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「リーザス陥落  第4話(ランス3)」

まおー (2005-06-03 22:28/2005-06-04 01:09)
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第4話


「ランスのバカッ!!もう昼過ぎってるじゃない。リア様を一刻も早く助けないといけないというのに、ちっとも冒険が進まないじゃないの!!・・・・・・・・時間がないっていうのに・・・なんでこんな奴を頼らなきゃいけないのよ・・・ぶつぶつ」

冒険の準備を終えて、町に出るなり、かなみの奴は、突然、俺様に向かって怒鳴り始めた。

さらに、後にはぶつぶつと独り言を言ってやがる。ヒステリーか?

そう、朝からいろいろあって、昼はとっくの昔に過ぎ、太陽は真ん中を過ぎ去っていた。

町の中は、昼を過ぎた住民がそれぞれの昼食を終え、慌ただしく道を行きかっている。

ここは、自由都市にある中の都市の一つ、アイスという町の中だ。

人口は、自由都市の中でも主要都市に上げられるぐらいいるくせに、リーザスやポルトガルのようにいっこうに発展しない貧乏ったらしい町だ。

俺達は今、アイスの中心街へ向かって歩いていた。

俺の横には、かなみがいて、その後ろではシィルの奴が荷物を背負って歩いていた。

そして、かなみの奴は、生意気にも俺様に向かって文句をまくしたてていると言う訳だ。

それにしても、かなみの奴、だんだん言葉使いの遠慮がなくなってきてやがるな。

朝は、少なくとも敬語を使おうとしていたのに、今ではまったくといって良いほど使おうとする努力が見られない。

「なんか、いきなり言葉づかいが汚くなったなあ、かなみ?それに、悠長に風呂に入っていたのは、誰だったかなぁ?ええ?かなみくん?」

かなみの、激昂にむかついた俺は反論してみた。

「そ、それは・・・・ラ、ランスが・・・・」

「何かなーぁ?どうしたのかなぁー?」

俺は真っ赤になって反論しようとするかなみの声に、かぶせるようにして言ってやった。

かなみは、ぷるぷると顔を真っ赤にして震えている。

朝からいろいろとかなみを苛めてきたが、こいつは素直に反応がかえってきてなかなか楽しい。

カスタムの町にいた志津香みたいな奴や、かなみみたいな糞真面目な奴をからかうのは、俺様的なライフワークに指定しても良いのかもしれん。

癖になりそうだ。

「くっ、そうよ!そうだわ!ところでランス!聖剣と聖鎧をどこの武器屋に売ったのよ。売ったからには買い戻さなきゃいけないんだから、お金ちゃんとあるんでしょうねぇ?」

言葉につまったかなみは、何とか話を逸らそうと、逆に質問してきた。

「ふん、おい、シィル、お前今いくら持ってる?」

あんまり苛めても話がいっこうに進まないので、素直に後ろのシィルに確認してやった。

「はい、ランス様、えと・・・・・今、お財布の中には、この間の仕事の残りと、聖剣と聖鎧を売ったお金を合わせて、5000ゴールド程持っています」

「・・・・・・だそうだ。かなみ、安心したか?」

「そう、売ったお金は2000ゴールドだったと朝、言っていたから買い戻すことは出来そうね」

俺達の答えにほっとしたのか、かなみはようやく興奮した状態から戻り始めた。

「じゃ、後は武器屋に行って話しをつけるだけね。ところでその武器屋どこら辺にあるの?」

「もうすぐです・・・・・・・・・・あ、あそこです!」

かなみの質問に答え、シィルが指差した先には、やっと武器屋の看板が見え始めていた。


俺達が、武器屋の扉を開いて、中に入ると、野太いおっさんの声が聞こえた。

「らっしゃい」

かなみの後に続いて中に入った俺の目の前には、顔中に刀キズのあるへんなおっさんが、カウンターの奥にでんと座っていた。

あれ、おかしいぞ。この前、聖剣と聖鎧を売りに来たときには。可愛い看板娘のレンチという子が店番をしていたはずなのに。

この前来た時は、レンチという子がいて、たいして気にならなかったが、よく見ると店の中は見るからに汚らしかった。

それに加えて、カウンターの向こうの親父が、その汚さに拍車をかけている。

「おい、親父、ここにいたレンチって子は、どうしたんだ。男の顔は、みたくない、目が腐る。早くレンチさんを呼べ」

俺は、早速当然の権利として、親父に苦情を申し立てた。

「ランスだな」

ぎらっと目を光らせて、親父は確認するように、俺に向かって聞いてきた・・・

が、俺は相手にせず、さらに要求する。

こんな親父は、当然のごとく、無視だ、無視・・・

「ふん、それがどうしたんだ?。さぁ、早くここへレンチさんを呼べ」

「俺は、レンチの父親だ」

俺の要求に対して、親父はとうてい信じられないことを言ってきた。

信じられん。こんなごつい親父に、レンチさんのような可愛い娘ができるなんて。もしかして養子か?・・・・・そうだ!たぶんどっかからさらって来て、無理やり養子にしたに違いない。

そんな事を考えていると、俺様に向かって無礼にも親父は、いかにも憤慨しています、というかのように、さらに文句を並べ立ててきやがった。

なんてやつだ。

「お前がいる限り絶対にレンチは、店番に出さない」

「なぜだ、俺は何も悪い事をしていないぞ」

「悪い事をしていないだと、よくそんなことがへらへらと言えた物だな。さんざん娘をだまして傷物にしたくせに・・・このヤロウ」

「ランス、あんた・・・そんなことしてたの?」

店の中に入ってから、後ろで俺と親父の会話を黙って聞いていたかなみが、呆れた風に口を挟んでくる。

「だまして傷物だと?人聞きの悪い。俺は。レンチさんとは合意の上でメイクラブしただけだ」

そうだ、いま、反論したように俺は、この前、売りに来たとき、聖剣と聖鎧のあまりにも売却価格が安かったので、少し交渉した結果、売却価格の値上げの代わりに、レンチさんにうはうはさせて貰っただけなのだ。

俺は胸を張って言った。

しかし、親父はまったく納得していない様子だ。

しっしと腕を振りながら、一刻も早く、俺達を店から追い出そうとする。

「娘は、泣きながらランスに騙されたと言ったぞ。嘘をつくな、とにかくもう娘には近づくな」

「けちけちすんなよ、減るもんじゃあるまいし」

「減る、減るから娘に近づくな」

「ふん、きっとレンチさんは、早く俺様に会いたいに違いない」

「だから、あいつは会いたくないといっているんだ。だから、さっさと帰れ」

「はやくよべ・・・・・」






しばらく、俺と親父のレンチさんを出す出さないの論争が続いた。

しかし、いつまでも不毛な問答が続く。

「喧嘩しないで、それより聖剣と聖鎧の事が大事よ」

いつまでも終わらない俺と親父の言いあいに、いらいらしたのか、また、かなみが口を出してきた。

「わかっている」

かなみの言葉に、俺も飽きていたので、親父に用件を伝えることにした。

「ところで親父、前にここで俺が売ってやった聖剣と聖鎧だが、あるか?」

俺の質問に、親父は腕を組み思い出すしぐさをしながら答えた。

「さてどうだったかな、なんせ高い値段で買わされたのでな、買い手がいなくて困ってたんだが・・・」

「そうか、まだあるんだなラッキ!!そういう訳で聖剣と聖鎧を渡して貰おう、返せ!!」

親父の声をさえぎるように、さっそく命令した。

「話しは最後まで聞け、この前、ようやく一人現れてな。この前やっと売れたんだ」

「あれは俺様のだ!勝手に売ってるんじゃねぇ!いいから聖剣と聖鎧を渡せ!!」

「そうよ、あれはとても大切なものなの、返してください」

かなみと一緒に、親父に向かって怒鳴りつける。

しかし、奴は忌々しげに言い返してきた。

「返せだと、売られたものをどう売ろうと、買った俺の勝手だ」

「なんだと!!!!」

「いや・・うん・・・・それが・・まことに言いにくいことなんだが・・・・・本当に売ってしまったんだ・・・・まさか、あの値段で売れるとは・・・・・しかたないんだ、諦めてくれ」

親父の言葉のあまりさに、俺達は暴れ出したのだった。

「はい、そうですかと納得できるわけないだろうが。うーーーーーーーっ」

「そうよ、リーザス国が・・・・リア王女が・・貴方の責任よ」






しばらくして、ようやく冷静になった俺は、親父の咽元に向かって剣を突きつけた。

親父に向かって殺気を叩きつけながら、俺は質問した。

「で、親父、ちなみにいくらで売れたんだ?正直に話してもらおうか」

「えっと・・・・・・・・・・2万ゴールド・・・・・・てへっ・・・・」

親父は可愛く誤魔化そうとしたようだが、それは、俺とかなみの殺意を煽っただけだった。

「うがー!!俺様から買った値段の10倍の値じゃねえか。てめぇ、ぼりやがったな。俺様を舐めてんのか?この悪得商人が!!」

止めとばかりに、剣を上に振りかぶる。

「待て!待て!待ってくれ!値段を査定したのはレンチだったし、良い剣と鎧だったが、俺もあんな値段設定した商品が、まさか売れるとは思わなかったんだ。だから、2万ゴールドなんて言う値段をつけて売ってたんだ。お前がきたら、きちんとした査定額を支払おうと思っていたんだ。本当だぞ!し、信じてくれ!!」

親父は、店の奥に逃げながら、なんとか俺達の怒りを解こうと必死だ。

しかし、俺はそんなのには騙されはしないのだ。

「親父、死んでわびてもらおうか。この俺様の苦労を無駄にさせやがって」

そう言うと、俺は上げた剣を振り下ろし、親父に止めを刺そうとした。

「そうよ、こんな悪人、殺してしまいましょう」

かなみも、しきりに俺の行動を応援して促す。

「短い付き合いだったな。レンチさんは、俺様が責任を持って幸せにしてやる。安心してあの世に旅立って良いぞ」

「待て!待て!待ってください!」

慌てて、さらに必死に手を合わせて命乞いをする親父。

とにかく、なんて諦めの悪い親父だ。

しかし、俺はそんな親父の態度はまったく無視して、奴に止めを刺すつもりだった。

「ランス様、かなみさん、おじさんを殺すのは可哀相ですよ。このおじさんを殺しても聖剣と聖鎧は戻ってきません。それに売った相手を先に聞かなければ取り戻すことも出来ません」

・・・・・が、その時、今までまったく会話に参加してなかったシィルの奴が、後ろから親父の命乞いをしてきやがった。

「そう、おれも被害者なんだぜ。もしまだここにあったなら、言い値の半額でお前に売るつもりだったんだぞ。本当だぞ」

天の声とばかりに、親父はシィルの意見に必死に食いつく。

「本当か・・それなら、この店に売っている最高の物を半額で売ってもらおうか」

「そ・・・それは・・・」

「なら、死ね・この腐れ親父!!!!!!!!」

「待て、待ってくれ!そ、そうだ、売った奴を教える。売った代金も渡す。だから命だけは助けてくれ!!」

親父は、後生だと言わんばかりにさらに懇願してきた。

「ちっ、・・・・・で、どんな奴に売ったんだ?ちゃんと聞いてから、お前の命のことは考えることにする」

俺は、しかたなく剣を鞘に収めて、親父に話の続きをさせる。

「ああ・・・・・・売った奴の特徴だが。右手が機械化してて義手で、髪の毛の青い、なかなかハンサムな顔の額にサークレットをつけた戦士風の男だ。きっと、奴は冒険者だ」

「・・・・それで、男の名前は?」

「・・・・・・・・知らん・・・」

むか むか むか

「やっぱり、死ね!!この腐れ親父が!!!!!!!!」

バキッ ボキッ グシャ 

カウンターの中に飛び込み、拳を硬く握り締め、親父を一気に殴り飛ばす。

「はぁ、無駄足だったな・・・・・シィル、かなみ、かえるぞ・・・・・」

俺は親父を半殺しにした後、二人に声をかけると、返事を待たずさっさと武器屋を後にしたのだった。


「ランス、これからどうする?」

武器屋からの帰宅途中、途方にくれたように、かなみが聞いてきた。

しかたなく、答えてやる。

「どうするって、親父が売った奴を探すしかないだろ」

「だから、どうやって探すかって、聞いてるの!!」

かなみは、声を荒げて怒鳴った。

余裕のないやつめ。未熟者めが・・・

「あの、ランス様・・・・あのおじさんは、冒険者風って言っていましたから、キースギルドに行って、キースさんに聞いてみるのはどうでしょう。あの人なら、冒険者をよく知っているので、きっと知っていると思います」

「そうね、シィルちゃんの言う通り、そこへ行くことにしましょう」

シィルの意見に、かなみが急かさんばかりに言った。

調子のいい奴だな・・・・


・・・・・・って、そう言えば、親父から2万ゴールドまだもらってねぇじゃねぇーか。さっさと、取り戻しに行かないと。

さっきまで、怒りのあまり奴から金を貰うのをすっかり忘れてしまっていた。

なんつーことだ。俺様としたことが、不覚だ。さっさと金を取り戻そう。

「おい、シィル、かなみ、武器屋にもどるぞ!」

俺は、二人に命令した。

「なんでよ、シィルちゃんの言う通り、ギルドに聞きに行くんでしょう?」

「ばか、まだ武器屋の親父から、2万ゴールド返してもらってねぇじゃねぇか。ギルドに行くのは、その後だ、後。ほら、さっさと行くぞ!!」

二人を急かすと、再び、武器屋に向かって、俺達はきた道を引き返したのだった。


再び、武器屋の看板が見えるところまで戻った所まで戻ってきた。

ふと見ると、店のシャッターが下りていた。

さっきまでやっていたのに、店を閉めてしまったようだ。

「くそっ、あの親父め。さっさと店を閉めて、金を払わず逃げやがった。なんてやつだ」

思わず、愚痴がこぼれ、地団駄を踏む。

「あの・・・・ランス様、たぶん、おじさんは病院に行ったんだと思います。店を出る前に、私がヒーリングを掛けておきましたが、ひどい怪我でしたから」

シィルが、おそるおそる、俺の愚痴に対して返事をしてきた。

「そうね、ランス、ちょっとやりすぎだったわよ。あの親父、最後は気絶しちゃってたじゃない」

かなみまで、俺様を非難してきやがった。

「なんだと!」

軽く二人を小突こうと、腕を振り上げようとした・・・・

・・・・と、その時・・・・

「やめたまえ」

・・・・・・声と共に、背後から近づいてきた何者かに、俺は振り上げた手を掴まれた。

俺は、掴まれた腕を振り解くと、後ろを振り返り、俺様の腕を掴んだ無礼な奴を確認する。

「誰だ!てめぇ!」

俺は振り向きざまに何者かに向かって、詰問した。

そこには、青い髪の色をした、どこかで見覚えのある優男がいた。

「ん、お前どこかで・・・」

俺は記憶を探ろうと、頭を動かす。

基本的に、男の名前なんて覚えない俺が、知っているような気がしたのだ。

「え、あなたは、ランスさん・・・・あっ、お久しぶりです、シィルさん」

優男は、シィルを見つけると俺様に対する挨拶もそこそこにシィルに向かって、話しかけた。

なんて野郎だ・・・・・誰だ?こいつ・・・・

「そうだ・・・バード、そうだ、バードだ。カスタムの町の事件の時にシィルにちょっかいをかけたあの男だ」

こいつは、この前、カスタムの町の冒険で、勝手にシィルは自分の物だと決めつけ、俺様にシィルを預けておくとか言って、さっさと逃げて言った負け犬だ。

しかも、こいつにはその時、今日子と言う美人な彼女がいたのだ。

「ランス、知ってる人なの?」

「少しだけな」

「バードさん、お久しぶりです」

「お久しぶりです。シィルさん元気でしたか?」

俺がかなみに奴との関係を話している間に、バードはすかさず、シィルに愛想を振りまいていた。

「始めまして、私は見当かなみです。リーザスの忍者です」

かなみは、俺の説明の後、自己紹介の必要を感じたのか、自分からシィルと会話していた奴に対して挨拶をした。

「見当かなみさんですね、僕は、バード・リスフィと言います。よろしくお願いします」

バードは、愛想良くかなみに向かって挨拶した。

「ところでお前、今日子さんはどうしたんだ?」

俺は、とりあえずの疑問を尋ねた。

「それは・・・」

バードは言いにくそうに言葉に詰まった。

「ふーん、捨てたのか・・で今はさびしく一人ってわけか」

く、く、く、・・・・やっぱり振られやがったのか。

「で、お前はどうしてこんなとこにいるんだ?」

さらに、奴を苛める為、会話を進める。

「この腕を改造してもらおうと、ここの武器屋に来たんですが・・・ハッ、もしかすると、ランスさんもですか?」

「アホか、俺様がお前みたいに、腕を切り落とされるなんて、間抜けなことになるわけないだろ」

「そうですか・・・・・では、何をしてたんですか?」

「俺様はだな、ここの・・・・・・」

「あーーーーー!!!!!!!右手が機械化してて義手で、髪の毛の青い、なかなかハンサムな顔の額にサークレットをつけた戦士風の男!!!!!!!」

俺が、返事をしようとした時、俺の後ろで話を聞いていたかなみが、突然、叫びながら、俺の服の袖を引っ張った。

そして、小さな声で話しかけてきた。

「ランス!ランス!・・・・あの人の鎧と剣、あれ!あれ!聖剣と聖鎧よ」

「なんだと?」

かなみの言葉に俺は、じっとバードの鎧と剣を見つめる。

確かに、奴が身につけているのは聖剣と聖鎧だ。

「確かに、聖剣と聖鎧だな」

「あんたが話をすると、さっきみたいにややこしくなるから、私が交渉するわ。いいわね」

かなみは俺とごちょごちょと小さな声で話をしたかと思うと、俺様の返事も待たずに、さっさとバードに愛想良く近づき、奴と交渉を始めた。

「えと、バードさん。少しお願いがあるのですが」

かなみは猫を被って話し始める。

「なんですか、かなみさん」

訳が分からず黙って俺達を見ていたバードは、愛想良くかなみに答えた。

「あのですね、実は、貴方が身につけている剣と鎧、リーザス王家の物なんです。間違ってここの武器屋に売られてしまった物なんですが、返してもらえないでしょうか?」

「突然そんな事を言われてもですね。実はこの剣と鎧、片腕を補うために大金を出して買ったんですよ。だからあの、突然、そんな事を言われても・・・・・・」

バードはかなみのお願いにしどろもどろになりながら、なんとか誤魔化そうとした。

あーもう、いらつくぜ!くそっ!!

「おい!バード!その剣と鎧は元々俺様のだ。さっさと返しやがれ!」

俺は、いいかげんいらついてきたので、かなみを無視してバードに直接要求した。

「なっ、だからこの剣と鎧は2万ゴールドも出して買った僕のものです」

俺の言葉にむっとしたのかバードは、俺様に向かって言い返してきた。

「ふん、だからそれは俺様の物だといっただろう。さっさと命のあるうちに返すんだな。今度はその片手だけじゃなくて、命までなくすぜ」

俺様とバードの言い争いは、だんだんエスカレートしていき、殺気をおび始めた。

と、そこへ見かねたシィルが口を挟んできた。

「あの、バードさん。お願いします。その剣と鎧がないと私達、とても困るんです。お金はお返ししますから返してもらえませんか?」

シィルは、頭を下げて必死に懇願した。

「シィルさん。わかりました、頭を上げてください」

シィルの言葉に、バードはさっきまでの態度を豹変させ、にこやかに答えた。

しかし、その後、バードは俺様に向き直ると、挑戦的な態度で要求を突きつけてきた。

「ランスさん、やはり貴方にはシィルさんを任せられません。どうです?この剣と鎧が欲しければ、僕と勝負しませんか?」

「勝負だと?」

「ええ、これから、キースギルドに行って何か一つ同じ仕事を請け負うんです。どちらが先に仕事を完了させるか勝負するんです。ただし、その仕事の間、シィルさんは僕とパーティを組んで貰います。貴方が勝てば、この剣と鎧は貴方達にお返しします。でも、僕が勝てばシィルさんは、その後も僕とパーティを続けてもらいますが、剣と鎧はお返しします。どうです、受けますか?」

「ふん、そんなもん、俺様が勝つに決まっているではないか。それにシィルは俺様の奴隷だ。話にならんな。そんなめんどくさい事をしなくても、今、ここでお前を殺せば済む事だ」

馬鹿馬鹿しいと相手にせず、すっと剣を抜き、奴に向かって構える。

「ちょ、ちょっと、ランス。やめなさいよ」

それまでずっと様子を見守ってきたかなみが、慌てて俺を止めに入った。

そして、俺の耳元に近づき、小さな声で囁く。

「あのねランス、シィルちゃんには悪いけど、彼の条件を飲むしかないと思うの。お願いだから条件を飲んで。どうせランスなら勝てるんでしょ?」

「当たり前だ。俺様があんな負け犬に負けるわけがないではないか」

「じゃ、条件を飲みましょ。私達、急いでいるんだから、さっさとあれ取り返さないと。シィルちゃんには、私から後でしっかり謝っておくから」

「ちっ、わかった」

そして、俺は、バードに向き直ると、奴に向かって挑発的な態度で言った。

「仕方がねぇ、寛大にも俺様がお前の必死な哀れな負け犬根性に免じて、勝負してやろう。這い蹲って俺様に感謝するように。がはははは」

「決まりましたね。では、キースギルドに向かいましょうか」

しかし、バードは冷静さを崩さなかった。

そして、返事を返した後、さっさと一人でその場を去ってしまった。

後には、俺達三人が残される。

「ふん、俺達も行くぞ。シィル、話は聞いていたな。そういう訳だ。あとであいつに言い訳させない為にも手を抜くんじゃないぞ」

「ランス様・・・・・」

シィルは、声を萎ませる。

俺は、そんなシィルを無視して、バードを追ってさっさとキースギルドへ向かった。

立ち去る直前、背後からシィルとかなみの会話が聞こえてきた。

「シィルちゃん、ごめんね。貴方を賭けの対象なんかにして。絶対に負けないから。とりあえず、バードさんと一緒に仕事をしてもらえる?」

「かなみさん・・・・・・」

「本当に御免なさい。平和的に解決するには、あれしかないと思ったの・・・・・・・」


あとがき


バードくん登場です。

B-クレスさん、monさんレスありがとうございました。

期待に答えられるよう頑張りたいと思います。

それでは、また次回に。

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