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「幻想砕きの剣 6-7(DUEL SAVIOR)」

時守 暦 (2005-11-09 20:49/2005-11-09 20:52)
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「は、初めてこの台詞を使うぜ…太陽が黄色い…」


 昨晩は未亜達計四人を相手にしてほぼ徹夜、そのままサンドイッチを一つ二つ摘んだ程度でルビナスの精液採取に協力、ビーカーがいっぱいになるまで放出。
 その後さらに食事を掻っ攫われて気力を大きく削られつつもダリアと交渉、そして口止め料と称して行為に耽る。
 いくら大河でも、エネルギー補給無しでこれは苦行だ。
 持ち前のスケベ根性で持ち堪えているが、そろそろ本気で倒れても可笑しくない。

 今度こそ食事をしようとした大河だが、今日の彼はとことんそういう巡り合わせに無いようだ。


「大河君、少しいいかしら」


「………ナンデゴザリマショーカ、みゅりえるガクエンチョウ」


 フローリア学園のボス、ミュリエル・シアフィールドの登場である。
 大河と顔を合わせる度に、腹の探り合いや小競り合いを繰り返す。
 今回も何か仕掛けてくる気満々である。

 が、大河の方は最近稀に見る絶不調。
 とにかくエネルギー不足。
 いや、エネルギーそのものはイムニティとの契約のお蔭で足りている。
 だが空腹感はそれを凌駕するほどに強烈だった。


「ヨージガアルナラ、ショクジノアトニシテイタダキタイノデスガ」


「………何があったのか知りませんが…随分憔悴していますね。
 ま、私から見れば絶好のチャンスですが。
 お腹が空いているのですか?」


『ギャオーーーーーン!』

   パリンッ!


「………」


「………愚問だったようですね」


 大河が返事をする前に、大河の腹が全存在をかけて主張した。
 その大音量に、近くにあった鏡が一枚割れる。
 壁にちょっとヒビが入った。
 超音波か。


「はぁ……とにかく、その危険な腹をどうにかせねばなりませんね。
 ついていらっしゃい」


「ツイテコイモナニモ、ショクドウニムカウノデスガ?」


「生憎、食堂は倉庫にあった食材までが完全に尽きたとの事で緊急休業です。
 本来なら週一回の補給で間に合っていたのですが、リコ・リスがギネスブックに記載されそうな程に食べまくったせいで、完全に空っぽだそうです。
 今日の午後に補給を行います。
 明日の朝までは食堂は開きませんよ」


 リコがそれだけの量を食べたのは、大河に負けた後と、地下に潜る前である。
 大河に負けた後に暴食したのは、構ってくれない大河に拗ねていたせいでもあるから、半分くらいは自業自得と言えなくもない。


「……カミハ、カミハシンダァ!
 ッツーカ、オレニコンナウンメイヲオシツケヤガッタカミナゾ、オレガコノテデプチコロス!!
 オレサマ オマエ マルカジリ!
 DSゲンサクデ、カミニクワレタウラミヲハラシテヤル!
 ムシロオレガカミヲクウ!」


「というか、その珍妙な喋り方はやめなさい。
 (プチ殺す? ……ぶち殺すじゃなくて?)」


「ヘ? オレハイタッテフツーニシャベッテマスガ?」


 本格的に脳の言語中枢に血液が回らなくなっているらしい。
 血液中の血糖値が下がると気が短くなるし、そうなったらただでさえ危険な大河がさらに危険人物に化けかねない。
 もはや問答している暇はない。
 こうなってしまえば、物で釣るのが一番だ。


「私が手料理をご馳走してあげますから、素直について来なさい。
 自慢ではありませんが、ちょっとした物ですよ……あくまで趣味の範囲なので、料理長と比べられたりすると困りますが」


「イクッ! イキますッ! イカせてください!」


「……貴方、わざとやってない?」


 中途半端に理性が戻ってきたようだが、台詞が妙に卑猥だ。
 思わず目を細くして冷たい視線を大河に送るミュリエルだった。


 大河は彼にしては大人しくミュリエルについてきた。
 あくまで『彼にしては』であり、その途中にも超音波型腹の虫でそこかしこに被害を出したり、再び言語機能に故障を来たしてブツブツ暗黒語を呟き始めた程度。
 被害が出る度にミュリエルは予算を思って頭を痛め、大河の暗黒語を聞いて呪いをかけられているようで胃を痛める。
 理性がなくても迷惑なヤツである。

 ミュリエルは大河を連れて、自室…学園長室ではなく、寝食する部屋にやって来た。
 彼女は基本的に学園で暮らしており、彼女の家と呼べる物も学園である。
 リリィが救世主クラスに入る前には、王都との間にある家で暮らしていたのだが、今ではそこは貸家にしてある。
 よって、ミュリエルのパーソナルスペースは学園内の一室に存在した。
 無論ミュリエル自らの手で色々と細工がしてあり、防音防振は勿論の事、セキュリティはバッチリだ。
 もし空き巣が入り込もうとして鍵穴に針金とか差し込んだら、その場で空き巣はお陀仏しかねない。
 他にも侵入者撃退用のナゾな装置がチラホラ。
 ルビナスが学園に来た時に何やら改良を頼んだらしく、より危険度が高くなっている。

 そんな何気に危険な部屋だが、中は至ってまともである。
 趣味のいい高価なカーテンや絨毯が敷き詰められ、救世主候補生の部屋を彷彿とさせる。
 本棚には難しそうな本と、息抜き用にか漫画が何冊か。
 そして平凡なキッチン。
 扉があって、その向こうはベッドルームである。
 彼女はフローリア学園の学園長として日々忙しい生活を送っているのだから、このくらいの報酬は当然だろう。


「さぁ、そこに座っていてちょうだい。
 ご飯は温めるだけで出来るから、すぐに食べられるわよ」


「GOTININARIMASU!」


「だから普通に喋れと……これでも食べて落ち着きなさい」


 ミュリエルは棚から金平糖を取り出し、大河に渡した。
 彼女の好物なのだろうか?
 一つ一つを至高の宝石を見るが如き視線で見つめ、大河はミュリエルを拝みつつ金平糖を口にした。
 10にも満たない数だったが、とりあえず大河は落ち着いたらしい。


「っは〜…やっと人心地ついた……。
 ………あ、あれ?
 ここ何処だ?
 どうして学園長が?」


「………難儀な人ね…」


 どうやら空腹で記憶が飛んでいるらしい。
 たかが一日足らずの絶食で記憶が跳ぶなど笑止千万だが、まぁ育ち盛りだしカロリー消費しまくったし。
 ミュリエルは周囲をキョロキョロ見回している大河を見て溜息をついた。

 そして現在暖められている料理を見て、内心溜息をつく。


(本当に……難儀な事…。
 アヴァターの平和を守るためなら手段は選ばない…そう決めたけど、まさかねぇ…)


 これから仕掛けようとしている事を考えて、ミュリエルは頭が痛くなる。
 過去の友人達の事を思い浮かべて、一人でちょっと涙した。


(本当に……もう少し別の判別方法はなかったの?)


 ミュリエルが黄昏ていると、ようやく料理が温まる。
 大河は今か今かと待ち侘びていた。


「お待たせしたわね。
 行儀は気にしなくて良いから、早くその危険なお腹の虫を宥めなさい」


「ゴチになります!」


「それはもうやったわ」


 ミュリエルの突っ込みを聞こうともせず、大河は猛烈な勢いでミュリエルが作った料理を貪った。
 こうまで美味そうに食べてくれると、作ったミュリエルとしても気持ちがいい。
 自分の分も食べながら、ミュリエルは大河を観察した。


(もっと警戒されるかと思ったのだけど……空腹だったのは幸運だったわね。
 彼が警戒すると、私でも策を成功させるのは難しい…。
 さて、これで第一段階は終了ね。
 結果的に余計な手間になってしまいましたが、第二段階に移行、第三段階の準備に入るわ)


 普段の大河なら、ミュリエルには最大級の警戒心を発揮し、何もない時でも何か情報を探り出せないかと観察するはずだ。
 それをどうやって乗り切るかが最大の難所だったが、何はともあれ助かった。

 正常な状態なら、ミュリエルの料理が最初から2人分作られていた事に疑問を持っただろう。

 そう、2人分である。
 ミュリエルが自分の分を作るのは解らないでもないが、何故態々大河の分まで作ったのか。
 大河に食べさせるためではあるのだろう。
 そうでなければ、時間を割いて探し出し、名指しで指名しては来ない。
 しかも温めただけという事は、調理する姿を見せていない…何か仕掛けられていても、全く気付けないのだ。


「美味い!
 こりゃ美味いッス!」


 普段の警戒振りは何処へやら、大河はようやくありついた栄養を存分に摂取している。
 ミュリエルは大河が食事をする所を見るのは初めてだったが、イメージ通りの食べ方だ。
 育ち盛りだからか、それとも単に躾がなっていないだけか、かなり行儀が悪い。
 ちょっと眉をしかめたミュリエルだったが、育ち盛りの男の子の平均としてはこんなものだろう。


「ところで……大河君、少し聞きたい事があるのだけれど」


「むぐ?」


「食べながら聞いてくれればいいわ。
 一昨日、禁書庫に入ってからの出来事……詳しく話してくれないかしら?」


「はぁ、そりゃいいですけど………俺、途中で気絶しましたよ。
 確か最後まで意識を保っていたのは、リコと未亜だけだったような…」


「ええ、そうですね。
 しかし、貴方は2人よりも観察力があります。
 その視点から、何があったのか詳しく聞かせて欲しいのです」


 そう言われて、大河は食事の手を休めて暫く虚空を見た。
 ようやく少しだけ血が巡り始めた頭で、ミュリエルが大河を呼んだのはこの為だったのか、と気付く。
 その奥で何かが警報を鳴らしていたが、今の大河にはそれに気付く事は出来ない。


「そりゃ構いませんけど……本当に、大した事はないですよ」


「禁書庫は、学園創立以来一度も開けられた事のない未開の地です。
 様子を聞かせてくれるだけでも、そこそこの価値はありますよ」


「そういうモンですか…」


 ミュリエルはワインを取り出して、大河のコップに注いだ。
 未成年だが、ミュリエルも大河も気にしない。
 ミュリエルにとってはジュースみたいな物だし、大河に至っては自分が未成年だという事すら忘れている。
 だってもう100年以上生きているし。
 ワインで喉を潤して、大河は禁書庫の事を思い出そうとした。


「様子って言われても……モンスターがうじゃうじゃ居た事とか、あと何階降りても本ばっかりだった事とか…。
 ああそうそう、あっちこっちに罠が仕掛けてありましたね。
 結局誰も引っ掛かりませんでしたが」


 観察力のある大河と、シノビのカエデ、そしてトラップ解除はお手の物のブラックパピヨン。
 途中でカエデとブラックパピヨンは抜けてしまったが、その辺りになるとトラップは殆ど無くなっていた。


「最下層まで、似たような構造がずーっと続いてましたね。
 下まで降りて、導きの書を見つけたんですが………鎖が巻き付いてました。
 それはもうガッチリと」


「…あの鎖は、大河君が外したと聞きましたが?」


「さぁ……何せ守護者に吹き飛ばされて叩き付けられた時に外したって話ですから、意識が朦朧としていて…」


「そう………ところで、守護者はどうしたのです?」


「消し飛びました。
 一度はリリィと未亜のコンビネーション攻撃、二度目は……よく覚えてませんが、俺がやったとか。
 多分右腕に大怪我をしてたのは、それが理由でしょ」


 この辺りに来ると、大河の調子も戻ってきた。
 そして怪しみ始めた。


(何のつもりだ…?
 この位の事なら、リコや未亜からの事後報告で聞いてるだろ。
 ………何かを探り出すのが目的か?
 いや、それにしてはどうでもいい質問ばっかりだ。
 考えてみれば、学園長が態々俺を部屋に招いたって事自体が……。
 っつーか、ここはミュリエル学園長のテリトリーじゃん!
 ヤバイって!)


 急に居心地が悪くなってくる大河。
 まだまだ食い足りないが、この辺りで撤退した方が身の為だ。

 離脱のタイミングを計り、少し腰を浮かせる大河。
 ミュリエルはそれを見逃さなかった。


「……学園長の前で居心地が悪いのは解りますが、今は休憩時間です。
 そう硬くならないでください」


「あ、はい…いやそういう事じゃなくて…」


「はい?」


 ワザとらしく首を傾げられて、大河は言葉に詰まった。
 どうにも行動出来ない。
 というか、ミュリエルらしくない。

 普段のミュリエルならば、もう少し遠回しというか気付かれないように仕掛ける筈だ。
 今回に限って、ミュリエルは妙に直球勝負を仕掛けてくる。
 今は割とスムーズに会話が流れているが、一歩間違えれば膠着状態が出来上がり、何も情報を得る事が出来ないまま休憩時間の終わりを迎えてしまう。
 それはミュリエルも本意では無い筈。
 しかし今の会話は、むしろそれを狙っているかのようだ。
 まるで……。


(そう、まるで………時間を稼いでいるように!?)


 ギクッと大河は身を強張らせた。
 その途端、何故ミュリエルが自分を部屋に連れてきたのか、電光のように理解する。

 この会話が時間稼ぎの為なら、その目的は二つ考えられる。
 一つはこの場所に釘付けにし、外との接触を取らせない…監禁する事。
 二つ目は、同じくこの場所に釘付けにし、仕掛けが利いてくるのを待っている。

 一つ目ならば、態々学園長の部屋でやる事はない。
 もっと監禁に適した場所は幾らでもある。

 やはり二つ目。
 そうなると、大河は既に網にかかっている事になる。

 歯噛みする大河だが、もうどうしようもない。
 恐らく食事に薬が混入されていたのだろう。
 慌てて立ち上がろうとしても、体に上手く力が入らない。

 テーブルの上に倒れこみそうになり、肘を立てて何とか体を支える。


「ふぅ…やっと効いてきましたか…。
 普通ならとっくに動けなくなっている筈なのですが…非常識な子ね…」


「な…なんの…つも………」


「安心しなさい、危害を加える事はないから。
 確かめたい事があるだけよ……もっとも、結果によっては…今後どうなるか解らないけどね」


 睨み付ける大河を見て、ミュリエルは安心させるように大河の頭を撫でた。
 確かに安心と言えば安心かもしれないが、この状況でやられても屈辱である。


「貴方の事だから、薬に耐性があるかもしれないわね…。
 少し小細工させてもらいますよ。
 一応聞いておきますが、心臓に持病の類はありませんね?
 いえ、あっても大丈夫なのですが念のために」


 大河の返答を聞くまでもなく、ミュリエルは大河に傀儡の魔法をかけた。
 この術はミュリエルが異世界を渡る間に身につけた術で、対象の自由を奪い、術者の意のままにする術だ。
 ただし効果は長くても精々2時間程度で、術を掛けられた者が本気で拒む事をさせる事は出来ない。
 そして掛けられた者が抵抗すれば、効いている時間は急激に短くなる。
 簡単に言うと、ちょっとした瞬間催眠術のような物である。
 ちょっとでも警戒していれば掛からないのだが、下準備を大河が理性を失っている間に済ませてしまった。
 呆気なく行動不能になる。


「……これで第二段階、第三段階終了…。
 事前に私のコップにだけ解毒薬を塗っておいたけど、そんな事しなくても普通に食べさせてあげればよかったかしら」


「………なら……せめて…完食…」


 ならせめて完食させて欲しかった、と言いたいのだろう。
 ミュリエルは何故そこまで空腹なのか疑問に思ったが、重要なのはこれからの行為の結果である。


「悪いわね、大河君。
 私と貴方の間には、例え腹の探り合いをしようとも、こう言った直接的な手段は使わないという取り決めがあったのに…。
 でも、人類の歴史上、盟約や約束は何時か破られる事になるわ。
 それが偶々今だった……そして大河君はそれに気付けなかった。
 それだけの事よ」


 自分から問答無用で破っておいて言う台詞ではない。
 取り決め……と言っても暗黙の了解に近い…救世主クラスに入学する時に決めた条件を破った罪悪感はともかく、大河を完全に策略に嵌めたのがよほど嬉しいのだろうか。
 ミュリエルは何時になく多弁である。
 自分でも三流悪役っぽいなー、と思っているのだが、大河に一矢報いる事が出来るのならこの位は許容範囲である。


「それじゃ、予定通りに事も運んだ事だし……詰めに入りましょう。
 ………大河君を嵌める事が出来たのはともかく、この方法は私としても不本意なのですが…仕方ありません」


「だったら……やめれば…」


「それが出来るくらいなら、私はこんな真似を最初からしていません。
 それじゃあ、大河君、あちらに歩いて下さい」


 操られてぎこちない動き方で、大河はミュリエルが指差した先に向かう。
 別に口に出して命令する必要はないのだが、やはりそちらの方がイメージしやすいし、ついでに大河にも精神的ダメージを与えやすい。
 悪趣味だが、大河をなるべく長く支配下に置かねばならない。

 そして、ミュリエルが指した先は………ベッドルームである。
 寝室に何か仕掛けてあるのだろうか?
 ミュリエルが態々連れてくるくらいだから、とんでもない物があるのではないか、と大河は思った。


「が、学園長…何の…」


「何のつもりか、ですか?
 ……いいでしょう、どうせ記憶は消すのです」


 ミュリエルはポケットに入った怪しげな薬を弄びながら答えた。
 ちなみにルビナス作。
 飲んだ人間の精神的ブロックを一時的に弱め、その隙に魔法…暗示で記憶を刷り込むなり消すなりする代物だ。
 古来からマッドの実験は失敗しやすくても、マッドが記憶を消そうとする時に限って妙に上手くいくものである。


「大河君は、ナナシさんが入っていた墓石を見ましたか?
 あの墓石には、『赤の主ルビナス』と書かれているのです」


 獲物にトドメを刺す前に、策を自分で解説する。
 まるっきり三下の所業だが、ミュリエルはそれでも言いたかった。
 ずっと自分一人で抱え込んできた秘密を、吐き出してしまいたかったのだ。
 王様の耳がロバの耳だと知った散髪屋さんの心境である。


「赤の主に関しては問題ありません。
 いえ、問題はあるのですが、こちらとは何とか和解が出来そうです。
 赤の精は積極的に行動に出ようとしませんから。
 ですが、その対になるように『白の精』も居ます。
 細かい説明は時間がもったいないので省きますが、その白の主と赤の主を発見するのに、ある判別方法があるのです」


「それで…俺が主かどうか……確かめようと…? (赤と白の精……リコとイムニティか)」


「そういう事です。
 その判別方法とは……」


 大河が歩いて行き、扉にぶつかる前にミュリエルは扉を開けた。
 大河の目が点になる。

 扉の向こうには、天蓋付きの豪華なベッド……おそらく最高級品……が鎮座しておられた。


「その………性的絶頂を繰り返して、虚脱状態になったら、体に紋章が浮かんでくる…と……」


「……WHAT?」


 ちょっと顔が赤いミュリエル。
 大河は耳を疑った。


(今なんて言った?
 ……性的絶頂?
 …………マジで?
 イムニティからは何も聞いてないぞ)


「そ、そんなウソ臭い………情報を、どこか…ら……」


「古い知人に教わりました。
 はい、今度はそこに寝転んでください」


 大河はミュリエルの指示に逆らえず、素直にベッドに横たわる。
 こんな時に何だが、ベッドの寝心地は最高だった。
 日々激務に追われるミュリエルとしては、睡眠時くらいは最高の環境で休みたいのだろう。

 それはともかくとして、この状況は大河にはちょっと危険である。


(ヤバイぞ……ミュリエル学園長が何のつもりで白の主と赤の主を探しているのか知らないが、俺は確かに白の主。
 このまま好い様にされたら、俺が白の主だって事が露見しちまう…。
 理由は解らんが、十中八九ロクな事にならない。
 何とか抜け出さないと……)


 とは言ったものの、ミュリエルの掛けた術は当分解けそうに無い。
 ついでに言うと、さっき言われた事が本気なら、これからミュリエルと交わる事になるだろう。
 気力的にも気分的にも、逃げる気になりにくい。

 そうこう考えている間にも、ミュリエルは手馴れた様子で大河のズボンを剥ぎ取ろうとしている。
 やはり熟女と言うべきか、それなりに経験はあるようだ。


(なんて分析してる場合じゃねぇ!
 マジで犯されるーーー!)


 それはそれで気持ちいいかもしれないが、流石に命が掛かっているのは勘弁だ。
 とうとうミュリエルが大河のオトコな場所を守る最後の一枚を剥ぎ取った。


(イーーーーーヤーーーーーーーーー!)

「い……………や………………………!」


「…………あら…」


 心と自由にならない体で絶叫する大河を他所に、ミュリエルは目を丸くしていた。
 まだ何もしていないので、海綿体が膨張している訳ではない。
 だが。


「………………これは…なんと言うか、とても……立派な…」


 それでも大河は明らかに平均以上だった。
 ミュリエルの喉が、思わずギョクンと唾を飲む。
 考えてみれば、学園長として就職してから早数年。
 リリィを拾って以来、彼女の女としての機能は殆ど使われていなかった。
 とにかく忙しかったし、ヘタな事をしてリリィに義父や義妹を作ってしまったら、と思うと迂闊な事は出来ない。
 自分でも自覚しない内に、ミュリエルは欲求不満になっていたのだ。

 一方大河は、遠慮なく視姦されてちょっと涙目になっている。


(汚されちゃった、汚されちゃったよママン……)


 今更何を。
 自分に迫られた時のベリオの気持ちがちょっと解った大河だった。

 ミュリエルの視線は、大河のソレに釘付けになっている。
 心なしか、息が荒くなっている気がしないでもない。
 しばらくミュリエルは呆然としていたが、我に返ると恐る恐る大河のイチモツに手を伸ばした。


「ちょっ……学園長…」


「黙っていなさい……ちゃんと気持ち良くしてあげるから……」


 熱っぽい口調ながらも、大人の余裕が満々だ。
 大河の抗議を切って捨て、ミュリエルは大河を扱き始める。


「うっ…おお……」


 ミュリエルのテクニックは超絶的と言うほどではない。
 技術なら大河が仕込んだ未亜と同じ程度だし、責めの技術はダリアに遠く及ばない。
 だが大河は、拘束され、全く反抗出来ない状態で責められるというのは殆ど経験が無い。
 不慣れなシチュエーションに興奮したのか、大河は普段よりも敏感だった。
 さっき食べたミュリエルの料理で体力もそこそこ回復したらしく、大河は元気一杯だ。
 それでも体力不足は否めないが…。


「凄い……こんなに…大きく……」


 ミュリエルが、自覚せずに舌を突き出して呟いた。
 大河のイチモツは、完全に勃起していた。
 ミュリエルの女は、明らかに呼び覚まされようとしている。


「…これは…必要な事ですから……」


 自分に言い聞かせるように呟き、ミュリエルは唇を寄せた。
 大河の体に甘美な感覚が走る。

 せめてもの抵抗に歯を食いしばって声を堪えるが、さすがに年季の違いと言うべきか、着実に追い詰められる。
 亀頭から後ろの穴までゆっくり舌を這わせられ、思わずビクンと震える。
 程なくして、大河は思いっきり放出した。
 しかし全く萎えていない。


「タフですね……あと何度出させればいいのかしら」


 呆れた様を装いつつも、ミュリエルは決して不快そうではない。
 むしろ悦んでいる。

 ミュリエルは大河の上に圧し掛かり、今度は上半身の服を脱がせ始めた。
 大河は何とか体を動かそうとしているが、まだまだ呪縛は解けそうにない。


「そう抵抗しないで……。
 もう少しじっとしていなさい。
 ……せめて後5回は付き合ってもらうわよ」


 ……ミュリエルの目付きが尋常ではない。
 と言うか、目的と手段が入れ替わっている気がする。

 大河を素っ裸にしたミュリエルは、乳首に舌を這わせながら、自分の下着を脱ぎ捨てた。
 黒い下着が、床に無造作に放り出される。
 荒い息をつきながら、ミュリエルは熱に浮かされたように呟く。


「口や……手だけでするよりも…こちらの方が効率がいいですし…」


 服を着たまま、ミュリエルは大河の剛直に照準を合わせる。
 大河は抵抗すべきか迷っているようだ。
 気持ちいいのやエッチなのは嬉しいが、全く動けずバイブ扱いされるのはプライドに障る。
 だがやはり快楽と欲情には勝てないのか、抵抗が鈍っている。


「んっ……く、あああ…久しぶり………スゴイ…」


 ミュリエルの内部に、大河がゆっくりと押し込まれていく。
 ぬるぬるした熱い感触に、大河が呻く。
 男日照りの時間が長かったからか、ミュリエルの内部は大河を全力で歓迎した。
 女盛りのカラダに反応し、大河の剛直もますます硬度を増してきた。
 大河の剛直が最深部まで届き、ミュリエルは感極まって体を震わせる。


「こんな…大きいのは、初めて…。
 ………突いて…突き上げるのよ……私を満足させて…!」


 もはや目的も何も無くミュリエルは大河を操って、性欲を満たし始めた。
 きつく、熱い締め付けは大河に味わった事のない快楽をもたらし、同じように大河の剛直はミュリエルの未開の奥地まで蹂躙する。

 何時の間にかミュリエルは上半身の服をはだけ、自分の胸を自分で揉みしだいていた。
 数年分の性欲の爆発に大河は圧倒される。


(せ、せめて腰だけでも自由に動けば…!
 こんな美味しいシチュエーションなのに、なんて勿体無い……!)


 …抵抗しようと言う気は無くなっているらしい。
 程なくして、ミュリエルが絶頂を迎えると供に大河も射精した。


「っ…………!
 はぁ、はぁ、はぁ……若いわね…まだ全然萎えてないじゃない…」


 淫蕩に微笑むミュリエルを見て、大河は生まれて初めて吸い尽くされる覚悟を決めた。
 まだ体力…はともかく精力に余裕はあるが、ミュリエルの性欲はそれ以上かもしれない。
 いや、実際には本人が弱っているからそう感じるだけだが。


「ちゃんと避妊の術は掛けてあるから……何時でも出していいのよ?」


 至れり尽くせりな状況である。
 ……自分が動ければ、だが。

 相変わらず服をはだけたまま、ミュリエルは再び内部を蠕動させ始める。
 この際だから、溜まった性欲を全て発散させてしまうつもりらしい。

 また喘ぎ始めるミュリエルと、勝手に動く自分の体を恨めしげに睨みながら、大河はこの状況を打破すべく呪縛を振り切ろうとした。


「ああああっ!
 そう、そこ、ソコがイイの!
 もっと突いて!」


「くっ……こ、この…もうちょっと…」


「んっ……ほら………中に挿れたまま、こっちの穴を弄られる感想はどう?」


「あ"うう……し、仕返しか?
 普段の揉め事を起こす仕返しか?」


「あら、お仕置きされる心当りがあるのね?
 いけない子……そんな子には、もっと罰を与えねばなりませんね」


「こ…この……っ!
 何時までも呪縛が有効だと思うな!」


「え……っ!?
 そ、そんな…まだ呪縛は解けない筈……って、きゃあああぁ!?
 そっ、ソコはダメ!
 こ、こんな…こんな感覚……!」


「やかましい!
 あんだけ好き勝手にやってくれやがって、誰が手加減も遠慮もするかー!
 くっ、くそっ、まだ体が3割程度しか…」


「あっ、あっああぁっ!
 す、素敵………な、なに?
 こんなの知らない……来る、来る、来るの!
 何か大きいのが来るのぉ!」


「腰が抜けるまで責めてやる!
 むしろ動けなくなるまで責めてやる!
 もうこうなったら自棄じゃー!
 昨日の夜からこんな展開ばっかりで、一体ナンなんだ今日は!?」


「ず、ずっとこんな事をして、あんっ! それでもこんなに元気なの?
 う、ああああっ!
 万全の日なら、あぅ、もっと…激しいの!?」


「黙りゃんせっ!
 子宮を精子で一杯にしたるー!」


「イイ、イイわ、もっと来て、もっと出して!」


 そのまま4時間ほど経過…。
 そろそろ太陽が西に沈み始め、赤く染まっている。

 場所は変って、こちらは校舎の廊下。
 ミュリエルの部屋とは少し離れた場所にある。
 その廊下を、数人の人影が歩いている。
 救世主クラスの面々である。


「居ないわね……何処に行ったのかしら、大河のヤツ」


「ダリア先生が言うには、仕事を頼んだからその後に食堂に行ったはず、と言っていましたが…」


「お休みでしたね、食堂」


「……まさかとは思うでござるが、リコ・リス殿が原因では?」


「そこまで食べていません……食べていないと思います。
 それより、ごしゅ……大河さんはどこに行ったのでしょうか?」


「う〜ん……リコ、アンタに話があるって言ったのよね?
 何処で待つか聞いてないの?」


「いえ、それが全く」


 彼女達は大河を探しているらしい。

 最初は未亜達が訓練をしようと言い出したので大河を探し始め、そこにリリィが合流。
 別に大河なぞ居なくてもいいではないか、とリリィは不満気だったが、大河の戦闘能力は彼女も認めている。
 ただ色々と苦労をかけられているのと、非常に恥ずかしい姿を見せているため、反発せずには居られないだけだ。

 未亜達は大河の足取りを追う。
 今朝リコと別れた後、ルビナスの研究室に向かい、そこで彼女の相談に乗った。
 その内容は教えてもらえなかったが、もうすぐホムンクルスが完成すると言われた。
 その後食堂に戻ったらしいと聞き、仕入れ交渉をしていた料理長を発見して話を聞いた所、ダリア先生に朝食を盗られて何処かに連れて行かれたとの事。
 さらにダリア先生を探し出し、大河の行方を尋ねると、用事が済んだのでまた食堂に戻ったという話だ。
 しかしその時間帯では、既に食堂は閉まっていた筈。
 ならば何処かに買い食いに出たのかと思ったが、目撃情報も揉め事の形跡も全く発見できなかった。

 ここまで来ればもう意地だ。
 もう探すのは諦めて自分達だけで訓練をしようと主張していたリリィも、最後には何が何でも探し出してやると息巻いていた。
 が、息巻いた所で発見できる訳ではない。
 結局夕方まで歩き回ってみたが、目撃情報は一切得られなかった。


「本当に、何処に行ったんでしょうね…。
 まさか王都までご飯を食べに行ったとも思えませんし」


「それならセルさんの居候している家に押しかけて、セルさんに頼んで何か……」


「それは無いでござろう…。
 未亜殿は、あの家で作られた料理を食べられるでござるか?
 根拠はないが、呪われそうでござるよ…」


「確かに…それならいっそ、その辺りの森でサバイバルする方がマシですね」


 口々に推測を述べるが、どれも憶測の域を出ない。
 もう手掛かりが全く無い。

 リコがこっそりイムニティに聞きに行ったが、イムニティは相変わらず縛られて吊るされたまま。
 あまつさえ恍惚とした面持ちで、リコが話しかけている事に気付かない体たらくだった。
 何となく怖くなったリコは、そのままさっさと逃げてきた。

 大河を見つけても、もう訓練をする時間は残っていない事だし、そろそろ帰ろうという結論が出始めた時である。
 人気の無い廊下に、蛇行しながら進む人影が現れた。


「あ、師匠でござる!」


「「「「え?」」」」


 夕日の赤光で見えにくいのに、カエデは遠くの人影の正体を看破した。
 揃ってそちらに目を向けると、妙にフラフラしている人影。
 確かに背格好は大河に似ている。


「ようやく見つけたわよ!
 全員吶喊、目標を捕縛せよ!」


「「「「ラジャー!」」」」


 リリィの号令で、未亜達は一斉に駆け出した。
 手間かけさせやがってコンチクショウ、と言った気迫満載で突き進む。
 リリィも続き、手間賃として電撃の一発でも叩き込んでやろうと思ったのだが。
 その勢いは、大河の姿を視認すると供に消え失せた。


「ちょっとお兄ちゃ……?
 …えっと…お兄ちゃん…だよね?」
「…本当に…大河君?」
「師匠…一体何が…」
「ご、ご主人様…?」
「…大河?」


 幸運な事に、リコの危険な発言は聞き逃された。
 呆然と呟く救世主候補生たち。
 大河の姿は、普段とは全く違っていた。

 まず目に光が無い。
 というより、恐らく意識が無い。
 服装は一応整えられているが、どうにも着こなしが成ってない。
 まるで一度脱がされ、慣れない誰かに着せられたかのようだ。
 何故かやつれている。
 が、表情が満足そうな気がしないでもない。
 ちょっとムカついた面々だが、原因は不明だ。
 歩いているのは、恐らく単なる体を支える反射行動というか惰性だろう。
 覇気のない大河というのは、とてもとても違和感があった。
 一体何があったのか。
 さすがのリリィも、この大河を見ていい気味だとは思わない。


「え……えーと………お、お兄ちゃん?
 お兄ちゃん、聞いてる?
 起きて、起きて…」


「………う…うぁ………あ?
 み、未亜………?」


「未亜だよ。
 お兄ちゃん、しっかりして。
 何があったの?
 体は大丈夫?
 意識はしっかりしてる?」


 未亜に呼びかけられ、大河は意識を取り戻した。
 どうやら意識がなかったと言うより、単にボーッとしていたらしい。
 しかしこのボーッと仕様は半端ではない。
 恐らく何かの魔法や暗示を掛けられたのだろう。


「お、俺は……俺は…汚されちまった…。
 いや、今まででもヨゴレはヨゴレだったが…別の意味で汚された…」


「……?」


 うわ言を口走る大河。
 表情に疑問符を貼り付けて、未亜はベリオ達を振り返る。
 彼女達も訳が解らないようで、困惑した視線が帰ってきた。


「え、えっと………何してたの?
 朝から全然姿が見えなかったんだけど。
 ルビナスさんの相談にのって、ダリア先生に用事を頼まれたって所までは聞いてるの。
 その後は?」


「そ、その後?
 ダリア先生と会って……会って…会って…全然思い出せない…」


「はぁ? その歳でもう健忘症?」


 毒を吐くリリィの声にも勢いが無い。
 大河はそれをスパッと無視して…というか気付かずに…頭を抱えて唸っている。


「み、未亜…俺は何をしてたんだ…?」


「わ、私に聞かれても……。
 さっきは虚ろな目で廊下をフラフラ歩いてたよ」


「そ、そうか……廊下か…廊下をな…」


 ガタガタ震えている。
 何がここまで大河を恐れさせているのだろうか?
 日頃の態度からは、全く予想がつかない。
 大河が我を忘れるほどに脅えるなど、それこそヤクザ未亜降臨時くらいである。


「一体何があったのやら……リリィ、貴方から見て何か異常は見られませんか?
 例えば魔法で暗示を掛けられたとか、何かにとり憑かれているとか…」


「コイツ自身が異常だと思うけど……特にその手の形跡は見られないわ。
 そういう術は後々まで形跡が残るから、暗示の線は無いと思うわよ」


「ベリオ殿が脅えていないので、とり憑かれている訳でもなさそうでござるな」


 ベリオは幽霊探知機扱いか。
 抗議しようかと思ったベリオだが、実際その通りなので仕方がない。
 現に墓場を通りかかると、時々物凄い寒気を感じるのだ。
 何故かフローリア学園内に居ると脈絡も無く感じる事があるのだが、そういう時は地下の幽霊達に反応しているとは思いもよらない。

 何はともあれ、大河には暗示も掛けられていないし、とり憑かれている訳でもないようだ。


「じゃあ、一体どうしたのでしょう?
 あえてこの線で考えていくとすれば、リリィにも気付かれない程巧妙に暗示を掛けられる術者、という事になるのですが…」


「そんなのこの学園には居ない…いえ、術の性質上有り得ないわよ。
 お義母様だって出来やしないわ。
 少なくとも、アヴァターに流通している術では不可能」


 投げ遣りに答えるリリィに、大河がビクンと反応した。
 それを不思議そうに見るリコ。


「お、お義母様?
 お義母様…お義母サマ……?」


「アンタのお義母様じゃないでしょ。
 何を反応してるのよ」


 俯いてブツブツ呟き始める大河。
 自分以外にミュリエルがお義母様と呼ばれるのに少し複雑な感情を抱いたが、表に出す程子供ではない。


「ミュリエル学園長が何か?」


 リコの呟きで、大河は決壊した。


「みゅ、ミュリエ……… ぬおおおおおぉぉぉぉぉ!」


「なっ!?」


 突如絶叫を上げる大河。
 ビビって一歩下がる未亜達。
 たっぷり十秒は大音量で絶叫したかと思うと、今度はすぐ傍の柱に突撃、勢いのままに突っ込んだかと思うと大声でヒビの入った柱を頭突きで粉砕した。


「ちょ、ちょっとお兄ちゃん、何やってるのよ!?」


 未亜の制止の声も聞かずに、大河は何度も柱に頭突きをかます。
 一撃ごとに柱が砕かれ、あっという間に一本が完全にヘシ折れた。
 未亜達は何とか大河を止めようとするが、何を必死になっているのか馬力が違う。
 しかし何とか柱からは離す事が出来た。
 リリィが大河から離れる。


「アンタ達、ちょっとそのバカを抑えてなさい!
 最大出力で叩き込んで気絶させるわよ!」


 乱暴といえば乱暴な方法だが、そんな事を言っている場合ではない。
 このまま放っておけば、校舎が一つ潰れてしまいかねない。
 非常事態なので未亜も文句を言わず、必死で大河を抑えつける。


「うがあああぁぁぁぁ!」


「お、大人しくして下さーい!」


「師匠〜! 落ち着くでござるよーー!」


「…………!!」


「り、リリィさん早くーー!」


 リリィとてさっさと放ちたいのは山々だが、今の大河を止めるには中途半端な威力では足りない。
 それこそ未亜達を巻き込みかねない程の破壊力が必要だ。
 多分大河なら生きてるだろうし。


「きゃっ!?」


 が、リリィが魔力を溜め終わる前に、腕力に劣るベリオが弾き飛ばされた。
 一人外れてしまえば均衡はあっという間に破られる。
 次に未亜が弾かれ、小柄なリコが吹き飛ばされ、体術を駆使して何とか食い下がっていたカエデも振り解かれる。
 未亜が弾かれた時には少し動きが止まったが、所詮は少しだ。



「あんぎゃああああぁぁぁぁぁ!」


 怪獣と化して大暴れする大河。
 人を襲う事は無いが、はっきり言って危険だ。
 リリィはもうどうでもいいから、さっさと逃げたくなった。


「ええい、そこでじっとしてなさい! レビテーション!


 リリィは路線変更し、咄嗟に大河にレビテーションを掛ける。
 急に地面から引き剥がされた大河は、バランスを崩して動きが止まる。
 だがこのままではどうしようもない。
 苦手なレビテーションを掛けながらでは、呪文の詠唱は出来ない。


「アンタ達、早く大河を抑えて!」


 リリィの叫びを聞いて、未亜達が再び大河に飛び掛ろうとした時だ。
 騒ぎを聞きつけて、人が近づいて来た。


「リリィ殿、誰か来るでござる! しかも2人!」


「ええぃ、よりにもよってこんな時に!」


 忌々しげに吐き捨てる。
 大河を抑えるために人手が欲しいのは確かだが、この騒ぎを見られたら救世主クラスの評判は更に落ちかねない。
 最悪、大河が“破滅”にとり憑かれたなどと言い出す者も居るかもしれない。
 ……結構信憑性があるのがまたイヤだ。


「言っている場合じゃありません、手伝ってもらいましょう!」


 ベリオが大河を抑えながら叫ぶ。
 だが、大河はベリオを振り解いて、よりにもよって近寄ってきた誰かに飛び掛った。


「ダメッ、お兄ちゃんやめてーーー!」


「ぬがああぁぁぁぁ!」


 未亜の叫びも届かずに、大河はやって来た人影…背の高い方に飛び掛る!
 飛び掛られた人影は、何かを叫ぼうとしていたようだ。
 だが急に大河に飛びかかられ、その言葉も中断する。


「何ご痛ぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!」


 ぶぢぶぢぶぢぶぢぶぢぶぢぃっ!


「ぬ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!!」


 ……何かが引きちぎられる音が響いた。
 大河は何故かピタリと動きを止めている。
 心なしか、冷や汗が浮かんでいるようだ。

 惨状を予測して、思わず目を閉じていたリリィは恐る恐る目を開く。
 そこに居たのは……。


「セルビウム……と…ダウニー先生…」


「お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛…………」


「あー………先生……大丈夫っすか……?」


 頭を抱えて蹲り、転げまわりながら唸るダウニーと、ソレを見て目を丸くしているセルだった。
 リリィもベリオも未亜もカエデもリコも、目の前にある光景を理解できない。
 あまりにも突拍子も無さすぎ、また無慈悲で、意味不明な光景だからだ。

 大河はと言うと、その手の中にあるのが一体何なのかを理解して、今度こそ本気で混乱していた。
 それでもギシギシ動いて、手の中にある物を覗き込む。


「………カツラ……」


「お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛」


 無論ダウニーがつけていたカツラだ。
 先日アフロを隠すために被り、風に飛ばされて宙を舞い、カエデが打ち上げた狼煙改め花火に直撃されて燃え尽きたカツラ。
 おそらく別のカツラなのだろう。
 だが、問題なのはソコではない。
 大河は先程感じた不気味な手応えを反芻し、恐る恐るカツラを裏返した。
 内面……ダウニーの地毛と密着していた部分を見る。


「…………………接着剤の後…………」


「お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛」


 そう、ダウニーはカツラを接着剤で無理矢理くっ付けていたのだ!
 唯でさえボリューム満点のアフロを押し込んでいたので、そのままにしておけばちょっとした切欠…例えば強風などで飛ばされる。
 それを防ぐにはどうしたらいいか?
 紐で結ぶ?
 いやいや、それではカツラがばれてしまう。
 生徒達にはとっくにばれているだろうが、そこはせめてもの意地である。
 なら吸着させる?
 生憎と、アヴァターにはそこまでの技術はない。
 ちょっとやそっとの吸着では、アフロの圧力に耐えかねて吹き飛んでしまうのだ。

 そして出した結論が、コレである。
 接着剤。
 もう二度とカツラを外さないつもりだったのか、それとも単に追い詰められすぎて自棄になっただけなのか。
 髪とカツラにベットリと接着剤を塗りこみ、アフロを凝縮させ、そしてカツラを強力にくっつける。
 これならば、そう簡単に外れる事はない。
 むしろ外す事が難しい。

 だが、今回はそれが仇になった。
 ここまで言えば、もうお分かりだろう。


「……………………………カツラの裏に………大量に髪の毛……」


「の゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛………」


 ……ダウニーの髪の毛は、錯乱した大河の手で引っ張られたカツラにくっついて、ダウニーの頭から旅立ってしまった。
 頭頂部を中心にゴッソリ髪の毛を持っていかれ、既に彼の髪はアフロではない。
 そう、今のダウニーはアフロではなく波平カットだったのだ!
 ネッコから引き抜かれた彼の頭は、頭頂部を中心に地肌を晒している。
 後頭部と頂点に一本だけ残った髪の毛が、尚更哀愁をそそった。

 ダウニーは激痛に悶えている。
 髪の毛を無理矢理引き抜かれる痛み……それが纏めて襲ってきたのだから、想像するのも恐ろしい。
 だがそんな光景も、波平カットのお蔭で喜劇にしか写らなかった。


 ばさばさばさばさ……


「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「お゛お゛お゛お゛お゛………」


 大河が持っているカツラから、何故かが飛び出した。


「…………何故鳩が?」

「…………手品じゃないか?」


 カツラの下のアフロから飛び出してくる鳩。
 ……忘年会にでも披露するつもりだったのだろうか?

 …あれ?
 さっきの沈黙が一人分多いような…。


「…誰だアンタ?」


「……」


 のた打ち回るダウニーの上に、何やら見知らぬ人物が浮かんでいた。
 手を何かに差し出そうとした姿勢のまま、凍りついたように固まっている。
 いや、人物というのは正確ではないのかもしれない。
 なぜなら彼は透けていたからだ。


「…ものっそいアフロ…」


 しかもサングラスをかけて、筋肉ムキムキマッチョ。
 その見事なアフロは、ダウニー全盛期アフロよりも数段大きく、立派で、気品すら漂わせている。
 思わず拝みたくなるほどだ。
 彼は脂汗を垂らしながら、手を右に左に彷徨わせる。
 どうやら、人に姿を見られて動揺しているようだ。


「Wow......A,Ahhh....I am God of AHURO!」


「…はぁ?」


 ダウニーの上にいる人物は、何やら叫んだかと思うと(多分自己紹介)、スゥーっと消えて行った。
 のた打ち回るダウニーを何やら寂しそうに一瞥して、バイバイと手を振って消えた。
 いや、何か呟いた。


「Dauny...See you again when your AHURO more strong!」


 飽和状態になって、もう何が何やらさっぱり解らない大河達。


「…今のは?」


「…アフロの神って言ってたな」


「………さよならって手を振ってたけど」


「まぁ…こんだけ髪を引きちぎられちゃ、アフロには出来ないし…。
 ちょっと文法がおかしかったけど、君のアフロがより強くなった時にまた会おうだって」


「……………………」

「………………………………」

「お゛お゛お゛お゛お゛………」

「………………………………でりゃ」

ゴスッ!

「ぐはっ!?」


 転げまわるダウニーの首に、大河が手刀を振り下ろした。
 抵抗する余力もなく、速やかに眠りの世界に旅立つダウニー。
 勿論誰一人文句をつけない。
 様々な問題をうっちゃって、一堂は速やかなる撤退を謀る。

 セルがダウニーを担ぎ上げた。


「俺はダウニー先生を保健室に連れて行ってくるわ。
 まだ先生に用事もあるしな……」


「そうか……ところで、アルディアちゃんとの仲はどうだ?」


「ん…まぁ良好だ。
 それじゃあな」


 白々しい会話を打ち切って、セルは何と言うか顔の部品が全て一本線というか、個性が無いのが個性的というか、悟りを開いていそうな顔で去って行く。
 その手には大河から受け取ったカツラ(髪のオプション付き)。

 大河達は同じように悟りを開いたというか、むしろ白けた表情で手を振って見送った。
 心は一つ。


((((((どうしよう…))))))


 幸いな事に、大河達の顔は見られていないはずだ。
 見られる前に大河がカツラを引き剥がした。
 声は聞いていただろうが、激痛でそれどころでは無かった筈。
 運がよければ、大河が首謀者だという事はばれないかもしれない。
 セルも恐らく口裏を合わせてくれる。
 だが、ばれていたら?
 ダウニーの事だから、連帯責任を負わせかねない。
 しかも強烈極まりない責任を。

 自然と責めるような視線は大河に向く。


「お、俺か?
 俺が悪いのか?
 途中から記憶が無いんだが」


「師匠以外の誰が悪いのでござるか…」


 恨めしげなカエデの声に、無言で頷くリリィ達。
 流石の大河も分が悪い。


「それで……どうしてあんなに錯乱していたのです?」

「あっ、バカ、リコ、また暴れだしたらどうするのよ!?」

「あ゛…」


 思わず口を抑えるリコだったが、幸運にも今回は暴れださなかった。
 今度は首を捻っている。


「え〜と…学園長って言葉に反応したから、ミュリエル学園長に何か関係があると思うんだけど…」


「お義母様に?」


「私がどうかしましたか?」


「それは……って、はうわぁっ!?」


 何時の間にかミュリエルが未亜達の背後に立っていた。
 その姿を見た途端、大河が凍りつく。

 そしてリリィは別の意味で凍り付いていた。
 先日までの学園長とは、明らかに違う。
 血色もいいし、肌の張りもいい。
 腰回りが充実している。
 まるで十年ほど若返ったかのようだ。
 風呂にでも入って来たのか、頬が少し紅潮しているように見える。
 子供の頃からの付き合いがあるリリィでも、ここまで上機嫌なミュリエルは見た事が無い。


「あの…学園長先生…」


「何ですか、ベリオさん」


「なんていうか……ご機嫌ですね」


「そうですか?」


「……活き活きとして見えるでござるよ…」


「そうでしょうか……まぁ、先程いい事がありましたから」


「………この惨状について何も言わないのですか?」


「これ位なら可愛い方でしょう。
 先日など、研究科の棟が半壊しましたからね」


「比較の問題じゃないと思うんですけど……。
 あの、お兄ちゃんが急に凍りついたんですが…何かしましたか?
 さっきも学園長先生の名前に反応して錯乱しましたし」


「いいえ、私は大した事は…。
 (あら?
  術の掛かりが浅かったかしら……。
  お互いに殆ど動けない状態になるまで続けたし、集中力が足りなかったかもしれませんね。
  結局私が責めを勤めて、搾り出しましたし…。
  それにしても、万全の状態ならどれほどの……。
  私との事は忘れて、思い出そうとする時だけ恐怖で邪魔されるように設定したのだけど)」


 何を尋ねられてもニコニコしている。
 相当な上機嫌らしい。
 普段の威圧的な威厳は殆ど感じられないが、逆に不気味だ。

 リリィが復活してきた。


「あ、あの……お義母様、大した事はしていない、という事は何かはしたんですよね?」


「ええ。
 大河君と少し話が弾んだので、ちょっと家に伝わる秘伝を見せてあげたのです。
 とはいえ、私はその殆どを身につける事ができませんでしたが…。
 従姉妹がその全てを極めたという話を聞いた事があります。
 確かその奥義を綴った自叙伝が、200年ほど前に発行されて発禁になったと聞きましたね。
 どうやらそれを参考にして身につけたらしいのですが…どこで手に入れたのかしら?
 随分ショックを受けていたようでしたから、恐らく自分でその記憶を封じ込めてしまったのでしょう」


「ひ、秘伝ですか?」


「ええ。
 リリィにも何れ教えてあげます。
 まだ少し早いですけど…」


 実を言うとその自叙伝、何時ぞや図書館で大河がカエデに読ませたあの自叙伝だ。
 大河は調教されかけていたのかもしれない。
 今回は何とか引き分けに持ち込んだようだが、ミュリエル・シアフィールドに対する警戒心は大河に刷り込まれただろう。
 万全の状態なら負けはないと確信しているが、数に任せて…未亜達を味方につけて一斉に襲ってきたら?
 ……大河がフリーズするのもムリはないかもしれない。
 が、そんな事は未亜達にはわからない。
 ミュリエルと大河の間に何があったのかすら解らなかった。


「まぁいいわ。
 私はそろそろ仕事の続きがあるから行きます。
 ……そこで凍っている大河君に、伝言をして欲しいのですが」


「伝言ですか?」


「ええ。
 『今度はお互いに準備を整えてから決着をつけましょう』と言っておいて下さい。
 …多分意味は解らないと思いますけどね」


 唖然としている未亜達を残し、ミュリエルは去って行った。
 残された未亜達の耳に、ノスタルジックなカラスの声が聞こえる。

 そのまま暫く凍っていたが、ふと未亜が気がついた。


「って、結局学園長先生が何かしたんじゃない!」


 疑問は多々あるも、これ以上突っ込んで調べようとすると何が出てくるか解らない。
 特にリリィにしてみれば、この世の終わりのような事実が出てきかねない。
 一堂揃って、この件に関しては口を噤む事に決めた。
 勿論ミュリエルの伝言も伝えない。

 何とか日常へ帰ろうと、ベリオやリリィ、カエデはバラバラに散って行った。
 大河も未亜もリコもそうしたかったのだが、今はやらなければならない事がある。
 すっかり忘れ去られていたイムニティの事である。

 大河が昨晩塔に吊るしてそのままなので、そろそろ危険な事になっているかもしれない。
 リコに聞いて、頭に血が上りすぎてお陀仏するような事はないと聞いてホッとしたが、機嫌は果てしなく悪くなっているだろう。
 最悪、大河の暗殺を目論見かねない。
 そうでなくても、報復として大河の周りの人間を傷つける可能性もある。
 戦闘態勢をとって、イムニティの元に向かう大河達。
 その先で、別の意味で危険なイムニティが待ち受けているとは夢にも思わない。


ぐぐぅぅぅぅぅ


「……腹減った……」


 結局朝から殆ど食事をしていない大河だった。 
 このまま帰って何か食べてしまいたいが、そうも言っていられない。
 未亜とリコに連れられて、大河はイムニティの元に向かう。


「ご飯は後でもいいでしょ。
 とにかくイムニティを開放してあげなきゃ」


「私としてはこのまま当分吊るしておいてもいいのですが、マスターがこう言うので」


 色々あって疲れまくっている大河を引き摺り、二人は召喚の塔までやってきた。
 リコが結界を張って、周囲から姿を隠す。
 こうしなければ、逆さ吊りになっているイムニティの姿が晒されてしまう。
 流石に騒ぎが起きるだろう。


「あ〜…イムニティ、姿を見せてくれ」


「………はい…マスター……」


 大河の呼びかけに答えて、景色の一部がボヤケ始める。
 その部分がイムニティが誤魔化していた部分なのだろう。
 ボヤケが少しずつ収まっていくと、それに比例して蓑虫…もといイムニティの姿も現れる。

 それを見ていた未亜は、怪訝な表情をしていた。
 先程返って来た声。
 予想では怒りやら何やらが詰め込まれている声だったが、そういった感情は全く含まれて居なかった。
 それどころか、聞きなれた……艶っぽい、情事の途中で掛けられるような声。
 首を傾げていると、やっとイムニティの姿が見えるようになった。
 ソレを見て、大河達は目を点にする。


「あ…ああ…あああっ……!
 来てくれた…やっと来てくれた…!
 も、もっと…見て………マスター…!」


 体をくねらせ、縄を食い込ませながら甘い息を吐くイムニティ。
 どう見てもエクスタシー寸前である。
 予想外もいい所だ。
 大河は朝からの疲れも忘れ、飛び掛って行きそうになる。


「………やっぱりアナタの趣味じゃないですか…」


「あ、リコ………って、見るな!
 私を見るな!
 こんな私を…………あうっ」


 リコと未亜の存在に気がついて、慌てて体を隠そうとするイムニティ。
 だがやっぱり縄が食い込むだけだ。


「えっと……ひょっとして、降ろさない方がいいか?」


「い、いえ、降ろして!
 降ろしてちょうだい!
 というか早く解いて!」


 陶酔感から醒め、イムニティは大河に懇願する。
 大河はトレイターを呼び出し、縄に切れ込みを入れた。
 落下するのを未亜が受け止める。


「はぁ、やっと降りられた…。
 一日視界が逆様だったから、何かヘンな感じがするわ…。
 って、赤の主!
 何で私のお尻を触ってるのよ!?」


「あ、ゴメンつい…」


 未亜から降りたイムニティは、フラフラしながらも地面に立った。
 ソレを見て、リコが挑発するように口を開く。


「……論理の象徴のアナタが、何をしているのですか」


「うっさい!
 っていうかマスター、アナタのせいだからね!」


「え?
 俺のせい?
 目覚めた切欠はともかくとして、素質は俺のせいじゃあ…」


「んなワケないでしょうが!
 ええ、絶対にありませんとも!
 マスターと私は繋がってるから、欲求とか衝動とかが流れ込んでくるのよ!
 アナタは昨日の夜から、猿みたいに盛ってたじゃない!
 だから私までこんなヘンタイみたいな体にされちゃってるのよ」


「自らの浅ましさを人のせいにするのはよくありませんよ」


 ギロリとリコを睨むイムニティ。
 だが、それも迫力に欠ける。


「ほらお兄ちゃん、あっち向いて。
 えっと……イムニティ…イムちゃんでいい?」


「馴れ馴れしく……まぁいいわ、マスターの妹だしね。
 で、何よ?」


「……後でお兄ちゃんが話があるって言ってるんだけど…」


「……それが?」


「とりあえず……その服、着替えてきてね」


「…? …………!!!!?」


 イムニティは何を言われているのか解らなかったが、数秒ほど考えて思い当たり絶句した。
 逆様になって、ずっと縛られ続けた上、妙な趣味に目覚めかけていたイムニティは、有体に言うと濡れていた。
 どのくらいかと言うと、昨日の夜からずーっとだったので、もう洪水状態だ。
 そして液体とは重力に従って下に向かう訳で…。
 そんな状態で、服はどうなっているか?


「…まるでお漏らししたようですね」


「いっ…いっやあああぁぁぁ!?


 嘲り交じりのリコの言葉に反論もせず、イムニティは瞬間移動でどっかに消えてしまった。
 かなりの精神的ダメージが予測できる。
 それを見ていた大河は、リコに向かってボソリと呟く。


「……リコって…結構意地悪だな」


「そうでしょうか?」


 とっても晴れやかな顔のリコ。
 意地悪云々の次元ではない気がする。
 が、吊るした当の本人が言える台詞ではない。

 大河の頭をぺチンと叩いて、未亜は溜息をついた。


「ま、暫くすれば立ち直ってくるでしょ。
 それにイムちゃんとリコちゃんは仲が悪いみたいだから、無理に一緒に話をする事もないんじゃないかな」


「そうだなぁ…。
 別々に話を聞くか。
 イムニティは後で話を聞くとして…リコ、時間空いてるか?」


「ええ。
 でも、ご主人様の食事が先なのでは?」


 リコに言われて、大河は空腹だったのを思い出した。
 イムニティの変り様に驚愕して、すっかり忘れていたのだ。
 そして思い出したら、一気に空腹感が襲ってくる。


「そうだった……。
 リコ、話はメシの後だ。
 そろそろ食堂も開いてるだろうから、今から行くぞ」


「はい」


「うん。
 ……ところでお兄ちゃん」


「あん?」


「昨日の夜はともかくとして……今日もずーっと盛ってたって、どういう事?」


「………(汗)」


「リコちゃんもベリオさんもカエデさんも、ずーっと私と一緒に居たから…他にまだ愛人希望者が居るの?」


「今日の足取りを追って、それらしい形跡があるのは…ダリア先生とルビナスさんですね」


「………………(滝汗)」


「ソコの所を……」


「ゆっくりと吐いてもらいますからね、ご主人様」


「…………(死相)」


 その後、少々気まずいながらも食事を終えた大河達。
 今は屋根裏部屋に、大河とリコと未亜が集まっている。


「さて、お兄ちゃんの浮気の事はさて置いて……」


「最優先事項ではないですか?」


「だから余計な事を先に片付けちゃうのよ。
 それからゆっくりじっくり、物理的にも時間的にも逃げ場を奪ってから吐かせるんだから」


「なるほど…では、さっさと済ませて拷も…もとい、尋問の準備をしてしまいましょう」


(……俺は生きて朝日を見られるのかな…)


 思う存分栄養補給し、胃袋を満たした大河は眠気を堪えながら2人の会話を聞いている。
 今なら心身供に充実しているが、それとこれとは話が別だ。


「ああ、そう言えばダリア先生がマスターを呼んでいましたよ」


「そうなの? それじゃあ、この話が終わったら行って来るわ。
 リコちゃんはその間に色々揃えていて」


「了解しました」


(…色々!? ……ま、これは何時もの事か)


 大河の寿命は、2人の会話を聞く毎に短くなっているようだ。

 大河はベッドの上に座り、その隣に未亜が座った。
 リコは殆ど使われていない椅子に座って、大河達に向き直る。


「それで、話というのは何ですか?」


「なに、主になったら色々と話す事があるんじゃないか?
 本当は昨日イムニティから聞く筈だったんだが、未亜とリコを相手に戦ったと聞いて、つい…」


「問答無用で吊るしたのね」


 あははは、と乾いた笑いを響かせる大河。
 当のイムニティは、まだ姿を見せない。
 そもそも彼女は着替えを持っているのだろうか?


「それでは、私にそれを聞こうと?」


「まぁ、そういう事だな」


「そう言えば、未亜さんにも詳しい説明をしていませんでしたね…。
 解りました、この際だから一から話させてもらいます。
 とは言っても、話せない事も多々ありますが…。

 まず、救世主になるには、私とイムニティの2人に認められねばなりません。
 本当は私は、もうマスターを選ぶつもりはなかったのですが……」


「イムニティに俺の命令が届かなかったから、選ぶハメになっちまったと」


「そういう事です。
 ああ、未亜さん。
 ご主人様が白の主になった経過は、後でご主人様本人から聞いてください。
 話すと少し長くなりますので」


「うん、解った…それで、続きは?」


「はい……私とイムニティは、それぞれ一人の勇者をマスターとして選びます。
 その人物が一致していれば、そこで救世主の誕生です。
 しかし、時には別々の人間をマスターとして選ぶ事もあるのです。
 ……千年前に、そういう事がありました。

 そうなった場合に救世主となるには、二つの方法があります。
 一つ、マスターが主としての権利…救世主となる権利を譲渡する事。
 もう一つは、一方の主がもう一方の主を殺し、救世主となる権利を奪う事。
 ……千年前に起きたのは、後者でした」


「……まさか、ルビナスがホムンクルスとして眠っていたのは…」


「そのためです。
 ……昨日まで仲間だった救世主候補達の殺し合い…。
 ………もう、見たくありません」


「……大丈夫だよ、リコちゃん。
 私達は救世主になろうなんて思ってないから、殺し合いなんてしないって」


 未亜が殊更に明るく断言する。
 リコの表情が少し明るくなった。


「はい、そう信じたからマスターを主として選んだのです。
 成り行き任せでしたけど……。

 さて、次に救世主の役割ですが……救世主には、ある役割があります。
 これは救世主になった人物にしか教える事は出来ません」


「俺が相手でも?」


「救世主の役割は、新しい世界を創り上げ…………


 リコが固まった。
 大河の目が点になる。
 未亜の目がジト目になった。

 大河のポロっとした言葉につい反応し、あっさりバラしてしまった。
 本来なら本能として刷り込まれたプログラムが情報の漏洩を阻む筈だが、何故か発動しない。
 発動していれば、リコが口にしようとしても口が動かなくなる。
 だが発動しなかったという事は、この程度なら大目に見られているのか、それとも予想外すぎてプログラムも反応できなかったのか。


「い……今のナシ、今のナシです!
 幻聴、ノーカンなんです!
 忘れてください!
 私は何も言っていません!」


「……まぁ、何も言わんが」


 慌てて両手を振り回し、なかった事にしようとしている。

 さすがに大河を心のご主人様と仰ぐリコ。
 へっぽこ具合も大河に似てきたような気がする。


「そ、それで?」


「え、えーと……そうそう、私達はマスターに従って動きます。
 救世主とは私達に認められたマスターですから、当然救世主に従う事になります。
 そして、時が来れば救世主は、私かイムニティか……赤の精霊と白の精霊のどちらかをパートナーとして選ばねばなりません。
 ……そこからが、救世主の本当の役割なのです。
 救世主になったら、役割を果たすために動き出します。
 尤も、今まで真の救世主が現れた事はありませんが…」


「……つまり、真の救世主の役目は、救世主の仕事を終わりまで遣り遂げたら現れるのか?」


「恐らく…。
 私も見た事もないし、真の救世主が目覚めたら何が起こるのかも解りません。
 みんな、道半ばで果て、逝きました。
 私とイムニティのどちらを選んでも、途中で選ばなかった方の心が出てきて、挫折してしまうのです」


 これで大体の説明は終わり。
 未亜はリコと契約する時に、大まかな話は聞いている。
 だが今改めて聞くと、随分と虫食いだらけの話である。

 大河は暫く考えていたが、リコに尋ねる。


「リコ、千年前はどういう結末を迎えたんだ?
 ルビナスがホムンクルスになって地下に眠っていた以上、ただ争って終わりだった訳じゃないんだろ?」


「はい。
 千年前……まだこの場所には学園は設立されていませんでした。
 ここにあったのは、救世主を志す者が必ず訪れる神殿でした。
 以前ミュリエル学園長も言っていたように、メサイアパーティは必ずここを訪れ…導きの書、つまり私達を発見します。
 千年前のメサイアパーティも、同じように私達を発見し…そして、2人がマスターに選ばれました。
 一人は錬金術師、ルビナス・フローリアス。
 もう一人は暗黒騎士…ネクロマンサーのロベリア・リードです。

 2人はマスターに選ばれ、そして対立しました。
 ルビナスは救世主の役割を阻止せんとし、ロベリアは逆に果たそうとしました。
 紆余曲折ありましたが、結局ルビナスは、ロベリアに体を奪われ…殺されました」


「……だが、それは計算の内だった。
 負けたのはわざとなのか本気なのかは知らないが、その状況を想定して、ホムンクルス…ナナシを作り上げていた?」


「その通りです。
 ロベリアは救世主になるも、その場で封印…いえ、殺されました。
 そしてルビナスの魂はホムンクルスの体に移り、次の“破滅”が訪れる時に備えて眠りにつきます。
 彼女を目覚めさせる方法が何処かに伝わっている筈なのですが……まぁ、不完全とはいえもう目覚めてしまいましたし。
 多分失伝してしまったのでしょうね…500年前の“破滅”に現れなかった所を見ると。

 一方、残されたメサイアパーティの2人は、生き残った者の責務を果たすべく動き出します。
 ……私が知っているのはここまでです。
 細かい事は憶測するしかありませんが、一人は王女として選ばれ、今ではこう呼ばれています。
 英傑王女・アルストロメリア、と…」


「もう一人は?」


「………大河さん達も知っている人です。
 彼女はこのフローリア学園を設立し、次なる“破滅”に備えました。
 ……彼女が何故ここに居るかは予測がつきます。
 おそらく召喚の揺れ戻しにより別の世界に飛ばされて、そして次元断層を超えて戻ってきたのでしょう。
 彼女………ミュリエル・アイスバーグは」


「「 !!?? 」」


 大河と未亜の呼吸が止まった。
 ミュリエル。
 今、ミュリエルと言ったか?
 学園長の、あのミュリエル・シアフィールドと同じ名前。
 しかし今の話では、まるで同一人物。


「ミュリエル学園長…の事か」


「はい。
 今の名前は偽名でしょう。
 生まれ変わりかとも思いましたが、考えてみれば禁書庫に導きの書がある事を知っているのは、この学園を設立したミュリエルとアルストロメリアしか居ません。
 ルビナスはあの状態ですし、ロベリアは…。
 本人だと思っていいでしょう」


「………千年前の人間だったのか…年○どころじゃねーな」


「むしろトッチャンボーヤと言った方が正確な気が…」


「本人にしてみれば20年も経っていないから、本人が名乗っている年齢通りでいいのでは?
 ………2,3年ほどサバを読んでいるかもしれませんが」


その頃のミュリエル

「♪〜〜♪〜♪〜〜〜…?
 ……気のせいかしら…今何かムッと来たような…。
 ま、いいわ。
 大河君も主じゃなかったし、暫くは大丈夫そうね」


「あ、そーいえば…ミュリエル学園長で思い出したんだが…あれ?
 どうしてミュリエル学園長でこんな事を思いだすんだ?」


「? 何です?」


「ん……あのさ、赤の主と白の主は、絶頂を繰り返して虚脱状態になると、体のどこかに印が浮き出てくるって本当か?」


 未亜とリコの目が点になった。
 大河の言う事もメチャクチャだが、何故ミュリエル学園長からそんな事を連想するのだ?


「で、どうなんだ?」


「………誰ですか、そんなウソ八百を吹き込んだのは…」


「あ、やっぱりウソなのか。
 誰と言われても……なんか思い出せないんだが」


「それって唯の妄想じゃないの?
 どっかのエロゲじゃあるまいし」


 未亜と大河の額に、冷や汗が一つ垂れている。
 2人とも同じ結論に行き着いているのだが、流石に信じられないのだ。
 あのミュリエル学園長と大河が?
 そう言えばミュリエルが妙に上機嫌だったし、大河の行方が知れない間に何かあったとしたら時間的説明もつく。
 何故大河が記憶を失っていたり錯乱していたのかは解らないが、ミュリエル学園長ならそれ位は出来るだろう。


「…やっぱりそう思うか?」


「いや、でも……何ていうか、流石にちょっと……」


 2人は半眼で目を見合わせる。
 そのまま無言で頷き、その想像を頭から追い出した。
 ヘタに深入りすると、それこそ記憶を消されかねない。


「そう言えば千年前にロベリアが、ルビナスとミュリエルにそんな事を吹き込んでいたような…」


「「 いや思い出さなくていいから!! 」」


「し、しかしナンだな…それじゃあ学園長に詰め寄るよーな事は出来んな」


「どうして?
 ……私が赤の主だと知れたら、襲われそうだから?」


 襲われるの一言に大河が反応しかけたが、リコが大河の頭を撫でて落ち着かせた。
 どうやら自分でも一度撫でて見たかったようだ。
 大河は何とか落ち着きを取り戻す。


「そ、それもあるけどな…。
 学園長は、アヴァターの平和を第一としてるだろ?
 “破滅”は何とかなるとしても、救世主だけは誕生させない…って感じのスタンスだと思うんだよ。
 救世主の役割が何なのかは解らないけど、それがアヴァター全土を脅かすのは確実だ。
 じゃあ、それを防ぐにはどうすればいいと思う?」


「……2人まとめて殺す?」


「だな。
 一方だけを殺したらもう一人が救世主として覚醒しちまうから、どちらか一人が逃げ切れば大丈夫だと思う。
 俺達のどちらか一方だけを殺してみろ、それこそ何をしでかすか解らんぞ」


 本気で世界を滅ぼそうとするかもしれない。
 最近は少しずつ自立してきているが、2人の絆は半端ではない。
 ……歪み具合も結構なものがある。


「そうですね…私もむざむざマスターとご主人様に害させはしませんが、彼女は1000年前とは随分性格が違います。
 荒波に揉まれ続けてきたのでしょうね……今の彼女はいざとなったら、手段を選ばないでしょう。
 全く………あの頃は、現実主義者のような顔をして甘ちゃんそのものだったのに」


「「………あの学園長が?」」


「ええ。
 昔は“破滅”が相手ですら戦いに胸を痛め、その辺の子犬の怪我を見ては手当てをしようとし、自分が損をする事になっても他人に気を使うという徹底振りです。
 あれはもう異常でした。
 他人の悪意には鈍かったし、およそ戦いや政争には向いているとはお世辞にもいえません。
 勿論、その痛みや罪悪感を超える程の使命感があったから戦っていたのですが……一言で言うと、夢想スレスレの理想主義でしたね」


「マジかよ…」


「正反対じゃない…」


「ちなみに性的な話題を聞くと無条件で頬を染めるような純情でした」


「ぜってーウソだあああぁぁ!」


 時間は残酷というか何と言うか。
 大河の絶叫が屋根裏部屋に響き渡る夜は、少しずつ更けて言った。


「他にもこんなエピソードが…」


「ふんふん」


「ほほぉ…」


 そして大河の浮気追求は有耶無耶になったという。



時守です。
ついにやってしまいました、ミュリエル学園長…。
あっはっは、最初は素直にリリィと親子丼の予定だったのに、ふと思いついたせいでこのザマです。
思いついた時には、確か年上のオネーサマ系のエロゲに嵌ってたんですよねー…モロに影響を受けてます。
大河はこれからも、時々ミュリエル学園長に人知れず吸われるかもしれません。
あー、でもリリィとの3○が難しくなったかなー。

それではレス返しです!


1.神曲様

ダリアに関しては、もう大当たりデス。
むぅ、予想していたとはいえあっさり読まれてしまった…。
何か新しいネタがないかなー、と授業中に頭を捻ることにします。


3.くろこげ様

ハイ、アヤシゲナシュミニメザメマシタ。
ちなみに進化ありの予定です。


4.アレス=アンバー様

はじめまして、アレス=アンバーさん。

神ですら…神ですら…ひ、否定できない(汗)
一応シリアス設定なのに……何故だろう?
でもネタを思いついたら多分やります。


6.K・K様

大河に勝利するのは、まだ当分先ですね。
ハーレムのメンバーが全員揃ってからか、あと一人か二人、という状態を予定していますから。

リコ達の幸せは、それこそ大河君が全力をもって保証してくれるでしょう。
…ただ個人の幸せというのは人それぞれですし、妙な趣味に目覚めても本人が幸せならそれでイイですよね?ね?


7.ディディー様

リコにご主人様と呼ばせたときは、何だか遣り遂げた気持ちで一杯でした(笑)
イムは逃げ出してしまってそのままです。
次あたりでヤってしまうかな…。

リコ(デコ)れーざー強すぎですがな…。
こんなん出されたら、“破滅”の将でも一撃ですね。
ところで、効果範囲が画面の端から端まで、というのはウインドウの端から端までですか?
それともバトルフィールドの端から端まででしょうか?


8.沙耶様

そ…そんなん出来るんだったらさっさとやっとりますわああぁぁぁ!
私だってそんな夢のプレイを見た…もといヤリたいですよ!
でも丁度イイ場面が中々ない…。
どーにかしなければ!


9.3×3EVIL様

おお、やっと届きましたか!
五週間以上の間、さぞ待ち遠しかった事でしょう。

今回で、学園長は蚊帳の外ではなくなってしまいました。
それに比べて、ダウニーは…。
アフロ神も離れてしまいましたし(涙)
これからはアフロダウニー改め、波平ダウニーとして生きていく事に。

メルブラ最高難易度のクリア、時守もやりました。
あれに比べれば楽ですね…。
キーボードでやったと言ったら、友人が妙に驚いてましたが…そんなに難しかったかなぁ?


10.竜神帝様

とーぜん落します。
一応“破滅”側の戦力補充も考えていますが…。


11.通りすがりの名無し様

エロいの嫌いでしょーか?

やっぱり盛り上げてから落すのが楽しいですよ。
イムはもうちょっと底まで落ちてもらう予定です。


12.なまけもの様

絶倫超人…直死の魔眼持ちあたりと比べたら…考えただけで腹下死するヒトが出そうです。

Mの道は遠く厳しく淫靡で物理的に痛く、今のイムではちょっと極められそうにありません。
もう少しきっかけを与えないと…。

難攻不落のミュリエルは、自ら無血開城して同盟を結んだようです。
欲求不満の塾女という設定にしてみたんですが…萌え?エロ?


13.試作弐号機様

神までっスか!?
そ、それは流石に考えてなかった…。
うぬぅ……いくらなんでもキツイですね…。
コジツケれば何とかなるかもしれませんが、シメの形を大幅に変えないと…。
いつか完結したら、別バージョンって事で挑戦してみたいと思います。


14.悠真様

メガネのフレームをひん曲げながら笑う悠真さん…。
周囲にヒトは居ませんよね?

人型大震災の発生は遠いですね。
タイミングはもう決めてあるのですが、ネタが思い浮かばず、何より話が進んでいません。
さて、どうしてくれようか…。

アフロ特集はこれからどんどん値上がりします。
もうアフロじゃなくなったから、希少価値がつきましたので。


15.カシス様

ダリアがお姫様……という事は、ヘタをするとクレアの従兄弟…。
キャラ紹介でもなかったとはいえ、英傑王女に怒られそうですね…。
案外PS版で、その辺が出るかもしれませんね(期待薄)

イムが目覚めて、あと何人かを属性付加させるつもりです。
どこまで行くのか…時守が行けるところまでですね。
ぶっちゃけネタが思いつく限り、という事ですが。


16.アルカンシェル様

前回と今回の副題は、『たいがくんのえろえろないちにち』の予定でした。
この2話だけサブタイトルを復活させようかとも思ったのですが、すっかり忘れ去っていました。

小動物タイプの女の子が“ご主人様…”。
こういうシチュエーション大好きです。
なんかこー、ものごっつい愛でたくなりますよね。


17.竜の抜け殻様

戦力が過多に成りすぎると困るので、何とか“破滅”側の戦力を上げるか、何かの制限を設けなければならないと思っています。
一応策はあるのですが、こっちは書ききる自信がありません、マジで。

隊長…ムドウ…あかん、すっかり忘れてた(汗)
自分で張った伏線なのに…。

銃撃戦に関しては、多分大丈夫だと思います…忘れなければ。

むしろ賢人会議の方が不安です。
時守は政治に詳しくないので、独断と偏見に満ちた内容になりそうですが…勘弁してくださいね。


18.鈴音様

リコ達に続き、ミュリエルも人知れず参戦いたしました。
意外なダークホースになる可能性も…。

イムの目付きに関して、釣り目がひっくり返ったからって単純にタレ目にはならないんじゃないか、と突っ込まれるかと思ってビクビクしていました。


19.神〔SIN〕様

えーと、このアドレスは…神山 武大さん?
前にもレス返しで書いたと思いますが、注意書きを読まれたでしょうか?

見直して気づいたのですが、前回のレス返しの際、「よろず小ネタ掲示板の中にある」と書きましたが、あれは間違いでした。
正しくは、よろず小ネタ掲示板過去ログの中です。
トップページのよろず小ネタ掲示板の右側に、「旧小ネタ掲示板過去ログ」というのがあります。
その中の「よろず小ネタ過去ログ(作者順)」から行ける筈です。
すみませんでした。


20.なな月様

いつかは実現させますよ。
元々そのつもりで書いたんですから……ただ、ひょっとするとご奉仕の相手が未亜だったりする可能性もありますが。

魔法の減衰・無効化現象については、かなり重要な伏線なので、当分ノーコメントを貫かせていただきます。
…偶にバラしたくなりますが。

ロベリアの体………微生物に分解されて、殆ど土に返っていたのでは?
極端な話、ネクロマンサーは骨といくつかの材料さえあれば仮初でも肉を持たせる事が出来るみたいですから、残っていた体の一部から再生させたのかもしれません。


21.ナイトメア様

はじめまして、時守です。
そ、そこまで褒めていただけると、なんかこう、頬が赤くなるくらい照れますね…。
外道お父さん…ああ、あの方ですね。
光り輝くあのお方…アフロダウニー、君は物凄い栄誉を受けているよ!
…でもそのアフロダウニーも…むぅ、惜しいことをしました…。

ファントムキングダム……時間がある時に見てみます。
ありがとうございました♪


22.砂糖様

ルビナスドリルはマダですねー。
時守も早く出したいですけど、もーちょっと先です。
ドリルの前に、大河とナニをさせないと…。

イムニティ、色々と頑張ります!

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