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「異世界横島騒動記 第三話(アクエリアンエイジ+GS)」

REKI (2005-06-14 22:05)
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「そっか、フェンリルって言うのか〜・・・って、何〜〜〜〜〜!?フェンリル〜〜〜〜〜〜!?」

横島が叫びだすのも無理は無いだろう。
『フェンリル』それは彼が戦った相手の中でも最強クラスの敵なのだから。

「う〜、耳が痛い〜。」

まあ大音量の叫び声を目の前で上げられては耳も痛くなるだろう。
しかもフェンリルは人狼、聴覚も人の数倍は優れているはずなのだから。

「ああ〜、ご、ごめんな〜、いきなり大声出して。」

その声に慌てて謝る横島。

「ううん、大丈夫だからいいよ〜、ちょっとビックリしたけど。」

そう笑顔で謝罪に対して答えるが、すぐに怪訝そうな顔になるとこうたずねるた。

「でもお兄ちゃん、なんで行き成り叫んだの?」

「へ?あ、ああ。俺の昔の知り合いに同じ名前の奴がいてさ、それで驚いたんだわ。」

そう答える。まあ嘘は言ってはいない。(まさか自分の昔戦った敵の名前だとは普通言わないだろう。)
が、普通それだけであんな驚き方はしないと思うが?

「そ〜なんだ〜。」

あれで信じたらしい、さすがお子様といった所か。
それでも少々(いや大分か?)単純すぎると思うが、それだけ純真なのだろう。

(う、良心がずきずきと〜。でも本当の事は言えんし〜。)

どうやら良心の呵責にさいなまれているらしい。

「お兄ちゃん、あのね。」

「ん?どうかしたか?」

「何でお兄ちゃんは僕を助けてくれたの?」

まあ普通は気になるだろう、人間に追われ殺されそうな所を人間に助けられたのだから。

「ん〜何でって言われてもな〜。ほらあの時さフェンリル泣いてたよな?
遠目に顔が見えてさ〜しかも同時に転ぶもんだからいてもたってもいられなくなったと言うか〜。まあそんな所だな。」

なんと言うか実にらしい答えである。
タマモの時も相手が金毛白面九尾であると知っていても、見た目が子狐なのと弱っている様子を見て倒せなくなり、
あの怖がりまくっていた美神をだましてまで助けた男なのだから当然と言えば当然だが。(美神にはおもいっきりバレていたが。)

「ほえ?それだけなの?」

呆然とした顔で聞き返すフェンリル。

「ああ、そうだけど。何でだ?」

「あのお姉ちゃんが言ったみたいに危ないって思わなかったの?」

「いや、全然。てか本当にそんなに危ない奴なら泣いて逃げたりしないと思うし。」

まあ確かにそうだ、反撃するか逃げるにしても泣きはしないだろう。」

「まああの時はんな事まで頭回ってなかったけどさ。起こした時に顔を見たらさフェンリルはんな事するような奴じゃないって思えたしな。」

そう額の横を指で書きながら言う。

「ふ、ふええ〜〜〜〜ん。」

「どどど、どうした〜!?」

また顔を胸にうずめて行き成り大声あげて泣き出すフェンリルに慌てて取り乱す横島。

「な、なんだ〜?」

訳が解らないといった感じで、とりあえず落ち着かせるために頭を撫でる横島だった。

━約30分後━

「どうだ、落ち着いたか?」

「う、うん。」

どうやら落ち着いたらしい。

「そっか、ところでさ。」

「何?お兄ちゃん?」

「あのさ、なんでフェンリルは追われてたんだか解るか?」

最初見つけた時からずっと気になっていた事を聞く横島。

「解んない。だ〜れも居ない知らない森で目が覚めて、何にも解んなくてフラフラ歩いてたら街に着いて。」

そう言ってああなるまでの事を話しだすフェンリル。

「それで街の中を歩いてたらあのお姉ちゃんが後ろから『フェンリルね?蘇ってそうそう悪いけど・・・もう一度滅びてもらうわ!』って言って襲ってきたの。」

そう言い終えてふうっと息をつくフェンリル。

「そっかやな事思い出させてごめんな。」

「ううん。」

そう謝る横島に首をフルフルと振って答える。

「じゃあその森で目を覚ます前の事は解るか?どんな場所に住んでたとかさ?」

「解んない、僕目を覚ます前の事なんにも覚えてない。」

何も解らないと答えるフェンリルに横島は。

「そっか。」(て事は記憶喪失って奴か?まいったな〜ほっとく訳にもいかんしな〜。)

そう言って考え込む、記憶喪失の人間(人狼だが)を放り出す訳にもいかないし、さっきの少女にまた襲われないとも限らない、しばらくして。

「それじゃあ俺と一緒に来るか?」

そういう結論に達したらしい。

「え!いいの!?」

「ああ、まあ俺もこの世界には不慣れだけどさ1人よりは絶対いいと思うしさ、記憶が戻るまで一緒にいないか?」

まあ確かに人狼の子供1人で居るよりも異世界人とはいえ人間と一緒に居た方が街ではずっといいだろう。

「うん!」

そう本当に嬉しそうに満面の笑顔で返事をするフェンリル。

「うし!んじゃずっとここに居ても仕方ないし下に下りるか。」

そう言って横島が立ち上がり「は〜い。」そう言ってフェンリルが立ち上がった時にそれは起こった、

ハラリ・・・パサ

「あ。」

「ん〜どうしたってえええええぇぇぇぇ〜〜〜〜。」

横島君本日二回目の絶叫。
何が起こったかと言えば、そう、もう解ってる事とおもいますが、
フェンリル嬢の体に巻きつけてあった布が解けて下に落ちたのだ。

「あ、落ちちゃった。」

「あ、落ちちゃった。じゃね〜〜〜〜!と、とりあえずこれを。」

そういい見ないように文珠を二つ渡す横島。

文字は"洋服”

「わ!・・・あれ?あ、わ〜すごい!」

一瞬光に包まれ光が収まるとそこには、
半袖であろう真っ白なシャツに水色の膝下までのスカート、それに空色の薄手の長袖シャツに身を包んだフェンリル立っていた。
自分の姿を見てすごいすごいとはしゃいでいる。

「すごいね〜お兄ちゃん!何々?どうやったの?」

興味津々で聞いてくるのに対して、

「あ〜文珠って言うんださっきの玉。あれで作ったんだ、ただ丸一日位しか持たないけどな〜。」

そう答える横島。

(あ〜ビビッた。女の子やったんか〜。)

今始めて気がついたらしい。

(いくら子供でもあの格好はやばすぎ・・・真っ白な肌に真っ白いお尻から髪と同じ色の尻尾がはえとった〜。
胸はちゃんと出とったな〜年の割りには大きいんか?シロと同じくらいやったしな〜。なんていうかちょっとドキっとしたって言うか〜って)

あの一瞬でそこまで見たらしい。おや?何やら手をワキワキさせたり上を向いて首を横に振っていた動きが止まった、どうしたのだろうか?

(お、お、お、俺は。)

俺は?

(俺はロリコンじゃな〜〜〜〜〜〜い!うおおおぉぉぉぉ〜〜〜〜〜〜!」

「え、どどど、どうしたの〜?お兄ちゃん〜〜〜!?」

キャッキャッと自分の格好を見てはしゃいでいたフェンリルが、そう驚いて呼びかける。
まあ行き成り叫び声を上げ、鉄骨に頭をガンガンぶつけだせばそりゃ驚くだろう。

「いや・・・なんでもないんだ!ほんと〜になんでもないんだ!だから気にしないでくれ、な!」

「う・・・うん。解った。」

なにやら鬼気迫る様子で、頭から血をだくだくと流しながらそう言う横島に何かを感じたのだろう、慌ててコクコクと頭を上下に振る。

「悪い、取り乱したな。んじゃ下に下りような、んで服を買おう。」

「え、あ、うん。」

頭の血を拭きながらそう言う横島に、何のために立ち上がったのか思い出したようにうなずく。

「でもどうやって降りるの?」

まあ当然の疑問だろう地面まではかなりの距離があるし入り口らしき物も見当たらない。

「ん?ああこうするんだ。しっかり摑まってろよ〜。」

そう言ってひょいとフェンリルを抱きかかえる。

「ふえ?え?え〜〜〜!?」

また顔を赤くしてバタバタと慌てるフェンリル、
まあ行き成り右手を足の下に入れ左手で体を支える抱き方(そう、お姫様だっこという奴だ)をされれば慌てもするだろう。

「どうした〜?離れないようにしっかり掴んでろな、絶対に話すなよ。」

「ふえ、え、あ、うん、解ったよ〜お兄ちゃん。」

顔が赤いまま多少パニックになったままそう返事をする。

「でもなんでなの?」

首を傾げそう聞く。

「ん?ああ、飛び降りるからさ。」

そう言って淵に歩いていく横島。

「そっか飛び降りるからなんだ。・・・・・・へ?」

軽く言った横島に一瞬納得するがすぐに意味を理解する、がすでに遅いようだ。

「んじゃしかっり摑まってろな〜。」

淵に着き行きよい良くジャンプ。

「うわぁぁぁ〜〜〜!」

悲鳴を上げぎゅっとしっかり横島にしがみ付く。
半分を超えた当たりで横島が呪を唱えだす。

「大気に満ちたる精霊達に、
 全霊を持って願う。
 我が願いを聞き届け、
 我が身を包みこむ風の衣を纏わせん事を、
 "浮遊”」

そう呪を唱え終えると横島の周りに風が発生し、横島とフェンリルを包み込む用に丸く収束する。
それと同時に落下速度が一気に緩やかになり漂うように落ち始め、やがて地面に着くのと同時に消えて無くなった。

「うっし降りれたな、もう離しても大丈夫だぞ〜。」

そう腕の中に声を掛ける横島、すると、

「離していいよ〜。じゃないよ〜!こういう事するなら初めに言ってよお兄ちゃん!死ぬかと思ってすっごく怖かったんだからね〜!」

そう涙を目に溢れんばかりにためて怒り出す。(まあ当然である。)

「あ〜ごめんごめん!?俺が悪かったから泣かないで、泣かないで〜!?」

涙、特に女子供の涙にはとことん弱い横島は必死で誤り倒す。

「もう、ほんとうに絶対二度としないでね!本当に怖かったんだから・・・。」

「ああ、本当にごめんな。もう二度としないから許してくれるか?」

そう震えて言うフェンリルに心底申し訳なさそうな顔をして謝る横島。

「今回だけだからね?お兄ちゃん、次ぎやったら本当に許さないから。」

「ああ、絶対にしないよ、本当にごめんな。」

なんとか今回は許してくれるらしい。

「よっと、んじゃ行く『こっちだ〜こっち〜!こっちに人が落ちたんだ〜!』ってやば!」

落ちてくるのを目撃した者が居たらしい(当然である)こっちに大勢で向かってきているようだ。

「うわ〜やべえ。見つかる前に逃げるぞ〜!」

「待ってよ〜お兄ちゃ〜ん。」

そう言うや走り出す横島を慌てて追いかけるフェンリルだった。

━つづく━


━後書き━
こんにちは〜REKIです。
第三話お送りいたしました〜。
第二話にレスくださった方本当にありがとうございました!
では術の説明をば、
はい、今回"浮遊”が出てきました。
風属性の初歩の術で文中の通り、
落下速度を緩めふわふわと落ちる。
ただそれだけの術です!
空を自由に飛んだりなんてできません!
ただ落ちるだけです。
呪については完全オリジナルです。
どうだったでしょうか?
横島君は術は大した物は使えません、
まあたかが数ヶ月ではそうそう強い術は覚えられないでしょう。
体術系が主体の修行でしたので。
さて長くなりましたがこれにて後書きは終わらせていただきます。
ご意見ご感想などあればバシバシ書き込んでいただけると嬉しいです。
これからも頑張りますのでよろしくお願いします!

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