シン・アスカ。
オーブのIDを持つコーディネイター。
つい先日起きた「オーブ解放戦線」という一方的な戦争で家族を全て失う。
まあ、書類上はそうなってるんですよ。
でも、実際俺の精神?て言うものは、オオタカ・シンヤというもので、こっち側で言うところのナチュラルなんだが。
……俺の運命はどうなるんだろう?
シン君の目指せ主人公奮闘記!! その2
「はぁ〜〜〜〜〜」
俺の口からは大きなため息が出た。
俺がシン・アスカとなってからもう五日ほど経った。
どうやらこの世界は本物らしい。だって、飯を食うことが出来て、出すものも出せるんだからリアルでしょう?
俺はオオタカ・シンヤからシン・アスカという存在になってしまったようだ。
うわ。うそくせ〜〜〜。
俺が当事者じゃなかったらそんな事を言うやつ病院に放り込むぞ。
でも、いざ自分がそうなったら………白い部屋には行きたくね〜!!!
……この世界にあるかどうかは知らんが。
まあ、あれだ。ドキがムネムネするほど大ピンチですよ。
主に俺の精神が。
で、今俺がどういう場所でうつ状態になっているかと言うと、プラント行きのシャトルのトイレでだ。
いや、ここぐらいしか一人になれる場所がなかったんだよ。今まで。
据え置きの鏡に映る姿は、俺がテレビの画面で見ていた赤い目のシン・アスカ少年。服装はちゃんと総集編でも見たように喪服姿だ。
ただ違うところがあるとすれば、俺の頭部を包帯が痛々しく巻いてあるっていうところだろう。
これは、俺の知っている状況とは異なる点だ。
テレビでは心神喪失以外、シン・アスカ少年は外傷を負っていなかったはずなのだが。
……あんな爆風に飛ばされたくせに。
で、どうして俺がこの世界にいるかというと、この怪我が原因ではないかと思うんだけど、どうよ?
仮説を立てると、俺のいた世界で俺は死にかけて、魂が肉体から離れた。
で、同時刻にこちらの世界のシン・アスカ少年も頭部損傷により魂が肉体から飛んでいった?
で、どういうわけだか、俺はこっちの世界に迷い込んでしまった、って事か?
いわゆる、平行世界、それとも異世界と言うやつなのか?
おいおい。海外未経験でいきなり異世界で宇宙ですか。
で、俺の奇行(いや、全うな反応だと思うんだけど)はこの頭部の傷によるものだと思われたみたいで、トダカ一佐指示の元、避難船の中の医務室で軽く検査、その後、避難先の港付近の病院に検査入院で三日間ほど放り込まれたりしたんだな〜。
で、なんか知らないがICU(集中治療室)に放り込まれていたために、一人で思い悩む暇がなったんだよな〜。
因みに、入院費など全てトダカ一佐が立て替えておいてくれた。
全額負担する、といってくれたんだがそれは彼がオーブの軍人で、俺が、いやシン・アスカ少年がオーブの民だからなんだろう。
もしそうならば、俺はその好意を受け取る資格はない。
俺は異邦人なんだから。信じられないことに。
でも、まあ、無い袖は触れないのでお金をいくらか借りることにしたんだけど。
うわ、この年で借金持ちだよ。日本円で二十数万かな?
まあ、いつかちゃんと返すと約束をしたし、トダカ一佐の連絡先も一応聞いておいたので、無問題?
で、今の地球の政変ではコーディネイターの命は危険だろう、と言うことでプラントへ難民として渡ることになった。
この手続きで一日がまたつぶれてしまって、考える時間が取れなかったんだよな〜。
まあ、難民専用のシャトルは無料、って言う話だからしょうがないと言えばしょうがないよな。
でも、身元保証人にまでなってくれるなんて、トダカ一佐、あなたに俺的「男前ポイント」十五点進呈だ。
このポイントが千点たまれば、俺的「漢の中の漢(キング・オブ・アニキ)」に認定だ。がんばってくれ。
で、話を戻すと、今俺はやっと一人になれることが出来たので、現状を再確認して、この状況を打破する手段を考えていたわけなんだが。
結論、無理に決まってるでしょうが!!!
異世界(この場合は元俺がいた世界)に魂で帰るなんて!!!!
俺はごく普通の高校生だったのよ!!
漫画の世界の主人公みたいに変な特殊能力なんて持ってません!!!
霊力や魔力、精霊魔術なんてものは使えない、ちょっと格闘技を習っていた程度のただの人間なんですよ!!
無理無理無理無理!!
あ〜、萎えた。果てしなく萎えた。
じゃあ、なにか?
俺は、このシン・アスカ少年としてこれからは生きていかねばならないと?
ファイナルアンサー?
(ファイナルアンサーです)
(ま〜、諦めたほうがエエで〜。キーやんてちょっと大人気ないとこあるかんな〜)
(何を言ってるんですかサッちゃん。これが彼の運命なんですよ。別に、人の誕生日をぶち壊してくれた仕返しなんていう気持ちはこれっぽっちも無いんですから)
…………
マテや!!!
なに?なになに?今の声!!!
もう一回プリーズ!!
というか、幻聴だったら聞こえるな!!
(失礼な。幻聴なわけないじゃないですか。まあ、がんばってくださいね。シン・アスカ君)
(まあ、がんばり〜や〜。あ、ちなみにその体にもともとあった魂はもうレテ川をわたっとるから、気にする必要あらへんで〜。ほな、きばりいや〜)
……神は死んだ!!!!
もう、絶対宗教関係を祝うことはしてやんね〜!!
というか、誰?!あんたち!!
次に俺が正気になった時には、いつの間にかプラントの土を踏んでいた。
無意識にちゃんと入管パスした自分に敬礼!!
というか、なんか、神様っぽいもの?にこれが俺の運命、と言われてしまった。
あれか?宗教家にでもなれと?
……絶対なってやんねえ!!!
まあ、とりあえず、行政府と言うところに行って、プラントの市民として登録してもらわないとな。
そうしないと何も出来ないだろうし。
う〜ん。やっぱり、順当なところでアカデミーに入学するのがベストかな?
シン・アスカ本人には何か特技があったかもしれないが、俺は身体を動かす以外に何も特技らしいものが無いからな〜。
とりあえず、聞いた話だと軍は飯と資格を手に入れる環境には困らないらしいから、そうするかな?
紅服が着れないかもしれないが、それはそれで仕方が無いだろうし。
まあ、今俺に必要なのは復習する力じゃなくて、明日を生きる力だからな。
「じゃあ、とっとと行くか!!」
俺の新しい地での成功を示すかのように、空は晴れ渡っていた。
……コロニーだから晴れていて当たり前、と言う人は嫌いです。
うぐぅ〜
―後書き―
さっきも言いましたが、やっぱり電波です。
なんか、さらさらと書けました。
もう、大変です。
これ、続けていってオッケー?
あ、また電波が・・・・・