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「まぶらほ〜双剣のアニマ使い〜第一話(まぶらほ+サガ フロンティア2)」

b-2nd (2005-02-03 09:36)
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「ん?」

 和樹が今いるのは葵学園内の廊下である。

 自分のクラスである2−Bに向かう途中のそこで彼はドアの前で蹲る不審な人物を目にしたのだ。しかも、

「仲丸、お前こんなところで何やってるんだ?」

 そう、それは自分のクラスの中心人物(諸悪の根源とも言う)である見た目はスポーツマン系少年の仲丸由紀彦その人であった。

「うおわっ!て、なんだ式森じゃねえかあんまり驚か――――――――」

 ためる・けん制・キック

「ぐはあっ!」

 振り向いたところに和樹の放った体術、キッチンシンクをモロにくらい吹っ飛ぶ仲丸。

「なにしやがんだてめえ!」

 にもかかわらずすぐさま起き上がり和樹に食ってかかる。

「いや、なんか悪事を働いているように見えたから・・・」

『参ったな、反射で技を出してしまうなんて・・・ベルセルクを使ったせいか?』

 そんな事を考えつつ言葉を返す。

(そう思ってる割には全っ然悪いと思ってないだろ。)

 和樹の中のギュスターヴが突っ込むが和樹はそれを無視した。

「くそっ、てめえのせいで折角のチャンスをふいにしちまったじゃねーか。」

「それの事?」

 和樹はドアを見、そこにかかっていた魔術を読み取りつつ答える。

「そうだ!さあ、人の魔法回数をひとつ無駄にした弁償をしてもらおうか!!」

 中丸はそういいつつ不敵な笑みを浮かべる。

「まあ僕も男だしどうしてもやるなとまで言わないけどさ・・・、それについては中で結界を張ってる誰かさんに言うべきであって、僕には関係ないはずだけど?」

 それにはぁ、とため息を吐きつつ和樹が返す。

「ちっ、ばれたか。ってそうじゃない!いいか、これは崇高な理想の・・・」

「あいにく僕は覗きから始まるような理想には興味ないよ。そろそろ遅刻しそうだし僕はもう行くよ。」

 そう言いつつこっそりと仲丸の靴の一部を石のアニマで石化させ、その横をすり抜けざま仲丸の後ろに声をかける。

「それじゃあ後はよろしくお願いします、松田さん。」

 その言葉に驚き振り向いた仲丸が見たのは、自身と双璧をなすもう一人の諸悪の根源、緑色の髪の少女、松田和美の壮絶な笑顔であった。

「ま、松田・・・」

 思わず顔が引き攣る仲丸。

「な・か・ま・るぅ〜?あんた、B組協定を破ってる事自分でも分かってるわよね?」

 いわゆる[殺す笑顔]で詰め寄る松田。

「くっ、松田!お前いつから権力の犬に成り下がった!?」

「忘れたのなら教えてあげるわ!協定中のこの項目を作ったのはアンタよ!!!」

「くそっ、ここは戦略的撤退を、って何!足が重くて動かん!!はっ!!!」

「お逝きなさい。」

「ぎゃあああああああああぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・」

 そんな処刑私刑による阿鼻叫喚の声を後ろに聞きながら和樹は、

「そういや今日は魔力診断か、すっかり忘れてたな・・・」

 などとのんきな事を考えていた。


 しばらく経って・・・

「何か騒がしかったみたいだけど、ってうわ・・・・・・・」

 ドアを開けた風椿玖里子が目にしたのは、死体が無いのが不思議なくらいの血の池と、そこから何かを引きずって行ったらしい紅い線だけであった。


 さらに経って昼。

「まったくなんで松田にやられた傷を自分の貴重な魔法回数を消費して治療せにゃならんのだ!!」

 と愚痴を大声で言うのは出血多量で彼岸へと旅立ったはずの仲丸由紀彦。治療などの効く量ではなかった筈なのに。なぜだ?

「自業自得だろ。」

「これに関しては同感だな。」

 それに和樹が答え、クラスメートの浮氣光洋が相槌を打つ。

「そういや和樹、お前あの時もしかして魔法を・・・」

「使うわけ無いだろ。あと六回しかない貴重な命、仲丸だったらそんな事に使うか?」

「それもそうか。」

 アニマによる術の存在すら知らない仲丸はそれであっさり納得する。最も知ったところで勝ち目は無いのだが。

(知らないとはいえ哀れだな・・・)

 ケルヴィンがそうぼやくがこれまた無視。

 そこへ浮氣が割って入る。

「ま、仲丸はあっちこっちで恨まれてるからな、大方その線だろ。」

「何!馬鹿な、だとしてもこの俺がそんなあっさり裏をかかれるはずが・・・。そうか!F組のやつらだ!!実力から言っても普段の偽善者ぶりからしても間違いない。そうか、遂に俺を葬るために動き出したのか!!!」

「という事は、仲丸だけでなくまさか標的はB組全員か!?こうしてはいられない、今すぐB組臨時議会を召集せねば!!!」

 徐々に話の雲行きが怪しくなってきたが、止めようとするものは居らず、むしろそれに加わっておおごとにしようとする人間ばかりだ。

 なぜと問われてもそれがB組だからとしか答えようが無い。

 だがその喧騒ゆえに、影で[B組の抑止力]と呼ばれる存在のことを一人残らずすっかり忘れていた。

 よって、和樹の顔が仕事の際のそれに変わっているのに誰も気付かない。その結果、

「おまえらいいかげんに・・・、」

 どこからか持ってきた箒を槍の如く構え、

「しろおっ!!」

 言葉とともにはなたれた槍技、スウィングによって仲丸と浮氣もろとも話しに乗り始めていた5、6人を吹っ飛ばした。

「「「「「「「「ぐはあっ!!」」」」」」」」

 全員ものの見事にスタン(気絶)しており、起きた時には自分達が何を話していたか全く覚えていないだろう。

 そして辛うじて食らわずにすんだ残りのクラスメートは死屍累々の中心に王の如く立つ和樹を戦々恐々といった感じで眺めていた。


 いまさら説明するまでも無いであろうが[B組の抑止力]とは和樹の事である。

 といっても和樹もはじめからこんな事をしていたわけではない。

 できる事なら自身のもう一つの姿に関わる部分は欠片も出すまいとしていたくらいだ。

 それが変わったのはF組と共同で行った1年の文化祭の時である。

 このときは結局B組の暗躍の結果劇は滅茶苦茶になり、それでも劇としての体裁を保てたのは奇跡といってよかった。

 その後すぐ一人の生徒が転校した時点からB組にとっての悪夢が生まれたのである。

 その生徒の名を山瀬千早といい、合同で劇をやったF組の一員であった。

 彼女はこの学校では和樹に(仲丸たちB組の打算だらけの連中を除けば)初めて積極的に関わってきた人間であった。

 そして合同の劇という企画を彼のところに持ってきたのもまた彼女であった。

 二人はこの企画の中心人物として精力的に働いた。

 和樹は千早がどういう思いで自分に接していたか知らなかった(それを聞き和樹の中の三人にそろって(((鈍感。)))といわれたが。なぜだ?)し、別に知ろうとも思わなかった。

 ただ数少ない[式森和樹]を[式森和樹]として見てくれる人間であるという事、それだけで十分に嬉しかった。

 それだけに千早の転校を知った彼は愕然とした。

 寂しさを感じたというのも勿論あるが、それ以上に彼女の頑張っていた理由に気付き、劇が滅茶苦茶になってしまった事を悔い、そしてそれを止められず、否、止めようともせず、あまつさえ彼女の心の内を知ろうともしなかった自分を憎悪した。

 彼は図らずも自身の信念に背いた自分が許せなかった。

 自分という人間を見てくれた彼女に最後にもっといい思い出をあげられなかったのが悔しかった。

 たとえ彼女自身がこの結果に納得しているとしても、何かせずにはいられなかった。

 —————もうこんな思いはしたくないし、させたくない。するつもりも、させるつもりも無い!—————

 それが、その心に新たに刻まれた想い。


 翌日、和樹は行動を起こした。

 何をしたかというとB組全員に対して宣戦を布告したのである。

 B組は魔法回数残り6回が何を、と一気に押しつぶそうとしたが最初に飛び掛った5人が瞬時に戦線離脱させられたのを見て考えを改め、知略、魔法の全てを含めた全力で向かってきた。

 対する和樹は命に関わる魔法の使用は勿論、アニマによる術、体に融合している二本の剣もB組の連中に公に知られるのはあまりにもまずいので使うわけにはいかない。

 これだけ見ればかなり不利な筈なのだが、実戦経験の差か、それとも日ごろのたゆまぬ努力ゆえか、壮絶な戦いの末、和樹自身もただではすまなかったものの、午前中に全員を制圧してしまった。(最後に残った杜崎沙弓とは訳を聞き和解という形になったが。)

 この一件の結果、B組内での和樹の評価は[毒にも薬にもならないが、金にがめつくないのでまあいい奴]という以前のものに[但しからかうくらいなら大丈夫だが、騒ぎすぎて怒らせるのは危険すぎる奴]と付け加えられる事となった。

 ともあれ多少強引な方法をとったものの、また同じような事態が起きたかけた際に歯止めをかけられるポジションを、和樹はこうして手に入れたのであった。

 ちなみにこの事実を知るものはB組以外ではほとんど居ない。

 聞いた者も普段の和樹を見て冗談か何かと思う者がほとんどであったからである。

 閑話休題


「で、そもそもなんで覗きなんか?」

 気付けばもう復活した浮氣が、これまた復活している仲丸に朝の話を聞いている。

「よくぞ聞いてくれた!それはだな、かくかくしかじか・・・」

 要約すると、風椿玖里子のあられもない姿を写真にとって脅し、ものにしようとしたらしい。

「ふーん、なるほどねぇ。ま、学園の支配者といわれる風椿先輩を狙う辺り、仲丸らしいよな。」

「じゃあ浮氣、お前なら誰を狙うんだよ。」

「そうだな・・・、あの子かな。」

 浮氣の視線を追うと、その先には妙な着物を着たまるで日本人形のような小柄な少女がクラスメートらしき数人と一緒に歩いている。

「神城凜、今年の一年の中じゃ容姿はダントツ。加えて神城家は800年の歴史を持つ退魔の家柄だ。落とせれば逆玉間違いなしだ。」

「なるほど、いいところに目をつけたな、浮氣。ま、もっとも、魔法回数残り六回の誰かさんには関係ない話だがな。」

 仲丸はそう言いつつ和樹の方を見て馬鹿にしたような笑みを浮かべた。

「そんなこと・・・」

 和樹が席を立つ。

 仲丸がその反応に思わずビクつく。

「・・・言われなくても、分かってるよ。」

 と、和樹は机の横にかけてあった鞄を手に取り教室から出て行こうとする。

「お、おい、どうするんだ?」

 まだ微妙に声が震える仲丸。

「見ての通り、帰るんだよ。次の時間から魔力診断だろ。自分から晒し者になるような趣味は僕は持ってない。」

 そう言ってドアから出た。


あとがき
 えー、ぶっちゃけますと、この話は自分的に少々不本意なところで終わっております。
 と、言いますのも、書いてるうちに限界量の100KBを超えてしまいまして、ひとまずキリのいい所で切り、はみ出た部分のまとまりを第二話の冒頭に持ってきています。
 まあ、まとめてみればこれはこれでありかな、と思えましたので結果オーライという事で。
 前回書き忘れましたが、シナリオの方は小説をベースにしつつ、アニメの方の展開を少し取り入れていく形にするつもりです。
 ところでお聞きしたいのですが、世界観などそのものに関わってこず、2,3名前を借りたりするだけでもクロスオーバーとして書いたほうがいいのでしょうか?
 レスお待ちしております。

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