「よし、今のうちに!」
手に握ったままだった文珠を子供の手を取りながら発動させる。
"転移”
━少女サイド━
「ちょっと〜!何するのよ眩しいじゃないって、い、居ない〜〜〜!」
少女が目を開いた時そこにはもう横島達の姿は無かった。
「う、うそ〜。あの一瞬で逃げたっていうの〜?」(キョロキョロ
慌てて周囲を見回すがやはり居ない。
「あちゃ〜、完璧に逃げられたみたいだ〜。気配も全然無いし。」
見回すと同時に気配も探っていたらしい。
「はあ〜って、待ってよ逃げられたって事は〜・・・。うわ〜怒られる〜どうしよ〜。」(滝汗
E.G.Oとは何かの組織の事をさす様で、上司でもいるのだろう。
「あ〜給料絶対引かれるよ〜・・・。はっ、ま・・・まさか解雇なんて事は無いよね?」(大滝汗
給料に解雇って、何かのアルバイトなのだろうか?
「はあ、帰って事情を説明するしか無いか〜。」(溜息
とぼとぼと来た方向に向かって歩き出す。
(まあ、さすがに解雇は無いか〜。一様エースだし。でも給料は引かれるよな〜今月厳しいのに)(滝涙
歩きながら色々と考えているらしい。
(それにしてもさっきの男の子、何だったんだろう?GSとか言ってたっけ?そんなの聞いた事無いけどな〜?)
(能力者だから何処かの所属だよね〜?マインドブレイカーって自身には他に能力無いはずだし。でもあんな子聞いた事ないよな〜。)
(まあ少しは感謝かな?さすがにあんなに小さい子だと、いつかは蘇るって解ってても倒しにくいしっていうか倒したくないし。
仕事とはいっても気がめいるんだよね〜。)
本心では倒したくは無かったらしい。
(給料カットは痛すぎるけど・・トホホ)(涙
そんな事を考えながら歩き去っていった。
━横島サイド━
「ふ〜成功したみたいやな〜、ここ何処だ〜?」
成功したみたいって失敗するかもしれなかったらしい・・・少し前の出来事を忘れたのだろうか?
「って、どこかと思ったらここか・・・。」
出た場所それは・・・東京タワー。
ルシオラ(横島にとって本当に大切だった魔族の女性)に生かされ、ルシオラを失ったあの場所。
「ろくに転移先のイメージもしんかったしな〜とっさやったし。ならここでも不思議じゃないか・・・。」
転移先に心に強く残っている場所が選ばれたらしい。
確かにこの場所は、横島にとって間違いなく1・2を争うだろう思い出深い場所だろう。
「っと、んな事考えてる場合じゃなかったっけな。」
そういって一緒に転移したはずの子供を捜す。
「いた・・・。」
その子供はタワーの鉄骨の近くて自分の体を抱きしめ怯え震えていた。
「えっと、大丈夫か?」
「ひ!」(ビクッ
横島が近づき声を掛けるが、逃げもしようとしないで震えている。
「本当に怖かったんだな、もう大丈夫だから、俺は君を傷つけないから。」
そう言って子供の横に座ると、手を翳しヒーリングを始める。
(ヒーリングは妙神山で覚えた物のうちの一つ、詳しくは後書きに書きます)
「あ・・・。」
ヒーリングの暖かな力にすこしは落ち着いたのか顔を上げ横島の方を見る。
「大丈夫か?怖かったろ、もう安心していいからな、俺は君を傷つけたり絶対にしないから。」(ニッコリ
安心させるために出来る限りやさしい声、やさしい表情で語りかけ微笑みかける。
「あう」(ボフ
この子供はその顔つきや体つきから見て女の子らしい、その笑顔を見て顔を一気に真っ赤にさせうつむく。
(まあ仕方が無いといえる、あの美神ですら一瞬見ほれた横島の笑顔だ。しかも安心させようと、普段よりもやさしい労わる様な雰囲気を全開にして微笑みかけているのだ。)
だがしかし忘れてはいけない、この男は超がつく鈍感なのだ。
照れたとは気付かず、まだ怖くてうつむいたと勘違いしたらしくこんな行動にでる。
「大丈夫だからな、もう大丈夫だから。怖がらなくていいからな。」(ギュ
そう今度は腕の中に抱き寄せ頭を撫でながらそう言ったのだ。
(普通行き成り抱き寄せられ頭を撫でられたら、安心するよりもいやがるか怖がると思うのだが。)
「ひう!あう〜〜〜。」(暖かい・・・
そうはならなかったらしい。
照れて下を向いたのに今度は抱きしめられ全身を赤く染めて硬直するが、すぐに緊張がとけ心の底から安心したように力を抜き体重を横島に預け目を閉じる。
暫くそうしていたが完全に震えが止まり怯えが消えたのを解ったようで、手を止め少女(横島君は女の子だとまだ知りません)にあくまでやさしく声をかける。
「大丈夫?もう痛いところとかは無いか?」
それが聞こえ名残おしそうに体を離すと横島を見て、
「うん、もうどっこも痛くないよ。ありがとうお兄ちゃん。」(ニパ
そう笑顔で返事をした。
「そっか、よかったな。」(ニッコリ
そう本当に嬉しそうに少女に声をかけるが、また赤くなり下を向いてしまう。
(どうしたんやろ?顔赤いけど熱とかはなさそうやけどな〜?)
本当に鈍感な男だ。
「あっそうだ、君の名前は?俺は横島忠夫。GSだよ。」
そう問いかけると顔を赤くしたまま横島の方を向いて、
「ぼ、僕の名前はフェンリル、フェンリルって言うのお兄ちゃん。」
そう答える。
「そっか、フェンリルって言うのか〜・・・って、何〜〜〜〜〜!?フェンリル〜〜〜〜〜〜!?」
━つづく━
━後書き━
こんにちは〜REKIで〜す。
はい、異世界横島騒動記、第二話をお送りしました〜。
いや〜あんなにレス貰えるとは感謝感激です(滝涙
今回は人狼の子供の性別と名前が判明しました〜。
性別はまだ横島君は解ってませんがねw
さて横島君の習得した能力ですがヒーリングが登場しました。
妙神山で覚えた能力はまだ他にも色々考えていますので話しが進むにしたがい
出てくる予定です。
さて、ヒーリングですが。
これは回復系統の術の初歩の初歩でよほど才能が無い以外は、効果の大小はどうあれ誰でも覚えれる物
そういった感じの設定です。
効果的には文珠よりは大分下ただし霊力消費量なんかではこっちのが遥かに優秀なので
戦闘中以外なら大分使えるいった所でしょうか。
横島君はどちらかと言うと守護や治療系統の術の方が得意という事にしていますので
ヒーリングも効果は専門家には負けるがそれ以外なら最上級クラスと思ってください。
原作のおキヌちゃんよりは間違いなく上ですね、向こうは何も訓練してないので当たり前ですが。
さて、こんな感じにオリジナルの術などが出てきたら後書きで解説しようと思っております。
これからも頑張りますのでよろしくお願いします!