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▽レス始

「シン君の目指せ主人公奮闘記!! その6-5(ガンダムSEED−D+いろいろ)」

ANDY (2005-10-02 14:21)
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「はぁはぁはぁ、くそ!!」
 荒い息づかいと、現状のいらつきから罵声をコックピット内で上げながら、シンはスティックを巧みに操作させ機体を動かした。
 狭いコックピット内に響くアラート音と、激しく点滅を繰り返すモニターの光がシンの神経を逆立てる。
    ビービー
「?!ロックされた!!」
 警告音はまるで死神の口笛のように聞こえ、背筋を何か冷たいものが流れ、それに従うかのように機体を斜めに下げるようにスティックを動かす。
 が、その操作が刹那ほど足りなかったのか、モニターに右肩損傷の文字が浮かぶのを目にし、シンは舌打ちすると同時に、相対している相手の力量にただ舌を巻くだけだった。
 舌を巻くと同時に、自分の手持ちの武器である左腕に装備されたシールドから2連装ビームクローを発生させたという表示がモニターに映るのを確認すると、シンは迎撃の構えを取った。
 両足と背中に追加装備されたスラスターを全開にし、自分の今の対戦相手であるオレンジ色のゲイツに向けて斬りかかった。
 頭部のバルカンを牽制用に撃ちまくるが、相手はそれを軽く旋回し避けると同時に、両腰に装備されたエクステンショナル・アレスターを起動させ縦横無尽と言う言葉を表すかのような軌道で襲い掛かってきた。
「くそ!!」
 その様子に、驚きと恐怖をない混ぜた言葉を口にすると同時にスラスターを小刻みに噴射させ、左手のビームクローでエクステンショナル・アレスターを一基斬り飛ばすと同時に、間合いをつめようとした瞬間、モニター一杯に映し出されるライフルの銃口が目に入ってきた。
「うそだろ」
 かすれ呟いた声に応えるように、銃口に淡い光が集まり、その凶悪な光は放たれた。


「うぐぅ〜〜〜〜」
「お〜い。生きてるか〜?」
「死んでますだぉ〜〜〜〜〜」
 ある機体のコックピットを開放した整備員は、その中に未確認生物を見つけて一瞬驚いたが、それがへたり込んでいる客人だということを認識してそのような言葉を掛けたのだが、返ってきた答えを聞いてどうするべきか悩んでしまった。
「おいおい。なに溶けてるんだ?情けないぞ〜」
「…………元凶が何を爽やかに言ってるんですか」
「ん?爽やかさが俺の売りだからな」
「そうなんです?」
「さあ?」
 整備員との不毛な会話を展開しているところに、赤いパイロットスーツを纏った男性がからかいを滲ませた声で話しかけてきた。
 その男に毒を少し滲ませた言葉を投げかけてみるも、あっさりとかわされた事実に憮然とした表情を浮かべながら、シンはコックピットシートからふらつく足で立ち上がり、軽く蹴り上げて無重力空間の格納庫内へと体を踊りださせた。
「あ〜、まだ平衡感覚がおかしいですよ」
「鍛え方が足りないからだ」
「もう少し優しくしてくれてもいいと思いますけど?ハイネさん」
 ふらつく頭を軽く叩きながらぼやくシンに、その横を一緒に浮かんでいた元凶―ハイネ―は苦笑しながらシンの未熟さを指摘した。
 その指摘された内容に抗議の声を上げるも、シンはこれからの肉体強化メニューに三半規管の強化も入れようと心に固く誓った。
「それにしても、どうよ。機体の乗り心地は?」
「ええ。驚くぐらいによくなっています。さすが現役のメカニックたちですね。まさか、あれをここまで改良するなんて」
 他の整備員から手渡されたドリンクを口に含みながら、シンは自分がさっきまで乗り実戦形式の演習を行っていた機体を見上げた。
 そこにいたのは、あのデブリの中で運命的な出会いをし、自分のためにその力を過分なく貸し与えてくれた105ダガーの姿があった。
 が、その姿形はあの時見つけたものとは若干異なっていた。
 まず、両肩の装甲がダガー本来のものからゲイツの装甲に変更され、また両足と背中にハイマニューバの新型スラスターを取り付けられ機動性が格段に向上していた。
 武装面では、両腰にビームサーベル、右手にゲイツのビームライフルと二基のビームクローを内蔵したシールドを左手に装備しており、頭部のデュエルセンサーも一対から二対へと改良が施されていた。
 その、ジャンクパーツの寄せ集めのような不恰好な、それでいて整合性の取れている機体を眺めながらシンは整備員達の腕のよさにただ感心していた。
 良くぞここまで好き勝手に改造できるものだ、と。
「驚いたか?」
「ええ、まあ。さすがにここまでされると」
 シンの内情を察してか、どこか楽しそうに尋ねるハイネに苦笑を浮かべながら応えた。
「プロを舐めんな〜」
 どこか相手に対して誇るように、まるで自分のことのように笑いながら言うハイネの言葉を聞き、シンは降参の意を表すように両手を軽く挙げた。
「はい。舐めません」
「うし。なら、着替えて反省会をするか」
「了解」
 ハイネに促され、ブリーフィングルームに下がるシンの目に、なにか異様な雰囲気を纏いながらダガーに群がる整備員の姿が映ったが、そのことは綺麗に無視することにした。
(ヘルプ!!マイ マスター!!)
(ごめん。無理)
 なにか、頭に響く助けを呼ぶ声に涙を流しながら謝り、シャワールームに向かっていった。
(いやー!!そんな所いじらないで〜)
 オレニハナニモキコエナイ。


 温めのお湯を頭から浴びながら、シンは先ほどまで行っていた実戦形式の演習を思い出していた。
 実戦形式、と言うのはビーム等の電源供給は止めて、コンピューター上は実際にビームが発生しているように、実際にダメージを受けたように疑似的に体験することが出来るように調節されており、これはアカデミーでも後期に体験する項目だった。
 シミュレーターでは体験することの出来ない本物のG。
 周囲に浮かぶデブリや本物のNジャマーの干渉。
 それらを実際に体験するかしないかで、その後の戦士としての資質が変わるのは確実だった。
 演習内容は、ハイネのゲイツとシンのダガーMk−Uの一対一の対戦だった。
 結果は、シンの惨敗であった。
 必殺の一撃で放ったビームは軽く避けられ、必殺の間合いでの一撃は軽く防がれ、かわしたはずの一撃は確実に自分の身を削り、その機体性能を十分に活用する姿は、さすがフェイスと納得するしかなく、歯牙にもかけられることなく演習は終了してしまった。
 ハイネの強さは、今のシンよりも遥かに上であり、その強さが本物の戦士のものだと直接肌で感じた。
 だが、その強さは遥か彼方にあるようにはシンには思えなかった。
 だからこそ、シンはその強さに憧れるとともに胸に誓う。
「絶対に、追い越してみせる」
 ただ憧れ、その姿を眺めるだけではなく、いつか追いつき追い越す。それこそが戦士の本分ではないだろうか。
 そう思い、胸に誓いを立てながら、シンはこれから経験する全ての事を貪欲に身に付けようと思った。ここでの一日分の経験は、アカデミーでの一ヶ月に勝るとも劣らないと思えたからだ。
 シャワーを止めて、シンはタオルを腰に巻き着替えるために更衣室に向かった。
 さあ、日々精進、鍛えよう心と体。
 確実にシンは成長を始めていた。


「では、本当にお世話になりました」
 シンは、見送りに着てくれた整備班とパイロット達全員に向け感謝の意を込めて頭を下げた。
「おう。元気でな」
「ちゃんと勉強しろよ」
「俺たちが教えたんだから絶対赤を着ろよ!」
「体は大事にな」
 各々声をかけてくれるそれに、一つ一つ応えながらシンは宇宙港に繋がっている連絡用通路へと向かった。
 シンは結局、ホーキンス隊の下で四日間ほど世話になった。
 だが、この四日間はシンにとって掛け替えのないものになっていた。
 現役のパイロットの直接指導、整備員による整備のコツやOSの構築理論の教授、手際よく綺麗にできる掃除のコツなど、上げれば限がないほどの裏技を教えてもらえ、また戦士としての心構えなども学ぶことが出来た。
 自分に惜しみなくそれら全てを与えてくれた人たちに、シンはただただ感謝の気持ちで一杯だった。
 だからこそ、その期待には応えなくてはならないし、応えたいという思いがシンの胸の中に湧いていた。
「はい。次に会う時には赤を身に纏っています」
 だから、そう誓いを立てることに抵抗はなかった。

「あ、ハイネさん」
「よ!」
 連絡用の通路入り口に佇んでいる人を目に留め、シンは声をかけた。
 声をかけられた人であるハイネは、軽く敬礼のように右手を上げた。
 それに応えるようにシンも崩した敬礼をし、ハイネの前に立ち止まった。
「四日間お世話になりました」
「なに。俺も楽しかったから気にするな」
 頭を下げて礼を述べるシンの頭を、乱暴に撫でながらハイネはそう応えた。
「ちょ!止めてくださいよ」
「はははは。な〜に、餞別代りだ。遠慮なく受け取れって」
 シンの静止の言葉を聞き流すハイネに、諦めたのか気の済むままに撫でさせるシンの姿があった。が、その顔には嫌悪感はまったくなかった。
「もう、髪が大変なことになったじゃないですか」
「そうか?男前度が上がっていい感じだぞ」
「………そんな無駄に爽やかな顔で言われても説得力皆無ですって」
「そうか?」
 虚脱感に襲われながら答えるシンの言葉を、シンが言う無駄に爽やかな笑顔で聞き流すハイネがいた。
「で、おふざけはこの辺までにして。シン」
「はい」
 真面目な顔をして呼びかけるハイネに、シンも真面目な顔で応じた。
「これはお前より先に生まれ、色々と経験した先輩からの言葉だ」
「はい」
「世界ってのはな、色々と優しくなくて気まぐれだ」
「はい」
「昨日まで信じていたもんが、いきなり間違っているって言われることもある」
「――」
「その逆に、昨日まで間違っていたものが、今日になって正しいって叫ぶ奴が出てくることもある」
「――」
「そんな風にな、俺達は世界、もしくは運命って奴に大なり小なり左右されて生きていく。いや、生きていくしかないんだ」
「――」
「そんな世界、お前はどう思う?」
「………俺は」
「ある奴は、仕方がない、っていってそれを受け入れる。お前もそうか?」
「………」
「運命だから受け入れるしかない。それが運命だから、って言う奴もいる。でもな、本当にそうなのかな?」
「………」
「俺はな、こう思っている。それに従うのが運命ならば、逆らうのも運命なんじゃないか、ってな」
「………逆らう」
「そうだ。だけど何でもかんでも逆らう、って言う意味じゃないぞ。自分でちゃんと考えて、悩み、自分なりの明確な答えを導き出すってことだ。自分が苦しんで出した答えなら、何よりも信じることが出来るだろ?」
「……はい」
「ま、俺たち兵士は上の命令に従うのが本当だけどな、全部を全部鵜呑みに聞くのはただの馬鹿さ。考えるのを放棄するのはただの人形だ。だからな―」
 力強いまなざしでハイネはシンを見つめ、シンも強い眼差しで見つめ返した。
「考えろ。迷え。苦しんで苦しんで、自分なりの答えを見つけ出せ」
 そこで表情を緩め、ハイネは兄が弟に言い聞かせるように言った。
「な〜に、大丈夫。お前は一度経験したんだからな。一度経験したんだから、それを活かしていくことは出来るさ」
「はい」
「あとな、仲間は絶対に大事にしろよ。もう一つの家族、って言っても言い位大事なものだぞ」
「わかりました。大事にします」
 力強く頷くと、シンは満面の笑みを浮かべハイネに答えた。
「うし!なら、最後にこれだ」
 頷くと、ハイネは右手を差し出した。
 それを見たシンは、慌てて服に右手を擦り付け、そしてハイネの右手を握った。
「元気でな」
「はい。ハイネさんも元気で」
―負けるな―
―負けません―
 万感の思いをお互いに込めながら、二人は握手をした。


「う〜〜〜〜〜ん!!やっと帰ってこれた!!」
(ほんまにやっと帰ってこれたな〜)
(そうですね。でもまだ宇宙港のロビーですからね。部屋に帰るまで気を抜いてはいけませんよ)
(お!遠足は家に狩るまで遠足や、っていう法則やな)
(ええ、そうですよ)
……………まてや、おい
(はい?)
(なんや?)
何ナチュラルに電波が復活してるの〜?!ていうか、唐突にあんたら登場しすぎ!!
(何言うとんねん。これでもワイら気をつこうたんやで)
(そうですよ。シリアスな雰囲気の中にこの人を割り込ませないように私がどれだけ苦労したか)
(うわ!悪もんわいかいな?!)
(違うって言い切れるんです?)
 いきなり脳内に響く漫才に、俺はげんなりとした気分になってしまった。
 いつの間にか備わっていた傍迷惑な特殊能力は、いつの間にか消えたものだと喜んでいたのに。
(ちくしょー!!なんだかどちくしょーーー!!)
((ははは、何もそんなにうれし泣きをしなくても(いいじゃないですか)(ええやんか)))
 ………神様さえ殺せる「直死の魔眼」を誰か一時的に貸してくれ!!
(あは〜。このお注射を打てば手に入りますよ〜)
 ……………謹んで辞退させていただきます。割烹着の上にフードを被っている美しいお姉さん!!
(ちぇ〜)
(にゃにゃにゃ。ならあちしがおみゃあを鍛えてやるにゃ)
 いや、遠慮するから。猫っぽい未確認生物。
(よ〜し!!今回も道場開催よ!!ついて来い、弟子一号!!)
(おす!師匠、どこまでもついていくっす!!)
 バッドエンド?いつのまにかバッドエンドを迎えたのか?!答えろ!!トラにブルマっ子!!
 っていうか、何今回のこの混線具合は?!
(あ〜、あれや。いままで溜まってたぶんが一気にきたんやね)
(そうですね。結構長い間シリアスが続いていましたからね)
 …………俺にシリアスは似合わない、とでも言いたいのか。あんたら。
((((((♪〜〜〜♪))))))
 目を逸らすな!わざとらしく口笛吹くな!!
 う、ううう。何でこんな目にあわなくちゃいけないんだ。さっきまで、こう、ガンダムらしい空気の中にいたって言うのに。
((((((それが、あなたの運命よ〜〜〜♪))))))
 ………うわ〜い。何ミュージカル調でそうも断定しやがるかね。この電波な人たちは。
 くそくそ。それが運命だって言うなら、それに逆らってやる!!
 さっきハイネさんにもそう誓ったんだから!!
((((((お〜〜〜〜〜〜〜))))))
 あ、ども。いや、なにも拍手するほどでも。
(うむ。よういうた!それでこそ男の子や!!)
(ええ!感動しましたよ!!これからも陰ながら応援しますから頑張ってください!!)
 ………おい。
(か〜!エエもん聞かせてもろうたな〜)
(ええ。本当ですよ)
 ………いや、だから。
(あ、そういえば言うことがあったんやなかったかい?)
(ん?ああ、そういえばそうでした)
 ………あのな、あんたらが俺の頭から出て行けばな。
(シン・アスカ君)
 全てが解決、って、はい?何改まって。
(今日のあなたのこれからの運勢ですけど)
 いきなり占い?!
(ぶっちゃけると「大凶」ですから)
 ぶっちゃけすぎだろ、それ!!
(あ、シン、シン。後ろ〜)
 って、ドリフかよ!!

 そう電波に突っ込みながら振り向いたと同時に、胸に軽い衝撃を受けた
 その衝撃に軽く咳き込みながら、その犯人を見てみると赤い髪の毛が見えた。
「え、と。ルナマリア?」
 自分の頭を俺の胸に押し付けているルナマリアに、俺はどう声をかければよいかわからずに、ただ馬鹿みたいに名前を呼ぶしか出来なかった。
「――――」
「え?あ〜、もう少し大きな声で言ってくれるとうれしいんだけど」
「――――」
「いや、そのね」
「心配したって言ってるのよ!!バカ!!!」
 耳を近づけたその瞬間に、ルナマリアの大声が耳に響いた。
 その衝撃に脳を揺さぶられながら、俺は初めて気がついた。
 ルナマリアの体が震えてることと、泣いていることに。
「………ごめん」
「!!」
 そう口にした瞬間、ルナマリアは俺の胸を叩き始めた。
 それを甘んじて受けながら、それでも俺はこう口にした。
「本当にごめん。心配掛けちゃったんだな」
「!!」
「ごめんな」
 俺は胸を叩かれながら、ただ謝ることしかできなかった。
「……バカなんだから」
「はい」
「………本当にバカなんだから!」
「はい」
「四日間も連絡がなくて心配してたのよ!!」
「え〜と、連絡はいっていたはずでは………」
「私には直接なかった!!」
「はい。ごめんなさい」
「バカ」
「はい。ごめんなさい。それと、ありがとうな」
「………え?」
「心配してくれて。変な言い方だけど、すごくうれしいんだ」
 そう。ここまで掛け値なく心配してくれることに、無償の喜びを感じていた。
 ああ、俺は生きているんだな、と思えるから。
「だから、ありがとうな」
「…………ずるいよ、シン。そんなこと言われたら、もう怒れないじゃない」
「そっか?」
「そうよ」
「そっか」
「うん」
「…………」
「…………」
「…………」
「………あのね」
「うん?」
「お帰りなさい」
「………ああ、ただいま」
 泣き腫らした目だけど、それでも、その笑顔はとても綺麗なものに見えてしまったのですよ。マイシスター真由美。
 だから、健全な男の子として俺がした行動は十分考慮されるべきだと思うのです。
 その、ルナマリアの唇に目が言ったことも、それに向けて俺の顔を近づけたことも。
 いえね、ああ、拒否されるだろうな〜、と思ったんですよ。
 ですけどね、ルナマリアさん顔を赤くして目をつぶられたんですよ!
 もう、それに俺の理性をリミットブレイクで、アグレッシブビーストモードになりかけたんです。
 だからでしょうか。俺が周囲に対して散漫になっていたのは。
「な〜に甘い雰囲気をばら撒いてるかな!このバカシンは!!」
 ええ。いきなり首に圧迫感を感じると同時に、あの恋愛中毒バカの声が聞こえたんですよ。俺の背中から。
「ぐえ!!」
「散々人に心配させといて、いざ迎えに来てやればこんな甘い雰囲気を満喫させてやがって!!あれか?あれなのか?昨日振られた俺に対してのあてつけか!!」
「しら……てか、はま……」
「はははは。俺以外が幸せになることは許されないのだよ!恨むなら、うんな空気に浸ってた自分と散々心配掛けた自分を恨みな」
「ぐは!ってか、イタイイタイ!!」
 裸絞めから流れるように肩固めをされた俺は、酸素が欠乏している頭でそんなことしか口に出来ずに、段々と意識が遠のいていった。
 だから、俺の視界がかすむ直前に見えた緑色の液体が入った円筒状のものが飛んできて、レオの頭に刺さって見えたのと、空色の悪魔が見えたのも酸素欠乏による幻覚だ。うん。絶対そうだ。そうに決まってる。そうなんだってば。
 ………そういえば。意識が完全に失う直前に唇に感じたあの感触はなんだったんだろう?


「は!!」
「目が覚めたか?」
 なにか、綺麗な川のほとりにいた、無駄に爽やかな感じの頭に立派な角を生やしていた青い肌の人物とお茶会をしていたんだが、いきなり「もう帰る時間だね」とか言われて、でっかいトンカチで殴り飛ばされたはずなんだが、気がついたら俺のアカデミーの部屋にいた。
「シン?」
「あ、ああ。レイ?あれ?俺、何やってたんだっけ?」
「記憶に混乱があるのか。お前は、宇宙港でレオに絞め落とされてからずっと寝ていたんだぞ」
「………ああ、そういえばそんなこともあったような。
 混乱する記憶を思い出しながら、軽くのどの調子を整える。
「大丈夫か?」
「ん?ああ、サンキュ」
 差し出された水を受け取り、それを一口飲む。
 なぜか無償に美味く感じられた。
「さて、寝ろ。明日お前は教官室に呼び出しを食らっているんだからな」
「あ〜、何時に?」
「九時だそうだ」
「りょうか〜い。じゃあ、寝るか」
「ああ」
「………なあ、レイ」
「なんだ?」
「………嫌な役押し付けて、ごめんな」
「気にするな。俺も気にしない」
「でもな」
「それに、お前は約束どおり帰ってきた。それでいいじゃないか」
「………ありがとう」
「気にするな」
「それと、ただいま」
「………ああ。お帰り」


―後書き(仮?)―
 ははははははははは。TVの最終回を見ていい感じに壊れてるANDYです。
 一週遅れの地域の方もいるかもしれませんが、言わせてください。
 視聴者舐めんなよ、監督!!
 もう、そんな言葉しかない最終回でした。
 ううううう。シンに愛の手を!!
 あまりにも、あまりにもな展開でした。
 もう、同人誌レベルやんか。
 最終回をたまたま友人と一緒に見ていたんですが、終わった瞬間に近所のコンビニへ酒を買いに向かいました。
 自棄です。哀悼の意を込めての酒盛りでした。
 さて、うちのシン君は絶対に主人公でと改めて誓いを立てた日でした。
 で、なんか久しぶりに電波を受信したんですが、うわ〜い。今までのシリアスな空気が本当にぶち壊しだ〜w
 ま、まあ、まだテレビ版の時間軸じゃないからしょうがないと思いましょう。
 無事に帰ってきたシン君。
 ですが、一気に天国と地獄を味わった彼の明日はどっちだ?!
 まあ、約一名地獄を味わってるんですが。
 さて、次回はどういう話にしましょうか。
 まったりと日常編でいくか、スピーディーに日常編でいくか、バイオレンスに日常編で逝くか、悩むところです。
 では、また次回にお会いしましょう。

レス返し
>桑ジュン様
 どうもはじめまして?ですよね。感想ありがとうございます。

 >原作があんな展開のものでこの小説を読みに来て『シン・アスカ』の嫌いLVを中和しています^^;。
 ありがとうございます。が、原作はただ彼に愛の手がないだけなんです。小説などには愛の手を感じられるのに(涙)

 >憑依系で最強物ではなく、必死に頑張る話はあまり見かけないですし今まで読んだ中でかなりのお気に入りの部類に入ります
 うれしいお言葉、ありがとうございます。

 >原作の『シン・アスカ』は嫌いなのですが、ここのは好きです
 うれしいのですが、原作の彼も愛してあげてください。

 >105ソードダガーで何とか生き延びたシンですが、ホーキンス隊の任務に追従する事になったみたいですがもしかしてまた105ソードダガーに乗ることになるのでしょうか?戦闘参加ではなくとも何か有りそうですし・・・。ハイネのゲイツとシンの105ソードダガーの実地訓練とか?
 うわ、展開読まれてるし(汗)

 >ともかくも続きを楽しみにしています
 ありがとうございます。今回もお楽しみいただけたでしょうか。また次回も見てください。

>御神様
 感想ありがとうございます。

 >これで、1人の戦士が誕生したわけですね。ハイネも良い感じです
 はい。誕生しました。うちのハイネを気に入っていただけたようでうれしい限りです。

 >原作のシンについて
 いえ。もう、監督達の愛が彼に注がれなかった結果、としか言えませんよ。あそこまで蔑ろにされた主人公って彼だけなんじゃ。

 >では、続きを首を長くしてお待ちしております。
 その後期待にこたえられましたでしょうか?心配ですw

>紅様
 感想ありがとうございます。

 >原作にはない生きた言葉のボレーにググっとさせていただきました
 そう言って頂けると、頑張って書いた甲斐があります。

 >SEEDの話はアストレイサイドが面白いのが常なのは、本編に生きた人間を感じないからですが(話が穴だらけ過ぎと何時も感じてしまう)、こっちは血の流れている人間ですので、話は重いのにホッとしてしまいます
 そうですね。本編はあまりにも皆綺麗過ぎる傾向があるのに対して、アストレイは泥臭さがあるのが魅力ですよね。
 私も、アストレイの千葉さんのような人間ドラマを描けるように頑張りますので応援お願いいたします。

 >“続きをおもっきり待たせていただきますっ!!”
 ぐは!!じゅ、重圧が〜。が、頑張ります!!

>輝翔様
 感想ありがとうございます。

 >前回からずっと楽しみに待っていました
 うわ。うれしいお言葉♪

 >やはり初めて人を殺して、ああならない方がおかしいですよね
 はい。私もそう思ったのでこう書きました。受け入れられたようでほっとしております。

 >ハイネの言葉はシンの心を救ってくれたみたいで本当に良かったです。
兄貴とハイネとシンの三人で酒を飲める日が来ると良いですね。
 はい。やっぱり年長者の言葉に救われる、って言うことは大事なことだと思いますから。
 三人での酒盛り。いつか書きたいな〜。

>次回は皆にボロボロにされるのでしょうね。楽しみにまっています!
 今回、このようになりましたがどうだったでしょうか?次回も楽しみに待っていてください。

>九重様
 感想ありがとうございます。

 >まぁ、これで彼も一歩変態の道に進んだということで。基本的に種とか運命嫌いなんですけどこのSSは好きです。
 ありがとうございます。さて、どうなるんでしょうね?

 >これからもより一層の主人公と電波の方々の活躍を楽しみにしてます
 今回久しぶりに出てきましたが、どうだったでしょうか?

>タカちゃん様
 感想ありがとうございます。

>3人での酒盛りが出来ればいいけど……TV版があの状態じゃね……
 いつか出来る日が来ますよ。争いごとがなくなった平和な世界が出来たら(え?)

>T城様
 感想ありがとうございます。

 >ハイネについて
 気に入っていただけたようでうれしい限りです。
 うちでは彼は大活躍する予定ですので、それまでどうか応援お願いいたします。

 >アカデミーでの再開を早く読みたいという気持ちもありますが、ハイネとの訓練風景を読みたいです。
 今回、このような展開になりましたがどうだったでしょうか?
 まあ、四日間の間に色々な事件がホーキンス隊の中でありましたが、それはいつか別の時間にご報告するということでw

>ユキカズ様
 感想ありがとうございます。

>「お前はどうしたいんだ?」と、アスランの時と同様に自分で考えさせて答えを出させるハイネさん、自分をさらけ出して立ち直っていくシン君。いいコンビに成りそうですねぇこの二人。
 そうですね。今、コンビを組ませるのをレイとどっちにするか悩み始めているところです。どっちがいいでしょう?

>レンヤ様
 感想ありがとうございます。

 >かつて此処まで心に響くSSが有っただろうか?主人公が人を殺してしまった事に苦悩するSSは多々見ますが此処までリアルに描写されている作品はいまだ見た事が有りません
 いや〜、ここまでほめられると恥ずかしいです。が、心に響かせることが出来たのならば、これほどうれしいことはありません。ありがとうございます。

 >そしてハイネがかっこいい!!アニメでも思いましたがSEEDの中で1番頼りになるお方ですね。あの人が生きていれば運命もかなり違った作品になったでしょうに
 うちのハイネを気に入っていただけたようで、うれしい限りです。それに、彼はもう少し見せ場、と言うか何かをもう少し工夫する余地はたぶんにあったと思うのですがね。漫画などでは本当に格好良く、何かを残して消えているというのに。

>リーヴァル様
 感想ありがとうございます。

 >読んでてじ〜んときました。カッコイイよシン。カッコイイよハイネ兄貴。
 そう言って頂けるとうれしいです。これからも感動を与えられるものを目指しますので応援お願いいたします。

>くろがね様
 感想ありがとうございます。

>この手の主人公にありがちな後ろ暗い過去持ちなシンヤ。残り二つの恥ずかしい記憶は一体(笑)?
 それは………秘密ですw

>もんじゃ(比喩表現)にしろ、ブラッドにしろ宇宙空間という無重力の中では気管で詰まる可能性が高く大変危険です。
 ええ。そうですね。でも、まあ、今回は運よく、って言うことでw

 >ハイネ兄貴
 気に入っていただけてうれしい限りです。

 >ソードダガーの末路
 今回のような末路になりました。あのあと、MMIの工場へと運ばれたそうです。彼の明日はどっちだろう?(笑)

>なまけもの様
 感想ありがとうございます。

 >今回これが一番ダメージ大きかった気がする・・・。
 ええ。まだ思春期ですからね〜。しかも、美人さんですからね〜。大きいですよ。はい。

>ハイネ兄貴最高ですね!(以下略)
 そう言って頂けるとうれしい限りです。あの世界には懐のでかい漢が一人もいないので、兄貴がより偉大に見えます。
 アスランもああなる余地はあったんですが、結局キラ至上主義者でしたからね〜。
 これからもよい先輩として、シンに何かしらの影響を与えられれば、と思います。

 >TV版のシン・アスカについて
 ああ、たしかに議長の目指すものの中では彼は本当に主演ですね。
 ですが、あの潔癖の世界の中で彼ほどむき出しのものを見せてくれる存在は他にいなかったのではないでしょうか。
 あんな世界で生きて逝くこれからの彼に、同情しかできないんですが。

>Mr.T様
 初めまして。感想ありがとうございます。

 >ハイネについて
 彼ほど料理のし甲斐があるキャラはいない、と思いこのようにガンバラさせてみました。
 気に入っていただけてうれしい限りです。
 G―Aとかの漫画はかっこよく描かれているんですよね。彼。さすがプロです。
 これからも応援お願いいたします。

>HAPPYEND至上主義者様
 感想ありがとうございます。

 >祝辞に対して
 ありがとうございます。そのような言葉をいただけるとは、うちのシンも喜んでおります。

 >祖父の言葉
 ええ。経験者の言葉は言いようのない力を感じますからね。私達もそれを上手く伝えていけるように頑張りましょう。

 >今回
 はははは。今まで溜まっていた一部の電波が一気にやってきましたよ。どうだったでしょうか?
 今までシリアスでいっていただけに、シンともども私にも来るものがありましたw
 次回も楽しみにしていてください。

>カシス様
 感想ありがとうございます。
 今回の話はいかがだったでしょうか。
 楽しんでいただけたのであれば幸いです。
 次回もまた見てください。

 今回も15ものレスがあり、うれしい限りです。
 さて、今回は後書き(仮)扱いでしたがどうだったでしょうか。
 次回はB−Sideを描くべきか、新章に突入すべきか悩むところです。
 ではまた次回にお会いしましょう。
あ、そういえば、なんか、DVDの十三巻に四十分の特別編があるという話ですが、プロってそんな逃げを利用していいんでしょうか?
 ちょっと疑問に思った秋の日でした。

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