えないのが欠点だが、言ってみれば毒ガスのようなものである。

 しかし、この術は大雑把にしか狙いを付けられない。
 風でもふけば、薬は全て吹き飛ばされてしまう。


(となるとやっぱり魔法…。
 眠りの呪文はあったけど、セルがそれに気付かないかな…?)


 チラリとセルを見る。
 この男なら案外気付かないかもしれないが、魔法によってもたらされる眠りは不自然な眠りである。
 違和感がある、と言ってもいい。
 達人クラスの術ならばそうでもないが、魔法の眠りはすぐに解かるのだ。
 そして気付いてしまえば、対抗するのは然程難しくない。

 ではセルが眠りについた理由は?
 この状況で考えられる最たる理由は一つ。


(あの執事か…。
 しかしどうして、どうやって?)


 あの執事は、セルの事を気に入っているようだった。
 アルディアの良き友人…それ以上を期待しているのかもしれないが…であるからだろう。
 セルを攻撃する理由が無い。


「…なぁアルディアちゃん、そのバッグを渡されたのは今日が初めてなのか?」


「? いいや、時々あるぞ」


「その後に何かおかしな事が起きたりしなかった?」


「なにも」


 不思議そうな顔をするアルディア。
 大河は頭を掻いた。


「いや、ひょっとしたらそのバッグは玉手箱だったり…なんて考えただけだ」


「玉手箱?」


 首を傾げるアルディアに、セルが説明し始めた。


「玉手箱っていうのはですね、昔々ある所で助けられた亀が、そのお礼と称して…」


「ふんふん」


 目を輝かせて聞き入っている。
 どうやらこの手の御伽噺を聞いた事がないらしい。
 アヴァターにも同じ話が伝わっているのかはともかくとして、大河はまた考え始めた。
 …セルの話に、亀ハウスがどうの火を吹きながら回転して跳ぶ亀だの無天老師のナントカ波だのが混じっている気がするが気にしない。


(このバッグに仕掛けはないのか…。
 特におかしい事はなかったって言ってるし、俺の思い過ごしかな?
 セルを眠らせる理由があるとしたら、アルディアにこのバッグを渡す事を見られたくなかった、っていうのが最有力候補だったんだが)


 アテが外れたか、と大河は思う。
 アルディアがウソを言っているとは考え辛いし、元々大した根拠がある訳でもない。


「おわっ、ちょっ、何やってるんですかアルディアさん!」


「これは玉手箱なんだろ?
 開ければ大人になってムチムチボインになれる魔法の箱なんだろ?
 マヌケなガラパゴスゾウガメが鍋にされる所を、子供が必死に頼み込んでペットとして飼う事になったら、恩返しとしてくれた箱なんだろう?
 どうでもいいが、亀って逆様にして火をかけたら鍋不要なんだな。

 カメセンニンがお婆さんになったのは元々オッサンだったからだ。
 私の年齢なら、きっと丁度いい歳になれる。
 セルだって私がスタイルのいい妙齢のご婦人になった方が嬉しいんじゃないか?
 私だってキョニュウになりたい」


「その前に垂れるから!
 妙齢を通り越して高齢になるから!
 と言うか、玉手箱なんて実在しないって!
 あとガラパゴスゾウガメとか言ってない!」


 何やらセルがアルディアを押し留めている。
 妙に生々しい浦島太郎を話したようだが、アルディアはそれを真に受けてしまったらしい。

 概略・セルの浦島太郎より…

 山狩りに参加して一攫千金を狙うウミガメは仲間とはぐれ、山狩りどころか逆に狩られそうになる始末。
 山のカメ達に縄張り侵犯だと騒ぎ立てられ、裁判の結果、海に続く河に放り込まれそうになった。
 河の流れは酷く激しく、断崖絶壁の下にある。
 放り込まれれば即死と考えていい。
 そこへ登場したのが、浦島一郎(63歳・職業は山師)だ。
 山にウミガメとは珍しい、捕まえて煮て一杯やろうと考えた浦島一郎は、さっそくウミガメを捕まえて家に持ち帰った。
 助かったと安堵したのも束の間、ウミガメは今度は火にかけられた。
 熱い熱いと苦しむウミガメを助けようと、浦島一郎の子供・浦島太郎こと通称カメセンニン(38歳・職業引きこもり)が必死に懇願する。
 浦島太郎の熱意に負け、子供作らせてから食べようと考えを変えた浦島一郎。
 こうしてウミガメは守られた。
 今度こそ助かった、と安堵するウミガメ。
 煮られかけておいてなんだが、ウミガメは浦島太郎に懐いた。

 時は流れ、そんなある日、家族揃って海に行く浦島一家。
 助けられてからも何時煮られるかとビクビクしていたウミガメは、チャンスとばかりに海へ帰ろうとする。
 しかし助けられた礼を浦島太郎に言ったのが運命の分かれ道。
 別れたくない浦島太郎は、海に帰ったウミガメの後を必死で泳いで追いかけてきた。
 仕方なく浦島太郎を竜宮城に連れていくウミガメ。

 竜宮城で浦島太郎は歓迎されまくったが、5年も経てば幾らなんでも人恋しくなる。
 何せ竜宮城の住人は全て魚やカメと言った海の生き物。
 乙姫様はと言えば、女ではあるが下半身が巨大な海蛇だ。
 丁度乙姫様たちも、調子に乗って好き放題やっている浦島太郎に困り果てていたので、これ幸いと送り出した。
 何せ女を見れば飛び掛るわ(半分以上が魚でも)、亀に花火をつけてガ○ラみたいに回転飛行させようとするわ、手からヘンな光を出して竜宮城を破壊するわ……亀を助けた恩を帳消しにしてなお余る。
 ついでに迷惑をかけられたお返しにと、土産と称して浦島太郎に玉手箱まで持たせる。
 地上に帰ってきた浦島太郎。
 しかし地上ではかなりの時間が経過しており、彼の父・浦島一郎はすでに寝たきりの爺様になっていた。
 当然ボケており、浦島太郎の事など存在も覚えていない始末。
 世の変りようにヤケッパチになり、とりあえず玉手箱を開ける浦島太郎。
 別に開けるなとも言われてないのだから、と軽い気持ちで開けたが最後、次の瞬間煙に包まれ、浦島太郎(43歳)は浦島子(86歳・女)になっていた。
 その後父親と日がな一日、熱いお茶を飲んで暮らしたという。

 玉手箱のせいで女になり改名したので、墓石に刻まれた名前は浦島太郎ではなく島子だった。
 浦島太郎の本名が島子ではないか、という説はこれが原因だろう。
 追記・この話の時代では平均寿命が現代の半分以下です。


 どうでもいい話に逸れまくった。
 閑話休題。
 この話を聞いた結果、アルディアは玉手箱の事を『実年齢の二倍くらいの年齢になる箱』と捕らえてしまったらしい。
 今のアルディアが使えば、恐らく結果は20歳後半…女盛りの時期である。
 本当にアルディアの考えた通りの代物なら…だが。


「ええい、どうして玉手箱を開けてはならんのだ!?」


「そうだそうだ、別にいいじゃないかセル」


「バカ言ってんじゃねぇぞ大河!
 玉手箱ってのは、開けたヤツを問答無用でボケ老人にする罠の事だろうが!」


「いやそれ以前に、そのバッグの何処が玉手箱だよ」


 はたと冷静になるセル。
 そう言えばそうだった。


「…あんな話を真に受けるなんて、俺もどうかしてるぜ…」


「あ、もう開けてる」


「ダーーーーーーッシュ!」


 アルディアはセルの制止がなくなったのをいい事に、早速バッグを開けていた。
 セルはアルディアを掻っ攫い、開かれたバッグから急激に遠ざかる。
 ご丁寧にも風上に向かって逃げる芸の細かさ。
 森のために視界が悪い事も手伝って、もう姿が見えない。

 置いていかれた大河はセルが走って行った方向を睨み、視線をバッグに動かした。


「……?
 これは…何だ?」


 そこにあったのは、奇妙なガラクタだった。
 ぱっと見ても何なのか解からないが、もう壊れて使い物にならないという事だけは理解できる。
 色や形状もバラバラで、ゴミ処理場から適当に硬い物をかっぱらって来たようにしか見えない。


「これが大事な物…?
 あの執事のバケモノ爺さんが、セルを眠らせるほどの?
 …これに何か価値があるのか、それともこれはフェイク…?」


 個人の趣味だろうか?
 そういう事なら文句を言おうにも言えないが…。


「大河、大河!
 玉手箱は!?
 魔法の煙は!?」


「だああぁ、アルディアさん引っ張らないで〜!
 俺は爺さんにも苦みばしった中年にもなりたくない〜!」


 大河が頭を捻っていると、森の中からアルディアが現れた。
 片手でセルを引き摺っている。
 やはりかなりの力持ちのようだ。

 自分を置いて逃げたセルにプレッシャーを掛けつつも、大河はバッグを指差した。
 興味津々で覗き込んだアルディアは、バッグの中身を見てきょとんとした顔をする。


「…大河、煙は?」


「ないない、そんなの出て来てないよ」


「これは玉手箱じゃなかったのか!?」


「誰もそんな事言ってないって…」


 言った。
 しかも大河本人が。
 ただの冗談だったが、生憎とアルディアには冗談は通じにくいらしい。


「じゃあ大河は私を騙したのか!?」


 怒りながら大河に詰め寄るアルディア。
 それを見て、大河はさっさと保身に走った。
 勿論、自分を見捨てて逃げたセルへの意趣返しも兼ねている。


「そもそも、玉手箱ってのは開けた人間を爺さん婆さんにする邪悪な箱なんだぞ。
 開けないでください、と言われていたのに開けてしまった浦島太郎は、約束を守らなかった罰として老人にされたんだ。
 妙齢の女性になれるなんて、セルが言った戯言だろ」


「そうか?
 セル!」


 あっさり口車にのるアルディア。

 セルも妙齢の女性になれる、とは一言も言っていない。
 だがアルディアの密度の低い脳味噌に、そんな事は一切登録されていなかった。
 彼女は基本的に楽しい事や都合のいい事しか覚えていられないのだ。


 矛先を向けられたセルはしどろもどろに言い訳しながら、大河に向けて『オボエトケ』と視線を送る。
 大河は鼻で笑って踵を返す。
 もう一度だけバッグに目をやり、中身を記憶してから森から立ち去った。


「………それにしても…クレア…ツルペタどころか、ツルツルだったんだな…」


 さて、こちらはクレア。
 身繕いも終わり、色々とばれるのではないかとヒヤヒヤしながら…実際にはミュリエルは勿論、ダリア達にまで明白だったが…帰路に付こうとしていた。
 今後のことを思い、クレアは暗鬱とした心境になる。
 “破滅”は強敵だが、勝算はある。
 何よりも面倒なのは、自軍内で足を引っ張る連中をどうやって処理するか、だ。
 大河から色々とネタを受け取ったが、相手は百戦錬磨の古狸どもである。
 経験不足のクレアでは、足元をすくわれる危険がある。
 しかし、他の誰かに任せる事が出来るかというと…。


「……私の代役が務まりそうなのは、アザリンくらいだが……」


 “破滅”対策の第一人者として任命した、同年齢程度のホワイトカーパス州代表の顔が浮かぶ。
 彼女は今でこそ辺境の一領主だし、本人もそれ以上を望んではいないが、その器はその程度では納まらない。
 クレアと同じく、社会の中枢を担う役職に就いてこそ、その采配を存分に発揮する事が出来るだろう。
 そして皮肉にも、“破滅”が迫っているからこそ、アザリンをその能力に相応しい地位につける事ができた。


「アヤツの能力は充分過ぎるほどだが、私とは少し考え方が違うからなぁ…」


 今はクレアが頂点に立っているからいい。
 しかしもしアザリンとクレアが並び立てば?
 最悪の場合、王宮は二つに割れる。
 無論アザリンもクレアもそんな事は望んでいないので、暗黙の内にお互いの立場を保っている。
 しかし2人のカリスマは隠そうと思ってもおいそれと隠せるような物ではなく、現に王宮にもアザリンのファン…他に言いようが無い…が増え始めている。
 フローリア学園の生徒によく見られるようなちょっとアブない人種ではなく、彼女を盛り立てて、手助けをしようという…所謂忠臣が増えつつあるのだ。
 …アブない人種もやっぱり居るが、そちらはドムに牽制されて遠くから姿を拝む程度である。

 クレアが内側を纏め上げ、その力を結集させるカリスマならば、アザリンは愛らしい容姿とは裏腹の苛烈な気性で、立ち塞がる者を薙ぎ払わんとするカリスマ。
 戦場ならば、アザリンに分がある。


「やはり私は人類内部を相手にすべきか。
 餅は餅屋と言うからな…」


 ブツブツ考え事をしていると、クレアの帰りの馬車の支度が整った。
 クレアは一度フローリア学園を振り返り、そこで授業を受けているであろう学生達の姿を思い浮かべる。
 一縷の羨ましさを覚えつつ、その視線がふと一点に止まる。
 その視線の先にあるのは……図書館。
 大河と密室で交わしたゴニョゴニョが脳裏をよぎる。

 ボンッ、と顔が真っ赤に白熱した。


「クレア様、お帰りの時間です………?
 クレア様、クレア様……?」


 馬車の御者が痺れを切らして迎えに来た。
 彼が見たのは、全身を真っ赤に染めて硬直するクレアの姿。
 初めて見るクレアのフリーズした姿に、一体何が起きたのか予想もできない御者。
 それでもクレアを連れ帰るため、とにかく正気に戻そうとクレアの肩を揺すり、声を掛け続ける。


「クレア様、クレア様!
 お帰りの時間です!」


 その甲斐あって、妙な格好で停止していたクレアの体が少しずつ動く。
 ぎぎぎぎぎ、と異音を上げつつも、クレアは御者を振り返った。


「オ、おo、なななナななんダ?」


「い、いえ……ですから、お帰りの時間ですと…」


 ロボットダンスのよーだな、などという感想を抱いた御者は、片手を上げて馬車を指差す。
 と、その途端にクレアの体は疾風と化した。
 ナニかが臨界点を超えてしまったのか、バンっという音がしたと思ったら、馬車の後ろの扉が閉まっていた。


「………なにが…?」


 状況を全く把握できずに立ちすくむ御者。
 ふと目を下に向けると、そこにはくっきりとした足の跡。


「………縮地かよ!?」


 最初の一歩からいきなりトップスピードに乗る、どっかの感情が欠落した天剣の得意技。
 これなら態々馬車で行かなくても、自分で走ったほうが速いんじゃないか、と思ったのは当然だろうか。

 しかしクレアはというと、馬車の扉をきっちり閉めて、なにやら唸りながら毛布に包まってゴロゴロ転がっている。
 馬車に毛布があるのは、移動中に少しでも体を休めるための措置だが…こういう使い方は予想だにされていなかった。


「うう〜〜〜!うーっ!ぅあああ〜〜〜!?」


 馬車の中から、クレアのものらしき唸り声が響く。
 どうするべきかと、途方に暮れる御者。
 どう見てもクレアは尋常な状態ではないし、忠実な配下の一人を自認する彼としては何らかの手を打たねばならないだろう。
 しかし事が唐突過ぎて、事態が全く飲み込めない。


「え、え〜と…く、クレア様?」


 とにかくクレアの顔を見ようと、御者は馬車の扉に手をかけた。
 普段ならあっさり開く筈の扉は、何やら凄い力で閉められている。
 内側から閉められているのだから、これは確実にクレアの仕業だろう。
 しかし彼女にそんな身体能力は無い。
 何せ骨格も完成していない年齢なのだ。


「ちょ、ちょっと!
 クレア様!
 開けてくださいって!
 一体何があったんですか!?」


「なんでもない!
 なんでもないから、早く出発してくれ!
 いいから!」


「いえそうは仰いますけどねぇ!」


「あああああ、とにかく出発してくれぇ!」


 そうは言われても、クレアに何かあったのならば、御者としても放っておいていい訳がない。
 クレアがこれほどに取り乱す出来事……御者には想像もつかなかった。

 ここまで来たら最早意地、とばかりに御者は体重を掛けて扉を開けようとする。
 しかし扉はビクともしていない。
 これが王女の力なのか、と埒もない事を考える御者。

 と、その時後ろから声が掛けられた。


「……何をやってるのよ?」


「天岩戸に篭ったヒッキーを白日の下に引きずり出してやろうとしてるんですよ!」


「誰がヒッキーだ!
 私がアマテラスオオミカミだと言うなら、その辺でストリップしながら踊って誘い出せばいいだろう!」


「そんな事しても、クレア様は出てきてくれません!
 そもそもアマテラスオオミカミは太陽の神本人ですから、太陽の下に引きずり出そうったって無理でしょう!」


「当たり前だ!
 私が出てくる前に、お主が猥褻物陳列罪でしょっ引かれるわ!
 アマテラスオオミカミの事はもーどうでもいい!」


 もう何が何だか、本人たちにも解かっていない。
 後ろから声を掛けてきた何者かは、頭をポリポリ掻いて状況を把握しようとする。


「……ああ、なるほど。
 初心な乙女心というヤツね」


 ……どうやら正確に把握できたらしい。


「え? 何だって?」


「そっとしておいて上げなさい、って事よ。
 別に命に関わるような大変な事が起きているわけじゃないわ。
 むしろ突っ込めば突っ込むほど事態が悪化するだけよ」


「そうなのか?
 って、そもそも貴方は…」


 ここに至って、ようやく御者は振り向いた。
 そこに居たのは、小柄で紫色の髪をたなびかせた、赤い釣り目の少女……御者は知らなかったが、イムニティだった。
 何やら袋を提げている。

 本来なら不審人物扱いか野次馬として扱うのだが、今は違う。
 御者は、どうやら自分よりもこの少女の方が状況を把握できているらしいと考えた。


「よく解りませんが……大丈夫なのですね?」


「ええ。
 全人類の半分近くが…いえ、ある意味人類全てが一度は通る道よ。
 偶に何も感じなかったり体験できない悲惨な人もいるけどね」


「はぁ…」


 首を傾げる御者。
 そんな御者に苦笑して、イムニティは馬車に近付いた。
 制止しようとする御者が動く前に、イムニティは馬車の扉をノックする。


「…だ、誰だ?」


「私はイムニティよ。
 マス……もとい、当真大河から聞いてない?」


「聞いている。
 聞いているが……うあああぁぁぁ〜〜〜!?」


「……ダメだこりゃ」(BY 故いかりや長介)


 大河の名を聞いた途端に、またしてもドタンバタンと暴れだすクレア。
 乙女回路が完全に暴走している。

 唖然としていた御者は、未だ事態が飲み込めていなかったが、当真大河という人物に関係がある事だけは理解できた。
 当然ながら、彼の名前は御者も知っている。
 曰く、無類の女好き、アヴァター随一のトラブルメーカー、不条理の塊、アヴァター初の男性救世主候補…。
 ちょっとばかり誇張はあるかもしれないが、おおよその性格は聞き及んでいた。


「……無類の女好き…?」


 その辺りまで考えが及ぶに至って、御者は頭を振って余計な事を考えまいとした。
 気付いてしまえば、余計な仕来りに拘る老人達に報告しなければならない。
 気付かなければ、彼女のプライベートで押し通せる。

 クレアの周りには、王女としての義務を果たさせようと尽くす臣下と、クレア個人の幸せを掴ませようとする臣下の二種類がいる。
 どちらが正しいとも言えないが、この二つは反目しあっているようで対立していない。
 クレアの素質が素質である以上、王女としての義務を果たさずして個人の幸せを掴める筈もないからだ。
 ただ、どちらに重きをおくかの問題。

 御者や司書さんは後者である。
 ダリアもそうだ。
 前者はもっと地位が高く、社会的責任が大きい人物が主である。

 王女としての義務を優先させるのなら、今回クレアに起こった出来事は決して歓迎される事ではない。
 スキャンダルになりかねないからだ。
 自分と少女…イムニティ…と当真大河が黙っておけば問題はない。
 そう判断して、御者は詮索を止めた。

 ならば、自分は役目を果たさなければならない。
 つまり、クレアを王宮へ送り届ける事だ。


「クレア様、クレア様!
 そろそろ出発いたします。
 馬車をガッタンゴットン揺らすのはお止め下さい!」


「うがあぁぁぁ〜!?」


「…ダメダコリャ」


 図らずもイムニティと同じ口調で呟いてしまう御者だった。


「…キスだけで悶え狂うなんて、クレア様も歳相応の所がありますね」


 …正確には理解していなかったようだ。

 これではとにかく時間を置かねばどうしようもない。
 御者はクレアの事は一端放置して、イムニティに向き直った。


「何かしら?」


「不躾ながらお願いがあるのです。
 クレア様と当真大河殿の間に何があったか、絶対に人に漏らさないで戴きたいのです」


「別にいーわよ」


 イムニティは二つ返事で承諾した。
 心中身構えていた御者は拍子抜けした。
 何かしら交換条件を出されるかと思っていたからだ。

 今この情勢でのスキャンダルは、クレアの、引いては王宮の評判に酷く傷をつける事になるだろう。
 それは人類側の士気を大幅に削いでしまう事になりかねない。
 それだけに、イムニティがどんな条件を出してきても呑まなければならなかった。

 御者は知らなかったが、イムニティは人の世とは一線を画した書の精霊である。
 普通の人間が欲しがるような物は必要ないし、あったとしても大抵の物は自力で手に入れられる。
 確かに王宮を脅迫する手段があるというのは強い戦力になるかもしれないが、イムニティにとってはそれほど興味がある事ではない。


「それじゃ、出発しなさい。
 クレアは私が宥めておくわ」


「は?
 は、はぁ…。
 しかし、どうやって中に入るのです?」


「………見られると面倒ね。
 アナタ、ちょっと忘れなさい」


 そう言うと、イムニティは御者の目を覗き込んだ。
 思わず下がろうとした御者だが、その瞬間にはもうイムニティの魔力は発動していた。


「!!??………?
 ……あれ?」


 一瞬御者の目が虚ろになったかと思うと、数秒の間棒立ちになる。
 そしてその間に、イムニティは瞬間移動で姿を消していた。

 我に帰った御者は、周りをキョロキョロ見回して首を傾げる。


「…私は…何をしていたんでしたっけ?」


 どうやらイムニティが現れる少し前からの記憶が消されているらしい。
 先程イムニティが目を覗き込んだ時に、何かしらの暗示でも掛けられたのだろう。

 しかし完全には消しきれていなかったらしく、御者には誰かと話していたような記憶が残っている。
 首を傾げながらも、クレアが落ち着いている事を確認し……自分が何故そんな事を確認したのかも解らなかったが……自分の役目を果たすべく、馬車の周囲を点検してから馬車を走らせた。


「……落ち着いたかしら?」


「……(ムー)」


 一方こちらは馬車の中。
 クレアしか居なかったはずが、気配がもう一つ増えている。
 クレアと同じくらいの年齢の少女である。
 しかもその人物は、クレアに魔法をかけて動けなくしてしまっていた。

 強盗や暗殺の類かと思ったクレアだったが、そういう訳でもなさそうだ。
 強い険を含んだ目で少女を見やると、彼女は軽く肩を竦めて見せた。


「そう怒らないでよ。
 そもそもアナタがあんなにパニクってたのが悪いんじゃない。
 初体験を終えた後で頭が一杯なのは解るけどさ。
 しかも自分が主導権を握ろうとしたのに、初っ端からSMチックな責めを受けて、奴隷宣言しちゃったんだしねぇ」


「………(ムグーーー!?)」


 あっという間に真っ赤になり、暴れだそうとするクレア。
 しかし少女の呪縛は強力で、指先一本動かす事は出来なかった。


「何で知ってるかって?
 ……それは秘密よ。

 さて、そろそろ自己紹介させてもらうわね。
 私はイムニティ。
 当真大河の……下僕?」


「(ムガーー!?)」


「…冗談よ、今の所は。
 ま、使い魔…いえ、眷属みたいなものだと思って頂戴。
 私が護衛につく事は、マスター…当真大河から聞いているわね?」


「……」


 視線だけで肯定するクレア。
 しばらく時間を置くと混乱が治まってきた。

 でもやっぱり初体験の事を知っているのが納得いかない。
 まさかライブで覗かれていたとは思いもしないクレアだった……そりゃ普通思わんな。


「さて、そろそろ呪縛を解くけど……暴れたりしないでね。
 いきなり金縛りにしたのは悪かったけど、こうでもしないと落ち着いて話せないでしょ」


 金縛りの状態で話すのも落ち着いて話している訳ではないと思うが、クレアの抗議は黙殺された。
 事実、こうでもしなければ話すら出来ない状態だったからだ。

 イムニティがパチンと指を鳴らすと、クレアの体に自由が戻った。


「っ、ふぅ……」


 自由になった体をコキコキ動かして解し、クレアは深呼吸した。
 改めてイムニティに向き直る。


「…確かに大河から聞いている。
 私がクレシーダ・バーンフリートだ。
 これからよろしく頼む」


「ええ、マスターの命令だし…私もアナタにちょっと用事があるしね」


「?」



こんにちわ、時守です!
あー、あと2週間もすれば冬休みです。
休みになるのは嬉しいけど、その分就職活動が激しくなると思うとちょっと憂鬱…。
何もしてないからなぁ…。
就職活動なんか放り出して、ずーっとSSを書いていたいと思う気持ちで一杯です。
ゲームを作りたいけど、集中力が長続きしないんだよなぁ…ま、頑張ってみます。

それではレス返しです!

1.ディディー様
英傑女王でも、大事なルビナスの復活方法を書き忘れるくらいですからw
こうなるとロベリアが一番まともに思えてきます…でもちょっと壊れてますが。

アルストロメリアの字は、そうですねー、同じ場所にイスラム語とラテン語の文章を3節から4節ほど書いたら似たようなモノが出来るでしょうか。
…まぁ、適当なんですけどね。


2.神曲様
ザッパ…憑依して、どんな奇行に走るのやら……。
刃物を見てうっとりしていたら、速攻で当局に捕まりますね。

同人少女は…アレは完全に天然ですな。
ダリア達が知ったら、喉から両手が出るほどに欲しがるでしょう。
給料はレアモノ同人誌でw


3.3×3EVIL様
あらら、読まれてましたか…。
もう一捻り入れたかったのですが、ネタが思い浮かびませんでした。

うぐっ、さらに先を読まれている!
これはもうちょっと意表をついて、なおかつエロい展開を考えないと…。


4.流星様
はじめまして、流星さん。

ユウカ・タケウチ改めユカ・タケウチに関しては、時守もあまり知らないのですが…ジャスティスのサバイバルモードとかで出てきた、戦うウェイトレスです。
パッパラ隊最強のあの連中を出すと………怪獣がリアルで出てきますね。
CGの勝利、と言ったところでしょうか。
…水島を出すなら…女装は必須でしょーなぁ…。


5.&22神〔SIN〕様
あっはっは、イムのアレは天然です。
まぁ、元々ロジックの精霊だからこその天然とも言えますけど…。
例えリコとイムの性質が逆だったとしても、イムは縛られるのが好きなMちゃんです。

クレアの無事に関しては…ノーコメントっす。
大河の良識とか女性への気遣いに賭けるしかありません。

落ち武者ヘアー……やりますよ、多分。
ちょっと表現を変えるでしょうけど。
シリアスキャラになったら…どうしましょう、カツラを被せるか、インパクトはあってもそれほどヘンではない髪型にするか…。
場合によっては髪が元に戻るという展開もあるかもしれません。


6.沙耶様
覚悟完了、ですね!
お見事です!

確かに一度は行くでしょう!
しかしそこから懐くかどうかは、冗談抜きで試練の道でしょう。
世の中には覚悟だけではどーにもならない事がありますが、ネコりりぃもその一つです。
天運に任せるしかありませんが、その辺の自信はどうでしょう、実況の沙耶さん?
自信満々な答えが返ってくるような気がします。

もし来たら…仲良く遊んであげてください。
ヘタに束縛しようとすると、ネコりりぃは速攻で逃げますよ?
マスターボールも中から突き破ります。
それに、ヘンな事をしようとすると(PI-)を引っ掛かれたり食いちぎられる危険性があるのでご注意を。


7.試作弐号機様
た、確かにあのポットは趣味の産物でしょう!
最初はコレ考えたヤツは何考えてたんだ、と思ってましたが、製作者がMならば疑問も解ける…よーな気がします。
しかし大量殺戮兵器を大人のオモチャ代わりにするとは…オソルベシ。

あの幽霊の事は、時守にも解りません。
謎とロマンの産物なのです。


8.鈴音様
色々と属性を付加してきましたが、そろそろネタが尽きそうデス。
今度は何にしようかなぁ…。
なるべく属性が被らないようにしてきましたが、遂にクレアとイムが被っちゃいましたし…。
何とか枝分かれさせたいと思います。


9&10.謎様
ユウカじゃなくて、ユカでしたか。
でも訂正するのも何なので、ここは一つ、大河が聞き間違えていたって事でお願いします。
作者としてちょっと酷い事してるよーな気が…。

はっはっは、鬼畜なのは時守だけではありませんぞ。
生暖かい目で見守って嗾けるお人や、止めないお人も結構なお手前…ゲフンゲフン


11.水城様
アルストロメリアはダメ人間ではありませんよ、一応。
ただ単に極度に字が汚いので自分でも字を書くのがイヤになったり、趣味が偏ったりしているだけです。
…その辺がちょっとダメと言われると反論できませんが。

ディスティニーのキャラと大幅に違っていたらどうしよう、と不安に陥っています。


12.舞―エンゼル様
ああ、あの作品は本当によかったです。
何がよかったって、初っ端からミュリエルを落としたのに本気で狂喜しました。
幻想砕きのトレイターについては、ネタバレになるので言えませんが…一応コメントしておきます。
代表は男です。


13.アレス=アンバー様
最終的には破滅の将だけでなく、軍団丸ごとヘンな連中にしたいのですが…流石にムリっすねぇ。
強いて言うなら、モンスター達が集団で女装して特攻してくるぐらいしか思いつきません。
…俺なら戦う前にさっさと逃げるな。

ダリアが上司なのは、多分そのはっちゃけ具合のせいでしょうなぁ…。
スパイなんてやっていると、どうしても無闇に殺伐としそうですから。


14.竜神帝様
こ、この場合上なのか下なのか…。
全て和姦な点では、鬼畜度は及ばないと思いますが。


15.砂糖様
ホワイトカーパスだけに任せる…。
それを言っちゃあお終めぇよ…。
でも真面目な話、ホワイトカーパスだけを守っても勝てません。
“破滅”は何処からともなく、それこそアヴァター全土に染みのように湧き出してきますから。

クレアはよーするに、螺旋状に抉りながら突撃している訳ですな?
王族に生まれた以上、男女問わず政略結婚の道具だとは思いますが…逆に言えば、未体験か体験済みかに関わらず結果は決まっている、と言えるでしょうか。
だったら自分が納得行くようにしてほしいですね。

ネーミングありがとうございます!
ルビナナシ……ちょっともじってルビナシとか語呂がいいかな、と思うのですが。
いつか使ってもよろしいでしょうか?

合体ゾンビって…メッチャストレートですねw


16.なまけもの様
む、むぅ…外伝ですか…。
それよりは別のシーンを何処かに挿入した方が簡単かなぁ…。
一応策はありますが……むぅ、タイミングが難しい…。

アルストロメリアは筆不精だと言われていましたので、どうせだったら極めてもらおうかと思ってやってみました。


17&18.徒様
お褒め頂き、ありがとうございます!

ロベリアは確実に喰いますぜ。
しかも魂ごと喰い尽くす所存です。

花の名前、ですか…いっそダークヒーローを気取って、ブラックサレナとか(爆)
ロベリアの安らぐ場所がナナシですか…確かにあの天真爛漫な性格なら、ロベリアも和んでくれるかもしれません。
…脳が可哀相な人を見る目で見ているような気もしますが。


19.くろこげ様
戦力が戦力ですからねぇ…対して、破滅の軍でヘンなヤツといえばダウニーのみ…。
しかもヘンなのは髪型だけで、行動は割りと普通。
…イカン、何か対抗馬を用意せねば…。


20.竜の抜け殻様
ネコ化薬…もうこれってある意味宝具ですね。
キャスターに頼んで作ってもらわねば…。

廃墟での戦闘はもう一章先です。
原作では、遠征でリリィが先走る→廃村で戦闘、仲直り(?)→ナナシ救世主クラスに編入→廃墟で遺跡の調査、となっていましたから。


21.悠真様
り、りりぃがだうにーにまけた…?
こ、これは一大事ですよ!
時守もダウニーなんか放り出して、リリィ分を抽出せねば!

クレアが堕ちましたが…そうなると、アルストロメリアは元祖Mという事で、もっと過激にせねばならないでしょうか?


23.アルカンシェル様
深く伏線を張りすぎると、後で解消できずに四苦八苦する事になりますけどね…。

業務に支障が出ない程度だとすると、あまり過酷な事はできません…なーんて言ったところで、既にムチ打ちまでやってますからね。
説得力なんてありはしません。
ナニがヤバイって、放っておくと未亜が暴走するのが目に見えているのが一番ヤバイっす。
彼女は素人ですから、手加減の仕方も…(汗)

そーですね、単純に計算して、本気で100話超えそうです。
さすがに200話までは行かないと思いますが…ここまで来たら、もう行ける所まで行ってみます。


24.しょ○○様
た、たった数時間であれだけ読んだんですか!?
世の中には強者がいるのですね…。

DSDでは、今度こそクレアが報われて欲しいですね!
というか、レベリオンの発射はどーするのでしょう?
アレ、PS2版でやったら回収騒ぎどころか発売さえ…。
やっぱり絵を新しく書き直すんでしょうか。


25.カシス・ユウ・シンクレア様
パコパコと言えども、あの2人に挟まれてはね…。

ミュリエルが救世主伝説の真実を知っていたのは、おそらくルビナスとロベリアが喋ったんでしょう。
新しい世界を作り直すか、今の世界を存続させるかの方針の違いで対立した時、ロベリアがミュリエルとアルストロメリアを味方に引き込もうとした、と原作にも(多分)ありましたから。

アザリン様を洗脳するなんて、そんな空恐ろしい事はできません(汗)
何が怖いって、あの聡明な皇帝をどーやったら洗脳できるか…考えただけでも身の毛がよだつ惨劇を書かねばならないかも…。

塾長対救世主チーム…あかん、やっぱり塾長が強いわw

クレアは当然幸せになります!
日々ムチで打たれたりローソクを垂らされたり、誕生日プレゼントとか言って普段見えない所にピアスとか嵌められても、幸せだったら幸せなんですッ!


26.ななし様
三つの僕とかモロでしたからねえ…。
うーん、今度バビル2世を立ち読みしてきます。
今後も頑張ります!


27.K・K様
オギャンオス!
都合のいい名言もありますねぇ…だから人々に知れ渡っているのですけど。

なんかもう、未亜が恐怖の象徴となっているようですね。
Sと百合に目覚めたのがそれほど大きなファクターでしょうか…。

闘技場とか出たら、みんなしてそっちに向かうでしょうね。
そして代表を選出して、トンドモ奥技で戦うんでしょうが…モンスターが代々伝えてる技ってどんなのでしょう?

ネコを守るために!?
そりゃ覚醒しますわ、未亜だけじゃなくてベリオとかも覚醒しかねませんわ!

でわ、オギャンナラ!


28.ナイトメア様
いつかデムパを受信したらまたやってください、期待してますw

ええ、最近時守も、なにやら電波のノリが良くなってきています。
まことに助かる事ですが…ひょっとして寒いから感覚が鋭敏になっているとか?

未亜のは…ハッキリキッパリ、楽しみのためです。
なにせ自分でヤレと言ったんですしね。

ナナシの変身ネタ…何にしようか本気で迷っているのですが、ありがたく参考にさせていただきます!
でも、ふぁいなるじぇらしーすぱーくはマジヤバっす。
せめてリコびーむを改名して…。

斬艦刀…でもアヴァターで斬り甲斐のある船といったら、真っ先にガルガンチュワが出ますよ。
アレを真っ二つにさせる気ですか…威力がどうのという以前に、落下したガルガンチュワの衝撃で人類が全滅しかねませんね。
ゼノギアスみたいに。

毒WAVE…ドキドキワクワク。


29.なな月様
ルビナスによって、教会の中で目覚めたのだとすると…まさかミュリエルも?
ルビナスはロベリアがイメージしていたような良い子ではなくて、18禁陵辱モノの人種ってことに…。

黒ニーソはいいですね、黒ニーソは…うむ、最低でも一度は活用せねば。

VGは小学校の頃にPSの体験版とデモを見た程度なのですが…あんな珍妙な物体が地面を埋め尽くしていたら、地雷よりも破壊力があると思います。
…でもアイツ、ドリル持ってたしなぁ…一体くらいは巨大化させて使いたいなぁ…。

BACK< >NEXT

△記事頭

▲記事頭

Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!