外伝5 苦労人その名はネル・セルファー
「あんた達三人には二つの選択肢がある」
「ゴホ、ぐはっ!!」
びちゃ、びちゃ。
「おい和樹!!だから汚ねえよ服にかかったぞ」
「和樹そういうのはトイレでしろよな」
無茶を言うな。
トイレは牢屋の外だぞ、フェイトさん。
「一つはこのまま此処に残る……」
「おいいい加減やめろ!!靴の中にお前の血が染込んできたぞ」
だから無理だって。
「そうだよ和樹。おっさんはともかく僕にかけるのは勘弁」
胃が痛い。
誰かこの世界の悪意を止めてください。
むしろ僕の心友、この胃の痛みを殺してください。
<線が見えないから無理>
何だ今の幻聴は?
て言うか見えないの?線
「それとも私と一緒に……」
「おいフェイト!!俺はともかくってどういう意味だ!!!それと誰がおっさんだ!!俺の名は・・・」
おっさんが怒りを露にしながらフェイトに詰め寄る。
「分かった・・・おっさんにかけるよう努力する」
そう言っておっさんに向かって血を吐き続ける僕。
あ〜胃が痛い。
なんで死なないんだろう僕。
「あんたら良い加減こっちの話をきけえええええ!!!!!」
ずがががん!!!!
外にいた女性が額に思いっきり青筋を作りながらぼくっちに向かって短剣を投げつける。
僕はそれをしゃがんでかわし、フェイトさんは運良くはずれおっさんは……
あっ、全弾命中してる。
まあいいか。
「つまり此処からでたければネルさんと一緒にシラルドに行き施術兵器とやらの開発に協力しろと」
僕は外にいる女性。
ネル・ゼルファーに尋ねる。
「そうさ、まあこのまま此処にいたって死ぬまで拷問が落ちだろうがね」
それはやだな。
別に此処の拷問ぐらいなら耐えられるが……
胃薬がないのはつらい。
「俺はかまわないぜ。どうせ此処にいたって現状は変わらないんだ。だったら美女についてったほうがましってモンさ」
おっさんが気楽に言う。
未開惑星なんとかって言う条約はどうした?
「おっさん。僕は人殺しの兵器なんて作りたくないぞ!!それに未開惑星保護条約はどうするんだよ」
二人が奥で話し合っている。
「え〜とネルさん一つ聞きたい事があるけど良いかな?」
「なんだい?」
少し僕の事を怪しみながら返事をする。
なんか信用されていないな僕。
まあ、当たり前なんだろうけど。
「胃薬ってあります?」
「・・・・・・」
僕は最重要事項を尋ねる。
そこアホか!とか思わない。
これは僕にとっての最重要事項なんだから、これがあるかないかで今後の方針が大きく変わるんだからさ。
「おそらく、アリアスに行けば置いてあると思うけど」
よっしゃ!!
これで今度の方針が決まった。
「フェイトさん。おっさん彼女についていきましょう」
いまだ奥で話し合っている男二人に意見を言う僕。
「ほら、和樹だってそう言ってるぞ」
「でも僕は……」
二人はまだ言い合っている。
「二人とも彼女は胃薬を用意してくれる良い人です。ですから大丈夫です」
僕は自信満々に言う。
「「胃薬で決めるなよ!!」」
男二人が反論する。
「何言ってるんですか?此処のアホどもは胃薬どころかご飯すらくれなかったんですよ。だったら彼女についていくのは当たり前じゃないですか?」
「まあ、確かにな」
おっさんが僕に意見に納得する。
「胃薬が必要なほど胃を痛めているのに、ご飯なんか食べるなよ」
フェイトさんが呆れる。
「……なんだい。この胃の痛みは?凄く疲れてきたよ」
ネルさんが胃の辺りを押さえながらうめく。
「ストレス?」
僕は親切心で尋ねる。
しかし、
「あんたが言うな!!『黒鷹旋』」
黒いブーメラン見たいのが僕の顔面に直撃する。
「うわ・・・」
「もろに入ったぜあれ」
男二人が僕から距離を取る。
白状者。
「痛いじゃないですか」
僕は鼻の部分を押さえながら言う。
「なっ!!効いていないのかい。あんた?」
ネルさんが驚く。
「いや効きましたよ、一瞬意識が飛びましたし、まあこういった暴力は慣れてますからはっはっはっ」
僕は頭をかきながら明るく笑う。
「どんな人生ですか?」
「なれたかねえぞ、俺は」
男二人が呆れる。
「クレアどうして私なんかを行かせたのさ。つらいよ胃が痛いよ、クレア私耐えられないよ」
ネルさんは頭を抱えながら虚空に向かってぶつぶつ言っていた。
あとがき
まだ身体がだるく執筆速度が遅いです、すいません。
本来はアーリグリフ脱出までやるつもりでしたのですが申し訳ありません。
かなり良くなってきたので、次回辺りからはいつもと同じぐらいになると思います。
レス返し>
33様>時間帯は十一話の後です。何故そうなったかは十一話裏で明らかになります。
suimin様>無限の病魔。効果は和樹が今までかかった病魔を他人に移すと言うものですねきっと。
後これはおそらく『中村先生』も使えると思います。(あくまで可能性ですが)
D・K様>ある意味難儀な身体ですね。和樹君は。
ユピテル様>固有結界の景色は、病院に数多くのウイルスが漂っているのですよ。
柿の種様>最近は開き直り……開き直らなければやってられません。
そして疫病神ですか・・・まあ自覚はなくても和樹は所詮B組みだったということですね。
紫苑様>嬉しくない事実ですね。
そら様>となると和樹は死ぬまで胃の痛みに耐えなければいけないわけですな。
鳳麻様>多分、和樹の不幸は永遠に不滅です。
D様>もちろん和樹はペターニにつき次第薬の開発をおこないます。
カイさん>おっさんもすでに和樹たちに毒されています。
(^〜^}様>まあ『彼は』その後過去に戻ったりしてハーレム作ったりする可能背もあるから幸せなんじゃないのでしょうか。