「ふあああああ」
呑気に野原で昼寝なんぞしてるのは・・・デモラ一族最強と謳われしデモロス。
その傍らに佇むは忠実なしもべを自称せし可憐な乙女デモイ−サ。
しかし
「そんな所で何をしているのかね」
突如かけられた声に驚くイ−サ。
「何者!?」
デモラ一族の端に連なるものとして戦闘力は低くは無いし、周囲への警戒も怠ってはいなかった。
しかし、現実に間近から声は聞こえ、その姿は見えず居場所も感じられない。
「まぁさ、とりあえずカクレンボしてね−で出て来たら?」
欠伸をしながら起き上がるデモロスに「そうですね」などと答えて姿を現す「ソイツ」
「あ−・・・知ってるよ。確かゾフィスっつったよな。こないだダロスのおもちゃになった」
ヒクヒクとこめかみをひきつらせるゾフィス。
「ま、ままままままままぁそんなところです。先ほどから密かに、僅かに送っていた殺気に反応なさっていたところから
かなりの腕をお持ちのようで。見た所デモラのお方と存じますが」
「ま−ね」
「ひとつ提案です。手を組みませんか」
「却下。おれたちゃそれなりに人手はあるし、情報もきっちり集めてる。
なにより手ェ組むならそれなりの器もったのと組みたいんだ。
はっきり言うとダンスのパ−トナ−に操り人形選ぶ趣味ね−の。
他当たってくんな」
「『ギガノ・ラドム』」
しかし生み出された三つのエネルギ−球は、拳ほどのサイズも無かった。
「なんですア
そのセリフを最後まで言わせず、イ−サを突き飛ばすデモロス。
すると、エネルギ−球から炎(らしきもの)が噴出して彼らに襲い掛かる。
辛うじてかわしたが、地面を貫き穴の底が見えない。
「なるほどねぇ」つぶやくデモロス。
「でっかい術のエネルギ−を圧縮して留めておき、一気に噴出させて攻撃か。
人形にしちゃ面白い芸だな」
「二度とその言葉、口にするのは許しません」
怒りに震えるゾフィス。
「それに、わたしは自分が操られているのをかなり初めから気付いていたのですよ」
「なるほど、それで電池用意したのか」
「電池?」
「ああ。多分自分が操られ、また操る誰かから魔力送られてるのを利用して、どっかに
魔力溜め込む電池みて−なのを作ったんだ。
今の見たろ?恐らく強力な術を三ついっぺんに使ったって制御の意思力も、電池に溜め込んでたにちげ−ね」
「その通りですよ。故に今の私はデモラ一族全てと同時に戦っても勝てるでしょう」
「そいつぁ調子乗りすぎだぁな。
確かに、一族の末裔の・・・なんてったけ?デモルト?あれとブラゴっつったか。
そのコンビ三セットと互角以上の魔力は持ってそうだ」
「そうでしょう」
「でもなぁ、『パワ−がある』と『戦いで強い』は決してイコ−ルじゃね−んだ。
知恵や勇気、相性に敵の弱点を見抜く観察力。他にも勝利の要因って奴ぁ山とある」
「しかし、圧倒的な力はそれ全てを飲み込むとは思いませんか」
全身から強大なエネルギ−を迸らせるゾフィス。
そしてその威圧感に思わず身をすくませるイ−サ。
「同感だね。だからこそ、他のならともかくおりゃあんた如きと組む気が起きね−んだ」
「ならば・・・死ぬがいいでしょう」
「おめ−さんは自分の力とダロスからちょろまかした借りモンのパワ−の区別が付いてね−。
だから」
「見せてやるよ」
「本当の」
「圧倒的な」
「力ってヤツを」
ケシズミが地面に転がっている。かつてゾフィスと呼ばれたモノだ。
「阿呆が」
「ね、ね、デモロスさま」
「何だ」
「やっぱあたしも世界滅ばないほうがいいです。
人間界って色々面白いモノありますし」
「あの、緑色のカエルモドキに教えられた模型作りのことか」
「他にも、あの袋に入った赤いお菓子。あれ美味しかったですよ。
もう七百袋も食べちゃいました」
(あのハバ○ロとやらか・・・アレ作ってる所だけは滅ぼしてもいいかもしれんな)
続きます
ちこっとデモロスの強さを見せたくて。
しかしゾフィスが哀れ・・・ごめんね。