※本話は本筋の流れとはあまり関係のない、いわば番外編的なお話です。
キャラたちが普段と違う?壊れ方をしている気がいたしますが、お気になさらず。
黒い種 キラ君奮闘?物語
第34話(番外編1) お薬の味は砂糖の蜂蜜がけ (後編)
無事?ショッピングを終えた2人。
荷物をホテルに届けてもらうように手配し、再び市街地を歩いていた。
そんな折・・・
「ちょっと、そこのお二人さん!」
キラとラクスを呼び止める一人の男。
そのまま2人の元へ駆け寄ってくる。
「スイマセン、少しお時間よろしいですか?」
「・・・何ですか」
突然現れた男に警戒するキラ。
勿論この男がラクスに危害を加えないかを、である。
一方のラクスは変わらずのほほんとしている。
「今そこでテレビのロケをやってるんですけど、
もしよろしかったら出演して貰えないでしょうか?」
男の視線を追う2人。
その先には人だかりが出来ていた。
その中心にはカメラマンとレポーターらしき人物がいる。
「・・・でも僕らは」
「面白そうですわね。キラ、行ってみませんか?」
「勿論だよ、ラクス♪」
現在ラクス至上主義になっているキラにとって、ラクスの言葉は絶対だった。
すかさず笑みを浮かべてラクスに答えると、その男についていった。
『今日は町で見かけた素敵なカップルを捕まえちゃいました』
そんなレポーターの言葉で始まったテレビのロケ。
どうやらオーブではかなりの人気番組らしく、
周囲の人だかりもどんどん規模を増していった。
『それでは、その素敵なカップルさんに登場していただきましょう。
お二人とも、どうぞ〜〜』
レポーターの言葉でカメラが向きを変える。
その先に映し出されたのは麗しの男女、キラとラクスであった。
『それではお名前を教えていただけますか?』
レポーターがキラにマイクを向ける。
キラは咳払いを一つし、凜とした表情で喋りだした。
「キラ・ヤマトです。よろしくお願いします(ニコッ)」
ズキュゥゥゥゥゥゥン!!!
キラ渾身の微笑みが炸裂。
マイクを向けていたレポーターや周囲にいた人間はおろか、
テレビを見ていた全ての人(勿論女性)のハートを一撃で打ち抜いてしまった。
まさにヒットマン。
『(ポ〜〜〜)・・・す、素敵な笑顔ですね(照)。そ、それでは彼女のほうも』
キラの魅力に陥落寸前のレポーター。
それを何とかプロ根性で耐えると、続いてラクスの方にマイクを向ける。
「はい、ラクスと申します。よろしくお願いいたしますわ♪」
キラほどではないにしろ、ラクスも軽く微笑む。
それを見た男性陣が思わずため息をついた。
『ハイ、それでは色々とお話を伺ってみましょう。
ええっと、キラ君?素敵な彼女ですねぇ』
「はい、僕にとって大切な人ですから♪」
アナウンサーの言葉に笑みを浮かべて答えるキラ。
ラクスを褒められたのが嬉しいようだ。
「もう、キラ様ッたら・・・」
キラの言葉にラクスが赤面し、俯いてしまうラクス。
その仕草に周囲の男性陣が歓声をあげる。
だが、
「私にとっても大切な御方ですわ、キラ様」
俯いたままそう答えるラクス。
「ラクス・・・」
「キラ様・・・」
見つめ合い、互いの名前を呼び合う2人。
すでに回りはただの背景と・・・
『はい!それではどんどん行きましょう!』
・・・なるところをレポーターが止めに入った。
2人の間に入り、強引に現実へと呼び戻す。
理由は勿論ラクスへの嫉妬・・・もとい番組を円滑に進めるためである。
そして質問を再開した。
『お二人は付き合い始めてからどれくらいなんですか?』
「そうですねぇ・・・大体2ヶ月くらいでしょうか」
『そうなんですか?それでは今が一番アツアツな時期ですねぇ〜』
茶化すように言うレポーター。
しかし、ラクスはふっと笑みを浮かべて否定する。
「私たちにとって時間など関係ありません。
私はキラ様の事を心から愛していますし、これからも愛し続けます。
だって私達はそうした運命の下に生まれてきたのですから」
『・・・・・・』
ラクスのあまりにも堂々とした物言いに言葉を失くすレポーター&周囲の野次馬。
だが、その中でたった一人だけ口を開くものがいた。
「僕だって同じさ。
たとえこの先どんなに苦しい事が待ち受けていようとも、
僕は絶対に君を守るよ、ラクス」
それは、真剣な眼差しでラクスを見つめるキラだった。
「キラ様・・・」
愛しい人の名を呼び、その胸に飛び込むラクス。
それを優しく受け止めるキラ。
そのまま2人は見つめ合い、ゆっくりと唇が・・・
『で、では!ここで一旦CMです!!!』
合わさる瞬間、いち早く復活したレポーターによって放送禁止は防がれた。
〜 同時刻、とある総合百貨店 〜
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・キラ・・・ラクス」
店頭に展示してあるテレビを無言で眺める美女達。
その背からはオーラのようなものが立ち昇っており、
それに当てられたであろう人間たちが屍のように倒れていた。
「・・・見つけたわ」
「・・・あんなところにいたのね」
「・・・しかも」
「・・・随分な事言ってたわよね」
「・・・ほんとに」
「・・・早く・・・あいたい」
一人だけ見当違いな事を言っている気がするが、この際それは関係ない。
6人の美女たちは駆け足で店をあとにした。
目指す場所はただひとつ・・・
『そ、それでは・・・ありがとう、ございました』
疲弊しきった表情のスタッフ。
キラとラクスに礼を述べ、おぼつかない足取りで中継車の方へと歩いていく。
「いやぁ〜、なかなか貴重な体験だったね」
「いい思い出になりましたわ」
それとは対照的にすっかりご満悦の2人。
まぁ、あの後延々と互いにノロケ話をしたのだ。
当人にとっては満足だろうよ、ケッ・・・
「それよりラクス、この後どうしようか?」
「そうですわね・・・」
(せっかくの機会ですし、このまま夜の街をキラと歩いてみたいですわね。
今のキラ様は私だけのキラ様ですし、どんなお願いでも聞いてくれるでしょう。
それならやっぱり・・・うふふ♪)
などとピンクの妄想に入っているラクス。
と、
「・・・あれ?」
突如キラが周囲を見渡し始めた。
その顔は驚きで溢れている。
「・・・キラ様?」
突然のキラの行動に首をかしげ、顔をのぞきこむラクス。
「ラクス?・・・ねぇ、何でこんなところにいるの?」
「え?」
キラの言葉に面食らうラクス。
が、すぐにキラの変化を理解した。
(どうやら薬の効果が切れてしまったようですわね。
効果の持続時間は半日・・・と言ったところでしょうか?
その間に起こった事も忘れてしまうようですわね)
「キラ様、キラ様は薬の調合に失敗なさった後、気分転換に私と町へ出かけたのですわ」
「そうだったっけ?」
「はい、ですが少しお疲れだったようですね。私が我侭を言って・・・」
シュンと沈んだ顔をするラクス。
それをすぐに慰めるキラ。
「あ、そんな、ラクスの所為じゃないよ。体調管理が出来いていない僕が悪いんだから。
それより、何だか気分のすっきりしたよ。すぐに薬を作り直さないと」
「はい、ではホテルに戻りましょうか」
「うん」
そう言って、2人は何事もなかったかのようにホテルへと戻っていった。
途中、通行人たちが何故か自分達を避けるようにしていたのを不思議に思うキラだった。
ちなみにその夜、オーブ一番の高級ホテル最上階で爆発騒ぎが発生。
翌日の新聞に一連の騒動がまとめられ、
美少女テロ集団出現! 被害甚大!!
などと言う記事が載っていたそうな。
ただし、その美女たちに関する写真などは一切なかったという。
オマケ
「今日は実に楽しかったですわ。また今度試してみましょう♪」
などと、ある薬の調合が書かれたメモを持った女性が満足げに言っていたらしい。
あとがき
はっきり言って駄文ですね。
と本人が思っているほどの番外編でした。
悪しき記憶など早々に忘れ、さっさと本編に戻りましょう。
そんな訳で次回。
ついにアルテミスへと戻ったキラ達一行。
本格的な戦いの予感が。
シンマユとステラ、アスランとカガリの本SSでの関係は?
一体どうなる?
今回もレス返しは無しとさせていただきます。
番外編書いて私が一番ダメージを受けましたので。
ほんとに失踪しようかと思いました。