黒い種 キラ君奮闘?物語
第45話 企業マン VS 黒き帝王 最強は誰?
「え、母さんって・・・」
「もしかして、キラ様のお母様なのですか?」
キラの呟きを聞いた女性陣が目を輝かせながら聞き返す。
それに答えたのはキラではなく、
「ええ、キラの母のカリダ・ヤマトです。よろしくね」
と、微笑みつきでカリダ本人が答えたのだった。
それから先は大変だった。
キラの母登場にその場にいた女性陣が一斉にアピールを開始。
パナマ基地へ向かう事などすっかり頭から消え去ってしまっていた。
「まぁ、そんな事があったの?」
「はい、そこでキラ様に助けていただいたんです」
カリダ登場からすでに1時間。
すっかり打ち解け話し弾む女性陣。
ラクスたちハーレムメンバー+シンは自身とキラとの思い出を語り、
カリダはそれを楽しそうに聞いている。
「・・・・・・」
その中で、キラ1人が無言のままだった。
その顔からは尋常ではない量の冷や汗が流れ落ちている。
「・・・そうだわ。キラ、貴方に聞かないといけない事があったの」
「(ビクッ!!!)・・・・・・な、何?」
唐突に話を振られ、うろたえるキラ。
「ステラ・ルーシェって子を知らないかしら?」
「「「「「!!!!!!」」」」」
彼女の口から出た言葉。
キラのみならず、その場にいた全員が驚きに染まる。
だがそんなことには気にせず話を進めるカリダ。
「私が前に勤めてた研究所の子でね、行方不明になっちゃったのよ」
「ふ、ふ〜ん」
キラも何とか相槌をうつ。
しかし、傍から見てもバレバレなほど一杯一杯になっている。
「キラ達と同世代なんだけど、ちょっと精神的に幼いところがあってね。
それにとても人見知りするし」
「へ、へぇ〜」
「ずっと探してるんだけど見つからなかったのよ。
今はもう研究所を辞めたんだけど、それだけが心配で心配で・・・」
「ほ、ほぉ〜」
「・・・・・・」
「うっ・・・・・・」
相槌のみを返すキラをまっすぐ見つめるカリダ。
笑顔だが目が笑っていない。
「いや、その・・・」
「・・・・・・」
「だから、ええっと・・・」
「・・・・・・」
キラに襲いかかる無言のプレッシャー。
カリダの恐怖が体に染み付いている彼には耐えられるものではない。
「・・・・・・」
ついに口を閉ざしてしまうキラ。が、しかし・・・
「早く話さないと怒っちゃうわよ♪」
「申し訳ありませんお母様。全て話させていただきます」
必殺の一撃ともいえるセリフの前にあえなく陥落。
ステラに関した事を洗いざらい白状したのだった。
「・・・・・・以上です、お母様」
ステラとの出会いからの事を全て告白したキラ。
すっかり真っ白の燃え尽きてしまっていた。
なお、ステラとの出会いの経緯も詳細に説明させられたため、
女性陣の視線が強くなった事で余計に疲弊してしまった。
ルナマリアを連れて来ていなかったことが唯一の救いである。
「そう、ありがとうキラ。ステラちゃんの無事がわかって安心したわ。
でもあのステラちゃんがね・・・ちょっと驚いちゃった」
一方、ステラの無事とその後の変化を知ってとても嬉しそうな様子のカリダ。
その仕草がなんとも幼く見え可愛らしい。
と、ここで復活したキラがカリダに問い返す。
「・・・ところで母さん、どうしてそんな研究所で働いていたの?
そこの研究所で何を研究してるのか知ってたんでしょ」
キラは微かに怒りを浮かばせている。
ステラがいかに酷い扱いを受けていたかを思い出したのだろう。
だが、カリダはのほほんとしたままである。
「知ってたわよ。でもキラ、貴方は少し勘違いしてるわ」
「え?」
「確かに私が入るまでは凄く非人道的な事をしていたわ。
でも、私が研究所の所長とスポンサー企業の方々を
誠心誠意説得(という名の脅迫)をして取り止めさせたのよ?
勿論今もやっていないわ」
「・・・ホントに?」
「本当よ。ステラちゃんにしたってちゃんとした手術を施す予定だったの。
で、その移動途中にキラが連れていっちゃったのよ」
次々明かされる新事実。
キラ以外全員はカリダの凄さに言葉を失っている。
と言っても、皆すでにカリダに洗脳されているために恐怖心とかは抱いていない。
親子そろって人を魅了する特殊能力を備えているのだ。
しかしキラだけはその空気にのまれていない。
「で、でも!あんなに無茶苦茶な状態、医者にどうにかできるわけない!」
確かにそうである。
非合法の薬剤と過酷な肉体の酷使。
それによってボロボロになった体をどうにかするなど、
ナチュラルはおろか優秀なコーディネーターの医師でも無理である。だが、
「大丈夫よ、手術するのは私だから♪」
「・・・・・・は?」
今度こそ動きの止まるキラ。
さすがの彼でも今の発言は処理し切れなかったらしい。
「か、母さん?今、何て?」
「だから、私が手術するのよ。これでも医師免許持ってるんだから♪」
「いや、そういうことじゃなくて・・・」
「元々あの研究所にいた子たちはもう私が全員治療したわ。
能力も人より少し上なくらいにとどまってるし。
それにキラ、貴方はステラちゃんを治療できたんでしょ?
貴方に出来る事が私には出来ないとでも思うの?」
「うっ・・・・・・」
最後だけ声色の変わるカリダ。
彼女の本性ここにあり。
そしてこう言われると反論できないキラ。
何故なら、キラに一連の技能を仕込んだのは彼女なのだから。
「そういう事よ。でもキラ、媒体がないと安定しないんじゃもしもの事があったら大変よ。
まぁ、結婚指輪なら何があっても外さないでしょうから、大丈夫かしらね」
「け、結婚って!別にそんな・・・ハッ!」
カリダの発言に動揺するキラだが、突如背後から感じた殺気に振り返った。
「そう言えばキラ様・・・」
「指輪の件だが・・・」
「まだ説明して貰ってません・・・」
「納得のいく説明をして貰いましょうか、キラ・・・」
そこにいたのは、うやむやの内に忘れ去られていた事実を思い出し、
修羅となった4人の女性であった。
「うふふ・・・まだまだね、キラ」
必死に弁解を述べるキラを面白そうに見つめるカリダ。
帝王を育成せし女神、ここに在り。
ちなみに、全身打撲によりキラは3日間行動不能になったらしい。
よって奇襲不可能になりましたとさ。
おまけ
場所は変わって連合軍基地。
ドミニオン内を見回るアズラエルとサザーランド。
「アズラエル様、少しお聞きしたい事があるのですが」
「なんだい、サザーランド君」
「予定よりも彼らの能力が低くなっている気がするのですが」
「・・・・・・」
サザーランドの言葉に立ち止まるアズラエル。
そのままゆっくりと振り向き、サザーランドの顔を真正面から見据える。
そして一言。
「あの女・・・いや、あの御方に逆らえる者などいないのだよ」
「はぁ?」
アズラエルの言葉の意味が解らず首をかしげるサザーランド。
しかし、それっきり遠い目をして一切喋らなくなったアズラエル。
時折、
「あの写真さえ無ければ・・・あの写真さえ・・・」
とボソボソと呟くのみだった。
そして3日後、女神の力を知る2人の男が対峙する。
あとがき+レス返し
結局今回対峙しませんでした。
次回こそ必ず、話が始まってすぐに対面させますので。
でも戦いにならなそう・・・
しかしカリダさんが盛り上がりすぎてしまった。
人工的に育てられた花よりも自然の花のほうが綺麗で強いの如く、
人工的な天才では天然の天才には敵わない。
そういうことでしょうね。
こうの様から頂いたご指摘ですが、
生体CPUはモビルスーツのパーロットになった者たちのみの呼び名で、
総称ではないという風に作者自身が解釈しております。
本編ではMS乗りしかでてきてませんが・・・
ザフト側との区別という問題も考えましたが、
とりあえずエクステンデットで統一という手段をとらせていただきました。
こうの様、ご指摘ありがとうございました。
ネームレスカルツ様・SES様・イワッペ様・D,様・煌く凶星j様・こうの様
レスありがとうございました。