「あれ、アカツキ“課長”なんでお前がこんなとこにいるんだ?」
結局、“変身して欲しい時は後で『ルリちゃんに戻してもらう』”という人によってはとてつもなくおいしい条件で説得し、ミナトさんにキスしてもらって元の姿に戻ったアキトは、アキラ(黒アキト)を連れてナデシコに戻ると、彼を連れて、二人艦内を歩いて見て回っていた。そして、廊下を通ったとき、知り合いのロンゲ男の姿をみつけたのである。話しかけられたロンゲ男は、アカツキはアキトの言葉に慌てる。
「テ、テンカワ君、そういう事、あまり大きな声で言わないでくれないかなあ。一応、僕は兄さんの命令でお忍びで乗ってるんだから。それと・・・・あまり、課長って強調して言わないでくれないかい?」
そう歯を光らせて言う。その言葉を聞いてアキラは不思議そうな顔をした。
「アキト、こいつは会長じゃないのか?それに兄さんって・・・。」
「ああ、アキラの世界じゃあ、まだ会長だったのか。こいつも元は会長だったんだが、親父がネルガルに提供してやった変身ベルト使って、リアル正義の味方ごっこやっちゃってさあ。調子に乗って、自社の研究までぶっ潰しちまったんだよ。その所為で事故で植物状態だったのが親父の手術で復活したこいつの兄貴に会長取られて、一気に課長まで降格させられちゃったんだよ。」
グサッ
その説明を受けて、アカツキの方からそんな擬音が聞こえて気がした。
だが、それに対してアキトは今度はフォローを入れる。
「もっとも、こいつは元々会長職みたいな責任ある立場はあんまり好きじゃなかったみたいだしな。それにあんな研究ほっといたら俺と親父に今度こそネルガルぶっ潰されてたかもしれないから、わざと泥を被ったんじゃないかと俺は思ってるだけどな。」
「ははは、僕はそんなんじゃないって言っただろ。正義の味方ごっこだって、単なるストレス発散のつもりだったんだよ。それだって、今じゃあ、幼稚な事をしたと後悔してるんだから。」
そう言って笑うアカツキを見て、この世界のアカツキもやっぱりアカツキなのだとアキラは思う。その偽悪ぶる姿はそっくりだと思った。
「けど、どっちにしろ秘書だったエリナさんに捨てられたのは計算外だったよな。」
グサッ
先ほどよりも大きな擬音。そして、胸を押さえ、壁に手をつくアカツキの姿があった。
「婚約までしてたのに解消されちまったんだもんな。おまけに、向こうから解消してきたのに何故か婚約不履行の慰謝料まで請求されて。」
グサッ、グサッ、グサッ
今度は3回連続で響き渡る。あまりの憐れさにアキラが慰めようとした時だった。
トテトテトテ
そんな足音と共に桃色の髪の小さな女の子が現れた。そしてアキトに向かって言う。
「パパをイジメナイデ。」
「ははは、ごめん、ごめん、ラピスちゃん。」
アキトはその子に笑いながら頭を下げる。だが、アキラの方は驚きの表情を浮かべた。
「アキト、その子は!?」
「んっ、ああ、この子は何か人体実験されてたのをアカツキが助けてそのまま養子にしたらしい。」
そう言って、その後に、アカツキ降格の原因になった件だよ、っと付け加える。
それに対し、アキラは“そうか”、っとだけ頷いた。
「ところで、さっきから気になってたんだが、その後ろの黒い人は誰だい?アキラっていう名前だってのは君の言葉からわかったが、名前も顔も随分君と似てるけど、何か君と関係があるのかい? 君に兄弟はいなかったと思ったけど。」
そこで、アカツキがアキラの事について尋ねてきた。口調は軽いが目つきは鋭い。それに対してアキトは笑ったまま答える。
「ああ、こいつはテンカワアキラ、最近養子縁組を結んだ俺の義兄だよ。このナデシコにはパイロットとして乗る事になったから。プロスさんに話は通してあるよ。」
「ふうん。」
アカツキは疑り深し気に頷く。その時、ナデシコに警戒警報が鳴り響いた。
「敵襲か!?」
アキラが叫ぶ。そしてそれは予想通りだった。
艦内放送を聞いて格納庫へと走り出そうとする3人の男達。
だがそれを引き止めるものがあった。
「マッテ。」
ラピスだった。そして、彼女は言った。
「ワタシガイクカラ。」
その言葉に驚くアキトとアキラ。無理だ、っと言って説得しようとするアキラ。だが、ラピスは笑っていった。
「ダイジョウブ。」
そう言って何かを取り出す。それはステッキだった。よく、TVの魔法少女が持っているようなステッキ。それを見て、アキトとアキラの頭には“まさか”っと言った考えが過ぎり、アカツキは何やら遠い目をしている。
そして、ラピスはステッキを振りながら何やら呪文のようなものを唱え始めた。
「ルリルリラピッチ、ルーリルリ、ラピラピラピッチ、ラ−ピラピ、ピピット、パピット、ピポパ」
そして、ステッキを天にかざす、その瞬間、彼女の体が光に包まれる。“お約束“どおりその姿が一瞬、裸になるが、光に包まれてみえない。(残念!!)
そして、6歳位だったラピスの姿はピンク色のフリフリな服を着た12歳位の少女の姿になったのだ!!
「私に任せて!マジカルワープ!!」
口調がいきなりしっかりとしたものに変わり、光に包まれ彼女の姿が消える。
そして、彼女はナデシコのあるドッグの上に現れた。その空には多数の無人兵器が。
ちなみにマジカルワープとは言ってるものの実際は魔法ではなく、単なるボソンジャンプである。
「続いていくわよ!! マジカルボーム!!」
ステッキを天にかざす。するとその途端、敵が次々と爆発し始めた。ちなみにマジカルボムとは言ってるものの実際は魔法ではなく、単なるボソン砲である。
「・・・・・・何ていうか。」
「シュールな光景だな。」
その一部始終をモニターを通して見ていたアキトとアキラが呟く。
そして、アカツキの方を見て言った。
「なあ、あれって・・・・。」
「ご想像の通りだよ。君等の両親の最高傑作らしい・・・・・・。」
疲れた声で頷くアカツキ。それに対し、二人はそうかとだけ答えた。
「マジカルマスコット!!」
その言葉と共に、無人兵器が寄り集まって、巨大なクマのぬいぐるみの如き姿に変わった。
これは空に大量のナノマシンを散布し、機械の形性質を作り変えてしまったので。そして、それは次々と残りの無人兵器を食べ始めた。
それは、ゲームとかアニメではありそうだが実際にやられると何というか、シュールというか、ブラックジョークというかそんな光景だった。数分後、全ての敵はいなくなった。
「魔法少女、プリティーモモにお任せだよ♪」
そして最後に彼女は決めポーズを取った。
「ふふふ、あのルリって子いいわね。ラピスちゃんと二人で。」
その頃、アキト母はそんな事を呟きながら190年程前に放送されたある作品のDVDを見ていた。その作品のタイトルは
『ふたりはプリ○ュア』
(後書き)
久しぶりの更新の所為かどうもキレが悪いです。
遅くなりましたがレス返しです
>無謀の仮面さん
今回でアキトが幸運になっちゃってますねえ。何とかしないと(笑)
>ATK51さん
アカツキだしました!!
>柳野雫さん
うーむ、アキトが幸運になりつつ
>hiroさん
ふもっふ、恐るべしです(笑)
>アンスリウムさん
ドラゴンボールは遺跡が平行世界のどこかから取り寄せました。