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「鬼畜将ランス〜第十九話 宗教と言う名の刃〜(鬼畜王ランス)」

B-クレス (2005-04-05 22:22/2005-04-06 08:38)
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 JAPANにおける戦争が終わって、一ヶ月ほどが過ぎた

 その間、ヘルマンにおける軍事的な衝突は無く、冷戦が続いているだけだった

 それもそのはず、レリューコフが傭兵を集めたといっても、直接行動には出ていないし

 リーザスがJAPAN、ならびに自由都市郡と同盟関係を結んだと言う事実から

 次はヘルマンが攻められる番の可能性が高い為、傭兵を集めたとしても違和感がそう大きくは無いのだ

 その為、ヘルマン宰相ステッセルは、レリューコフに対し攻撃を仕掛ける事は出来ず

 レリューコフは他の将軍に一切の連絡を取らず、ログA,Bの防衛に徹しているのだ

 その為、リーザス側でも軍の再編の時間が十分にとれたうえに

 一番厄介な魔人との戦いも、魔人四天王であるカミーラが動かないと言う事もあり

 サイゼルはメガラスとサテラが、ジークはレイが相手にし、リーザス軍は無傷のままだった

 カミーラが出ない直接の原因は、かつての魔王、ジルの存在だった

 カミーラとジルは、ジルが魔王時代に懇意の仲であり、カミーラはジルに心酔している所があった

 実際、ガイがジルを封印した後、最初に仇討ちをしようとしたのはカミーラだったのだ

 だが、ガイは魔王の強制力を使い、ジルに心酔していた魔人達

 特にカミーラ、アイゼル、ノスの三人に強力な呪縛をかけていたのだ

 その呪縛は、魔王への絶対服従と、ジルの封印を解く事の禁止だった

 その為、カミーラは復讐すら果たせなくなった為に無気力になっていき

 アイゼル、ノスに至ってはLP暦2年に、ランスがカオスを抜くように仕向けるので精一杯だったのだ

 そんな事実もあり、サイゼル、ジークが同時に襲撃をかけたときに、メガラス配下のホルスを使い

 ジルは、特殊な魔術文字で書いた手紙を、カミーラへと送ったのだ

 カミーラはその手紙が来たという事実に驚き、リトルプリンセス奪回どころではなくなってしまったのだ

 そのお陰で、リーザス軍は一切の戦闘を行うことも無く、軍の再編に集中できたのだ


 そして、軍の再編が終わった翌日、定例の軍議が開かれる事になった

 参加するのは女王リア、宰相のマリス、緑の軍将軍のランスと黒の軍将軍のバレス

 後は参謀役としてのアールコートと、ランスからあまり離れようとしないジル

 後は魔人代表と言う事でメガラスが参加していた


 「ではまず、これまでの我が軍の状況について整理します」

 ランスはリアのほうを向いてそう言うと、地図を広げた

 「まず我が軍は内乱の扇動者としてジオ、ハンナ、ロックアースの三都市を攻略し

  さらにカスタムとの同盟を結び、JAPAN軍との戦いの中でポルトガルを制圧

  そしてJAPANの将、山本五十六にJAPANを預けるかわりに我が軍の客将として迎え入れました

  さらに、JAPAN戦の最中、魔法使いであるジルを緑の軍に編入しました」

 ランスはそこまで報告をすると、リアの方を向きなおした

 リアは、ランスの目を見ながらわずかに微笑むと、深くうなずいた

 「報告ご苦労様です、ランス将軍、それで、これからの軍の予定はどうなっているのですか?」

 リアのその様子から、特に軍の行動に質問は無いと見たマリスが、ランスに先を言うように促す

 ランスは、そのマリスの様子に深く頷くと、リーザスとヘルマン国境付近の拡大図をだした

 「現在我が軍はスケールに赤の軍、マウネスに白の軍を置き、ヘルマンの様子を見ています

  知っての通り、ヘルマンに侵攻するにはバラオ山脈を越えねばならないうえに

  バラオ山脈の山道の形から、一部隊ずつでの進軍しか不可能な状態です

  さらに、国境付近を防衛しているレリューコフは独自に傭兵を集め始めているらしく

  ログA、ログBに駐在する防衛軍は増加していると見ていいでしょう

  しかし、ヘルマン内部で軍事的な抗争が発生する可能性も高い為、軍を駐在しておくのは有意義だと思われます」

 ランスは、そこまで言うと、再びリアのほうを向いた

 リアは、軽く頷くと、口を開いた

 「リーザス女王、リア・パラパラ・リーザスの名において命じます

  どれだけ時間がかかってもかまいません、先のリーザス侵攻の雪辱をはたしなさい

  雪辱を果たすまでの間、軍務に関してはバレス、ランスの両名に全権を委任します」

 「御下命承りました、必ずやヘルマン軍を打ち崩して見せます」

 女王としての尊厳に溢れたリアの命令に、ランスは正式な礼をとった上でその命を受けた

 その後、リアが立ち上がるように指示し、ランスが立ち上がり、軍議が続こうとした時に


 「報告します!!川中島より全土に向けて放送が流れております」

 伝達兵が、酷く焦った様子でそう報告した

 「放送など後で確認できます、下がりなさい」

 マリスが、そう言って伝達兵を返そうとしたが・・・・

 「いえ、その放送は・・・ランス将軍を討てという放送なのです!!」

 「なっ!!」

 伝達兵の言葉に、その場にいた全員の表情が驚愕に染まった

 川中島とは、大陸全土の共通の宗教と言えるAL教の聖地であり、法王ムーララルーがいる場所である

 そんな場所からの放送なので、全員が宗教がらみかと思っていたのだ

 「その放送を記録したラレラレ石はここにあります」

 伝達兵がそういいながら出したラレラレ石を受け取り、ランスはラレラレ石を再生した

 再生して直ぐに写ったのは、法王であるムーララルーの姿であった・・・


 「偉大なる女神、Alice様を崇拝する同胞達よ、今日は重大な報告がある

  つい先ほど、Alice様から神託が下ったのだ、Alice様は私に向かってこう言った

 『リーザスに住まうランス・プロヴァンスが世の理に背き、魔王の力を得ようとし

  さらに先代魔王であるジルを禁断の秘法を使って復活させたのだ

  私は干渉を許されておらぬ為、ランス・プロヴァンスを討つ事は出来ぬ

  そこで、そなたら人間の手で、魔王になろうとしている愚かな物を討て』と

  Alice様が仰るには、愚者ランスはまだ魔王にはなっておらぬ上に

  先代の魔王であるジルも、人の肉体で、力もろくにないそうだ

  偉大なるAlice様を崇拝する、同胞達よ、今こそ立つべき時だ!!

  神に背く愚か者を、我らの手で裁き、愚かな魂を邪悪な欲望から解放してやるのだ!!」


     バキッッツ 

 ラレラレ石は、そこまで放送するととまり、それと同時にジルがラレラレ石を粉砕していた

 「・・・傀儡が・・・踊らされている事も分かっておらぬとは・・・」

 ジルは冷たい声で、そう呟き、また、ランスの傍に戻っていった

 「・・・・全将軍を集めてくれ、緊急軍議だ」

 ランスは、深く瞑っていた目を開くと、伝達兵にそう伝えた

 伝達兵は、その報告を聞いた瞬間即座にその場から立ち去った


 それから一時間後、ちょうど現状報告のため赤、白の両将軍が戻っていた事もあり

 リーザス城謁見の間に、黒、緑、白、赤、青、魔法軍の全将軍が集合した

 集まった将軍達を一通り見渡すと、ランスがゆっくりと口を開いた

 「皆、今回の招集の理由はもう分かっていると思うが・・・・

  先ほどの放送によって、俺が全土のAL教徒に狙われる事になった

  これに対して、皆の意見を聞かせてほしい」

 「意見・・・?何悠長な事を言ってるのよ、さっさとあのムーララルーっていう馬鹿を倒しちゃえばいいじゃない!!」

 ランスの言葉に、一番最初に反応したのは魔想志津香だった

 「倒すって言っても・・・相手はAL教の法王だよ?

  下手に手を出したら逆に状況が悪化するとおもうんだけど・・・」

 志津香に続いて意見を言ったのは、志津香の親友であるマリア・カスタードであり

 マリアが意見を言った後、一斉に各将軍達が自分達の意見を言い始めた

 「確かに、マリア殿の言うとおりでしょうな

  AL教は大陸全土に広がっているのですから

  今、川中島を攻めれば世界を敵に回すに等しくなるでしょう」(コルドバ)

 「それではランス将軍を見殺しにしろとでも言うのですか?」(キンケード)

 「そ・・・そんな、見殺しだなんて・・・・」(シィル)

 「そこまで両極端に走らなくてもいいのでは?

  AL教の信者の方がどこまで信じているかも不明ですし・・・」(メルフェイス)

 「確かに、今回の神託は余りにも急で、露骨過ぎますしね

  狂信的な信者で無い限りはそう大規模には動かないでしょう

  それに・・・何か裏がある可能性が高そうですしね・・・」(エクス)

 「裏?リーザスに喧嘩を売ることでなにか川中島に得となる事があるとでも?」(ハウレーン)

 「いや、川中島とは限らんぞ、ヘルマンやゼスがリーザスの国力低下を狙っているやもしれん」(バレス)

 「爺ぃ〜おなかがすいたろ〜」アスカ
 「今は会議中じゃ、我慢せい」チャカ

 「確かに、特にヘルマンはリーザスに策を潰された恨みもありそうですしね」(リック)

 「でも・・・どこか変です、ヘルマンやゼスがそれを狙ったとしても・・・

  肝心の川中島に、得となる事が一切ありません・・・・

  むしろ・・・川中島は大きなリスクしか負いませんし・・・

  もしかしたら・・・ヘルマンやゼスとは違う、何かが動いているかも・・・」(アールコート)

 「ヘルマンやゼス以外って・・・魔人が動かしたとか?」(メナド)

 「魔人だったら直接攻め込んでこないかしら?

  でも、アールコート将軍が言うとおりだったら・・・一体誰が・・・」(レイラ)

 「・・・・・・ルドラサウム、いえ、ルドラサウムの配下よ」(ジル)

 ジルがそう言うと、今まで話し続けていた全将軍がジルの方を向いた

 「マスターが自分が想定した以上にイレギュラーを起こし続けたからでしょうね・・・

  自分の手は汚さず、相手を消そうとする・・・あいつの常套手段よ」

 「ジルは・・・そいつに心当たりがあるのか?」

 ランスが、将軍達の意見を代表して言うと、ジルは静かに頷いた

 「えぇ、カオスも心当たりがあると思うわよ」

 「本当か、カオス?」

 ジルの言葉と同時に、ランスは腰に刺した剣状態のカオスを自分の正面にもって行き尋ねる

 「おぅ・・・胸糞悪い手段じゃが、あやつならジルの言うとおりに使うじゃろうな」

 カオスがそう言うと、ランスは、僅かに頷くと、決意を目に宿し、口を開いた

 「真相がどうであれ、もうこの放送は全土に流れてしまっている

  俺がこのままリーザスで将軍をすれば、リーザス自体が標的になるだろう

  だから俺は、しばらくの間野に下ろうと思う」

 ランスがそう言うと、全将軍が驚愕と困惑の表情でランスを見るが、ランスはそれを無視して言葉を続けた

 「俺が野にくだれば、リーザスを攻撃する理由が完全に無くなる

  さらに、リーザス軍が俺を脱走者か反逆者としてでも扱ってくれれば

  リーザス国内のAL教信者の行動は完全になくなるはずだ」

 「・・・・言いたい事は分かりますが、ランス将軍は野に下った後如何するおつもりですか?」

 「・・・素性を隠した上で、ヘルマンに向かおうと思う・・・・

  上手く旅人として紛れ込めれば、内部から撹乱できる機会も出来るかもしれない

  もちろん、今回の騒動が収まったらリーザス軍に復帰しますよ」

 ランスはそう言うと、リアのほうを向いた

 「リア様、しばしの間軍務よりはなれる事、どうかご容赦願います

  しかしこれもリーザスの為、二心はございません」

 ランスはそう言いながら、リアに向かって座礼を行った

 「・・・・将軍の国を思う気持ち、有難く思います

  特別にそこにいるジルと魔剣カオスを旅に連れて行くことを許可します

  しかし、明後日より軍籍より外しますので、リーザス軍に関するものは全て置いて行く様に」

 リアの、一見非情にも見える言葉に、将軍達は不信の目を向けようとしたが

 リアが、手で、自分の目を覆い、さらに、その覆った部分から涙が流れている様子を見て

 この命を下す上で、一番辛いのはリアだと感じ、不信を抱いた自分を恥じた

 「承知しました、本日深夜、リーザス城から出ますので・・・・」

 「マリス、今日は宴会を開きましょう、兵達の慰安の為に」

 「承知しました、その代わりに深夜の警護兵が減ってしまいますがよろしいですか?」

 「構いません、慰安なのですから、必要最小限の兵以外は休ませてあげなさい」

 ランスの言葉を遮る形で、リアはマリスに命令を出し、マリスも、リアの真意を悟り、その命を受けた

 ランスは、そんな二人の様子を見て、深く一礼をすると、謁見の間から出て行った

 ランスが出て行った後、他の将軍達もリアに一礼をし、順番に謁見の間から出て行った

 そして、全将軍が出て行った後・・・・

 「ねぇ・・・マリス・・・これで・・・良かったんだよね・・・?」

 「はい、ご立派でした・・・リア様・・・」

 溢れ出る涙を拭う事もせず、天井を見続けるリアと、リアの傍に居続けるマリスの姿があった


 ランスは、言ったとおり、その日の深夜にジルとカオスを持ってリーザス城から離れていった

 そのランスの服装は、カスタムに単独で調査に行ったときの格好であった

 ただその時と違うのは、その時は黒い鎧だったのが、今の鎧は、緑色だった

 「それじゃ・・・いくか」

 「マスターの望むとおりに・・・・」

 「やれやれ、厄介な旅になりそうじゃな」

 リーザス城最後の門の前で、ランスはリーザス城を一瞥し、先へと進み始めた・・・


 ランスが旅立つのとほぼ同時刻、異空間で、ある存在が話をしていた・・・

 「クスクスクス・・・ねぇ、プランナー、誰がいつこんな干渉していいって言ったっけ?」

 巨大な、途轍もなく巨大な存在が、自分の目の前にいる人間の姿をした存在、プランナーに話しかける

 「で・・・ですが、あれ以上イレギュラーを見逃せばシナリオが完全に・・・」

 「僕は楽しい事になりそうだから放っておけって言ったよね?

  それとも、プランナーはそんなに消えたいのかなぁ?」

 巨大な存在のその言葉に、プランナーは即座に土下座した

 「も、申し訳ございませんルドラサウム様」

 「クスクスクス・・・まぁ今回はいいけど・・・・

  次にこんなことしたら、消すよ?」

 巨大な存在、ルドラサウムの言葉に、プランナーは必死に頷いた

 それを見たルドラサウムは、大きな泉のような物に目を移した

 そこには、旅立って行こうとするランスたちが写っていた・・・・

 「クスクスクス・・・声が聞こえないのは残念だけど・・・

  まさか飽きて壊そうと思った矢先にこんなに面白い事があるなんてね・・・

  今迄で一番のイレギュラーのランス君、君はどこまで僕を楽しませてくれるかな・・・?」

 ルドラサウムは、まるで無邪気な子供のような感覚でランス達を見ていた・・・


 人間からすれば、余りにも強大すぎる存在の干渉、それによって動き出した戦乱の炎

 この争いが集結するには・・・やはりルドラサウムを討つしかないのだろうか?

 終局へと向かいつつある、大陸の運命・・・・

 この物語が終わる時に、勝者となるのは果たして誰なのだろうか・・・?

 創造神いわれる存在であるルドラサウムですら、勝者が誰かは知りえなかった・・・・


 あとがき

今回もインターミッションですので軽く流してください(ぇ
次回、多分熱血正義馬鹿がでるかもしれません(ぉぃ
まぁ、流石に更新ラッシュも今回が限界だと思われますので・・・
次回以降は、ゆっくりとお待ちください〜

PS:前回レスで三人紹介したので今回もレス返しでキャラ紹介しますw
   現在ジル、ランス、マリスの詳細を報告し終えています
   希望のキャラがいる方はレスにどうぞw

 4/05 23:52分 飛燕さん指摘部分を修正 睡眠後にレス返し予定(ぉぃ
 4/06 8:39分 おきたての頭で十六式さんの指摘部分を修正

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