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「幻想砕きの剣 7-1(DUEL SAVIOR)」

時守 暦 (2005-11-16 19:19)
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「マスター」


「イムニティ?
 どこに行ってたんだ?」


「禁書庫で落ち込んでたのよ。
 もういい加減どうでもよくなって来たわ、存在意義とか救世主とか色々と…」


 イムニティは投げ遣りな表情である。
 ロジックの象徴たる彼女が言える言葉だろうか?
 そんな細かい事は気にしない大河だったが、それでいいのかと思わせる光景だった。

 大河が彼女を召喚の塔から吊るして約一週間。
 その間、イムニティは全く姿を見せなかった。
 大河のマスター権限で呼びかければ答えはするが、『放っておいてくれ』と帰ってくるだけだった。
 どうやら導きの書のあるフロアで、延々と暗黒空間を作り上げていたようである。


「ところで、禁書庫最下層は私の魔法と…あとが大暴れしてムチャクチャになってたのに、何時の間にか整理整頓されてたわ」


「……お手伝い幽霊でもいるのか?」


「それで、本当なら色々と説明しなきゃいけないんだけど……リコから聞いたかしら?」


「大体はな。
 千年前の事とか、救世主の役割をちょこっと…」


「そこまで話したの?
 リコも案外口が軽いわねぇ」


 呆れ半分のイムニティ。
 大河はそれに構わず、イムニティに向き直る。


「前にも言ったと思うが、俺は当分救世主になる気はない。
 リコや未亜と敵対するなんて論外だ。
 それでも俺に従うのか?」


「ええ。
 例え私の望みに沿わなくても、もう契約してしまったもの。
 私達…私とリコの本質は、使い魔…というより道具に近いわ。
 卑下しているのではなくて、単純に“マスターを持ち、それに使われてこそ本来の力を発揮する”という訳ね。
 道具が主に相応しい人物に逆らうと思う?」


「夜通し逆さに吊られていたら逆らいたくも…」


「いや、アレはアレで未知の世界を……何を言わせるのよ!?
 ていうか蒸し返すな!」


 顔を赤くして吼えるイムニティ。
 どうでもよくなったとは言っていたが、やっぱり忘れる事は出来ないようだ。
 その体も、縄の刺激とかが忘れられなかったりしているのかも…。


 イムニティは頭をブンブン振って、生れ落ちて以来最大の恥を忘れようとした。
 全く、今回の“破滅”は一体何が起きているのか。
 男性の救世主候補生はいるし、リコは性格が変っているし、まさか自分があのような……。


「ち、違う! 違うのよ!
 アレはマスターの影響を受けたからであって、断じて私の素質じゃないわ!」


「素直になれば、もうちょっとキツク縛ってやるぞ」


「素直よ! 私は素直なのよ!
 だから縛って……縛ってほしくなんてないのおおぉぉ!」


 涙を流して絶叫するイムニティ。
 ジタバタジタバタ。
 手足を振り回して、必死で何かを誤魔化そうとしているようだ。
 ちょっと可愛いと思ってしまったのは秘密である。
 今の彼女を封印される前のイムニティ自身が見たら、これは絶対に幻覚だと言い切るだろう。

 自分の新たなる一面を直視して錯乱しているイムニティは放っておいて、大河は未亜から聞いた話を思い返す。


「なぁイムニティ、俺とお前の繋がりってそんなに強いのか?」


「え? ……な、何が?」


「だから、俺とお前の繋がりだよ。
 未亜に聞いたんだが、契約の効果を上げるために、繋がりを強化したって話なんだが」


「あ、ああ……そういう事…。
 確かに契約しただけでは、フィードバックはそれほど大きい訳ではないわ。
 まぁ、それでも契約しないのと比べると雲泥の差があるけど…」


「俺たち、何かやったか?
 未亜の話じゃ、キスとかで強化されるって…」


 イムニティはちょっと動きを止めた。
 禁書庫でのリコの大暴れが脳裏をよぎる。
 考えてみれば、契約してすぐにあれ程の力が出せるだろうか?
 普通は時間をかけて自然と強化されるのを待つか、それっぽい儀式を行なって強化する。
 スッカラカンに近い状態だったリコに、イムニティが入って来れない空間を作り上げ、さらにその中で儀式を行なえるか?
 まず無理だ。

 ならば、最も簡単な契約方法……つまり男女の交わり…房中術。
 男女の交わりと言っても両方女だが、そこそこの効果はある。


(それじゃあ……リコはマスターの妹とキスをした?
 ひょっとして、あの大暴れはファーストキスを奪われた八つ当たり?)


 イムニティ、大ピンポンである。
 しかし当たっていたからといって嬉しくない。
 むしろ哀しい。


「ひ、必死で逃げ回ったのに……あれがただの八つ当たり…」


「………どれだけ暴れたのかは知らんが、リコって赤の精霊…命や感情の力の象徴だろ?
 未亜の妬き餅をエネルギー源にしたら、それこそ核融合も真っ青な力を得られるだろうなぁ…」


 自分がお仕置きされる事を想像し、顔が青い大河。
 膝と手をついて、四つん這いになって落ち込んでいるイムニティを気遣う余裕もない。

 2人は暫く顔を青くして動かなかった。


「そ、それはそれとしてだ!」


「そ、そうね…それはそれとして、何を聞こうとしたの?」


「いや、結局俺達の繋がりってそんなに強いのか?」


「いいえ。
 マスターのキャパシティが今までの救世主候補と比べて段違いに大きいから、それで繋がりの弱さを補っているだけ。
 実際には、繋がりは大した事はないわね。
 まだ全く強化していないもの。
 これだけキャパシティが大きいと、急激なフィードバックでマスターが破裂しちゃうかもしれないから」


「俺は風船か」


「生き物の体なんて血の詰まった皮袋と大差ないでしょ」


 それを聞いて大河は少し考え込んだ。
 ある疑念が頭に浮かび上がる。
 ……言うべきだろうか?

 イムニティは大河を見て首を傾げる。


「……言いたい事があるなら、素直に言えば?
 妙に気を使うマスターなんて気味が悪いわよ…あれだけ好き勝手やっておいて」


「そうか?
 じゃあ遠慮なく……。
 俺とイムニティの繋がりが弱いんだったら、俺からの衝動もそっちに流れて行かないんじゃないか?


「…………へ?」


 その通り。
 イムニティと大河の間には、感情や衝動が行き来するほど強い繋がりは無い。
 単純に力を補給し合う程度の繋がりしかない。
 それはつまりどういう事か?


「だから……吊るされたイムニティが色々と感じていたのは、俺からの影響じゃなくて本人の「エヴェット・フルバン!」


 マスターに攻撃してまで、都合の悪い証言を掻き消そうとするイムニティだった。


 ミュリエルは暗澹たる気分で、王宮の一室に居る。
 彼女の周りには、ヒヒ爺い…根性が腐れたサルのような顔をした老人達が同じように座っている。
 彼らはアヴァター全土から集められた、各地各州の代表である。

 その呼ばれ方は場所によって異なる。
 都知事と呼ばれる事もあれば、公爵とか伯爵とか呼ばれる事もある。
 その地で伝えられてきた呼び方が、今でもまかり通っているのだ。
 王宮はその手の事にまで口を出さない。
 基本的に、その地の事はその地で収め、王宮自体は全体の大まかな動きを統括するだけだ。
 とはいえ、そこは海千山千のヒヒ爺い…もとい政治『屋』ども。
 例え王宮から命令が届いたとしても、そう簡単には従わない。

 現地の状況を鑑みて『無理だ』と返答する事もあるが、それ以上に『余計な金を使いたくない』という輩が多い。
 確かにその土地を治める者としては無駄遣いをするのは頂けないが、どう見ても私欲を第一に考えている。
 平時における統治能力はソコソコあるので、問答無用で潰す事も出来ない。

 ミュリエルはその連中を横目でコッソリ見て、心中溜息をついた。
 脂ぎった中年から、イヤな目をした老人まで、男女問わず面倒臭げな表情を隠そうともしていない。
 これからこの連中と遣りあって、重い腰を上げさせてやらねばならないのだと思うと、それだけで気力がモリモリと萎えていく。


(まったく……これなら大河君と腹の探り合いをしている方がよほど健康的だわ…。
 少なくとも大河君は、自分のすべき事を理解し、何より必要だと思ったらすぐに動くもの。
 …それに、今度からはもし追い詰められそうになったら術をもう一度かけて、愉しんでから記憶を……)


 何やら危険な方向に進みつつある学園長。
 口元がニヤけそうになっているのを、必死で抑えている。
 ……催眠術で生徒や患者をどうこうしよう、というエロゲはよくあるが、女性の側からやるのはあんまり見たことがないなぁ…。


「どうしたのじゃ、ミュリエル殿。
 何やら顔色が悪く……はないが、鳶色になっておるぞ」


「え?
 あ、ああ…何でもありません」


「そうか?
 お主の事だから、体調の管理くらいは出来ているであろうが……」


 横から女性の代表者が話しかけてきた。
 少々古風な喋り方をする彼女は、ホワイトカーパス州付近の一帯を治めている領主である。
 最近父親が亡くなり、その後を継いで領主となった。
 その年齢は、なんとクレアと同じ……15にも満たない少女なのだ。


「ええ、少し昔の事を思い出しただけです。
 それよりも、この会議ですが……」


「解っておる。
 一筋縄では行かぬ……。
 やつらは事の重要性を理解しておらぬからな」


「はい。
 何とか危機感を煽らねばなりませんね」


「それも適度にな…」


 彼女は確かに15にも満たないが、その器の大きさにはミュリエルも一目置いている。
 旧態依然とした老人…賢人会議の連中よりも余程聡く、危機に敏感で、行動力もあり、何よりカリスマが強い。
 領民からも非常に尊敬されており、ミュリエルがリリィに見習わせたいと思うほどだ。
 あとは発言力さえ確保すれば、クレアとツーカーの仲になれるだろう。
 しかしそういった人物ほど疎まれるのが世の常で、幼いから、また辺境の一領主に過ぎないから、などと理由をつけて発言力を削られてしまっている。
 だが何れは頭角を現すだろう……“破滅”を乗り切りさえすれば。


「やつらは朕の言葉に耳を貸そうとせぬ。
 平時ならば己の領地だけを守っていればよかったかもしれぬが、今は危急の時分。
 もはや一刻の猶予もならぬ……。
 やつらの尻に火を付けてやらねばなるまいな」


 彼女は自分の呼称に“朕”という言葉を使う。
 本来なら皇帝が使うべきなのであろうが、彼女が使うと全く違和感がない。
 賢人の連中も、文句をつけようと思わない程に似合っているのだ。
 それが彼女の器の大きさを端的に表している。


「………とは言っても、言葉だけでは理解しないでしょう。
 データを見せつけた所で同じ事……。
 実体験として見せ付けない限り、自らが安全圏にある事を疑いもしません」


「なに、心配するな。
 お主の生徒から、面白い連絡が届いてな。
 見ておれ、半分以上はこの一喝で黙らせる事が出来よう」


「私の生徒から…?」


 意外な言葉にミュリエルは驚いた。
 一体誰が?
 学園からホワイトカーパスまで、どれだけの距離があるか考えると、通信手段は限られる。
 魔法による念話で届くほどの距離ではないし、そうなると自然とカラクリや手紙である。
 返って的が絞れなくなってしまった。


「うむ。
 ポスティーノという男から手紙を手渡された。
 大した人材が居るではないか」


「…お褒めに預かり、ありがとうございます」


 ポスティーノという男の事は知らないが、何にせよこれは好機。
 その手紙に何が書かれていたのかは知らないが、彼女がこれほど言うのだ。
 かなりの効果が期待できる。


「ならば私がやる事は、その尻馬に乗る事ですね」


「うむ。
 クレア殿も察知してくれるだろう。
 この居眠りしている自称・賢人どもを叩き起こし、ついでに足を引っ張る不穏分子達を一掃するのだ」


「静粛に、静粛に!」


 フロアに硬い音が響き渡る。
 ミュリエルは顔つきを引き締めた。
 クレアは既に席に着いている。
 ようやく会議が始まるのだ。


(とはいえ、会議とは名ばかりの会合ですが…。
 さて、何をしかけてくるのでしょう?
 我が学園の生徒で、彼女に連絡を取る……皆目検討もつきませんね。
 政治的なパイプを持っている子は居ないと思うのだけれど…)


 今回の会議自体には、さほど意味がない。
 賢人達が重い腰を上げない限り、何を言っても受け流されてしまう。
 ならばやるべき事は、切り札を温存し、仕掛けられた“何か”に上手く便乗する事。
 ミュリエルはグダグダと言い逃れ…要約すると金を使いたくない…する貴族達の言葉を聞き流した。


「お言葉ですが、先日の召喚の塔の爆破には、明らかに何者かの作為的な意図が感じられます。
 当学園は、王国屈指の人材が集まる場所として、王国護衛兵士達に厳しく監視されているのはご存知の通りです。
 これは学生達も例外ではなく、重要な施設は教師の許可無く使用する事はできません。
 ましてや許可を得て使用中の施設で何が起こったか解らない、という事はありません。
 その警備の目を掻い潜って侵入し、召喚の塔という当学園の最重要施設の一つを破壊する為には、相当の準備と計画が必要です。
 私はこの学園で起こった一連の事件の背後に、“破滅の民”の存在を確信します」


「破滅の民ですと!?」


 ミュリエルの言葉に、議員達が騒ぎ出す。
 それを見てミュリエルは、まだ心中苦い顔をしている。
 それも当然で、議員達は騒いではいるものの、それが自分、引いてはアヴァターの危機に直結していると理解出来ていないのだ。

 それでも冷静な議長…彼は使える人材と言っていい…が、ミュリエルに言葉を掛ける。


「ミュリエル・シアフィールド。
 この件に破滅の民が関与しているという証拠はありますか?」


「それは「無い事もない」…え?」


 ミュリエルの発言を、ホワイトカーパス州代表が遮った。
 本来なら発言を妨げる事は出来ず、彼女に発言の機会も与えられない筈なのだが、絶妙のタイミングで話に割り込んだのだ。
 それによって、議長も議員も彼女の発言に耳を貸してしまった。


「私の治めるホワイトカーパス州は、千年前に“破滅”に与し、人類を裏切ったと言われている。
 事の真相はともかく、つまりは相手は“人”であると言う事だ。
 人の伝手を渡って情報を掴み、そして……こういう政治機能に必要な人物が集まる場所を狙う。
 ドム!


「はっ!」


 一応言っておくが、モビルスーツではない。
 彼女の声に応えて、護衛のドムが天井に小刀を投げつけた!

 ガキン!


『!?』


 天井に突き刺さる寸前、小刀は何者かに弾かれて落下した。
 そして天井を何者かが疾る!


ボムッ!


「な、なんじゃ!?」


 部屋の中に怪しい色をした煙が充満した。


「け、煙が……ごほっごほっ、は、灰が……年寄りには…」


「さ、酸欠で死んでしまう…」


「年寄りは儚いのぅ…」


「護衛は、護衛は一体何をしとるのじゃ!」


「閣下、こちらへ!」


「人が通れない大きさの窓だけを開けなさい!
 逃がさないわ、アークディル!
 (これが策なの?
  一歩間違えれば、“破滅”と戦う前に首が飛ぶわよ!)」


 煙の中を、無数の人影が行き来する。
 ドムは彼の主とクレアを庇い、剣を抜いた。
 彼は一騎当千と言われた武芸者だ。
 煙の中でも敵を見失うような事は無い。

 一方ミュリエルも、天井を駆ける人影に魔法を放つ。
 電撃や炎を使うと粉塵爆発が起きてしまうので、効率は落ちるが氷の呪文だ。
 細かい氷が、弾丸の如き勢いで宙を裂く。
 しかし人影はそれを避けきって見せた。
 床に着地し、パニックを起こして暴れまわる…歳が歳なので弱弱しいが…賢人達の中に紛れ込まれると、さしものミュリエルも手が出せない。


「おのれ賊め!」


 ドムが人影に斬りかかる。
 しかし人影は賢人を盾にし、ドムを近づけない。
 何より他に手勢がいる可能性がある以上、ドムは主の傍から離れる事は出来ない。

 人影は煙が晴れそうになると、開けられた窓から逃げ出した。
 バッチリ捨て台詞も置いていく。


「オ〜ッホホホホ!
 人間側も足を引っ張る愚鈍が多くて大変だねぇ!
 精々頑張っておくれ!」


「逃がすな、追え! っと、何だこれは?」


 ドムが窓から身を乗り出して叫ぶ。
 身を乗り出した途端、人影は何かを放り投げてきた。
 ドムはそれを剣で軽く受け止め、放り投げる。
 爆弾には見えないが……念のためだ。
 ちなみにドムにはカツラに見えたのだが。

 人影は金色の髪をなびかせながら、凄まじいスピードで屋根の上を走りぬけた。
 これでは兵士達も追う事が出来ない。


「ぬう……鮮やかな逃げっぷりだ…。
 陛下、閣下、お怪我は」


「無い。
 ご苦労であった」


「そちのお蔭じゃ…礼を言うぞ」


「勿体無きお言葉…」


 クレアと主は少々憮然としながらドムに礼を言う。
 別に不機嫌なのではない。
 煙幕に混じっていた粉で鼻がムズムズしているだけだ。


「ひ、ひぃぃぃ…」


「は、破滅の民じゃ……」


「破滅が…」


「け、警備兵は何をしておったのだ!?」


「わ、わ、わ、ワシのヅラがああぁぁ!」


「ぬ、おぬしハゲておったのか!?」


「貴様、何故パンツを履いておらぬ!?」


「こ、これは決してワシの趣味ではなく…そ、そう、あの破滅の民に掻っ攫われたのだ!」


「誰が貴様のコ汚い下着なんぞ盗るかい!
 そういえばお主、素っ裸で夜の街をうろついているという噂が…。
 この猥褻物陳列者め、よりにもよって王宮に下卑た趣味を持ち込みおって! 天罰!」


「はぐわぉっ!?」


キーーーン!


「こ、股間に直撃……これは逝ったな。
 年寄りには耐えられまい……」


 ミュリエルは腰を抜かして震える賢人達を見た。
 その情けなさに溜息が漏れるが、何はともあれこれは好機だ。
 チラリと目をやると、クレアから無言の首肯が返って来た。


「これでお解かりになったでしょう!
 “破滅”はもうすぐソコまで迫っています!
 例え目に見えずとも、その脅威は確実に浸透していきているのです!」


「現に王宮の警備を掻い潜って、ここまで侵入して来よった。
 わからぬか?
 王宮でも選りすぐりの人材を選び、強化された警備の中をじゃ!
 それはつまり、何時でもおぬし等の寝首を掻けるという事なのじゃぞ!?」


 今度ばかりは、賢人達の顔にも理解が浮かぶ。
 ホワイトカーパス州代表者の言葉は、本気で賢人達の危機感を炊きつけたらしい。
 恐怖で喋れない間に、ミュリエル達は一気に主導権を握る。


「予算がどうのと言っている暇はありません。
 早急にご理解し、そして行動して頂きたい!」


「その通り。
 これからアヴァター全土の力を集結し、来るべき“破滅”に備える!
 これは王女としての命令である!
 逆らうならば、斬り捨てられるものと考えよ!」


 クレアとミュリエルの迫力に、賢人達は一瞬で飲まれてしまった。
 立ち直らない間に、クレアは人選を済ませようとする。


「そして“破滅”の民がこの場に居る事を見抜いた慧眼を買い、お主をその中心としての役職に就かせる!
 暫くはホワイトカーパスに帰らず、対策を練れ!
 異論はないか、ホワイトカーパス州代表、アザリン・ド・エル・クラン・ライクン!」


「引き受けよう!」


 王女を相手にタメ口をきくホワイトカーパス州代表・アザリン・ド・エル・クラン・ライクンこと通称アザリンは、胸を張って引き受けた。
 ミュリエルとクレアも、内心では上手く事が運んだ事に胸を撫で下ろす。
 クレアも直前に聞かされたミュリエルも、アザリンから何か起こるからそれに乗じて意見を纏める、としか言われてなかった。
 不安で仕方がなかったが、どうやら上手く行った。

 そして、ミュリエルはようやくアザリンに連絡を取った生徒が誰なのか見当がついた。
 一歩間違えれば、反逆者扱いされかねない、この策とも言えぬ策。
 こんな事を考えるのも、そして実行するのも学園には一人しか居ない。
 当真大河。
 一体何を考えているのか。
 そして賢人会議の情報を何処から仕入れてきたのか。
 おそらく先程の侵入者はブラックパピヨン…。
 チラリと見えただけだが、話に聞いていた容貌と一致する。
 大河と彼女にどういう関係が?


(それにしても……さっきの笑い声、どこかで聞いた声のような気がするのですが…)


 その日、大河はダリアと色々話し込み、ついでに一戦交わって、得られた情報を整理していた。
 賢人会議は、思った通り適度に荒れてくれたらしい。
 ダリアに頼んで『切れる』領主を紹介してもらったのだが、彼女は予想以上の切れ者だったようだ。
 自分の足元を掬われる可能性も高くなったかもしれないが、嬉しい誤算である。
 細かい人物像は知らないが、こうして上手く行った以上は思った通りの人物なのだろう。

 昨日の夜遅くに帰ってきたブラックパピヨンに礼として一晩専有され、その体を存分に愉しんだ。
 朝起きて朝食を食べ、一人で居るとイムニティが現れて何故か吹き飛ばされ(冒頭の事)、そしてダリアに呼び出されたのだ。
 賢人会議で起きた騒動に大河が何か絡んでいるのではないか、と探っているらしい。
 大河としても、少々露骨すぎたと思う。
 会議でテロもどきが起きた際、大河に紹介した領主とクレア、そしてミュリエルが一息に主導権を握ってしまった。
 それはいいのだが、タイミングが良すぎる。


「こればっかりは、結果良ければ全て良しとは言えないからなぁ…」


 何せ“破滅”の危機を演出したのだ。
 もし露見すれば、重罪どころでは済まない。
 良くてもテロリスト扱い、最悪“破滅”に寝返ったと思われる。
 ミュリエルとダリアにだけばれるならその意図も汲んでもらう事も出来ようが、赤の他人にだとそうは行かない。
 そのミュリエルとダリアにしても、証拠次第ではあるが弱みを一つ握られたようなものだ。

 溜息をつく大河。
 今日は夜伽は居ないだろう。
 昨日も居なかった。
 何を張り切っているのか、未亜達は揃ってダリアの元に泊まりに行っているのだ。
 たまには一人で眠るのも悪くないが、ちょっと寂しい大河だった。

 何をどうやったのか、ダリアは本当に未亜達を説得してしまった。
 一週間前の夜は、大河の追及を忘れてミュリエルの暴露話に没頭してしまった未亜とリコ。
 未亜がダリアに呼び出されていた事を思い出したのは、翌朝になってからであった。
 慌てて出かけていった未亜を追い、リコも出ていった。
 大河は助かったと胸を撫で下ろしたものである。
 そして未亜とリコが戻ってくると、不満そうな顔は残るものの、大河への追求は止んでいた。
 どうやらダリアとの情事が完全に露見したらしいが、交換条件により水に流す事にしたらしい。


「大河、ちょっといいかい?」


「? ブラック…いやベリオ」


 呼びかけられた大河が振り向くと、ちょっと目付きが悪くなっているベリオが居た。
 大河はブラックパピヨンとベリオを見分けられる。
 時々2人はこっそり入れ替わり、大河や未亜をからかっているのだが、どういう訳か大河だけは2人を判別できるのだ。
 本人にも理由はよく解っておらず、「なんか気配が」程度にしかコメントしてない。

 今は周囲に人が居るので、おいそれとブラックパピヨンの名前を出すわけには行かない。
 特に彼女が出没しなくなってから、ファンクラブの連中が殺気立っているのだ。
 彼女が現れなくなったのは当局にとっ捕まったからだとか、どっかの組織に拉致監禁されているためだとか、妄想とも言える噂が罷り通っている。
 もしブラックパピヨンの名前を出せば、どこで聞き付けられるか解ったものではない。


「ここじゃ何だから、ちょっと校舎の裏まで…」


「……お礼参りか?」


「お礼をしてくれるなら、悦んで受け取るけど」


 艶然と微笑む。
 その笑みを見て、近くにいたブラックパピヨンFC会員(盗まれて惚れた)がデジャビュを覚えたが、それは別の話。

 大河は大人しくブラックパピヨンの後ろをついて行く。
 ブラックパピヨンは大河に歩調を合わせ、人に聞かれない程度に声量を抑える。


「昨日の事で、ちょっと話があるのさ。
 ちなみにベリオは今眠ってもらってるからね」


「昨日の事?
 ああ、会議の事か」


「そうさ。
 それにしても、何で賢人会議の事を知ってたんだい?
 警備上の理由で、一般人には秘密にされてるのに」


「王宮にパイプが出来てな。
 それを通じて……で、どうだった?
 久しぶりの大暴れは」


「極上!」


 先日ベリオを桃色な手段で気絶させ、さぁ自分もと意気込むブラックパピヨンを止めた大河は、ブラックパピヨンにある計画を持ちかけた。
 寸止めを喰らって不機嫌だったブラックパピヨンだったが、大河の話を聞くにつれてその目の輝きが増していく。
 最終的には桃色行為の事も忘れ、二人で計画を練り続けていたのだ。


「久しぶりに怪盗の本領発揮、って感じだったわ。
 こっそり王宮に忍び込み、その辺の怪しげな書類に落書きしまくって、煙幕のドサクサに紛れて気に入らない議員のカツラを剥ぎ取って、ついでに2,3発殴り飛ばして…」


「さらに王宮の殆どのトイレを使用不能にしておき、議員に出される食事に下剤を仕込んだと」


「いいじゃないか、あの寝ぼけた議員どもにはいい薬だよ。
 下剤が文字通りいい薬になるとは考えもしなかっただろうけどね
 ついでにワインを極濃酒『戸愚呂之弟』に変えて、その中に目薬を入れた。
 飲んだらあっという間にノックダウンし、一週間ほど筋肉ムキムキのグラサン男に追われる白昼夢を見るという幻の一品」


「……どっから持ってきたんだ、そんなモン…」


 小声で笑うブラックパピヨン。
 どうやら久しぶりの仕事…イタズラで、ちょっとブレーキが効かなかったらしい。


「会議が始まるまで時間があったから、暇潰しに面白そうな物を探してたらね。
 宝物庫にぶち当たったんで、鍵を開けて物色して来たって訳さ」


「金目の物は盗んでないだろうな?
 特に宝石とかはすぐに足がつくぞ。
 魔法が掛けやすいから、追跡とか掛けられてるかもしれん」


「それ以前に、持ったら死ぬとかいうダイヤも見かけたような…。
 ま、私はお金には興味なくなっちゃったのよ。
 最低限あればいいわ。
 代わりと言ってはなんだけど、これ」


 ブラックパピヨンは幻影石を取り出した。
 ラベルが張ってある。
 大河はそれを読もうとしたが、書かれている文字は現在アヴァターで使われている文字とは全く違う。
 ブラックパピヨンはニヤリと笑った。


「何代か前の選定姫が、歪んだ性癖を持ってたっていう話は聞いた事がないかい?
 これはそれを記録した幻影石だよ。
 あとで一緒に見る?」


「見る! 絶対見る! っと、選定姫と言えば…」


「ああ、アンタの言う通り、何時ぞやのクレアって娘は選定姫クレシーダ王女だったわ」


「…………なぁ、性癖って遺伝すると思う?」


「アタシが泥棒をやっているのは何でだったっけ?
 …………悪巧みかい?」


「ああ……一国が覆るかもしれないくらいのな…」


 ニヤリと大河は邪悪に笑った。
 ブラックパピヨンもそれを見て笑う。
 大河が何を考えているのかしらないが、これは賭けてもいい。
 絶対に自分も楽しめる事だ。


「それでね、途中で秘宝館も見つけたのさ。
 クレアが集めたのか、それとも今までの選定姫の性教育に使われたのか…。
 恥ずかしい部屋の写真をい〜っぱい撮って来たのよ」


 懐から写真をチラリと見せる。
 既に現像までしている辺りが芸が細かい。

 ……写真に写っていた教材が明らかに偏っているように見えたのは、目の錯覚だろうか?

 気を持たせるように一瞬だけ見せて、また懐にしまった。
 残念そうな顔をする大河を見て笑い、ブラックパピヨンは足を止める。
 もう校舎裏に居る。


「さて、本題だけど……何のつもりだったんだい?」


「何が?」


「惚けるんじゃないよ。
 アンタの事だから、何かとんでもない事企んでるんじゃないの?
 確かにあの議員達の尻を蹴っ飛ばしてやるのは気持ちよかったけど、徒に混乱を招くつもりはないだろう?」


 ブラックパピヨンは、あの議員達の小心者ぶりを直に見ている。
 態々ベリオに聞かせないようにして、会議の場を荒らす事を自分に頼んだ大河も承知の上だろう。

 大河の目的が、議員達の目を覚まさせてやる事にあったのは解る。
 実際、昨日の今日で精力的に動いている議員達もいるようだ。
 ダリアから聞いた話だと、大河が連絡を取った領主…アザリンもその一人だ。

 だが、そうでない者も圧倒的に多い。
 逃げ出すように王都を去った者もいる。
 おそらく領地に帰ったら、布団でも被って城に閉じこもるだろう。


「あの連中の事だから、多分アタシ達にも要請を出してくるよ。
 あんな連中の護衛をやるくらいなら、“破滅”と戦う方がずっと気分的にはマシだわ」


「解ってるさ。
 その辺はミュリエル学園長が上手くやってくれてるよ。

 ………猛将に率いられた100の兵は、臆病な将に率いられた1000の兵よりも強いもんだ」


「は?」


「臆病なだけならいい。
 臆病さ、慎重さを知らない将は状況も考えずに突撃して部下ごと死ぬのがオチだ。
 が、臆病な上に状況も考えず、保身のみを考える将なら?

 ……知ってるか?
 無能な指揮官、居ると有害な隊長ってのは、戦場で後ろから味方に撃たれる事があるんだぜ。
 部下にしてみりゃ当然の権利さ、無能に連れられて死ぬのはゴメンだ。
 生き残るのに最適な方法を取るに過ぎない。
 ま、そんな事ばっかりやってたら軍隊ってのは成り立たないけどな。
 現場には現場の掟がある」


「つまり……ダメダメな将を先に排除しちまおうって腹だね?
 戦場で指揮官を撃たれるより、先に使える指揮官だけを残して、そっちに兵力を集中させる…。
 そして難癖つけてくるようなら、王宮の権力なり“裏”の手段を使って…」


「ま、そういう事だ。
 幸い、今は戦争に必要な人材そのものは足りてるんだ。
 その殆どが無能な上司のせいで力を発揮できない…。
 問題は兵力だが、アヴァター全土から掻き集めれば勝機はある。
 無能な議員どもの我侭で死地に放り込まず、効率的に動かせば充分だ。
 ……人を数字として見なきゃならんのが痛いがな。

 急進的な改革だが、クレアにはそれをやるだけの力があるだろ」


「やりすぎとか言う懸念はなかったの?
 “破滅”との戦いが終わって、ばれたら?」


「…こんな話がある。
 ある軍人が上官から宝物庫を守るように命令を受けた。
 その軍人は命令を忠実に守ったんだが、彼がその宝物庫だけを集中して守っていたため、すぐ傍の部屋に居た重要人物が殺され、結局その国は負けてしまった。
 軍人は罰として銃殺刑。
 上官曰く、『宝物庫を守るために命令を出したのではない。勝つ為に命令を出したのだ』ってね」


「酷い話だわ。
 軍隊では上官の命令は絶対だって話じゃない」


「例外もある。
 有能な下士官ってのは、上官の命令を破る事も視野に入れておくもんだ。
 よーするに、限度はあるにせよ、軍隊ってのは結果さえ出せば多少の命令違反には目を瞑る性質があるんだよ。
 手柄と罰が相殺しあって、結局何も無いのさ。
 すくなくとも俺が知ってる軍はそうだった」


 大河は自分の居た部隊の事を思い出す。
 問題児の集まりで、それはそれは揉め事が絶えなかった。
 始末書を書かせれば、書き直しを含めなくても小惑星を埋め尽くすほどの量になり、細かい懲罰を羅列すれば特別製PCの処理能力が限界を超え、さらに軍機違反でいちいち処罰をしていたら、それだけで銃殺用の弾薬代で予算が尽きると噂されていた。
 大河の居た部隊だけでなく、他の部隊も問題児揃いだったからだが、それにしたって凄まじかった。
 しかし圧倒的な戦果を叩き出し続け、結局お咎めなしだったのである。
 ただし昇進も殆ど無かったが。


 ブラックパピヨンは暫く黙っていた。
 しかし、何かを考えるような顔をした後、ポケットから取り出した紙切れを大河に差し出した。


「そういう事なら、コイツも結構な力になるんじゃないの?
 昨日偶然手に入れた、あっちこっちの領主達の不正の証拠」


「…偶然?」


「いや、コレは本当に偶然。
 アタシはこういう『ばらされたら破滅』的なモノよりも、『ばらされたらとても恥ずかしい』モノが専門なのよ」


「…ああ、この手のスキャンダルじゃ迂闊に言い触らしたり出来ないもんな」


 ウソクセーとばかりにブラックパピヨンを見ていた大河だったが、その説明には納得した。
 ブラックパピヨンの嗜好はあくまで恥ずかしがらせる事、である。
 脅迫に使うような洒落にならないモノは守備範囲ではない。


「…そうだな…遠慮なく使わせてもらうよ。
 ………なに?」


 ブラックパピヨンから紙切れを受け取ろうとした大河だったが、ブラックパピヨンはヒョイと紙切れを取り上げた。
 憮然とした顔をする大河。
 ブラックパピヨンが何を言ってくるのかは検討がつく。
 それは大河としてもイヤな事ではない。
 が、ちょっと今回は厄介かもしれない。


「勿論ロハとは言わせないよ。
 …ダリア先生との関係、ちゃぁんと説明してくれるんだろうねぇ?」


「……バレた…のは解ってたから、どういう意味合いで?」


「両方さ。
 あの昼行灯が王宮のスパイだってのは本当に驚いたよ。
 確信したのはついさっきなんだけどね
 ああ、未亜達は気づいてないわ。
 ついでに、アタシとベリオの関係にも気付かれてないはずよ。
 で、どーして大河はそのスパイと肉体関係なんぞ持ってるんだい?
 ひょっとして誑し込まれた……」


 あながち否定できないかもしれない。
 肉体を使った篭絡方法は、昔から男女問わず有効だ。
 ダリアとの関係も、ソレに近いものがあるかもしれない。
 ダリアの肢体というエサのため、情報を集める大河……リアリティがある。


「そういう訳じゃないんだが……。
 ま、ここで否定しても仕方ないか。
 ところで、未亜達は何をやってるんだ?
 ダリア先生に説得されたみたいだけど、一体どうやって……」


 ブラックパピヨンは、生真面目な顔つきになる。
 大河を見据え、一言一言選んで話した。


「ダリア先生は、アタシ達に必要なモノを提供してくれたのよ。
 大河じゃ絶対に出来そうにない、本当に大事なモノ。
 それを出されちゃ、アタシもベリオも未亜も、カエデとリコも反論する気になれなかったわ」


「…それは…何なんだ?」


 大河の表情にちょっと嫉妬が混じっている。
 ダリアに自分の女…妻達を寝取られたような感覚なのかもしれない。
 ソレを見て、ブラックパピヨンは内心笑っていた。
 見事に引っ掛かった。
 こういう事になると、意外と大河も単純だ。


「責めのテクニック!」


「……ほぇ?」


「本職…しかもソープとかじゃなくて、諜報員のテクニックだよ。
 肢体を使って誑かす事も諜報員の技術だから、それはもうエロエロでマニアック、しかも主導権を握れるテクニックが満載なのさ!
 SMチックな拘束プレイから始まって、焦らして焦らして懇願させるようなプレイ、足コキにア○ル責めまで何でもござれ!
 しかも責められながらも体力を温存、回復させるような耐え受けも有り!
 大河は自分が主導権を握ろうとする傾向があるから、こういう技術は知らないだろう?」


「そ、そりゃ知らないけどな」


「大河が何だか最近パワーアップしてるみたいだから、アタシ達も何とかしないとって顔突き合わせてたのよね。
 そこにダリア先生から『本場のテクニックを教えてあげるわよ〜』なんて言われてみなさい。
 みんな一足飛びに飛びついたわ」


 そういう事かよ、と大河は少しでも嫉妬した自分を恥ずかしく思った。
 それと同時に、言い知れぬ悪寒も走る。
 未亜達のテクニックが上がるのはいい。
 初々しいのも好きだが、玄人裸足というのも悪くない。
 プレイに幅が出来るのもいい事だ。
 主導権を握られるのも、行き過ぎなければいいだろう。

 が、彼女達に教え込んでいるのはあのダリアである。
 未亜達の方が篭絡されるのではないか……という心配は大してないが、それ以前にとても危険な事をしているような気がする。
 最悪、未亜だけでなくベリオ達もSに目覚めるのでは……?
 そこまで考えて、大河は頭を振った。


「ま、まぁ……ダリア先生との関係は、誑し込む云々じゃなくて口止め料みたいなもんだ。
 諜報員なんだし、色々とストレスというか気苦労が溜まるだろ?
 その発散相手…セフレみたいな感じかな」


「ふぅん……アタシ達が居るのに、まだセフレなんか作ってるのかい」


「そう言うな。
 実際、お前ら全員で掛かって来ても全員ノックアウトしてるじゃないか」


「くっ、今に見てなさいよ…」


 色々と失礼な発言をされ、ブラックパピヨンは歯噛みした。
 しかし事実は事実だし、今からダリアとの関係を破棄させるのも難しい。
 そんな事をしたら、ダリアもこれ以上のテクニックは教えてくれなくなってしまうだろう。
 それは余りにも惜しい。
 というか、多分未亜がとても怒る。


「はぁ……解ったわよ。
 納得はしてないけど、治めてあげるわ」


「そりゃどうも。
 ところで、用件はそれだけで終わりか?
 だったら伝言を頼みたいんだけど」


「? 何だい?」


「未亜に伝えてくれ。
 『今晩にネコが来る』ってな」


 ブラックパピヨンは首を傾げる。
 ネコくらい珍しくないから大河の部屋に来たっておかしくないが、そんな事を態々伝えるはずも無い。
 何かの暗号だろうか?


「細かい事が知りたいなら、未亜に直接聞きな。
 俺からはノーコメント。
 名誉上の問題もあるし、それ以上に未亜が不機嫌になりそうだ。
 自分の取り分が減るってな」


 無論、ネコとはネコミミリリィの事である。
 召喚の塔爆破の朝以来、リリィは大河の部屋を訪れない。
 自分はあんな性癖じゃない、あれは一時の気の迷い、と自分に言い聞かせているらしい。
 だがそろそろ限界らしく、リリィは大河の様子を窺っていた。
 横目でこっそりと見ているつもりなのだろうが、はっきり言ってバレバレである。


(色々と溜まってるんだろーな…。
 気の毒とは思うが、これも誘惑に耐え切れなかった彼女が悪いのだよ…)


 誘惑に打ち勝とうともしない人間が言えた台詞ではない。
 クククク、と邪悪な笑みを見せる大河。

 一応ベリオかブラックパピヨンの分まで、道具を揃えておこうと思う。
 …その辺に生えているネコジャラシだが。


 時は流れて夕方。
 大河は夕食を持って、自室に篭る。


「……イムニティ、居るか?」


「何よ、マスター」


 大河の呼びかけに答えて、イムニティが虚空から現れる。
 その顔はちょっと不機嫌そうというか、警戒しているようだ。
 また何かされるのではないかと勘ぐっているらしい。
 大河としてもシたいのは山々だが、今はその為に呼び出したのではない。
 そもそもマスター権限で命令するのでは詰まらない。


「ちょっと聞きたい事がある。
 救世主と“破滅”の役割についてだ」


「リコから聞いたんじゃないの?」


「こっちもそれなりに情報を整理してみたんで、その確認だ。
 ……で、どこまで答えられる?」


「……イエス・ノーでなら、かなり答えられるわよ。
 と言うより、答えられなかったらそれは機密事項を肯定していると思っていいわ」


 イムニティは肩を竦める。
 大河の推測が間違っていれば、それを否定する事は機密漏洩には繋がらない。
 推測が的中とは言わないまでも、惜しい所まで行っていれば(それが機密事項なら)肯定できない。
 または否定できない。
 彼女は性質的にマスターにウソをつけないので、適度に誤魔化すといった事も出来ない。
 つまり返事が返ってこなければ、その推測は事実の一端を掠めているのだろう。


「それじゃあ話すぞ。
 まず救世主の役割は、“破滅”を打ち払う事なんかじゃない。
 リコがポロッと漏らした、『新しい世界の創造』。
 これが救世主の役割だ」


「……………」


「だんまり…という事は、これは本当の事なんだな。
 だが、これまでにも救世主達は生まれてきた。
 その救世主達は、揃って役割を果たす前に死んでいった…。
 それも、その役割の重さに耐えかねて。
 救世主候補は、多少の事ならへこたれない。
 それだけの強さを身につけないと、お前たちのマスターにはなれないだろう?」


「…そうね。
 最低限の戦闘力、そして強い意志を持たなければ私達はマスターとは認めないわ。
 リコはもう誰も認めたくなかったみたいだけど……」


「…その強い意志を持った救世主達が、例外なく役割に耐えられずに自決した。
 つまり、これは役割がとてつもなく辛い事を意味している。
 いや、それとも強い意志を持っているからか?
 例えば…自分の係累を皆殺しにする。
 例えば…想像を絶する苦痛…それも精神的な苦痛。
 例えば…イエス・キリストみたいに世界の罪を背負う。
 例えば…………世界を滅ぼす事」


「…………」


「……マジ?」


 大河は自分の言った推測が、多少なりとも当たっている事に愕然とした。
 新しい世界を作り出す事が救世主の真の役割、と言われた時から漠然とした予感はあった。
 新しい世界を作り出したなら、今この世界はどうなるのか?
 放置されるか、消え去るか。


「なるほど……道理で歴代救世主が自分から命を断つわけだ。
 “破滅”を打ち払うために救世主になったのに、自分が世界を破滅させてりゃ世話無いやな」


「………今度のマスターは、本当に鋭いわ…」


 苦虫を噛み潰したような顔をするイムニティ。
 彼女が守るべき秘密の芯を、大河は殆ど捕捉してしまった。


「そう難しい話でもない。
 ミュリエル学園長があれ程に救世主の誕生を防ごうとする理由。
 地下にあった鎧に取り付いていた怨念。
 全く残されていない救世主に関する記録。
 そしてリコとイムニティから得た情報…。
 状況証拠と情報を組み合わせるだけでも、結構真実に近づける」


「今まで推測だけで、これほどに真実に肉薄した人間は一人も居なかったわよ。
 1000年前でさえ、メサイア・パーティが真実を知ったのは導きの書を読んでからだった」


「導きの書を?
 でもあれって真っ白……」


「私達はまだマスターを選んで居なかったからよ。
 導きの書には赤と白で文章が書かれているのだけど、私達がマスターを認めると、その色が抜け落ちる。
 リコも私もマスターを認めたから、導きの書には色が無い…文字が見えない」


 ふーん、と納得する大河。
 が、ふと頭を傾げる。


「どうしたの、マスター?」


「……新しい世界の創造…その始まり…中心たる救世主…救世主…センチネル?
 いや、トリガー?
 ……そう、新しい世界…?
 新しい法則?
 赤か白の…命の力と秩序の力のパートナー?
 いや、法則と世界は……別物じゃない、法則を定義すればそれに従って世界は作られる…。
 つまり法則を生み出す…いや、変質?」


「だから何をブツブツ言ってるのよ?」


「………ひょっとして、これ…パラダイム・シフトか?」


「パラダイム…何?
 マスターの世界ではそう呼ぶの?」


 大河の呟きに、イムニティは首を傾げる。
 彼女の知識にも、この言葉は無い。


「結局何よ、そのパラダイム・シフトってのは」


「…………パラダイムっつーのは、指標というか行く先というか…。
 パラダイム・シフトは要するに世界による救済措置だよ」


「救済措置?」


 あまりにも胡散臭い台詞だ。
 イムニティの小馬鹿にしたような表情に苦笑して、大河は続きを話す。


「宇宙…世界には、意思がある。
 これは解る?
 所謂『神』とは別の意味だが」


「ええ、解るわ。
 私達もそれによって生み出されたようなモノだしね。
 私達を直接作り出したのは神らしいけど…」


「ふーん…自分で言っといてナンだが、神ねぇ…。
 それはともかく、世界は生まれ落ちてからずっと孤独だった。
 他者を感じる事が出来なかったんだな。
 幾ら探しても見つからない。
 だから世界は考えた。
 ならば自分の手で他者を作ろうと」


「……何のために?」


「さぁ……暇だったんじゃないのか?」


 あっさりと言う大河に、イムニティは呆れ帰る。
 が、どの道検証の仕様がない。


「世界は自分以外の者を知らなかったから、自然と自身をモデルとして他者を作り出そうとする。
 で、生み出されたのが俺達の…というより、多種多様な可能性を秘めた、生物となり得るモノの材料だ。
 そこから進化したのが、この世界に存在する全ての生物だな。
 さて、この生物だが…とにかく暴走しやすい」


「増殖しすぎたり、妙なチカラを発現させて大災害を巻き起こしたり…。
 特に人間はね」


「自分を半歩引いて見る能力があるから余計にな…。
 環境破壊、核戦争、その他諸々自分の首を絞めるような行為は山ほどある。
 それも人間の一部と言えるかもしれないが、それはこの際関係ない。
 行き過ぎたテクノロジーは、世界を滅ぼす逆鉾になりかねん。
 だからと言って、生物として、文明としての発展を妨げるとどうなるか?」


「停滞……生物の種としては絶滅と同義語ね。
 進化の終着点…ともまた違う。
 次代へ力を受け継がせる事は出来ても、それを変化させる事も成長させる事も出来ない。
 何れは衰え、消えていくだけ」


「その通り。
 だから、文明が成長し、頭打ちになりそうになると、その文明の方向を変える事になる。
 方法は様々だ。
 知り合いがその中心に居た事がある。
 超弩級の大馬鹿で、問答無用で突っ込んで行った挙句世界そのものをぶっ飛ばしちまった。
 光太郎のヤツ、元気にしてるかな…。

 どっかの世界では、モノリス型ジジィどもが人工のパラダイム・シフトを起こそうとしてやがったな。
 なんか人類の心を補完して、一つとなって永遠に生きるとか神に至るとか、無理矢理生物としての階梯を上るとか」


「そんなの、出来る訳がないじゃない。
 そのパラダイム・シフトっていうのが本当にあるとして、それはもう神どころの話じゃないわ。
 神を含めた、全ての始まりの意志…神よりも上位の意味での『創造主』の領域よ。
 それに、パラダイム・シフトとやらはその性質上、既存の文明の力では干渉出来ない。
 文明を別の方向に進ませるんだから、使われていない文明の力を使わなきゃいけないんじゃない?」


「そういう事。
 当然失敗したみたいだけどね。
 で、肝心のパラダイム・シフトだが…要約すると、文明の行き詰まりを打破するための荒療治みたいなモノだな。
 以前その事件に、ちょっとだが関わった事がある…。
 センチネル…歩哨っつー役割の人だ」


「歩哨?」


「名前は俺も知らない。
 多分、世界中でも本名を知っているのは一握り…しかもとっくに死んでいる。
 ただ、人類の歩みを見守り記録し、そして次代のパラダイム・シフトに備える存在。
 何百年もの間、世界を歩き回り、だが誰とも親しくなる事も深く関わる事も無い、文明の先導役。
 詳しい事は知らないが、どこの世界にもパラダイム・シフトはあるらしい。
 ただ、その形やタイミングはそれぞれだけどな」


「ふーん…ま、そんなのが在ったとしても、それほどおかしい事じゃないわね。
 むしろ存在しない方がおかしいかもしれない…。
 でも、多分それは少し違うと思うわよ。
 確かに私達を選ぶ事で、救世主は世界の法則に影響を与える事が出来る。
 でも、その時にはこの世界はどうなっているかしら?」


 大河の推測が当たりだとすれば、世界は滅んでいる。
 文明が進むべき道もクソもなく、世界ごと消え去るのだから。

 大河は納得した顔をする。


「そうか…。
 パラダイム・シフトはあくまで、袋小路に入ろうとしている文明を別の道に放り出す事だもんな。
 世界ごと滅ぶんじゃあ、全く別物か…。

 ん……?」


 大河は耳を澄ませる。
 彼の鋭敏な感覚が、特徴的な気配を捉えた。
 普段は扉越しに気配を察知するのが精一杯なのだが、今は違う。
 静まり返った廊下を、気配を消して歩いてくるのが解る。


萌えの気配だ」


「…どんな気配よ」


 専用レーダーがビンビンに反応する気配である。
 残念ながら、今のイムニティにはレーダーは備わっていないらしい。


「イムニティ、隠れろ。
 客が来た……いや、多分今夜一杯はこっちに付きっ切りになるから」


「はいはい、それじゃあ今日は帰るわね。
 マスター、いずれ本気で刺されるわよ」


 大河の客が何の用で来たのか察して、イムニティは溜息をつきながらテレポートで消えた。
 実を言うとちょっと興味があったのだが、流石に混ざる気はしない。
 またリコが大魔神になったら怖いし、大河本人に興味はあるが、まだ交わりたいと思うほどではない。

 テレポートで大河の部屋から移動したイムニティは、そのまま図書館に移動した。
 今の彼女に部屋は無い。
 自身としても特に必要を感じている訳ではないので、人の居ない場所に行っては眠っている。
 大河から毛布を貰ったので、寒い事もない……元々ほとんど寒さは感じてないが。
 イムニティが図書館で眠るのを好むのは、やはり本の精霊だからだろうか?
 故郷にいるような感覚なのかもしれない。
 昨日までは禁書庫の最下層でいじけていたが、今はもう最下層まで行くのも面倒だ。
 一際大きな本棚の上に乗り、イムニティは毛布を被って眠ろうとする。

 が、ふと思いついて学生寮のある方向を見る。


(……今からでも、本気でマスターが刺されるかもしれないわね…。
 そもそもこんな時間に来るのが怪しいわ)


 情事のためなら、こんな真夜中に来るのもおかしくないのだが、イムニティはその考えを黙殺した。
 毛布をたたんで、イムニティはもう一度テレポートする。
 目的地は大河の部屋…ではなく、その上の屋根。

 目的地に降り立ったイムニティ。
 ちょうどその下に大河の部屋があり…おそらく、今は情事を開始した直後。


「違う…違うのよ、違うんだから…。
 あくまでマスターの護衛をしに来ただけであって、別に興味があった訳じゃ…。
 思い出したら体が疼く訳でもなくて…。
 いやいや、縄の感触なんて体も覚えてないのよ……」


 ブツブツ呟きながら、ウロウロと熊のように歩き回る。

 空は晴天で、満点の星。
 折りしも満月。
 今日は学生達も大人しく眠っているのか、本当に人の気配が無い。
 静まり返った学生寮の屋根の上で、何やら呟きながらウロウロ歩くイムニティ。
 …………シュールだ。


「そ、それじゃあとにかく……えいっ」


 イムニティの声を供に、姿が掻き消える。
 彼女は精霊なので、姿を隠す事も難しくない。
 基本となる形…今の人間形体と本から大幅に形を変えるのは難しいが、不可視になるだけなら、自分の体を構成している魔力の一部を変えるだけでいい。

 透明になったイムニティは、再びテレポートする。
 目的地は大河の部屋…の、クローゼットの中。
 大河は妙にカンがいいので、ヘタに転移すると感知されるかもしれない。


(慎重に慎重に……さ、さぁ…この扉をちょっとだけ開けてみると…)


 お子様禁止な光景が待っている。
 高鳴る鼓動を必死に抑えながら、イムニティはクローゼットの扉を少しだけ開けようとした。


「にゃあああぁぁん!」


「っ!?」


 が、扉に触れる寸前で、甲高い鳴き声が聞こえてきた。
 驚いて動きが止まるイムニティ。
 鳴き声はだんだん甲高くなりながら、クローゼットの中にまで響いてくる。


「にゃっ、ふにゃんっ、にゃああぁぁ!」


「あー、ナンか凄い癒されるなぁ…さっきまで殺伐とした話してたから余計に」


「んにゃあぁ!」


 大河の声は、本当にまったりしている。
 しかしイムニティは少しムッとした。
 殺伐とした話と言うのは、間違いなく自分との会話だ。
 確かに心洗われる会話とは言えないが、少し失礼ではないか?
 普段から『可愛い女の子と話しているとそれだけで和む』と公言しているのだから、自分の存在でもそこそこ癒されただろう。


(それとも、私じゃ癒されないって事?)


 思考が脇道に逸れているのに気付いて、慌てて思考を元に戻す。
 と言っても、本道自体が脇道のようなものだが。
 その間にも、ネコの鳴き声…確か禁書庫で大河と一緒に居た、リリィとかいう女だ…は、どんどん切羽詰ってくる。

 ドキドキしながら、今度こそクローゼットの扉を少しだけ開ける。
 しかし、そこにはイムニティの想像とは少し違った光景が広がっていた。


(……?
 なに、あの格好は…?)


 イムニティはリリィの姿を見て首を傾げる。
 服を着たままなのはいい。
 実体験は無いが、そういう交わり方もあるという事はイムニティも知っている。
 とはいえ、性交渉は番の男女が裸になって抱き合い、睦言を交わしながら性器同士を刺激しあう、という程度の知識しかない。
 多少の知識はあっても、本格的なプレイの事は聞きかじった程度。
 それによって何が得られるのか、という事も全く解らない。
 何せ論理の象徴なので、『萌え』などの感情的な感覚には疎い。
 従ってネコミミに萌えて理性を失う事もない。
 が………。


(何だか……飛び出して行って、あのミミとかシッポとか弄り回したいわ…)


 …どうやらイムニティも目覚めつつあるようだ。

 一方リリィだが、四つん這いになり、尻を…と言うよりシッポを高く掲げ、左右にゆらゆら揺らしている。
 そのシッポを大河が両手で掴み、気紛れにニギニギと握り締める。
 一回毎にリリィから嬌声が搾り出される。
 時々大河に甘噛みされた時など、涎すら垂らして喘ぎ泣き続けていた。


(うわ…凄い……)


「も、もっと…もっと触ってぇ……うにゃっ!
 ね、根っ子はダメなのおおぉ!」


 一際大きく声を上げ、リリィは崩れ落ちた。
 ピンク色の息を吐き、脱力している。
 大河がその横に腰掛けると、リリィはゆっくり大河に体を擦り付けた。


「……まったく…甘えん坊だなぁ、このネコは…」


「…にぃ…」


 知らない、とでも言いたげにリリィは顔を背ける。
 しかし相変わらず大河の体にひっついたままで、モゾモゾ動いている。
 暫くすると、リリィはまた四つん這いになって歩き出す。


「お、おい…」


「………(つーん)」


 そっぽを向いたまま、リリィは大河の腿の上に寝転がる。
 ふよふよしたちょっと小振りな感触が大河の腿にあたり、大河は悶え狂いそうになる。


(肉球が……ささやかな肉球が………)


「…(ムカ)……」


ガブッ!


「いでっ!
 何するんだよリリィ!」


「………シャーーーッ!


「うぉ…」


 迫力だけは普段のリリィそのままに、リリィは怒りを表現する。
 その原因に心当たりがあるだけに、大河は強く出られない。
 頭を撫でて機嫌を取る事にする。


「わかったわかった……勘弁してくれ、ほら…」


「………」


「ほれほれ、顎の下はどうだ?
 なでなでこしょこしょ……」


「…にゃあ」


「悪かったって…」


「…………」


 リリィは本当に拗ねてしまったようだ。
 大河は心の中で何とか自体を打開しようと頭を捻る。


(うーむ…やっぱり胸が小さいとか思っちまったのが悪かったか?
 それともベリオや未亜と比較したのが?
 確かに失礼極まりなかったと思うが……)


 男のサガと言うべきだろうか。
 が、どっちにしろリリィは離れる気はないらしい。
 本当に甘えん坊全開になっているようだ。
 未亜に負けず劣らず甘えん坊である。


(未亜が妙に意識する筈だわ…。
 根っ子が似たような性格なんだな…。
 人前では自分を押さえ込むような性格があって…最近はそうでもないけど…誰かに甘えるのが大好き。
 一度開放したら止まらない……そっくりだわ)


 してみると、リリィにもSの素質があるのだろうか?
 普段の性格から考慮するに、確かにありそうだが…彼女の本質はMだと思う。
 ちなみに未亜にもMの素質はあり、結構開発されているのだが…。


「……はぁ…。
 わかったわかった、気が済むまで顎でも頭でも胸でも撫でてやるから。
 だから機嫌を直してくれ………」


「…にゃあ」


 リリィは機嫌を直す事にしたらしい。
 早速撫でろと言わんばかりに、大河に頭を突き付ける。
 大河は苦笑しながら、その頭と顎に手を伸ばす。
 リリィは嬉々としてそれを受け入れた。
 普段からは考えられない態度である。
 暗示が発動しているのかもしれないが、ネコミミリリィは普段のリリィとは全く別人だと思ったほうがいいのかもしれない。


「ふむ……それにしても、そんなに気分がいいのか?」


「なーう」


「……あ、そぉ……」


 少なくとも、なり切ったまま戻ろうとしない程には心地よいのだろう。
 リリィは大河の手が髪を撫でる毎にゴロゴロと鳴いている。
 大河は呆れ半分にそれを見ながら、今度は調子に乗って胸に手を伸ばす。


「む…んにゃ、…ソコは…」


「あれ、ネコはどうした?」


「にゃ…むー、みゃあ……」


 四肢をジタバタ動かして、リリィは大河に抗議する。
 しかし大河は止めようとしない。
 どうやら本気の抗議ではないとタカを括っているらしい。


「こら、ジタバタするなって…それにしてもアレだな、ここまで甘えられるとツンデレそのものだな。
 何時だったか、ベリオに向かって『リリィがツンデレをやってくれたら、それだけで俺は世界を敵に回しても後悔しないだろう』とか言った覚えがあるが…」


「に、にゃお(照)」


「ホンッと……予想以上の破壊力だよなぁ…」


 何せ白の精霊にまで萌えを目覚めさせるんだから、と胸中で呟いて、大河はクローゼットに目を向ける。
 そこには食い入るように見つめる何者かの目。
 無論イムニティである。
 最初に気付いた時は侵入者か覗きかと思ったが、大河に気付かれずにクローゼットの中に潜むのは難しい。
 ならばテレポートで入って来たと考えるべきだろう。
 テレポートが出来る知り合いは、大河には2人しか居ない。
 そしてリコならば、さっさと乱入してリリィを可愛がるはずだ。
 だからクローゼットの中にいるのはイムニティ。
 心なしか、感じる気配が強くなってきている……興奮しているのだろう。


(ま、イムニティなら問題ないだろ。
 アイツ、どうやら縄の味を覚えつつあるみたいだしな…。
 むしろいい刺激になるかもしれん。
 リリィを可愛がって癒されつつ、イムニティを堕とす……。
 背徳的この上ないな)


「……(むー)」


「ん? ああ、悪い悪い」


 大河が良からぬ事を考えているのを見抜いたのか、またリリィの機嫌は悪くなっていた。
 ネコミミスーツのおかげか、野生のカンが強化されているのかもしれない。

 胸から手を退けて、髪の毛やミミやシッポ……胸や尻や性器を除いた全てを丁寧に撫でる大河。
 それでリリィはご機嫌になったが、ちょっと違和感も感じていた。
 それもその筈、大河の手付きは女の性感帯を開発する為の動きだったからだ。


「む……んにゃ?
 はぅっ!
 あ、え? あの、ちょっと大河?」


「まぁまぁ、ネコを続けてろよ。
 ちゃんと気分よくさせてやるから」


「い、いやあのちょっと、ネコがどうとか言う問題じゃなくて!
 手の動き方がイヤらしいんだけど!」


「まぁ、こんな格好してヤル事っつーたら普通それだし。
 リリィだって、俺の手が忘れられないからこうしてるんだろ?」


「そ、それとコレとは別問題…」


「別問題じゃないだろう。
 な、俺のテクニックにメロメロのリリィちゃん?
 ほれ、こっちとか…」


「このっ……!」


 大河の手が乙女な場所にも伸ばされる。
 カッとなったリリィは、ネコを演じるのも忘れて手を振り上げた。
 大河がそれに反応する前に、思い切りそれを振り払う。


パシィン!


「っと……?」


 何が起こったのか解らない、といった顔の大河。
 その頬は赤くそまり、紅葉がついている。
 リリィに張り飛ばされたのだ。

 あれだけ甘えられていたのに、一点してこの仕打ち。
 どうやら大河は地雷を踏んでしまったようだ。


「誰がアンタにメロメロだってのよ!
 たとえ体が屈しても、絶対に心だけは渡さない!」


「…なんか俺だけ悪人扱いされてるような…」


「やかましいわ色魔が!」


 本気でリリィは怒っている。
 やはりプライドは捨てきれなかったようだ。
 ここまで甘えておいてプライドもクソもないと思うが、やはり譲れない一線はある。
 あくまで体だけの関係…それも性的な意味でなく、飼い主に甘えるペットのような関係であると言いたいらしい。
 ペットを可愛がる飼い主は居ても、欲情する飼い主は居ない……獣姦趣味があったり『ペット』が如何わしい意味だったら別だが。


「とにかく、アンタとは時々こうして遊ぶ程度の関係でしかない!
 わかった!? アンダスタン? いいわね!?」


「よ、よくはないが…」


「黙れー!」


 リリィの手から、魔力塊が放たれる。
 咄嗟に大河は避けるが、壁に穴が開いてしまった。


「あー……こりゃ明日には修理しなくちゃな」


「自業自得よ! 調子に乗るからよ! じゃあね、思い上がった頭を冷やしてさっさと寝なさい!」


 憤懣やる方ないといった歩き方で、リリィは部屋を出て行った。
 大河は呆然としてその後姿を見送る。
 それでも視線は揺れるシッポに釘付けだ。

 乱暴に閉められたドアを見て、大河は頭を掻いた。
 どうやら本当に調子に乗りすぎてしまったらしい。

 と、ドアの向こうから何やらドタバタと音が聞こえる。


「な、ちょっ、未亜やめなさい!
 ってベリオまで!?
 見るな、見るなー!
 あっち行けー、忘れ去れーー!」


「まって、まってリリィ!
 私にもそのミミとシッポを触らせてー!」


「大人しくしなさいリリィさん!
 こうなったら力尽くで捕まえますよ!
 ベリオさん、コンビネーション3−1−5!」


「アンタら何でそんなに息が合ってるのよー!」


「「ネコミミシッポー!!」」


 ………どうやら未亜と鉢合わせしてしまったようだ。
 今晩にはリリィがやって来ると踏んで、ブラックパピヨンに伝言を頼んでいたのをすっかり忘れていた。
 未亜に伝言を伝える時に、ブラックパピヨンがネコリリィの事を聞きだしたのだろう。
 そしてベリオも好奇心に従って、ネコリリィを見に来た。


「……ベリオも結構ツボに嵌ったみたいだなぁ。
 それとも、自分でもタチを演じられそうだからかな?」


 情事におけるベリオの役割は、基本的に総受け…集中攻撃を受ける側である。
 逆にブラックパピヨンは攻め、カエデはサポート役、未亜はどれでもこなせる万能型。
 リコはまだ経験が少ないので、こうと言えるようなスタンスはない。

 ベリオはいつも大河達に好き勝手に弄られ、主導権を握るという事が出来なかった。
 初心者のリコにさえも負けるぐらいだ。
 だから自分でも可愛がれるような、文字通りの『ネコ』の出現が嬉しいのだろう。

 それはともかくとして、大河は傷む頬を摩りながら、立ち上がって机の引き出しを開けた。
 例によって怪しい物体が色々入っている。
 大河はその中に手を突っ込み、何やらロープを取り出した。
 そしてクローゼットに目を向ける。
 隙間から覗いていた目は、既にそこには無かった。
 しかし気配はそのまま。
 それどころか、益々気配が強くなってきている。
 あまつさえ、耳を澄ませば微かに水音が聞こえてくる。


「………意外と早く堕ちたかな」


 大河はロープを持ったままクローゼットに歩み寄る。
 そしてゆっくりとクローゼットを開いた。

 その中には、予想通りイムニティが座り込んでいた。
 しかし彼女は大河に気付いた様子もなく、ひたすらに自分の股間をまさぐっている。
 さっきのリリィと大河の情事をオカズにして、自慰の真っ最中である。


「んっ……はぁはぁ…そう、ココ…あぅ…」


 時折ツボに当たるらしく、ピクピク体を痙攣させている。
 頬をバラ色に染め、首筋が汗でうっすら光っていた。

 気付かれない無い大河はちょっと寂しかったが、これはこれで好都合だ。
 大河は素早くロープをイムニティの手に巻きつけ、そのまま全身を拘束する。


「んっ…あ、ヤダ……続きするの…あぅ、この感触は…あ、あれ? マスター!?」


 手が縛り付けられ自慰を続けられなくなり、ようやくイムニティは大河が目の前に居る事に気がついた。
 慌てて体を隠そうとするが、全身に縄が張り巡らされたままなので、要所要所に縄が食い込んでイムニティを刺激するだけだ。
 何とか逃げようとテレポートを試みる。


「あ、あれ? また力が使えない……。
 ちょっとマスター、この縄は何なのよ!?
 というか解きなさいよ!」


「…本当に縛られるとテレポートが出来ないみたいだなぁ…。
 コレ、本当にただの縄だぞ。
 イムニティが縛られたがってるんじゃないのか?」


「そ、そんな筈は……無きにしもあらずのような…
 いいからさっさと開放しなさい!
 一体何のつもりなのよ!」


 大河は吼えるイムニティを見てニヤニヤ笑っている。
 それを見てイムニティはさらに勢いを増すが、それは縛られているのにも関わらず無理に動こうとする事だ。
 当然体の各所に縄が擦れ、更なる刺激にイムニティは思わず体を強張らせた。


「あぅ……お、お豆さんが…(///)」


「アホよのー。
 やっぱり縄が擦れる感覚に病み付きになりそうか?」


「五月蠅い!
 何のつもりかって聞いてるのよ!」


「決まってるだろう。
 マスターの情事を覗き見するような悪い子には、お仕置きせずに何をする!?」


 キッパリ言い切る大河。
 それを言われるとイムニティも弱い。
 理由はどうあれ、覗き見していたのは事実だし、そもそも理由と呼べる程の物はない。


「だ、だからってこんな事しなくても…」


「こんだけ恥ずかしい液体を垂れ流して何を言うかな。
 ほれほれ、オナニーを途中で止められたから、体が火照ったままだろー?」


「きゃぅ!」


 大河の手がイムニティの秘所を弄る。
 縛られて力が抜けたままのイムニティに、それに抗う術は無い。
 送り込まれる刺激に悶え、体に食い込む縄の感触に、知らず知らずのうちに陶酔していく。

 大河は縄を強く引き、締め付けをより強固な物にした。
 イムニティはその感覚にビクビクと震え、天を仰ぐ。


「あっ……は…」


「今日は未亜もリリィを追いかけて行ったみたいだし、ゆっくりお楽しみが出来るからな…。
 ま、一応優しく奪ってやるから」


「ま、ますたー…」


 もうイムニティには抗おうという発想すらない。
 縄を引かれ、イムニティはノロノロと歩き出す。
 大河に先導されて、ベッドに倒れこんだ。

 大河がイムニティの上に圧し掛かる。
 イムニティは抗おうとせずに、むしろ大河を受け入れた。
 唇同士が接触して、甘美な感覚がまた増えていく。

 縛られて抑えつけられている服の下に、大河の手が入っていく。
 イムニティは悦びを露にして体を捩らせた。


 朝。
 眠そうにしている未亜が、大河の部屋にやってきた。

 昨晩は結局一睡もせず、学園中をリリィと追いかけっこしていたのだ。
 ベリオは途中で脱落し、代わりにブラックパピヨンが出てきたものの、死に物狂いで逃げ回るリリィの前にあえなく敗北。
 流石にパルスの乱れ撃ちなんぞは避けられない。
 最終的には、リリィが未亜を引き離し、地下室に駆け込み篭城した挙句、扉をブチ破って未亜が地下室に乱入して来る頃には姿を消していた。
 未亜は地下室を1時間ほど探索したが、リリィは発見出来なかった。
 実際には地下に駆け込んだら、鎧と戦った帰りに通った礼拝堂裏手の森へ抜け道に向かっていたリリィ。
 未亜が扉を破ろうと奮闘している頃には、もう地下室から抜け出していたのだ。
 仕方なく未亜が諦め、地下室から出た時には、燦々と降り注ぐ朝日が出迎えてくれた。


「あふ……今日の授業はお昼寝になりそう…」


 欠伸を堪えながら、未亜は大河の部屋の扉を開ける。
 何時も通りに大河を起こそうとして、ふと手が止まった。

 大河の隣に誰かが居る。
 それ自体は別にいい。
 いや良くはないが、もういつもの事だし、自分も公認している。
 が、これは一体誰なのか?
 本来ならリリィが大河に寄り添って眠っていたかもしれないが、そのリリィは昨晩何故か怒りながら大河の部屋から出てきて、そのまま未亜と追いかけっこ。
 怒っていた理由は解らないが、リリィの性格からしてまた戻ってくるとも思えない。

 ではベリオ?
 またはカエデ?
 否、背丈が小さすぎる。

 ならばリコか?
 確かに大きさは一致する。
 が、それはリコの気配ではなかった。
 未亜は気配の探知などという器用な真似は出来ないが、リコと大河だけは別だ。
 リコと未亜は契約で繋がっている。
 何となくだが、お互いの事が伝わるのだ。
 しかし目の前の誰かさんにはその感覚が無い。
 ……未亜が大河を探知できる理由は言うまでもない。

 では誰なのか?


「えーと…てりゃ!」


 考えあぐねた未亜は、問答無用で布団を引っぺがした。
 そして目が点になる。


「……イムちゃん…?」


 そこに居たのは、リコとそっくりのイムニティである。
 なるほど、確かに彼女ならおかしくはない。
 リコとも体の大きさは同じだし、マスターたる大河と交わる事もあるだろう。
 契約による繋がりを強化していたのかもしれない。
 しかし。
 しかしだ。


「……どうしてイムちゃんはベッドに手足を括りつけられてるの?」


 イムニティは、身動きが出来ないように大の字でベッドに括りつけられていた。
 彼女の表情は、普段とは全く違って生意気さが影を潜めている。
 むしろ至福の表情だ。
 眠りにくくないのだろうか?

 ふと目をやると、閉じられないように大開にされた股の間から、白い液体が流れ出ている。
 勿論大河から発射された例のアレだ。


「確かに召喚の塔前で見た時には、素質がありそうだったけど………」


 何故こうなったのだろうか?
 そもそも昨晩はリリィが居た筈。
 イムニティとて、『リリィに逃げられたからその代わりに』では拒むだろう。
 が、何故かイムニティは『そんな事は知った事じゃないわね』と言わんばかりに満ちたりた寝顔を披露してくれている。


「???」


 首を傾げる未亜だった。



こんちわー、時守です!
ぐわーー、やっちまったーー!
とんでもない御人をクロスさせちまったー!
あんな魅力的かつ威厳に溢れた皇帝を書く自信ナンか無いよー!

いやー、やっとSSの書き方を思い出してきました。
最近は指が上手く動かなかったりシーンの移動が上手くいかずに四苦八苦していましたが、少しはマシになるかと…。

ああ、もう11月も半ばです。
光陰矢のごとしとはよく言ったものですね…。
冬休みが近付くのはいいけど、余計なナニかも近付いてるなぁ…。

それではレス返しです!


1.神曲様
ダウニーさん、ついに生贄にまで進化しましたか…マジで涙モノですね。

確かにミュリエルとダリアのタッグは現段階では最強ランクですが、それでも万全の大河と互角くらいですね。
でも、実は大河が更にパワーアップする算段が……。


2.皇 翠輝様
欲求不満の熟女は言葉でネチネチ攻める、と相場が決まっていますからねぇ…。
ミュリエルのエピソード、ネタが思いついたら小出ししようと思います。


3.くろこげ様
シンカしますよ。
どんな方向かは未定ですけど、まぁシリアスにはなりません。


4.悟様
えーと、とりあえずリコとイムニティにドジっ娘属性を付加…かな?
イムニティもいずれはヘッポコになってもらいましょう。


5.竜神帝様
神に手を出して、屈服させてから…って、それってモロに監○・調○ですぜ?
流石にヤバイよーな気が…(汗)


6.ZERO様
そ、そーいえばすっかり忘れていました…。
でもまぁ、精々15禁くらい…でしょうか?
今後気をつけます。


7.沙耶様
大丈夫デス、もう確定してますから(ニヤリ)
ロベリアはかなり先になりますが、クレアは…2,3話中には濡れ場があると思いますよ。


8.K・K様
オギャンオス!
ダウニーの髪型進化はもう少し続きます。
アフロ→波平ときて、次は…一番自然な形になるのはアレかな…。

イムニティ、覚醒したようです。
今度はお笑い属性でもつけようかな…。


9.大仏様
ジャスティスプレイご苦労様です。
ご先祖様ことロベリアにそっぽを向かれるダウニー…。
ダウニー本人もでしょうけど、ロベリアもさぞ情けない事でしょう(笑)

追記 申し訳ありませんが、触手プレイは無しです!
   何で触手の村長なんぞにリリィを陵辱させてやらにゃならんのだ!
   ッつー事で断固拒否の構えです。
   代わりに丼を出す予定ですから。


10.ディディー様
ダウニーのご先祖が海平さん…という事は、ロベリアとも海平さんは血族なのですね。
ロベリアには、最終的には別の意味で壊れてもらいます。
まぁ、ルビナスの仲間だった時点で壊れが始まってしまったのでしょう。

リコレーザー…それって神が使うEX技の強化版になるのでは?


11.試作弐号機様
プレステ版で18禁は無しでしょうし、是非ともPC版の追加を出して欲しいです。
クレアと濡れ場を!
なんなら問題ない年齢に成長した後日談でもいいからーー!

ダウニーがあの頭で「殺せ」とか言っても、精々笑い死にする人が出るぐらいでしょうね。
でも極端な話、ダウニーには精霊の有無も大して関係なかったんじゃないでしょうか。
原作での会話を見る限り、半ば自暴自棄というか世界に絶望していた節がありますし。
一人でも多く道連れに、というのがダウニーの行動の奥底にあったのでは?


12.3×3EVIL様
モラルなんぞ、萌えの前には一切の無力です!
つーかすいません、それ本気で予定してます。
そうですね、7章の終わりか8章の頭ぐらいに…。


13.九重様
女神転生か…友達がやってるのを見ただけなんですよね、時守は。

神の食べる攻撃は反則でしょう…防げないし。
アレは神(女版)よりも強かった。


14&17.悠真様
白い明日よりも先に、ヤーナカーンジーが待っていそうですね。
それと、大河はギリギリ負けていませんよー(多分)。
一応引き分けですよー…名目上は。


15&16.謎様
リリィ総受け…自分で書いておいてなんですが、その手がありました…。
よし、じゃあ学園長をあーしてこーしてリリィを…。


18.アレス=アンバー様
イムニティもレーザーは撃てますよ…ただしその場のテンション次第で。
リコは未亜からエネルギーを貰っているから嫉妬レーザー、イムニティは…煩悩レーザー?
または性欲レーザー?
横島君でも出来そうです。
三人で一斉掃射すると、もうチリも残りません(笑)

ダウニーは髪を剃りません。
この際だから、残った髪に徹底してしがみついて貰います(笑)


19.よしね君様
DVD読めないんですか…それはまた…。
しかし、運命ではハーレムルートはどうなるんでしょうか?
濡れ場を端折ると、えらく中途半端になりそうですが…。

プチ殺すは、全く意図せずにやっていました。
たまーにあるんですよね、知らないネタが混じっている事…これが電波とゆーものか!


20.神〔SIN〕様
良い人ですか…シェザルとロベリアは何とかなるとしても、ムドウはムリでしょうね…。
カエデが治まるとは思えませんから。

ロベリアがルビナスに苛められる所?
そんなのプロローグを書いた段階から決定してますよ〜。

それにしてもおかしいですね…。
小ネタ掲示板過去ログ MENUには、三つのログがありますよね?
上から
過去ログ(時系列順)
過去ログ(作者順) [提供:ryuzo様]
よろず小ネタ過去ログ(作者順)
となっていますが、上の2つはGS専門の、三つ目はその他のネタのログです。
ひょっとして、二つ目のログに入っていませんか?
三つ目のログです。
先頭のSSが、555様の「第三の帝王(まぶらほ+仮面ライダー555)」になっているヤツです。
この中に在るはずですが…現に時守は見れますし。
ちなみに下から探して行った方が早いです。


21.なまけもの様
いけね、大河の年齢を勢いで書いてしまいました。
自分で作った設定を間違えるなよ俺!

フノコの復活を予言されてしまった…どうしよう(汗)
やっぱり一周してまたアフロに帰るのか?
それともいっそオチに使うべきか…。

ダウニーの名前に関しては、大河はもうさっぱり覚えていません。
ダウニー・フノコでインプットされてますから。
それに、身近にあるものほど人は見逃しやすいのです。


22.砂糖様
紅茶とコーヒーばっかり…胸焼けして眠れなくなりますよ。
ご健康にお気をつけて…。

萌えなのか…エロかと思ったけど…まぁ、萌えのほうが嬉しいですけどね。


23.カシス様
ダウニー先生が大変なのはいつもの事として…。
リコのプログラムは別に解除はされていません。
単に予想もしてなかったので、見逃してしまっただけです。
権利の譲渡は出来ませんよ…今神が降臨したら…あ、でもアフロ神なら大歓迎ですね。


24.アルカンシェル様
クラスチェンジ完了!
後は成長させて、もう一度クラスチェンジさせねば…。
あと必殺技とかも覚えさせたいです。


25.なな月様
思いっきり根っ子から引きちぎりましたからね…。
流石に酷いかなーと思ったんですが、この指が勝手に。

ロベリアだってルビナスと反発していたばかりじゃなかったでしょう。
噛み付きながらも、やっぱり連帯感とかは結構あったんじゃないかと思います。

さて、ミュリエルも大河と交わった事だし、何かドジを踏ませてみようかのぅ…。


26.鈴音様
終わってしまったからには、何かを始めなければならないですよね。
イムニティ…縛りに目覚めた所になんだけど、もーちょっと壊れてもらいます。

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