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「クロノFate 3話(Fate+クロノクルセイド)」

柿の種 (2005-01-04 01:16/2005-02-02 09:43)
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「最悪ね。」

学校に張ってあった結界を放課後になって詳しく調べて見た凛の感想がそれだった。人目見た瞬間から悪質なものである事はわかっていたが、調べてみてそれが予想を上回るものである事がわかった。

「ええ、許せないわ。」

学校に張られた結界は、発動させれば結界内にいる抵抗力の弱いものを一瞬にして溶かし、その魂を集めるという呪いに近いものだった。しかも、宝具によって形成されている為、凛にも、結界破りの宝具を持たないロゼット達にも打ち消す事はできない。もっとも、ホーンさえあれば、クロノの時間凍結で無力化する事もできるのだが。

「シスター・・・・あなた達って霊体なのよね?」

「・・・・ええ、そうよ。」

凛の問いかけに対し、その本懐を理解したロゼットが頷く。

「私達の本質が霊体である以上、魂をとりこんだりすることで魔力を高めたりすることはできるわ。これを張ったサーヴァントのマスターはそれを実行した外道ってことなんでしょうね。」

「なるほど。と、すると、この学校にマスターがいる可能性ますます高くなったわね。」

凛は慎二と桜の事を思い浮かべる。学校のような目立つ場所にまるで隠す気の無い結界を張る者など、そこを活動場所にしている人間以外考えられない。二人は共に魔術士の家系だが魔力を感じない事からマスターから除外していたのだが、“そういう方法”で魔力を補完できるのなら、召還さえどうにかしてしまえば問題はなくなり、彼等がマスターである可能性も否定できなくなる。

「今日見たところ、二人とも令呪は持っていなかったみたいだけど・・・・。」

「どんなことにも裏道はあるよ。特に、その二人の家は聖杯戦争を始めた一族なんだろう?」

「・・・・・そうね。」

凛が挙げた唯一の否定材料をクロノは切り捨てる。ありえないと考えていたことが既に一つ起こってしまっているだけに、凛もその可能性を否定できない。

「とりあえず、この結界、排除できないまでも邪魔ぐらいはしておきましょう。そして、明日、慎二と・・・・桜に問い詰めてみるわ。」

凛が方針を決め、魔術を行使しようとする。だが、その時、見知らぬ男の声が響いた。

「何だよ、消しちまうのかもったいねえ。」

反射的にその場の全員がそちらを振り向く。そこには、槍を持ち、青いタイツのような鎧を着た男が立っていた。

「あなた、サーヴァントね。この結界を張ったのはあなた?」

凛はその男の目を見据えて言う。だが、男、槍を持つサーヴァントであることからおそらくランサーは軽い口調で否定した。

「いや、違うぜ。こういうのは魔術士の仕事だろ?」

そして、そこで、突然雰囲気を変え、戦闘態勢に入った。

「ま、それはそれとしてだ。聖杯戦争のマスターと敵サーヴァントが出会ったんだ。相手してもらうぜ。」

「シスター、パートナー、まずはあなた達の力を見せて頂戴。それまで、手助けはしないわ。」

「わかった、まかせて。」

「うん。」

凛の言葉に従い、ロゼットとクロノが頷き彼女の前に立つ。それを見てランサーは少し驚いた顔をする。

「そっちの金髪の嬢ちゃんはサーヴァントみたいだが、そっちの坊主は何者だ?サーヴァントの気配はしねえが、魔術士といった様にもみえねえしな。」

その言葉に対し、ロゼットがおかしそうに笑って答えた。

「聞いてなかったの?私のマスターが言ったでしょ、彼は私の相棒(パートナー)よ!!」

その答えと共に、ロゼットは銃を抜き撃つ。だが、ランサーはそれを軽々避けた。

「銃使いか!!いい腕だな!だが、俺には飛び道具は当たらないぜ!!」

男はそう叫び、そのまま信じられないスピードで凛達の方に向かってくる。ロゼットは銃を連射するが、ランサーはそのことごとくをかわし、あるいは弾く。そして、ランサーの槍がロゼットに届くところまで来る。

「どうした!?こんなものか!!」

ランサーは叫び、そのままロゼットを貫こうとする。だが、それよりも速くクロノが動いた。

「させるかっ!!」

クロノが生み出した魔力の塊がランサーを吹き飛ばす。それほど大きなダメージは無かったらしく地面に着地するがその表情には驚きが浮かんでいる。

「魔術!?いや、こいつは魔力そのままを放ったのか・・・。てめえ、悪魔か!?」

悪魔は魔力を魔術という形に加工せずとも、そのまま、武器や防具にすることができる。その事からクロノの正体を見破ったランサーはニヤリとした笑みを浮かべる。

「なるほど、こいつはおもしれえ。パートナーとか言ってたな。手前らは二人で一人前って事か。」

そして、再び突撃をかけて来るランサー。それに対し、クロノとロゼットは申し合わせたように左右に展開した。

「いくわよ!!」

「ああ!!」

そして、左右から銃弾と魔力の弾丸の雨を降らせ、挟撃する。流石のランサーもその全てをかわしきる事はできない。何発かをその身に受ける。

「ちっ、なら、これでどうだ!!」

苦痛に表情を歪めたランサーが守りのルーンを体に描く。それによって、威力の低い二人の攻撃のほとんどは弾かれてしまう。

「まずは、一人やらせてもらうぜ!!」

そして、ランサーはロゼットに飛び掛る。ロゼットは十字架の短剣を地面に突き刺し、防御結界を発動させる。

「はっ!!こんなもので俺の槍を防げると思うなよ!!」

結界とランサーの槍がぶつかりあう。そして、ランサーの槍が結界を貫いた。だが、しかし、一瞬の足止めにはなった。そしてその足止めは懐から宝具を取り出し、その真名を開放するには十分な時間。

「四つの聖文が刻まれし銃(テトラドグラマトン)!!」

必殺の一撃が放たれる。光の閃光がランサーのいた場所を貫く。だが、その次の瞬間、ロゼットもクロノも凛もその目を疑う事になった。


「そいつがお前の宝具か。まともに喰らったらやばかったな。」

ランサーは立っていた。ロゼットの斜め前、一歩でも進めば槍の届く位置である。ランサーはロゼットが放った必殺の一撃を回避したのだ。正確には完全に回避した訳ではなく、肩にダメージを負ってはいる。だが、そんな事は問題ではない。何故なら先ほどの一撃は絶対回避不能のタイミングで撃たれた筈だったのだから。

「宝具か保有スキルね・・・・。そうでなきゃ、いくらなんでも今の一撃を回避できる訳はないわ。」

ロゼットが呟き、それに対しランサーが感嘆したような口ぶりをみせる。

「鋭いな。そこまでばれちゃあ、こっちもほっとけないな。我が必殺の一撃見せてやる。」

ランサーが構え、そして周囲の空気が変わった。そのランサーと正眼に銃を構えるロゼット。凛はその空気を感じ取り、身動きすらとれない。その槍が放たれればロゼットは死ぬ。その場の全員がそれを理解する。

「ロゼッ・・・・・!!」

そしてクロノが思わず彼女の真名を叫びそうになった時だった。そこに一人の乱入者が現れた。


(後書き)
ランサーのルーンってどんなものがありましたっけ?公式設定で決まってますか?調べてもよくわからなかったので適当に作りましたがまずかったら言ってください。

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