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「Fate/capture night6(Fate+CCさくら)」

SK (2005-01-18 06:22)
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白い少女を見たとたん、今度は頭の中で声が響く

此度の聖杯、か

「―――え?」

士郎の困惑など知らぬげに、声は尚も語る
それは、どちらかというと独り言のような呟き

あの娘が真に求めるのは聖杯ではない 聖杯を乞い願わぬものを送り込むとは

感情の読みにくいその声は
しかし、確かに

聖杯の希求者たる誇りを忘れたか アインツベルン

――怒りに聞こえた


「参ったね、目的を果たすまでは他のマスターとは戦いたくなかったのだけど」

バゼットは懐から銃を取り出す
弾丸にルーンを刻んだ、彼女の魔術礼装だ

「あのお嬢さんは、戦う気に満ち溢れているようだ。これはお相手するのが礼儀と言うものだろう?」

すっとキャスターがバゼットの前へ出る

「あの容貌・・・・・・私が聞いた事に間違いがなければ、アレはヘラクレス」

キャスターは彼女の夫や同じ船に乗っていた英雄達から、何度もヘラクレスのことを聞かされていた
彼女が知る限りでは、最大の英雄
自然と身がこわばる

「あら、見ただけで分かるなんて、同時代の英霊なのかしら。ええ、そうよ。私のバーサーカーは、最強の英霊ヘラクレスなんだから」

自慢げに白い少女は胸を張る

「始めまして、皆様方。私はイリヤスフィール・フォン・アインツベルン」

そして優雅に淑女の礼をとってみせた
その声に、士郎は正気に返る

「そんな大物を呼び出してまで、いったいどんな願いを叶えたいんだ?」

頭の中で今も揺れてる声
目の前の少女に覚える奇妙な既視感

「今は、お兄ちゃんを殺すことだよ」

冷たい雪の宣告
けれどどこか泣いているようなその声が

逝ってしまった誰かに重なる

「切、嗣・・・・・・?切嗣を知ってるのか?」

その声に、少女はひどく取り乱した

「っ、知らない!切嗣なんて知らないもん!やっちゃえ、バーサーカー」

少女の激情のままに、戦いの火蓋は切られた


巨人が跳ぶ
真っ直ぐに狙っているのは俺――
身を翻して避けようとするが、間に合わない!

がきぃん!

振り下ろされた斧剣は、セイバーの渾身の一撃によって弾かれた
同時に降り注ぐ魔術の弾丸
高速神言により絶え間なく降り注ぐ魔術の雨
セイバーはものともせずバーサーカーに切りかかる
対するバーサーカーは、あるものはその体で弾き、あるものはその斧剣で叩き潰している
バーサーカー本人には全く効いていない
それでもマスターに被害が及ばぬようたたき落とす分だけ、セイバーへの攻撃はおろそかになる
それこそが、キャスターの狙い

「大丈夫ですか?士郎様」

「ああ、ありがとう。ミラー」

こっちに来た魔術の余波は“鏡”が防いでくれた

「ちっ、キャスターの魔術でも効かないか。なら――Isa!」

弾丸を放つ
狙うは足元
籠められた力は氷
前進を阻む氷の壁を、しかしただ巨人が動くだけで粉々に砕かれる

「埒があきませんわね・・・!」

今のところ、こちらはダメージを受けていない
しかしそれは相手も同じ
しかも、こちらには“決め手”がないのだ
最大級の魔力を放てば効かぬこともないだろうが、ここでそれを放つのは拙い

“セイバーのマスター、この辺りに人の来ない障害物の多そうな場所はありませんか?”

“・・・・・・確か、外国人墓地があったはずだ”

“分かりました、何とか誘導してみましょう。マスター、セイバー、協力してください”


弾丸と、魔術と、剣で道を造る
あの厄介なバーサーカーにつけいる隙があるとすれば、それはマスターだけだ
マスターを守るために、ほんの僅かでも動きが制限される
こちらとて同じことだが、バゼットは魔術師として魔力量以外はイリヤよりはるかに完成されている
士郎に関しては、ミラーが守っているので心配はない
動きやすさで言えばこちらの方が有利なのだ

――そして、障害物があるところではバーサーカーはその巨体ゆえ動きをかなり制限される


セイバーは小柄な体躯を活かし、縦横無尽に墓石の群れを駆ける
先ほどよりも切りつけられる機会が多い――最もバーサーカーの体までは届いていないが
キャスターは、障害物など関係のない上空から、惜しげもなく大魔術を浴びせる
そして、バゼットは―――

「Isa!――Laguz!」

一発目は氷の弾丸
二発目に打ち込まれた弾丸―流れを意味するルーン―により氷は水となり、バーサーカーの視界をさえぎる
それに合わせて、セイバーが“何か”を振るう
セイバーの武器に乗せられるキャスターの魔術
誰もが、仕留めたと思った瞬間

「狂いなさい、バーサーカー」

彼のマスターの声が飛んだ

「!?まさか、アレで強化していなかったというの――いけない!マスター!!」

今までとは比べモノにならない素早さと力でセイバーを弾き飛ばす
その瞬間、そばにあった墓石が破片と化し飛び散る
凶器として充分な大きさと速さをもって、破片はバゼットに向かってまっすぐ飛んでいく
気づいて回避しようとするも、予想外の事態に歴戦の彼女でさえ反応が一瞬遅れた
そして、その一瞬は命運を分ける一瞬だった――

「―――え」

最初に感じたのは熱
次に感じたのは地面に倒された自分の体の感覚

「マスタァァーーーー!!」

サーヴァントの声が酷く遠くに聞こえる
目の前が、真っ赤に染まる
肩の辺りに深く突き刺さった墓石の破片
ずっしりと自分の身に感じる重みに、彼女の声帯は、やっと機能を取り戻す

「どう、して、君が、私を庇うんだ・・・?」

そう、傷を負ったのはセイバーのマスターである少年
突然のバーサーカーの狂化に、誰一人反応出来なかった中、彼だけが反応できた
そして、自分をかばって、傷を負った
まだ未熟なはずの魔術使いに、この自分が、庇われた
戦場の経験も、魔術師としての研鑽も、自分の方が長く積んでいるのに
本来なら、敵同士、そんな事をする義理はないのに
問いには応えず、彼はただ一言

「良か、った」

本当に嬉しそうに笑っていうと、気を失った

「士郎様!!!!」

少女の姿をした使い魔の、泣きそうな声が響く
少年の元まで駆け寄るとうっすらと涙をにじませた瞳で、声を絞り出す

「士郎様のことを、よろしく、お願いします。私では士郎様を癒すことは出来ません。その代わり」

きっとバーサーカーを見据える
そして、怒りを押し殺した声で宣告する

「あの狂戦士、早々に倒すと致しましょう。士郎様の治療に専念できるように」

「へえ、ただの使い魔ごときが、私のバーサーカーを倒せるとでも?」

「ええ、私一人では無理でしょうが。こちらにはセイバー様とキャスター様がいらっしゃいますので」

念話で作戦を告げる

「いいでしょう。その策、乗ったわ」

「こちらも了解しました」

キャスターの魔術が放たれる
轟音と閃光
常人なら視覚と聴覚が麻痺する中、イリヤはしかと捉えた
自分に向かって一直線に駆けてくる銀の鎧を

「―――っ!バーサーカー!」

少女の叫びより僅かに早く、バーサーカーは主を害するものに剣を振り下ろす
脳天めがけ、まっすぐに振り下ろされた狂剣――
それを、彼女は両の手で受け止めて見せた

「捕まえました」

姿がゆらりと変わる
銀の騎士は、“鏡”の少女へ
己を構成する魔力と振り下ろされる剣の力を拮抗させ、バーサーカーの動きを止める
巻き起こる暴風
姿を現した黄金の剣が、キャスターの魔力を乗せ、狂戦士を切り裂いた――

「やっ、た?」

呆然とした呟きは誰のモノだっただろう
一瞬愕然とした表情を浮かべたイリヤスフィールは、しかし次の瞬間余裕の笑みを浮かべる

「いいえ、まだよ」

「■■■■ーーー!!」


咆哮を上げ、巨人が立ち上がる
セイバーがつけた傷は、見る見る間に塞がった

「でも少し驚いたわ。まさかバーサーカーを一回殺すなんてね」

その言葉に、キャスターがはっとした表情になる

「迂闊でした・・・・!かのヘラクレスの十二の試練――!それが、バーサーカーの宝具というわけですか」

悔しそうに唇をかむキャスター
対照的に、イリヤは自慢げに胸をはる

「ええそうよ。バーサーカーには十二の命があるのよ」

「蘇生魔術の重ねがけ、か。なんてデタラメなんだ」

忌々しげにバゼットも呟く
シロウには止血をしたものの、肝心の石の除去は行えていない
心臓でなかったから即死はまだ免れたものの、石は肩をほぼ貫通している
早く手当てを施さねば命に関わる
だが、治療を行うべき自分やキャスターも、この戦場から生きて帰るのは危うい
絶望的な気分が広がったその時

救いの女神は現れた


例えるならばそれは白い流星
危機を感じたバーサーカーが跳ばなかったら、バーサーカーとて命を消費するのは免れなかっただろう
天馬に乗った救いの女神は、一度だけ振り返ると、背を向けて言った


「早くその少年を連れてお逃げなさい。アレの相手は私がします」


To be contined

やたらと時間をくったVSバーサーカー
自分の戦闘シーン苦手っぷりが如実に出てます
戦闘をかっこよく書ける人は神だと思った今回
恐ろしい事にこの話戦闘が結構多いというか、むしろ中心の勢いなのに・・・!
まあ、今回こんなに間が空いたのは、風邪を引いたせいもありますが


さて、いいところを持っていったのはライダーでした
ちなみに、この話では桜は原作どおり令呪を譲ってますが、ライダーとパスはつないでます
なので、原作の慎二マスターのライダーよりは少しマシな能力値
士郎に憑依?してる方も、ちょっとだけ登場。今回は割と分かりやすく
キャスターは迷ったのですが、直接的には知っていないけど、話だけは聞いてるという
絵姿くらいは、見たことがあったかもしれません

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