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「Fate/capture night3(Fate+CCさくら)」

SK (2004-12-23 15:53/2004-12-23 15:53)
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夢を見る
真っ暗な闇の中、ぽつんと立っている男の子の姿
昨日会った女の子と同じ、銀色のきらきらした髪に、兎みたいに真っ赤な瞳をしていた
この男の子の夢を、十年前から時々見ていた

だけど今日は違っていた
その子が、初めてこっちを向いたんだ

『え、えと、こんばんわ?』

何を言ったらいいのか分からなくて、口から出たのはそんな言葉だった
男の子は、びっくりしたように眼を開いた

『え?君は・・・?』

あ、そっか。いきなり知らない人にあいさつされて、驚いてるのかな?

『あっ、私は衛宮さくらっていうの。えと、いきなり話しかけちゃってごめんなさい。邪魔しちゃった?』

男の子は、少し笑って首を振った
寂しい笑い方だった

『少し、驚いたんだ。ここに人は来ないし。僕はそんな事言われた事がないから。今のは、あいさつって言うんだよね?』

こくんと頷くと、男の子は飛び切りの笑顔になった

『そっか、これがあいさつなんだね。こんばんわ、さくら。僕も名前を名乗りたいんだけど、僕には自分の名前がないから』

困ったように、首をかしげる

『ずっと一人で?さびしくないですか?それに、名前がないって・・・』

『僕は悪者だからね。この髪と瞳が、悪魔の証なんだってみんな言ってた。だから、さびしいってどんなことかも、分からない』

強がりでもなんでもなく、本当に分かってないのが伝わって、哀しくなる

『ふぇっ、一人は、さびしいよ。それに、あなたは、悪い人なんかじゃない、その髪も目も、すごくきれいだよ』

あまりにもこの人がさびしくて、泣き出してしまった
一人がさびしいと、教えてくれる人もいないほど、この人がずっと一人きりだったことが分かってしまったから

『何で、泣いているの?泣かないで、僕、どうしたらいいのか分からないんだ』

おろおろと、あわててる男の子に、私はぎゅっと抱きついた

『ぎゅっとして。私が泣いてるとき、お兄ちゃんはこうしてくれるよ』

私が言うと、男の子はおそるおそる手を伸ばして、そっと抱きしめてくれた

『えっと、僕が触れてもいいの?』

『うん、あったかくて気持ちいいよ』

こわごわと、男の子は私の髪に触れた

『本当はね、僕、さくらに会いたかったんだ』

『ほえ?私のこと、知ってるの?』

『うん、僕が一度、少しだけ外に出た時に見たよ。お兄さんが、君を必死で護っていたの。それを見て、僕は初めて美しい、って思ったんだ。だから、ねえ、さくら、一つだけ、お願いしてもいい?』

『私に出来ることならいいよ』

そう答えると男の子は、ぱあっと花が咲くような笑みを浮かべた

『いつか、僕という悪を殺して』

僕を切り裂くのが君のお兄さんで、僕を消すのが君であればいい


「待って!あ、あれ?」

気がつけば、おふとんの中だった

「夢、なのかなあ」

だけど、前にケロちゃんが言っていた
私の夢は、特別な意味を持つことがあるって

「なんだろう、まだかなしいよ」

夢の残したさびしさが、しばらく頭をぼんやりさせて、頭がはっきりしたのはご飯を食べてる最中だった

「あれ?お兄ちゃん、その手は?」

お兄ちゃんの左手に、あざのようなものが出来ていたのを見つけたからだ

「え?あれ?何時ついたんだろうな。痛みが全然ないから気づかなかった」

二人で首をかしげる
桜さんの方を見ると、桜さんが真っ青になっているのに気づいた

「桜さん、大丈夫!?すごく顔色悪いよ?」

「あっ、ええ、大丈夫です。それより、最近は物騒だから、先輩もさくらちゃんも夜遅く出歩いちゃダメですよ?」

そんな注意をいって、桜さんふらふらした足取りで出て行った

「大丈夫かな、桜さん」

「ああ、心配だな」

これが、日常の終わりだった


そして、運命の夜が始まる


「お兄ちゃん、遅いなあ」

そわそわしながらお兄ちゃんを待つ
今日は、なんだかすごく嫌な予感がする

「なんかあったんとちゃうか?」

「ああ、主の感は当たるからな」

カードを作ったクロウさんは占い師でも会って、カードも占い道具として使える
だからだろう、カードさん達の主になってから、私の感はすごく当たるようになった

いても立ってもいられなくて、お兄ちゃんの学校まで行こうとしたとき
お兄ちゃんが帰ってきた

「お兄ちゃん、おか、!」

つんと、さびた鉄の匂いがする
これは、血の匂いだ

「血が・・・・・・!」

「大丈夫だ、傷は治ってる」

お兄ちゃんはそんな事を言うけど、こんなに強い匂いがする
血の跡は胸の辺りを中心に広がっていて、死んでないのがおかしいくらいなのに
つい泣きじゃくってしまった私をお兄ちゃんが宥めようとしたとき

警鐘が鳴った

お父さんがこの家に残した結界
頭の中で、何かがささやく
これは、お兄ちゃんを殺そうとした存在だ――と

「さくら」

お兄ちゃんが、魔術師の顔で私を見る

「うん、大丈夫だよ。だって私達は、魔術使いエミヤなんだから!」

お父さんの苗字をもらった私達は、こんなところで死ぬわけには行かない

「投影・開始(トレース・オン)!」

「封印解除(レリーズ)!」

鍵の力を解放する

「戦いの始まりだな、さくら」

お兄ちゃんは、見た事のない双剣を手にしていた

「お兄ちゃんと二人なら、絶対大丈夫だよ」

頭の中に、何かが閃く

「上!」

お兄ちゃんはとっさに反応して、私を抱きかかえて窓から飛び出した
さっきまでお兄ちゃんがいたところを、槍がかすめる

「・・・余計な手間を。見えていれば痛かろうと、俺なりの配慮だったのだがな」

赤い槍を持った、蒼い男の人がそこにいた

「ちっ、しかも家族までいやがったのか。女子供を殺すのは趣味じゃねえんだが、これも命令だしな」

ギルお兄ちゃんの言葉を思い出す

「お兄ちゃん、土蔵まで走って!」

お兄ちゃんも覚えていたのか、こくりと頷く

「逃がすかぁっ!」

蒼い男の人の槍を、お兄ちゃんは双剣でさばく

「なっ、それはあの野郎の・・・!どういうことだ?」

男の人は戸惑っているようだけど、そんな事は関係ない
今は、お兄ちゃんに土蔵まで行ってもらわなきゃ・・・!

「ケロちゃん!月さん!」

二人が、真の姿になる
ケロちゃんが男の人におそいかかり、月さんが魔術の矢で援護する

「私が時間を稼ぐから、お兄ちゃんは早く!」

「分かった。任せたぞ、さくら。信じてるからな」

お兄ちゃんが、私を信じてくれている
だから私は負けるわけには――殺されるわけにはいかない!

「さあ、あんさんの相手はわいらやで!」

ケロちゃんの鋭いつめが、男の人をおそう
男の人は、手にもった槍でケロちゃんを弾き飛ばした

「ちっ、使い魔か。ここまで出来のいいのは初めて見るが。ちっ、ここまで出来のいい使い魔を二体も使役するとなると、見た目に反して相当な魔術師ってわけか!」

予想はしてたけど、この男の人は強い
ケロちゃんをあんなにあっさり弾き飛ばすなんて

「月さんは、どうですか?」

「ダメだな、何か加護でもっているのだろう。“矢”では効かない」

それは、魔術が効かないのか、飛び道具が効かないのかは分からない

「なら、風よ、戒めの鎖となれ――風(ウィンディ)!」

ウィンディが男の人に絡みつく
男の人は、大きく跳んで風から逃れた

「まさか、ここまでの実力とはな」

すっと、槍を構える
それだけの動作で、空気が凍る
ギリギリまで引き絞られた矢のように、男の人は襲い掛かってきた
反応するひまもない
稲妻の速さで、迫ってくる
赤い槍に、自分の胸が貫かれると思った

だけど、蒼い稲妻は土蔵から飛び出してきた銀の光によって弾かれた


息がつまる
時が止まったかと思った
永遠に近い一瞬、私はその人に見惚れていた

どこまでも綺麗で、ひたすらに尊い幻想(ユメ)が形になったようなその姿


役者は揃った
運命は、今宵開幕する

To be continued

今回の教訓、さくらちゃん視点でバトルは書くな!
と言うわけで、今度から第三者視点もいれます
後、士郎サイドとさくらちゃんサイドにもわけるかも
学校側の描写も入れたいので

カードの効力がいまいち分からない。数値化すると、どうなんでしょう?
一応、この話の中では特殊効果系(メイズ、イリュージョン、ミラーなど)は耐魔力関係なしに効くとしてます

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