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「シン君の目指せ主人公奮闘記!! その6 B・School-side B-part」

ANDY (2005-11-24 02:46)
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 この世界には、ナチュラルとコーディネイター等とは比べることの出来ない根本的に異なる存在がある。
 それは何か。
 それは、赤い土より生まれし存在と、そのアバラより生まれ出た存在である『男』と『女』だ。
これは、陰と陽の対極にして互いに惹かれあう存在である。
 そして、この存在の中に生まれるある存在の前には、習慣、宗教、国家、身分、などの柵は無に等しくなってしまう。
 その存在とは、愛だ。
 恋に落ち愛を育んだ男女の前には、身分や国家などは何の枷にもならない。
それが例え、コーディネイターやナチュラルと言う種として異なると定義付けられていたものだとしても。
 愛と言うものは、信じられない何かを持っているのだ。

トウマ・アマダ。
彼の在りようはプラント、あるいは地球圏全体としてみても奇特なものである。
彼は、ナチュラルの母とコーディネイターの父を二親として持つ、所謂ハーフと言うカテゴリニーに属する存在だからだ。
 コーディネイターが持て囃されていた時期には、彼のような存在も多くいたのだが、ある組織が表立って活動し、多くの民意の中にその思想が浸透してくるとその存在は異端とみなされ、言われなき迫害を受けるようになってしまい、ナチュラル、コーディネイター双方に属することが容易ではない宙ぶらりんの存在へと陥るのにそう時間はかからなかった。
 そんな世相の中でこの世に生を受けたトウマ・アマダは、母の教えを一身に受け、その思いを自分の拠り所とすることにしていた。
 その教えとは、「己を信じ、邁進する事が出来ぬ者が、他者に認めてもらえる事などあるはずがなかろう」というものだった。
 その教えは、母の今までの人生の経験から生まれ出たものであり、またそれを全うしているからこそ今の暮らしが持続できているのだから、それを疑う余裕などトウマには一寸もなかった。
 また、母の教えでは、信じるということは己が心の強さを表すことであり、心の強さは肉体に引かれる物だ、という考えの下、トウマは両親から武道を習うことになった。

 トウマの両親は、もともとは地球に住んでいた。
 父親は第一世代のコーディネイターとして、母親はある流派の妾の子にして後継者候補としてこの世に生を受けた。
 そんな二人の出会いのきっかけは、武であった。
 父親―ユージン・ブルックは、コーディネイトされたその肉体を活かし、様々な格闘技を修得し、その力に酔っていた。
 そんな慢心したユージンは、格闘技を始めてから初の敗北を味わうことになった。
 相手は、当時ユージンよりも三歳年下のユイ・アマダというナチュラルの少女だった。
 ユージンは、敗北と言う現実、自分よりも年下の女、しかもナチュラルに負けたという事実を認めることが出来ずにいた。
 そんな彼が取った行動は、再びコウランに戦いを挑み勝利を得ることだった。
 だが、そんな彼の思いをあっさりとユイは一蹴し、またユージンに苦い敗北を舐めさせた。
 二度の敗北を味わったユージンは、ユイの習う流派に入門を決めたのは、そう遅くはなかった。
 同じ土俵に上がるために入門したのだが、そこでユージンは武の真の楽しさを学んでしまった。
 今までユージンが修得した格闘技は全て技術だけであったが、ユイの流派は肉体的だけではなく、精神的な部分まで修練を課していた。
 心身ともに習う事を始めたユージンは、その才の花を驚く速さで開かせることになった。
 そして、ユージンはついにユイに土をつけることが出来るようになった。
 それは、ユージンが入門してから四年の年月が過ぎていた。
 その四年は、ユージンの武を上達させるだけではなく、ユイとの間にいつしか恋の花を育む関係へとなるには十分な時間だった。
 恋と言う花を咲かせた二人の間に、愛と言う名の実ができるのはそう時間がかかることはなかった。
 だが、この愛の前には多くの難関が存在していた。
 時はコーディネイターと言う存在に対して、まるで疫病の素を駆逐するかのように暴力で否定することが正しいという流れが蔓延し始めていた。
 その流れは、二人の道場のなかにも浸透し始めており、ユージンへの風当たりは日に日に悪くなっていた。
 もちろん、そのような風潮に流されない者たちもいたが、そのような存在はごく僅かで、数を得た熱病のような考えは、禍々しさを日に日に纏っていった。
 道場内のそのような雰囲気に責任を感じたユージンは、道場を去りプラントへ渡る決心をした。
 どうしようもない『現実』と言う、自分が今まで学んだものが歯牙にもかけられない存在の前に、ユージンは惨めな敗北感を胸に地球を去るつもりであった。
 だが、そんな彼の前に、『現実』と言う言葉を一蹴した存在が現れた。
 負け犬の顔をしたユージンの前に、どこか今までとは違う雰囲気を纏ったユイが旅支度をして立ち塞がったのだ。
 その顔を直視することの出来ないユージンは、俯いたまま横切ろうとしたその瞬間、衝撃の告白を受けた。
 それは『私に、私とここにいる子に何も言わずに逃げ去るのか』と、お腹に手を添えて発せられた言葉だった。
 そのしぐさが何を意味するのか、あいにく心当たりのあったユージンはすぐに理解することが出来た。
 その衝撃から脱すると同時に、ユージンが取った行動は立ち上がることだった。敗北感から。
 新たな困難に立ち向かい、勝利を収めること。それが、新たに目指す目標であり、それはユージン一人だけのものではなくユイとの二人で目指すものであった。
 これから向かう場所もここと同じで辛い目にあうかもしれない。
 それでも、次は決して負けずに、三人で生きていこう。
 その思いを胸に、異色の比翼の鳥は新天地へと旅立ち、そこで一つの奇跡を授かった。
 そしてその奇跡に『トウマ』と名づけ、厳かに、勇壮に日々を三人で送ることになった。

 そんな、普段厳格な様相を見せる父親と厳しくも懐の広い母親のロマンス溢れる話を聞き育ったトウマにとって、ナチュラル、コーディネイターという違いはこれといって重要な要素ではなく、また、自分が世間で言うところのハーフと言う貶される存在であってもそれを歯牙にもかけることはなかった。それよりも、父と母の間に生まれたことに誇りを持ち、自分の出自を誇って『ハーフ』ではなく『ダブル』と自己認識していた。
 自分が自分である誇りと、己が信じる正義を胸にトウマは正義のためにアカデミーへと入学した。


シン君の目指せ主人公奮闘記!! その6 B・school−Side B−Part 


 その日、トウマ・アマダは自分の胸の内に生まれた形容し難い感情にイラついていた。
 トウマは、その年齢にしては平均値を大きく上回る身長をしており、また、どことなく纏っている鋭い気迫のためか鋭い細身のナイフを連想させる少年だった。
 が、いまのトウマの気質は、触れたものを問答無用で切り捨ててしまいそうな、どこか不安定さが滲み出ていた。
 その理由として、今のプラント、ひいてはアカデミー内に蔓延している空気がその理由だった。
 今のアカデミー内の空気は、ナチュラル憎し、人類は我々コーディネイターだけだ、地球軍を滅ぼせ、などと言う負の感情一色に染め上げられた思想が蔓延しており、ザフトの設立の目的と理念を皆忘れ、ナチュラルを滅ぼすという手段としか捉えようとはしていなかった。
 その事実が、トウマに重くのしかかり、心をかき乱していた。
トウマは自分の信じる道、理想を胸に抱きアカデミーに入学した。
 その理想とは、自分がプラントを守る盾となり、災厄を切り払う剣となることだった。
 だが、その理想、つまり彼の正義は今大きく揺れ動いていた。

 そもそも、ザフトと言う組織は自由条約黄道同盟のことであった。
 黄道同盟に所属していた、シーゲル・クライン、パトリック・ザラ両評議会議員を筆頭に、理事国からの独立を目指すグループが作り出したのがザフトの発端だった。
 当時のプラントは、地球の中世期に存在していた植民地と言う言葉が当てはまる状態であり、地球側はそれが当たり前であるという態度でプラントと接していた。
 そのことに、黄道同盟は深い憤りと濃い敗北感を感じていたことは、今までの地球上の歴史を振り返ってみれば容易く想像することも可能だろう。
 そして、黄道同盟はその名を自由条約黄道同盟、通称ZAFTへとその名を変え、自治獲得、貿易自主権獲得を目指し活動することになった。
 これは、コーディネイターはナチュラルの奴隷ではなく、対等な存在である事を政治的に大々的に訴えた事象だった。
 だが、このプラントの方針に理事会は難色、いや、拒絶反応を表した。
 曰く、遺伝子をいじって生み出された人形がそのような戯言を口にするな、と。
 それを体現するかのように、理事会は武力による示威行動に出るが、プラント側も軍備拡張でそれに応じ、にらみ合いになってしまった。
 クライン議長は、極秘裏に南アメリカ合衆国、太平洋州連合と取引を行い、プラントと両国間で、食料輸入及び工業製品輸出が取り決められることとなった。これは、事実上のプラントの理事会からの脱却への第一歩となった。
この事実に対し不快感を覚えた理事国側は、クライン議長の解任と議会の解体、プラントの自治権完全放棄を要求するも、プラント側がそれに反発。
その返答に対して、理事国側はプラントへの食料輸出の制限を行いプラントを食糧難へと意図的に陥らせようと画策し実行した。
 だが、先に述べた南アメリカ合衆国と太平洋州連合と言う巨大な国家間とのパイプを繋ぐことに成功していたプラントにとって、その制裁政策は致命的なものへとは成っていなかった。
 その事実に業を煮やした理事国は、非道なる手段を取ってしまった。
 その事件が後世に「血のヴァレンタイン事件」と共にコーディネイターたちの心に『ナチュラル憎し』と言う感情を植えつけることになった「マンデルブロー号事件」であった。
「マンデルブロー号事件」とは、南アメリカから食料輸入を行おうとしたプラント籍の貨物船団を理事国側が撃沈したという非道なる人災のことである。
「マンデルブロー号事件」を機にパトリック・ザラは、「ZAFT」を解体・再編成しプラント内の警察的保安組織と合併、MSを装備した軍事的組織へとその姿を変え、ここに地球とプラント間に薄氷の上で成り立つ偽りの平和、開戦まで秒読み段階へと移行してしまった。
 そして、ZAFTはその目的を自治獲得などと言うものから、生き残り守るため、という理由へとそのアイデンティティーを変更したのは当然の帰結であろう。
ZAFTと言う組織は、もともとは警察的保安組織であり、決して戦争をすることが第一目的ではなく、ナチュラル、およびブルーコスモスなどの心無い悪意から同胞を守り、その悪意を打ち滅ぼすことが組織の理念であり意義であったことは、プラント市民全ての理解の下明らかなことであった。
 だが、また変遷の時を迎える事件が起こってしまった。
 それが、後に「血のヴァレンタイン」と名づけられ、24万3721名の犠牲者を地球軍の核攻撃により出してしまい、長いプラント地球間で発生した戦争の契機でもあった。
 これにより、またZAFTはその意義を変えざるを得なくなってしまった。
 守る刃から、打ち滅ぼし滅するための剣へと。

 その変わらざるを得ない理由に対し、トウマは納得をしているし、当然の権利だと思っていた。
 たしかに、お互いに殺しあうことは無駄の極みだ。が、その無駄を自覚してまでも成さねばならないことがこの世にあるのもまた事実である、とも理解していたからだ。
 永い人類の歴史を紐解けば、自らの権利を得るために剣を取り、馬を駆け鬨の声をあげた歴史上の事件はいくらでもある。
 そして、その長く辛い苦しみの果てに、人類は新たな一歩を踏み出せたこともまた事実である。
 決して、無駄なことではないのだ。
 なのに、なのにこの空気は一体何なのだろうか。
 コーディネイターこそ新なる人類、ナチュラルを根絶やしにしろ。
 争いは無駄。その果てに何を得られるのか。
 そのような言葉がプラントの空気を混沌としたものへと変え、充満させているのだった。
 前者は多くの市民の間で。後者は、いつの間にか反逆者とその身を窶したプラントの歌姫の言葉であった。
 だが、その両方の言葉には決定的に欠けた物があった。
 それに誰も気づいていない、疑問を持っていない現状にトウマはイラついていた。
 少しでも考えれば思うことなのに。
 その事実に、トウマはイラつき、果てしない激情が心の中で渦巻いていた。
 そんなトウマの内情を嘲笑うかのように、地球軍の核攻撃が行われ多くの同胞の命を奪い、またジェネシスという巨大兵器も使用され多くの地球軍の命を無意味に奪い合ってしまった。
 自由と独立を得るための、未来を切り開くための戦いが、いつの間にかどちらかを滅ぼしつくす破滅と滅亡の死への戦いへと変化していることに、誰も気がついておらず、気がついていてもその打開案を誰も口にすることがなく徒に日々が過ぎていた。
 その事実と、己の矮小さ、未熟さが歯がゆく、その思いを淘汰する術を未だ知らない自分の無知さ加減に腹が立つ、と言う無限の悪循環に嵌っている事にトウマは気づかず一人悶々としていた。
 だからだろうか。彼が母と父の教えを忘れてしまったのは。技をただの暴力へと貶してしまったのは。


 アカデミーの中には、プラント以外の中立と言う立場を取っている地球にある国家、スカンジナビア王国やオーブ連合首長国は唾棄するに値する国家だという認識が浸透していた。スカンジナビア王国は武力によってその方針を強制的に変更させられたという事実が多くの情報体で知らされていたために、そこまで貶されていないが、オーブ連合首長国は違った。
 プラントの一市民でしかいないときには知りえなかった政治の裏、それでもほんの表層部分なのだが、と言うものを閲覧することが出来、またアカデミー内の講義の中で仮想敵としてXシリーズのデータおよび性能などが教えられ、またそのような機体がどこで造られたかも教えられた。
 その製造された場所が、『他国を侵略さず、他国の侵略を許さず、他国の争いに介しない』と謳っていた中立と言う立場のオーブ連合首長国だったのだ。多くのコーディネイターたちは心のどこかで、中立と言う立場を取っている国家は自分たちよりのはずだ、と思っていたのだが、その幻想は無残にも崩された。X−105ストライクの上げる戦果と言う名の現実を突きつけられることになったのは、とてつもない皮肉であろう。
 また、地球軍が使い始めたMSの多くがそのストライクの意匠を受け継いでいることから、ストライクは試験機でありそのデータを活かし始めて自分たちに戦争を吹っかけているのだ、と解釈をしていた。
 MSなんてものを地球軍が持ったために多くの同胞達は亡くなったのだ。
 では、誰が悪い?
 MS開発の協力をしたオーブが悪い。オーブは悪だ。敵だ。
 そのような短絡的な志向を持ってしまうには、アカデミー内の学生達はあまりにも精神的に未熟であった。
 ゆえに、多くの学生達は数少ないオーブ製のものを打ち壊したり、非買運動を開始した。
 だが、そのようなあまり見栄えのよくない、目で見える効果のない行動で若い激情を抑えることが出来るだろうか。
 その激情は制御されることなく、あらぶるものとなり外界へと向けられることになった。
 すなわち、オーブ出身者へと。
 幸か不幸か、オーブ出身でアカデミーへ入学している生徒は一人しかおらず、またその生徒の個人情報も情報として静かに生徒間に浸透していた。
 その、生贄の羊の名はシン・アスカだった。
 そして、形を持った悪意は暴力として彼に襲い掛かった。
 それぞれの持つ憤りを、悲しみを、怒りを昇華する為に。
 自分本位な思考の下で。
 その行為は、愚かではあるが、誰にもどうすることが出来ないものだ。当事者間以外では。


 トウマは、プラントのすぐ近くで行われていた戦争―後に第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦と呼ばれる―があやふやな形で終結したという情報を耳にした。
 それを耳にした瞬間、トウマは今まで自分が信じていたものが根底から壊れ、灰燼と帰すのを感じてしまった。
 今日まで多くの命が消えていったというのに、明確な敗北も勝利もないままに戦争が終わったことがトウマには信じられなかったからだ。
 確かに、戦争には明確なルールブックなるものはない。だが、それでも戦争は一人ではできるものではないのだし、なによりも終わるからにはどちらかが敗北を受け入れないといけない、それが明確な形として現れなくてはならない。白旗、または戦争当事国の最高責任者の敗北宣言、などそのような誰の目から見ても分る形が必要なはずだ。
 だが、それが存在しないとは一体何なのだろうか。
 地球軍の降伏文書を夢見て命を散らした同胞は、数え切れないほどいたはずだ。
 それを無視するのが正しいのだろうか。それが、死んでいった者たちへの弔いへとなるのだろうか。
 否、断じて否。
 そんなはずはないはずだ。
 では、自分はどうすればいい?
 どうすれば彼らの思いに報える?
 どうすれば自分の信念を、正義を掲げ続けられる?
 そのような思考の渦が、トウマの心の中を激しく掻き回していた。
 そんなトウマの耳に、ある生徒のことが入ってきた。
 曰く、オーブからの難民が入学している。
 曰く、そいつの親は元オーブの技術者でなんでもNJCを開発したらしい。
 曰く、同質のあのレイ・ザ・バレルとはケツを分かち合う間柄らしい。
 曰く、襲い掛かってきたやつら十数人を瞬殺した。
 曰く、手当たりしだい女に手を出す色魔だ。女の敵だ。
 などといった情報が入ってきた。
 それらを聞いたトウマは、純粋にその生徒―シン・アスカ―に興味を持った。
 なぜ、悪意の塊と化しているこのアカデミーへと入学したのか。
 なぜ、このような悪意のある噂を表立って否定をしようとしないのだろうか。
 彼には、信念がないのだろうか。ないからこそ、表立って否定もしないのではないだろうか。
 そう思えて仕方がなかった。
 そのような存在が、今無性に気に食わなかった。
 だから、トウマはシン・アスカという鬱憤の捌け口を探してアカデミー内を彷徨っていた。


 キーファ・バルテズ、彼女はある種の貴重な存在である。
 それはなぜかと言うと、彼女は第二世代の両親の間から生まれた第三世代だからである。
 コーディネイターは、その世代を重ねるごとに受胎率が下がる傾向がある。これは、コーディネイターと言う主の存続に大きな影響を与える問題であり、プラントが抱える食糧自給能力と同じぐらい、早期解決方法が模索されている問題である。
 そんな中で生まれた彼女の存在は、プラントにとっては一筋の光明であり、一時期彼女と母親は問題解決のために協力を求められていた。
 だが、二人の協力もむなしく、現在に至るまで明確な解決方法は発見されなかった。
 そんな経験をした彼女だが、それは物心がつく前のことだったのでその当時の記憶は持っていないのは当然であった。
 よって、その経験が彼女の人格形成に影響は与えることがなく、両親の愛情を一身に受け育った。
 だが、その両親が曲者であった。
 彼女の両親は、二人とも科学者であった。その分野は生体工学およびロボット工学、薬学であり、またある種の属性を持っていた。それは、マッドと言う属性だった。
 その飽くことのない探究心は、同じコーディネイターでもついていくことが出来ないほどであるが、有能であるために多くの信望者も持っていた。
 そんな二人の愛情を一身に受け、両親の働く姿を見て育った娘はどうなったかと言うと、薬品製作が趣味の素敵な少女に育っていた。
 また、科学者と言う、ある種の観察者を身内に持ったためか、どこか達観した、第三者的視点で物事を捉えることを得意とするようになっていた。
 だからだろうか。キーファは同年代の子供達の間ではどこか浮いた存在になっていたのは。
 同年代の子供達の思考は、キーファにとって簡単に思いつくものであり、それに対してどう返せばよいかも瞬時に思いつくために、他人とのコミュニケーションがそこまで重要とは思えなかった。
 そんなキーファが興味を持ったのが、プラントの中に蔓延し始めていた空気だった。
 生まれた時から感じていた、ある事象に対して多くの大人たちが持つ感情に対して、キーファは不思議でしょうがなかった。
 なぜ、ああもある一つの事柄を思い続けることが出来るのだろうか、と。
 キーファにとって物事は、簡単に把握することがたいていであり、そうでなくても二三説明を受ければすぐに吸収し理解していた。
 そんなキーファにとっても、ナチュラル憎しという感情は分らなかった。
 両親もそのような感情を持ち合わさっていなかったために、理解を促す指針がなかった。
 そのため、その感情を理解するためにキーファはアカデミーへと入学することにした。
 今のアカデミー内には、余り余る激情と言う名の感上の渦が渦巻いていると思ったからだ。
 また、将来的にはロボット工学か薬学で身を立てたいと思っていたので、アカデミー内でMSの操縦方法その他を学ぶのも有意義だろうと思ったのが理由だった。

 キーファは、アカデミーに入学してすぐにその感情の経路がどういったものだかを把握した。
 詰まるところ、惰性なのだ。
 彼らは確かに、多くの不幸な事件に対してそれぞれ色々な感情を持っており、それらの事件の関係者は憎しみと言う感情を持ち、それ以外の者の大半は義憤、あるいは周囲に感化されてというものだった。
 その感化の素はパトリック・ザラであることを理解すると共に、彼の政治的手腕の有能性を知った。
 前議長であるシーゲル・クラインにはないカリスマ性が、多くのものを感化させる要素に一つ買っている事も掴んだ。
 そして、それらを理解するとキーファにとってアカデミーは技術を修得するための場所になってしまった。
 技術を修得するための、無味乾燥とした場所になってしまいキーファは惰性でアカデミーでの生活を送ることになった。
 そんなキーファの耳に、ある噂が入ってきた。
 それは、ある生徒についてのものであり、悪意にまみれたものだった。
 統合すると、その生徒の出身地がオーブであるというだけで、そのような噂が流れているらしかった。
 それを知った時に、キーファは余りの低俗さに感心してしまった。
 一体、今プラントにいるその人を貶したところで誰がよみがえるというのだろうか、と。
 キーファにとって、そのような悪意にまみれた噂は聞くに値するものではなかった。
 だが、その噂を無遠慮にぶつけられている者には興味を覚えた。
 大抵の場合は、そのような悪意にさらされた場合は心身のどちらかに不調をきたすのだが、そのような噂を聞かないところから見るとどうも彼の人物は未だ健在のようだ。
 それが、少し珍しいと思ったので、キーファはその噂の人物、シン・アスカの顔を一目見ようとアカデミー内を捜し歩くことにした。

―恒例になりつつある中書き(汗)―
 お久しぶりです。約一ヶ月ぶり?に登場のANDYです。
 あ〜、リアルで色々とトラぶってる最中で・・・・・・・・・・・泣いて、いいですか?
 と言うことは横に置くとして、もういくつ寝ると今年も終わりそうでショックを受けています。
 ショックといえばこんな情報を手にしてしまったんです。
 それは
■機動戦士ガンダムSEED DESTINY FINAL PLUS 『選ばれた未来』

「戦いに敗れたシン、苦しき戦いに勝利したキラとアスラン達が歩みはじめた未来とは?」

●放送日時
○関東地区:2005年12月25日 25:50-26:45
○関西地区:2005年12月25日 24:30-25:25

●内容
○全50話の再編集
 (最終回を中心に全50話を再編集)
○新作アフターエピソード「選ばれた未来」
 (オール新作カット)
だそうです。
 ツッコミどころ満載だと思うのは私だけでしょうか?というか、苦しい戦いだったの?無傷で立ち絵を飾ったのは気のせいかしら?
 ・・・・・・・・・・・・・今年の聖夜は、炎のマーキングが施された仮面軍団にぜひともこっちを襲ってもらいたいものです。
 友人の漫画のパッパラ隊は面白いですね〜(棒読み)
 それと、前回の公約を破ってしまってすみませんでした。
 なんか、今回の話の材料を色々と探していると、微妙に哲学書を読み始めていました。
 なぜいきなりハイデガーなんて読んでたんだろう?
 まあ、おかげで色々と勉強になりましたが。
 ああ、なんか愚痴りそうなので、レス返しに行こうかと思います。
 ・・・・・・・・・・・・あれ?なんか、今回台詞がひとつもなかった?
 もしかして、やばいかしら?

レス返し
>GZM様
 初めまして。感想ありがとうございます。
 感想の中身なのですが、いや〜、持ち上げすぎですよ。
 こう、天狗になってしまいますのでそんなに持ち上げないでください。
 ただ、軍隊云々については私もそう思いますが。
 なんでも、キラは中将と言う位だそうです。
 ・・・・・・・・・上から数えた方が早い階級ですか。士官学校も通っていない一般人が。
 つつけば色々とすごい数が出るので、その辺は私の作品内で行いますのでチェックお願いいたしますねw
 これからも応援お願いいたします。

>カシス様
 感想ありがとうございます。
 いえ、ああも平和平和と謳っていながら遺族に対してのケアが描写されていませんでしたから、このように使ってみました。
 遺族に対して何らかの哀悼の言葉を送ったと思いますか?
 私は思えなかったので、このようになりました。
 ああ、色々と種まきが大変ですw

>タカちゃん様
 感想ありがとうございます。
 そうです。あの、名無し君たちの一人ですw
 レオのおばさんについては、次回に。次回に判明するようにいたしますのでお楽しみに。
 オーブは・・・・・・・・・・私はあの人に引っ張ってもらうつもりです。頑張れ○○○!

>御神様
 感想ありがとうございます。
 いや〜、今回もこんな話でした。
 唇の正体は、次回に!
 色々といじれる未消化の設定が大量にある番組も珍しいですよね〜(苦笑)
 次回もお楽しみに〜

>葱ンガー様
 感想ありがとうございます。
 え〜、レオの入学の時期は、あれです。
 私設定では、ラクス帰還後の、AAがオーブに一回目寄港した前後です。
 シン達はTVでぼけ〜としていた時ですね。
 あと、ハイネの後継機ですが、もちろんあれです。議長が乗った事がある機体ですよ。あれ?両方乗ってるやw
まだ秘密と言うことで、納得を。

>双翼 義人様
 初めまして。感想ありがとうございます。
 シンの順位の情報を教えていただきありがとうございました。
 その情報を作品中で上手く活かして生きたいと思いますので、お楽しみに。

>輝翔様
 感想ありがとうございます。
 更新待たしてすみませんでした!!w
 今回は、このような内容です。オリキャラたちの土台固めでしたね。
 どうだったでしょうか。
 ああ、今回はギャグを入れてないですね。
 ・・・・・・・・・・・・そういう日もあるんですよ。
 次回もお楽しみに〜。

>リーヴァル
 感想ありがとうございます。
 はい。キャラが違っていますが、気にしないでください!!w使用ですので
 レオの葬式の〜、というのはこれです。
 こんな空気を何度も味わいたいとは思いませんよね。
 平手の方は、次回で!

>レンヤ様
 感想ありがとうございます。
 いや〜、そう言って頂けるととてもうれしいです。
 また、あのすばらしい前口上ありがとうございます。
 あれにアズラエルが乗っていたら、プラント光になってしまいますねw
 ああ、頑張ってプラモで作ってみようかな〜。

>花鳥風月様
 初めまして。感想ありがとうございます。
 そのように気に入っていただければうれしい限りです。
 これからも頑張っていきますので、応援お願いいたします。
 また、PSの部分ですが、肝に銘じます!!(前科がありすぎますので(汗))

>ユキカズ様
 感想ありがとうございます。
 はい。今回まだ接触していません!!というか、主人公の影すら出ていない?!
 うわ〜い。どうしましょう。
 螺旋の部長は素晴らしいキャラだと思いますw。
 いいですね〜、あんな少し外れてる人(ぇ?
 次回もお楽しみに〜

>HAPPYEND至上主義者様
 感想ありがとうございます。
 今回の話を気に入っていただけたようで、ほっとしております。
 いえ、私も前回の話は結構満足がいっていたので、そのように思っていただければ御の字です。
 今回の話はどうだったでしょうか?
 未熟だからこその、青さと、無限の可能性の匂いがしていたのならば良いのですが。
 お仕事の方がお忙しそうですが、これから年末ですので、体に気をつけて頑張ってください。

>紅様
 感想ありがとうございます。
 紅様、他多くの皆様の暖かいコメントのおかげで続けていけています。
 これからも頑張るので、応援お願いいたします。
 ご友人の件は、お気の毒なことでした。お悔やみ申し上げます。
 また、私のような作品で解毒作用が少しでもあるのがうれしい限りです。
 スパフリは私の食指が反応しなかったので未だに未購入です。
 ああ、SRWに参戦できるんでしょうか?それが心配です。
 敵として出てくれたらうれしいんですけどね。自由は。
 次回もお楽しみに。

>なまけもの様
 感想ありがとうございます。
 私も乾杯です。
 メイリンについては、まあ、ノリ?ということで。

>桑ジュン様
 感想ありがとうございます。
 突っ込みは、優しくお願いしますw
 次回も頑張りますので、応援お願いいたします。

>R・E様
 感想ありがとうございます。
 いえ、メイリンの振って湧いたような「情報のエキスパート」というのを上手く解消するために・・・・・・・・ね?
 まあ、気がついたら、ちょっと黒くなっていたんですがね。
 なんでだろw?
 次回も頑張りますので応援お願いいたします。

>3×3EVIL様
 初めまして。感想ありがとうございます。
 いや〜、胃薬の代わりが出来たのなら幸いですw
 家の子達を気に入っていただけようでうれしい限りです。
 これからも応援お願いいたします。

>T城様
 感想ありがとうございます。
 いや〜、彼女の大ファンなので。最近は色々と大変らしいですが。文庫派なもので、もやもやしています。
 今回は、シンに対しての興味を持つきっかけが上手く現れていれば良いのですが。
 次回は、一言で言えば、青春ですね!・・・・・・・・多分。
 ああ、それにしても今回は少し哲学的過ぎましたかねw?
 次回もお楽しみに。

>飛竜のしっぽ様
 感想ありがとうございます。
 はい。原作はAA側に力を入れ過ぎていたのが最大の敗因ですよね。
 もともとコーディネイトは、人類の夢であったはずが、いつの間にか欲望をかなえる手段になってしまった、と私は理解をしたのでこのような内容になりました。
 納得していただけたのならうれしい限りです。
 インパルスの合体機能は・・・・・・・・・・まあ、現実では大人の事情?アニメでは、合体中は攻撃しないという約束があるんですよ!!
 でも、大気圏内では合体して出たほうが安全ですよね〜。
 これからも頑張りますので、応援お願いいたします。

 毎回感想を入れていただきありがとうございます。
 それにしても、前回も言いましたが、現実が今とてもドタバタでして、また更新が遅れるかもしれませんが、どうかお待ちになっていてください。
 年内にもう二回は最低でも投稿いたしますので。
 次回もお楽しみに!!

 ああ、HGの運命が作りたい。でも、時間が〜。

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