「「和樹!日本には一人だけで行け!!(千早さん)(神代さん)は俺が面倒見る!!」」
「吹き飛べ!ライトニングスパーク!!」
詰め寄ってきたミレイと魚座の黄金聖闘士・フレイを和樹の雷光が吹き飛ばす。
「あの二人懲りないな…」
「まったくだね。和樹、それと従者の二人、最後に双児宮の迷宮に挑んでみる?もちろん、ゴールはありで」
「「「遠慮させていただきます」」」
双子座の黄金聖闘士・アバンは相変わらずの二人にあきれ、同じく双子座の黄金聖闘士・ザインは和樹たちに危険なことを言う。
「兄さん、日本語大丈夫?」
「ああ、たぶん平気だ。いざとなったら二人に通訳してもらいさ」
腹違いの弟、射手座の黄金聖闘士・クロードの肩を叩く。
「アーバレス、そんながっかりするなよ。その巨体とその顔で泣かれても怖いだけだぞ」
「うう…心の友よぉーー!!」
「俺は男と抱き合う趣味はない!」
2mをこす巨体で迫ってくる牡牛座の黄金聖闘士・アーバレスを和樹は軽々と投げ飛ばした。
「ハァハァ…も、もう行く!これ以上、変なのが出てくる前に出てく!!」
―――――――――――――――――――――
葵学園に入学して一年以上がたった。和樹はようやく日本語を完全にマスターし、聖闘士と学生の両立にもなれ、のんびりとした学生生活を満喫していた。
「聖地を出るときの夢を見た」
「理由は忘れたけど、ジン様と千日戦争しかけたあのときの?」
「ああ」
昼休み、いつものように千早と一緒に弁当(千早作)を食べ、他愛のない会話を楽しんでいた和樹は自分が朝見た夢の事を話した。学校で「様」はまずいだろうということで千早は「和樹君」、神代は「先輩」で落ち着いていた。
「今日の夜ご飯、何がいい?」
「ん〜、魚がいいな。ワインにあいそうな」
「買い物つきあってね」
「あいよ」
和樹の返事に彼の従者は嬉しそうに微笑む。
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「「……」」
楽しかったはずの家族旅行…
ついさっきまでみんなで楽しくしゃべっていた…
突然、起こった爆音が笑顔を…
大好きな親を奪った…
「大丈夫か…英語はわかるな?」
崩れかけた心をとどめたのは自分たちとそうかわらなそうな少年の声だった。
「怪我は…ないな。ここは危険だ。避難するんだ」
「お父さんと…お母さんが……」
「え?」
はじめて抱き合って何にも無反応だった姉妹の姉が動いた。
「お父さんとお母さんが!!」
涙を流して少年の服を掴んだ。自分の言葉が日本語で通じるかどうかもわからないことなど気にしなかった。
「日本語か…ここで生きていたのは君たちだけだ。君たちの両親は…」
「そんなこと!そんなこと!!」
震える妹も忘れ、千早は冷静に現実も告げる少年を睨む。
「いいから避難しろ!ここで死ぬ気か!!おまえたちを守ってくれた親の思いを無駄にするつもりか!!!」
千早ははっとして動きを止め妹同様に震えだした。
「あ、あああああ」
彼女の様子に困りながらも少年はトランシーバーをだした。
「…クロード、俺だ。逃げ遅れた子供を見つけた」
<まずいよ、兄さん!K国に雇われたはぐれ聖闘士がそっちに向かってる!>
「チッ!わかった。こっちで何とかする」
ギリシャ語でかわされた会話の意味はわからないが何かあったことが少女たちにもわかった。
「二人とも嫌でもついてきてもらうからな」
そう言って彼は二人を軽々と担ぎ上げると走り出した。
「ここらかな。いいか絶対に動くなよ。おまえらの親が死ぬ原因になった野郎は俺がぶっ飛ばしてくるからな」
「親が死ぬ原因」…その言葉に二人は反応した。
「いく…」
「何か言ったか?」
「私も行く…いってそいつを殺してやる!!」
いつも優しく暖かい少女の面影はそこにはなかった。ただ、親の仇を討たんとする復讐者がいた。
「だめだ。ここにいろ、絶対に俺がぶっ飛ばしてくるから」
少年は走り出した。千早と神代は少年を追いかけた。
「おまえか…アテナの名を汚す愚か者は…」
「なんだ?てめぇは。聖地から派遣された聖闘士か?ククク…この俺もなめられたもんだな。白銀聖闘士のこの俺を倒すのにこんなガキよこすなんてよォ」
少年は男の言うことを無視してパチンと指をはじいた。その音に反応し、大地が吹き飛び金色の箱が出てきた。その箱は少年の側に飛んで行き、勝手に開いた。そこには金色の獅子の置物があった。次の瞬間、その置物は砕け少年に纏わりついた。
「こ、こんなガキが…こんなガキが!黄金聖闘士だと!!」
「ああ、よかったな。おまえの実力は結構高く見られてたらしいよ。刺客に白銀ではなく俺たち、黄金聖闘士が呼ばれたんだからな。悪いが命乞いを聞く気はないからな」
男は最初の威勢を失いつつあった。
(何とかして…何とかして……!!)
男は横に飛んだ。
(?…!!)
何をしようとしているのか気づかなかった少年は男が何をしようとしているかわかった瞬間、飛び出すが男の方が早かった。
「う、動くんじゃねえぞ!このガキ殺すからな!!」
男は少年の後を追って追いかけてきた千早たちを盾にした。
「貴様!まだ、アテナの顔に泥を塗る気か!!」
「あ、アテナなんて知ったこちゃねえんだよ!この力を平和のために使う?ふざけんなよ!こんなスゲー力はなぁ、自分のために使うんだよ!」
「三流の悪党が!」
少年の纏うオーラがかわった。
「おまえら、動くなよ。…大丈夫、俺を信じろ」
不安そうな顔をした少女を安心させるように微笑むと少年は拳をかためた。
「燃え上がれ俺の小宇宙!今こそ雷光を超えし雷光の牙となれ、ライトニングプラズマ!!」
「!?」
男は自分が幾多もの雷光の軌跡に貫かれたことに気づく間もなく逝った。
「大丈夫だよな?」
何度目だろう、目の前にいる黄金の鎧を纏った少年にきづわれるのは…
「あなたは?」
「俺か?俺は獅子座の黄金聖闘士・和樹だ」
これが自分につかえる従者となる少女たちとの出会いは…
――――――――――――――――――――――
「どうしたんですか?」
「いや…今日の夕飯が楽しみだなって」
「フフ、じゃあ手は抜けないね」
このときまだ二人は知らないのこあと、家に帰ったときおこることを…
あとがき
アーレスです。今回も夕菜たちは出てきませんでした。次回は必ず出てきます。
キャラクター設定
貴鬼…前牡羊座の黄金聖闘士・ムウの弟子。牡羊座(アリエス)の黄金聖闘士。第一の宮、白羊宮を守護する。超能力者。ムウのもとでの修行により聖衣の修復を唯一する事ができる男。得意技はスターダストレーザー・クリスタルウォール・スターダストレボリューション・スターライトエクステンション・テレポート・金縛り。ほとんどが十代の黄金聖闘士の中で唯一二十代だが敬意を払われた事がない。
ミレイ…キグナスの神闘士・氷河とナターシャ(漫画にしか出てこないキャラ、けっして氷河の母のことではない)の長男。水瓶座(アクエリアス)の黄金聖闘士。第十一の宮、宝瓶宮を守護する。得意技カリツォー・グレイシャルランス・フリージングコフィン・オーロラサンダーアタック・ダイヤモンドダスト・オーロラエクスキュウション。冷静沈着だがキレると手がつけられなくなる。千早に一目惚れしている。
ブラッド…鷲座の白銀聖闘士・魔鈴の弟子。蟹座(キャンサー)の黄金聖闘士。第四の宮、巨蟹宮を守護する。得意技はプレセペポイズン・キャンサークロウ・積尸気瘴極渦・積尸気冥界波・流星拳。下品な言動が多々あるが、黄金聖闘士の中で最も仲間思い。
ジン…フェニックスの神闘士・一輝とパンドラの息子。蠍座(スコーピオン)の黄金聖闘士。第八の宮、天蠍宮を守護する。得意技はショッキングフィンガー・ピアーシングチャージ・リストリクション・スカーレットニードル・鳳翼天翔・幻魔拳。正義感が人一倍強い。和樹の親友。
レス返し
>D,さん
私の趣味でサジタリアスではなくレオにしました。
その代わり原作とは逆にサジタリアスがレオの弟です。
>友紀さん
ムウも師匠から受け継いでいるんですよ。
>皇 翠輝さん
文・ジュウさんの言っていたとおり同人ネタです。
>teteさん
そうですよね〜この間出たゲームでだって瞬が氷河と添い寝してたし…
>葵さん
大体あっていましたが少し違います。
>文・ジュウさん
従者に向けない限り命は保障されると思いますよ。
>虎空王さん
結構、意識してます。