黒い種 キラ君奮闘?物語
第7話 黒より強し恋する乙女 (前編)
ユニウス・セブンで補給を済ませてから4日。
地球軍強襲機動特装艦アークエンジェルは、
非常に和やかな雰囲気のもと宇宙を航行していた。
「平和ってのはいいねぇ〜。なぁ?」
「ええ、本当ね」
「まったくです」
戦艦のブリッジとはとても思えないような声を出して会話している3人。
アークエンジェル艦長、マリュー・ラミアス。
アークエンジェル副長、ナタル・バジルール。
そしてエンデュミオンの馬鹿 ・・・もとい鷹の異名を持つエースパイロット、ムウ・ラ・フラガ。
この艦に乗って以来ずっと胃薬の世話になっていたこの3人だが、ここ数日は妙にリラックスしていた。
「あの嬢ちゃんたちには感謝だな」
「本当にそうですね」
「不本意ではありますが、認めざるをえないでしょう」
3人が言っているのは保護することとなった2人の少女。
ラクスとルナマリアである。
では何故彼女たちに感謝なのか?
それは簡単。
彼女たちによって、『黒き帝王』が降臨しなくなったからであった!
AM 6:30
「うわあぁぁぁぁ!!!」
『黒き帝王』ことキラ・ヤマト。
朝の目覚め、それはここ数日でお馴染みとなった叫びから始まる。
「な、な、な、な・・・・・・」
布団から跳ね起きるキラ。
寝起きということも手伝って上手く口が回らないようだ。
「キラ様、おはようございます♪」
そんなキラが跳ね起きた布団から顔を出すもう1人の人物。
パジャマを着てニッコリと微笑んでいるラクスがいた。
・・・なんでパジャマなんか持ってるの? なんて突っ込みは無用です。
「ら、ら、らく、らく・・・」
「はい、ラクスですわ♪」
そう言ってキラにしなだれかかるラクス。
その行動がますます彼を混乱させる。
「な、なん、何で、君が、僕の部屋に・・・」
何とかそれだけを口にするキラ。
そんなキラにうふふっと笑いかけるラクス。
「決まってますわ。昨晩キラ様と一緒に寝たからですわ♪」
そう言ってさらに強くキラに抱きつくラクス。
生地が薄いのか、ラクスの肌の感触がダイレクトに伝わる。
「ら、ラクスさん! そんな! 一緒にって!」
こういう事態に慣れていないのだろうか、動揺するキラ。
そして止めともいえる必殺の一撃が・・・
「キラ様ったら激しいんですから(//////)」
「!!!!!!!!」
ポッと頬を染めたラクスの言葉にフリーズするキラ。
完全に固まってしまっている。
それをいいことにさらにキラに密着するラクス。
とそこへ、
「ラクス様! 一体何をしておられるのですか!」
怒りの感情を露にしているルナアリアがやってきた。
「あら、おはようございます。ルナマリアさん」
「おはようじゃありません! どうしてラクス様がキラ君の部屋にいるんですか!!」
「だって、キラ様におはようって言いたかったんですもの」
「勝手な行動を取られては困ります! 私の任務は貴女の護衛なのですよ!?」
ラクスに詰め寄り、怒鳴りつけるルナマリア。
まあ彼女が怒っているのも無理は無い。
彼女は慰霊のためにユニウス・セブンへと赴くラクスの身辺警護が任務であった。
そのためには常にラクスのそばにいなければならないのだ。
と言うのは建前で・・・
「大体なんでラクス様がキラ君に抱きついているんですか!?
朝の挨拶をするだけならそんな事しなくてもいいじゃないですか!!」
「だって・・・」
「だってじゃありません! ともかく離れてください!!
これ以上そんな羨ましい事させません!!!」
そのままラクスの腕を掴んで強引にキラから引き離すルナマリア。
ようするに嫉妬の炎が燃え上がっているのだ。
そんなルナマリアの剣幕に、ラクスはため息をついた。
「・・・わかりましたわ。それじゃあキラ様、またあとでお会いしましょうね」
「まったく・・・それじゃあね、キラ君(//////)」
そのまま部屋を後にする2人。
残されたキラが再起動したのは、それから20分後のことだった。
AM 7:30
「・・・・・・」
無事に再起動を果たしたキラ・ヤマト。
彼は朝食を取るために食堂にやってきていた。
そして、そこで目にした光景に言葉を失くしていた。
「あ、キラ♪」
「キラ、おはよう♪」
食堂へとやってきたキラを出迎えたのは、
絶対に軍艦の中には存在しないであろう新婚の新妻がつけるようなフリフリエプロン を身につけた2人の美少女。
フレイ・アルスターとミリアリア・ハウがいた。
「・・・・・なるほど」
この瞬間キラは理解した。
食堂近くの廊下に転がっていた大量の簀巻きが一体なんだったのかを・・・
と言ってもキラは別に驚いてはいないのだが。
「キラ、そんなところに立ってないで座ってよ♪」
「キラのためにおいしい朝ごはん作ったんだから♪」
そう言って2人がキラの手をとり、テーブルに座らせる。
そして厨房へと入り、湯気の立ち上る皿を抱えて戻ってきた。
「・・・ありがとう、2人とも」
2人に対し笑顔を浮かべるキラ。
(勘弁して欲しいよ、ホント)
などと思っているとはとても思えない。
こんな恵まれて状況でなんて野郎だ!! などという意見もございましょう。
しかし考えてください。
皿の上の料理が何やら得体の知れない何かだったら 。
その料理から紫色の煙 が上がっていたら。
そして、厨房のところどころにまるで爆発 でもあったかのような大穴 が出来ていたら。
「さぁキラ、召し上がれ♪」
「私が食べさせてあげるわ♪」
キラの前に皿を置き、その何かをスプーンですくうフレイ。
そしてそれをキラの口元へと運び、
「はい、あ〜ん(//////)」
顔を真っ赤にさせ、フリフリエプロンを着た美少女に食べさせてもらえるなど何たる幸福。
キラもそんな2人に応えるべく口をあけ、
「あ〜ん・・・もぐもぐ・・・!!!!!!!!!」
「「どう、おいしい?」」
「・・・・・・うん、おいしいよ」
一瞬顔が苦痛で歪みかけたが何とか堪え、
先ほどと同じ笑顔で答えるキラ。
女子にはとても優しい彼の意地であった。
だが、その言葉はこの状況ではマズすぎた。
「ホント!? よかった〜」
「キラに喜んでもらえて嬉しいわ!!」
満面の笑みを浮かべる2人。そして、
「じゃあ今度は私ね、はい、あ〜ん(////// )」
今度はミリアリアがキラの口にスプーンを運ぶ。
結局、キラの食事が終了したのはそれから40分後。
ちなみに、30分を経過した時点でキラの意識は無かったそうな
・・・
何故こんなことになっているのか。
それは4日前のこと・・・
「へぇ〜、そうなのですか?」
「うん、それで・・・」
「・・・なるほどね」
「それから・・・なんてことが」
アークエンジェルのとある一室。
4人の少女が和気藹々と談笑している。
勿論フレイ、ミリアリア、ラクス、ルナマリアの4人である。
キラの説得? で捕虜にされないことになったラクスとルナマリア。
格納庫を出たあと、キラによって連れて来られたのがここ、フレイとミリアリアに割り当てられている部屋であった。
彼女たち2人も今後はこの部屋で生活することになったのだ。
「でも、やっぱり・・・」
「そうかな〜?」
「私はやっぱり・・・」
「う〜ん、でもね・・・」
自己紹介を済ませてもう既に1時間。
この調子でずっと話し続けている。
よく話題が尽きないものだと言いたいところだが・・・
「だからキラってね・・・」
話題の中心は4人共通の想い人、キラ・ヤマトのことだった。
「ところで、お二人はキラ様の恋人なのですか?」
その話の中、ラクスがフレイとミリアリアにそう尋ねた。
これが悲劇の始まりだった。
「えっと・・・恋人って訳じゃないのよね」
「そう・・・友達以上恋人未満って所かな?」
「まあ、そうなんですか?」
2人の答えにとても嬉しそうなラクス。そして、
「ならば私は、キラ様の恋人になりますわ!」
「「「ええっ!!!」」」
ラクスの宣言に驚く3人。
特にルナマリアは、
「何をおしゃるんですかラクス様! あなたには婚約者が・・・」
「構いません。アスランだってきっとわかってくださいます。
私はキラ様のお側にいたいのです」
「ラクス様・・・」
普段は見せないラクスの真剣な表情に、それ以上言葉をかけられないルナマリア。
さらにラクスは続ける。
「でも皆さんもそれは同じでしょう? そこで私考えましたの」
そう言って、ラクスはとある提案をした。
その提案とは・・・後編に続く。
あとがき
お久しぶりの投稿です。
つ、疲れた・・・
平均睡眠時間2時間で集中しっぱなしはキツイっす。
何だかよくわからない文運びになっておりますが、後編に続きます。
ラクスの提案とは? キラ君の一日はどうなっているのか? などなど
グダグダでごめんなさい。
メールアドレスを入れております。
レスに書けないような厳しいご意見もお待ちしておりますので、
メールのほうでもご意見お待ちしております。
今回も個別のレス返しは無しとさせていただきます。
ですが一言だけ。
やっぱりご都合主義でしょう