インデックスに戻る(フレーム有り無し

▽レス始▼レス末

「Fate/capture night5 Side:Sirou(Fate+CCさくら)」

SK (2005-01-08 13:24)
BACK< >NEXT

セイバーに外で待ってもらい、教会の中に入る
重苦しい静寂に満ちた教会の中、一人の神父がたたずんでいた

その男を目にしたとたん、くらりとめまい

「―――あなたが求めるのは、他の苦しみか、それとも答えか。己と世界の差異を埋められず絶望した神父よ」

自分のモノではない声が、自分のモノではない言葉を喋った
声にこめられていたのは、純粋な疑問符
それを境に、俺の意識が薄れていった


吹き荒ぶ、雪の中
夢か現か、紅い瞳を幻視する


「あ、れ。俺は・・・?」

頭がぼんやりする
ここがどこだかも分からない

「やっと正気づいたか?セイバーのマスター」

男の声が鼓膜に響いて、俺は跳ね起きた

「なんで、そのことを」

「ふむ、頭ははっきりしてしているようだな。質問に応えるなら、私が聖杯戦争の監督役で、その事実をそこの少女から聞いたからだ」

首をめぐらすと、心配そうにこちらを見つめるミラーが目に入る

「あ、あの、大丈夫ですか?士郎様」

「ああ、頭もはっきりしてきた。心配してくれてありがとうな」

安心させるように頭を撫でると、ほっとしたように笑みを浮かべる

「さて、少年。先ほどだが、何かに憑かれていたな」

「憑かれ・・・・・・って幽霊とかにか?」

「幻想種の類ではなさそうだったな。あれは紛れもなく人の意志の残滓」

しかもどうやら士郎の意識の深層に潜っているらしく、彼でも浄霊出来ないとのこと

「あの手のモノは、体や精神に負担がかかっているとき、表面にでやすくなる。心当たりは?」

脳裏に浮かぶのは、あの青い脅威に対抗するために為した投影
割とすんなりいったから忘れていたが、宝具なんて桁違いの“神秘”を投影したのだ
どこかに負担がでて当然だろう

「ある、な。影響は?」

「体にも精神にも、影響を及ぼすかも知れんな。しかし、お前の状態が万全なら、出てくることはないだろう」

「そうか。・・・・・・そう言えば、あんたが聖杯戦争の監督役なんだよな?」

「そのとおりだ、少年。監督役の言峰綺礼という」

何かが、歪だった
わけもなく、背筋に悪寒が走る

「もうその子から聞いたかもしれないが、俺はセイバーのマスター、衛宮士郎だ」

背にミラーを庇えるように動いて、話し始めた
話してみて分かったが、こいつは性格が悪い
嘘は言わないが、本当のことははぐらかす
中途半端な真実は、嘘よりもなお人を惑わす

「はあ、じゃあ最後に一つだけ。あんたが、求めるものってなんだ?」

自分ではない自分の声を思い出し、たずねて見る
はぐらかされると思った問いに、神父はただ一言で答えた

「―――答えを」

それで、神父と少年の最初の邂逅は終わった
人のいなくなった教会で、神父は息を吐く

「この私が、気圧されるとはな」

聖杯戦争に参加し、英霊という“人を超えたモノ”を幾度か見てきた
だが、アレはそれらとも違う
儚さすら漂わせていると言うのに、あの圧倒的な存在感

「叶わぬユメと知りながら、ユメに命を賭した存在(モノ)」

幾億の言葉を連ねても、決してキズすらつかぬ存在
夢を見るものにして、夢を紡ぐもの

「それが、衛宮の子に憑くか。――面白い」

此度の聖杯戦争に、それほどの期待はしていなかった
衛宮の姓は継いでいても、あの男の拾い子は、父の理想までは継いでいない
故に、娯楽として観るには役者不足かと思っていたのだが
なかなかどうして、愉しませてくれそうだ

始まりの問いに、記憶の底が僅かに揺らいだことに、彼は気づかない


教会を出て、しばらく歩いた後
唐突に、左手に鋭い痛みが走る

「気をつけてください、シロウ。サーヴァントが来ます」

コートを脱ぎ、ミラーに手渡す
ミラーはいつの間に用意したのか、背負ったリュックサックにたたんで入れた

「おや、位置的にランサーかと思ったんだが。違ったか」

暗がりの中から現れたのは、スーツを来た人影
声からして、女性のようだ
はっきりとその姿を確認して、つい驚きの声を上げてしまう

「左腕が・・・・・・!」

すっぱりと切断されたかのように、なくなっていた

「心配してくれるのかい?聖杯戦争のマスター同士だと言うのに。変わった少年だね、キミは」

からかうように、それでいて心底うれしげに、笑みを形作る

「無駄口をたたくのはやめるがいい。戦うのなら、切り伏せるまでだ」

セイバーが“何か”を構えると同時
フードを被った女性が、セイバーの前に立ちはだかる

「マスター、危険です。お下がりください」

切羽詰った女性の声にも、彼女は動じない

「いいじゃないか、キャスター。サーヴァントはともかく、そこのマスターには戦闘の意志はないようだ。少年、彼女にひくように言ってくれないか?こちらには、戦意はないのでね」

そういうと、芝居がかった仕草で両手を軽く挙げる

「・・・・・・退いてくれないか、セイバー」

「罠の可能性があります。その言は聞けません」

セイバーの言葉に、女性は僅かに苦笑する

「まあ、普通はそう思うか。しかし、私が狙うべきマスターはただ一人だ。余計な戦闘で、私のキャスターを消耗させたくないのだよ。彼女はとても繊細に出来ているのだからね」

ぱちり、とウィンクまでしてのける

「ああ、しかし君が繊細じゃない、と言ってるわけではないよ?誇り高き、武勇にあふれる戦乙女というのも、それはそれで美しい」

その人の口から次々と出てくる気障な台詞に、呆れ返ってしまう
と言うかこの人、本当に女性なのか

「・・・・・・まあ、いいでしょう。シロウは私の後ろに下がっていてください。私の耐魔力ならば、キャスターの呪文は効かない」

「大丈夫、士郎様は私が守ります」

セイバーとミラーに口々に言われ、背に庇われる
セイバーはともかく、見た目の幼いミラーに庇われるのは、男としてどうかと思う
しかし、これで話が進められるなら、気にすべきではないだろう

「よし、では道々話すことにしよう。どうせ今日は偵察だけのつもりだったことだし。・・・・・・そこの少女は、キミの使い魔かい?ここまで人に似て、高度な思考が出来るとなるともはや使い魔と呼んでいいのかも分からないが」

ぎくり、とミラーの体がこわばる
たしか、カードのことは他の魔術師にばれるとやばいんだったな

「俺じゃない、妹の使い魔・・・・・・みたいなもんだ。俺には、詳しいことはよく分からない」

これは本当だ
大体、ケルベロスからだって、カードは魔術の形態にして意志を持つ使い魔でもあるとしか説明されてないし
それだけの説明で理解できるほど、俺は頭がよくない

「ふうん、まあ、君の事情は今は関係ないか。それじゃあ、私の事情を話すことに「まった」

そこで、ストップをかける

「俺、まだ名前聞いてない。俺は衛宮士郎。あんたは?」

その問いに、その人は複雑な笑みを浮かべた

「本当に、変わった子だねえ。しかも“エミヤ”、か。まあ、名乗られたら名乗り返すのが礼儀だ。私は、バゼット・フラガ・マクレミッツ。キャスターのマスターで、ランサーの元マスターさ」

さらりと言い放たれた言葉には、深い感情がこもっていた
セイバーは、その一言で何かを察したようだ

「まさか、あなたのその左腕は」

「ご明察。令呪を奪われた。その後に出会ったのが、ちょうどマスターを無くしたばかりのキャスターでね。男運がないものどうし、息があったというわけさ」

鮮烈な怒りを湛えて、はき捨てる

「だから、私がぶちのめしたいのは、私からランサーを奪ったあの男ただ一人。聖杯戦争は、二の次なのさ」

納得してくれたかな?、と
どこか掴めない笑みに戻って、いう

「馬鹿な。貴女とて、聖杯を手に入れるために参加したのでしょう?それを二の次などと」

それは、誰よりも聖杯という奇蹟を求めるがゆえの問い

「興味がなかったと言えば嘘になるけどね。あいつは、私と、何よりランサーの誇りを穢した。だから、かたをつけるまで、他の事は二の次なのさ」

「つまり貴女は、誇りをとると、そういうのですね」

それならば、誇りという者を何より重視する剣の騎士には、分かりやすい

「まあ、そんなとこかな。もっとも、私もいきなり“工房”に仕掛けるほど無謀じゃない。今回は本当に様子見だけのつもりだったのさ」

おかげで、面白いコンビに出会えた

「じゃあ、あんたはそいつ以外のマスターとは戦わないのか?」

その問いに、バゼットはうーん、と考え込む

「こっちにその気がなくても、仕掛けてくるマスターはいるだろう?その場合は戦うしかないね。君には、積極的な戦闘の意志はなさそうだったから話し合いをしたけど」

本来、彼女は好戦的な気質である
戦闘を控えているのは、目的のためと、彼女の今の相棒がキャスターだからだ

「しかし、奪われたのはランサーなのでしょう?正直、キャスターでは分が悪いと思いますが」

セイバーの意見に、キャスターは怒らなかった

「普通は、そう見るでしょうね。でも、魔術師には魔術師の戦い方がある。槍兵と、そもそも同じ戦場で争う必要はない」

策をめぐらせ、その卓越した魔術によって戦いを有利に運ぶのが、キャスターのやり方である
真正面から、力でもって争うものではないのだ

「ご心配はいらないよ。私のキャスターは、最高のお姫様なのだから」

「マ、マスター、そういうことをいうのは止めて下さいと何度も・・・!」

フードに隠れてよく分からないが、きっと照れてるのだろう
声が上ずってる

「可愛いなあ」

思ったことをつい口に出していたらしい
言ったつもりはなかったんだが

「そ、そんなか、可愛いだなんて」

「ほう、キャスターの愛らしさに気づくとは。なかなか良い目をしてるじゃないか、坊や」

「なるほど、シロウはそのような女性が好みなのですね」

口々に、そんな反応が返ってくる
・・・・・・なんでさ?
しかも、ミラーは潤んだ瞳で、こっちを見てるし

「あ、あの、し、士郎様!わ、私は、その、どう、でしょうか」

真っ赤になりながら、懸命に声を上げる
なんだか微笑ましくなって、ミラーの頭を撫でた

「可愛いと思う。もっと自信持ってもいいぞ」

やっぱり、可愛いって言って欲しい年頃なのかな?


「いやあ、罪作りだねえ。あれ、天然でやってるのが怖いところだ」

「変なところで素直ですからね。ところで、キャスターは?」

「まだ固まり中。あの子も、大概誉め言葉に免疫がないからねえ」

バゼットとセイバーは、なぜか気があったらしい
士郎の方を見て、生暖かい笑みを浮かべている


「で、バゼットさんを裏切った魔術師ってどんな奴なんだ?」

一段落してから、士郎が話しかける
そんな魔術師なら、この先どんな手を使うか分からない
特徴を詳しく聞いておいた方がいいだろう

「ああ、あいつはコ――っ!」

背後に感じたプレッシャーに、全員が振り向く

いたのは、白い少女と鉛色の巨人


「お話はもう終わり?お兄ちゃん」


To be continued

言峰に泣きました。ここの士郎が切嗣の後を継いでないので、反応が分からない
士郎に憑いてるっぽい方は、あるものを用意するためです。当初はそれだけなのに、気づいたら言峰の天敵風味
一応原作に名前は出てきてます。性格は分かりませんが
勘のいい方は、今回だけで分かるかも

バゼットさんは、当初女版ランサーを考えていたのに、気づいたら佐々木さんの方が近くなっているという
キャスターさんは、この話では可愛い人です
やはり、マスターが実力のある魔術師で、なおかつ“男に裏切られた”という経歴が一致したのが大きいかと
葛木先生とのラブは、果たしてあるのか(それ以前に葛木先生出るのか?)

BACK< >NEXT

△記事頭

▲記事頭


名 前
メール
レ ス
※3KBまで
感想を記入される際には、この注意事項をよく読んでから記入して下さい
疑似タグが使えます、詳しくはこちらの一覧へ
画像投稿する(チェックを入れて送信を押すと画像投稿用のフォーム付きで記事が呼び出されます、投稿にはなりませんので注意)
文字色が選べます   パスワード必須!
     
  cookieを許可(名前、メール、パスワード:30日有効)

記事機能メニュー

記事の修正・削除および続編の投稿ができます
対象記事番号(記事番号0で親記事対象になります、続編投稿の場合不要)
 パスワード
    

PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル