ばっさばっさと翼はためかして逃げ去るのはデモラ一族の一人、デモテロス。
少々キツいダメ−ジを受けているようだ。
そして王宮前庭には片ヒザをついてデモルトが座り込んでいる。
残念ながらご先祖の同朋を討ち果たすには至らなかったようだ。
「くうう・・・無念」
「いえ、十分よ」
振り向くとそこには、魔界を統べる女王ティオの姿があった。
「倒せなかったのは残念だけど、追い払えたのは上出来上出来。
よってあなたに特別恩赦をあげる事にしたわ」
「オンシャ・・・だと?」
「そう!あなたにはこれまで魔力封印マイナス50という刑罰を施してきたわ。
しかしそれではやはりフビン。という訳でこのデモラ一族との戦いに勝利し、あなたがそれに貢献した場合、
封印をマイナ95まで下げ、かつあなたの魔力開放を、これまでわたしの一存で可能だったのを
厳重な検査と監査と会議の果てのみに限定するわ!」
「・・・良く判らんがそれは良い事なのか?」
「当然!!それによりあなたはより(都合)良く力を使えるようになるわ!
なんせ特別よ、特別!」
「そうか・・・特別なのか・・・限定とか特別とかいった言葉は・・・好きだ」
そうやってみんなダマされるんだよ。
扉の横に「デモラ一族襲来対策本部」とか張り紙してある部屋の中。
「それで、あなたはデモラの土人形に取り込まれたのね?」
「うん・・・じゃなくってはい」
「どんな感じだった?」
「どんな感じっていうか・・・あのひとたちが欲しがってる物があるみたいです」
「!!!」
「それは一体なんなの?デロスはその辺り聞かされてなかったようだし」
「それが・・・良く判らないんです」
「なんじゃいそりゃ!」
「あれの中から出してもらった後、なんか消されたみたいにその時の記憶がボンヤリしてるんです」
「・・・判る事だけでいいから教えてくれない?」
「頭の中に話し掛けてきました。
『 を多く持っているのは誰だ』って。
『知らない。わたしはあの戦い、かなり早くリタイアしちゃったから』
『判る範囲でいい おまえの知る限り を最も多く持っているのは誰だ』
『やっぱりティオかな。優勝したし。でも』
『でもなんだ』
『多分、ガッシュの方が沢山 を貰ってると思う』
『ガッシュ・・・ガッシュ・ベルか』
そこで助けてもらえたの」
「つまり・・・何か判らないナニかを一番多く持ってるのがガッシュ、ということね」
「わたしなのか?」
「ならば話は簡単。この先デモラはガッシュを集中攻撃してくるって事でしょ」
一斉に頷く一同。状況を理解してないガッシュ。
「なんか、物凄く欲しがってる雰囲気だった。それさえ手に入れば自分達は真に勝てるって」
「よおっし判った!女王として命じます。
魔界宰相ガッシュ・ベル!以後魔界で最も守りの堅い女王の傍らにい続ける事!」
「え−!」と複数の抗議声がする。
「お風呂と・・・お、おトイレ以外は常にあたしの側から離れちゃ駄目よ」
「意義あり!」となるほどくんな感じで駄目出ししたのはパティ嬢。
「むしろデモラの狙いを分散させるためにも別行動取るべきだと思います!
その際の護衛は親衛騎団とあたしが」
「却下却下却下!」
さっと椅子から降りる両者。
ティオは守りの堅いプ−カ−ビ−スタイルを取り、パティはヒットマンスタイルから大きく右手を振り子のように、死神の鎌のように揺らす。
鋭く、連続して激突する両者の拳。
「オラオラオラオラ」「無駄無駄無駄無駄」
「ま・あっちはほおって置いて、実際どうするよ」
「わたしは、いっそ最前線で戦うべきだと思うのだ」とご本人。
「デモラの者達の目的が今ひとつはっきりしない以上、やはり打って出るべきではないか?」
「左様」と答えるア−ス。
「今は情報が足りぬ。それに敵は『何か』を一番多く持っているのを探していた。
ならば少ない量であっても他の者もそれを持っているということであろう」
「ロ−ドロ−ラ−だっ!」「天翔ける竜の閃き!」
「そうだな」とテッドくん。
「こういう状況じゃ守りに入ったほうが負けるってモンよ。
そして先に相手の急所に一撃 とここでパンチを繰り出すポ−ズ かました方が勝つ。
それがケンカってモンだ」
「決まりだな。
ガッシュは以後俺たち親衛騎団と共に対デモラ最前線に立つ。
そしてヤツらの狙いを探り出すということでいいな」
「「「おう!!」」」
「女王ティオ・・・あなたの敗因はたったひとつ・・・あなたはわたしを怒らせた」
続きます
新年明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
ところで宮島に初詣に言ったら「職員の写真撮影禁止」の張り紙が。
業務に支障きたすくらい巫女さんの写真とりまくる連中がいたんだろ−な−。