「やめろおおおおおおお、シ○ッカーーーー!!!ぶっとばすぞおーーー!!」
手術台に縛り付けられた山田が叫ぶ。それに対し、プロスペクターさんが笑顔を浮かべて言う。
「やめてもいいですが、あなたが格納庫を壊した修理代金、どうやって払っていただけますかな?ちなみにあなたの手取り給料の63年と5ヶ月分ですよ。これは給料全額返済にあてた場合の話ですから、一生かかっても返しきれないでしょうなあ。」
その言葉に山田が顔を青くする。それでも何とか言い訳しようとする。
「あ、あれは正義の為に・・・。」
「戦闘中や訓練中の事故なら仕方ありません。しかし、調整もまだ済んでいない機体に勝手に乗り込んだあげくの結果ではこちらとしても容認できませんなあ。しかし、改造実験に対して協力していただければ負債の7割はこちらで負担しましょう。そして、その後、改造による人的価値の上昇として給料を2倍、ただし、その内8割を返済にあてていただいて・・・・・えー、12年と7ヶ月で返済が完了しますね。」
「そ、それでも12年もかかるのか!?」
「ええ、何せ、兵器はお高いですから。流石にこんなケースの場合は保険も落ちませんしねえ。」
悲惨だなーと同情する。まあ、自業自得だが。
「くっ、わかった。俺も男だ!!自分の犯した事の責任は取ろうじゃねえか!!」
そして何やらもめていたが、やがて山田が覚悟を決めたらしい。
「じゃ、手術しようか。」
「って、アキト!!お前がやるのかよ!?」
「当たり前だろ?後輩の改造人間を改造するのは先輩の役目だ!!」
・・・・っと、親父が言って俺に改造技術を仕込んであった。そして、山田はその言葉に納得したようだ。
「なるほど、確かにその通りだな!!よし、よろしく頼むぜ!!」
「ああ、任せときな。」
「うー!!燃えるぜ!!」
そして承諾が得られた所で山田を麻酔で眠らせ俺と助手のウリバタケさん(他3名)は手術を開始する。
ウィィィィィィン
ガチャン
ゴキュ、ベシャ、コケコッコー
1、2、フレディが来る
ララララー、サンバにTO NIGHT
たどり着く場所さえも・・・・・
ク○ガ、熱く蘇れ、ク○ガ、誇りのエナジー
トンテン、カンテン
チクタクチクタク
俺のこの手が真っ赤に燃える、勝利を掴めと・・・・・・
チュインチュイン
教えてやる、これがモノを殺すって事だ。
シュウウウウウ
っと、さまざまな擬音をたてて(どう考えてもおかしいものや、明らかに擬音で無いものが多数混じっていたが)改造が完了する。
「これで、俺は改造人間になったんだな!!」
麻酔が解けて起き上がった山田が俺に問いかけてくる。先ほどまで嫌がっていた割りには自棄に興奮気味だ。
「ああ、腰のベルトに意識を集中して後は“変身”と叫べば変身できる・・・・・筈だ。」
「・・・・何か、今、小さい声で“筈だ”とか言わなかったか?」
「い、いや、まさか・・・。」
実は改造するのは初めてなので自信無かったりするのだが、その辺は伏せておく。それに対し、山田は最初疑わしげだったが、根が単純・・・・もとい、素直な奴なのであっさり引き下がった。
「よし、じゃあ、早速変身してみるか。・・・・・・・変身!!」
そして、その言葉と共に山田の姿が変わる。
「おー、・・・・・・って、何かお前とは随分感じが違うな。色はともかく、形は結構俺の趣味だったんだが・・・・。」
山田の変身した姿は素顔がでていて、鎧を身に纏った感じと俺とはかなり違う。ちなみにモデルはチェンジング・ナウという21世紀にマ○ジンで連載されていたマイナー漫画の濃い顔の脇役の人(名前は忘れた)の変身形態だ。
「でも、これはこれでいいか。それで、博士2号、俺にはどんな力があるんだ!?」
どうやら、俺は何時の間にか博士2号にされてしまったらしい(ちなみに1号はウリバタケさん)。だが、まあ、素直に答えてやる。
「常人の10倍の力が使えるぞ。」
「おー!!燃えるぜ!!で、他には!?」
「そんだけ。」
「へっ?」
俺の答えに間の抜けた顔をする山田。とりあえず、俺はその開いた口を閉じさせた。
「だから、そんだけだって。別にいいだろ?伝説の改造人間、仮面ライダー1号だって、派手な武器なんか一つも持ってなかったじゃないか。」
「おー!!確かにそうだ。」
俺の説得にあっさり納得する山田。実際は予算と資材が足りなかっただけなのだがそれは伏せておいた。
「ご苦労さまです。テンカワさん。」
「いやー、テンカワ、いい経験させてもらったぜ。」
「いえ、こっちこそおもしろかったっすから。」
一人盛り上がる山田を無視して、俺はプロスさんとウリバタケさんと話す。そして、今度は副長の改造案についての話になった。
「それで、副長の方はナノマシンタイプを試してみようかとおもうんですけど。」
「なるほど、アオイ副長は山田さんに比べて損害賠償の額も少ないですし、その位が適当かもしれませんね。」
副長は反逆による違約金+エステバリスに与えた損傷で、山田よりは少ないが普通には返せない賠償金を請求されている。それに対し、彼をナノマシンタイプの改造人間に改造する事で、山田と同じように減額を図っていた。
「それで、そのナノマシンタイプの改造ってのはどんなのなんだ?」
ウリバタケさんの問いかけに俺が答える。
「ええ、ナノマシンタイプは改造・・・・とは言ってますが実際にはIFSをつける為のナノマシン注入とやる事は変わらないんですよ。馴染むのに少し時間がかかりますけどね。ナノマシンを体内に注入して、補助システム、つまりは変身ベルトを装着する事で本格的な改造をしなくても変身できるようになるんです。それで、変身した人間はボソン・・・・・、あ、いやこれは何でもないっす。」
実はボソンジャンプは以前は火星生まれの人間にしかできなかったのだが、これでは火星生まれの人間が人体実験にあう可能性があるという事を危惧した親父が遺跡の設定をいじって、
自由にボソンジャンプできる→変身した人間
ボソンジャンプしても死なない→火星出身者+特殊なナノマシンを注入した人間
っと、いうようにシステムを書き換えてしまったらしい。ちなみに、いっそ、ボソンジャンプそのものを封印する事も考えたらしいが、流石にそこまではシステムを操作しきれなかったそうだ。
「と、いう事はアオイ副長に“デルタ’ベルト”を・・・。」
「ええ、何かあの人地味ですし、ピッタリでしょう。」
デルタ’ベルトと言うのは親父がネルガルに譲り渡したもので仮面ライダー555という番組に出ていた変身ベルトを再現したものである。そして、その装着者はコロコロと変わったのだが、最後に付けた一人はやたら地味で弱かった事から何となく副長には似合っているような気がした。
「そういえばカイザ’ベルトの方はどうしたんですか?」
ベルトは3本“デルタ’ベルト”以外に“カイザ’ベルト”と“555’ベルト”があり、その内前二つはネルガルに譲り渡している。ちなみに“555’”ベルトはお袋が使って、ある意味科学者にあるまじき脅威的な野生の感で68件の犯罪者を捕獲し、部屋中一杯に感謝状を飾ったりしている。
「あの、それは・・・。」
俺の問いかけにプロスさんが口ごもる。後で、知った話だが、実はネルガルの会長が装着し、一人、悦に入っていたらしい。
「それより、副長の改造を!!」
「そうっすね。と、言っても、注射一本うつだけですけど。」
そして、俺達は副長にナノマシンを注入した。副長は“やめろー!!”とか“いやだー!!”とか叫んでいたけど、反逆者に人権など無し。
その後、変身した姿を鏡で見て“何で僕が・・・・”とさめざめと泣いていたが、いいじゃないか、かっこいいんだから、悪役っぽいけど、っと俺に言わせれば贅沢な話しなもんである。
そして、ナデシコは火星への道のりを進み始めた。
改造人間アキト 一部 完
PS.変身状態で調子に乗って、壁をべっこりへこませてしまった山田が借金返済期間を2ヶ月延長された。懲りない奴である。
(後書き)
「一部 完」とありますが、多分直ぐに二部が始まると思います。
ちなみにこの世界においてライダーは現実に存在したものと、TVの中だけのもの、両方のもの(実話や噂話を元にTV化等)が適当に入り混じっております。どれが、どれかは皆様のご想像におまかせします。
レス返し
>通りすがりさん
涙がでてきましたかwならば俺的にはOKです。
>柳野雫さん
色は普通ですかね。こっからでてくる“味方”は
>アンスリウムさん
これからもおもしろいssだと言ってもらえるよう精進します。
>ケルベロスさん
ショッカーの怪人はちょっと・・・・・
>hiroさん
基本は壊れ!!
>kuesuさん
それは思いつきませんでした。再改造でやったりしましょうかねえ。
>ATK51さん
寛容と好奇心が3対1位ですかね。
みなさん感想ありがとうございました。