※本話は本筋の流れとはあまり関係のない、いわば番外編的なお話です。
キャラたちが普段と違う?壊れ方をしている気がいたしますが、お気になさらず。
黒い種 キラ君奮闘?物語
第33話(番外編1) お薬の味は砂糖の蜂蜜がけ (中編)
PM 0:30
オーブ市街地のとあるレストラン。
ここは雑誌にも紹介されるほどの評判の店で、
休日ともなればその混雑は半端ではない。
にも関わらず、店内には客の姿が全く無かった。
だが別に臨時休業しているのではない。
原因は、店に唯一残っている一組のカップルの所為であった。
「ラクス、はい、あ〜〜〜ん♪」
幸せ一杯の笑顔でラクスの口へと料理を運ぶキラ。
「あ〜ん・・・もぐもぐ・・・ん、美味しいですわ♪」
こちらもまた満面の笑みを浮かべているラクス。
「そう、よかった」
ラクスの答えに満足そうなキラ。
彼女が喜んでくれた事が何より嬉しいようだ。
「それではキラ様も、あ〜〜〜ん♪」
お返しとばかりにキラと同じ事をするラクス。
勿論キラもそれを受け入れる。
「あ〜〜〜ん♪・・・もぐもぐ・・・
うん、やっぱりラクスに食べさせてもらうと味も格別だね♪」
「もう、キラ様ッたら♪」
・・・とまあこんな光景が延々と繰り広げられているのだ。
もともといた客たちはあまりの衝撃にそそくさと撤収。
新たにやってきた客たちも、この異様な雰囲気とバカップルの食事風景に回れ右。
必然的に店内から客たちが消えてしまったのである。
「すみませ〜ん、コーヒーのおかわりをお願いしま〜す」
そんな中、一番の被害を受けているのがレストランの店員たちであった。
客たちと違って逃げ出すわけにも行かず、かと言って近くにいる事など出来ない。
全員で厨房の奥に引っ込むというささやかな防衛策を講じているのだが、
2人の声が聞こえてくるために精神的ダメージは緩和されないのである。
「ど、どうぞ」
1人のウェイターがコーヒーを運んできた。
(ちなみに彼は壮絶なジャンケン大会の敗者である)
今にも倒れそうなほどに疲弊しきっている。
「どうも、ありがとうございます」
そんなウェイターに笑みを向けるラクス。
いくらイタイ行動を取っているとはいえ、ラクスは文句なしの美人である。
そんな彼女に微笑まれた一般男性の反応たるや・・・
「・・・う、う、うわぁ〜〜〜〜〜ん!!!」
何であんな美人が〜〜〜、などと叫びながらダッシュで去っていくウェイター。
トラウマにならなければいいのだが・・・
「どうかなさったのでしょうか?」
「さぁ?それよりラクス、はい、あ〜〜〜んして♪」
すでに青年の事など頭の片隅にも残っていない2人。
食事という名を借りたバカップル行動を再開する
「あ、はい♪あ〜ん・・・もぐもぐ・・・んふふ、やっぱり美味しいですわ♪」
頬を染めて嬉しそうに話すラクス。
そんなラクスの仕草にキラが我慢できなくなり、がばっ、と抱きついた。
「キャッ!・・・もう、まだ食事中ですわよ?」
「ご飯よりももっと美味しいものが食べたいんだ、ラクス・・・」
「キラ様・・・んっ」
そして2人は、この日すでに二桁を超えたディープキスを満喫していた。
結局食事はこれから20分近く続き、大勢の店員が心に多大な傷を負ってしまったとか。
〜 同時刻、市街地のメインストリート 〜
「ちょっと貴方、この2人を見なかった!?」
いきなり6人の美女に取り囲まれる1人の青年。
そして写真を突きつけられる。
「え、あ、僕ですか?」
突然の事に驚き、自身の周りにいる美女たちを見る青年。
しかしその美女たちは1人を除いて険しい、というか怒り爆発の表情をしており、
質問に答えない青年にイラついていた。
「余計な事はいいの!この2人を見たか見てないかを聞いてるのよ!!」
「(こ、恐い・・・)ええっと・・・」
恐怖におののきながらも手渡された写真をのぞき込む青年。
そして見る見るうちに顔が青くなっていく。
「こ、この2人なら・・・さっき見ましたけど」
恋人のいない青年にとって人一倍ダメージの大きかった光景である。
気分が悪くなるのを抑えながらボソリと告げた。
しかし、
「見たのね!!それでどこに行ったの!!!」
さらにものすごい形相で詰め寄られる青年。
なまじ全員が美人だけに余計恐い。
「い、いえ、どこに行ったかまでは・・・」
怯えながらそう告げる青年。
すると、
「キラ・・・いないの?・・・グスン・・・」
その中の一人の少女が軽く泣いてしまった。
直後、青年の運命は決まっていた。
「アンタ!!!ステラを泣かせたわね!!!」
「え、いや、あの、僕・・・」
「天誅よ!!!」
ドガッ!(フ)
ドスッ!(ミ)
バキィ!(ル)
ドゴォ!(メ)
ベキィ!(カ)
グチョ!(何故かス)
「・・・ふぅ、時間がもったいないわ、皆、行くわよ!」
「「「「オオォ〜〜〜〜!!!」」」」
血みどろの青年を残し、6人の美女は去っていった。
「な・・・なんで・・・ぼ、くが・・・・・・ガクッ」
・・・こっちもこっちで大変な事になっているようだ。
PM 1:00
食事を終えたキラとラクス。
2人はそのままショッピングに向かった。
彼らが今いるのはとある総合百貨店。
その4階、洋服売り場にて・・・
「キラ様、これはどうでしょうか?」
「似合ってるよ、ラクス♪」
試着した洋服をキラに見せるラクス。
軽くターンなどをするあたり、かなりはしゃいでいる。
そしてそれを褒めるキラも同様だ。
何度も言うがラクスは美人である。
顔は勿論の事スタイルも非常に良い。
そんな彼女が様々な服を着てファッションショーみたいな事をやっていれば、
当然のごとく人が集まってしまう・・・はずなのだが、売り場には店員も含め誰もいない。
何故ならば・・・
「次はこっちの服を着てみましょう」
「それじゃあ着替えを手伝ってあげるよ、ラクス」
「あん、キラ様♪」
「ラクス♪」
などとイチャついていれば当然であろう。
もっとも以前のルナマリアのときと違って一線は越えていない。
どうせなら最後まで・・・コホン。
「う〜ん、ラクスは何着ても似合うから・・・困ったな」
「キラ様ッたら・・・でも、どうしましょう?」
一通り試着が終わったあと、どの服を買うか悩む2人。
だが、キラの一言ですぐに片付く。
「よし、全部買おう!」
「え!そんなキラ様・・・」
さすがに遠慮するラクス。
しかしそんなラクスに優しく囁くキラ。
「気にしなくていいよ。全部ラクスに似合ってたんだから」
「で、でも」
「僕はいろんなラクスを見たいんだ。素敵なラクスをたくさんね。
勿論ラクスはそのままでも素敵なんだけどね」
「キラ様・・・」
「ラクス・・・」
見詰め合うキラとラクス。
そのまま2人の距離が縮まり・・・
その30分後、2人は仲良くレジへと向かい洋服を清算した。
2人をレジで対応をした男性店員の顔が、恐ろしいくらいに老け込んでいそうな・・・
〜 同時刻、とあるレストラン 〜
「そこのウェイター、この2人を見なかった!?」
ようやく落ち着きを取り戻した店内に突如やって来た6人の美女達。
素早く近くにいた店員を取り囲んだ。
「え、えっと・・・!!!こ、この2人は・・・」
店員は最初呆気に取られていたが、美女達の尋常ではない殺気には逆らえず、
提示された写真に視線を移した。
そして泣き出した。
「み、見ました・・・ここで・・・食事されていました」
奇しくも彼はキラ達にコーヒーを届けた店員であった。
すでにトラウマとなっているのだろうか、表情が暗すぎる。
しかし美女たちにはそんな事関係ない。
「ここに来たのね!!!それで、その後どこに行ったの!?」
行き先を問い詰めるべく店員に詰め寄る。
この時、店員は言ってはならない事を言ったしまった。
「知りませんよ、あんなのがどこに行ったかなんて・・・」
ピクッ・・・
「・・・あんなの、ですって?」
突然雰囲気の変わる美女達。
先程までの勢いも迫力も完全に消えてしまった。
しかし、言い知れぬ何かを感じる。
と、静寂はそこまでだった。
「私たちの愛するキラをあんなの呼ばわりするなんて・・・
許せない!!!」
カチャ!×6
どこから取り出したのか、店員目掛けてマシンガンを突きつける6人。
(ステラのみガトリング砲)
「え、え、え?」
「キラを侮辱した罪を思い知りなさい!」
「キラを侮辱・・・許さない」
「総員構え、撃てェ!!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!
「撃ち方止めッ、
次の場所に移動するわよ!!!」
「「「「オオッ!!!」」」」
某副艦長張りの統率力を見せるリーダーの指示の元、店を跡にする6人。
残されたのは蜂の巣と化した壁を背にして立つ店員と気絶した客たちだった。
「・・・・・・女って・・・・・・恐い・・・・・・ガクッ」
だんだんと騒ぎが大きくなっているぞ。
って言うかヤバイだろ、これは・・・
しかし、話はまだ終わらないのであった・・・後編に続く。
あとがき (短いなぁ)
甘い話と言うかイタイ話になっている気が・・・
意外と長くなってしまったので前、中、後の3段構成に変更しました。
キラとラクスはどうなってしまうのか?
そしてそれを追う6人は?
次回いよいよ完結、どういった結末を迎えるのか・・・自分にもわかりません(爆)
今回はレス返しは無しにさせていただきます。