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「蒼い師と緑の弟子 第12話―もしくはまぶらほ編8話―(まぶらほ+風の聖痕)」

キキ (2005-01-12 12:13)
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 朝食の席、和樹は目の前で嬉しそうに食事を取る夕菜とエリスを見ながら味噌汁をすすっていた。 
 約一週間前夕菜が編入してきた次の日から夕菜は一日ずつ空けて、ここに朝食を作りに来ている。 

これが始まった初日、和樹は朝からノックをしてきた夕菜に対して(約束もしてないのに朝早くから俺の至福の朝のまどろみの時間を――)と思い無視しようとしたのだが、その日に限って私服に着替えて何かを待ち望んでいるようなので不思議に思っていたエリスが、夕菜の呼びかけにこたえてドアを開けたのだ。
 どうやらその前の日の放課後、夕菜と買い物に行ったとき約束したらしい。
「食事はにぎやかのほうがおいしいよ」というエリスに押されたのと、初めての同年代の少女の手料理に興味があったので食べたら、自分より美味しかった。
 感心する和樹に夕菜は「喜んでもらえてよかったです♪これから毎日作りに来ますね」と言った。
 エリスは喜んだが和樹は「学校に知られたら面倒なことになるから」と言い、不服そうな顔をした夕菜に『透明マント』を手渡しながら「これ着て、二日に一度ぐらいの頻度にしてくれ。そうしたらあまり怪しまれないから」と言った。
 その来てもいいといわれたも同然の一言で夕菜は喜びエリスと手を取り合った。
 その夕菜に和樹は、「掃除はやらないでくれ、透明マントみたいな道具があるから、下手したら寮が爆発するかもしれない」と言って夕菜を頷かせた。

 「夕菜……「はい。なんです和樹さん」……お代わり」

 嬉しそうに差し出した茶碗にご飯を盛る夕菜を見ながら、和樹は夕菜という少女のことを大体この一週間で理解していた。
 一途で健気で優しく素直な性格をしており、学校などでの評判もとてもよく、あの二年B組に表れた天使だとクラス内・クラス外問わずそう思っているし、事実そうだ。
 だが、和樹に関しての事となると、他者のことを気遣い他者に譲ろうとする少女が、頑固で怒りっぽくなる。 
 が、今回のように和樹が条件を出した場合、「和樹さんと居られるなら」とその条件のことを素直に聞いて譲るところは譲る。
 つまり宮間夕菜という少女は、よく言えば『譲れないものをよく理解し、それを何としても守ろうとするが、譲るところは譲る』少女で、悪く言えば『嫉妬深く、最低限のモノが得られない限り引かない』ということになる。
 そしてその態度を取るのは自分に対してだけ。

 (そういや、凛ちゃんも玖里子さんもそうだな)

 学校などでは、ストイックな言動と剣の腕前から『かっこいい女』と見られている凛だが。 
 初対面があれだった和樹からしてみれば『すぐにからかいにのる騙されやすい純粋な娘なのだが、頑固な性格でそれを認めようとしないので、さらにとても楽しい娘』となっている。
 だから、一週間ですでに三回和樹は凛で遊んでいる。

 学校などでは、その果断な判断と高い能力から『姉御肌の出来る女』と見られ、弱点が無いように思われている玖里子だが。
 様々な曲者を見続けた和樹からしてみれば『ナイーブで純情な結構子供っぽい娘で、背伸びすることに慣れているが何処か危なっかしい可愛い娘』と見ている。 確信したのは、六日前玖里子が遊び半分で自分を押し倒そうとしたので“本気”で 押し倒して、きわどい部分を愛撫する和樹の下でガタガタ震えたので「(麻衣香もいないのに)大した理由も無いのに、こういうことしないほうがいいですよ。玖里子さん処女でしょ。もう少し相手を見てからしたほうがいい」と言いながら立ち上がって手を伸ばした和樹の手を玖里子が取ったときだった。

 (つまり、どいつもこいつも俺の前では素だということか)

 三人が自分の前では、素の態度を取る理由は分からないが大体三人について理解した和樹だった。
 ――和樹は知らない。他者の評価を気にせず、自分の前での自然な姿をありのままに受け入れるという和樹の態度が、三人だけではなく多くの相手(圧倒的に女が多い)にそうさせるということを……

 そんな女の敵以外の何者でもない男は食器を後片付けする夕菜を見て、裸エプロンしたいななどと考えながら学校の準備に取り掛かっていた。
 数分後、二人はエリスに見送られて学校に向かった。一緒に登校しているのだが、和樹のあまりに堂々とした態度のため変な噂も立っていない。 
 B組の生徒たちも、和樹があくまで友人だと言い張りいろいろな裏工作をやったので静かだ。


 授業終了の鐘と同時に、和樹は逃げ切った笑みを浮かべ、紅尉はわざわざ担当教諭を病院送りにしてまで得た機会なのに和樹に逃げ切られたため一瞬顔を歪ませた。
 薬草学の授業で紅尉が担当の代わりに授業を受け持ち、あの手この手で紅尉から逃げている和樹を尋問しようとしたのだ。
 が、和樹がこちらを指し続ける紅尉に対して、薬草学の専門家ですら追いついて来られないような薬草学の話題を持ちかけ、普段ここまで深い知識を有する相手に飢えている紅尉をその話に引き込んだのだ。 
 その結果が、現在の両者の顔に表れている。 
 因みに授業は完璧にこなしたが、和樹と紅尉の会話の濃さとその会話が全てラテン語やチベット言語だったので生徒達はついて来られなかった。
 授業が終わった後、敗者は勝者に向かって授業で使った月下美人を保健室にもってくるようにと言い、暗に第二ラウンドを申し込んだ。 
 そしてその挑戦に勝者は「わかりました」と言って穏やかに微笑み――敗者を崇拝している御厨をそそのかして敗者をその場に釘付けにして保健室に向かった。


 月下美人を机に置きすぐさま逃げ出そうとした和樹は、見知った気配がベッドの上で寝ているのに気付いてそちらに意識を移した。 
 その気配がカーテンの向うでうめき声をあげているので、和樹は少し心配になったが声から疲れているのだということがわかったので、そのままにして出て行った。

 (そういや、昨日も何処か疲れてたな、凛ちゃん)

 今までサボリ気味だった運動をいきなり大量にやり始めたというような感じが、全身から発せられる熱(和樹は相手の熱によって体調や簡単な感情がわかる)からする少女の事を考えながら和樹は教室に戻っていった ――(紅尉を避けるために)もちろん急ぎ足で


「保健室で眠るほど疲れているなんて、凛さんどうしたんでしょうか」

 放課後一緒に下校しているとき、保健室で凛が寝ていたと和樹が言うと、夕菜は心配そうな声を出した。 
 その言葉に和樹が相槌を打っていると、夕菜が少し先を歩いている凛を見つけたので声を掛けた

 「凛さん、一緒に帰りませんか?」

 「……夕菜さん!……と式森」

 「……とりあえず、俺を見た途端一歩離れようとするのは止めないか」

 「……お前、自分がそういえる立場だと思っているのか?胸に手を当てて考えてみろ」

 呪詛すらこもっていそうな声を聞いて、本当に胸に手を当てた和樹だが

 「心当たりが無いな、何のことを言っているんだい」

 「くっ……」

 何事か言おうとして、何か言えば和樹の思う壺だと思い黙り込んだ凛。そのいつもの光景を見ていた夕菜は、凛に助け舟を出すことにした。このままだと、凛はまた和樹に遊ばれるだろうから

 「そういえば、凛さん今日部活はいいんですか?」

 「あ……いえ、今日は休みました」

 夕菜に感謝の視線を向けて、答える凛。

 「部活って何部?」

 「生物部だが――」

 今までの多くの者達と同じく「剣道部だとでも思っていたのか」と続けようとした凛だったので

 「へえ、結構似合っているかもね――」

 意外そうではあったもののあっさりと納得した和樹は新鮮だった。少し驚いた凛だったが、その次の科白で脱力した。

 「――凛ちゃんの白衣姿♪」

 「和樹さん何を想像しているんですか!」

 夕菜の突っ込みを受けたあと、和樹は怒る気力も体力もなく疲れきった凛に

 「でも、凛ちゃん。たまに剣道の試合に出てるよね。助っ人?」

 「ああ、そうだ。どうかしたのか」

 「いや……試合の成績が結構いいって聞いたし、いつも日本刀持ち歩いているからさ。剣道部じゃないのならどこで鍛錬したのか興味があって」

 「……本家に道場がある。剣術はそこで習った」

 「ふう〜ん。じゃあ、やっぱ師匠とかが」

 「言うな!」

 突然の激昂に夕菜は飛び上がり、和樹はいつも自分がからかったときのより凄いなと思い、この激昂の要因になったその師匠に対して興味を持った。

 「あんな……あんなやつは師匠ではない。あのサディストめ、小さい頃、あれだけしごいておいて、昨日も……」

 そこまで言うと、はっとして右手で口を押さえて周囲を見渡すと、黒鞘の刀を左手に持ち和樹のほうをすがるように見た。

 「式森、頼みたいことがある」

 「なんだい?……ひょっとして、俺たちが合流する前から凛ちゃんを見ていた真昼の変質者が関係しているのか?」

 「……へー、そんな時から気付いていたとはね。でも、真昼の変質者は酷いな」

 感嘆を込めた男性の声が、どこからともなく響くと――頭上から影が飛び出し、三人の中間に着地し、また跳んで、凛に跳びかかった。 
 その動きに凛は十分対応して抜刀した。横一文字に斬りはなった斬撃は、空中の影を捕らえていた。 
 だが、その斬撃は空中に線だけしか残せなかった。影が空を蹴ってさらに上に移動したからだ。 
 そのまま、影は空中を下に向かってもう一度蹴って、対応しきれていない凛の右手を取りながら足を払った。なすすべなく転倒する凛。

 その一部始終を呆然としてみていた夕菜は、隣の和樹が悠然と見ているだけのことに気付き声を掛けた

 「か、和樹さん!凛さんが――」

 その慌てた声に対して、和樹は見世物を見た後の余韻に浸る観客の態度で

 「大丈夫、大丈夫。凛ちゃんは無事。「で、でも」だってあれ、男が手加減していたからね「え!?」足払って地面に倒すときも、少しの間体が痺れて動けなくなるけど後には響かないようにしていたし「は、はあ」第一、殺気も敵意も無かった。だから心配することない――ですよね」

 最後は影に向けられた言葉だった。その声を掛けられた二十過ぎの黒シャツ・ジーパンを着た糸目をした男は苦笑して

 「驚いたね。そこまで細かく見られるなんて……」

 「目には自信があるんです」

 「なるほど……山の貴人を倒したのは冗談でも大げさでもないようだね」

 動体視力というものは、持ち主の実力を測る一つの基準でもある。そのため、男は和樹の実力を自分より上だと見た。あの速度の中で、足のどこをどれだけの力で蹴ったかを細部まで見て取るなど人狼である男ですら出来ない。
 感嘆と戦慄を味わっている男に対して和樹は

 「ところで、あなたはどこのどなたで、凛ちゃんとどういう関係なんですか……因みに俺は式森和樹で、こっちは「宮間夕菜です」」

 「ああ、これは失礼したね。僕は神城駿司。凛のまあ……保護者だな」

 「誰が……保護者なものか」

 ようやく体の痺れが取れて起き上がった凛の、ふてくされたような物言いを聞いた和樹はほほえましい気持になった。

 「なるほど……凛ちゃんが昨日から疲れていてもなんだか嬉しげにそわそわしていたのはそういうことなんですね」

 その言葉を聞いて、凛が「ちょっと待て、誰が」の「ちょ」まで言ったところで、嬉しそうに目を輝かせた駿司が

 「そうなのかい?」

 「ええ、そりゃあもう――」

 「何で私が、このサディストが来て喜ばなければならない!でたらめを言うな!!」

 凛がいかに嬉しそうだったかを力説しようとした和樹だったが、顔を真っ赤に染めた凛が絶叫したので中断された。 
 それを見た和樹は「もう素直じゃないんだから」という目をし、表面は笑っているが内心少し傷ついた駿司に小声―凛や夕菜にも聞こえる声―で話しかけた

 「もう少し、素直に行動することを教えたほうが良かったんじゃないですか。凛ちゃんって意地っ張りだから、いざというときまで行動しないでしょう」

 「分かるかい」

 「ええ……でも、その意地っ張りの凛ちゃんだからこそからかいがいがあって面白いんですけどね」

 「はは、そうだな。君はよくわかっている。そういえば――」

 それから、凛の過去の話や学校での話で盛り上がる二人を、真っ赤になって止めようとした凛だが――その肩に夕菜が手を置き凛が言えばそれでからかわれるというように首を振ったので、涙を呑んであきらめた。

 第一回保護者会談が終了したとき、和樹と駿司は満足げだったが、凛は疲れきって夕菜に慰められていた。


 「ところで駿司さんは、何の用でここに」

 「ああ、ところで和樹君―すでに名前で呼び合っている―「なんです」凛と婚約者なんだよね」

 「婚約者というより、全てを――」

 「違う!こんな性格破綻者が婚約者なものか!」

 「……(和樹君が何を言おうとしたのか気になるけど)ふーん、じゃあ本家に帰るしかないな」

 その言葉を聞いて体を震わせる凛を見たわけではないが、和樹がその一言を聞いて進み出た

 「ちょっと待ってください。駿司さん、凛ちゃんを連れ戻すってどういうことですか?」

 「神城の本家は九州にある。知っているかな?」

 「ええ……なるほど、そういうことですか」

 先程の話や凛と会ってからわかったことから見ると、凛は分家の出でありながら本家の跡継ぎとして迎えられたらしい。 
 だとしたら、凛は本家に近いエリート校に通いながら、本家の仕事などを覚えるのが、通常の旧家の方法だ。特に神城のような退魔の家系の場合は、まずは地元に跡継ぎということを知らしめなければならないからその傾向が強い。 

 なのに、凛は東京の葵学園に来ている。本家が凛の腕を認めて『首都を見て、そこで勉強―権力者との顔見せも含まれる―して来い』というようにしたのなら別だ。 
 が、今回、凛の師である駿司がここに来たことを踏まえると、凛はまだまだ満足できる合格点に達していないのだろう。

 つまり、凛がここにいるのは、彼女が家に嫌気をさして逃げたか、自立の為に来たということになる。 
 だが、本家はそのことを許さずに凛を連れ戻すため、もしくはここで修行を再開するために駿司をここにやった。
 そして駿司の先程の言葉からすると、凛は自分――式森和樹とある程度の関係となっていなければ強制的に連れ戻されるということなのだろう。
 胸糞悪い話だが救いはある。当の駿司がそれに対して乗り気ではない――というより反感を抱いていることだ。 
 だから、駿司が凛の件はどうにかするだろう。自分は、ことの推移を見て楽しむだけでいい。

 そこまで考えると、和樹は視線を駿司に向けた。 
 その動作で、駿司は和樹がある程度理解したのだと判断して話を続けた。

 「和樹君の遺伝子をもらってくるんだったろ……そうでなくとも凛。君の腕は前より落ちている。本家に帰って本格的に修行をやり直したほうがいいな」

 「ま、待て、それは……」

 「みんな待ってるぞ。それに修行不足はどうしようもない」

 「おじいさまに会うのは構わんが……でも、私は行かない」

 和樹は凛に制服の袖を握られた

 「私には残る理由がある……か、彼は性格は悪いが、剣の腕は確かだ……聞いているだろう山の貴人を倒したんだ……だから、私は彼から色々と学ぼうと思う。だから、婚約者としては……ふ、ふさわしい……かも」

 必死な凛を見ているうちに、からかいたくなるのが和樹という人間だ。

 「性格破綻者が?」

 「う……」

 口ごもって恨めしそうに和樹を見る凛だが、駿司がこちらを疑わしげに見ているので、言葉をつなげようとしたが

 「そ、そうだ。こいつは卑劣だし、人をおもちゃにしてからかっては楽しんいるような性悪だ……それに、相手に対して容赦なく攻撃して平然としているような非情な奴だ(中略)――」

 和樹におもちゃにされたこととか、麻衣香のこととかを思い出して、非難じみた言葉になっていった。

 「凛「何だ」……婚約者のように仲よさそうには見えないんだけど」

 疑わしげにこちらを見てくる駿司に気圧され、口ごもった凛だが

 「――で、でも強いのは確かだ……それに仲も……いい」

 そう言いながら、こちらの腕を絡めてくる凛の体が完全に固まっているのでほぐしてあげようと―本音は、あまりにも凛の耳がいい場所にあるから―

 はむ

 「ひあっ!!??」

 和樹は凛の耳を唇でかみ、可愛い悲鳴をあげた凛の首のところにあるつぼを押しながら熱を送り込むことで、体を動けなくさせると同時に敏感にさせて、耳を愛撫し始めた

 「あ……あっ、ああ、うっ……く……あ……うう……あっ!……は…あ……」

 口を閉じることもできないどころか体の自由もほとんど聞かないので、抵抗も出来ずあえぐだけだった凛が軽く達して和樹に身をゆだねるような体勢になると

 「結構仲が良いかもしれませんね」

 和樹は、最後に凛の耳を一舐めすると何事も無かったかのように口―唾液の橋を架けたまま―を離し、唖然としている駿司に向かってのたまい。
 直後、「殺す!!」と叫んで顔を真っ赤にした凛の斬撃を躱しながら、駿司のほうを指差して口を開いた。

 「凛ちゃん。あっち、あっち」

 その言葉にはっとした凛は駿司のほうを見ると――疲れきったかのような駿司の姿を見つけた

 「凛、もう一度聞くよ……本当に仲がいいのかい?」

 一言一言を区切るように言う駿司の言葉に、凛は出来る限り顔は遠ざけていたがもう一度和樹の腕と絡ませて隣で「せっかく協力したのに」などと呟く和樹を潤んだ目と赤い顔のまま睨んだが――頷いた。
 そんな健気な凛を見て「目を潤ませて上目遣いで睨んでくる凛ちゃん萌えるな〜」などと考えて罪悪感の欠片も感じてないあたりが和樹だ。

 「どうにも僕には君らが婚約者とは思え――」

 「ちょっと待ってください!」

 そこで先程まで、目を丸くして一部始終を見ていた夕菜が口を出した。

 「和樹さんと凛さんは婚約者じゃありません。それは私です「ゆ、夕菜さん」でも、和樹さんと凛さんは友達ですし、私もそうです。凛さんが、これだけ嫌がっているのに連れて行ったりしないでください!帰るのならお一人で帰ってください!」

 夕菜がこんな科白を吐いたのは、あまりに凛が不憫だからだ。駿司には無理矢理連れて行かされようとし、頼りの和樹は凛をおもちゃにしている。
 もちろん、凛の婚約者宣言や和樹が凛に対してやったことには怒っているが、それ以上に凛が可愛そうだと同じ女としての怒りを爆発させた。

 「夕菜さん!」

 周囲が敵ばっかりだった凛は、夕菜の傍に走っていった。傍に来た凛を慰めながら夕菜は、駿司と和樹―今回一番非道―を交互に睨みつけた。 和樹に対しての視線のほうがっ強かったのはご愛嬌。 


 「……それじゃあ、こうしよう。一週間後、僕と凛が決闘して、凛が勝ったら僕は一人で帰って報告しておく。負けたら凛は帰って修行……ハンデとしてそっちはその子の参加もありだ。どうだい?」

 そう聞いた駿司に対して凛は頷き、夕菜は隣にいる―夕菜は最初から和樹の近くにいた―和樹を見ながら

 「和樹さんは……」

 「悪いけど和樹君は参加しないでくれ」

 「「どうしてだ(です)」」

 「和樹君と闘ってかつ自信がない「「え!?」」和樹君の実力はおそらく僕より上だ。僕は山の貴人には勝てない。だから、和樹君に関しては強制できないし、するつもりもない」

 その言葉に夕菜と凛は、どう見ても強そうには見えない外見をした和樹を見たが、いろいろと思い出したので納得して頷いた。

 「それじゃあ、一週間後の夜の九時ごろ。場所は、この近くの空き地にしよう。結界を張っておくから近所の心配はしないでくれ」

 決戦の地は、風椿不動産のものになったが、使用不明の大金のことで会社がもめているので工事が始まっていない空き地に決まった。

 駿司が立ち去ったあと残されたのは、和樹を見て一度首を振ったが「あいつしかいないな」と呟いて何か覚悟を決めた凛。
 和樹がどちらにしても無事だと分かったが、一度言ったので最後まで凛に付き合おうとする夕菜。
 先程自分に対してもたれてかけていた凛の顔の写メール―何時の間にか撮っていた―を玖里子と駿司に送る和樹だった。


 私は特に夕菜をいい子に見せようとは思っていないのですが――和樹が悪党ではないけど、極悪人なので自然に……

 和樹は駿司とは戦いません。和樹にとって駿司と戦う理由が無いからです。関わりはしますが


 ではレスを

 >雷樹様
 和樹や朧が居るため余裕があるのと、帰るべき家があるので和麻に娘はいます。 聖痕編の最初のときは、和樹はいませんが途中からふらりとやってきます。

 >紫苑様

 桜とエリスは非常に仲がいいです。
 確かに煉は、お姉ちゃんと呼ばれたほうが合ってますね〜。 
 聖痕編の最初のときは、和樹はいませんが途中からふらりとやってきます。

 >D,様
 千早は、エリスという存在がいるためさっちんほど酷くはならないと思います。 話は変わりますが、メルブラでのさっちんは救われているんでしょうか?

 >ナイン様
おっしゃる通り、綾乃は和麻とくっつく予定です。
個人的にあの二人の関係って好きなんですよ。ハブとマングース 

 >柳野雫様
 和樹君、極悪人ですから……いろいろな意味で。 
 駿司は死なせない予定です。彼は生きてて欲しいキャラなので。

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