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「シン君の目指せ主人公奮闘記!! その4後編(ガンダムSEED−D+ケロロ軍曹?+いろいろ)」

ANDY (2005-07-20 18:48)
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 指を鳴らし終えると同時に、俺は残りのバカ三人に向けて駆け出した。
「え?」
「へ?」
「はい?」

 いきなりの俺の行動に脳がついて来られないのか、そんな気の抜けた声を出すしかない三人。
そんな三人に比べて、囲まれていた女の子二人はその三人から離れ安全を自分から確保していた。
彼女達のおかげで、遠慮なく動くことが出来る俺は、三人に飛び掛ると同時に一人のみぞおちに左の肘鉄の一撃を加え、もう一人のあご先にかするように右の裏拳を見舞わせ脳を揺らし、平衡感覚を失いバランスを崩すと同時にその遠心力を乗せた左足の蹴りを横腹に叩き込み、最後の一人の首筋に手刀を食らわせて意識を刈り取った。
 この間わずか数十秒。
 あっけなく男四人の死に体が出来上がってしまった。

 俺が大鷹真矢だった時に習った一対多数の時の戦略を使用したのだが、まさかこうも反撃らしい反撃を食らわずに終わってしまうとは。
 コーディネイターだからもう少しインパクトの瞬間に体を浮かす、とか、こう、もう少し素晴らしい反射が見れると思っていたのに肩透かしを食らった気分だった。
「おまえら、弱すぎ」
 そんな感想が知らずに俺の口から漏れていた。
 戦略、って言う言葉を使えば何か仰々しい物に見えるのだが、実際は相手の虚をつき実で倒す、つまり相手の油断を引き出して一瞬で伸し倒すっていうだけのものなのだ。
 虚、つまり俺の相手に与える視覚情報を作為的に操作することで、相手の状況判断能力を一瞬麻痺させたのだ。
 この場合の虚は、俺のこの格好で、やつらの思い浮かべていたであろう姿とは月から火星ぐらいかけ離れていただろう。
 理解できないものを理解しようとして思考を向けてしまうのが人間の性、だから、一瞬脳がフリーズ状態に陥り、意識を一瞬とはいえ手放し隙を生み出したのだ。
ゆえに懐に入り込むのに容易い。
その状況を利用して俺の連撃が見事に決まり、今の状況を導き出したのだ。

 つまり、何が言いたいかというと、相手の隙を呼ぶために、イヤイヤ、仕方がなく俺はこんな格好をしたのであって、けっして、こういう格好がカッコイイとか、アフロ好きだからしたわけではないので、そこのところを勘違いしないように。

(合言葉は  アフロと軍○♪ アフロ ○曹♪)

・・・・・・いや、だから・・・・・・

(乱暴に 引っ張るな 気安く指で触るな〜♪)

・・・・・その、ね。

(アフロ軍○♪ アフロ○曹はアフロ)

・・・・・・・ごめんなさい。
結構アフロって好きです。というか、少し憧れてもいます。
素直になります。だから、頭の中で歌わないでください、アフロ頭で銀ラメの衣装を身に着けているボケガエルさん。

(ケロケロケロケロケロケロケロ―――――――――)

 頭の中で鳴くな!!
 ああ、マイシスター真由美さん。
 めちゃくちゃいい笑顔をするカエルが見えるんですけど、どうすればいいでしょうか?

 ていうか、ぶっちゃけヤってもいいですか?


「うおぉぉぉぉぉぉ!!」
「危ない、後ろ!!」

 頭の中で、どうやればこのアフロカエルの天敵を召喚できるかを考えている時に、二つの声が同時にあがった。
 それと同時に、俺の掌に熱が生まれた。


―?????side―

 今日は最悪な一日だった。
 せっかくお金を貯めて前から買おうと思っていたワンピースが誰かに先に買われているし、お茶をしようと思っていったカフェのお気に入りの席には知らないおじさんが座っているし。
 なにより、帰り道であった妹が変なやつらに絡まれてそれを助けようとしたらいつの間にか人数が増えていて、気が付いたら変な横道に連れ込まれていたし。

「おねえちゃ〜ん」

 ああ、妹よ。
 そんなに情けない声を出さないで。実はお姉ちゃんも泣きたい気分なのよ?

 ああ、神様、乙女のピンチです。
 何とかしてください。

(了解しました。何とかしてあげましょう)
(どうや、ここは光の国の力で変身っていうんは?ちょうど二人やし)
(ふむ、そうですね。変身少女は王道ですからね。ちなみにどっちがどっちの色にします?)
(そりゃぁやっぱ姉の方が黒やろう?髪がショートやから)
(そうですね。それに微妙に妹の方もキャラ的に黒っぽいですからね)
((というわけで、これでOK?))

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ああ、偉大なるマイマザー!!
 娘のピンチです!!
 助けてください!!

(今あなたに偉大なる魔法の力を―)
・・・・・・・・私のお母さんは変身して巨大化したりしないし、男兄弟三人いないし、ウチは娘二人だけだから出る場所違いますよ!!違う場所のグレートマザー!!!

「俺はこっちのツインテールの方がいいな」
 いつの間にか男たちのうちの一人が私の妹の自慢の髪を触って嫌がりますよ!!
「ひぃ!!」
 ああ、いきなり知らない、しかも異性に自分の体の一部を触られることに嫌悪感を持つのは分かるわ。
 でもね、お姉ちゃんの背中に爪を立てるのはどうかと思うな。
 結構痛くてお姉ちゃん、涙が出ちゃうよ?

「あらら、こっちの彼女泣き始めたよ?」
「ははは。大丈夫大丈夫。これからもっと鳴かせてやるから。な?」

 ああ、私の目尻に浮かぶ涙の意味を勘違いしている男達のなんて自己中な言葉。
 なんて腹の立つことだろう。
 私達をモノとしか見ていない言葉に、この男達が私たちと同じコーディネイターなのだろうかという疑問が浮かんだ。

「さてと、どっちからいただこうかな〜」

 私の浮かんだ疑問なんか関係なく、男達は自分の肉欲をぶちまけようと私達に手を伸ばしてきた。

 そんな、女として大事なものを失おうとした瞬間に、声が響いた。

「いけーーー!!人類の夢!!時速100マイル越え!!具体的には時速160キロのスピードボール!!」

 内容はどうかと思うけど、それはまさに救いの一声だった。

 その声の主が投げつけた丸い物体は、私達を囲んでいたバカAの後頭部に外れることなくあたった。

「な?!オーエン!!」
「どうした!!」
「だ、誰が?!」
 突然起こった出来事に慌てて打ち抜かれた方向に向き直る男達。
 さっきまで自分達の優位性を誇示していたとは思えないほどの慌てぶりだった。
 私はそんな男達の様子を見て、何か胸がスーッとするのを感じた。
 男達の意識が私達から外れたのを確認すると同時に妹を引っ張るようにその場から離れた。
 私達が離れると同時に、なにか、黒い風が男達の周りで巻き起こった。

 その風は、容赦の欠片もなく男達を飲み込み、巻き上げると無慈悲に地面へとたたきつけた。

 その流れはわずか一分にも満たない、まさに風よりも速い黒い風だった。

 風は止み、そこには黒い何かがいた。

 そこにいたのは、パーティー用の赤鼻と口ひげの付いた黒縁の眼鏡をつけ、アフロのカツラを被った一人の多分自分とそう変わらない少年だった。
 その姿に一瞬、「変態?」と思ってしまった私には罪は無いだろう。
 その変態さんをなんとなく観察してみた。
 決して格好いいとか、王子様、なんて乙女チックなことからではなく、彼が私達にとって新たな脅威になるかどうかを見極めるためだった。
 恩人に対してその態度はどうか、と思う人もいるかもしれないけど、自分が私の立場になっても同じことが言えるのか、と私は尋ねたい。
 乙女の大事なものを守るためならば、たとえプラントのザラ議長であろうともゴキブリのように扱っても民衆は私を支持してくれるんだから!!

・・・・・・なにか、すごくテンぱってるような気がしてきた。

 ま、まあ、それはおいといて、もう一度「正義の変態君」に目を向けてみると・・・・・・・・何かぶつぶつと呟いているんですけど。

 あれですか、サイコさんですか?そうなんですか?

 私は彼を見つめながら、妹を引きずるように後ずさった。
 彼に気づかれないように、音を立てないように。
 どうでもいいけどマイシスター、いい加減自分で動いて欲しいな、ってお姉ちゃんは思うんだけど、どうよ。

 彼の動きに注目していたためだろう。
 その動きに気がついたのは。

 一番初めにKOされた男がいつの間にか立ち上がって、その手に何か鈍く光るものを握っていた。
 それを見た瞬間、それは何か危ないものだとイメージが浮かび、私は叫んでいた。

「危ない、後ろ!!」
「うおぉぉぉぉぉぉ!!」

 私の叫びは、男の雄叫びと偶然にも同時に発せられた。
 「正義の変態君」は私の言葉に従って後ろを振り向く。

 紅い、紅いものが地面に花を咲かせていた。
 一つ、また一つ。紅い花が地面に生まれていた。

―シンside―
「危ない、後ろ!!」
 その声に促されるように振り向いた俺の目に映ったのは、鈍く光るものだった。
 とっさに俺は左手を差し出し、それを握り締めた。

    サク
 そんな音がしたような気がした。
 その音の後に、俺の手の平からたまらない熱が生まれた。
(あ〜〜〜、こりゃ少し切れたか?)
 その熱の原因を、俺はどこか冷めた感覚で認識していた。
 認識すると同時に、俺は左手の握力を全開にして握っている刃を握り締めた。
 刃物と言う物は総じて、引いて切る、という特性を持っている。
 包丁をイメージすれば納得いくだろう。
 ただ力任せに切るよりも、手前に引きながら切る方が労力も少なく綺麗に切ることができるのだ。
 もちろん、この結果には「刃の部分が鋭利である」という前提条件が必要だが。
 つまり、ろくに手入れもせずに脅すか、自分の男の象徴のようにしか思っていない相手の持つ刃物には鋭利な部分はなく、強く握ってしまえば「引きながら切る」なんていう特性は死んでしまうのだ。
 だが、その特性を理解していない相手からしてみればこの現状は享受できるものではないのだろう。
 俺に刃物を突きつけた男の顔には、まるで熊にでもであったかのような驚きと恐れの色が浮かんでいた。
(理解できないものを人は恐れる、か。確かにその通りなんだが、もう少し想像力を働かせればタネが分るだろうに)
 考える事を放棄した男の顔を見つめ、俺はどこか暗い色を滲ませた考えを思い浮かべながら男の心を折る作業に取り掛かった。

 いまだ刃を握ったままの左手を引き寄せる。
 一応両手で柄を握っているが、腰が入っていないため容易にバランスを崩す。
(素人が刃物を持つのか?)
 刃物の特性を理解していないで所持する事を選んだ男に冷酷な感想を投げつける。
 これの持つ意味を理解していないのに、振りかざした。そんな結果に無性に腹が立った。
 だから、少しお灸をすえてやらなくてはならないだろう。

 バランスを崩した男の懐に右肩を入れる。
 それと同時に右腕を男の両足の間に捻り込む。
 捻り込んだら、右手に引く力と上げる力と言う二種のベクトルを生かし、男に快適な空の旅をプレゼントすることにした。

「へ?」
(Good Luck!!)
 間抜けな声を上げる男に、胸のうちでそんな言葉をかけてやる。
 気を飛ばすか、それとも宇宙より高い場所へ行くかは本人の運しだい。俺にはどうすることも出来ない。
 ならば、精々旅の儀礼に則った作法に倣うだけ。
 変則掬い投げは、男を俺から五メートルほど離れた短い、それでも快適な空の旅を提供することに成功した。

「っっっっつ!!」

 投げ飛ばされた男は何か言葉を発しようとしたが、それを音にすることは出来ずに唯体を痙攣させるだけにとどめていた。

 俺はそんな男を見ても何も感じていなかった。
 ただ、頭の底の方が何か大きな氷で覆われるような感覚に襲われていた。
 それでいて芯の方はマグマの様に熱く蠢いているように感じた。
 ダチの誰かが言ってたっけ。キれてる俺はまるで「氷の炎」のようだって。
 なるほど、向こうの俺ではそう認識できてなかったけど、今の俺にはなぜかソレを認識することが出来る。
 相反するものを内包している、何て歪な存在。
 ああ、何て無様。
 気づきたくない事実を気づかせてくれたこいつらに、形容しがたい感情が湧き上がる。

お前ら、じゃ―

「ちょ、ちょっとあなた!血を止めないと!!」

 俺の耳に慌てた女の声が入ってきた。
 その声を耳にすると同時に、俺の中の炎と氷が小さくなっていくのを感じた。

「え?」
「え?じゃ、ないでしょう!!ほら、見せて」

 俺の驚きの声を違う意味で解釈したのか、その娘は俺の手の平を強引に見た。

「うわ。血がいっぱい出てるじゃない。痛くないの?」
 傷を見ての第一声がそれだった。
 いや、勝手に見てそういう感想を口にするのはどうかと思うんですけど。

 俺の手を抱え込み、傷を見ている目の前の少女の顔をなんとなく観察してみた。
 血を見るのにあまりなれていないのだろう。
わずかに眉をしかめていることから気分を少し害していることが見て取れた。
 なんとなく悪い事をしたような気がした。
「ん、あ、ああ。見た目はこうだけど皮一枚切ってるだけだから唾付けとけば大丈夫だぞ」
 少女のアクレッシブな態度に少し気圧されながらも、俺は彼女になんでもないように伝えるためにおどけて答えた。
「唾、って・・・・・なにその非衛生的な治療は!」
「い、いや。これは自然界ではもっともポピュラーな治療方法であって」
 が、なぜかいきなり怒られました。なぜ?WHY?
 これぐらいの傷なら向こうじゃ唾をつけて、あとは包帯で止血をしていたんだけど。何か間違ってるか?
「ああ〜、もう!!変な格好をしてると思えばそんな非衛生的な治療法をしようとするなんて。もう、来なさい!!」
「へ?来なさいって・・・・・どこへ?」
「家によ!その傷の治療を衛生的にしてあげるから!!」
 そんな素晴らしい事をさらっと言ってくれやがりましたよ。目の前のお嬢さんは。

「メイリン!表に出てエレカーを捕まえといて」
「は〜い」
 唖然としている俺を無視して話を進める二人。
 というか、もう一人の方のお嬢さん、そんなあっさりと見た目怪しい奴を家に招く事を認めますか?!

「え〜と、お嬢さん・・・・・・」
 何とか彼女達の自宅へお招きを辞退しようとした俺は、こちらをジーっと見ている青い瞳に後ずさった。
「な、なに?」
「紅いんだね。瞳の色」
「へ?」
 いきなりそんな事をおっしゃるお嬢さん。
 はて?今俺はビン底黒縁の眼鏡をかけてるから分らないはずだが。
「それに、本当の髪はサラサラなんだ」
・・・・・・・・・もしかして、変装道具全部取れてる?
(ん〜〜〜〜正解!!)
 なぜにみ○さん登場?!いつの間に俺の脳内と契約済みに!!

「お姉ちゃ〜〜ん。捕まえたよ〜」
「わかったわよ〜!!さ、行きましょう」
 俺が自分の脳の不思議に悩んでいると、いつの間にか俺は手を引かれて歩いていた。

「お、おい!」
「あ、そうそう。まだ私、名前とお礼言ってなかったわね」
 そう呟くと彼女は俺に顔を向けた。
「さっきは妹と一緒に助けてくれてありがとう。私はルナマリア・ホークって言うの。あなたの名前は?」
 その顔に浮かんでいる笑顔はとても綺麗なものだった。が、俺はそれを堪能できる状態ではなかった。
 なぜなら―
(なぜに種運命のメインキャラにこの時期に接触!!!というか、ぶっちゃけ俺はZAFTに入る気はナッシングだったのに〜〜〜〜〜〜〜!!!)
―世の不条理に泣きを入れていたからだ。
 まじで、こういう結果ってどうよ?


「ふ〜〜」
 芳醇な香りを堪能し、俺は琥珀色の液体を飲んだ。
 この味はセイロンだろうか。なかなかいい葉を使っているようだ。
「お〜、これもうまい」
 お茶請けに出されたクッキーも口に運ぶ。
 サクサク感と、口の中に広がるバニラの香りが食欲をそそる良い一品であった。
 俺は、目の前の現実から眼を背けるように出されたものをバカのように食べていた。
「お母さん、これはこうでいいの〜?」
「う〜ん、もう少し混ぜてみなさい、メイリン」
「きゃ〜!お母さん!!こげた〜!!」
「大丈夫よ、ルナマリア。これぐらいならおこげを削れば食べれるから」
 ドア一枚向こうの会話がなぜか耳に届いている。
 少し、会話の中に不穏なものが混ざっていたように思うが、気のせいだろう。
 いいかげん、今の状況を再確認した方がいいのだろうか。

 まあ、簡単に言うと軽く意識を飛ばしていた俺をホーク姉妹は、MIBに捕獲されたエイリアンよろしく引きずりながら自分達の家へと連れて行ったんだ。
 ……これって、誘拐なんじゃないのか?それとも、拉致?
 まあ、別に今のところ害が無いからいいんだけど。

で、家の中へと招き入れられるとそこには二人の原型、といっても差し支えの無い妙齢の美人さんがおられたんですよ。
 二人のお母さんだそうで、なんというか、一言で言うと、美人さんです。
 ……やば、自分の語彙能力の低さに涙が……。
 で、二人が俺の手のひらの怪我と、それに至る経緯を説明した結果、お礼に夕飯の席に招待される旨になったのだった。
 なお、ホーク夫人はもと看護婦だったらしく、治療がとても丁寧であったことと、俺のやろうとした伝統的な民間療法に対してお叱りを受けたことは、多分関係ないだろう。

 治療が終わった後、三人は俺をリヴィングへと通して台所へと姿を消した。
 途中、お茶一式を持ってきていただき、端末とテレビの使い方のレクチャーをしてくれたが。

 なんとなく落ち着かない。
 どうも、二人のお母さんに気に入られているように思うのは俺の自意識過剰だろうか?
 なんか、こう、獲物に飛び掛る準備をしている猫を連想するんだが。
 ……もしかして、ピンチ?

 ま、まあ、そういうことを今気にしてもしょうがないので、今俺が直面している問題に向き合おう。
 問題は何か、と言うと、ぶっちゃけ暇です。
 普通はホスト(この場合はホステスか?)が客の相手をするべきだと思うんだが、まあ、ホーク家は一般的な中流階級っぽいし、お手伝いさん云々はいないみたいだから自分達で食事の用意をしなくてはならないんだろう。
 それを差し引いても、暇だ。
 テレビを見ても、戦争関連の番組しかしておらず、これからおいしい?ご飯をいただくのに食欲を減衰させるようなものを見るのもどうかと思うしな〜。
 実際、久しぶりの家庭料理に俺の胃袋は歓喜の声を上げており、「歓喜の歌」を大合唱している。それこそ今現在内包しているブドウ糖を全て消費するがのごとくに。
 まあ、こっちに来てからずっとジャンクフードに近いものを食べてたからな〜。
 俺も暖かい手作りのものを食べれることに期待を膨らませているのが現状だし。
 それにしても、暇だ。

「なにか、暇を潰せるものは無いかな?」
 そう呟くと同時に指先に触れたものを見た。
 ノート型のパソコンだった。
 そういえば、これの使い方も聞いておいたんだっけ。
 俺の世界とそう基本性能が変わっていないことに疑問を持ったんだが、まあ、携帯電話もあるぐらいだから不思議じゃないか。
 そう自己完結すると同時に、俺はパソコンの電源を入れた。
 とりあえず、ネットサーフィンでもするか。

「c6にナイトをおいて、チェック」
 俺がそう呟き、画面の俺の分身がそのとおりに動いた瞬間、画面いっぱいに「You Win!!」の文字が輝いた。
 今俺はネットチェスを楽しんでいる。
 いや〜、あっちでも、漫画の影響で囲碁を覚えたときにネットで腕を磨きまくった経験があったので、こっちの世界にも無いかな〜と思ってさまよっていたら見事このサイトにヒットしたわけだ。
 でも、チェスはあるのになぜ囲碁がないんだろう?と、疑問に思ったのは俺の秘密だ。
 で、あれから俺は怒涛の十四人抜きを行っていた。
 こういうボードゲームは大得意なのだ。あとカードゲームも。
 コーディネイターとはいえ、やはりこういう先読みのやり取りを得意としているかどうかはそう向こうの人間と変わらない事実に少しほっとしてしまった。
やっぱり、同じ人間じゃん、と思うと同時に、今起こっている戦争の理由がとてもバカらしいものに見えてしょうがない。
 ピロロ〜ン♪
 どこか冷めた考えに浸っていると、挑戦者の到来の音がなった。
 頭を軽く振り、今までの考えを追い出すと挑戦者の名前を見た。
「え〜と、名前は……『Gil』、ギルね〜」
 そう呟くと同時に相手に了承の答えを返して、俺たちは戦場に立った。

 あれ?そういえばギルって誰かの愛称じゃなかったっけ?


―ルナマリアside―
「シ〜ン、おまたせ〜。ご飯が出来たわよ〜」
 私は夕食の準備が出来た事を伝えにシンが待っているリヴィングに入った。
 それにしても、食事の準備があんなに大変だったなんて驚きだった。
 普段は食器を並べたり、食後の洗物なんかだけを手伝っていただけに、今日のような一からの作業には四苦八苦をしてしまった。
 普段からお母さんの手伝いをしているメイリンは慣れた手つきでジャガイモの皮をむいていて、なんだか負けた気持ちがいっぱいになってしまったのは、私だけの秘密だ。
 今度からはもう少しお母さんの手伝いをした方がいいのかもしれない。
 そう思いながらリヴィングのドアを開けて中に入ると、シンの真剣な横顔が目に入った。
 端末の画面を鋭い、ライブラリィで見たことのある鷹のような鋭い目で睨み付けていた。
 その視線は、プラント内でも珍しい紅い瞳と相まって、何か言いようの無い力強さを感じずにはいられなかった。

「あ〜、そこのルークがここで活きるのか」

 そんな横顔を堪能している私の耳に、シンの驚嘆し、感心した声が入ってきた。
 るーく?なんのことだろう。
 疑問に思った私はゆっくりとシンの後ろに回りこん、端末の画面を覗き込んだ。
 画面には白と黒のモノクロの盤上に、白と黒の置物がばらばらに置かれていた。
 それらを見てもどれがさっき言っていた「るーく」だか分らないから、シンに声をかけようとしたら画面に「You Lose」という言葉が浮かんだ。
「あ〜、負けた」
 がっくりと肩を落とすシンに声をかけた。
「シン?」
「ん?ああ、ルナマリア。どしたの?」
「うん。ご飯が出来たから呼びに来たんだけど、なにやってたの?」
「ああ、ちょっと暇だったからチェスをね」
「チェス?」
「ん?知らない?まあ、いわゆる仮想戦争のゲームだよ。歴史が古すぎて明確な起源はわかんないけど、たしか紀元前四世紀ぐらい前以上だったって言う話があるね」
「紀元前、って一体いつよ」
 シンの説明に私はあきれてしまった。
 あまりにも古すぎだ。
「まあ、それはね〜」
 シンもそう思うのか苦笑を浮かべて頬を指先でかいていた。
「で、ちょうど終わったの?」
「残念ながら十五人目に負けてしまいました」
「十五人目?」
「うん。十四人抜きしてたんだけどね。十五人目に負けちゃった」
「……私としてはそんな古いゲームを十五人も知っている方が驚きよ」
「そう?」
 私の驚きが理解できないのか、シンはまた苦笑を浮かべて返事をした。
「さ、それよりも早くダイニングにいこう。せっかくのご飯が冷めちゃうから」
「ああ。でも、いまさらだけどいいのか?」
「それこそいまさらよ。いいからいいいから」
 少し渋るシンの腕を取って私達はダイニングへと向かった。

―シンside―
 メーデーメーデー。
 エマージェンシーエマージェンシー。
 SOS SOS。
 誰か助けて〜。俺の脳内と変なリンクを繋げている方々以外。
((ヒド!!))
 ……………無視して行こう。
 で、今現在俺はターゲットロックをされている状態です。
 いや、マジで。
 俺の横顔に、こう、義憤というか娘ラブというか、そういう意味をこめた視線が俺を貫く。

食卓に俺たちが入ると同時に、玄関から誰かが入ってくる音がした。
 誰かと思っていると、別のドアから赤毛の男の人が入ってきた。
「あ、お帰りなさい。お父さん」
 お父さん?
 ルナマリアの声を吟味しながら男の人を見ると、たしかに、どこか二人に似通った部分が見える。
「あ、お邪魔「何だね、君は!」す……」
 この家の家長であろう男の人に挨拶をしようとしたら、それを遮るように俺に尋ねてきた。
 すこし怒りの成分がこめられてませんか?お父さん。
「あ、俺は「なぜ私の家にいる!!は、まさか我が家にいる三人の天使を狙う不届きな奴だな!!!させん、させん、させんぞーーー!!!!!」です……」
 なにか、勝手にヒートアップしていますよ。
「あら、あなたお帰りなさい」
 少し引いている俺と、いつものことよ、と言うようにため息をついているルナマリア、なおヒートアップしているお父さんと言う異様な空間に第三者の声が響いた。
 両手にサラダボールを持ったホークお母さんだった。

 お母さん、あなたが女神に見えます。

「セイナ!!この男は一体!!!」
「あらあら」
 少し失礼、というとセイナさんはお父さんをどこかへ連れて行った。

「え〜と……」
「気にしないでシン。いつものことだから」
「いつものことって」
「そうですよ、シンさん。なんでか私達のどっちかが男の子を家に連れてきたらいつもああなんです」
 困ったお父さんよね、と二人で言い合うのを見つめた俺が、帰りたい、と思ったのは自然なことだと思う。


「いや〜、すまなかったね、君。いきなり怒鳴りつけるような事をして」
「は、は〜。いえ、気にしていませんので」
「そうかねそうかね」
 ハハハハ、と笑うお父さんの唇がなぜか少し赤いのと、その後ろにいるセイナさんが手鏡をの見ながら口紅を塗りなおしているのは関係ないことだろう。

そのあと、なぜか機嫌の直ったユリウスさん―お父さんと言った瞬間サイヤ人を超える戦闘力をたたき出したので名前で呼ぶことになった―を交えての五人で楽しい夕食を頂いた。
 ただ、ルナマリア、またはメイリンと話すときに湧く殺気が無ければもっと美味しくいただけたのではないだろうか、と思う。
 怖いよ、ユリウスさん。

 そのあと食後のお茶までご馳走になって俺は家に帰った。
 泊まっていけばいいのに、と言う誘いを、後ろで黒光りするものを持っている人の顔色を伺いながら辞退させてもらった。下手したら永遠の眠りに物理的につかせられそうだからな。

 家に帰り着いた俺は、そのまま備え付けのベッドに横になり、深く眠りについた。
 これ以上種運命のキャラと接点が生じないように、と願いながら。

((あ、それ無理))

…………ギャフン


一ヵ月後、俺の手元にはいやなものが届いた。
 それは、俺の世界でも半世紀以上前にあった手紙であった。
 いわゆる召集令状、ぶっちゃけ、アカデミーへの強制入学だった。
 なぜ?
 神様、あんたらはやっぱり敵だ。


      あは〜〜

―後書き―
 三ヶ月ぶりだよ、こんにちは。
 ……ごめんなさい。更新サボっていて。
 いろいろと忙しかったんですよ。
 で、久しぶりに続きを書いたんですが、いろいろとテレビの影響を受けないようにしているんですが、本編の方が、……ね〜。
 いろいろと突っ込みながら見ているのが今の現状です。
 第三部もある、と言う噂ですが、また主人公は彼なのだろうか?

 拙作では一貫して主人公をシン・アスカとしてがんばっていきます。

 では、レス返しをば。ちなみに二話分です。

>ファルケ様
 はい。まだ一般ピーポーなので関係は出来ません。
 「種無印」では。
 ですが「王道を外れた道の運命」では絡んで生きますので。

>ATK51様
>何とか「難民上がりの一市民」としては適応しているシンヤ、この流れだと軍に参加しなくても?と思えますが、運命は彼をどう導くやら。
>鍵はやはり兄貴ですか?
いえ、すいません。
鍵はザラパパの方針です。
本編の方でも、アカデミーの入学制限年齢を下げるように、という描写があったのでそれを変更させてもらいました。
 まあ、本編で見る限り、息子に裏切られてから本格的に壊れだしたと思うのでこれぐらいの無茶をするんじゃないかな〜、と思って出しました。

 >もはや「戦争について考えさせられるドラマ性」が最後の砦なのでしょうか。
 ……その砦ももう無くなってしまったように感じるのですが。
 もう、勧善懲悪ものを目指しているのでしょうか。同局のエウレカ7の方がストーリー的にも作画的にも上のように感じます。

 >それはともかく、この迷走を吹き飛ばす位の展開を楽しみにしています。
 プ、プレッシャーがーーー!!!!
 が、ガンバリマス。

>柿の種様
 え?柿の種って、もしかしてあの?
 感想ありがとうございます。
 他のサイトに掲載されている作品を読まさせていただいています。

 >何で彼はアカデミーに入ろうとしてるのでしょうか?
 最初は主人公だから入った方がいいのかな?と思っていたのですが、入学願書が受理されなかったことを皮切りに、俺は俺のシン・アスカとしての人生を歩もう、と思ってきたそうです。
 ですから、今回の話の後に、入学用の準備金は技術能力収得用の教材などに消えて言ったそうです。

 >生活の手段も見つけたぽいからそのままそれで、生きていけばいいと思うんですが。
 本人もその気だったのですが、運命が・・・(苦笑)

 >続き期待してます。がんばってください。
 はい。ガンバリマス。柿の種様もがんばってください。

>タカちゃん様
 え〜と、代理のコメント?ありがとうございます。
 できれば拙作へのコメントも欲しかったです(涙)

>明日死能様
 >もう本編はグダグダな内容になってきている気がするので、その鬱憤をシンくんに晴らして欲しいですね。
 はい。私も鬱憤がたまっているのでうちの子に晴らさせますよ。

 >ヒロインは誰でしょうか?個人的にはステラたんがオススメです。(以下略)
 そうですね〜。というか、連合三人組の扱いの悪さに目に涙です。
 ううう、ステラたん達はうちでは活躍させるよう努力します。
 で、以下略の部分ですが……ボクハナニモキコエナイ〜。

>くーん様
 >キラはテロリストというよりねレジスタンス
 いえ、最新話までを見る限りは、なんか狂信者のように思えてきたのですが(ラクス教?それともアスハ教か?)
 信念を持っていない、と言うところがダメでしょう。
 でも、スタッフの愛を一身に受ける、何て怖い子なの。

>カットマン様
 >種叩きなんですかねこのSS。
 そう思われたならそうなのでしょう。
 原作とは違った設定を生かす限り、原作を部分的に否定していることは否めませんので。
 もし不快になられたのならば、コメントをしていただかなくても結構です。
 誰かを不快にしたいから作品を作っているのではありませんし、不快にさせたいとは露ほどにも思っていませんので。
 よろしくお願いいたします。

>ビッグヘルプ様
>スラスラと筆が進むっつーんなら、もうちと文章量増やしていいと思うがね
>少ないよ、これ。二話分で一話分くらい?
 はい。善処いたします。

 >思想云々ってのは人それぞれだから、偏った主観であのピンクの人けなすのはどうかと思うのですます。
 思想云々については私もそう思います。ただ、シン自身がテレビを見て下した評価を描いただけですので、許容していただきたいと思います。
 彼は一視聴者のコメントしかもてないのですから、どうしても偏ったものになってしまいます。
 なのでご理解のほどを。

>ATK51様
 >パーティーメガネとアフロのかつら…確かに変ですね。
 友人の一人に、祭り帰りに酔っ払いに絡まれていた女の子を助けるのに、ウルトラマンのお面をつけていった猛者がいましたもので。
 変装は基本かな、とw
ちなみにその子はサッサと逃げていましたが。

 >例の仮面男もその辺りをダシ(嘲笑の)にしていた様ですが。(毒)
 そうですね。まあ、スーパーな人もそうなんですし(毒)

 >ならここは「ハイスピードフォーク」でしょう
 いやいや、高速スライダーも捨てがたいですよw

 ちなみに私は、ステラが死んだときには「OPとかであそこまで煽っといてそれかい!!」と突っ込んだ一人です。
 あと、フリーダムの構造を本気で知りたいのですが。
 なぜ、コックピット付近が爆発して軽症?もう少し、骨折とかするのでは?
 あれか、やっぱり緊急用シャッターなのか?と、友人ともども話しています。

 なんか、いろものガンダムが大量に出てくるようですが、私も出した方がいいんだろうか?

 では、また次回よろしくお願いいたします

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