寝る前の「夕食」の時間。
それは、見事なプロポーションを持つ二人の少女にとって、至福の一時だ。
愛する少年をひたすら求め、激しい快楽の中、腰が勝手に動く。
失神しても、もう一人の少女が少年と交わる音で目が覚め、また欲しくなる。
始まってしまったら歯止めは利かない。
少年の事を気遣いつつも止まれない。
そして、時折「大丈夫?」と聞いても、少年は「大丈夫。とっても気持ち良いよ。」と微笑み返してくれる。
また、止まれなくなる。
玖里子は、少年のモノを埋没させた腰を一心不乱に動かしながら、下になっている和樹に抱きついてキスをねだる。
大きく美しい乳房は、和樹の胸の上で柔らかく形を変えている。
対する和樹も、舌を玖里子の舌に絡ませつつ、全身を愛撫しながら懸命に腰を動かしていた。
沙弓は、二人の隣で、恍惚とした表情で激しく交わる和樹と玖里子を見ていた。
その両手は、豊満な乳房と、何度和樹の精を受け入れたか分からない膣に伸びて、オナニーを始めている。
恐らく、玖里子が気をやったら、即座に和樹に圧し掛かり、その過剰な性欲を愛しい少年にぶつけるだろう。
少女達は、自分達の性欲が少年を壊してしまわないかと不安になっている。
だが、止まれない。
愛しい少年と交わる喜びを知ってしまった。
淫魔の身で、一人の男性を愛してしまった。
もう、止まれない。
「あ、ああああああああああああんっ!!」
「ああ、くぅぅっ!!」
先程からイきっぱなしだった玖里子が、一際大きく目を見開いて仰け反る。
同時に和樹も体を突っ張る。恐らく、いや、間違いなく玖里子に精を注いでいるのだろう。
玖里子は、力なく和樹の上に覆いかぶさる。
どうやら失神してしまったらしい。
「式森君……」
沙弓が玖里子をどかして、精を吐き出したばかりの和樹に跨る。
「ごめんなさい、式森君。
私、もうあなたじゃないと駄目なの……」
「杜崎さん……
じゃあ、ずっと一緒にいよう。
何時まで一緒にいられるか分からないけど、出来るだけ長く一緒に暮らそ。」
沙弓には、今の一言が嬉しすぎて また、歯止めが利かなくなる。
「って、感じで最近腰が痛くて。」
「当たり前だよ。むしろ、その程度で済んでいるのが驚異的だ。」
紅尉は、和樹に冷たく突っ込んだ。
朝っぱらから惚気を聞かされているのだから当たり前だが、反応が冷たい。
「良い湿布とかありませんか?
なるべく、杜崎さんや玖里子さんに心配をかけたくないんですけど。」
「そうは言うがね。何日か休んでみたらどうだい?
彼女達のエネルギーも、それくらいの余裕はあるはずだ。
いくらなんでも二人の女性を毎日朝昼晩愛するというのは、無謀だと思うぞ。」
「いや、それが、僕の方もその、彼女達としないと、落ち着かなくなっちゃって。」
和樹はそういって、後頭部を掻く。
「なら、一日の回数を減らすんだ。昼を抜かして朝晩にしたらどうだね?
昼休みは短い。二人も相手をしていたら、時間がなくなるぞ。」
「分かりました。二人に聞いてみます。」
和樹はそう言って、保健室を後にした。
保健室にある植木鉢に植えられた月見草が、そんなやり取りを見守っていた。
昼休み、屋上にて。
「良いんじゃないの、あんたの負担が減れば。
あたし達、歯止めが利かなくて、あんたの事をヤり殺しちゃうんじゃないか? って不安になってたから、あんたの負担が減るのは嬉しいわ。」
もし、和樹を腹上死させてしまったら、そう思うと、沙弓と玖里子が振るえが止まらなくなる。
彼女達は、和樹なしでは生きていけないのだ。
その和樹が死んで、殺したのが自分達だなど、想像するだけで怖気かする。
「式森君、やっと弱音を吐いてくれたわね。
今まで、式森君と沢山できて凄い幸せだったけど、ずっと無理をさせてたんじゃないかって、不安でもあったのよ。
それが、ちゃんと弱音を吐いてくれるんだって分かって、とても嬉しいわ。」
沙弓が心底安堵した表情で言った。
「じゃ、そういう事で、あんたのお昼ご飯よ。」
玖里子はそういって、沙弓と同時に和樹に弁当箱を突きつける。
中身は……当然というべきか、精のつく物で埋め尽くされていた。
そして、下校途中。
和樹と沙弓、玖里子は、刀の柄に手をやり、殺気立っている凛に出くわした。
「何やってるのかしら、あの子。」
と、物陰から20才くらいの男が飛び出す。
凛はそれに反応して刀を抜こうとするが、抜ききる前に柄を押さえられてしまった。
「どうしたんだ、凛。
なまってるんじゃないのか?」
男はそう言い放つ。
「くっ、私は元々豆腐屋の娘だ!!
それを、親元から連れて行き、やれ強くなれ、やれなんだその様は、などと勝手ばかりほざく本家に、何故従わねばならん!!」
「強情な娘だ。」
と、男は和樹の存在に気付く。
その瞬間、男は和樹に猛烈な殺気を向ける。
「凛、その話は後にしよう。」
「へ?」
男は凛の反応を待たず、猛スピードで和樹を掻っ攫うと、いずこかへと消えていった。
「い、今の、何?」
「こんなに高い身体能力……多分人狼ですね。」
後に残された三人の少女は、余りの展開に呆気に取られていた。
「で、何の用でしょうか?」
和樹は、殺意むき出しで睨み付けてくる男に、そう質問した。
はっきり言って、かなり怖い。
「その前に自己紹介がまだだったね。
僕は神城家の世話になっている人狼の神城駿司。まあ凛の教育係といった所だね。」
「は、はあ。」
殺気を隠さずににこやかに話す駿司。
そのギャップが途轍もなく怖い。
「で、その凛ちゃんの教育係の駿司さんが、一体何のようなんですか?」
「『凛ちゃん』?」
駿司の殺気は、先程の数倍に膨れ上がった。
「君は、凛の何なんだい?
淫魔と毎日のように交わっている式森和樹君?」
怖い。この人狼の戦闘力は凄まじいだろうが、それよりももっと和樹を圧迫する何かが彼にはある。
「え? この間、初めて会ったばかりですけど?
まだ、友達にもなってませんよ。」
「本当に?」
「本当です。」
人狼の眼光は、嘘は許さん、と雄弁に物語っている。
「いやぁ、よかったよかった。
まだ友達になっていない、って事は、君の毒牙にかかってない、って事だね?」
「へ? ちょ、」
「いやぁ。
友達になった、なんて聞かされてたら、自制できたかどうか自分でも本気で疑問なんだよ。」
絶対嘘だ。自制など端からしないつもりだ。
「あの、所で毒牙って?」
「へ? 君、杜崎家の沙弓ちゃんを毎日のように抱いておきながら、彼女の事を友達だと吹聴しているそうじゃないか。
つまり僕としては、友達になった=君が手篭めにしたと受け取らざるを得なくてね。」
「でも、杜崎さんは淫魔になっちゃって」
そこまで言った和樹を、怒気をはらんだ声で遮る駿司。
いや、ここまでの会話で、駿司が怒気の混じっていない声で話した箇所など存在しないのだが。
「それでもだよ、和樹君。」
「は、はい。」
駿司は凄まじい迫力の眼光を和樹に向けた。
「さて、確かめたい事はもう済んだ。
ああ、そうそう。僕は凛を連れ帰るまで東京にいるけど、くれぐれも凛と同時に僕の視界に入らないでくれ。
凛じゃなくて君を、手加減するつもりが本気で攻撃するかもしれない。」
「……」
それ、凛に近づいたらお前をぶちのめす、ってハッキリ言っているような気がします。
和樹は、喉元まで出掛かった、この台詞をなんとか飲み込んだ。
「で、でも連れ帰るって。凛ちゃん随分嫌がってましたよ?」
「ああ、そうだろうね。僕自身、本音を言うと凛を連れ帰りたくないんだ。
本家には、凛の将来を縛ろうとする輩が大勢いるからね。
でも……」
と、駿司は一旦区切る。
「でも?」
「君みたいな色魔がいて、しかも全寮制でこちらの目が届かない学校に通わせるよりは何倍もマシだから。」
「僕、凛ちゃんとの接点って、杜崎さんと玖里子さんしか無いんですけど……」
和樹は苦笑いを浮かべながら反応する。
「それに、連れて帰るだなんて、あんなに嫌がっている相手をどうやって?
無理やりに、連れて帰るんですか?
誰かに嫌がっている凛ちゃんや、ぐったりしてる凛ちゃんを見られたら、通報されますよ?」
「うぐっ!
ま、まあいい。とりあえずは、凛の所に急ごう。」
「じゃ、じゃあ僕もこれで。」
和樹と駿司は、そこで分かれた……が。
「何で君がここにいるんだ?」
「僕、ここに住んでますから。
あなたこそ、どうしてこのマンションにいるんですか?」
申し合わせたように、和樹のマンションの前でおちあってしまった。
「僕は、凛の匂いを辿って来たんだ。
どうも、沙弓ちゃんの匂いと、もう一人の匂いもしていたのがきにかかるんだが……」
「さすが人狼。鼻が僕らとは違いますね。」
と、二人が言い合っていると、マンションから沙弓、玖里子、凛が出てきた。
「凛?」
「あっ、杜崎さん、玖里子さんただいま。」
と、駿司は凛が先程までとは何かが違う事に気がついた。
「凛?」
「気がついたか?」
凛は余裕たっぷりに駿司に言い放つ。
先程とはえらい違いだ。
「沙弓さんに、本家と縁を切るにはこれが一番だと言われて、淫魔になった。
あやかしの身で、退魔の家の当主にはなれん。
これで、私は本家に戻る必要がなくなった訳だ。」
凛は、晴れやかに言った。
「駿司お兄ちゃん。私はもう本家の人間じゃないけど、たまには遊びに来てね。」
凛はノリノリで、わざと子供の頃の言葉遣いをする。
「あ、あの杜崎さん?」
「し、仕方が無いじゃない。
本家と本気で縁を切りたいんだったら、本当にこれくらいしないといけないんだから。」
どうも、彼女も凛に押し切られた形で、凛を淫魔に変えたようだ。
と、和樹の隣で駿司の手がプルプルと震える。
「和樹君。」
地獄の底から響き渡るような声。
「な、なんですか?」
和樹は逆らい難い物を感じて応えてしまう。
「凛を手篭めにするつもりかい?」
駿司はにこやかに笑っていた。が、目は全く笑ってない。
「ち、違いますよっ!!」
そんな男共二人を他所に、玖里子は凛に尋ねる。
「ちなみに、凛。
あんた、食事はどうするの?
まだ会って少ししか経ってない和樹にするわけ?」
「え? いえ、まだ肌を許してよいと思える相手はいませんから、その、自分で慰めて飢えをしのぐつもりです。」
「でも、結構キツいわよ、抱かれたいって衝動は。
変なのに身を任せたりしないうちに、好きな人を見つける事ね。」
「わかった。」
経験者である沙弓の発言に、素直に耳を傾ける凛。
「ふ、ふはははははははははははっ!!
和樹君!! やはり君だけは始末しておかねばならないようだな!!」
「ちょっ、ま、待ってくださいぃぃぃっ!!」
少女達が話し込んでいる内に、男二人は何故かバトルに突入していた。
えー、駿司さんがかなり豪快にぶっ壊れてますが、気にしないでください。
あと、凛ちゃん淫魔化。でも、まだハーレムの一員ではありません。
でも、二人の時点でこれじゃ、千早入れたら和樹死ぬかも……
レス行きます。
>浜さん
ええ、まぶらほ……? 頑張ります。
一応展開はもう全部考えてあるんで、それを文章としてアウトプットするだけなんですけど、それがしんどくて……
>幻覚キャベツさん
まあ、あんな生活してますからねぇw
彼女の出番は……どうだろ?
>なまけものさん
うるさそうな風椿の話は書きますよ。多分。
神城家や杜崎家と違って、淫魔化したらしたで、それを利用しそうな人たちでもありますし。
>3×3EVILさん
そのつもりで出したキャラですからね、偽けやき。
実際、BFいたら彼女ももっと幸せな晩年を送ってたと思いますし。
母親と妹が死んでしまう前までに、恋人が出来なかった。 彼女の不運はコレに尽きるかと。
もし、恋人がいたら、彼女を支えてあげる事も、連れて逃げる事もできた筈ですから。