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「闇を継ぐ者第三話の3(まぶらほ)」

sara (2005-08-07 23:05)
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闇を継ぐ者 報復の三


疲れたように椅子に座り込む女性、妙齢の見目麗しいと評するべきか、それとも其の疲労に塗れた様子を麗しいとするのは皮肉となるのか、または其の疲労の中に諦めたような安堵を浮かべている姿を穏やかとするか。

風椿葉流華、黒いスーツをだらしなく着崩して自室の豪奢な椅子に眠り込むように座り込んでいた、其の疲れたような視線だけを目の前にいる妹に向けて。

「何を聞きに来た。見ての通りあたしは疲れているんだがな、玖理子」

妹に疲れた視線を向ける、だが「何を聞きに来た」、会話は拒んではいない、いや、其の様子、疲れているのは歴然であるのに、普段とは態度の違う妹の相手をしようというのだから、言葉の通りではなく何時か「何か」を聞きに来るのではないかと思っていたのではないか。

恐らくは、部屋に来て様子のおかしい妹に会話の糸口になるように言葉を放ったのだろう、それでも妹は・・・・・・・・口を開かない。

まるで、聞きたいが、聞くのが恐ろしいと感じているように。

「“式森”のことだろう?」

再び沈黙。

「そうよ」

だが、今度は会話が繋がった、怯えるように同意を表す。

「何が聞きたい。ただ聞いても面白いことだとは保証しないぞ」

まぁ、自分の一族を危急の危機に立たしている一族の話、愉快と感じられるユーモアを持っているのならば、今の現状はなかったのかもしれない、既に起きたことに関して可能性をとってもせん無きことではあるが。

玖理子は姉の問いかけには無視する形で、いや、吐き出す、吐露するような様子で言葉を紡ぎだす、まるで言葉にして吐き出さないと体が蝕まれるのだと思い込んでいるかのように。

「神城が滅ぼされたそうよ」

「聞いている。一族郎党皆殺しだそうだな。警察のほうでは一族内での暴走ということになっているそうだがな。屋敷内から禁止されている幻覚剤も発見されたとのことだ、警察の処理は麻薬を使用していた狂人集団の殺し合いということで処理されるはずだろうな。事実、生き残りは逮捕されているようだ」

嘆息するように、淡々と淡々と言葉を吐き出す、まるで言葉に嫌悪はなく、当たり前のように言葉をつむぐ、まるでそうなるべくして為った。

もしかしたら彼女は闇口が執行者にいた時点でこの結末を予想していたのかもしれないが。

無論、このとって付けたような、まるで御伽噺のような、こじ付けのような処理をどのようにやったのかは不明だ、いや不明であるからこそ意味があるのだが、誰が処理をしたのかは明白だろう。

あの日、あの夜、あの場所で起こったことは武装集団が麻薬に溺れ、“何かの弾み”で箍が外れ、身内での殺し合いということにした誰か。

今だ手の汚したことのない、ある意味で力しかもっていなかった神城凛は、目の前で繰り広げられた惨殺劇を見たことにより精神崩壊、現在は警察病院内での入院となっている、幸いなことに状態が状態であるので事情聴取は行われず、薬物反応も見つかっていないので回復が見込まれたなら市井の病院に移されることなっている。

今一度葵学園に戻れるか際どい所だろう。

「そうだな」

「家ももうお仕舞いよ、グループの主幹、証券、銀行、保険業を取り上げられたら成り立たない。連日一族の連中は嫌になるぐらいうちに押し寄せてくるし」

実際、企業集団として形成されていた風椿財閥、だがそもそもそれ程グループ全体を支配できる力を持っていたかというと、持っていない。

取り上げられたのは金融業を主とする事業の会社、つまりは風椿が力の源泉とするもの、この金融業を抑えて置けばグループ全体を支配下においておくことは出来ていた事業(実際企業で株式持合いとかしていて企業集団を形成していても中心になるのは商社か銀行などの金の都合がつけやすいところ)。

其の保有株式を他人に譲渡する、つまりは風椿の人間は風椿グループの事業から撤退することと近似している、他にも株を保有している事業はあるにはあるが、其の殆どは法人名義で筆頭株主に名前を連ねているだけで、主幹事業のように個人名で大量の株式を保有していたわけではない。

法人名義での株式保有では、法人の実質的持ち主が変わってしまえば何の意味もない、もともとが其の法人のものとなる(因みに法人の定義は法律で人格を認められた組織の意)。

つまりは、主幹を奪われた風椿に株主としての権力は二分の一、もしくはそれ以下になったと見るのは楽観的な解釈となる。

悲観的に見れば、グループ内の筆頭株主として殆どが三社の名前が入っている以上グループの殆どは売り渡したと同義になる、まぁ割合が少なくても株式を系列会社でも持っていれば売るなり配当を受け取るなりで金の入る道が閉ざされたわけではないが力の方面では失墜などという生易しいものではない、ネコソギに奪われた。

実際、葉流華が疲れ切っているのも急な株式譲渡、それに対する証券会社への折衝、他の株主に対する臨時株主総会の開催準備、債権者に対するIR(投資家への情報開示)対策、譲渡先企業との折衝、そして殆ど無理矢理自分の株式を強奪される形となった一族の人間に対する脅迫にも似た説得、生じた問題の殆どを強引に推し進めてきた。

最後の辺りは神城の名前で大分楽になったのだが、命か利権かを問われれば誰しも命を優先するのだし、一応金は入るのだ、それが時価から見ればかなりの額面割れを引き起こす安値での譲渡とはいえ、因みにこの急な発表のせいで東京証券取引所がすごいことに為ったとかならないとか(額面譲渡ならともかく額面割れでの譲渡だと発表されれば、まぁ、わかる人はわかると思う)。

全ては風椿が神城に二の轍を踏まぬように、社会的ではなく物理的に消されないために。

何も全てを奪われたところで食うに困るわけではない、生きるのに困るわけではない、それならば、それならば誇りなど捨て置いて生き残る、それが彼女の葉流華の選択。

いや、愚かな馬鹿どもだけならば彼女は見捨てたかもしれない、彼女が選択させたのは和樹が誰を己の一族に差し向けるかが判らなかった。

自分が殺されることはないことは判っていた、何もしていない叛意を示していない以上式森は敵対しようなどとしない、まだ使いようのあるかもしれない自分は生き残れる可能性が高い。

だが、もし使わされたのが遠野、結城、ならば致命的ではないのだが、バラライカならば危険が過ぎる、それでも危険が過ぎる程度ではあったが。

問題はそれ以外、物理的な方面を得意とする連中を和樹が動かしてしまっていたとき。

零崎然り、赤屍然り、インテグラ然り、闇口然り、匂宮然り、ネロ・カオス然り、いきなり彼らを差し向けられたら男も女も子供も老人も、使用人も当事者も家族も他人も関係ない。

最悪の殺人鬼は朋友の為に殺戮を行うだろう、最凶の運び屋は嗜好のままにメスを振るうに違いない、騎士は従者を派遣する可能性がある、奴隷は主の侮辱への容赦などもちはしない、殺し屋は依頼次第だろうが殺戮を命じられれば殺戮するだろう、死徒ならば己の養分代わりに、そして力ある魔法使いの家系である風椿など狩場にしかならない。

それが式森の実働部隊“射庭”であっても同じこと、一族への侮辱は許しはしまい。

そうなれば有象無象の区別など、つくはずがない関係のないものもあるものも殺される。

それを妨げるには首に等しいものを捧げるしかない、一族が築き上げてきた組織という首を、一晩で失うという痛手を被っても、罪のないものまで殺させるわけにはいかないのだから、其の為ならば誇りなど捨て去れるほどには人間をやめていない。

それが風椿葉流華。

まぁ、勿論仕掛け人の二つ名、ここまでの衰退を喫してもなんとか、ギリギリでも没落に至るまでは落としていない。

少なくとも、ある程度は残している。

因みに会社の引き受け先だが、バラライカが北欧で筆頭株主(安全管理会社)となっている会社に保険会社の株が譲渡され、遠野財閥(遠野はこの利権のために式森に相当額の謝礼を支払ったらしいが)の系列銀行と風椿銀行が吸収されることになり(国内最大級のメガバンク誕生になったり)、証券会社は式森一族のほうへ支配権が移った。

追記、現経営陣の中の風椿系が揃いも揃って退陣させられて社外取締役や社外監査役(会社の外から経営を行ったり監視したりする人)が入り、CEO(日本だと社長、最高経営責任者)が入れ替わったりしている、これで経営陣が足掻いてどうにかするのも不可能となった、株主総会、取締役会、監査役会、日本の株式会社のトップスリーを抑えられて風椿に最早以前の力など微塵も残っていない。

精々がグループ会社の経営陣等に残っており、現状を感受することを認めた役員達ぐらいだ、葉流華もグループの一つのCOO(最高執行責任者)としての席は残っているのだし。

一夜にしての没落、風椿に出来ることは他人の影響下に落ちた己の残りの事業で再起を果たすことぐらいだろう、それがどれほど困難で不可能染みているかは別として。

「お仕舞いと言うほどでもない、力の殆どは失ったが生きていくのに困るほどではないし。私達は生きている。神城と違って、誰一人の血を流さずに」

「お仕舞いじゃない、どうすればいいの。麻衣香姉さんはあの日から部屋から出てこなくなった。使用人たちは我先へと出て行く。親戚連中は私にすら罵声を浴びせてくるのよ」

葉流華は再度疲れた目を妹に向け。

「それでも神城や宮間よりはましだろうさ。生き残っているし、これからも殺されることもない。出来るだけ穏便な方法を選んだからウチの社員たちが路頭に迷うこともない。上の連中には苦渋を飲んでもらうことにはなるが」

従業員に対する責任という点でも動いたと明言している、経済攻撃を受けるよりはオーナーが変わるほうが路頭に迷うものも少ないだろうという配慮。

だが、それとは別に妹の体が僅かに震える。

「宮間か」

葉流華はそれが自分の口にした言葉からだと判った、もしかしたら妹は知らなかったのではないか、と舌打ちする。

「宮間はどうなったの。姉さん」


宮間邸、没落が激しいとはいえ一度は隆盛を得た旧家、邸宅といえるほどの面積と豪奢さを持つ建物は保有している。

腐っても鯛、隆盛を失っても嘗ての風格は残っているといったところだろうか。

其の門前に止められた黒いリムジン、降り立つのは年若い女性というよりは少女。

遠野財閥頭首、遠野秋葉、続いて降りてくるのは遠野琥珀、一応は秋葉の義姉という立場を権謀術数で手に入れた和服の女性、秋葉は黒いスーツを纏い、琥珀は黒い喪服を着付けている、この衣装の選択が盛大なる皮肉なのか、何なのか。

洋服選択はマジカルアンバーらしいが、黒というのが何を暗示しているやら。

因みに琥珀ルートのエンドではありません、まぁ、月姫がみんな幸せにルートでも無理矢理捏造して、それに勝ち抜いたのが割烹着の悪魔であったとご認識ください、なお作者は月姫アルクルートしか知りません、なお現時点では志貴十八歳、琥珀年齢不詳、多分二十歳以下、続柄夫婦。

「ふぅ、琥珀。ここでいいのでしょうね。身の程を知らない愚か者の屋敷は」

「そうですよー。宮間家と言えば没落した残り滓といえど有名ですから間違いようがありませんし。後秋葉様、翡翠ちゃんみたいに姉さんって呼んでくれると嬉しいんですけど」

ギリッ。

何か歯を凄まじい力ですり合わせたような音が響く。

「あはー。脅しても駄目ですよー、志貴さんに言いつけちゃいますからねー。姉さんですよ」

「コ・ハ・ク」

「あはー。姉さんですよー、そんなに頑固だとお姉ちゃん悲しいですよー」

泣きまねをする琥珀、絶対に泣いていないどころか其の手の下は微笑みだろう、悪戯を成功させた悪がきの。

と、そろそろ檻髪でも発動するのかと思いきやリムジンから、こちらは助手席からだったが降りてくる黒のワンピースに黒い帽子の少女、式森和樹専属殺戮奴隷、闇口崩子。

「はぁ、何をやっているんですか」

続いて出てくる、和装、といって着流しのような服装を身につけている、“守前”沙弓、両手に皮製の篭手が付けられているのが物騒な感じだ、此方も黒だが。

そして最後に出てくるのが沙弓とほぼ同じ着流し姿の式森和樹、違いは両手に篭手がないことだろうか、代わりに口に手を添えて煙草をふかしている。

この二人は無言、いや無表情というべきか。

どちらも、怖い、いい加減に着崩してはだけている胸元から見える胸が艶かしさすら漂わせる沙弓も、詰まらなさそうに煙草を咥えている和樹も。

そんな二人を横目で眺めつつ、微妙に嘆息し(これからの展開に予想がついて嫌気がさしているのかもしれないが)、門扉に近づいた。


宮間邸内、応接室。

向かい合わせのソファに秋葉と和樹が座り、左右背後に琥珀、沙弓、崩子が立っている。

全員が全員黒という服に身を包んだ者達が。

それは一種異様、正しく喪服と取れる琥珀や秋葉もそうだが着流し姿の男女二人も異彩差であれば引けをとっていない、いや宮間の連中の苛烈な視線を受けてすら何も感じていないようなこの五人の態度そのものが異様なのだろうが。

相手方のソファに座っているのは宮間夕菜の母親だろう和服の女性と、老夫婦、つまりは祖父母だろうが座し、夕菜自身も座っている。

怪我一つないのはどういうわけか、現場にいた着流し二人組みは微妙に疑問に思っているのかもしれない、間違っても一日二日で直るような生易しいリンチをかおりは掛けていなかった筈だ、放り出す時も半殺しの状態で宮間の屋敷に投げ込んだのだし。

其の時点では自分の足で歩ける状態ではなかったはずだ、精神構造も逸していれば肉体構造も逸しているのだろうか。

「本日の此方の用件、ご理解しておられますか。宮間さん」

秋葉が口を開く、口調こそ丁寧で、表情もなきに等しいが、何処かあざける調子がある、馬鹿にする趣がある、意識して聞かなければ判らないほどだろうが明確にそんな調子がある、そしてある種の虚脱感も。

言葉には睨みで返された、確かに愛娘や孫が血みどろで塵のように家先に放り出されていたのだ、しかも其の容疑者としての筆頭は式森和樹。

母親のほうはどういう思惑で和樹に近づけようと思ったのかは明白ではないが、祖父母にしてみれば家柄も何もない小僧を一族に取り込んでやろうという意識で孫を使わしたのだろう、そして其の返礼は血みどろで返され、今現在居丈高、彼等の視点だが、で目の前にいる、面白い面白くない以前に殺意が沸くかもしれない、手前勝手な殺意だろうが。

最も、それ以上に手前勝手な感情を撒き散らしているのは和樹の真向かいに座った少女、夕菜自身だろう。

彼女は和樹を睨むというよりは沙弓や和樹の隣に座している秋葉、それにやはり女性であるというだけ出来に食わないのか崩子や琥珀にも不機嫌な視線を投げかけていた。

其の感情が嫉妬であるのだから、彼女が覚えるのはいいとして、それで他人を睨み付けるのは頂けない、彼女はそもそも和樹のなんでもないのだから。

確かに沙弓は和樹に対して特別な感情を持っているし、闇口が仕えるべき主人は己が決める、其の点を言えば彼女にとっては恋敵なのかもしれないが、当の本人が拒絶しているならば嫉妬は害悪だ。

因みに当の和樹は屋敷内でも煙草を吸いつつ(吸殻は携帯灰皿に)、周りの視線など無視して煙草を堪能していたが、ついでに黒い着流し姿に銀のメッシュの髪に煙草なので冗談のような柄の悪さだったりする、相手を不快にする一因だろうがそもそも友好のために来たのではないからどうでもいいのだが。

漫画でもいないな、これほど冗談のような趣味の悪い不良というのも。

「ご用件とは何でしょう」

和服の美人が答える、だが目は怒りに染まり和樹を睨みすえている、夕菜の母、由香里、今は怒りを内に収めて会話をしようと試みているようだったが、漏れ出す怒気は相当なもの、どうやら母娘揃って感情の制御が苦手なようだ。

まぁ、娘が半殺しでにこやかに対応する母親というのもそれはそれで性根が腐っているので、この反応で間違いはないのだろう、人間としては。

「お知りでしょう。そちらの娘さんが此方の方に無礼を働いた、其の謝罪をと。勿論、背其方がこのような面倒を起こしたのですから其の件に関しましても謝っていただきたい。そして二度とこのようなことがないように誠意を見せてくださることを願います」

淡々と、事務的に秋葉が言葉を紡ぐ。

其の言葉に更に険悪な空気になる、それでどうこうなる連中ではないが、左右にいた琥珀以外の女はソファに座る人間のために僅かにたち位置を変えた。

護衛と奴隷、其の役割に応じた動き。

「何故。謝らなければいけないのかしら。娘がどうなって帰ってきたか知っているのかしら」

怒りをかみ殺したように由香里が口を開く。

「殆ど全身打撲、擦過傷無数、内出血多数、裂傷数箇所、皹が入った骨も少なからず、適度に甚振りつくしたお嬢さんを塵の如くお宅に投げ捨てさせていただきましたが。それが何か。そちらが謝罪することに関わりがあるのでしょうか」

皮肉には皮肉を、か。

ダンッ!!!

間に挟まれたテ−ブルを激しく叩かれる音が響く、老年の男性、祖父だろう。

「其処までしておいて何を謝れというか。警察に訴え出てもいいのだぞ」

「構いませんが。お嬢さんが不法侵入で捕まり。精神に問題があるとされ精神病院行き。そしてお嬢さんを政略結婚させようとした腐った家柄としての醜聞、その他後ろ暗い噂が世間に流布するのが構わないと仰られるのでしたら、ですが。家の隆盛のためには相当汚いことに手を染めておいでのようで。後、此方が司法機関の世話になる事態はありえませんのでご考慮しておきことをお勧めします」

警察は使えないと暗喩している、あからさま過ぎるが、というか暗喩していない。

率直に警察には既に圧力をかけていますよー、と脅迫している。

因みにこの時点で彼らも神城の末路などは知らないのだし、夕菜自身が初期に意識を失っているので和樹の一族が、何かしらの力を持っていることを理解していない。

いや、そもそも。

「和樹さん。何で私にあんな酷い事をされているのに黙ってみていたんですか」

怨むような視線で夕菜が和樹に問い掛ける、まるで自分を助けなかったことに罪があるかのように。

「和樹が貴女を助ける義務はなかったと思いますが」

和樹はまるで関心がないかのように、いや面倒くさいかのように煙草をふかし答えない、代わりに答えたのはやはり隣に座っている秋葉。

「貴女には聞いていません。私は和樹さんに聞いているんです」

更に詰問するかのように和樹に問いかけるが、無関心に燃え尽きかけた煙草を灰皿に入れ次に火をつける、火をつけるのは沙弓だったりするが。

「答えてください。和樹さん」

再度迫るが、和樹は煙草をふかし続けるだけ。

だが、いい加減無視するのも面倒くさくなったのか「秋葉。答えてやれ。この阿婆擦れに」とだけ言って、また沈黙に入る。

秋葉は秋葉でこの当事者の癖に自分に丸投げする男に疲れたような溜息を出し。

「和樹。確かに私は貴方の関係者ですし。この件に口を出さなければならない立場でしょう。それに報酬も既に定まっていますから仕事はしますが。全てを丸投げするものでもないでしょうに」

小声で文句を言うもやはり答えた様子はない、先日に比べれば極端に冷静になっている和樹君だ、そんな様子になんで私がと口の中で文句を言いつつ。

「和樹が何故見ず知らずの貴女を助けなければならないのでしょうか。貴女は和樹を侮辱した一人だということは。ここにいる杜崎より聞き及んでおりますが」

確かに夕菜が一番侮辱していたっぽい、人格否定という形で。

自覚しているかどうかはかなり怪しいが。

「私は和樹さんを馬鹿にしたりなんかしていません。大体私は和樹さんのお嫁さんなんですよ。何で助けてくれないんですか」

「そもそも何故和樹が貴女と結婚しているのですか。式森一族のほうでは和樹は未婚者となっておりますし。将来的な婚姻の相手もすでに決まっておりますが」

「それは。昔の約束で・・・・・・・・・・・・て。誰が和樹さんの奥さんなんですか。和樹さんの奥さんは私なんですよ」

どうやら聞き逃せない一言があったらしく更に、端的に言うと夜叉のように表情を変えて秋葉に詰め寄る。

「いえ、奥さんというわけでは。両家が決めた婚約者ということでしょうか」

「誰なんですか!!」

論理的な説明は通用しないっぽい。

これでは話が進まないなと思ったのか更に嘆息し、彼女はここに来て何度の溜息をついたのだろう、ずいぶん苦労性である。

口を開く前に僅かに沙弓のほうを見て、申し訳なさそうな表情をして、それに気付いたのは琥珀だけだったのだが、何か辛そうな表情で。

「私が和樹の婚約者です」

秋葉そう言った。


後書き、報復最後の宮間は前半が長かったので二部構成となりました。

時間が離れて書いているのに更に時間がかかるのをお許しください。

で、月姫キャラから秋葉と琥珀が出てきていますが、この中では琥珀×志貴。

秋葉は争奪戦に破れて、事情としては心理的には琥珀には独占欲よりは申し訳なさが立ったというのが理由でしょうか。

それが理由だと翡翠にも勝てなかったのかもしれませんが。

あーぱー吸血鬼とかカレー先輩辺りとは檻髪を駆使して戦ったのかもしれませんけど、因みにこの面子を出した時点で悩んだのはベストオブ不幸の代名詞さっちん、そう言えば案外強い子だったっけとおぼろげに思い出して使おうかどうか迷ったり、現在保留ですけど。

あと秋葉×和樹ではありませんよ、子供のころの婚約者が秋葉で現在は形だけです、将来的には正式に結婚するかもしれませんが、一応は和樹×沙弓です。

大きい家になると色々しがらみがあるとですよ。

因みにこの次の話の展開現段階では、母娘で切れて魔法で襲い掛かった辺りで。

檻髪で魔法力吸収、沙弓達が撃破or気絶させて(手ひどく甚振って)いなくなった和樹の後に職・殺のマンティス、蜘蛛が登場して、祖父母のやらかした財の稼ぎ方に恨みを持った奴の逆オークションで殺される目撃者である夕菜も、形式的には和樹が職・殺とかち合ったのを知って、知ってて放置したというプラン。

さてどちらでいきましょうかね、後者は都合が良すぎますか、でも確か宮間は盗掘と相場の裏取引で財を成したとか言ってますし後ろ暗いこともけっこうやってるかなぁと。

ではレス返し

>D,様
一応月姫のお嬢様と割烹着の悪魔が出てきました、ブリュンスタッド姉妹はどうしましょうかね。
因みに琥珀、志貴のカップルは趣味です。
後、葉流華さんの起用は趣味ですかねぇ・

>1トン様
以前頻繁にレスしてくださっていた方でしたから覚えていますよ。
少々展開はご要望にこたえる形になりそうな気配ですが、次に出るとは限りませんので其の辺りはご容赦を。
バラライカの部下という形で二兆拳銃とロック、それにですだよ姉ちゃんとか出したいなぁ、エダの破戒シスターでもいいんですが。

>潜水艦様
騎士王と間違ってました。
アーカードよりもセラスお嬢の覚醒版を出したい今日この頃です。
砂漠の鷹って人類最強の請負人の事だったら多分出ます、きっと出ます、いつか出ます。

>nacky様
どうにも社会的抹殺というのが難しいから、猟奇殺人でもかまそうかなって考えたり。

>orb様
零崎は基本的に人識君ですからねぇ。一族引き連れてって感じにはならないでしょう。
それにキシャーの力といってもこの面子に勝てるか?
結城はもう少し後ですかねぇ

>冬秋様
和樹=人類最悪、でもここ見てから思ったこと、今回の和樹の衣装まんま遊び人じゃねぇかぁと。
基本的には零崎は人識だけですよぉ、他の一族面子はsaraの別のssでも見てください。
“策師”ですが策士じゃないですよ、出そうかなと思って案外出しにくいのはこの子です。

>福庵様
風椿は主要な力をグループに対して使えないようにしました、株式会社は世知辛いのです。
経済学でも言ってます狭義のコーポレートガヴァナンス(企業統治)は株主のためにあるとです、殆ど一線から退いてもらいます、因みに保険業のあたりは飯外資からの吸収にみえたりしますかね。
額面割れの株式譲渡などやった日には翌日の証券取引所どうなることやら、恐らく寄り付き空関連会社全てで凄いことが起こりそうです。
そして旧経営陣辺りには株主代表訴訟でも何でも裁いてもらいましょう。

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