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「黄金の獅子を受け継ぐ者7(まぶらほ+セイント星矢)」

アーレス (2005-07-16 00:21)
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「久しぶりだな。聖地でのんびりできるなんて」

「和樹くんって忙しいもんね」

「そうそう、和樹くん黄金聖闘士と学生のかけ持ちだし」

黄金の鎧を身に纏い定期的にある集会に参加するため戻ってきた和樹は白羊宮でお茶を楽しんでいた。

「コラ!舞夜、舞穂!おまえたちは従者なんだから「さま」をつけろ!」

ここの主である貴鬼が自分の従者である舞穂と舞夜を叱る。二人の兄妹は異能者がゆえに親から捨てられたところを貴鬼が拾い、自分の従者としたのだ。

「聖衣つけてないときは「くん」でもいいけどね。それで俺に話したいことってなんだ?貴鬼」

「おまえが前に任された指令で回収してきた王冠な、もとの美術館に戻されるそうだ」

「ふ〜ん」
(アレさえなければ杜崎に迫られることなんてなかったんだけどな)


―――――――――――――――


「こ、ここなんです。今まで何人もの退魔士の方に頼んだのですが、それすべてが全滅で…」

「わかりました。お任せください」

ギリシア展をおこなうため、様々なものをギリシアから運び込んだ。そしてすべて準備が整ったその日、警備員がすべて黄金にされてしまった。しかも女性の警備員は行方不明。運び飲んだ美術品の中に呪われたものがあるのでは?と考え、退魔士を呼んでみたが結果は警備員と同じ黄金にされてしまった。やはり女性の退魔士が行方不明。そして退魔士で有名な杜崎に白羽の矢が立ったのだ(依頼料が高いため最後の手段)。
美術館の前で館長の男から説明を受けた杜崎沙弓は問題の美術館に向かって歩き出した。そのとき、館長の携帯が鳴った。

「…はい、もしもし……はぁ?……!?…わ、わかりました!それでは!!」

大慌てで携帯を切ると沙弓に向かって叫んだ。

「も、杜崎さん!い、依頼は取り消します!!」

「はぁ?」

沙弓は館長の男に詰寄った。

「どういうことですか?こんなギリギリで取り止めなんて」

「は、はい。実はこの手の専門家がギリシアから派遣されて来たそうで…」

「だから取り止めですか」

「う、上の命令でして…」

沙弓は段々腹が立ってきた。これではまるで自分が無能と言われているようではないか。
そうしている間に一台の外車が止まり、大きなリュックを背負った少年が現れた。沙弓はその少年に見覚えがあった。少年の方は沙弓のことを気づいた様子もなく館長の男と向き合った。

「ギリシアから派遣されたLeoと申します。早速ですが、取りかからせていただきますね」

「よ、よろしくお願いします」

館長は呆然とかえした。専門家というくらいだから若くても30〜40と思っていただけにショックを受けたようだ。

「ちょ、ちょっと!何であなたがここにいるの!?」

Leoと名乗った少年は彼女の通う高校のクラスメートだった。

「杜崎、悪いけど話している時間がおしいんだ」

そう言って美術館の中に入ってく。それを沙弓は追いかける。


―――――――――――――――――――


「待ちなさいよ!」

沙弓がLeoに追いついた。

「ついてきたのか。これはおまえの専門外のことだ。さっさと出て行ったほうがいいぞ」

「何がLeoよ。式森和樹!あんた7回しか魔法使えないんでしょ!何が専門家よ!!」

和樹はこの場に漂う微弱な小宇宙を探ろうと集中するかたわらで沙弓の方を向く。

「この世界にはおまえらが知らない真の力を宿したものがいるんだ。…来たか」

通路の曲がり角がぼんやり明るくなった。沙弓が和樹をかばうように前に出る。
通路から現れたのは黄金に輝く王冠をかぶり、古代の王族の衣装を纏った骸骨だった。

『ワシの金を取りにきたか?こそ泥ども…ここの金は全部ワシのものだ!ワシのものだぁ!!』

骸骨が飛びかかってくる。骸骨の突き出した腕が沙弓の着ているTシャツとズボンをかすった。骸骨に魔力を込めた蹴りを食らわしたが、蹴った感触は返ってこなかった。

「!?まずい!杜崎、服を脱げ!」

「こんな時に何いってんのよ!」

「自分の服を見ろ!金になりはじめている!」

「!?」

和樹に指摘されてはじめて気づいた。骸骨に触れられた辺りから金になり始めている。とっさにTシャツとズボン、靴を脱ぎ捨てる。間一髪のところで金にならずにすんだ。

「いったん退くぞ!」

下着姿の沙弓を軽々と担ぎ和樹はその場から離れた。


――――――――――――――――


「…式森くん」

「何?」

「…見た?」

「服に手をかけたあたりから目はそらしたぞ」

迷子センターに逃げ込んだ和樹たちは背を向け合って話していた。

「あれはなんなのよ」

「ミダス王。ギリシャ神話に出てくる小アジアのフリギアの王で神に触れたもの一切を金に変えるという力を授けられた王様だ」

「なんかB組が喜びそうな力ね」

「あっても迷惑こそすれ、喜ぶべき力じゃない。何せ触れたものすべてを金に変える力だ。食べ物は掴んだり口に入れた時点で金になり、飲み物は口に含んだ時点で砂金になる。食べることも飲むこともできない」

「確かに喜ぶべき力じゃないわ。で、神話だと最後どうなるの?」

「自分の愛娘まで金にしてしまい自分の強欲さを反省して力を無くしてもらい、いい王様になるんだ」

「アレがいい王様にはとても思えないわ」

「恐らくあの王冠は『ミダス王の強欲の冠』ミダス王が欲深かった自分を捨てるために封印したと言われている王冠だ。だからあんな風になったんだろ…なるほど、なんで青銅や白銀じゃなくて黄金の俺に声がかかったかようやくわかった

和樹は自分の着ているものを脱ぐと沙弓に投げ渡した。

「いつまでもこうしているわけにも行かないし、ずっとそのままじゃまずいだろ?着ろ」

服を投げつけられ、思わず振り返ると和樹がリュックから聖衣を出していた。

(へ〜、式森くんって意外と着やせする性質なんだ〜って違う!)
「なんなのそれ?」

和樹は答えず、パンドラボックスと呼ばれる箱から獅子座の聖衣を出し、装着する。

「さて、行こうか?」

「ちょっと質問に答えなさいよ!」

部屋を出て行く和樹を追いかけて沙弓も出て行く。


――――――――――――――――


二人は奥の方にある“古代ギリシア王族の間”というコーナーまで行くとミダス王はその王座に座りその足元に金になった様々なものをはべらせていた。

「悪趣味な…」

「まったく…」

二人は堂々とそこに入っていく。ミダス王は和樹たちの方に目を向け、思わず立ち上がった。

『聖闘士!?また貴様らか!!ワシから金を奪おうとするのは!!!』

「セイント?」

沙弓は前に立つ和樹を見る。

「また…そうか、欲にまみれたおまえを正したのは神話の時代にいた聖闘士か。悪いなまたおまえの欲望を砕かせてもらうぞ!」

『そんなことさせんぞぉ!!』

ミダス王が和樹に触れる。勝利を確信して顔を見たとき、ミダス王は吹き飛ばされた。

「おまえごとき雑魚になんで青銅や白銀ではなくこの俺が黄金が呼ばれたと思っている。とはいっても欲のみしかない貴様にはわからんか」

「金を金にすることはできないから?」

「ご名答。我が聖衣は黄金!貴様には最悪の愛称の色だ」

正解を導き出した沙弓に軽く拍手するとミダス王に向き直った。

「欲にまみれた夢はもう終わりにしよう。俺の生み出す光を通って冥府へ行け! ライトニングボルッ!?」

和樹はライトニングボルトをとっさにずらし、壁に大穴をあけた。ミダス王が自分の身を守るために金となった女性たちを盾にしたのだ。

「何今の!?魔力なんて全然感じなかったわよ!」

それどころじゃないのは沙弓だ。和樹の声と同時に腕が光り、壁に穴があいたようにしか見えなかったのだ。
彼女の声など無視して和樹はミダス王を睨みつけた。

「貴様!」

『クク、民に拳は振るえまい?』

「なめるな!!」

沙弓は叫んだ和樹に黄金の雄々しい獅子の姿を見た気がした。

「燃え上がれ、俺の小宇宙!ライトニングファング!!」

床に拳を叩きつけた。その瞬間、ミダス王の真下から雷が駆け抜けた。

『ヌォォ!!』

「聞け!獅子の咆哮を!」

舞い上がったミダス王に拳を叩きつける、接触すると同時に叩きつけた拳に溜め込んだ小宇宙がミダス王に向けた一気に放たれる。

『!!!!』

骸骨は砕け、王冠だけが床に転がった。和樹は王冠を踏み潰そうかと思ったが指令を思い出し、拾い上げた。

「それどうするの?」

「ギリシアに持って帰る。その先は知らん」

金になっていた女性がもとに戻りはじめたのを確認するとマントをはためかせて外に出ようと進んでいく和樹に沙弓は追いつき、溜り溜まった質問をぶつける。

「結局アンタは何者なの?」

「聖闘士」

「そのセイントとか、クロスとか、コスモとかってなに?」

「聖闘士は俺たちのこと、聖衣はこの鎧、小宇宙とは魂の奥に隠された無限の可能性を秘めた力だ」

「ふ〜ん、ねぇ式森くん。私にもそのコスモっていうの教えて」

「は?」

突然何を言い出すんだと沙弓の顔を見るが、冗談ではないらしい。
小宇宙を身につけるのにはかなりの時間と死と隣り合わせの修行を必要とする。和樹達の父、星矢たちの戦った海将軍たちのようにある日、突然、目覚めるなんてことは、まずないのだ。
事実、和樹と共に修行した兄弟弟子で生きているのはほんの一握りしかいない。さらにそのほとんどが聖闘士になれず一括の兵としてすごしている。

「教えない」

外に出ると同時に大きく跳躍してその場から逃げたのだが、その後学校に行くたびに(和美から聖闘士の拳の凄さを聞き出した)沙弓に迫られるようになった。


―――――――――――――――


「貴鬼!おまえが風邪なんてひかなければ俺が学校であんな目に会わずにすんだんだ!」

「仕方ないだろ!聖衣の修復が立て込んでたんだ!!」

「どうせまた、面倒くさいとか言って期限ギリギリまでほっといたんだろ!」

「(ドキ) ソンナコトハナイゾ!」

「図星だな!おい!!」

和樹と貴鬼が金色のオーラに包まれだした。

「修正してやる!三十路目の前のクソ親父!!」

「何を!おまえこそ、年上を敬うっていうことを教えてやる!」

「ライトニングスパーク!!」

「スターライトエクスティンクション!!」

定期集会が始まるまで白羊宮付近で黄金の獅子と黄金の御羊がぶつかり合いっていた。


あとがき
アーレスです。
今回は過去の話にしました。
次回は前黄金聖闘士の方を出す予定です。

それではまた………君は小宇宙を感じたことはあるか!?


レス返し

>御気さん
黄金聖闘士ですからあれぐらいやっていただかないと

>良介さん
それが和樹くんのプライドですから

>D,さん&kuesuさん
スチール聖闘士について
アニメオリジナル。通常聖闘士のように小宇宙を燃焼させるのではなく、鍛えた己の体とグラードの科学力で戦う少年たちのこと
スカイクロスの翔
グランドクロスの大地
マリンクロスの潮
の三人がいた。必殺技は三人合体技のスチールハリケーン

>ななしさん
王道ですね。そういえば…

>ジェミナスさん
そういう話も良いかも…

>文・ジョウさん
すでに二体ほど決まっておりますが、後一体が決まらず出せないでおります。

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