「ふもっふー!!(親父ー!お袋ー!)」
「あら、アキト帰ってきたの?早かったわね。」
「ああ、お帰り、アキト。んっ、その姿は第2形態か。」
「ふもっふ(あ、うん、ただいま・・・・)ふも!!(じゃ、無くて!!)」
俺は元の姿に戻る方法が無いかどうかを聞くために休暇を貰い、両親の元を訪れた。ちなみにすっかり俺から離れようとしないルリちゃんと心配してついてきてくれたミナトさんも一緒だ。
「あら、後ろの二人はもしかして恋人?駄目よ、アキト、二股なんて。若い時からそんな事してるとアキタカさんみたいになっちゃうから。」
「ふも、ふもっふ?(二人はそんなんじゃない。それより・・・、って、いうか、親父、お袋、俺の言う事わかってるのか?)」
考えてみれば俺は今、ふもっふとしかしゃべれないのだと気付く。
だが、二人はあっさり頷いた。
「おう、わかってるぞ。」
「ええ、わかってるわよ。」
・・・深くは考えまい。それより、言葉が通じるのなら話は早い。
「ふもっふ!?(俺を元の姿に戻す方法はないのか!?)」
「ええ、無いわよ。」
「変身したら元には戻れんかもしれんと言っておいただろう。」
「ふもー!!(ガ−ン!!)」
あっさり返された答えに俺は雷が落ちたようなショックを受ける。
「アキト君、元気出して・・・。」
「テンカワさん、元気出してください!!それよりもむしろずっとその姿でいてください!!」
そんな俺を慰めようとしてくれうミナトさんとルリちゃん。
いや、ルリちゃんはちょっと違うかもしれんが。
だが、そんな俺達を見てニコニコした顔で両親は言った。
「「冗談だけどな(ね)。」」
「ふもっふ!!(冗談かい!!)」「冗談ですか!!」
俺とミナトさんはそろって突っ込みを入れた。
「ふもっふ(それで、俺はどうすれば人間の姿に戻れるんだー!!)」
「まあ、落ち着きなさい。それよりも、まず、紹介したい人がいるから。」
気を取り直して尋ねるとお袋はそう言ってきた。
紹介したい人?
だれだろうと思っていると、中から黒いカッターシャツを着てとジーンズをはいた男がでてくる。
むっ、だが、普通のカッターシャツに見えるがあれは防刃繊維で編みこまれてるし、ジーンズの方も親父が作った象が踏んでも破れないという特別製だな。・・・・・まあ、普通のジーンズでも象踏んだって別に破れたりはしないと思うが。ぼろくはなるかもしれんけど。
「何か、アキト君に似てない?」
「そうですね。人間だった頃のテンカワさんに似てます。」
その男を見て二人が俺に似てると言う。
言われて、注視してみると確かにどことなく、俺や親父に似ている気がした。
「アキト、あなたのお兄さんよ。」
そして、その男を紹介して、お袋はいきなりそんな事をのたまった。
「ふもっ?(はっ?)」
俺は呆気に取られながらも考えた。
男は、俺、そして親父にも似ている。つまり・・・・・・・。
「ふもっふ!?(親父の隠し子か!?)」
「違うわ!!」
叫んだ俺に変身した親父の突っ込みが入った。
で、親父の蹴りを喰らい、気絶した俺が目を覚まして話を聞いた所、何でもその男は平行世界の俺らしい。
「そういう訳で、彼は私達の新しい息子よ。名前は同じだと紛らわしいから“アキラ”で戸籍登録したわ。」
「へえー、そんな事があるのね。」
「驚きました。」
ボソンジャンプ自体について、そもそも知らぬ二人。
ミナトさんは感心したように、ルリちゃんは珍しく驚いた表情をして言う。
「ところで、お前は・・・・父さん達にねずみ?・・・・男に改造されたのか?」
そこで、今まで黙っていたアキラが口を開いた。
ねずみ・・の所で?がついたのは自信が無かったのだろう。
そして、お前“は”と言う事はもしかして、この男も・・・・・。
「ふもっふ(もしかして、お前も・・・)」
「いや、すまん、何を言ってるのかわからないんだが。」
どうやら、アキラには俺の言葉は通じないらしい。
そこで紙とペンを借りて文字に書く事にした。
《お前も親父に改造されたのか?》
「・・・ああ。死に掛けた俺の命を助ける為だったから、仕方の無い事ではあるんだがな。」
悲痛な顔で頷くアキラ。そこで、ふと、火星での事が思い出される。
《もしかして、あの、ゴキ・・ビリッツ
そこまで、書いた所で紙が破られた。そして、とても怖い顔で睨みつけられて言われた。
「言うな!!」
俺はコクコクと頷く。そして、言った、いや、書いた。
《お前も苦労してるんだな。》
「ああ。」
俺達の間に奇妙な友情が芽生えた。
「それで、アキトが元に戻る方法だけどね。女の子にキスしてもらえばいいのよ。」
「ふもっ!?(キス!?)」
とりあえず、俺がアキラと友情(兄弟?の絆)を確かめ合っていると、お袋がそう言ってきた。
「ああ、その通りだ。」
親父が頷く。何で、そんな方法で・・・・。
「ちなみに、なんで、その方法で戻れるかというと化け物の姿になってしまった人間が元の姿に戻るのは異性のキスと言うのがセオリーだからだ。」
「ふもっふ!!(ようするに、貴様等の趣味かい!!)」
俺は突っ込む。
変身した時の覚悟はなんだったのかと思う。
だが、お袋の次の言葉で俺は単なる笑い話ですまない事に気付いた。
「ちなみに肉親じゃあ、異性でも効果がないわ。後、動物もね。誰か、キスしてくれる人いる?」
「ふもっ・・・・・。」
そんな人は・・・・・いない。
そして、こんな姿では恋人などつくれないだろう。
じゃあ、俺は、一生このままなのか・・・・・・。
そう、落ち込みそうになったその時だった。
「アキト君、私でよかったらキスしてあげようか?」
「ふもっ!?(な、本気ですか!?)」
突然、ミナトさんがそう言ってきたのだ。
ミナトさんは照れたように僅かに顔を赤く染めて言う。
「アキト君のおかげで今まで、何度も助かったし、キスくらいならしてあげようかと思ってね。」
「ふ、ふもー(み、みなとさん)」
俺はその時、初めて、改造人間になってよかったー、っと思った。
だが、その時、俺とミナトさんの間にルリちゃんが突然割って入って叫んだ。
「駄目です!!ミナトさんがテンカワさんにキスしちゃだめです!!」
「ルリルリ・・・・。」
彼女は涙を流す。
それを困ったような顔でみるミナトさん。
ちなみにルリルリというのはルリちゃんのあだ名だ。
そして、ルリちゃんは涙声で言った。
「だって・・・・だって・・・・・・・そんな事したら、テンカワさんが元のかわいくないテンカワさんに戻っちゃいます!!」
・・・・・その場が凍った。酷いよ、ルリちゃん(泣)
「テンカワさん、元になんて戻らないでください!!その代わり、私が一生面倒みますから!!」
いや、面倒みられても(汗)
俺がどう答えていいのか、困っているとミナトさんが突然笑い出して言った。
「あははははは、もー、ルリルリったら。わかったわ。キスするのはやめてあげる。」
「ふ、ふもっ!!(そ、そんな!!)」
ミナトさんの発言にショックを受ける。
すると、彼女は俺にだけ聞こえるようにそっと耳打ちして言った。
「まあまあ、しばらくすればあの子だってわかってくれるわよ。キスはその時、してあげるから、それまでがまんしてね。」
「ふ、ふも(け、けど)」
「それとも、あの子の顔見てすぐ、人間に戻りたいなんて言える?」
見ると彼女はさっきまでとは打って変わったすがすがしいまでの笑顔になっていた。
「ふもっふ・・・(わかりました・・・・・)」
俺は頷くより他、無かった。そんな俺をみてアキラが呟くように言った。
「お前も苦労するな。」
その一言が色んな意味で身に染みた・・・・。
(後書き)
不幸な二人・・・・えっ? 見えないっすか?
次回はATK51さんのリクエストに答えて、アカツキでもだしてみましょうかねえ。エリナさんはどういう扱いにしましょうか・・・。あー、それからそろそろラピスでもだそうかな。後、未来からユリカとかルリを呼んでこようか思案中。(だしたら、壊すかもしれません。)
レス返しです。(3と4まとめて)
>ATK51さん
アクセルモードがあるので555の方が強いです。
>無謀の仮面さん
S2機関は内臓されてません。ATフィールドはエネルギー源は何でも出せるようなので(電気でもだせたし)
>ていんさん
ルリはともかくラピスはゴキブリに嫌悪感とか持ってないと思います。
>MAGIふぁさん
実は両手を床についてはいずるように動くのが一番移動速度が速かったり・・・・。
>アンスリウムさん
大丈夫じゃありませんでしたね(笑)
>柳野雫さん
>アキトの性転換
このネタはかなりメジャーですね。リンクサイトに一ジャンルとして登録されている位。アキトの性別がそのまま変わったり、マシンチルドレンの少女に憑依したりなど、バリエーションも多いです。
>hiroさん
残念ながらアキトは既に忘れ去れている。