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「まぶらほ〜魔獣使いの少年〜第ニ話(まぶらほ+モンコレ)」

ラフェロウ (2005-10-02 21:13)
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第二話「言っちゃった・・・・。」


≪召喚術とは、それほど難しい物ではない。

正確な術式と呪文、それに媒介にする道具と魔力。

これに知識と技量さえ揃っていれば、誰でも召喚術を扱える。

とは言え、その全てを揃えている自体、難しいと言う人も多い。

それに扱えるだけであって、完全にマスターしている訳でもない。

もし条件が揃い、召喚の門が開いたとしても、その先から何を呼び出すかは術者の技量と知識に委ねられる。

近年では術式を使用せずに魔法回数を使用した手軽な召喚術が主流だが、これの欠点はその選択肢の幅、これに他ならない。

何を、何処から、どのようにして呼び出すか。それを術式の中・呪文の中で指定・固定して召喚させる。

だが、魔法回数を使った召喚ではこれらの工程を幾つか飛ばしてしまい、召喚される対象を限定してしまっている。

近年の召喚術の衰退は、この対象の限定が主な要因と言える。

特定の対象しか呼び出せないのでは色々と不都合も生まれる上に、召喚術の危険性を訴える声も多い。

とは言え、召喚術が危険と言われる原因の一つが、対象の支配が不完全故に起こる暴走なのだから自業自得とも言える。≫


「・・・・・・・・つまり、結局は使用者の技量と努力って事かな・・・?」

学生服に身を包み、学園への道のりを読書しつつ歩く少年。

ご存知我らが主人公、別名自動ハーレム形成野朗・式森和樹である。

その手に持っているのはちょっと古い図書館の本。

著者はちょっと前の召喚術士。でもあまり有名ではない上に、書いてあることがいまいち要点を得ない。

なので、読んだ人間の感想は和樹と大体同じになる。

そもそも、召喚術は極めて面倒な魔法と言っても過言ではないモノである。

魔獣や魔物といったこの世界に在らざる存在を呼び出して使役するのが目的なのだが、これが結構難しい。

まず召喚するために対象の居る場所と自分が居る場所を結ぶ門(ゲートとも言う)を繋げなければいけない。

そして対象を呼び出す際に、相手の精神(真の名)を把握して使役するのだが、大抵の人間はここで失敗する。

何故なら、≪真の名≫を一分そこらで掴むことがそもそも困難なのだ。

≪真の名≫とは即ち存在の核。全ての中枢であり、全ての終りでもある。

これを理解・把握・掌握などして相手とのラインを形成して、初めて使役する事が可能となる。

だが、相手も生き物(精霊なども含む)なので、当然意志を持つ。

勝手に呼び出されて服従させられるのは誰だって嫌だろう。なので抵抗する。

そして、対象が巨大な存在ならば当然≪真の名≫を掴むことは容易ではない。

よくニュースなどで騒がれる暴走魔獣の事件の大半が、召喚した人間が≪真の名≫を把握できずに暴走させてしまうのが原因だったりする。

さらに最近の召喚魔法(魔法回数を使用した方法)では、≪真の名≫を把握するのではなく、精神を強引に支配して従わせるという強引かつ負荷のかかる方法が使用されており、これも暴走の要因の一つである。

では、それらを無くすにはどうすればいいのか?

簡単である、昔ながらの術式を使用すれば良い。

この術式には、対象の特定、門の形成・固定、対象の呼び出し、≪真の名≫の把握が全て含まれている。

なので、よっぽどの相手でもない限り、失敗することは少ない上に、既に≪真の名≫を掴んでいるので暴走の危険も少ない。

だが、召喚魔法と違い、時間・手間・道具・金といったモノが必要になってくる為、近年ではすっかり廃れている。

と言うより、殆ど誰も使えなかったりするのが現状。なにせ難しいから。

それに、≪真の名≫を掴むのも一苦労なので、そんな面倒なモノ誰も使いたがらない。

掴んでいる途中で攻撃されて死にましたなんて洒落にならないのだから。

因みに召喚術にも二つ存在し、既に召喚した事のある相手を≪契約≫に基づいて呼び出す方法と、その≪契約≫を結ぶ為に呼び出す方法。

簡単に言えば、初めて会う相手を呼び出すのと、会った事のある相手を呼び出す方法である。

さらに細分化すれば即時召喚と呼ばれる術や儀式召喚と呼ばれるモノもあるのだが・・・長いので省略。

早い話、今この世界で正式な召喚術を扱える人間がほぼ居ないと言って良いという事である。

「おかげで資料も少なくて勉強にならないよ・・・・。」

地の文に対する返答なのか不明だが、ため息をつきながら本を鞄に入れる。

タイトルに『召喚術について』と書かれていたが、本当に概要だけで内容についてはあまり語っていない本だったようだ。

「これなら本家のあった本の方が数十倍役に立つね。はぁ、新しい魔獣召喚したかったのになぁ・・・・。」

暇さえあれば魔獣を召喚して≪契約≫したりしている和樹。

お手軽な現代の魔法と違い、術式系統の魔術は練習や鍛錬が最も重要になる。

何せ魔法回数を使わずに奇跡を起すのだ、一歩間違えば命の危険さえあり得る。

魔法と魔術。

簡単に言えば、命削るけどお手軽な魔法か、面倒で危険だけど減らない魔術かという選択であり、人間は変わり者や選択肢の無い人間を除いて大抵が楽に走る。

故に魔術が廃れ、消えていくのはある意味必然と言えるのだろう。

そして和樹は、選択肢が無い上に変わり者な魔術派の人間である。

魔法ほど利便性は高くないが、魔法同等、モノによってはそれ以上も魔術も行使可能である。

ただし、条件などが必要になるが。

「偶には聖属性の召喚獣も召喚してみようかな・・・。でも天使とかは難しいし、やっぱり魔法生物かな?スピリットはもう召喚したことあるし・・・。」

そんな事を考えながら歩いていると、道端の車から視線を感じてそちらを見る。

「えへへ、式森君の思案顔激写っ」

車の影からカメラを持った女子生徒・・・酒井 麻理子が姿を現す。

「おはよう酒井さん。相変わらずだね。」

「ええ、こればかりは止められないわ。んふふ、考えてる式森君も良い感じ。」

「はは、俺なんか撮っても面白くないよ?」

盗撮されたにも関わらず笑って流す和樹。

相変わらず無頓着と言うかマイペースと言うか。

しかも麻理子がどんな理由で和樹を隠し撮りしたのか全く理解していない。

「そんな事無いわよ。ね、一度写真のモデルとかしてみない?ちゃんとギャラは払うから。」

「ん〜・・・俺なんかモデルにしても意味無いと思うよ?」

真顔でそう返す和樹。

もし自分の写真がB組女子内で高値取引されていると知ったらどんな顔をするのか・・・多分あんまり驚かないだろう。

と言うか「またまた、そんなわけないよ〜」と笑うかだろう。

どこまでも愚鈍な男である。

「そう言わずに、ね?」

「う〜ん・・・じゃぁちょっとだけなら。いつにするの?」

「やったっ♪、時間とかは式森君が暇な時で良いから。それじゃ、私は先に行くねっ」

パタパタと手を振って走り去る麻理子。

彼女としてはこのまま和樹と登校したいのだろうが、この後彼女は色々と仕事が入っている。

まず写真部部室で先ほどの写真の現像・焼き増し。それをB組内で売り捌き、入ったお金でフィルムと現像に必要な道具の補充。

そして和樹のモデル写真の撮影準備と忙しいようだ。

やってる事は大変不純だが、一番お気に入りの写真などは彼女が独占している辺り、愛の深さが窺がえる。

彼女の寮の部屋には、拡大された和樹の写真が壁中に貼られていて、ちょっとストーカー入っている気がしないでもない。

その後学校近くで柴崎 怜子と出会い、そのまま今日の授業内容などについて語りながら教室を目指す。

余談だが和樹の成績はそれなりに良い。が、能力だけなら学園一番であるB組生徒に埋もれて目立たないだけだったりする。

普通のクラスに移れば、多分クラストップも夢じゃないだろう。魔法実習などを除いて。

二人は極普通の会話をしているように見えるが、時折怜子の視線が熱を帯びたり、舐め回すような視線で和樹の唇を凝視したりしている。

これは二人きりになったB組女子(和樹LOVEの人限定)全員がなる症状で、別に特別ではないようだ。

彼女達の狙いは、和樹の唇。しかも可能ならディープな方を狙っているのだから怖ろしい。

それにまったく気付かない和樹の鈍感ぶりもある意味偉大だ。

因みに和樹のファーストキッスは既に奪われ済みで、犯人はB組最強の策士である。

セカンドは幼馴染、サードは長身の美女。初ディープはゲーム凶の自称吸血鬼だったりする。

「そう言えば式森君知ってる?今日転入生が来るそうよ。」

「へぇ、そうなんだ。うちのクラス?」

「そう。こんな時期に珍しいわよね。どんな問題児なのかしら?」

「そうだね。俺としては駒野や數馬みたいな話の解る男子を希望したいね。」

「女子なら?」

「う〜ん・・・ドジっ子だったら面白いかな?」

「天然ボケだったら?」

「それも可だね。」

意外に通な和樹。ただし女性としてではなく、B組女子のタイプが増えるのを期待しているだけだが。

B組にはドジっ子も天然も居ないので。不思議系とボケ系は居るが。と言うか多いが。

因みに和樹はその性格の為か、駒野・數馬とはB組ではオーパーツ級に珍しい『友情』と呼ばれるモノで結ばれている。

それがどれほど凄いことかは、B組生徒が一番良く理解している。

昨日の男子リンチ事件でもこの二人だけは被害に遭っていない。

「可愛い子とかは期待しないの?」

怜子が内心不安になりながら聞いてくる。

彼女も恋する乙女、好きな男が他の女に興味があるのか非常に気になるのだろう。

「ん?そうだね・・・特には。だってB組の皆可愛い子だし、柴崎さんだって美人だしね。」

そう答えながらニッコリと笑う和樹。

それを至近距離で直視した怜子はボンッと音を立てそうなくらいに赤面する。

流石は固有スキル『女殺し・A+』と『殺し文句・A』。

釣った魚をさらに餌付けして逃げられなくしてやがる。なんて怖ろしい。

「あれ?柴崎さん顔赤いけど、風邪?」

「えっ?あ、べ、別になんでもな――「ちょっとごめんね」――ふひゃっ!?」

いつもの冷静な怜子らしくない声をあげる。それもそのはず、彼女の額には和樹の右手。

左手は自分の額に触れている。熱を測っているのだろうが、笑顔と殺し文句で限界な彼女にこの接触は拙かった。

「うん、熱は無いね。どうする、保健室・・・は危険かな。大丈夫?」

「だ、大丈夫よ、ほんと、全然、まったく、無問題。うん、むしろ元気100倍だわ。」

赤い顔でそれでも冷静になろうとしている怜子。言葉が若干変だが。

「そう?もし辛かったら言ってね。」

そう言って優しく笑う和樹。

「ええ・・・・・・・・・・・(ぽ〜)」

笑顔にノックダウンの怜子。

因みにこんな光景は日に何度も起こっている。

和樹はせっせと無意識にハーレム構築のための下準備をしているようだ。

彼にその気があろうと無かろうと。もう遺伝子レベルでの行動なのかもしれない。

仕込んだ先祖はいったい誰なのか物凄く気になるが。

まさか煩悩霊能力者な文殊使いが祖先にいるとは考えられないが。

似たような奴が居たのだろうか?直視の魔眼持ちとか。

まぁそれは兎も角、和樹は教室へと入り、怜子はお手洗いへと足を向けた。

怜子がトイレに入る際に「・・・・・・・濡れちゃった。」と呟いたが、何が如何にして何に濡れたのかは彼女だけの秘密である。

多分触られた時になったのだろうが。

その内触るだけで相手を絶頂に導きそうだ。いやマジで。

「さー、女に賭ける奴は居ないか〜!?」

「・・・・・・・何事?」

教室に入ってまず和樹の耳に飛び込んだのは、何やら賭け事をしている胴元の仲丸と、それに「男だ!」「俺は女に!」と金を渡しながら叫ぶ生徒達。

と言っても賭けているのは男子達で、殆どの女子は麻理子に群っている。

恐らく昨日取った写真でも売り捌いているのだろう。放課後になれば今朝の写真も売り捌かれる可能性も高い。

「式森君、おはようございます。」

「むにゃ・・・・・・おはよぉ・・・・。」

「おはよう、片野坂さん、春永さん。」

声をかけてきたのは、やたら雰囲気が落ち着いている片野坂 雪江と、睡眠欲突出少女春永 那穂であった。

因みに那穂は半分寝ている。その証拠に瞼が完全にくっ付いている。が、和樹に挨拶するのはもう寝言でも可能なようだ。

寝ながら食事したり、授業したり出来るのだ、それくらい楽勝なのだろう。

「仲丸達何してるの?」

「本日やってくる転入生が、男の人か女の人かの賭けだそうです。」

雪江の説明に納得する和樹。

金に汚いと評判のB組が、こんな美味しいイベントを見逃す方がおかしい。

仲丸がオッズを叫んだり、何処からか持ってきた情報で他人を釣ろうとしたりしている。

「あ、駒野おはよう。」

「・・・・・・・・おはよう。」

ちょうど教室に入ってきた駒野に挨拶すると、1テンポ送れて挨拶が返ってくる。

駒野 智和。群れるのを好まない寡黙な男子だが、単純に話すのが苦手なだけで、周囲の連中がマシンガンのように話すため口が挟めなくて、いつの間にか「影がある男」と認識されてしまっている人。

それほど悪い人間ではないので、和樹も安心して友達と名乗っている。

「・・・・・・・・・・・式森は賭けないのか・・・?」

「ん〜、そうだね・・・・・仲丸!女に5万!、駒野は?」

「・・・・・・・・・・女に2万だ。」

「よし、式森が5万に駒野が2万だな!他に居ないか〜っ!?」

和樹が特に思案もせずに大金を賭けた上に、駒野までそれに乗って大金を賭けたため、数名が女に賭けようとしたり、逆に男に賭ける奴(和樹への反発心)が居たりとちょっと混乱する。

そして賭け終了時間間際になって、和美達が一斉に女に賭けた。

それを見て数名が変更しようとするが、既に時間切れで打ち切ってしまう。

因みに和美達は和樹が賭けに参加したので同じように参加したに過ぎない。

和樹は必ず勝てる賭けしかしない主義(B組内では)なので、ちゃんとした理由があると踏んでの参加だった。

その辺りを理解しているB組女子勢は皆女に賭けていた。

とは言え、まだ落ちていない枝村つぐみ・柳本星香・今野遊佐・久藤摩琴・福西慧子は違うが。

余談だが次に落ちるとされているはもう秒読みの遊佐だろう。コスプレ写真を見た和樹の「可愛い」発言にもうドキドキなのだから。

ついでに、つぐみは得意のオラクル(?)で和樹を信じろと告げられて女に賭けていた。

次げたのは誰だか知らないが、どうやら彼のハーレム作りを応援する存在なようだ。多分宇宙意志=作者と思われるが。

で、賭けを打ち切り今か今かと転入生を待つ面々。

手に何かのパンフレットなどを持っていることから、どうやら悪徳商法などを薦めるつもりらしい。

女子勢は男ならどうでも良い、女なら要注意と身構えていたが。

そして、若干遅れて担任が入ってきた。

「お〜ら席に着け〜っ。」

入ってきたのは童顔の日本人では在り得ない髪色の女性。

名を伊庭かおり。自称吸血鬼。他称ゲーム凶の駄目人間。ついでに和樹の一応の保護者。

実は和樹の血縁(と言っても限りなく遠い)で、和樹がこの学園に入学したのを知って二年になった時に赴任してきた。

勿論和樹狙いで。本人は保護者としてとか言っているが、ディープなキスをかまして童貞狙ってるので信用ゼロ。

「あ〜、もう知ってるとは思うが転入生が来た。お前達と違ってまともな人間なんだからねずみ講や株やマルチ商法を勧めたりするなよ〜。」

『は〜いっ!』

と、表面上は元気良く返事するが、男子勢の顔には『大人しくているの今だけ』と判りやすく出ていた。

女子はちゃんと返事していたが。

「まったく・・・・お〜い、入ってきて〜。」

男子勢の判り易い表情&行動(ゴソゴソとパンフなどを用意している)を見てため息をつきつつ、ドアに向かって呼びかける。

すると、扉が開いて女子の制服を着た少女が入ってきた。

『うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!』

吼えた。男子が吼えた。その雄叫びは学園中に響き、校長室の校長が驚いてお茶を溢した程に。

その後も「可愛い」だの「可憐だ」だの「是非お付き合いを」だの叫ぶ男子と、それを冷やかに見る女子。

そしてやっぱりねといった顔でその光景を見ている和樹が居た。

「・・・・和樹、貴方知ってたの?」

後ろの席である沙弓が肩を突付いて問いかけてくる。

「うん、昨日ね。色々大変だったよ。」

「そう・・・・・何があったか後で説明してもらうわね。」

「う、うん。ねぇ沙弓・・・肩痛いんだけど・・・。」

何やら暗い笑みを浮かべる沙弓。掴んだ和樹の肩がギリギリと音を立てている。

案外嫉妬深いようだ。

「おらお前ら静かにしろっ!まったくこいつらは・・・ほい、自己紹介して。」

「あ、はい!」

男子の様子に唖然としていた少女がかおりに言われて前に少し出る。

そして女子でも可愛いと評価する笑顔で言い切った。

「皆さん初めまして、みや・・・式森夕菜です。和樹さんの妻です、よろしくお願いします。」

言い切った。ハッキリと言い切りやがりました。

しかも可愛くペコリと頭を下げて。

流石だ夕菜。転校慣れしているのか堂々と言い切りました。はい、教室が嫌な沈黙に包まれます。

そしてその沈黙を破ったのは・・・

「おい宮間・・・ふざけた事言ってるとあたしも怒るぞ?」

「せ、先生・・・っ?」

ゴリっと金属質の嫌な物を押し付ける担任。黒光りするそれは紛れもない殺傷武器。

通称拳銃。しかもCz-75。古いが人気は高い。どこから出したのかは不明。

流石の夕菜もそんな物を突きつけられたら焦る。と言うかそれ以上にかおりの眼光が怖い。

銃なんか無くても十分な程に。

「あ〜、かおり先生落ち着いて。」

見かねた和樹が助けに入るが、その銃口が今度は和樹に向いてしまう。

「ほう、式森、一体どういうことだ?先生に解るように説明してくれ。」

その視線には(どういうことだお姉ちゃんを差し置いてこの浮気者説明しろコンチクショウ)という言葉が含まれていたが和樹は華麗に無視。

「彼女のちょっとした冗談ですよ。俺なんかの妻な訳ないでしょ?そもそも結構できませんし。」

「そんなっ、和樹さん酷いですっ!私は――「夕菜」――ッ」

和樹に台詞を遮られる夕菜。遮った和樹の視線は、昨日のあの時の視線で。

「そうやって自分勝手な事言ってると・・・・嫌いになるよ?

「ご、ごめんなさい和樹さん嘘です冗談ですほんの軽いジョークなんですっ!!!!皆さん改めて、『宮間』夕菜です!!和樹さんの妻になりたいな〜って思っているアメリカ帰りの帰国子女で小さい頃から転校が多くてあまり友達が少ないので皆さんと仲良くなれたらいいな〜って思っていますよろしくお願いしますっ!!!!」

和樹の言葉に焦りまくりテンパりまくりで一気に捲くし立てる夕菜。

よほど和樹に嫌われるのが嫌なのか、それとも隣のかおりの893も腰抜かして逃げる眼光か、正面から浴びせられる15×2=30の『なにぬかしてんじゃわれ』な視線が怖かったのか判らないが、兎に角先ほどの言葉を撤回する夕菜。

一息で言い切った為に頭を下げたまま荒い呼吸をしている。

「ははは、宮間も中々お茶目だなぁ〜。そういう訳で仲良くしてやれよ。」

銃をどこかにしまって話を締めるかおり。だがその視線は『次ふざけた事ぬかしたら頭打ち抜くぞコラ』と言っていた。

和樹に対してかなり行き過ぎた愛情を注いでいるだけに、本気で実行しそうで怖い。

女子15人も言葉を撤回したので友好的な態度に変わる。

が、納得しないのは未だ固まったままの男子達。

その中の一人、仲丸がギギギギ・・・と錆びた音がしそうなくらいぎこちない動きで和樹を見てきた。

それに続く同じ動作の男子。普通に怖い。なにせ全員無表情だ。なんのホラー映画だと言いたい。

「しき・・・もり・・・?」

「何、仲丸?」

声に感情が篭っていない仲丸と、夕菜が取り消したことで安心した和樹。

何と言うか、マイペースな奴である。

「いま・・・かのじょは・・・おまえのつま・・・といったか・・・?」

「言ってたね。でも撤回したよ?冗談だって。そもそも結婚できる年齢じゃないし、普通冗談でしょう?」

壊れたAV機器のような声の仲丸と、平然としている和樹。お前マイペース過ぎだろ。

二人のやりとりの間に、危険を察知した和美達が動く。周りに覚られぬように。

ついでに硬直していない駒野と數馬は早々に退避。事が起きたらまき込まれる可能性が高いから。

「つまり・・・おまえのくちぶりからも・・・わかるが・・・しりあい・・・なんだな・・・?」

「まぁそうだね。と言っても昨日会ったばかりだけど。」

「ふ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「ふ?」

仲丸の長〜〜〜〜い溜め。

身構える女子。退避完了した駒野&數馬。首を傾ける和樹と、それを『ベストショットッ』と叫び撮影するカメラマン魂の麻理子&来花。

「ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!」

叫び立ち上がる仲丸と、それに呼応する男子勢。

その勢いに目をパチクリさせる和樹。それに萌えるカメラコンビ。

「何故だ、何故貴様のような男が宮間さんのような可憐な美少女と知り合いなのだ!!その上、冗談でも妻と名乗るだとーーーーっ!!!」

「そうだそうだ!!」

「この裏切り者っ!!」

「モテる奴は死ねっ!!!」

「式森、女には興味無いって信じてたのにっ!酷いよっ!」

次々に和樹に対して罵詈雑言を向ける男子勢。

・・・一部、違うが。

「貴様のような落ちこぼれが彼女と親しくなるなんて在り得ない!どうせ何かしたのだろうっ!!さぁ吐け、何をした!?脅迫か?薬か?洗脳か?何をしたんだ貴様ぁぁぁぁぁっ!!!」

「この人でなしがっ!」

「この犯罪者がっ!!」

「モテる奴は滅びろっ!!!」

「式森、どうして俺じゃないんだっ!?お前なら責めも受けもオッケーなのにっ!!」

自分達のことを棚に上げて和樹を責める面々。

・・・最後のは聞き流した方が良さそうだが。声の主は北野岳也。言わなくても予想できるだろうが一応。

「別に何もしてないけど?」

そんな男子を前にやはりマイペースで返す和樹。大物なんだか能天気なんだか・・・。

『嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!』

100%ハモって叫ぶ男子。今の彼らに何を言っても無駄であろう。

そしてそれぞれに攻撃魔法を展開し始める。

「あのさ、それ俺に放つの?危ないよ?」

若干目が鋭くなり、腰を浮かせて回避行動の準備をする和樹。

因みに彼の言う危ないは自分でも彼らでもなく、周囲の女子の事である。

「黙れっ!!貴様のような男は死んだ方が世の為なのだっ!!!これは天罰なのだ、決して羨ましいとか悔しいとかが理由ではないっ!!」

自分で理由を言っている。

「そうだ、天誅だ!!」

「モテる男は死ねばいいっ!!」

「はははっ、式森この薬を飲め!そして友情を確かめよう、飲んで無事なら俺達は親友だっ!!!」

どこぞの逝っちゃった異教徒よりも遙に危ない集団と化している男子。

事の原因である夕菜はかおりに連れられ既に教室の外。

女子勢はその男子達を囲むように移動し、魔法を展開している。

これを男子達は援護だと勘違いしている。標的は自分達なのに。

「・・・・・とりあえず、逃げよ。」

『逃がすかぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!』

和樹が行動しようとした瞬間、大量の魔法が和樹に向かって降り注ぐ。


――ドゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!――


爆音が響き、黒煙が窓を突き破って外に噴出す。

そしてその中を、装飾されたロッドを持ちながら、両手に女子を抱えて逃げ出す和樹の姿。

吹き飛ばされた窓を抜け、校舎の落下防止用の狭い足場を器用に走っていく。

その姿に他の教室の生徒達が驚く。

「お騒がせしてすみませ〜ん。」

こんな時でもマイペースに一応謝りながら走る和樹。

肩に背負う形で抱えられているのは、和樹の傍の席で逃げ遅れた久藤 摩琴と千野 矢夜。

二人とも小柄なので和樹も楽々抱えている。

「くそっ、逃げたぞ、追えーーーっ!!!」

仲丸達が和樹が居ない事に気付いて追いかけ始める。

仲丸のように肉体強化して同じ道を追う者、空を飛んで追う者と居るが、その数は男子の半分だけ。

駒野と數馬は和樹の味方なので、18人のはず。だが追手の数は9人。

「うぐぐぐぐ・・・・。」

「げふぅ・・・・。」

残りは和美達に殲滅されて、教室に無残な姿を残していた。

範囲と位置の関係で半分しか仕留められなかったようだ。

「和美、どうするの?」

「う〜ん、和樹が仲丸の馬鹿に負けるとは思わないけど、一応助けに行きましょう。」

和美と沙弓がリーダーとなって女子を引き連れて教室を出る。

残されたのはボロボロの男子と、状況が飲み込めない枝村達。そして死体もとい重体(?)の男子を保健室に運びに来た數馬の姿であった。


「ねぇ、式森くん、どうしてあの魔法の中無事だったの?」

肩に担がれている摩琴が、涙目で質問してくる。

因みに彼女の涙は嘘涙である。和樹も一応理解している。

矢夜は和樹に抱かれ(俵扱いだが)ているのでちょっとトリップ中。

「あれ?あれは、このロザリオとロッドのお陰だよ。」

そう言って和樹は手に持つロッドと、首から下げてあるロザリオを見る。

ロザリオの方は制服の中に隠れていたのが出ていた。

「これ、なに?」

「太陽のロザリオって言って、身に着けた人に陽光の加護を施してくれるんだ。これの力で魔法を弾いて、このロッドの力で逃げてるわけ。」

そう言って視線をロッドに移すと、ロッドが少し魔力に包まれていた。

疾風の力が籠められたロッドによって風に乗り颯爽と走る和樹。

摩琴はそんな和樹の姿にちょっと赤くなる。

どうやら遊佐よりも先に彼女が落ちそうな感じだ。

「ま〜〜〜て〜〜〜っ!」

「あ、仲丸達が来た。ちょっと揺れるよ二人とも。」

「う、うんっ」

「・・・・・(うっとり)」

摩琴は言われて和樹の腕にしがみ付き、矢夜はうっとりとしているがちゃんと掴まる。

と言うか、標的は和樹なのだから降ろせばいいのに、誰もそれに気付かない。

まぁ矢夜は今の状況を堪能中。普段彼に積極的になれないので余計になのだろう。

摩琴は・・・和樹の意外な一面にときめきメモリアル中?

疾風のロッドの力で加速した和樹が校舎の外に迫出た縁を走りぬけ、壁を蹴って校舎裏を目指す。

それを追撃する仲丸達。

「全ての犯人はお前なんだ式森っ!死ねっ!!」

空を飛んできた六車 迅が意味不明なことを叫びながら魔法を放とうとする

聖なる加護よ、悪しき者に正義の鉄槌を―――ジャスティスッ!!」

矢夜を背中に移動させ、空いた右手でロッドを構える。

そして呪文を唱えると、ロッドが輝き、何かが放たれる。

「うぎゃっ!?」

すると六車の頭上で何かが輝き、六車が落下する。

ちょうど良く木の上に落下した彼の後頭部にはどでかいタンコブが出来ていた。

目がグルグルのナルトになっており、ピヨピヨとヒヨコが頭の周りを周っている。

一瞬だけ、輝いた瞬間に何やら白い羽を持った女性の姿が見えたが、たぶん気のせいだろう。

「し、式森くん魔法使っちゃったのっ!?」

お姫様抱っこに移行した摩琴(嫌がってない。むしろ嬉しそう?)が驚きの声を上げる。

和樹の魔法回数が少ないのは葵学園では有名なのだから。

「大丈夫。ロッドの魔力を媒介にしての魔術だから減ってないよ。」

「そ、そうなんだ・・・・。」

和樹の言葉の意味は良く判らないが、魔法回数が減ってないことに安心する摩琴。

そして、何故自分がこれ程に彼を心配しているか疑問に思い、彼の横顔を見つめながら思案に入る。

矢夜は摩琴の状態に嫉妬しつつも、背中の広さと逞しさを堪能中。

でもその手にはいつか呪い殺す手帳が。恐らく六車がランクインもしくはランクアップしたのだろう。

「なんだっ!?六車がやられたぞっ!?」

後方を追う仲丸達が驚く。が、誰も心配はしていない。これがB組男子なのだ。

「まさか式森め、魔法を使ったのかっ!?」

和樹が魔法を簡単に使ったことに怪しむ面々。それでも追撃の足は止めない。

「こうなったら・・・二手に分かれるそっ!」

『おうっ!』

仲丸達が二手に分かれる。仲丸を先頭にした四人が校舎に入り、、浮氣を先頭にした四人がそのまま追撃をかける。

こういう時のチームワークは良いのに、いつも自滅するのだから救えない。

「ん?仲丸達が消えた・・・挟み撃ちか。」

後ろを確認して仲丸達の行動を予測して行動を切り替える和樹。

当初の目的地であった学園裏(広めの林がある。校舎を破壊しないように考えて選んだ)ではなく、その途中にある体育館の屋根に足を向けた。

校舎裏を目指すと途中で挟み撃ちにされる。ならばその前に片方を倒せば何とかなる。

体育館の屋根上なら被害も少ないと考え、一気に屋根の上へと駆け上がる。

屋根の上で二人を降ろして下がらせ、追手に備える。

「追い詰めたぞ式森っ!!」

浮氣が一番に登ってきてそう指差す。

その後に新井場・玉乃・大黒が続いた。

「女子を人質に逃げるなんて見下げ果てた奴!ここで大人しく死ねっ!」

どうやら二人は人質に思われていたようだ。と言うか二人諸共攻撃した奴が何を言う。

「行くぞ野朗共っ!!!」

「「「うおぉぉぉぉぉぉっ!!!」」」

四人が身体強化魔法を唱えて躍りかかる。

それに対し、静かに胸のロザリオを掲げる和樹。

激流たる風よ、全てを押し返す突風よ、あらゆる障害を押し戻し、我に一時の平穏を―――」

「死ね、式森ぃっ!!」

先頭の浮氣があと少しで和樹を射程距離に捕らえる距離に入ろうとした瞬間、和樹の呪文が完成した。

全て押し戻せ―――アヴァランチッ!!」

和樹の掲げるロザリオが輝き、あらゆる存在を押し戻す風の激流が生まれる。

「「「「うわぁぁぁぁぁぁっ!?」」」」

激流のような風に飲み込まれ、そのまま体育館の屋根から押し流される四人。

その光景に唖然とする摩琴と矢夜。

戦闘が起こる前に問答無用で押し返してしまった和樹の魔術に。

「ふぅ、後は仲丸達か・・・二人ともごめんね、巻き込んだりして。」

「ふぇっ?あ、うぅん、気にしないで!助けてもらったし・・・。」

和樹の笑顔と言葉に真っ赤になって慌てる摩琴。

矢夜も同様の状態だったり。

「うぐぐぐ・・・おのれ式森・・・・一人では死なんっ!覚悟ぉぉぉっ!!!」

和樹が後ろを向いている間によじ登って来た浮氣が魔法を掲げて突っ込んでくる。

「ふぅ・・・仕方ないね。これで―――どうだッ」

和樹がため息と共に懐から丸い球体を取り出し素早く浮氣に向ける。

「へっ、そんな物で俺が――ぐぉっ!?な、なんだっ!?」

浮氣がその物体を目視した瞬間、彼の動きが止まったまるで彼だけ別重力がかかっているようにピクリともしない。

「ガリュンバーの瞳・・・効果ありだね。」

「う、動けねぇ・・・やい式森!元に戻しやがれっ!!」

「嫌。」

即答っ!?

「戻したらまた追われるからね。暫くしたら効果は消えるから大人しくしてて・・・って、千野さん?」

それまで後ろに居た矢夜が和樹の前に出てきた。

手には、どこから出したのか怪しい道具が満載。

「わ、私たちごと式森くんを攻撃したの・・・許せない・・・。だから、今ここで・・・呪うの。」

「ひぃっ!?し、式森、俺が悪かったっ!だから助けてお願い!!」

矢夜の暗い薄笑いに本気で怯える浮氣。

矢夜はB組トップの呪術使い。当然その威力もお墨付きである。

「まずは、一週間悪夢を見続ける呪いから・・・くすくすくす・・・っ」

「ひぃぃぃっ!!し、式森ぃ・・・って居ねぇっ!?

いつの間にか居ない和樹。見渡すと摩琴と一緒に仲丸達の様子を窺がっていた。

「うぎゃぁーーーっ!止めて止して頼むからーーっ!!」

「ダメ・・・これは罰・・・式森くんを苛めた罰・・・くすくすくす・・・えいっ」

プスっと音を立てて何かが刺さり・・・浮氣の絶叫が木霊した。

因みに彼は一週間マッチョなアニキに迫られてハッスルさせられる夢を見続け、伊藤を見ると怯えるようになったとか。

さらに便秘と下痢が三日毎にやってくる厄介な呪いまで受けたとなんとか。

まぁ、自業自得という事で。

因みに大黒達は落下したまま気絶、回収に来た駒野に発見されるまで放置されたままだったとさ。

余談だが駒野と數馬は有料で彼らを保健室へ運ぶ仕事をしており、運ばれた連中から手数料を貰っているらしい。


「えぇい、式森めどこへ行ったっ!?」

特別校舎(実験室などがある)内を捜索中の仲丸達。

途中で校舎の外を走っていた和樹が消えたため見失い、こうして探している最中なのだ。

「どうするんだ仲丸、このままじゃ遠くに逃げられるぞ。」

伊藤が探しながら問いかける。しかし伊藤よ、流石にゴミ箱の中は居ないだろ。

「分かっている。なんとしても奴に制裁を・・・ん?」

ふと廊下の先を見ると、そちらから中田一子と鳴尾来花がやって来た。

「仲丸君、式森が校舎裏に行ったわ!」

「なにっ、本当か!?その情報は確かなんだろうなっ!?」

疑り深いのがB組の性質。しかも少し前までデマだらけの新聞を書いていた鳴尾が一緒なのでさらに疑っている様子。

「本当よ、女の敵を助けるほど馬鹿じゃないわ。」

「それもそうか。よし行くぞっ!」

「「「おうっ!」」」

仲丸達の後姿をヒラヒラと手を振って見送る二人。

「ええ・・・女の敵を助けるほど・・・馬鹿じゃないわ。仲丸君♪」

「女子もろとも攻撃しようとした馬鹿達を・・・ね。」

ニヤリと歪めた二人の笑みは、まさしくB組の笑みであった。

仲丸達は特別校舎の非常口から外へと飛び出し、辺りを見回す。

「えぇい、何処に居る式森っ!」

「あ、あそこだ仲丸っ!」

阿部が指差した先には、後ろを向いた和樹の姿。

「見つけたぞあの野朗、行くぞ皆、奴に天罰を与えるのだっ!!」

「「「おうっ!」」」

四人が和樹に向かって駆け出す。

そしてそれに気付いたように振り返る和樹。

その表情は、ちょっとすまなそうな顔をして、手をヒラヒラと振っていた。

「ふざけやがって!!」

仲丸がそれを見て激怒するが、和樹が手を振った意味が挨拶ではなく、別れの振り方だと・・・気付いた時には遅かった。

「今よっ!」

「何・・・っ?うぉぉぉぉぉっ!?!?」

突然横の林から声がして仲丸達の注意がそちらに逸れた瞬間、足元から荒縄で出来たトラップが彼らを襲った。

「な、なんだこれはぁっ!?」

網に捕らわれて宙吊りになる仲丸達。

「くすくす、良い様ね仲丸。」

「き、貴様は・・・っ!?」

木の陰からくすくす笑いながら出てきた人物・・・B組最強の策士、松田和美嬢であった。

「松田!貴様奴に寝返ったのかっ!?この裏切り者めっ!!」

「あ〜ら、私が何時あんた達の仲間になったのかしら?」

余裕の笑顔で返す和美。

その後ろから沙弓達が出てくる。

「おのれ、こんな網なぞ魔法で・・・・・・・・・・・・・な、なんで使えないんだっ!?」

「知りたい?それはね・・・上を見てみなさい。」

「上だと・・・・うげっ!?」

仲丸達が上を見上げると、網の入り口辺りに沢山の蟲が止まっていた。

「な、仲丸、お前の頭にも居るぞっ!」

「なにっ!?って、そう言うお前の肩にもっ!なんなんだこの蟲はっ!?」

直径15センチは超えている煌びやかな蟲が、仲丸達の身体に張り付いていた。

でかいが、身体がキラキラして綺麗な上にカナブンの大きい感じなので女子達もそれほど嫌がっていない。

「それはね、鏡蟲って言う蟲よ。この子達は生き物の魔力が大好物なの。どう、魔法が使えない気分は?」

「貴様、何が目的だっ!何故式森なんぞに手を貸すのだっ!!」

「そんなの私たちの勝手よ。それより仲丸、そろそろ渡して貰いましょうか?」

「な、何をだっ?」

「私たちの取り分。賭け、勝ったんだから。」

「ギクッ!?」

思わず擬音を口に出してしまう仲丸。それを聞いてあっ、と言って賭けのことを思い出す男子三人。

「和樹のことで上手く誤魔化したつもりでしょうけど、私たちは誤魔化せないわよ・・・。さぁ、渡して貰いましょうか?」

B組な笑顔を浮かべて迫る女子&いつの間にか来た駒野・數馬。

「ま、待ってくれ、今金が無いんだ・・・だから・・・やめろ、来るな、うぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

仲丸はこの時初めて、和樹が浮かべたすまなそうな顔の意味を理解したが・・・時既に遅し。

無一文となった彼を慰める者は居なかったと言う。

「・・・・・・・・・・式森、お前のだ。」

「あ、ありがと駒野。それとごめんね、色々巻き込んで。」

「・・・・・・・・・・いい。稼ぎにもなった。」

和樹に配当金を渡す駒野。彼の財布はB組男子を運ぶバイトでかなり膨れている。

「・・・・・・・・・・・・今度、飯を奢る。」

「そう?なら、數馬も連れてラーメンでも食べようか。」

「・・・・・・・・・・・・・ああ。」

B組で唯一男子の友情を持っている二人が笑いあう後ろでは未だ仲丸達が吊るされたままだが、とりあえず無視。

その後B組は男子が三人しか居ない状態で授業することになったが、いつもの事と誰も気にしなかった。

むしろ、厄介な連中が居なくて平和だと教師の一部が言っていたり。

なお出番の少ない夕菜は、B組女子に友好的に受け入れられ、その後B組女子協定(通称式森協定)を説明されて落ち込んでいたとか。

「うぅ、和樹さんが素敵なのは認めますけど、どうしてこんなにモテるんですかぁ〜っ」

と、嘆いていたとか何とか。

下手に嫉妬してしまうと和樹に嫌われると思い我慢している様は大変可愛らしいが、某団体(KKK)からこんなの夕菜じゃないと文句が来そうで怖かったり。

とりあえず、夕菜の転校初日はこんな感じだった。


げんなりんと続く。


モンスター図鑑

鏡蟲
周囲に居る生物などから魔力を吸収してしまう昆虫。
輝く体が鏡の様なのでこう呼ばれている。
似たような蟲に『黒曜蟲』が居るが、こちらは魔力を錯乱させるタイプである。
大きさはだいたい15センチほど。カナブンのような見た目である。


小ネタ KKK=恐い・恐い・キシャー様


あとがき

ラフェロウです。
今回は召喚の説明・・・のはずなのに要点を得ない意味不明な部分が多いorz
まぶらほ世界の召喚とモンコレの召喚の違いを自分流に書いてみたのですが、矛盾等がございましたら感想までどうそ(何)

今回は幽霊編を先伸ばして転入編をお送りしました。
相変わらずマイペースに女の子を落す和樹と、キシャーっぽくない夕菜。
むしろかおりの方がキシャーっぽくなっている事に恐怖しつつ、美味しい活躍の駒野達。
何故かラフェロウは駒野&數馬を悪役で書けません。何故でしょ?(オイ)

話中で和樹君がスペルを使いましたが、呪文と効果の内容がおかしいと感じましたらご一報を。
一応効果と絵柄などで想像したのですが、どうでしょうか?
なお和樹君が装備していたアイテムの太陽のロザリオは確か魔法を反射したとありますが、カードには一回きりと表記されています。と言うか行動終了型。
B全員の魔法を防ぐのは無理じゃね?とお思いの方も多いと思われますが、その辺は同時に放たれたので一回と見なしたと言い訳を(何)

と言うか矢夜と摩琴の性格あれでよかったっけ?と疑問に思いながらも彼女達が登場している小説の巻がどれだったか忘れて確かめられず。
B組生徒の喋りや特徴がいまいち把握できていないラフェロウでした(駄目じゃん)


余談ですが自分、デーモンとアヌビスが主力なんですよ。魔デック使いなのにアンデッドは髑髏の騎士だけ。
微妙にコスト大きくて数でこられると弱かったり。コスト5とか6が多いから(汗)
一体だけとかだと対抗ができなくて突破されたり・・・。相手がスペル主体だと特に弱い。
アイテム主体の相手に、ディスターブウィングで挑んだのは楽しかったけど(何)
アスモデウスは対抗手段が多く組まれているし、髑髏の騎士は魔単体だと微妙に弱い(汗)
聖には強いけど聖単体って少ないですしね。友人が一人ワルキュリア&スペル主体で組んだのと対戦しましたけど・・・。
ゴールデンバウム三体って酷くないっ!?しかもワルキュリア鎮魂隊三体って酷いし(涙)
アヌビスだけじゃゴールデン突破無理。かと言ってデーモンだと鎮魂隊に殲滅させられるし・・・。
そんな時に限って髑髏の騎士は代理地形だったりして・・・もうボロボロ。
結果惨敗。その友人は全国大会で準決勝だか準々決勝だかまで進んだ強者。カード枚数凄かったし・・・(汗)
皆さんも苦手なデックとかボロ負けした試合とかありますかね?


そして図々しくも募集〜。
和樹達の敵として登場するモンスターを大募集。
レベル5〜1までのモンスターで、属性等は問いません。
こいつ敵なら面白くない?みたいな感じでレスして頂けると嬉しいです。
敵だけではなく、和樹に召喚してもらいたいモンスターなども募集中です。
でもバハムートとかフェンリルとかの超強力ユニットは勘弁して欲しいです(汗)


さぁレスを返そう。


偽・無法召還士様
感想ありがとうございます。
耐性持ちのモンスターと合体>アイディア自体はとても良いのですが、その合体のプロセスをどうするかとか、どうしてそれが出来るのかとか考えると色々と大変で・・・(汗)
でも耐性持ちを云々はやりたいですね、是非にでも。

王様と七人>その通り。でもどちらが出るかは謎ですが(何)

引きが悪いとどうしようもないんですよね>そうなんですよ、スペル無しモンスター一体でどうしろと?みたいな時も多々ありましたし、やはりモンコレは甘くないです。


ダイ様
こちらこそ初めまして。そして感想ありがとうございます。
はい、私の作品の主人公の宿命ですから、ハーレムは(邪笑)
珍しさを感じるのは・・・原作に忠実な方が多いからかと。
この作品の和樹君はかなりマイペースですから。

次週は修羅場か?>申し訳ないです、修羅場はまだ先だったり・・・(汗)
今回の話は、夕菜の転入とクラスの状況説明みたいな感覚だったので。
幽霊編にはあの子も登場して夕菜達と・・・。

幸せの白い鳩>その手があったか!(何)

魔道書は一体誰が書いたもの>まだ内緒ですが、一応モンコレのキャラを名前だけ出演させようかなと…。

オールレンジカウンター&属性変化殺し>うわ、私のデックと相性最悪(汗)
私のデックは押せ押せ道連れデックなので、対抗系に弱いです(苦笑)


D,様
感想ありがとうございます。
はい、何故か管理人さんまで攻略済みに・・・(汗)
和樹と同衾経験があるのは幼馴染三人と自称吸血鬼、そしてマッドの妹と眠り姫だけです。

契約した者達が血>その筋での召喚とかも面白そうですね。例えばエンジェル系とかワルキュリア系とか・・・。
見つけた剣はまだ内緒ですが、アスモデウスの剣(デーモンスカルだっけ?)ほどのモノではないです。
でもかなり強力だったりします。


なまけもの様
感想ありがとうございます。
そうですね、リーラの後ろをピョコピョコ付いてくる彼女達を想像するだけで・・・ブハッ。(赤い噴水)
メイド編では彼女達にも活躍してもらう予定です。

凛はただの切れて人を殺すガキ>凛ちゃんは好きなんですけど、最初のこれだけはどうしても好きになれなかったり・・・(汗)
キシャー様の方が最初は大人しかったし(汗)

彼女にどこまでサレたのか>どこまででしょう?まだ和樹君は童貞のはずなので多分手淫かな?(何)

ハーレムルートは決定項ですか>当然です。むしろハーレムでない作品なんて私は書けません(マテ)


SLY様
感想ありがとうございます。
和樹君の使役しているモンスター達は彼に引っ張られたのか、ほのぼのとした性格の子が多いです。
一部例外もありますが。

速攻デック>友人の一人が同様に速攻タイプで、しかもイニシアチブ+持ちばっかりだったので苦戦しまくりました。速攻系は波に乗ると物凄く強いですよね。
真のギャンブルデックはスフィンクス入りデックです。あれには苦戦します。二重の意味で(何)

作者はもしかしてベルフェンディータとか>物凄い危険かつ強力なユニット満載になっちゃいますよw

今回の話はお楽しみいただけたでしょうか?


IGRESS様
感想ありがとうございます。
ブラウニーズは萌えモンスターですよ?(何)
他にも妖精系モンスターを大量に出したいです(マテ)

胃をやられたあの先生>実は和樹のお陰で何とか回復したのですが、かおりが赴任してきて移動になってしまいました(何)今でも偶に手紙のやり取りをしているそうです。・・・と言う裏設定が(マテ)

同時攻撃デック好き>一時期ウォードラムなどを使ってましたね。あれはモンコレの一つの特徴でしたよね〜。と言うかフェンリルが同時攻撃とかしてきた時とか本気でピンチです。ヨルムンガルドなども同様。抵抗手段が軒並み無駄になるという悲しさ。でもそこがギャンブル的で楽しかったりしますよね。


幻覚キャベツ様
感想ありがとうございます。
雪のイベントの話は、一番最初に思いついたモノでした。
和樹が幽霊になることは無いと言いたいですがどうなる事やら(何)
因みに残念ながら紫乃は既に陥落済みだったり(マテ)
和樹の召喚するスケルトンなどを愛でて楽しんでいたりします。

黄金の剣>ありえるどころかまずそうでしょう。と言うか何処からともなく現れて持ち逃げしそうですねw

空中庭園の話は先になりますが必ず書きますよ〜。構想が半分くらい出来ましたし。
でもその前に本編進めないと(汗)


あし様
感想ありがとうございます。
コレクションの薔薇のお部屋へようこそ>マジですか(汗)
あのコーナーを書くには、私では技量が足りない可能性が(苦笑)
でも面白そうですね・・・モンコレナイトのアニメ探して見直します。


千葉憂一様
感想ありがとうございます。
千葉様もブラウニーズに胸キュン(死語)ですか、私もです(何)
と言うか初めて買ったカードで入っていたレアが花園の歌姫だったので一撃でした。
そして友人が分けてくれたカードに入っていたブライニーズにイチコロ。もう止められないw

もちろんハーレムについては「了承」の方向です>ありがとうございますw
あまりハーレムは好きじゃない方も居られるのでちょっと心配な時も多かったりします。
続きも頑張って書かせていただきます。


紅様
感想ありがとうございます。
おお、夕菜派の方でしたか、喜んでいただいて何よりです。
自分女の子好きなので女性を悪役に出来ないのですよ。なのでキシャーの扱いもそれなりに・・・なる・・・はずだと・・・(汗)
私としては清純なままの可愛い嫉妬程度な彼女で居て欲しいですね(何)


ドラ夫様
感想ありがとうございます。
最近レス返しが本編書くより楽しかったりする私です(何)
管理人さんもハーレム入り、これは譲れません(マテ)
魔法回数は・・・もしかしたら減らないかも!?・・・いえ、多分減るでしょうけど(苦笑)

始めたの小5からでしたけど>自分は高1からでした。友人が物凄いコレクターで進められたのが始まりでしたね。
種族統一系・速攻デック>おお、種族統一ですか。これは同じ種族のカードを集めないといけないので自分には無理でした(汗)変にレア系は引くのに、何故かコモンが揃わない罠。友人達とトレードでなんとかアヌビス系を揃えました。
蟲デック・・・地区大会の相手がこれ。大砂蟲が・・・大砂蟲がぁぁぁ・・・。
三匹連続で来られると対抗が尽きて蹂躙されちゃうんですよね・・・(涙)
やはり速攻系は扱い易いのでしょうか?


A・H様
感想ありがとうございます。
コレクション伯爵ですかぁ・・・良いキャラなんですけど絡ませ難いのが難点ですねぇ・・・(汗)

「了承」承りました〜、頑張ってハーレム作らせますよ〜w


次回は幽霊編。エリザベートに活躍の場はあるのか!?(何)

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