「そ・・そんなこれが」
「驚いてくれたかね」
そこはあるテントの一角。そこで夕菜たちは、この水銀旅団、太平洋方面指揮官のカーボン卿と対談をし共に打倒メイド(夕菜だけ)を誓ったのだ。
最も夕菜を除く三人はこの水銀旅団、訓練されたメイドと違い、彼らはただのカメラ小僧なので勝率は限りなくゼロに近いだろうと考えていた。
ちなみに夕菜は
「精鋭ですね。これならメイドに勝てます」
と見当違いの意見をほざいていた。
このとき残りの三人は、
(((友達?やめようかな)))
らしい。一応友達扱いされてよかったな夕菜・・・
その後も話し合いがおこなわれたが最大の問題はメカヒスイをどうするかになりカーボン卿が見せたいものがあると言いあるテントまで来たのだが、
「これが、我々が開発した。メイドロボ、『メカヒスイ・アストレイ』」
フリーダムと比べて簡略化したメカヒスイがいた。
「凄いです!!これならあの忌々しいメイドロボに勝てます!!」
夕菜はガッツポーズを作りながら喜ぶ。
「・・・こんなものいったい誰が作ってんですか?」
疑問に思ったのか、水輝がカーボン卿に質問をする。
「我々の最先端技術。そして一人の天才的な協力者のおかげだ」
カーボン卿は入り口に向かって手招きをする。
現れたのはフード付のローブを纏った竹箒を持った割烹着来た女の人だった。
「「「・・・・・・」」」
「貴方がこのアストレイを作ったんですか?」
「はい。そうですよ、私はまじかるアンバーと言います」
まじかるアンバーは夕菜たちに名乗る。
「すごいです。まさか貴方のような人と出会えるなんて。でもどうして水銀旅団に協力を?」
夕菜が疑問を口にする。
「アレって、館にいたメイドさんよね?」
「はい。夕菜さんは何故か気がついていないみたいですが」
「琥珀さん・・・いったい何がしたいんでしょうか?」
三人が小声で話す。
「簡単です。そうしたほうがおもしろい・・・げふん・・げふん・・もとい私も打倒メイドを誓った一人の同士ですから」
「そうですか!!お互い打倒メイドを誓いがんばりましょう」
夕菜が琥珀さんとがっちり握手をする。
「彼女今おもしろいって言ったわよ」
「確かに言いましたね」
「琥珀さんはおもしろければそれで良い的な考えを持ってますから・・・」
三人は小声で話しながら一つの思いを抱いていた。
(((本気で早く帰りたい)))
彼女たちが親友になるのは時間の問題だろう・・・・
まぶらほ〜神殺者〜 第十話 館の決戦?
<メイドの館>
ずがああん
和樹はその場で回転し遠心力を利用した黒鍵の投擲が男に突き刺さり、男は十メートルほど後退する。
「無駄だよ無駄!無駄!、数々の制服愛好家の実行部隊を倒し教会の精鋭と戦い続けている我々に黒鍵などきかん!!」
男は血すら流さず何故か服すら破れていなかった・・・人間かお前?
「教会の精鋭ってなんだ!!」
一応『王冠』の悪ふざけで教会にいたこともある和樹。
そんな機関があったことなど初耳なのだ。
ちなみにその時『王冠』の悪ふざけを思い出し殺意を抱いたとか抱かなかったとか・・・
「ふっ、教会・・・奴らはシスター(修道服)しか認めない異端者。そして奴らは我々『レイジングハート』と同じ教会が誇る十二人の使徒」
男が頼んでもいないのに、教会の秘密?を暴露する。
「奴らは埋葬機関に並ぶ実力者!!」
本当かよ?
「その名も・・・『シスタープリンセス』だああああ!!!」
「シスター違いだボケええええ!!!!!!」
ずがあああん
和樹が黒鍵で男を吹き飛ばす。
先ほどの和樹の投擲が弾丸に並ぶほどなら今のは、弾丸すら超える速度で放った一撃だろう。
「ふっ、なるほど。どうやら君はスキル『突っ込み』を保持しているようだな」
やはり男は無傷で起き上がる。
固有スキル『突っ込み』
相手がボケをしたときに対して、ある特定のスキルのランクをあげることが可能。
式森和樹の場合このスキルが発動した時に限り投擲スキルがB→Aといった具合にワンランクの上昇が可能。
「何だこの説明は!!!!!」
和樹が自分の固有スキルの説明文に突っ込みをいれる。さすが・・
「ふっ、説明に突っ込むとは流石だ。・・だがそろそろこの戦いも終わりにしよう」
男は和樹に人差し指を向ける。
「!」
和樹は殺気を感じ横に避ける。
パン!
「ほう!避けたか」
男が感心したように呟く。
「ガントかよ」
「そうだ。我々呪術師にとって見ればガントなど簡単なものだ」
そう言いながらも男は和樹にガントを撃つ続ける。
しかし和樹はそれを避ける、もしくは拳で弾くといった、フェイトのあかいあくまが見たら、「あんたら物理法則無視してるんじゃないわよ!!」とのお怒りを受けそうな感じだろう。
「・・・きりがないな・・・」
アレから五分近く同じような状態が続き、男が呟く。
男は右手に黒いビームサーベルもどきを出現させ、和樹との距離を一気に詰める。
「!」
ガキィィィ!!
和樹はかろうじて黒鍵で受け止めるが、
じゅうううう!!
嫌な音をたてて黒鍵が黒く染まり腐食していく。
「まじかよ!!」
和樹は驚く。一応曲がりにも教会の武器がこんな現象を起こすなどありえない。
男は和樹がその現象で驚き一瞬出来た隙を見逃さず、和樹の腹に蹴りを叩き込む。
「ぐはっ」
和樹は体勢を崩し十メートルほど後退する。
「驚いたようだな。これは呪剣(じゅけん)呪いを圧縮し剣状にとどめたものだ。黒鍵程度では呪いによる腐食は間逃れんぞ。」
男はそのまま和樹に向かって剣舞の乱撃を叩き込む。
ズバババババ!!!
嵐のごとき剣技に流石の和樹も避けるのが精一杯のようだ。
ズバッ、ビシュ、ジャ!
和樹の右腕が剣をかすめ血が舞う。さらに頬、左肩、右太ももと次々、切り裂かれていく。
ズガン!!
男が剣を払うと同時に発生した黒い衝撃波が和樹を吹き飛ばす。
「ぐはっ」
流石の和樹も至近距離で食らったためダメージは大きいようだ。
「式森様」
リーラが近づき、和樹に治癒魔術をかけるが、
「馬鹿な!!傷がふさがらない」
リーラが表情を変えて驚く。和樹に治癒魔術をかけても傷は一向にふさがる気配はない。
「無駄だ。呪剣で受けた傷は自然治癒でしか回復不可能だ。魔術では何の効果もない」
男はリーラ達に近づく。
「させない」
男の後に現れたメイドの十人近い援軍が、男に向かって一斉に銃弾を打ち込む。
「無駄だ」
男は銃弾の雨の中、メイド達の方向に振り返り剣で横払いの一撃を放つ。
ずどおおおおん!!
剣から発生した黒い衝撃波がメイドたちを吹き飛ばす。
「このブラックウエーブは貴様らメイドごときが耐えられる品物ではない。・・・魔法少女なら耐えられがな」
無理だろ。
「貴様!!」
リーラが男に向かってワルサーP38で撃つ。
「無駄だ」
男は避ける素振りもしないで銃弾を受ける。
男はそのままリーラに向かって剣を振り下ろす。
「くっ!」
リーラはバックステップで距離を取り、隠し持っていた爆弾を男に向かって投げつける。
ずがあああああん!!!!
爆音が鳴り響き、炎と煙が男を包み込む。
「やったか?・・・」
リーラが疲れたような表情で男がいたところを見る。
正直アレで倒せなければ館にいるメイドは全滅だろう。
リーラは倒れてくれと祈りながら、男がいたところに近づこうとするが、
「残念。やっていない」
男が無傷で現れる。
「なっ・・・・・」
「所詮メイド、これが限界だろう。では死んでくれ」
男がリーラに向かってブラックウエーブを放つ。
ずごおおおおん!!
リーラは眼をつぶり自分の死を覚悟したが、一向に衝撃波が来る気配がない
恐る恐る眼を開けると、
「そんな!!何故?」
和樹がリーラの前に立ち衝撃波を代わりに受けていた。
「メイドを狙うとは中々の外道だな」
ところどころ服が破れ肌が露出している。
さらに呪剣のせいでいまだにあちらこちらに傷を受け血を流しながらも和樹は男に立ちふさがった。
「お逃げください!式森様この者は我々では勝てません」
リーラが和樹を逃がそうとするが、
「心配ないよ。リーラ一応俺は戦う以上勝つが流儀だし。この程度のピンチ、アルトに襲われたとき偶然水輝とブルーに見つかったときに比べれば、
百倍ましだよ」
ちなみにその後彼女たち三人は二日ほど寝込んだらしい。
和樹一体何をした?
「俺一人が犠牲になれば、みんな救われるんだよ」
その姿はどこかの赤い弓兵の様に擦り切れていたらしい。と後にそこにいた関係者は語る。
「ふん!理想を追い求めるからそうなるのだ式森和樹」
男が侮蔑したように和樹に向かって吐き捨てる。
「甘いな。俺はもう答えを得た。重婚という答えを・・・だから俺はこれからもがんばっていける」
和樹は男に向かって涙を流しながら答える。
内心そんな国籍ないだろうとかあったとしたら何人まで良いんだろうとか哀しい答えにたどり着いた式森和樹だった。
「だからリーラ下がっててくれ」
和樹が微笑を浮かべてリーラに答える。
「ポッ・・ハッハイ/////」
ピロリロリーン
リーラの和樹に対する好感度が10上がった。
こうして和樹はまた鬼畜の丘に一人の女性の名を刻み込んだ。
まさに『身体は鬼畜で出来ているだ』・・・
「さて、はじめるか」
和樹は男に戦いの続行を促す。
「くっくっく、愚かなことだ。貴様では我に傷を与えることは出来ない。このままメイドにおぼれて溺死するが良い」
「安心しろ。バーサーカー変態、六回といわず十二回殺しつくしてやる。最も、貴様が十二回も命があるか疑問だがな」
ないだろう。
「ふん。その言葉後悔するが良い!!」
男が呪剣で和樹に向かって斬りかかる。
(協会関係者に『切り札の一つ』は使いたくないが、四の五の言っていられんか・・・)
和樹の右手から蒼い光が現れる。
「死ね!!!」
男が呪剣を振り下ろす。
ガキイイイ!!!
「何!!」
男が驚愕を露にする。
和樹は右手に蒼い光で出来た日本刀で男の呪剣を受け止めていた。
「馬鹿な!!呪いが効かない?これは一体・・・・」
和樹は男の腹に蹴りを叩き込む。
「ぐはっ!!!」
男が十メートル近く吹き飛ぶ。
「まだまだ。紅燐剣」
和樹の姿がブレ二人になり男を斬り付ける。
ガキィイイ、ズバッ!!
二人いるうちの片方の和樹の剣を受け止めるが、その直後に現れたもう一人の和樹の斬撃をわき腹に斬り付けられる。
「ぐがあああああああ」
今までいくら攻撃を受けても聞かなかったのに、和樹の蒼い剣で斬られたとたん苦しみだす。
「何故だ!!このからだがダメージを受けるだと。」
傷の部分から黒い煙が現れる。
「・・・呪で固めていたのか。どうりで物理攻撃が効かないわけだ・・人間をやめてまでしたいことか・・」
和樹が侮蔑したように答える。
呪術師の中には自分を器にし呪いで身体を覆い人をやめることで力を得られる外法があるらしいが、
「おのれ!!萌えがあああ!!魔法少女の萌え心がアアア!!!」
「「・・・・・・」」
呪じゃないのか?
「貴様・・・その剣は何だ?」
「『闘氣刃』本来は剣などを媒体にし氣で覆うのが普通だが。その気になれば物質ぐらい出来るぞ・・・最もこの状態は十分ぐらいが限界だがな・・」
そう言いながらも和樹の顔には玉のような汗が流れる。
「氣だと・・・」
氣とは人間なら誰にも備わっている生命エネルギーのことだ。
だが魔法が一般常識となり、さらにそれ以上の流失を恐れた魔術師達に隠蔽されたのが氣だ。
一般では氣は拳法で使う発頸のようなものだが。
それを極限まで極めると和樹のように色付で人の眼に視認できるほどになる。
とはいえ魔法が常識の時代習得が難しい氣を此処まで覚えようとする人物はいなくなり一種の秘術、禁術扱いになり今に至る。
「完全な物質化か・・・そんなのを協会の連中が見たらホルマリン漬け確定だな」
「だろうな」
和樹は苦笑する。
だから協会関係者の前でこれは使いたくないのだ。
「この状態は正直きつい。だからもう一ど聞こう。変態ローブの貯蔵は十分か?」
「ふん。例え貴様がそうでも答えは一つ。式森和樹メイドに溺れて溺死しろ」
二人が走り出し剣で打ち合う。
「くっばかな!!」
十、二十合程度打ち合いが続いたとき変化がおきた。
和樹が男を押し始めている。
ズバッ!ブシュ!!
男の肩、腹、腕などを切り裂き和樹が男を後退させる。
「くそ!!これならどうだ!!」
男がバックステップで距離をとりブラックウエーブを放つ。
「沙綾円舞剣(さやええんぶけん)」
和樹は飛燕剣のなかで最強の突進系の技を放つ。
ぎゅどおおおおおおん!!!!!!
蒼い閃光が変態を貫く。
「馬鹿な・・・ぐはっ」
和樹は男の心臓を闘氣刃で貫いた。
「無念・・」
和樹は剣を消す。
男はそのまま倒れこむ。
「見事だ・・まさか我が負けるとは」
男は和樹に話しかける。
「・・・・・なんで心臓貫かれたのに生きてるんだよ?」
まったくだ。
「だが我を倒してもまだ残り四人の『レイジングハート』が貴様を倒すだろう」
「まだ四人もいるのかよ・・」
和樹は嫌そうな顔で答える。
「だが、我に勝利したのは事実。だから勝利の言葉を送ろう」
「何だ?」
「カズキ、貴方を愛している」
「死ね」
ずがああああん!!!
和樹は男の顔面をおもいっきり踏みつけた。
レイジングハート・・・残り四人。
あとがき
終わりました。
何だこれ?と思った方ごめんなさい。私ではこれが限界です。
次回は水輝が『レイジングハート』と闘います。
レス返し
秋斗様>楽しんでいただけて幸いです。
D様>キシャーは災害です。
ビーン様>応援ありがとうございます。
33様>彼は理想に生きた英雄です。彼の信仰は世界的なのです。
アイギス様>メイド編では出しませんが、他の話で出す予定です。
紫苑様>RRRはいろんな意味で危ないです。
翁香様>それでも彼らは平穏を求めています。
MAGIふぁ様>意表をつけて幸いです。
月の寵臣様>それでも彼らは闘います。な○はを獲得するため、御○流と・・