「で、パイロットが怪我してるから俺に出撃して欲しいと。別にいいっすよ。俺はパイロットとしても登録されてますし。」
敵襲に対して、おれはおっさんことプロスペクターさん、略してプロスさんから怪我をしたパイロットの代りに戦ってくれと頼まれたので俺はそう答える。しかし、プロスさんは難しい顔をした。
「あの、それがパイロットとしてではないのです・・・・。」
そして、歯切れの悪い答えを返す。パイロット以外・・・・・っと、なるとサブオペレーターとして戦えという事だろうか?けど、それじゃあ、どの道パイロットが不足するのでは?そんな事を考えていると、プロスさんはとんでもなくぶっとんだ答えを示してくれた。
「実は・・・、そのパイロット、格納庫で試し乗りをして・・・その、こけたんです。それで、怪我をしたのですが、その際、格納庫が滅茶苦茶になってしまいましてね・・・・。それで、直ぐには出撃できないんです。しかし、誰かが出撃し、艦が動くまでの時間稼ぎをしなくてはなりません。そこで、その・・・テンカワさんに生身で出撃していただきたいのです・・・。」
生身で機動兵器と戦う?・・・・・それはつまり・・・・・。
「・・・・それって変身しろってことっすか?」
「はい・・・・そういう事になります。」
その場に短い沈黙が落ちる。そして俺は口を開いた。
「断ります。俺はもう、二度と人前で変身したりなんかしない。する時は・・・・・相手を徹底的に殲滅する時と決めた時だけです。」
俺は火星で、人々を守る為に変身した時、守った人から与えられたその視線は、言葉は、態度は今でも忘れられない。あんな思いをまた、するぐらいなら死んだ方がマシだとすら本気で思える。
「ですが・・・・・。」
「嫌です。いっときますけど契約を盾にとってもは無駄ですよ。ここまで無茶な要求なんて、例え契約書に明記されていたとしても通らない筈です。」
なおも言い縋るプロスさんを俺は切り捨てる。場合が場合だけに流石に落ち込みを見せるプロスさん。その姿に同情を覚えなくもない。だが、俺はあんな思いは2度と味わいたくない。あんな、あんな・・・・・・・・
子供に気持ち悪がられたり、女の子にキモイとか変態とか言われたり、その他大勢にかわいそうな人を見るような眼差しで見られ、しかもその横でシルバーのボティの親父が、かっこいいとか渋いとか言われて英雄扱いされたりしてて、その対比で余計惨めさを味あわせられるような悲惨な目に会うのは二度とごめんだあああああ!!!!!!!!!
「何と言われようとも俺は変身しませんからね。」
「しかし、このままではナデシコが沈んでしまいます!!ここでナデシコが沈めば乗員の方々も唯ではすみませんし、それにネルガルも大打撃を受けて潰れてしまうかもしれません!!そうなれば火星からの避難民の方々の援助もできなくなりますよ!!」
「うっ・・・。」
確かにそれは困る。しかし、しかし、あの姿になるのだけは・・・・・・・・。
「お願いします!!」
だが、その時、プロスさんは地面に頭をこすりつけ土下座してきたのだ。俺はあまりの事に一瞬呆然としてしまう。
「私にできることならなんでも致しましょう。この場で死ねと言われたなら死んで見せます。ですから、ですからお願いします!!」
「・・・・・なんでそこまでするんすか?」
今すぐ脱出すれば少なくとも自分だけは助かる。会社にしても信用を含め、大打撃を受けはするだろうが潰れまではしないだろう。なのに、何故、プロスさんはそこまでできるのか・・・・・・。
「・・・・私はこのプロジェクトに関わった時から会社と乗員の方々全てに対し、最大限の責任を背負っています。こんな所でナデシコを落とさせる訳には行きません。」
そう、プロスさんは真剣な眼差しで言う。その言葉には一片の嘘すら感じられなかった。
「・・・・・・・・わかりました。」
俺はプロスさんの言葉を聞いて覚悟を決めた。もはや、変身した姿など気にもならない。そして、俺は出撃した。
「シュートベント!!グラビティバレット!!」
俺は内部の超小型相転移エンジンを稼動させて、小規模のグラビティブラストを何発も発射する。
「ライダーキック!!」
キックでバッタを蹴り飛ばす。
「ライダーパンチ!!」
パンチで敵の装甲とディストーションフィールドを貫く。
「くっ。」
圧倒的な数を前に俺は傷つきながらも戦い、相手の数を減らしていく。
「行くぞ!!」
ナデシコが発進し、俺は敵をひきつけて海に跳んだ。それらはナデシコのグラビティブラストに飲まれ、一機のこらず破壊された。
そして、俺はナデシコに帰艦し・・・・・・・・・・・・男性クルーの6割と女性クルーの9割に嫌われた・・・・・・・・・・・・現実は厳しい(ぐすん)。
PS.幼馴染のユリカが実はこの艦の艦長だった。俺が出撃する姿を見た時は私の王子様と叫んでいたが、変身した後の俺の姿を見て幻想を破壊されたらしく、口も聞いてくれなくなった。
(後書き)
どうですかねえ?うまく壊れてるでしょうか?後、今回ちょっと短くてすいません。
>kuesuさん
下位の怪人よりは強そうです(笑)
>柳野雫さん
ユリカはこうなっちゃいました(笑)まあ、いくらなんでもあんな姿を見れば幻想も覚めるかと(笑)
>無謀の仮面さん
あっさり覆せません。うちのアキトはフェロモンやスマイルなんて持ってませんし(笑)、外見がアレですから。
>ノーネームさん
アキトに使われてるテクノロジーが凄すぎて直ぐには無理ですねえ。後、バッタ男の人はでてくると生身でチューリップぐらい軽く落としかねんからなあ。
>ATK51さん
塾長でも確かパラシュートの上か何かに着陸したような気がしますが。奴は地表にそのまま降りました。アルティメット・1はTYPE−MOONの“朱い月”とかです。社長にも似てますが悪ぶったりするところとか結構カイザの人にも似てるかなと。まあ、映画見るに本当に自分勝手なだけな男なのかもしれないですが、カイザの人は。