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「幻想砕きの剣 2-1(DUEL SAVIOR)」

時守 暦 (2005-06-26 13:32)
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幻想砕きの剣 第二章 一節
            初日・顔合わせ・大河君、本領発揮!


 傭兵科の生徒、セルビウム・ボルトの朝は早い。
 布団の中でゆっくり眠っているのも好きなのだが、傭兵科の人間は訓練により睡眠時間をコントロールできるようにされている。

 傭兵とは金で雇われる兵士であり、雇い主にして見れば云わば使い捨てのコマのようなものだ。
 そんな扱いをされている以上、よほど名の知れている傭兵でもなければ優遇される事もまずないし、休憩中にいきなり叩き起こされて即戦闘開始、などという事態もままある。
 そんな時に「眠いから体も頭も動きません」などと言っていられない。
 だから傭兵科では、自分の体調管理は勿論の事、いつでも戦えるようなコンディションを保つように教え込まれる。

 時には浅い眠りで警戒しながら休み、時には深い眠りで短時間で体力を回復させる。
 そして起きた時には常に頭はすっきりしている。
 これくらいの事ができなければ、傭兵など、とてもではないがやっていられない。


 そんな訳で、セルに限らず傭兵科の生徒の朝は早い。
 日が昇る頃から少しずつ起き出す生徒が現れ、朝食までの時間を各々が勝手に過し始める。
 訓練に精をだすもの、学園から出された課題をこなすもの、趣味に走るもの。

 そんな中で、学園にその名を知られたスケベ男・セルの行動は大抵決まっていた。
 エロ活動。
 時には更衣室に忍び込んで誰かが入ってくるのを待ったり、時には朝風呂を浴びている生徒がいないか覗きに行ったり。

 どこぞの煩悩少年を彷彿とさせる彼だが、その日は違った。
 朝早くから起きだしたのは普段と同じだが、彼は更衣室でも風呂場でもなく、女子寮に向かったのである。
 女子寮にセルが入っていくとなれば、それだけでもう警戒に値するようなものだが、基本的にセルは正面切ってエロ活動を起こす事はないらしい。
 なので、彼が堂々と姿を見せている時は反って安心、という認識が広まっている。

 それはともかく、本来男性立ち入り禁止の女子寮に向かったセルは、そのまま屋根裏部屋に直行した。
 昨日友人になった、当真大河を起こすためだ。
 当人は平気そうな顔をしていたが、急に環境が変ればストレスも溜まる。
 親友の様子を見るめ、セルは朝の貴重な一時を棒に振った。
 ……無論、途中で出くわした女生徒達の寝起き姿はしっかり幻影石に記録したが。
 いずれにせよ、友人に会いに行くためなら女子寮に、それも警戒厳重な救世主クラス付近に居てもおかしくはない。
 貴重な機会を逃すはずもなかった。


「おーい大河、起っきろー……??」


 勢い込んでセルは屋根裏部屋にやってきた。
 予想通り、昨夜まで埃まみれだったベッドの上に大河が見える。

 しかし。

 しかし、この膨らみはなんだろう。
 何処をどう見ても、大河一人分の大きさではない。
 誰かが大河と同じベッドで眠っている。


(ど、どうなってんだ…。
 大河は昨日アヴァターに来たばかりで、同衾するような知り合いなんぞ居ないハズ…。
 となると、ひょっとして昨日俺と別れた後で誰かを引きずり込んだのか?
 いやいや待て待て、大河は未亜さんと付き合っている…でもそれは公式にじゃない。
 ならば、やはりナンパか?
 仮にも史上初の男性救世主候補なんだ、本人の顔とかはともかくとしても肩書きだけでも結構釣れるかもしれん…。
 しかし、いきなりアヴァターに連れて来られて不安になっている未亜さんを放っておいて、誰かに手を出すかというと……これもちょっと考えられん。
 ……ならば………ま、まさか逆夜這いかッ!?
 そう言えば昨日盗み聞きした会話でも大河に興味津々だった!
 これなら全て納得がいく!)


 一分近く硬直したまま考え込み、やっとセルは結論を出した。
 硬直が解けたかと思うと、今度は俯いてプルプル震え始める。


「みっ、未亜さんとそーゆー関係だってだけでも羨ましいのに!
 掟破りの逆夜這いだとぅ!?
 くぉら大河ぁ!
 貴様、いつからそんな…っと」


 激情に駆られて叫び、大河の布団を引っぺがすセル。
 しかしその下から現れたのは、セルが予想していたような情事の後でもなく、そもそも逆夜這いの後でもなかった。


「み、未亜さん…?」


 布団の下には、大河に抱きついて眠る未亜の姿があった。
 パジャマを着ているから、昨晩遅くにナニかあったわけではないのだろう。

 しかし、慕ってくる妹との、それも美少女との添い寝…。

 再びナニかがふつふつと湧き上がってくる。
 そのまま大河を叩き起こして、いちゃもんをつけてやろうかと思ったのだが。


「………やれやれ」


 大河と未亜の手がしっかりと繋がれているのを見て、セルは急速に醒めてきた。
 見事なくらいに2人はお互いを想いあっている。

 正直大河は羨ましいし、未亜にも多少未練がある。
 しかし、これから2人に降りかかる『救世主候補生』という重荷を思えば、少々の事なら大目に見るべきかもしれない。
 極端な話、これが最後の休息、なんて可能性だってないことはないのだ。

 救世主候補が命を賭けて戦うように、傭兵だって命を賭ける。
 重荷なら誰だって持っているし、その重さが職業や年齢で変るとも思っていない。
 贔屓と言われればそれまでだが、いずれにせよ、激情に任せて2人を叩き起こすような無粋なマネはしたくなかった。


「もう少しだけ眠らせてやるか…。
 大河はともかく、未亜さんの寝顔も見られた事だしな。
 俺は……そうだな、もう一回寝起きの女生徒さん達の姿でも激写しに行きますかね」


 そう言って、セルは幻影石を片手に屋根裏部屋を出て行った。


(しかし……もう大河を起こしに来ないほうがよさそうだな。
 今日はよかったけど、布団をめくったら裸で抱き合ってました、なんて展開はいくらなんでも気まずすぎる…。
 む、しかしその場合はいい目の保養に……やっぱダメだな。
 大河とナニした後の女の子を見てどうこうってのは、男として情けなさ過ぎる)


 地球的に表現するなら、八時前後。
 ようやく大河と未亜は起き出してきた。

 床を共にしながら何もなかった、などというシチュエーションはここしばらくなかったせいか、何となくはにかみながら布団から這い出す。


「おはよう、未亜…」


「うん、おはよう…。
 って、今何時!? 学校に遅刻しちゃう!」


 未亜は寝起きとは思えないスピードで跳ね起きて、時計を探して部屋を見渡す。
 しかし、そこは住み慣れたマンションの一室ではなくて、日が差し込む屋根裏部屋だった。


「そっか……アヴァターに来たの、夢じゃなかったんだ…」


「残念か?」


「ん〜……ちょっとね」


 未亜は体を伸ばして深呼吸し、窓を開けた。
 早朝のやや冷たい空気が流れ込んでくる。
 一つ身震いをして、改めて眼下の景色を眺めた。


「……結構遅くまで寝ちゃったみたいだね。
 もう起きて色々動いてる人たち、結構いるよ」


 遅いといっても、それは主婦の感覚での話だ。
 未亜は毎朝朝食と弁当を作っていたので、一般的な高校生よりも起床時間が早い。

 窓から見える学園の中では、早朝ランニングに精を出す者、昨日門限に間に合わなくて締め出された者などがちらほら蠢いていた。
 このままでは、初日から遅刻はしなくても、朝食を食べ損ねてしまうかもしれない。


「お兄ちゃん、早く着替えてご飯食べよう?」


 久しぶりに自分以外が作った朝食を食べる。
 大河と新婚さんごっこなんぞしていた未亜としては、大河と2人きりの時間が減るのは少々残念だ。
 しかしそんな事を言っても仕方がないので、未亜は大河を急かして食堂へ向かう事にした。


「ああ。
 朝食と夕食は寮で食べるんだったよな。
 急がないと無くなっちまうかもしれん」


 布団に包まりもせずにさっさと起き出している大河を見て、未亜は驚いた。
 普段の大河なら、「あと50分…」などと言いつつ布団に潜り込み、昨晩の行為が不完全燃焼だったりした時には未亜まで引きずり込みにかかる。
 雨でも降るのかと、未亜は窓から天を仰いだ。


「……何を考えてるのか大体予想がつくが……単に昨日何もせずに寝たから、欲求が不満しているだけだぞ」


 未亜の柔らかい体を感じ、衝動を抑えて無理矢理眠ったので、体の一部を基点として色々と滾りまくっているらしい。
 生理現象と相まって、ゆっくり二度寝ができなくなるほど体力が有り余っているようだ。

 ストレートな物言いに顔を赤らめて、未亜は早口に喋る。


「で、でも今は時間ないし!
 それにここでナニかしたら、下の階の人にも聞かれちゃうし!
 朝からそういう事したら、朝風呂に入らなきゃいけないからもっと早く起きて…。
 だ、だからその、お口だけで…違う、放課後とかに何処かいい所見つけて…でもない!
 と、とにかく今はお預け!
 早く着替えて朝ご飯食べにいくの!」


 服を着替えに、未亜はそそくさと自室へと戻ろうとする。
 しかし、彼女は扉の前までいくと、無言で大河の前まで戻ってきた。
 大河の一歩手前まで来ると、未亜は無言で目を閉じる。
 何のつもりか察した大河は、未亜を抱き寄せて無言で接吻した。
 たっぷり一分はそのまま動かない。


「っぷは…お早う、未亜」


「おはよう……そ、それじゃ私はもう行くから!」


 大河が欲求を持て余して暴走しないうちに、未亜はさっさと出て行った。


「あ、おはようございます未亜さん……あれ?」


 聞き覚えがある声がしたかと思うと、扉を開けてセルが入ってきた。
 怪訝な顔で部屋の様子を見て、特にベッドを観察する。


「……無理矢理とか済崩しに何かしたわけじゃなさそうだな」


「何を観察してる何を」


 大河はセルと顔を見合わせて苦笑すると、アヴァターに召還されて来た時に着ていた学生服に着替え始めた。
 夜のコンビニに行くのに制服だったのは単に洗濯物の量を増やさないためだが、大河はそれが僥倖だったかもしれないと思う。


「やっぱり戦う制服って格好いいよな、ガクランとか」


「うむ、女の子ならなおさらいい」


 白ランだったらパーフェクト。


 服を着替えて来た未亜を伴って朝食を食べに向かう。
 しかし、当の未亜はベリオを見つけて話しかけに行ってしまった。


 未亜としては、ベリオに挨拶をしてすぐに戻るつもりだったのだろうが、朝一番とはいえ育ち盛りの学生を舐めてはいけない。
 食堂の様子たるや、それこそ集団暴走するレミングスの群れ、ゲルマン民族大移動、ホノルルマラソン参加者全員全力疾走。
 非力な未亜はベリオの前に辿り着いたはいいものの、人波に飲まれて戻れなくなってしまった。
 木に登って降りられなくなったネコか。

 この人ごみを突っ切って、なおかつ食事を確保するのは至難の業である。
 仕方がないので、大河とセルだけで食事をとる事にした。


「それで大河よ、大丈夫なのか?」


「あん? 何がだ」


 妙にまじめな顔をして聞くセル。
 大河は何を聞かれているのか分からずに首を傾げた。


「今日は救世主クラスの初日だろ?
 とすると…能力測定試験があるはずだ」


「まーた試験かよ!?
 確かに昨日委員長から説明を受けたけどなぁ」


 うんざりした顔をした大河だが、そもそも彼は一度もテストを受けていなかったりする。
 トレイターを召還したゴーレムとの戦いは、元々未亜のためのテストというか御披露目だ。
 彼がした事は、ある意味カンニングというか、人のテストに割り込んで合格に便乗し、そのまま誤魔化したようなものである。

 無論誰もそんな事には気付かない。
 都合の悪い情報は得てして削除されるものなのだ。


「大体、何が楽しくてそんなに何度もテストするんだ?
 定期的に能力測定試験があるって言ってたけど、テストなんぞ期末と中間だけでもいいじゃねーか。
 多くても休みの直後にあるくらいでいいんだよ。
 増えると学生は嬉しくないぞ
 俺の学校だって…期末以外に中間2回×3科目。
 何度テストやりゃ気がすむんだウチの先公は!


「期末と中間がいつの事なのかしらんが、基本的に学園には長期の休みはないぞ。

 それはともかくとして、この学園は徹底した実力主義だからな。
 研究者タイプの進路に進んでいるなら、そんなに頻繁にテストはないけど、その分テスト問題は手間がかかったり自分で一から考えなきゃならないものが多い。
 で、結果はレポートで提出するんだが……成績のいいヤツになると、レポートどころか論文みたいになるって聞いた事があるぜ。
 つまり、一芸が誰の追随も許さないくらい優れているならいい成績がとれる。
 その専門分野で活躍すればいいんだからな。

 逆に俺達みたいな前線で戦う進路に進んでるなら、総合的な能力測定が徹底的なくらいに重要視されるんだ。
 一芸に秀でていても、それを使うタイミングとか力の使い方の上手い下手は、やっぱり実戦形式じゃなきゃ計れないからな。
 頻繁に試験があるのは、一夜漬けが出来ないようにするためだな。
 付け焼刃で戦場に送り出すなんぞ、殺すようなもんだし……常に勤勉な体制を作り出させるためだとかなんとか…。

 で、テストでの勝敗でクラス内での順位を決めるわけだ。
 当然順位が高ければ高いほど、それに応じて発言力も高くなる」


「なるほどねぇ…。
 その発言力ってのは、陳情したりデートに誘ったりしたら減ったりするのか?」


「まあ、ポンポン発言するよりも、ここぞって時にだけ発言する方が効果があるのは確かかな…。
 で、そりゃ何のネタだ?」


「ゲームだよゲーム…。
 で、何と戦うんだ?
 昨日みたいなゴーレムだったら、俺はともかく未亜が心配だぞ」


 昨日のゴーレム、というのがどんなゴーレムを指しているのかセルは知らなかったが、この際それは関係なかった。


「ゴーレムなんかが相手じゃねえよ。
 クラス内での優劣を決めるんだから、対戦相手は当然クラスメート……大河と未亜さんの場合は救世主候補生って事になるな。
 昨日の夜、寮長が『大河君と当たるように』って言ってたろ?

 救世主クラスのメンバーだけあって、当然ヘタなモンスターより強いけど、その分理性ってモノがあるから大怪我はしないだろ。
 ……昨日の寮長みたいに、怒ってなければ、だけどな……」


「あああ……そうだった…」


 昨日の夜、大掃除の人手が足りない大河は、未亜に指示してベリオを操り、結果疲れきったベリオを掃除手伝いに引き擦り込んだ。
 元はといえばベリオのミスから発生した事だが、疲れ切っているところに騙されて操られたのが相当頭にきたらしい。

 唯一つの救いは、クラスの席次を決めるためなので、一緒に転入(?)してきた未亜と戦う事はなさそうだ、という点だろうか。
 頭を抱えて沈む大河を面白そうに見やって、セルは他人事のように続けた。


「まあ、せいぜい頑張って勝って、男の威厳ってやつを取り戻してくれ。
 なぁに、負けても死にはしないし、そもそもテストは部外者がいない所でやるから、勝ち負け関係ナシに話は広がらないからな」


「それがどーしたってんだ」


「今のままでも男の威厳は地に落ちてるから、お前が負けたところで失うものは大して無い。
 もし勝ったら、女性上位の社会を形成している要因の一つに一矢報いた事になる。
 いずれにせよリスクは低いって事だな」


「ああ、そうかい…」


 2人は食事を取り終えて食堂を後にし、近くの休憩所で他愛もない話をしていた。 
 大河とセルに遅れる事十数分、ようやくベリオと未亜も食事を終えて食堂から退避してきた。


「じゃあ、そろそろ教室に向かわないと遅刻しちゃいますから。
 それじゃあセル君、また今度」


「はいはい。
 大河、お前も行くのか?」


「ああ。
 まだ履修登録なんぞしてないけどな。
 次の時間は救世主クラスには必須らしいから、それが終わって午後の試験が始まるまでに教務課に行ってくるわ」


 なにせ救世主クラスとして登録されたのが昨日である。
 履修登録はおろか、事務的な手続きは一切されていない。

 それにしても、まるっきり大学そのものだ。
 雰囲気はほのぼのとしているし、少し探せば遊技場まである。
 体育館やグラウンド…闘技場の事だが…では、休憩時間には学生達がボールを追いかけて走り回る事もある。
 来るべき危機に備えているというのに、それでいいのかフローリア学園。


 ベリオはまだ道を覚えきっていない2人を先導して、午前中の講義室へとやって来た。

 教室の中からは、大人数が騒いでいる気配が伝わってくる。
 命を賭ける傭兵科や、危険な実験をする事になる魔法研究科や技術研究科といえども、学生時代はあまり大差ないらしい。


「あれ? 救世主クラスって5人しかいないんですよね?
 それにしては、教室の中から結構な声が聞こえるんですけど」


「ああ、学問系や一般教養の授業は色々な学科の生徒が一緒にする事が多いんです。
 分かれて授業をするのは、レベル別の実技や、その他専門的過ぎて他の学科にはついてこられないような授業ですね」


「でも、この授業って魔法とかの授業なんですよね?
 私、魔法なんてさっぱりわからないんですけど」


 世界を渡り、アカシックレコードに多少なりとも触れていた大河ならば、少しぐらいは聞きかじっているかもしれない。
 しかし未亜は正真正銘、魔法なぞ信じてもいない、オカルトなんぞ最初から興味もなかった、完璧な初心者である。
 いきなり魔法理論がどうのこうのと言われても、幼稚園児に高等数学と物理を同時に論じるようなものだ。
 ましてや初日なのだから、予習などしてもいない。

 しかし、未亜の心配は取り敢えずは杞憂であった。


「大丈夫です。
 この授業はそういった理論を扱うものではなくて、魔法の種類や効果、リーチなどを取り扱っているんです。
 つまり、魔法の使い方や原理ではなくて、結果として現れる現象ですね。

 わからなくても、聞いておいて損はないと思いますよ。
 相手の攻撃方法を知っているのと知らないのとでは、大きな違いがありますからね」


 僧侶のクセして、何でこうも思考が戦闘的なのか。
 破滅と戦うためとはいえ、彼女は本当に聖職者だろうか?
 確かに従軍僧侶というのも居るが、少なくとも前線に出て敵を殴り飛ばすような役職ではなかったと思うが。

 もの言いたげな大河と未亜の視線に、ベリオは苦笑する。
 彼女自身、アヴァターに来た頃と比べて大分殺伐とした考え方をするようになった自覚があるらしい。


「あの……」


「とにかく、私たち救世主候補生は、常に規範となるように振舞わなければなりません。
 私たちは常に全校生徒の注目を集めています。
 特に大河君、授業中にお昼寝なんて絶対にダメですよ」


「へ〜い」


「返事だけはいいんだよね、お兄ちゃんは」


 冷たい目で大河を見る未亜。
 全く気にしていない大河を見て、ベリオは内心肩をすくめた。

 やはり大河は確実に揉め事を起こす。
 特に、救世主クラスには少々エキセントリックな人物もいる。
 もし2人がぶつかり合うような事にでもなれば、どれほどの被害が周囲に撒き散らされるか。


「……せん」


(神よ、私はそうなった時に2人を止める自信も、流れ弾を防ぐ実力もありません。
 周りに向かって避難勧告をしたら、さっさと逃げてもいいですか?)


 遠い目で神に祈る。
 返事がなかったので、勝手にOKと決めた。
 ダリアといいベリオといい、アヴァターで聖職といわれる職につく人物は、そこそこいい性格をしたのが揃っているようだ。


 とにかく予防だけはしておこうと、未亜と漫才をやっている大河を置いてベリオは教室に入っていった。
 それからたっぷり3分ほど経過して、2人はようやくベリオが居なくなっている事に気がついた。


「ああ……お兄ちゃんが馬鹿な事ばっかり言ってるから、ベリオさんが呆れて行っちゃったじゃない」


「俺のせいか?
 いちいち反応して突っ込みを返す未亜にも、責任の半分くらいはあると思うけどなぁ」


「……そろそろいいでしょうか?」


「……未亜、何か言ったか?」


「ううん」


 何の脈絡もなしに聞こえてきた声。
 2人は声の出所を探して周りを見渡す。
 そろそろ授業の開始時間らしく、廊下にはほとんど人がいない。

 2人揃って後ろを振り向いたとき、それは見えた。

 デコ。

 大河と未亜は自分の身長を基準としていたので、それがデコとはわからなかった。
 何なのだろうこれは、と思いながら視線を下げていくと、そこには全体的に小柄な少女が一人。
 背が低かったので、大河達の視界には広めのおデコしか写らなかったらしい。
 大河と未亜の間の空間に、教室の扉を前にして佇んでいた。


「デコではありません。
 リコ・リスです……デコと違います」


 地の文に突っ込みを入れないように。
 なに? 突っ込みを入れたのは地の分じゃなくて別のもの?
 ……よくわからんが、ならばよし。


「デ、デコなんて言ってないけど…。
 あ、御免なさいすぐに退きますから。
 ほらお兄ちゃん、いつまでも道を塞いでないで」


「なんだよ、自分だって塞いでたのに……。
 それはともかく、デ…リコ・リスさん?
 奇遇だね、俺は少女体型も大好きなんだ。
 ちっちゃいのは漢のロマンですよ?
 君との出会いが偶然で年齢的にちょっと炉に入らないとしても、炉の神様は運命的な祝福をゴツ…っぐぁぁ…未亜がぶった…」


 リコをナンパしようとした大河に、未亜の素晴らしいジャブが突き刺さる。
 人体殴打の際に出す音ではなかったが、それはどうでもいい。
 今回は一発で収めたようだが、まだその拳は解かれていない。

 戦々恐々する大河は、リコの名前に聞き覚えがあることに気がついた。
 どこで聞いたのか記憶を手繰る。
 とは言っても、アヴァターに来てから一日しか経っていないのだから心当たりも高が知れている。
 すぐにどこで聞いたのか思い出した。


「ああ、リコ・リスって学園長とかが言ってた人だ。
 ええと……確か救世主クラスの一人で、赤の書を使って救世主候補生を釣り上げるっていう…」


 大河の認識では、救世主候補の探索は完全に釣りとして認識されているらしい。
 実際、海や川で魚を相手にするのではないが、世界を股にかけて人間を釣り上げるだけだから、やっている事に大した違いはない。


「え? じゃあ、この人も私達のクラスメート?」


「……あなた達は?」


 自分のクラスメートと聞いて、ようやく大河と未亜に興味が出たのか、感情の読み取れない目を向ける。
 先日聞かれた、報告に無い召喚。
 リコとしても、自分が召喚の儀を行った覚えはなかった。
 どうやら目の前の2人が召喚された当人らしい。


「私は当真未亜で、こっちは兄の当真大河です。
 今後よろしくお願いします。
 ……この至らない兄は特に」


「む、失礼な。
 聞いての通り、俺が当真大河だ。
 同じクラスメートだし、色々と広く深く仲良くやっていこう。
 できれば男女関係を特に友好にしてくれると嬉しい」


 性懲りもなくナンパをする。
 大河としては未亜かリコの突っ込みを期待したが、それに対してリコは


「………<」


 と呟いただけで、頬を染めるなどはおろか、呆れすらも見られなかった。
 そのまま何事もなかったかのように、教室に入っていく。

 大河にフリッカージャブを放とうとした未亜も、リコのあまりの無反応に毒気を抜かれてしまった。
 何となく気が抜けた表情で立ち尽くす。


「……何か言ってたよな?」


「<、しか聞こえなかったけど……よろしくって言ったんじゃない?」


「そんな、どっかの魔女先輩じゃあるまいし…」


「でも、召喚する人なんでしょ?
 魔法とか使えるから、実際魔女なんじゃないかな?
 それに救世主クラスでは私達が新入りなんだから、先輩になるんじゃない?」


 そこまで言って大河と未亜は、授業開始時刻が迫っている事にようやく気がついた。
 リコに続いて教室に入っていく。


 扉を開けて中に入ると、すぐ近くにベリオがいた。
 どうやら、『予防』を済ませて不案内な2人を待っていたらしい。


「遅かったですね。
 リコが先に入ってきましたが、自己紹介は済ませましたか?」


「ああ…でも、相手にされてるのか、あれは?」


「何か呟いたみたいなんですけど……お兄ちゃんのナンパにも、突っ込みも呆れもしなかったし」


 あれでいいのかなー、と首を傾げる2人。
 ベリオは苦笑して、大丈夫と言った。


「リコは極端な恥ずかしがり屋なの。
 意地悪したりして泣かせちゃダメですよ」


「あれは恥ずかしがりとか、そういう次元じゃない気がするんですけど…」


 きっと産声も普通の人の十分の一くらいだったに違いない、と未亜は言い切った。
 大河はと言うと、ベリオの言い様が少々気に障ったようだ。


「失敬な。
 俺は女の子を泣かすような事は……しないぞ、うん。
 するならお互い気持ちよくなったり嬉しくなったりして、嬉し涙を」


「はいはい、それ以上喋るとRに突き進みそうだからそれくらいでね。
 ところでお兄ちゃん、女の子を泣かすような事はしないって言うなら、浮気とかナンパとかやめたら?
 付き合ってる人が不安になっちゃうよ」


「言ってる事はもっともだが、俺とソイツは少々関係が歪でな。
 もうちょっと外の世界に目を向けてみようかと思うんだ。
 ナンパとかはその一環…ダメ?」


「ダ・メ・ダ・メ。
 その理屈でいくと、その付き合ってる人もナンパとかされちゃうかもしれないよ」


「ぬぬぬ、それは困る…如何したものか…」


「だから他の女の人にちょっかいださなければいいの!」


 再び2人の世界に突入しつつある2人を無理矢理中断させて、ベリオは移動した。
 既に空席は前方にしか残ってない。
 しかし、ベリオは同じ僧侶の友人に後部席の確保を頼んでおいた。

 元々ベリオは勤勉な学生なので、授業は専ら前の席で受ける事が多い。
 今回もそうしようと最初は思っていたのだが、生憎揉め事の火種を抱えている。
 火種こと大河だけならばまだよかったのだが、油が同じ授業を受けているのだ。

 先ほど一足先に教室に入ったベリオは、友人に席の確保を頼んだ後、すぐ油の元に急行した。
 相変わらずピリピリした雰囲気を放っていたが、今はそんな事に構っている暇はない。
 教室の最前列に座っていた油に、新入りの2人にちょっかいを出さないように釘を刺す。
 正直な話、言っても全く無駄になると思っていたのだが、何もしないよりはマシだ。
 とにかく、火種と油を少しでも離しておこうと思っていた。

 しかし、それも全て無駄になったようだ。
 油はベリオの頼みなど歯牙にもかけなかったらしい。


「アンタが初の男性救世主候補?」


 3人が席に着こうとした時、横から声がかけられた。
 そこにいたのは、ローブに身を包んだ赤毛の少女。


(リリィ……無駄とわかってはいたけど、もう少しクラスメートの意見を聞いてくれないものかしら…)


 目の前にいる油ことリリィを見て、ベリオは内心さめざめと涙を流す。
 気遣い虚しく、火種と油が揃ってしまった。
 ベリオは未亜と周囲にこっそりと避難勧告を出し、自分も逃亡の為に腰を浮かせた。
 ……避難勧告を出された方々は、未だに事態を理解できずに興味津々で2人を見つめていたが。

 着々とカタストロフへのカウントダウンが進んでいるとも知らず、リリィは大河を値踏みするような目を向けた。
 ような、と記述しているのは評価がどうであろうと、つっかかるに決まっているからだ。


「ふ〜ん、本当にこんなのが召喚器を手に入れたっていうの?
 アヴァターも随分お優しいこと。
 そんな鈍そうな顔して戦えるの?」


 口調の隅々から敵意が感じ取れる。
 ベリオの釘刺しは逆効果だったかもしれない。

 しかし、言われた当人はケロッとしている。
 どちらかというと、兄を侮辱されたブラコン妹の方が憤っている始末だ。

 未亜が口を挟もうとしたが、それは大河に遮られる。


「だそうだぞ未亜。
 実際お前、運動神経は鈍いからなぁ」


「私のことなのっ!?」


「ア・ン・タ・の・事だぁ〜っ!」


 さらっと受け流し、流れ弾を未亜に直撃させる大河。
 無論故意に。
 初っ端から呑んでかかろうとしていたリリィは、気迫を見事にスルーされて激昂しかけている。


「何を言う。
 俺は未亜より数段運動神経がいいぞ。
 少なくとも、狙いをつけようとしてトロくさいスライムに囲まれるような事はない」


「わ、私は弓の扱いに慣れてないだけで、運動神経が鈍いわけじゃないもん!
 100メートル走だって、クラスの中では平均くらいだったから鈍くないよ」


「そのかわり反射神経はハッキリキッパリ鈍いけどな」


「お兄ちゃんにお仕置きする時とかは、お兄ちゃんより数段早いよ」


 大河に突っ込みを入れたりする際にのみ、理不尽に跳ね上がる未亜の身体能力。
 元々未亜の筋力などはそれほど強くなく、逆に大河の体は、頑丈さも含めて高校生としては破格もいいところである。
 その差を無効化するほどなのだから、突っ込みお仕置きお約束恐るべし。


「アンタ達…私を無視するなんていい度胸じゃない」


 無視される形になったリリィは、今にも爆発しそうだ。
 しかし、衆人環視の中でキレるわけにはいかない。
 彼女は全校生徒の注目の的・救世主クラスの主席なのだ。
 ……実際には、救世主クラスの素行云々で注目されている以上に、彼女達の容姿に注目が集まりがちなのだが。

 主席のプライドと自負で何とか自分を抑え込み、リリィはなおも諦めずに大河を睨みつける。
 ちょびっと青筋が浮いたままだったが。


「ふん…ねえアンタさあ、ちょっとここで召喚器を呼んでみせてくれない?」


 これに慌てたのはベリオである。
 彼女の目には、昨日大河が放った一撃が焼きついている。
 まさかこんな所であんな馬鹿げた破壊力を解き放ちはしないだろうが、一抹どころではない不安が残る。


「リリィ! こんな所で何を言ってるんですか!」


「だって、コイツが本当に救世主候補なのか信じられないんだもの。
 本当に召喚器を呼び出せるの?
 それに、男なんかを主人に選んだ出来損ないの召喚器を見てみたかっただけよ。
 ダウニー先生が来るまでまだ時間があるしね。

 それとも、史上初の男性救世主候補くんは、呼び出した武器を暴発させてしまうほど情けない資質しか持ってないのかしら?」


 最後の一言が不幸の引き金だった。
 しかしそんな事は露知らず、まだ間に合うと信じてベリオはリリィと大河の仲裁をしようとする。


「リリィ、言い過ぎよ!
 あなたの気持ちもわかるけど、彼は正式に試験をクリアした立派な救世主候補よ!
 それに昨日、アナタも闘技場で見てたじゃない!」


「うるさいわね!
 だから余計に信じられないのよ!
 あんな威力を出したのがコイツだって事もそうだけど、特に試験終了後のあのバカ丸出しの発言が!」


「そ、それを言われると……」


 反論できない。
 元々大河がシスコンの汚名(?)を吹き飛ばすためにやったため、バカ丸出しなのは当たり前と言えば当たり前である。
 少なくとも、他にいい方法など大河の皴の少ない脳みそでは思いつかなかった。
 …余談だが、脳みその出来と皴は全く関係がないそうだ。

 全世界を救う救世主候補たる者が、あのような煩悩丸出しの発言をするかと言われると怪しいものである。
 大河に言わせると、規律だの体面だのを気にして、欲など全くありませんとばかりに聖人を気取る者が、アヴァター全土の民に選ばれるとは思えない、となるのだが……筆者としても、そんな気持ちの悪いヤツとはお近付になりたくない。

 どっちにしろ、リリィとしては大河は要注意人物だ。
 主席の座を揺るがしかねないという事もあるし、それよりも救世主クラスの評判を地に落とすのではないかと考えている。

 しかし、当面の危機は別にあった。
 未亜が大河の悪口を言われて少々不機嫌になり、不信の理由を聞いて大いに納得していたが、それはまた別の話。


「召喚器?
 見たいんなら見れば?

 トレイター。

 ほれ」


「へっ?」


 大河から矛先を逸らし、ベリオに注意を向けていたリリィは、大河が何気なく差し出した手から渡されたものを受け取ってしまう。

 文句をつけてやろうと召喚器を見て、リリィは思わずフリーズした。
 大河から渡されたそれは、一点の曇りもなく真っ黒で、陽の光を鈍く反射して、形は芸術的なほどに丸くアクセントに短い紐がついた…。





「ボッボボッボBoぼぼぼボーボボボムーーーーーッ!?」


            BOMB
 漢の浪漫の一つ爆弾である!

 リリィと大河の小競り合いに、教室中が注目していた事が災いした。
 フリーズから解けたリリィの絶叫を合図に、教室は喧騒を飛び越して一気に狂乱に発展する!



「ば、爆弾テロかぁ〜っ!?」
「逃げろ! すぐ逃げろ!」
「出口が混雑してるわ! 窓から逃げて!」
「ここは崖っぷちの2階だよっ!」
「イテッ! 押すな! いやだからと言って引っ張るな!」
「お、お兄ちゃんなんてもの出すの!」
「だからちょっかいを出しちゃダメって言ったのに〜!」
「うきゃあああぁぁぁ!」


 珍妙な悲鳴をあげ、リリィが手の中にある危険物を反射的に放り出す!
 吹き飛んでいった先は……教室前方!



「だぁぁぁっ、こっちにキターッ!」
「だから押すなと言ってるだろーが!」
「落とすな! 爆発物に衝撃を与えるんじゃない!」
「じゃあお前が捕れ……ってあああ捕っちまったーっ!」
「そのまま走れ! 窓の外に走り去れ!」
「冗談じゃねー、俺を人身御供にする気かよ! っておわぁっ!」
「うわっ、うわっ、今度はこっちに来たぁっ!」
「ちょっとどーすんのよこんな大騒動を巻き起こして!」

「リクエスト通りに爆発物にしてみたんだが。 暴発させるのか、って言ったのはお前だろ」
「誰も爆弾を出せなんて言ってなーい!」
「ああっ、俺の弁当がぁ! 幻影石がぁ! 今月分の食費がぁ!」
「へるぷ!へるーぷ!」
「りょりょりょりょ寮長! 防壁、防壁張ってください!」
「こんな大規模に張るなんて無理です! それより早く逃げなさい!」

「…なんで皆そんなに慌ててるんだ?」
「「「「「「「「「「
   お前のせいだろ !!! 
       」」」」」」」」」

「いや、そんなに爆発物が怖いんだったらそこの窓から放り出せばいいだろ。
 どっかの怪しい顔した爆発する精霊じゃあるまいし、爆弾が抵抗するわけじゃなかろう。
 幸い召喚器なんだから、呼べばすぐに戻ってくるしな」


…………………………………………………………………



「その手があったぁっ!」
「急いで! 早く窓を開けて!」
「だからオレはさっきからそうしろと!」
「爆発まであと何秒ある!?」
「爆弾をこっちに!」

「なぁリコ・リス。 そもそも根本的な話なんだが…」
「………………リコ」
「なるべく遠くまで投げろよ!」
「ちょっと待て、今投げ……」

「……なに?」
「じゃあリコ。火を点けてないのに、何で皆爆弾を放り出そうとするんだ?」
「……気付いてない」
「……じゃあ、召喚器なんだから俺が消せばいいとか、そういう発想は?」
「…………」
「…………」
「お兄ちゃん落ち着いてないで早く逃げよう!」
「うおっ!? 誰だ今押したヤツは!?」
「ば、爆弾がすっぽ抜けたーっ!」
「んな事より爆弾! どこ飛んでった!?」


 爆弾が宙を舞う!


「何事です!」


ガラッ!


 廊下は愚か、外にまで響き渡る大騒動を聞きつけて、ダウニーがダッシュでやってきたのだ。
 普段なら彼の一喝で静まる教室は、騒ぎが治まるどころか更なる修羅場に吶喊した。



「うわーっ、うわーっ!」
「ちょっ、まっ、怒ってる場合じゃ」
「だから何事だと言っているんです! 席に着いて説明しなさい!」
「こっちに来るなーっ! 窓の方に行けーっ!」
「必殺隠し芸・殺人スパイク!」
「よっしゃ、窓に向かって飛んだぞ!」
「ええい、あなた達は一体何を!」
「ああっ、ダメだ開いてない窓に当たって跳ね返ったぁ!」
「なんかヘンな軌道で飛んでるんだけど!」
「だから落ち着けと……ムッ!?」


 死を覚悟し、ある者は蹲って目と耳を閉じ、ある者は少しでも生き残る確立を上げようと物陰に隠れ、ある者は逃げ出そうとして窓につっかえ、またある者は日ごろから憎からず想っていた者に抱きつこうとする。


 一向に静まらぬ騒ぎに業を煮やし怒鳴り散らしていたダウニーは、宙を舞う爆弾が自分めがけて突進してくるのにようやく気がついた。
 それまで学生達にしか注意を払っていなかったので、スパイクされたり不自然な軌道で宙を舞っていた爆弾の存在に気がつかなかったのである。

 危険を感じたダウニーは、とっさに呪文を使った。
 一瞬だけで詠唱を済ませて、指先を向ける。
 条件反射で唱えたのは、最も簡単で、すばやく詠唱できる呪文。
 原子をプラス方向に運動させて生み出すそれは、の呪文。



「ブレイズノン!」


「「「「「「「 あ 」」」」」」」


 ッ  ――――――


  O O M  
B       B !!


「「「「「「「………………………」」」」」」」


 爆音の後には、まったき静寂が舞い降りた。
 アメリカンコミック調に爆発したそれは、ダウニーの放ったブレイズノンの効果も相乗され、教室どころか校舎を一つ廃校に――――――――――追い込まなかった。


ドサッ


 何かが倒れる音が一つ。
 生徒達が恐る恐る顔を上げると、そこには真っ白な粉と真っ黒な灰に塗れて倒れたダウニーの姿があった。
 口から煙を吐いている。
 服はボロボロ、手足を中途半端に折り曲げて痙攣している。
 無論、見事なアフロだ。

 何があったのか、何故自分達は無傷でいるのか(ダウニーは意図的に無視)、呆然としていた生徒達の耳に、声が聞こえた。


「………爆弾に炎を当てるとは…」


「教師のクセに、ホントにマヌケだな…。
 俺の召喚器なんだから、さっさと引き戻して消そうと思ったのに……なんで引き戻してる最中に炎なんぞ当てるかなぁ…。
 そもそも導火線に火なんぞつけてなかったんだから爆発するはずなかったのに、何であんなに大騒ぎするんだよ。

 それに炎が着弾する直前に構成を変えて、中身を火薬じゃなくて適当な粉に変えたんだが……小麦粉だったか?
 ダウニーが倒れてるのは粉塵爆発を食らったからだな。
 アレは密閉された空間内で起きるんだけど、外皮を炎で散らす前に一気に燃焼したんだろ。
 放っておけば何の被害もなかったものを、自分の魔法で自分が傷ついてやんの。
 つまり実質被害を出したのはダウニーのあの魔法だけ――――――」


 リコと大河の呆れ果てた声。
 それを聞きながら、リリィの気は遠くなっていった。


 ちなみに、未亜とベリオを筆頭とした、数少ない気力が残っていた生徒達によって大河に制裁が下される。
 結局大河は逃げ切ったが…。


 昼。

 予想以上の大騒動に頭を抱えながらも、ベリオは大河と未亜を連れて歩いていた。
 正直な話、もうこれ以上の揉め事は勘弁して欲しいのだが、放置しておけばどこで何をしでかすかわかったものではない。
 ベリオは泣く泣く2人の監視を買って出た。
 一箇所に閉じ込めておくべきか、それとも深い関わりを作らせないように移動を続けるべきか悩んだベリオは、結局移動する事にした。
 昨日の学園の案内が、まだ終わっていなかったからだ。


(これも試練なのですか、神よ…。
 いくら何でも、ちょっと酷すぎやしませんか?
 確かに私の罪は重いでしょうが、物事にはおよそ限度というものがございます…(涙))


 ただでさえ問題児・リリィと、人付き合い皆無のリコを抱えていた救世主クラス委員長・ベリオ。
 彼女の胃の容態は、2人を超える風雲児・当真大河によって確実に追い込まれていった。
 彼女のオアシスは、もはや当真未亜だけである。
 ……彼女が神の教えに思いっきり反した、義理とはいえ兄と深い深い関係になっている悪い娘ちゃんとは全く気付かなかった。
 気付かない方が、今はまだ幸せ。


 午前の授業はどうなったかというと、担当のダウニーが保健室送りにされ、また生徒達の気力も根こそぎ吹き飛ばされたお陰で臨時休講となっている。
 今のところ、大河にはお咎めナシだ。
 揉め事の当事者だった生徒達の大半は、口を開くのも億劫とばかりに授業をサボって帰ってしまったし、ただ一人の怪我人ダウニーは相変わらずダウンしたままだ。
 大河と一緒に平然としていたリコは我関せずを貫いているし、未亜とベリオは思い出したくも無いの一点張り。
 幸にも重傷者や器物の破損はなかった。
 大河に関する処遇は、ミュリエル学園長が決めるらしい。


 例え生徒の気力が根こそぎ吹き飛ばされていても、授業は授業。
 午前中こそ騒ぎで休講となったが、午後の授業は何の差しさわりもなく行われる。

 寮に帰って寝てしまいたいのは山々だが、そうも言っていられない。
 リリィも昼までには起きてくるだろうし、リコは最初から慌てていない。
 大河も飄々としているが、未亜とベリオにはそれが憎らしい。

 試験で当たったら八つ当たりの意も込めて、思いっきり殴り飛ばそうと誓うベリオ。
 そのためには、何はともあれ気力と体力を回復させなければならない。
 未亜と大河を引っ張って、ベリオは食堂に向かった。

 幸いな事に、食堂は普段よりも空いていた。
 多分、午前中の騒ぎで早退した生徒が多いからだ。
 しかし、それでも育ち盛り特有のケダモノのよーな迫力は依然として衰えない。
 誰も彼もが、我先にと突撃するので、人数が一クラス分減ったところで大勢に影響は無い。


「昨日も案内しましたが、ここが食堂です。
 好きなものを注文していいんですよ。
 私たち救世主クラスの生徒は、学費、寮費、食費と全て免除されていますから」


 あからさまな贔屓とも思える待遇に、未亜は腕を組んで考え込む。


「私、本気でアヴァターに骨を埋めようかな…」


「食費のためにか」


「重要でしょ?」


 苦学生としてはこれ以上無いほど重要だが、破滅と戦う事になっても釣り合いが取れるのだろうか。
 単に実感が沸いてないのかもしれないが…。


「それにしても、昼飯時の学食ってのはどこの世界も変らんなぁ……。
 んじゃ、俺は一番高いヤツ頼んでみるか」


「んー……ランチの一番安いやつ」


「わかった。
 委員長は?」


「え?
 …それじゃあ、Bランチをお願いします。
 ……くれぐれも暴力を振るったりしないように」


 ひらひらと手を振って、大河は人ごみに突入して行った。
 あちらこちらから雄叫びや打撃音が聞こえるが、これは大河の仕業ではなく単なる日常である。

 そんな所に大河を放り込んで、何かしら大騒動が起きるのでは、と不安だったベリオ。
 しかし、何を考えているのか察した未亜は笑って大丈夫だと保障した。


「だって、こんな所で大騒ぎを起こしたら食堂を追い出されるか、注文できなくなっちゃうもの。
 お兄ちゃんは、人が食事してるときには邪魔しないよ。
 ……それに、この騒ぎの中で少々の事をやらかしても、ね………」


「なるほど…気にもされないでしょうね」


 なぜなら隣の怪我人よりも、目の前の食事が優先されるからだ。


「それにしても、大河君が素直に、自分から注文を聞くなんて…。
 もうちょっとゴネるかと思いましたが」


「それは……私、人ごみが苦手なんです…。
 だから、こう言う所はお兄ちゃんが全部……」


「…え?」


「じゃあ、私たちは席を取っておきましょう。
 ボケッとしてると、あっという間に満席になっちゃいます」


「え、ええ……」


 意外な大河の一面に驚いているベリオ。
 未亜を大切にしているのは知っていたが、普段の言動のせいか、素直に信じきれないようだ。
 真性トラブルメーカーの印象が強すぎて、気配りが出来るという事実が掻き消されているらしい。


「お兄ちゃん、こっちこっち!」


 三人分の席を確保し、大河を待っていた未亜とベリオ。

 戻ってきた大河は、未亜の注文を右手に、ベリオの注文を左手に、次いで自分の注文は頭の上に載せている。
 セルフサービスの水も、肩や腕に載せている。
 危なげもなく、特に気をつける様子もなく普通に歩いてくるが、トレイの中身は全く零れない。
 お前は古代中国の歴戦ウェイターか。


「それじゃ、いただきまーす」


「いただきます」


「天にまします我らが神よ…」


 三者三様の食前の挨拶をして、未亜と大河は慎重に料理を口に運ぶ。
 見た目は自分たちの世界と大差ないが、少々警戒しているようだ。
 ベリオはというと、2人を見て懐かしい気分になりながら、普通に食事をしている。


「…美味い!」


「本当!
 食べた事の無い不思議な味……」


 アヴァターの料理は二人には好評のようだ。
 材料からして、化学物質に汚染されかけていない高純度の野菜や肉を使っているのだから、それは美味しいだろう。
 一体何の肉を使っているのか少々気になるが、まさかモンスターの肉でもあるまい。


「ふふっ、私も初めて来たときには同じ感想でした。
 作り方を教えてもらおうかと思ったんですが……調理方法自体は、それほど珍しいものではないんですよ」


「それじゃあ、材料と腕の違いなんだ…。
 うう〜、ちょっと悔しいかも………」


 数年の主婦生活でそれなりに自信をつけていた未亜だったが、幾らなんでも本職には適わない。
 一から修行しようかとも思ったのだが、救世主候補生にはそんな時間はないそうだ。

 残念そうにしている未亜の隣で、大河が固まっていた。


「……お兄ちゃん?」


「………なぁ未亜、アレ誰に見える?」


 大河の視線を追ってみると、そこには午前中に初対面を果たしたリコ・リスが居た。
 リコがどうかしたのかと思ったが、その答えはすぐに出る。


 皿。
 皿皿。
 皿皿皿皿皿皿皿料理。

 リコの体積の2倍以上ありそうな皿の山。
 それがリコの周囲に積み上げられていた。


「あ、あはは…いつもの事なんですよ」


「いつもあんなに食べるんですか!?
 どこかの騎士王じゃあるまいし!」


「どなたの事かは存じませんが……アレは料理長からの挑戦なんです。
 最初は『食べきれるのなら食べきってみろ』とばかりの、量も多いけど辛うじて常識的な範囲だったんですが…。
 ある日、リコが遅れて食堂にやってきて、他のメニューが品切れだったんです。
 それで、リコは『仕方なく』あのメニューを注文して…あっさりと食べきって、予鈴が鳴る前に食堂を後にしました。
 それが料理長のプライドをズタズタにしてしまい、それからというもの一ヶ月間隔で、リコに増量したあのメニューを出すんです。
 これで23度目の増量でしょうか…」


「つまり、今まで22度もアレを食べきってるんだ…。
 うぷっ、ごちそうさま……」


「まだ残ってますよ?」


「もう見てるだけでお腹一杯だよ…ね、お兄ちゃん……」


「ん?」


 未亜とベリオの会話にも構わず、視線をリコに固定して、手と口だけは無意識に動かしていた大河。
 ようやく未亜に振られた話の内容を理解した。


「俺?」


「ああ大河君、昨日言った名物定食の事、覚えてますか?」


「ん? ああ、食いきったらデートしてくれる、ってヤツな」

「そうです。
 それがあのメニューなんですよ」


 どうだ食べきれるか、とばかりに悪戯っぽい笑みを浮かべるベリオ。
 大河が意地になって挑戦してくれると面白いかな、なんて思っていたりいなかったり。
 未亜も食べきれるなら今回は見逃してあげるよ〜、などと挑発的な表情を向けている。


「無理だよね〜お兄ちゃん。
 幾らお兄ちゃんが食べ盛りでも、あんなの見てたらそれだけでお腹一杯になっちゃうよ」


「フン、何を寝言を言ってるんだ未亜」


「へ?」


 大河に鼻で笑われて、キョトンとしている未亜。
 それを嘲笑うように、大河はキッパリハッキリと断言する。


「お腹一杯だと!?
 ぬかせ!

 見よ、あのリコ・リスの姿を!
 無表情ながらも可愛らしく、行儀よく大口を決して開けないあの顔!
 お人形さんを連想させる華奢な体躯に、無理をするでもなく嚥下されていく料理の数々!
 ハムスターの頬袋ように膨らんだ頬!
 コクコクハムハムと頷いてくれないのが残念だが、あの姿を見ているだけで丼どころか
     電子ジャー3杯分は軽いッ!」


 ドン、とテーブルを叩いて断言する。
 特に大声でないながら、力強く一切の迷いが無いその宣言に、周囲の観衆から惜しみない声援が送られる。



「よく言った大将!」
「そう、正にその通り!」
「これが学食のもう一つの名物なんだよなぁ!」
「女の子だって可愛らしいモノには萌えるのよ!」
「料理長だって、プライドを別にすればあの姿を見るのが楽しみで仕方ないんだぜ!」
「気に入ったぜ若いの!」


「「こ、この学園って………」」


 二人揃って頭を抱える未亜とベリオ。
 言われてみれば、確かに小動物的な可愛らしさがある。
 自分が魅力を感じている事に、必死で気付かないフリをする。


(とりあえず、大河君を張り倒してさっさと食堂を出ましょう)


(うん…もう晒し者になるのは勘弁…)


 2人の意見が“退却せよ”と一致した。


「ほら大河君、何時まで食べてるんですか!
 早く出ますよ…………大河君、アナタ確か一番高いメニューを選びましたよね?」


「ああ、名前がわからなかったから『一番高いヤツ』としか言わなかった。
 正気かを疑うような目で見られたけど………それがどしたん?」


「………今ここにあるので全部ですか?」


「いや、追加分があるから後で持っていく、って言われた。
 実際、さっきから何度も来てるぞ。
 ホラそこ」


 大河がフォークで指した先には、リコ・リスには及ばないものの、何時の間にやら10皿以上のパーティー用大皿が積み上げられている。
 そのメニューは正しく……。


と、特盛り鉄人ランチ…。
 リコが今食べているのとおなじメニューです…」


「うえぇぇっ!?」


「何!?
 そうだったのか!?」


 唖然としているベリオ、驚愕する未亜、そして口は驚いたような事を言いながらも視線はリコに固定されている大河。
 周囲が大河たちに注目しているのは、これが理由だったらしい。

 お構いなしに、大河は事務的な動作で次々と料理を平らげていく。
 普通ならとっくに腹一杯になっていそうなものだが、どうやらリコに萌えているらしく、それに連動して胃袋も活性化しているようだ。
 文字通り電子ジャー三杯分は軽い、と言ったところか。

 大河の視線の先では、リコが相変わらず淡々と鉄人ランチを食している。
 大河はなにやら煩悩が猛っているのか、それとも癒されているのか判断のつき辛い表情で、同じく淡々と鉄人ランチを消化していく。

 現在27皿。

 そろそろリコに追いつきそうだ。

 周囲は新たなる特盛り鉄人ランチ制覇者が降臨する予感に、自分の昼食を食べるのも忘れて見入っている。
 ………半分くらいは、相変わらずリコに釘付けだ。
 ベリオは予想通りに揉め事が起こった事を涙し、未亜は大河の食べっぷりを見て遠い目をしている。

 空ろな表情で未亜が口を開いた。


「実を言うと…」


「…なんでしょう…」


「お兄ちゃんは、前にも何度かこんな風に食事をしていた事があるんです。
 特定のアニメを見ている時とか、私が何時もとちょっと違った服を着ている時とか…。
 あと、たまに特撮ロボットや怪獣を見てる時とか…。
 何か言っても殆ど上の空で、目の前にある料理を淡々と食べ続けて…。
 最終的には、食べ物じゃないものまで口に入れようとして、止めるのが大変だった…」


「………」


 もはや返事をする体力も突っ込みを入れる気力も無い。
 テーブルに突っ伏して、世の無情を感じ取る。

 周囲が沸いていた。
 達成二人目ー!などと聞こえるので、どうやら大河が特盛り鉄人ランチを食べきったらしい。
 ちょっと遠くで、プライドを崩されたような感じで騒いでいるのは、料理長だろうか。


(ああ、もう何もかもがどうでもいい……)


 弛緩しきって、ベリオはテーブルに体を預けて目を閉じる。
 大河らしき腕に抱かれて食堂を出たのだが、恥ずかしいとは思わなかった。
 思うほどの気力が残ってなかった。



 期末以外に中間2回×3科目。何度テストやりゃ気がすむんだウチの先公は!
 すみません、私の魂の絶叫が大河君に伝染したみたいです。

 何か異常に電波のノリがよくて、一日半で書き上げてしまいました(汗)
 やっぱりアレか、半日くらいでビール2リットルを飲み干したからか?

 大河君、好き勝手絶頂に遊んでいます。
 元はといえば、爆弾のシーンを思いついたあたりからこの話が広がってきたんですよ。
 だってあんな事言われたら、実際に暴発させてやりたくなるじゃないですか。
 最初は素直に爆発させるか、爆発はしても中身が異臭を放つ液体だったりしたのですが…推敲を重ねた結果、このように落ち着きました。

 何もしてなくても、勉強の真っ最中でも、どんどんシーンが頭に浮かぶ事があります。
 これが、これが電波というものか!

 次の話は、ちょっと多めに戦闘シーンを盛り込む予定です。


それではレス返しです!
…さて、アルコールも摂取しまくったし、一眠りするか…。


1.>皇 翠輝様
 元ネタですか?
 マイ設定が殆どですが…まず不死身の東大生志望は言わずと知れたひなた壮の管理人。
 炎を操る無愛想な偵察役は、『烈火の炎』終了後の紅麗の娘を想像しました。
 魔術を統べる偉大な魔女……シオネ・アラダ?
 バケモノじみた氣を使う、自称人間の隊長…これはギルティギアのクリフ・アンダーソンです。キルギアでは隊長ではなく団長ですけど。
 滅び行く国を最後まで守り続けた邪神の砲撃手…『すめらぎの巫女たち』の主人公の邪神から連想しました。

 後は昔書こうとして挫折した小説に出てくるキャラです。
 もうどんなストーリーにしようとしたのかも忘れてしまいましたが…。


2.>k2様
 なるほど、バグだったんですか…。
 一回ぶち倒してストーリーがどうなるか見てみようと思ってたんですけど…。

 今までの世界では大河は浮気はしませんでしたが、今回は未亜も一緒です。
 未亜の機嫌を窺いながら、ナンパに精を出すことでしょう。

 世界征服かぁ…マジでやってみようかな?
 でもそうなると、大河君が鬼畜王になるかも(汗)


3.>干将・莫耶様
 リリィ登場と同時に、彼女はえらい目にあってしまったようです(笑)
 これじゃツンデレは当分先になりそうです。
 何気に乙女な彼女が警戒心を持たずに大河に接するには、えらく長い時間か強烈なきっかけが必要ですね。


4.>なまけもの様
 筋肉の鬼の人は、『肉を食え!』のオーガこと範馬勇次郎です。
 イムニティに関しては……ちょっと意表をつく展開を考えています。
 それをどう生かしていくかが問題ですが…。
 テンカワ アキトや速水達は、バイトを続けていくうちに知り合ったので最初のメンバーには含まれていません。

 神を倒した人…普通に居ます。
 ぞろぞろ居ます。
 これはずっと先に使うだろう設定なので、詳しい事は言えませんが…。

5.>ユン様
 私も最初は不要な設定ばっかり増え続けて大変でした。
 最初に書いてみると話が逸れる逸れる。
 こりゃイカンと書き直し、不要と思われるところを削り、要約しまくってあのようになりました。

 ギャグをやるのは、そうしないと据わりが悪いのです!
 完全なシリアスシーンならともかく、日常生活には戯けてはっちゃけて暴走しろと、私の電波が囁くとです!
 時守は一時間以上シリアスな思考ができないオバカさんなのです(涙)
 せめて一話につき一回以上はギャグシーンを入れたいと思っています。
 それが原因で更新が遅れるかもしれませんが…。

 頑張ってSSを書いてください!
 楽しみにしています! 


6.>沙耶様
 最初からリリィに会っている…ですか。
 それは考え付かなかったなぁ……もしそうなると、初っ端から未亜と修羅場を繰り広げてくれたでしょう(笑)
 しかしその場合、大河とリリィが仲良くなってしまい、時守は騒動を起こしにくくなってしまうのです(涙)

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