日常、それは当たり前にあるもの。
それゆえ大事なものと気付かぬもの。
まぶらほ 錬製の魔術使い
〜第二話〜
〜朝食 いつもの日常2
「はぁ、なんでこうも味に違いが出るのでしょう。」
「本当、材料は同じ筈なのにね。」
朝食の最中、和樹が作った卵焼きを食べた後のメディアと夕花の会話である。
和樹の料理のうではプロ級である。
理由としては、和樹はある人物に魔術を教わるために弟子入りし、その人と一緒に暮らしていた。
しかしその人、和樹の先生はてんで料理がダメだった。よって自然と和樹が作ることになり、彼は料理人としてのスキルをめきめきと伸ばしていった。
現在、知り合いで和樹とまともに料理を競えるのは夕花や冬木にいる和樹の親友にして心友の士郎、その彼の恋人の一人である桜とあと数名ほどだろう。
ちなみに夕花の料理のうでは和樹と同じくらいだが今回の物のようにかなわないものもある。また逆に和樹が夕花にかなわない料理もある。
メディアは料理をし始めてからまだ半年ほどなので和樹達にはまだかなわない。
「そういえばさ、夕花。」
夕花達の会話が一段落した後、和樹がそう切り出した。
「?何。」
「久しぶりにあの時の夢を見たよ。」
あの時の夢とは和樹が夕花に雪を見せたときの夢である。
「懐かしいね。」
「うん、まさか今になってみるとはね。」
和樹は思う、前にあの夢を見たのは夕花と再開した日の前の夜だった。ならあの夢を見たのには何か意味があるのだろうかと。
後々の和樹ならこう思うだろう、あれは警告していたんだと。
「ねえ・・・、あの時の約束、覚えてる?」
「もちろんだよ。」
そして二人は言葉を紡ぐ。二人にとって最も古く、最も大切な約束の言葉を。
「「もし、また会えて、二人が愛し合うようになったら結婚しよう。(しましょう。)」」
そして二人は笑いあう。
さてここで今まで蚊帳の外だったメディアの様子を見てみよう。
・・・・・・なにやら首をイヤンイヤンと横に振ったり、顔を赤くし悶えたり、時折笑っていたりする。
何を考えているのだろうか?
(約束の言葉ですか・・・、正直羨ましいですね。少し嫉妬してしまいます。そこまで古い思い出はありませんから。否応無しに付き合いの長さの差を実感させられますもの。)
そんなことを考えていた。確かにメディアは和樹とまだ半年ほどしか過ごしていない。仕方のないことだろう。
しかしこんなことを考えていてもあんな行動はしないだろう。
なので続きを見てみよう。
(・・・・・・それにしてもあの頃の二人はなんてかわいらしいんでしょう。出来ることなら是非とも私の作った服を着せてあの子達と並べてみたいものですね。
・・・・・・いっそのこと一時的にでも二人を小さくして・・・・・・、いやいや和樹にそんなことは・・・、でも・・・以下略)
・・・・・・メディアは一転してこんなことを考えていた。
このメディア、ただのエルフの美人なお姉さんではないようである。
実はこの人、和樹に対する愛に匹敵するほどかわいい子供に自分の作った服を着せるのが好きなのである。
妄想というのは体に表れる。つまり彼女の怪しい行動の原因がこれである。
そしてそんな彼女のことを、いくら二人の世界に入っている和樹達でも気が付かないはずはなかった。
「・・・・・・何してるのメディア?」
「イヤンイヤンそんな、・・・・・・はっ!
・・・な、なんでもありません和樹。」
そんなこんなで朝食の時間は過ぎていくのだった。
朝食を食べ終えると、かたずけや登校の準備をして学校に向かう。
部屋を出る際には新婚夫婦のようにいってきます、いってらっしゃいのキスをする三人(・・・・・・)。
そんなキスは何度もしてるはずだが微妙に頬が赤い。
「いってらっしゃい、和樹、メディア。」
「いってくるよ、夕花。」
「いってきます、夕花。」
そしてマンションから出ていく和樹とメディア(メディアは霊体モード)
夕花は部屋に残っている。
ここで、ん?と思った人もいるだろうが、実は和樹の住んでいる部屋の一室は夕花、というか式森ラヴァーズ全員の、寮なりマンションなりのそれぞれの部屋と繋がっているのである。
そして夜と朝をともにした人は一旦自分の部屋に戻り、そこから登校するのだ。
これは《式森ラヴァーズ》の面々が和樹の部屋に泊まることで起きうるであろう、様々な問題を防ぐためにメディアと和樹が考案し、実行した方法である。
これによって和樹の部屋に泊ったことがばれにくくなり、仮に和樹の部屋にいるときに誰かが自分の部屋に来ても直ぐに行くことが出来る。また逆もしかりである。
注* 《式森ラヴァーズ》というのは和樹の恋人さん達の総称です。
某所の〈神にも魔王にも凡人にもなれる男〉の恋人達の総称に似ていますが気にしないでください。
「和樹さん、メディアさんおはようございます。」
マンションを出て直ぐに声を掛けられる、これはいつもの光景。
「おはようございます、華怜さん。」
(おはようございます。華怜)
二人はその声の主に挨拶を返す。
声の主は箒を持った喪服姿の美人さん。
このマンションの管理人をやっている尋崎華怜さんである。
この人、元は葵学園の男子寮〈彩雲寮〉の管理人だったのだが、和樹のために、そして和樹といる時間を少しでも伸ばしたいためにこのマンションの管理人に なったのだ。
つまりこのひとも《式森ラヴァーズ》の一員である。
「さて和樹さん、とても重要なお話があります。」
たいていニコニコ微笑んでいる華怜が真剣な面持ちで話す。
「・・・何でしょうか?」
自然と和樹も真剣な顔になる。
そして、
「今夜は私の番ですので、がんばってくださいね♪」
と、のたまった。
ズルッ
「あ、アハハハハ。分かりました。」
その言葉を聞いた和樹はずっこけ、体勢を立て直した後、苦笑して答えるしか出来なかった。
「むぅ、何ですかその反応は。とっても大事なことなんですよ。
それとも、私とそういう事をするのがそんなに嫌なんですか?」
頬を膨らませ、華怜が怒ったように言う。
「いいえ、そんなことはないですよ。」
和樹は首をブンブンと左右に振って答える。
「そうですか、よかった。」
(華怜、そんなことを言わなくても、和樹はがんばってくれますよ。)
いままで黙っていたメディアが口をだす。
「そうでしょうね。でも、念のためですよ。」
何を思い出したのか頬が赤い華怜さん。
(第一、ただでさえ一夜の人数が少ないうえに和樹が凄いので、皆さん次の日は腰がガタガタでしょう。)
「それもそうですね。」
何を思い出したのかさらに頬を赤くする。
さてさてこの話の和樹、夜の営みは愛の営み。そして相手は少数(以前は一対一)と考えている。
まあ、ある特定の条件が満たされたとき大勢相手の鬼畜和樹になるが。
なので和樹の夜の相手は殆どの場合二人、多くても三人である。(以前は一対一、多くても二人だったが、《式森ラヴァーズ》が増えたので一度に相手にする人数も増えた。)
それゆえ 《式森ラヴァーズ》の皆さんは次の日、腰が凄いことになる。
実際、朝はそれそれが治癒系の魔術や魔法をかけてもらってる。
今朝だって夕花とメディアの二人は腰がガクガクでした。
注* この話のなかでは和樹、士郎、志貴の三人はもちろん絶倫超人です。
この三人を知っている人に言わせると絶倫超人トリオ。
「ところで和樹さん、今、お時間ありますか?
あるのでしたら私のお部屋に逝きませんか?」
と華怜が色っぽい声で聴いてくる。
(和樹、せっかくですのて、今から部屋に行って少々私たちと運動をしませんか?)
などとメディアも艶っぽい口調で聴く。
というかその運動は少々ではすまない気もするが。
「う・・・、い、今から部屋に戻る時間はないですよ。」
和樹はたじろぎ、そう言う。
和樹もその運動が嫌いなわけではない、嫌いなわけではないがここでその誘惑乗ると、他のみんなを裏切る気がするのだ。
「あら、朝から外でですか?
私は構いませんよ。少し恥ずかしいのですけれど。」
(案外鬼畜ですね、和樹。
まあ、私も構わないですけど。)
追い打ちをかける二人。
この時間に外は洒落にならない気がするが。
「うう・・・・・。」
さらにたじろぐ和樹。
「さあ・・・。」
(さあ・・・。)
さらに追い打ちをかける二人。
「ううう・・・・・・い、いってきま〜す。」
ついに脱兎のごとく走りだす和樹。
「くすくす、いってらっしゃ〜い」
美人のお姉さん二人にからかわれる和樹であった。
つづく
どうもアクセルです。
さて、まぶらほ 錬製の魔術使い第二話をお送りしました。
話が進まねえ。
さて今回新たに式森ラヴァーズに喪服美人管理人さん、尋崎華怜さんが加わりました。どうでしょうか?
そして今回明かされた和樹の夜の営みうんぬん。
これは私が〈ハーレムだけど鬼畜じゃない和樹〉を創ろうと思いこうなりました。
さて《式森ラヴァーズ》についてですが松田和美と杜崎沙弓を加えることを決定しました。皆さんどうもありがとうございます。登場は次ぐらいです。
てかB組メンバーはあと一人か二人増やすかも。
候補は紫崎怜子と高崎涼。
ではレス返し。
D,様
そうです。和樹が拾っちゃいました。
まあそうなるかもしれないです。
東西南北様
和樹はやっぱりハーレムですね。
sara氏並の扱い・・・、扱いはできても書くのが難しそうです。
セク様
夕菜にとって和樹に近寄る女は誰でも敵だと思うので、たぶんキシャー化しますね。
A・H様
今回きれーなお姉さん一人追加です。
sara氏並の扱い・・・、がんばります。
JUN様
《式森ラヴァーズ》の決まっていた四人、実はその内二人はまぶらほキャラではないんですよ。
なまけもの様
いえ、あの姉妹のような状態に今まではなったことはないです。
普段は普通の仲の良い姉妹ですから。
suimin様
今後、和樹関係で仲が悪くなるかもしれません。
草薙様
そうですか・・・、割りといいスタイルしてると思ったのですが。
かりむ様
これはですね、最初に考え付いたヒロインが夕花で妹よりもよくできた姉ってことで考え付いたのでそのままいきました。
少ないほうが楽かもしれませんが、多いほうが書いててたのしいので。
sara様
おお!!sara様ご本人からレスがいただけるとは。
どうも初めまして。新人式森ラヴァーズ作家のアクセルです。
sara様の和樹は一つの理想だなとおもっています。
もちろんキシャーもですが(笑)
やっぱりいろいろ考えても数が多くなりそうですが、そこはこの作品への想いでカバーします。
犬拳様
初めまして。
っぱり主人公はもてるほうがいいですよね。
期待に応えられるよがんばります。
以上です。
皆さんレスありがとうございます。次回を楽しみにしていただけると嬉しいです。
次はキシャー出現までは無理でしょうが、夕菜登場までは書く予定です。
それではみなさん、アクセルでした〜。
BACK< >NEXT