「だから契約って・・・横島と何の契約をしようってのよ?」
「ああ、聞きたかったのは契約の内容か。それなら問題は無いだろう、君達にも同席して貰うつもりだったからな。」
「は?なんで?横島との契約なんでしょ?」
「そうだが、その契約の内容に君達も関係しているのさ。」
「ふ〜ん・・・私達もねぇ・・・まあいいわ。上がっていいわよ。」
怪訝な顔をするも、言葉の通りまあいいかといった感じで上がるのを許可する。
「全員居間に居ると思うからさ、話はそこでするんでいいんか?」
「ああ、何処でもかまわないよ。」
横島の言葉に頷くステラ。
三人が居間に入っていくと、
「あ、お客さん?って、あれ〜ステラじゃない!」
「ああ、藤宮。久しぶりだな。」
一番入り口の近くに居た真由美が声を掛ける、どうやらこの二人知り合いのようだ。
「あんた達知り合いだったの?」
「ん?ああ。」
「ちょっと前にね。成り行きで共同戦線張った事があるんだ〜。」
やはり気になったらしく聞いたアシュレイにステラは頷き、真由美が理由を話す。
「んでステラ、今日は何で夜羽子の家に来たの?」
「ああ、ここに居るメンバーに用があってね、あと個人的な事で横島君にね。」
「ここに居る皆に?」
「ああ、今から説明する。その前に座ってもいいか?」
そう言ってテーブルの前に座るステラ、横島はその対面に。残りのメンバーは思い思いの場所に座る。
「ねぇねぇ、ジルちゃん。」
「なに?フェンリルちゃん?」
「あのお姉ちゃん誰?」
隣に座ったジルの袖を引き、小声で尋ねるフェンリル。
「あの人はステラ・ブラヴァツキという人で、WIZ-DAMの最高幹部の人です。」
「ふ〜ん、なんか僕達皆に用があるって言ってたけど。なんだろ?」
「ん〜それは私にも解んない。」
そこまで話して二人ともステラの方を見る。
「ふむ、ここに居るメンバーなら私の事は知っているだろうから自己紹介は省かせて貰うよ。
さて、用事と言うのはだね。私達WIZ-DAMは君達とは戦う気が無いと言う事を伝えに来た。」
ぐるっと全員の顔を見回してそう話す。
「行き成りで驚くと思うし、信用できないとも思うが、それがWIZ-DAMの現在の総意だ。
最低不干渉、できるなら友好関係を築きたいと思っている。」
「ふ〜ん、まあ理由は解るけどね〜。」
さらに続けた言葉にアシュレイが返す。
「それって私達事態を敵に廻す事より、組織と完全に敵対したく無いってのが本音でしょ?
私にジルそれにフェンリルだけでもダークロアの上位メンバーだし・・・まあフェンリルは元だけど。
それに本人が抜けたって言ってはいるけど真由美だってE.G.Oの元最強能力者、しかも母親は現最高幹部だもんね〜。
WIZ-DAMって阿羅耶識以外の組織とは険悪って訳でも無いし、関係を悪化させるような事はしたくないって事でしょ?」
「話が早くて助かるな。確かにそれが主な理由だよ。」
「やっぱりね。私達だって戦いたいって訳じゃ無いし。いいんじゃない?でも主な理由って、他に何かあるの?」
「ああ、あるよ。それが横島君、彼とある契約をしたいのが他の理由さ。まあこれは私の個人的な事なのだがね。」
アシュレイと話すため向けていた顔を横島の方に戻しそう言う。
「横島君と契約って、いったい何の契約をするの?」
「それはだね。横島君の持っているある物を研究させて欲しいのさ。」
「ある物〜?」
「そう。アシュレイ、君は森で彼に地面に押さえ込まれた事があるだろう?」
「ええ、あるわよ。どうせ遠見で見てたんでしょ?ビクともしないくらい強力な術でね。」
横から聞いてきた真由美に答えつつ、今度は自分からアシュレイに話を振るステラ。
「それがどうかしたの?」
「それは術ではないんだよ。その時彼は丸い球を地面に転がしていてね、その結界はその球の効果なんだよ。」
「丸い球〜?それがあんな強力な結界を張ったって言うの?」
「ああそうさ、他にも何度か使ってるのを見たが、毎回効果が違っていてね。観察しているうちにある事が解り興味が出てね。」
そうやって話している時、ふいにフェンリルが、
「丸い球ってあの時のあれの事かな〜?」
ん〜と指を唇に当てながらそう呟いた。
「何か心当たりでもあるの?フェンリルちゃん。」
横でそれを聞いたジルが尋ね、真由美とアシュレイも注目する。
「うん、初めてお兄ちゃんに会った時、僕裸だったんだけどね。」
裸〜の所で三人の目が横島に一瞬行くが、話の続きが気になるのかすぐに戻る。
「その時お兄ちゃんがね、顔真っ赤にしながら青い色の球を僕に渡してくれたんだけど、それが光ったと思ったら僕洋服着てたんだ〜。」
その時の事を思い出したのかにこにこしながらそう言うフェンリル。顔が多少赤いのは、その時の前後の事も思い出しているからだろう。
「へ〜、そんな便利な能力持ってたんだ。」
そう言って横島の方を向くアシュレイ、他のメンバーもそれと同時に顔を向ける。
「全然そんな事しらなかったけど、説明してくれるわよね〜?」
ニッコリと笑っていない雰囲気で笑いかけるアシュレイ。
「説明するからその顔はやめて欲しいな〜と思うんだけど〜。」
別に悪い事をした訳ではないのだが、何故か汗をだらだらとかきながらそう返事をする横島だった。
「じゃあ説明してもらいましょうか。」
━説明終了後━
「なんていうか反則な能力ね・・・それ。」
「だね〜。ようするにイメージ次第でどんな事でもできるって事でしょ?」
「ああ。まあ俺の霊力で起こしてる訳だから、さっきも言った通りあんまり無茶苦茶な事はできないけどな。」
呆れながら感想を言う二人に答える横島。
「それでも他のどんな能力よりも万能性に長けている事に違いは無い。ますます興味が沸いたよ。」
そう言うステラの目はあの時と同じように知識欲にギラギラ輝いている。
「さあさあ、説明も終わった所で契約内容の話し合いに入ろう。
とりあえず此方は私の命自体やどう考えても不可能な事以外ならどんな要求でも受けるつもりでいるが?」
そう言ってせかすステラに対して横島は、
「ん〜つってもな〜昨夜話した内容以外にこれと言ってないんだよな〜。」
そう言って考え込んでいた。
「昨夜の内容と言うと・・・、
資金提供に元の世界に返るための情報提供後はそうそう、私の作った魔道具の提供もあったな。
後は条件として週に1〜2個そして君達に対する敵対行動、またはそう取れる行動をした場合その時点で契約破棄。
これでよかったかな?」
「ああ、そうだったと思う。」
話した内容を思い出し確認してくるステラに頷き肯定する。
「ふむ、聞き忘れたがこの週に1〜2個の理由はどうしてなんだ?」
「ああ、それは俺の体内以外に文珠を出したままで居るとさ、劣化して霧散して消えちまうんだ。
その消えるまでの時間が3〜4だからな一週間分で1〜2個って事。」
「なるほど。」
個数の理由を聞いてくるが説明にすぐ納得したようだ。
「では資金提供の額を決めよう。情報の方はそれらしい物が入り次第逐一提供するでいいとして、魔道具はそちらで用途を指定してくれればそれに合った物を渡すよ。」
「そうやな〜・・・ん〜。文珠一個に付き一千万、もし追加で居る場合は3倍で三千万でどうだ?追加で渡すかどうかの決定権はこっちにあるとしてだぞ?
魔道具だっけ?それと情報の方はそっちが今言った内容でいいからさ。」
どこか恐る恐ると行った感じに条件を提示する横島(染み付いた貧乏性のためだろう。給料が上がった今でも抜けていないようだ。)
「なに?」
「あ〜高かったか?それなら五「いや、考えていたのよりもかなり低かったのでな。」って、へ?」
「効果などから考えて億単位で要求されると思っていたんだが・・・。」
「何かの罠か?」ぶつぶつとそんな事を呟きながら考え込むステラ、それに対して横島は、
「へ?一億っていくらなんでもそれは高くないか?」
「何を言っている?それではまだ安いだろう?数十億位で払うつもりだったのだが。」
「数十億〜〜〜〜〜?!」
高いのではと返した言葉に、さらに予想外の言葉が帰ってきて叫んでしまう。
「そこまで驚く事か?ミスリル銀製の糸で織った外套や魔法玉で作った護符で億単位に届くのだぞ?ここまで万能の道具だその位の額は当たり前だろう?」
心底不思議そうな顔でそう話すステラに、
「そうよ?別にそれ位の額なら普通じゃない?」
同意しこちらも不思議そうな顔をしているアシュレイ。
(この世界の金の価値ってどうなってるんだ?昨日行ったデパートとかは向こうと値段対して変わらなかったけどな〜?)
そんな事を考える横島だがそれは表での話である。
裏というほどでもないが、この世界の組織関係者では個人で数億〜数兆の額を動かすのは日常茶飯事だったりする。
(ちなみに真由美は別らしい、理由はアルバイトだからだろうか?)
「ふむ、どうする?額を変えるか?」
「いや・・・それままでいいわ。んな金持ってても使うとは思えんし。」
「そうか。なら魔道具などで提供しよう。幾らなんでもこのままでは私が気になってしょうがない。等価交換が基本的に原則だからな。あと他の組織の動向などの情報も提供しよう、まだ足りない気もするが。」
「いや、助かるよ。ありがとう、いいのかそこまでして貰って?」
「聞いていなかったのか?これでもまだ足りないと私は思っているのだが?礼ならこちらが言うべきだろう。」
そう言って懐から羊皮紙だろうか?それを取り出し契約内容を書いていく、
しばらくして書き終わり、
「よし、できた。これは私達魔女や魔法使いが昔から使ってきた契約書でな、契約を違えれば即死ぬ呪いが込められている。」
「な・・・!?」
説明をするステラ、それに対して驚く横島に、
「安心していい、契約を破らなければタダの紙だ。それにお互いの合意が無ければ契約内容も書き込めないようになっている。」
補足で説明しながら羊皮紙を丸め、これまた懐から出した紐で縛ると差し出してきた。
「そちらが保管しておくといい、口で言っただけでは不安だろうしな。これなら安心できるだろう?」
「ああ、解った。」
答えながら横島が受け取ると立ち上がり。
「では、失礼させてもらうよ。金と魔道具だがまた明日持って来よう。その時にでも魔道具は選んでくれ、気に入らなければまた他の物を持ってくる。」
言いながら居間の出口に向かって歩いて行くが、出ようとした所で立ち止まり振り返って一言、
「ああ、そうだ。其処には書かなかったが昨夜言っていたように体で払ってもかまわない、私を抱きたかったらいつでも言うといい。歓迎するよ?
君は魔力もかなりいい物を持っているようだから私にも+になるしね。」
そう妖艶と言う以外に表しようが無い表情と声でのたまった。
ビシッ!と全員が固まる。
「それでは今度こそ失礼する。」
面白そうにその光景を見笑うと、言葉の通り帰って行った。
ステラが出て行った後横島以外の者達が動き出したようだ。
「「「横島君(さん)(お兄ちゃん)?」」」
「は、はい!」
同時に発しられた三人の声に一瞬で我を取り戻し背筋を伸ばしながら返事をする横島、
「「「ステラ(さん)(あのお姉ちゃん)が言ってた体で払うって横島君(さん)(お兄ちゃん)が言い出したの(ですか)?」」」
「いえ!あのステラさんが自分から言ってきたのであります!」
「「「本当?」」」
「本当であります!」
「「「絶対、頼んじゃあダメだよ(ですよ)(だからね)?」」」
「イエッサー!解りました〜!」」」
地獄の其処から聞こえてきたような声に震えながら答える横島だった。
「な〜にやってるんだか・・・。」
アシュレイは呆れて見ていたりする。
そんな時、
ドッコーーーーーーーーーン!
「な、何?」
「え?事故?」
「にしては音が馬鹿でかいような?」
「いえ!何かが落ちてきた音です!近いみたいですし見に行ってみます!」
獣人族の超感覚なのだろうか?墜落音と聞き分けたジルが全員にそう言うと、玄関に向かう。
「ちょ、ジルちゃん!」
「あ、待ってよ〜!」
「しょうがないわね、追いましょう!」
「うん!怪我人がいるかもしれないしね!」
それを追い、残りの4人も玄関から飛び出し駆けて行った所で次回に続く!
━後書き━
第十四話お送りしました〜。
ん〜取引って書くの難しい、自分でした事ないから想像しにくい^^;
あ〜ここはこういう言葉の方が合うんでは?など指摘があればどんどんお願いします^^;
もう途中で契約内容だけ書いてすっ飛ばそうかと思ってしまった^^;
次回、イレイザーの先発部隊との戦闘になります!そして阿羅耶識のあの方が登場予定!最後にちょこっとですが(マテヤ
レス返し〜
ななし様
テロにはなりません^^;霧散して消えるだけってことで^^;
練成失敗時は圧力が均一に掛からず外の殻を力ずくで破って中身が溢れるので爆発するって考えております^^;
一度作ったのが劣化するのは炭酸が抜けるように少しずつ均一に抜けていって、外側も脆くなり空気中に霧散するって感じで^^;
「」抜けてましたね^^;報告ありがとうございます。
なまけもの様
まだ落とすつもりではなかったのですが^^;暴走してしまいました^^;
アシュレイは結構時間かかる予定。
triger
なごんでいただけるとREKIとしても嬉しいです^^
まあ怒っている恋する乙女には勝てないって事でw
無理やりあの二人が約束させましたw
交渉はこんな感じになりました、いかがでしょうか?
遊鬼様
ですねw男の夢ですw
ありがとうございます〜T-T(感涙)
がんばりまっす!
D,様
はいwお約束ですw
あんなに長くする予定もジルを落とす予定も無かったんですがね^^;
似たような事をやらかしてくれましたw
森型様
ん〜寝起きの耳と尻尾ですか・・・。
耳はペタッと頭に張り付いていて、尻尾もダラーンとお尻にそって垂れている感じかな?
なんか物凄い契約書を持ち出してきました彼女w
まあ研究は他にバラさないのが普通なんで、他人へのさらなる譲渡の禁止とかはあえて書きませんでした。
胸焼けですか^^;お大事に〜。
SIRIUS様
今回も最後だけ修羅場風味w
起こすのは当番性かジャンケン大会になるでしょうw
フェンリルが潜り込む・・・そのネタ貰った!
・・・いいでしょうか?