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▽レス始

「運命と宿命 第二話(GS+Fate)」

九十九 (2005-11-25 03:26/2005-11-25 03:47)
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「抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ」

文句なし、手応え完璧、これでセイバーじゃ無かったらそれこそ嘘だ。
ああ、視界が戻らないのがもどかしい、目を開けたらほら、そこには威風堂々と佇むセイバーが

「いない」

目を閉じ開ける、いない、しかも上の方で爆音が聞こえるし。

「なんでよー!」

走った、頭の中を空っぽにして走った。
階段を駆け上がりがちゃがちゃと、居間に通ずるドアを開けようとする。

「歪んでる、ああもう邪魔だこのう」

どっかーんと蹴破って中に入る。破壊された居間に彼は居た。
赤いバンダナに、着こなされたジーンズ、それにぼろぼろのスニーカー。
見るからに貧乏してますといった服装であり、年齢も私と大して変わらないように見える。

いや、注目すべきは其処じゃない、今注目しなきゃいけないのは、彼から一般人程しか魔力が感じられないことだ。

サーヴァントとは人間以上のモノ、人の身でありながら精霊の域にまで達した存在の筈、少なくとも私はそう聞いている。
が、目の前のバンダナの男からは、そういった印象をさらさら感じさせない。

「すんません、君が俺を呼んだんすか?」

体に付いた埃を払いながら聞いてくるバンダナの男。

「そうよ、それで貴方は私のサーヴァントで間違いないのかしら?」

何事も初めが肝心、ここで主従関係をはっきりさせる為にも高圧的に言う。
男は困惑した表情になるとばつわるそうに、

「えーと、サーヴァントってなんすか?」

単純な疑問を口にした。

「はい?」

あまりにも予想外の返答に間抜けな声を出してしまう。
冗談でしょ、サーヴァントは召喚時にある程度その時代の情報を知識としてから来るんじゃないの?

「もう一度聞くわ、貴方はサーヴァントでは無いのね」

「それは判らないっすよ、サーヴァントがどういうモノか知らないんすから」

む、もの凄い正論である。けど本当にサーヴァントという単語を知らないみたいね。それじゃあ、こいつは何者なのかしら?

ふと破壊を免れた柱時計が目に入る、それで思い出してしまった。家の時計、全部一時間進んでいることを。

現在時計が指しているのは二時であり、今の本当の時刻は一時だ。つまり私の絶好調の時間は一時間後。

また、やってしまった。遠坂の遺伝的な呪い、ここ一番で大ポカをしてしまうということを。

多分、このポカのせいで男は召喚されてしまったのだ、本来なら召喚される筈の無い存在にも関わらず。
それなら、彼が知識を持っていないことも納得できる、だって彼はサーヴァントとして呼ばれた訳ではないから。

やっばい、背中からどんどん冷や汗が出てくる、だって目の前のコイツは英雄でもなんでもない、唯の一般人なんだから。

おそるおそる右手の甲を見る。
無い、ついさっきまで在った令呪の兆しが綺麗さっぱり無くなっている。

つまり、それは私が聖杯戦争の参加資格を失ったことと同義、冗談でしょ、こんなことで私の聖杯戦争が終わる?始まってすらいないのに、戦いもせずに終わるなんて、冗談を通り越して悪夢だ。

目の前が暗くなる、これが絶望するということなんだろうか、遠坂凛が絶望するなんて本当に悪夢みたいだ。

「あのー、大丈夫っすか?顔色悪いっすよ」

召喚した男が気遣わしげに聞いてくる。本来なら有り難いはずの言葉は今の私にとって毒にしかならなかった。

「うるさい!あんたのせいよ、あんたなんかが召喚されるからいけないんでしょうが!」

心の激情に任せて叫び散らす。
解ってる、彼が悪い訳ではない、むしろ彼は被害者だ。

それでも、叫び散らさなきゃやってられない、だって聖杯戦争は遠坂の悲願であり、十年間片時も忘れたことがない大事な大事なイベントなのだから。
それが、たった一時間の差で私は参加資格を失った。
ずっと待っていたのに、父との約束だったのに、それがこんな形で破られるなんて、夢にも思っていなかった。

散々叫び散らしたおかげで一時的にせよ冷静さが戻ってくる。
最悪ね、自己嫌悪で死にたくなる。
召喚に失敗したのは自分の所為なのに、事情も何も解らない彼に対して当り散らすなんて、魔術師としても遠坂家当主としても失格だ。

マイナス思考のループに嵌りかけた所に、

「すみませんけど、事情だけでも教えてもらえないっすか?俺みたいな奴でも何か力に成れるかもしれませんし」

うわ、彼はとんでもなく優しい男の様だ。
自分の意思とは関係無しに呼び出され、尚且つ呼び出した本人に理不尽なコトをされたのに、その相手を心配するなんて、馬鹿が付く位のお人よしであることは間違いない。

でも、被害者からこう心配されると尚更惨めな気持ちになってくる。
さっきまでは激昂していたのに、今は逆に鬱になっている、ここまで自分の感情をコントロール出来ないなんて初めてだ。

まあいい、事情位説明してあげよう、それに彼をどうするか決めなければいけないから、結局教えるつもりだだったし。


「解った?これが貴方を呼んだ原因である聖杯戦争の概要よ」

とりあえず、廃墟になった居間から私の部屋に移動して、彼に事情を説明した。

でも、まさか生霊を召喚するとは、なんてイレギュラー。
一般人には迷惑を掛けないようにと、心に決めていたのに、こんなことになるなんて自分の間抜けさを呪う。

それにしても、彼は唯の一般人じゃないのかしら、魔術のコトを言っても驚いた様子はなかったし、
聖杯戦争の説明にしても、多少驚いたようだが、事実を事実と受け止めて自分の現状を把握しようとしている。

普通、いきなり霊体を引張りだされ、何も知らないところに呼び出されたら、
パニックを起こすなり現実逃避するなりして、冷静さを保てるなんて出来るはず無いのに。

本当に、不思議な男だ。

「つまり、聖杯戦争ってのは、聖杯を得るために、七組のマスターとその従者であるサーヴァントの殺し合いで、君はその従者たるサーヴァントを召喚しようしたが、何らかの手違いで、本来呼ぶはずだった英雄の霊である英霊ではなく、俺を召喚してしまった、ということでいいすか?」

「概ねそのとおりよ」

ま、何らかの手違いの何かは十中八九、時間を間違えたからなんだろうけど、他にも要因があるかもしれないので、秘密といういことで。

「ちょっと質問したいんすけど」

でも、これからどうしようかしら、名門である遠坂家当主がサーヴァント召喚失敗で聖杯戦争開始以前に脱落なんて、末代までの恥どころじゃないわ。
それに、あの似非神父に事情を説明するだけでも、私の誇りという誇りを投げ捨てなきゃやってられないだろうし。

でも、一番の問題は父さんに何て言えばいいんだろう、名門の名を汚し、遠坂の何世代もの悲願のスタートラインにすら立てず脱落、本当最悪ね。

「あのー、質問聞いてくれませんか?」

「うるさいわよ、人があれこれ悩んでいるのに」

あ、やっちゃた。冷静になったつもりでも、全然駄目みたいだ。

「ごめんなさい、それで質問てなに?」

「えーと、さっきから魔術師とか魔術協会って言ってますけど、魔法使いではないんですか?」

なるほど、確かに知らなければ、そういう疑問も出てくるだろう。
実際のところ召喚したことによる疲れがあるんだけど、呼んだのは私だし、出来る限り答えてあげよう。

「魔術は判るわよね、それで魔術と魔法の違いは、この時代において、どんなに時間と技術をかけても実現不可能な奇跡を現実にするのが魔法、
そして、魔術は時間と技術さえあれば実現可能なモノを指すわ。だから魔法を行えない私は魔法使いではなく魔術師ってわけ、判った?」

「魔法って、例えば時間移動とかですか?」

「まあ、そういうモノよ、後は並行世界の運営とかね」

「ちょっと聞いていいすか、貴女は並行世界の運営の魔法に、何か関わりがありますか?」

彼の顔は真剣さを増し、嘘は許さないといった面持ちになる。

「そうね、関わりがあるといえばあるわ」

「というと」

「私の家系は、第二魔法つまり並行世界の運営を目指す家系なの。
で、家の系譜には第二魔法の使い手の筋が入ってるから、関わりは深いわね」

「なるほど」

彼は頭をわしゃわしゃと掻き、納得といった表情をする。
ちょっと、一人で納得してないで、何か判ったら私にも教えなさいよ、魔力供給してるんだから一応は使い魔なんだし。
軽く文句を言おうとしたら、

「ところで、もし聖杯が手に入ったらどうしますか?」

なんて、もう私には関係の無いことを聞いてきた。
一瞬頭がカッとなる、あんたが召喚されなかったら、そう口に出そうとしたが、やめた。
だって、彼があまりにも真摯な瞳で見てくるから。

「どうもしないわ」

「そうすか、なら何で命を落とすような戦いに身を投じようとしたんす
か?」

「そうね、遠坂家の悲願ってのもあるけど、しいて言うなら、そこに戦いがあるからよ」

「つうことは、君は」

「そう、勝つために戦おうとしたのよ」

スタートラインにすら立てなかったけどね、と後半は自虐的に言う。
彼は、その言葉を聞くと、シニカルな笑みを浮かべ。

「よかった、貴女は最高のマスターだ」

と、本当に嬉しそうな表情でそんな言葉を口にした。
く、こいつは、もうマスターですらない私を皮肉っているのか、またしても頭に血が上る。

けど、それも数瞬、沸点近かった温度は、一気にクールダウンしてしまった。
目の前の彼が、表情どうり、とてつもなく嬉しそうにしていて、別に最低な嫌味を言った訳ではなく、純粋に私を認めてくれたことが解ったから。
その言葉は素直に嬉しいけど、

「その言葉は有り難く受け取っておくわ。けど、一般人程度の魔力しか持たない貴方が、殺し合いに参加したところで役に立つとも思えないし、
私も死ぬのが判っていて参加するほど馬鹿じゃないわ」

結局はこういうこと。
確かに彼の泰然とした様は凄いと思う。でも一般人程の魔力しかない彼を、戦力としてみる程私は楽天家ではないし、なにより、生霊たる彼を殺す訳にはいかない。絶対元の場所に返してやる、それが私が彼に出来る唯一の謝罪だろう。

「心配は嬉しいすけど、君も魔術師ならもちっと眼を鍛えたほうがいいですよ」

「それって、どういう意味かしら」

彼の身を案じて言った言葉を、忠告で返されたので、思わずカチンときてしまう。
私の顔を見て、彼はニヤリと笑うと、こんな言葉を返してきた

「それは、こういうことっす」

途端、彼を中心に魔力が旋風となって吹き荒れる。

「嘘・・・・」

開いた口をそのままに、私は彼を凝視する。
これのどこが一般人であろうか?
サーヴァントとは、人間以上のモノ、人の身でありながら精霊の域にまで達した存在。
目の前に座っている、どこか冴えない男は、明らかにその存在だった。

「これで判ってくれましたか?」

「う、うん」

私は、悪戯が成功した子供みたいな、顔をして問いかけてくる彼に、気の抜けた返事しかできなかった。

だって、こんなの反則だ。
見るからに貧乏そうで、こんなにも冴えない男が、実はサーヴァント並みの力を持っているなんて、笑い話にしかならない。

「何を考えてるか知らないすけど、もうちょっと表情に気をつけた方がいいと思いますよ」

う、そんなに顔に出してたかしら、今度から気をつけよう。

「聞きますけど、君は俺をサーヴァントとして聖杯戦争に参加しますか?」

口調は軽いけど、その言葉は有無を言わせない威圧感があった。

実際、彼の力を見たとき、もしかしたらと思ってしまった。けど彼は私のミスに巻き込まれただけの被害者だ。
そんな彼に、こっちの都合だけで、殺し合いに参加してくれなんて、どうして言えよう。
それと、私は右手の甲に視線を落とす。私は令呪を無くしてしまった。

「俺は、さっきも言いましたが、君をマスターとして認めています。令呪が無いとかなんて関係ないんすよ。
もう一度聞きます、聖杯戦争に参加しますか?」

彼は挑戦的な眼で聞いてきた。
君は敗者になるんすかと視線で私を試してくる。

いいわ、こっちとしても願ったり叶ったりよ。
自分の現金さに、軽い自己嫌悪を覚えるが、そんなこと些細な問題だ。
それよりも、驚かされっぱなしは性に合わないし、何より、さっきから主導権を握られてるのだって気に入らない。

だから、

「問うわ、あんたが私のサーヴァントか」

胸を張って、自信満々に彼に命令する。

マスターとして私は聖杯戦争に参加しよう。
だから、あんたは私のサーヴァントになりなさい。

私の命令に、彼は予想道り驚いた顔をすると、さっき見せたシニカルな笑みを浮かべ、

「もちろん、貴女が俺のマスターだ」

望むべき答えを返してくれた。


あとがき
まずは一言、すみませんでした。
大人しくGS+Fateと表示しとくべきでした。
ちなみに複線としては、彼女が召喚した日時、そして最後の文でした。

今回は遠坂さん横島君を召喚するでした。
全然話が進んでいません。
予定では、もう文珠の説明とか終わってる予定だったんですが、
自分の未熟な腕のせいで、長くなってしまいました。
やっぱり、一人称より、三人称のほうがいいのでしょうか。
長くなりましたが、楽しんでいただけたら幸いです。

おっちゃん様
すみません、紛らわしいことしてしまいました。
第二話はこんな感じになりました、どうだったでしょうか。

なまけもの様
おっしゃる通りでございます。
実際、投稿後見てみると、すんげー判りづらいですね。

匿名様
複線に気づいてもらい、ありがとうございます。
予想道りFateです。

MAX様
すみません、下手な期待させてしまいました。
GS×Fateです、少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

群玉様
すみませんが、テイルズではありません。
自分もテイルズは好きなんですけが、
これはFateでいきたいと思います。

テトラ様
SEED-Destinyではないです。
変に期待させてすみませんでした。

リミッツ様
以外な方向に走れませんでした。
もしも走ったなら、
な、あれはガン○ムか、男の夢ここに具現せり。
てなんやこれー、夢か夢なのか、夢ならせめて乗ってから醒めて欲しいぞ。
ぬお、撃ってきやがった。ここは危険地帯か?
「きゃあー」
あれは美人の悲鳴、いっちゃならんことだけどチャンスやー。
って人妻か残念、その娘さんはまだ少女かー、二重に残念。
げ、撃ちやがった。
「文珠よ守護せよ」
何とか守れたな、よかった。
「あなたは?」
「俺は横島 忠夫っす、あんたは?」
美形かー。
「俺はシン・アスカです」
「よっしゃ、シン逃げるぞ」
そして俺達は、すたこらさっさとその場から離脱した。
という感じになると思います。
以外にSEED-Destiny説が多く寄せられたので、
調子に乗って書いてしまいました。すみませんでしたとか言いながら、
さらに紛らわしいことしてんじゃねぇよ、ボケって感じですね。
それでは九十九でした。   あぁ石投げないで。

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