メコッ ズガッ ドガッ ボカーン
教室内に響く轟音、
「あ、また一人気絶したわね。」
和樹に群がるB組一同、そう前回の最後でのB組裁判の死刑執行中だったりする。
だが死刑に合っているのは、和樹ではなくB組の面々(特に男子)の様な気がするが。
「式森君って強かったのね・・・。」
その様子を見呆れながら呟く沙弓。
アルト・夕菜・沙弓の三人は教室の隅に避難しその様子を傍観していたりする。
「あの程度なら和樹にはかすり傷一つ付けられないわよ。」
乱闘の様子を楽しそうに見ながら沙弓に言うアルト、
「あの程度って・・・結構強い攻撃魔術も使ってると思うんだけど・・・。」
どれくらい強いんだろう?と多少冷や汗を掻きつつ答える。
「おのれ〜何故だ何故当たらんのだ〜?!」
叫んだのは仲丸、両手に火球を生み出し投げつけながら叫んでいる。
「うるさい!こんな理不尽な事で怪我なんかしてたまるか!」
その火球を近くの男子生徒を盾にして防ぎつつ叫ぶ和樹。
「他人を盾にするなど悪魔かきさまわ!」
「お前が言うな〜!」
今度は殴りかかってきた男子の顔面に肘を叩き込みつつ答える。
「くそ〜!いい加減にしろ〜!」
さらに近づいてくる三人(男子二人女子一人)の内、男子は殴り飛ばし女子は当身で気絶させつつ叫びまくる。
「アルトさんの恋人で夕菜さんとも仲がいいなんて許せるか〜!」
「僕が悪いのか〜?!」
叫びに答えて叫んだ仲丸の理不尽な答えに今日最大の音量で叫ぶ和樹だった。
━十数分後━
「ぜーぜー。」
肩で息をしながら立ちすくむ和樹、周りにはB組の面子が死屍累々と倒れている。(叫びながら戦い続けるのは流石に疲れたらしい。)
(疲れた・・・死徒と戦うのよりずーーーーーっと疲れた!)
死徒と戦うのより疲れたっていったい?
「終わったみたいね。」
「そうね。」
「そうですね。」
上から順にアルト・沙弓・夕菜である。乱闘中にずっと喋っていたらしい、大分仲良くなったようだ。
「ねえ沙弓?」
「何かしらアルトさん?」
「このクラスっていつもこんな感じなの?」
アルトの問いに顔を引きつらせる沙弓、
「いつもよ・・・いつもこんな調子。あ!私も一緒にしないでよ!」
「解ってるわよ。」(面白くなりそうね。)
肯定の返事に内心ニコニコしているアルトだった。
━昼休み━
時は飛んで昼休み、
あの後入ってきた教師が一瞬驚き慌てだすが『B組なら普通か』とすぐに落ち着き席に着けと言うと、
気絶しているだけの女子はともかくボロボロの男子連中まで立ち上がり席に戻ったのだから驚きだ。(服や教室もいつのまにか直っていたりする)
これには流石のアルトも口をあんぐりと開けて驚いていた。
さて話を戻そう、そうして昼休みになったのだが、
「廊下に人が一杯だ・・・。」
B組の前の廊下は物凄い人で溢れていた。
(この二人を見に来たんだろうな〜。)
そう自分に話しかけてくる二人を見ながら思う和樹、
「どうしたの和樹?」
「どうしたんですか和樹さん?」
「いや何でもないよ。」
不思議そうに聞いてくる二人に苦笑しつつ答える。
(うわ〜凄い美人!)
(ピンクの髪の娘は可愛くて、黒い髪の娘はむちゃくちゃ綺麗だ!)
(あ〜こっち向いてくれ〜!)
以上廊下に溜まっている男子の思考の抜粋である。
ちなみに三人のやりとり後の思考は全員一致で、
((((((なんであんな冴えない奴に!))))))
である。
「和樹、お昼食べに行きましょ。」
「へ?ああ、うん。でも何処に?」
「屋上よ、出れるんでしょ?」
そう言い和樹の腕を引っ張り立たせようとアルトに疑問を投げかけるとそんな答えが返ってくる。
「出れるよ。じゃあ行こうか。夕菜も来る?」
「あ、はい!私も行きます。」
二人の様子にムーっと唸って見ていた夕菜に声をかけると、とたんに笑顔になって返事を返してくる。
「じゃあ行こ「失礼する。」「どうも〜。」あれ?凛ちゃんに玖里子さん?」
歩きだそうとした時に丁度扉が開き二人が入ってくる。
「B組に転校生が二人来たと聞いてな。夕菜さんは解っていたのだが、もう一人の方はまさかと思ってきたのだが。」
「途中で私とばったり会ったのよ。で、一緒に来たって訳、あ〜ちなみに、アルトさんの入学手続きとかしたのは私だから。私が来たのはただの様子見にね。」
「あ〜そうだったんですか。」(なるほどね・・・朝出て行ってたのは玖里子さんの所に行ってたのか。)
朝に居なかった理由とアルトが転校生としていきなり来た理由がこれで解った。
「ところで和樹。どこか行く所だったの?立ち上がった所みたいだし。」
「ああ、お昼食べに屋上に。二人も一緒に行きますか?」
「そうね行こうかしら、どうせ暇だし。凛はどうする?」
「私も行きます。共に昼食を取るつもりで弁当も持ってきていますし。」
全員で行く事に決まった様でゾロゾロと出て行く5人、
(後を付けるぞ!)
((((((ラジャー!))))))
一瞬のアイコンタクトで意思疎通を済ませ出て行くB組一同、
野次馬連中も面白そうだと後に続き動きだす。
「ここが屋上だよ。」
屋上に着いたようでドアを開け外に出る5人、
「へ〜結構いい眺めね。」
「風が気持ちいいです。」
「ここに来るのは久しぶりね。」
「私もです。いつもは教室で食べますので。」
それぞれそんな事を言いつつフェンスの方に歩いていき思い思いに腰を下ろす。
「あ、そういえばアルト今日の弁当って。」
「ちゃんと持ってきてるわよ。」
弁当を持っていない事をいまさら思い出し尋ねる和樹に、アルトが何処からか重箱を取り出す。
「でっか。また凄いねアルト。」
「二人分だもの当然よ。」
「あの〜?もしかしていつもアルトさんが作ってるんですか?」
「そうよ。」
二人のやり取りに気になったことを聞く夕菜にさらっと答えるアルト、さらに聞いても居ないのに喋りだす。
「朝起きたら朝ご飯の準備とお弁当の準備をしてそれが終わったら和樹を起こすでしょ、
和樹が学校に言ったら朝の食器の片づけをしてそれから洗濯、
干し終えたら晩御飯と次の日のお弁当なんかの買い物に言って、
それが終わったら自分のお昼を作って食べる、で部屋の掃除かしら?
あ、たまにクッキーなんかも焼くわね、スナック菓子なんかは体に悪いし、
その後は特に晩御飯まで無いわね〜、晩御飯作ってる時に和樹がお風呂を沸かしてくれて、
後は晩御飯の片付けだけかしら?たまに膝枕で耳掃除してあげたりするかしらね〜。」
ここまで話して一息いれ、
「まあ家事は大体全部私がやってるの。あ、別に私が好きでやってるんだからね?和樹が怠けてる訳じゃないのよ?」
最後にこう言って終わる。最後の好きで〜の辺りは惚気も入っているのだろう顔が若干赤くなっていた。
それに対して三人は、
(む〜!なんか物凄く悔しいです!まるで夫婦じゃないですか〜!!)
((死徒の姫君に其処までして貰うって・・・和樹(式森)あんた(お前)本当にいったい何者なのよ(なんだ)・・・?)
夕菜は軽く嫉妬し、残りの二人は呆れる。
(くそっ!何を話してるのか全然聞こえんぞ!)
これはB組生徒達の思考である、入り口のドアの隙間から除いている様だ。(壁に透視魔術をかけて見ている者も居る)
「まあいいです。色々と聞きたい気もしますけどお弁当食べましょう。」
「そうね。」
「そうですね。」
夕菜がそう言うのに同意する二人、和樹はアルトが喋った内容と様子、二人の視線に固まっていたりする。
「そうね、食べましょうか。」
「はっ、そ、そうだね。」
アルトが答え重箱を開けていった所で和樹も再起動を果たしたようだ。
「あれ?僕の箸は?」
食べようとした所で自分の箸がない事に気づいたようだ。
「ねえアルト、僕の箸・・・・。」
アルトが持っているのかと聞こうと、そちらを向いた瞬間に凍りつく。
なぜなら、
「ふふ、はい和樹。アーン。」
頬を赤らめつつおかずを箸で持ちこちらに差し出しているアルト!
「あ、あの・・・アルトさん?」
「どうしたの?はいアーンして?」
汗を全身からだらだらと流しながら聞く和樹に、さらにニコニコしながら言ってくるアルト。
(ななな、なんで!そりゃ付き合い始めた頃はよくやったけどさ、最近ずっとやってないじゃんか!
しかもなんで学校の人の見てる所で?!)
「えっと、その、あの。」
「も〜早くアーンして!箸持ってくるの忘れちゃったんだからしょうがないじゃない。」
(ぜ、絶対わざとだ〜!?)
どうしたものかとパニクりまくっている和樹。
ちなみに三人は、
(へ?アーンって?え?え?え?)
(普通ここでやる?!私達が見てるのに?!)
(は、破廉恥な!誰も居ない二人きりでならまだしも私達も居るというのに!)
夕菜は事態に付いていけず混乱し、玖里子は呆れかえり、凛は破廉恥だ!と自分も真っ赤になっている。
((((((((((うお〜式森(あの男)〜!)))))))))
野次馬連中はそのあまりの羨ましすぎる状況に嫉妬と殺意の波動を出している。
「え〜っと、しなきゃダメ?」
「ダメ!しなくちゃ食べさせてあげない!」
どうしてもダメかと聞く和樹に絶対ダメだと譲らないアルト、最後には和樹が折れ。
「じゃ・・・じゃあ、アーン。」
「アーン。美味しい?」
「う・・・うん。」(緊張で味なんか解んないよ・・・。)
食べた瞬間数倍に膨れ上がった波動に汗をだらだら掻きながら食べる。
だが!さらに追い討ちが!
「じゃあ今度は私に食べさせてね。」
「は、はい〜?!」
語尾にハートマークでも付きそうな甘えた声で言ってくるアルトに素っ頓狂な声を上げる和樹。
「だって箸一つしかないんだもの。」
「いや・・・自分で食べれば。」
「食べさせて欲しいの!・・・それとも嫌・・・なの?」
自分で食べればいいと言うが、嫌なのかと目に涙を貯めつつ(勿論演技です)聞いてくる。
そんな顔をされては嫌だと言える訳もなく、
「嫌・・・じゃないです。」
「じゃあ食べさせてね。」
嫌じゃないと答えると満面の笑みで返してくる。
(胃に穴が開くな・・・絶対。)
そんな風に重箱の中身が無くなり昼休みが終わるまで、この食べさせあいは続いたのだった。
━おまけ━
後日、葵学園一のバカップルとして二人は全校生徒に有名になった二人。
和樹は転校して来た日に即座に出来た『アルトルージュ・ブリュンスタッドファンクラブ』に命を狙われ続ける事になる。
━後書き━
はい第七話お送りいたしました。
いや〜時間かかってしまいました^^;申し訳ないです(滝汗
今回はアルト学校登校初日の風景でした〜。
次回幽霊編にようやく入ります!・・・長かった。(オイオイ
和樹は回数を使うのか?いったいどうなるのでしょうか?
やっぱりREKIにも解りませんw
ではまた次回で^^
━レス返し━
良介様
そうですね、それでこそ『まぶらほ』でしょうw
いあいあフラグは立ちませんよ^^;ただ昔の親の躾で女性に手を上げてはいけないと教え込まれているので^^;
人狼編・・・いつ行けるのかな?^^;
俊司さんは死なない予定です。
死にかけ状態だとあっさり和樹が勝っちゃいますから^^;
そうなんですよね普通にやったら絶対アルトが見破るかと^^;
組織力なら負けてないてか勝ってそうだし^^;
suimin様
期待を裏切りませんでしたか^^
今回はどうかな?
ウェブコミック私も好きですよ〜。特にゼルGがw
ケルベロス様
それでなきゃB組じゃないでしょうw
ん〜どうなんだろう?魔術回路持ちの魔術師の学校じゃあないですからね〜。
時計塔とかにはもうバレているんですが^^;
関西弁アルト見てきましたwあれはあれでなかなかw
まあこの話では黒髪って事で、黒の姫君だし服装も髪も全部黒でお願いします。
REKIに絵心が有れば絵を描くんですがね〜・・・。