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「『最強の』後継者その24(GS)」

ラッフィン (2008-04-10 23:51)
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「う・・・つつ」

深夜になり寒くなってきた気温の中、旅館に向かう途中にある山道でフミに倒された六道SS達がようやく目を覚ます。体のあちこちが痛んでいたせいか、目覚めの最初の一言が痛いという悲鳴や呻きだったりもしたが、なんとか全員が立ち上がる。

「お前ら。全員いるか?」
「「「「は!!」」」」
「くそっ!メイド如きにやられるとは!!なんてざまだ!!」
「「「「も、申し訳ありません」」」」
「このままでは、冥奈様から承った仕事が失敗してしまう。俺の顔、経歴にも傷がつく・・・なんとかしなければ」
「車は無事のようです。すぐにでも動かせます」
「そうか・・・よし!決まった。お前ら良く聞け!予定変更だ。今から、横島忠夫を始末しにいく」

しばらく思案していたリーダーが発した言葉に部下達は戸惑いの色が浮かんでいた。忠夫といえば、今回冥子と一緒に仕事に向かった少年だったはず。それも六道の当主、華族が懇意しているという噂である。それを殺せというのだから当然だ。部下の一人がそれを指摘してみる。

「しかし、かの少年は六道家とは懇意にしているという・・・」
「ふん!そんなことがあると思うか?方や歴史ある名家、方や一般家庭の庶民だぞ?どうみても格が違うだろう。それにそんな庶民達が六道家に懇意にしてもらえるなぞ、図々しいにも程がある。なぁに、依頼されたのは『メイドを冥子様と一緒にいる餓鬼に近づけさせるな』ってことだ。冥子様はこちらで保護するとして餓鬼は死んでも問題ないだろう」
「(そんなことあるわけないだろうが!無茶苦茶すぎる)」

今までエリートとして進んで来た彼には、メイド一人に全滅という現実は少々重すぎたようである。完全に冷静さを失っていた。それはその取り巻き立った者達も同じだったようで次々に賛同の声が上がっている。そんな中、部下の一人だけが気がついていた。
といってもその彼は実は部下などではない。冥奈に秘密裏に呼ばれてある任務を遂行するために派遣された者であった。六道SSがフミにやられているのを冥奈の夫の傍で見ていて、フミが去った後に倒れている六道SS達の中に混ざったのだ。さきほど、人数確認した際も、全員いるかを確認したのも彼であったため、自分が加わっていることを気付かせなかった。

「よし!行くぞ!!」
「「「「はっ!」」」」
「(全く、どうなることやら。忘れているとは思うが、あそこにはフミがいるんだぞ?)」

彼の不安を他所に六道SS達は車に乗り込み、旅館に向かった。忠夫を亡き者にするために。


「ごちになりま〜〜〜〜〜っす!」

フミは思いっきり、忠夫が寝ているはずの布団にダイブする。さすがに服は脱いでいないが。フミは着地する直前に腕と足のバネを使い、衝撃を吸収することによってほとんど音を立てないで布団に着地すると腕を一閃。布団が浮き上がったところに体を滑り込ませる。その作業を無音で行うという神業を披露したのだが、観客がいない上に使用用途が愛しい人の布団に潜り込むというちょっとアレな場面だったために微妙である。

「忠夫様〜♪♪♪♪♪♪」

スリスリスリスリ・・・

「あれ?」

抱きついて頬摺りをしたのだが、返って来るのはまだ少し暖かい布団の感触だけである。おかしいと思って目を凝らすと、布団には誰もおらずフミは誰もいない布団で高速頬摺りをしていたという状態であった。

「どどどどどこにいったんですか?忠夫様〜〜〜!!!」

布団を跳ね飛ばし、フミの虚しい叫びが木霊した。


「星が綺麗だわ〜」
「本当だね」
「忠夫君?」
「やっと見つけたよ。姉さん」

旅館の外を散歩していた冥子に、寝ていたはずの忠夫が話しかけてきた。忠夫は眠りから覚めると冥子の書置きに気付き、探しに出てきていたのである。その後にフミは入ってきたので誰もいなかったのだ。

「冥子姉さん・・・さっきはありがとう」
「どうしたの〜?」
「あの妖怪の子供を助けてくれてさ。俺だけじゃ助けられなかったから」
「あれは忠夫君が頑張ってくれたからよ〜。じゃなかったら私も助けられなかったわ〜」

忠夫があそこで粘っていたから冥子は助けに入れたことを伝えるも、忠夫は悔しい気持ちは変わらない。自分一人で助けられなかったことが。一生懸命修行したのに負けてしまったことが。忠夫はただただ悔しかった。

「俺、全然駄目だ・・・修行したのに・・・」

拳を握り、俯いて体を震わせる忠夫を冥子はそっと抱きしめる。そして、優しく語りかけた。

「焦っちゃ駄目よ〜」
「・・・焦る?」
「そう〜。焦っちゃ駄目〜。今日が駄目だと思うなら〜、明日はもっと頑張りましょ〜?それでも駄目ならもっともっと頑張りましょ〜?忠夫君はまだまだ成長期なのよ〜。だから〜、努力次第でまだまだ強くなれるわよ〜」
「でも、俺なんか」
「弱気になっちゃ駄目〜。そこで立ち止まったら変われないわ〜。走り続けないと〜。忠夫君ならきっと出来るわよ〜」
「本当に俺に出来るかな?」
「うん〜。忠夫君なら出来るわ〜。私が保証する〜」
「・・・姉さん」

忠夫は冥子の体を抱きしめ返す。母親に甘える子供のように。
冥子もそれに気付いたが、何も言わずただ抱きしめ返す。忠夫を励ますように。

「あれ?」
「部屋が開いてるわ〜」

あれから忠夫が落ち着くと二人は部屋に戻って来た。すると、外に出たときに閉めたはずの扉が開いている。二人はすぐに泥棒が入っているとの考えに至り、警戒しながら部屋に入った。冥子なんかはいつでも式神を呼び出せるようにしていたりする。

「「はい?」」

だが、そこにいたのは二人の予想を遥かかなたにすっ飛ばしてしまう光景であった。

「忠夫様〜・・・どこですか〜?えぐえぐ」

スリスリスリスリ・・・

「「フ、フミさん!?」」

二人は困惑していた。何故なら、忠夫のぬくもりと香りが残っていた布団に涙を流し、泣きながら頬摺りをしているフミの姿があったのだから。なんでここにフミさんがいるの?という疑問の前に、何をしているの?という疑問を口にしてしまうような光景である。
そんな二人の様子に気づいた気配もなく、フミは布団に頬摺りをし続けていた。

「あの〜、フミさん?」
「何してるの?」

ひゃぃいいいいいいいいいいいいいん!?た、忠夫様にお嬢様!?いつの間に?」

二人がフミに問いかけたとき、ようやく気付いたフミが驚き妙な悲鳴を上げて飛び上がる。恥ずかしいところを見られたと理解したフミはもう顔を真っ赤に染め上げる。

「フミさんこそ、なんでここにいるの?」
「え?え?いや、あの・・・」

痛いところをつかれたフミは返事に困ってしまった。いつものフミなら強引に『忠夫のメイドである私が傍にいるのは当然です』と意見を押して忠夫を丸め込んでしまうだろうが、今は恥ずかしいところを見られたとあって動揺し、上手い言葉が見つからない。しばらく口ごもっていたフミは、なんとか理由を見つけて言い訳をしてみた。

「いえ、あの。近くに冥奈様に言われてお使いに行った帰りで・・・その、たまたま冥奈様にここでお嬢様と忠夫様がお仕事をなされていると聞いていたので仕事終わりに少し寄ってみたんですよ」
「そうだったの〜」
「なんだ。そうだったのか」

バレやすい嘘だったが、二人は簡単に信じているようである。そんな二人にフミはホッと安堵の息をつき、そそくさと部屋を出て行こうとする。

「では、私はこれで失礼しますね・・・目的も果たしましたので」
「待って〜。フミさんはこれから私の実家に帰るの〜?」
「ええ、そのつもりですが?」
「こんなに遅いんだし〜、ここに泊まっていけば〜?」
「へ?」

冥子のいきなりの申し出にフミは間抜けな声しか出せなかった。まさに予想外の一言だったのだ。しばらく、反応が出来なかったフミだが、徐々に正気を取り戻していくと今度は困惑の表情を浮かべた。

「その申し出は非常に都合がい・・・いえ、嬉しいのですが・・・」
「もう外は暗いし〜。女性一人を帰らすなんて出来ないわ〜」
「ですが・・・」
「そうだね。姉さんもこういってることだし、泊まってけば?フミさん」
「はい!お言葉に甘えさせていただきます!」

冥子の言葉に非っっっっっっっっっ常に魅力的な言葉だったのだが、断ろうとしたフミ。さすがに気まずいところを見られているのに一緒にいることが出来る精神はなかったようだが、忠夫の言葉を聞くと180度意見を変えてくる。フミの中では『忠夫の意見>気まずい雰囲気』という方程式が立っているに違いない。
こうして、フミは忠夫と冥子の二人と一緒に泊まることになったのだった。

「こ、これは夢ですか?まぼろしですか?」

ギュゥウ・・・

「痛いです・・・」

フミは自分の状況に戸惑っていた。何故なら、一つの布団に枕が3つ置いてあるのだから。今までのことを思えば信じられないのも当然である。が、戸惑っているのは忠夫も同じである。ただでさえ、冥子でいっぱいいっぱいな状態だったのだ。それが、今回はフミも一緒に寝ると言うのだ。どうなるか想像も出来なかった。

「ねぇ?姉さん。これはどういうことですかね?」

ついつい敬語を使ってしまうほどに忠夫は追い詰められている。

「みんなで一緒に寝るのよ〜?」
「どこで?」
「ここに決まってるじゃな〜い。他にないでしょ〜?」
「ミイさんのとこに」
「フミさんと面識ないし〜。忠夫君は問題ないけど〜、あそこも布団は一組しかないもの〜」
「じゃ、じゃあ俺は布団はいいから」
「駄目よ〜。風邪引いちゃうわ〜」

忠夫の意見を全て切り捨てる冥子。それも間違っていないために反論すらも出来ないため、忠夫は文句一つ言うことが出来ない。それでも、何かないかと考えていた忠夫だが、冥子は許さなかった。

「早く寝ましょ〜。明日は報酬について話して、お母様に頼みごとしてって忙しいんだから〜」
「うわわわ!ちょ、ちょっと引っ張らないでって姉さん」
「ほら〜。フミさんも寝るわよ〜?」
「はい!では、失礼します♪」

強引に布団の中に引きずり込まれる忠夫。この頃になると、フミは戸惑いを捨て去り今ある幸運を存分に味わおうと喜々として布団の中に潜ってくる。真ん中に忠夫、その両側に冥子とフミという位置は当然で、忠夫の腕どころか体までに密着している。冥子は嬉しそうに、フミは半ば意識が飛んでいる。

「た、忠夫様と一緒に寝れる♪なんて幸せなんでしょう♪ああ、あったか〜いこれが忠夫様のぬくもりなんですね〜♪(スリスリ)ああ、私はとっても幸せ者です〜♪」
「さあ〜、寝ましょ〜」
「・・・わかったよ。おやすみ姉さん」

もう逃げられないことを悟った忠夫は覚悟を決めた。両側の二人の頭を撫で付けると忠夫は目を閉じて眠る態勢に入る。そうしないと理性が崩壊してしまいそうだったから。
頭を撫でられた冥子は嬉しさいっぱいの顔で忠夫を抱き寄せる力を強めた。このことで忠夫の精神にさらにダメージを与えたのは内緒だ。そして、フミはというと・・・。

「な・・・なでなで・・・」

忠夫に頭を撫でられた気持ち良さと嬉しさで気絶していたのだった。おいしい状況なのに実にタイミングが悪いフミであった。


――翌朝――

すでに冥子は起床してチェックアウトするために荷物整理をしていた。といっても、荷物をつめたら影に入れるだけなので簡単に終わってしまった。荷物整理をしている間、忠夫はまだ自分に密着しているフミを起こしにかかる。

「フミさん、朝だよ?」
「ふあ?あれ?忠夫様が私を起こして下さってます。ああ、これは夢ですね・・・。なら、忠夫様〜♪フミは寒いです〜、あっためてください〜♪
「うわわわ!フミさん、寝ぼけてる〜〜〜!!!」

忠夫と一緒に眠ったのが心地よすぎたのか寝ぼけたフミは、忠夫が自分を起こしてくれるはずがないと信じ込んでしまい夢と錯覚して甘えまくる。

「ん〜♪私は幸せです〜♪感触も何故かリアルです〜♪」
「わわわわわ!おきてフミさん!!夢じゃないよ。起きてってば〜〜〜〜!!」
「ふぇ?きゃあああああああああああああああああああ!!た、忠夫様!!も、申し訳ありません!寝ぼけていたとは言え抱きついてしまって!!」

忠夫の叫びにようやく意識を覚醒させたフミは慌てて離れた。本当なら離したくはなかったのだが、さすがに夢ではないので忠夫に甘えることが出来なかったのだ。無論、忠夫が許してくれるなら戸惑いはないのだが。

「俺は気にしてないから。落ち着いて!ほら、朝ご飯の時間だよ?」
「え?でも、私は予約したわけじゃ・・・」
「さっき姉さんが注文してくれたんだよ」
「そうですか。後でお礼を言わないといけませんね」

すでに冥子がフミの分まで朝ごはんをとってくれていたようで、今回の朝食はミイ達も入れて5人でとることになった。最初は戸惑っていたミイ達も朝食を終えるころには多少の警戒は薄れていた。
朝食を済ませた後、冥子達は依頼人に報酬についての話をつけに行く。フミはミイ達を乗せて冥子の実家に帰ることになったので同行することになった。

「じゃ〜、忠夫君はケイ君を見ててあげてね〜」
「御願いしますね。横島さん」
「うん。ケイはいいこだから大丈夫だと思いますよ。な?」
「うん!オイラいいこにしてるよ!行こう!兄ちゃん!」
「待てって。じゃ、そういうことなんで」
「はい、御願いしますね」
「いってらっしゃ〜い」

依頼人の元に行く前にまだケイには早いということで、そのケイも懐いている忠夫に面倒を見てもらって、その間に話をつけようということになった。冥子とミイ、それから何かあったときの補助要因としてフミが依頼人の元に向かう。ミイは依頼人に勝手に住み着いてしまったことを詫びに行きたいのだそうだ。律儀な女性である。

「昨日は申し訳ありませんでした。まさか、霊に憑かれるとは・・・」
「い〜え〜。ご無事なようで何よりですわ〜。それで〜、仕事のほうなんですが〜」

霊を取り除いたので、すっかり元通りになった依頼人が謝罪をしてきた。冥子はそれを快く許すと、仕事の話に移る。あの後の事後処理の話、依頼人の容態の説明、報酬の話になって最後にミイのことになった。

「先日は勝手に住み着いてしまって申し訳ありませんでした」
「いえ、私も不覚にも霊にとり憑かれあなた方を殺そうとしてしまいまして。申し訳ない」
「ですが・・・」
「いえいえ・・・」

お互いに謝罪をし続ける二人。依頼人も霊にとり憑かれていなければ、かなり人が良く話しのわかる人みたいだ。このままではずっと謝り続けていそうな雰囲気になってしまう。冥子は話に割って入った。

「はいはい〜、そこまで〜。でですね〜。ミイさんのことは私に任せてもらいます〜。よろしいでしょうか〜?」
「そうですね。あなたにお任せします」

その後、依頼人に別れを告げ忠夫とケイを向かえに行こうとしたとき。

キュピーン!

「はっ!忠夫様に危険が迫ってます!!」

フミの誇る忠夫レーダーが反応した。忠夫に危険が迫っているらしい。その言葉に冥子がすぐに反応する。忠夫に危険が迫っていることは一緒にいるケイにも危険が迫っていると考えられる。これは、ミイにも人事ではない。3人は全速力で忠夫達の元に駆け出すのだった。


――忠夫・ケイ――

「兄ちゃ〜ん。どうしたの〜?早く遊ぼうよ〜!!」

冥子達と分かれた後、森に遊びにきた忠夫は竹薮に入って何か作業をし出してしまいケイは暇を持て余していたのだ。すると、ようやく忠夫は作業をやめてケイに振り返った。

「ほら、手を出して」
「?」

わからないまま素直に手を出すケイ。その小さな手に忠夫は一つの細いものを握らせる。感触と匂いから竹で出来た何かだとわかるが、ケイにはそれが何かわからなかった。

「なにこれ?」
「これか?これは竹とんぼって言うんだ。これを回すと空を飛ぶんだぞ」
「ええ!?これって空を飛ぶの!!」
「ああ、やってみな」
「うん!!」

忠夫が渡したのは竹とんぼであった。空を飛ぶと聞いて驚き、早く見たいとばかりに張り切って飛ばそうとするケイ。が、手首を捻って回してみても、放り投げても竹とんぼは地面に落ちてしまう。

「兄ちゃん。これ、飛ばないよ〜」

忠夫が言うように飛ばない竹とんぼ。ケイは本当に飛ぶの?と拗ねた顔で聞いてくる。ケイのその様子に苦笑して竹とんぼを受け取ると。

「いいか?こうやって飛ばすんだよ」

と見本を見せてあげた。忠夫が放った竹とんぼは宙を舞い、しばらくするとゆっくりと落下してくる。

「うわ〜!本当に飛んだよ!!」

忠夫が言ったとおりに宙に舞い上がった竹とんぼの様子に興奮を隠しきれないケイ。
そのケイの様子に忠夫も見せた甲斐があったと笑みを零す。

「オイラも兄ちゃんみたいに飛ばしてみたい!早く貸して貸して」
「おう、ガンバレよ!!」

やり方を見せてもらったケイは早速飛ばしてみようと張り切って竹とんぼを受け取る。そして、勢いよく飛ばそうとしたそのときだ。忠夫は嫌な予感がしたため、ケイを抱き寄せ前方に飛び伏せた。

ドーン!

チュン!

一瞬前にケイと忠夫を結んでいた直線上に銃弾が飛んできて竹とんぼを破壊した。

「うわわわわ!」
「な、なんだ!?」

いきなりの銃声に二人とも転がりながら驚いている。その中で、ケイにショックな光景が見えた。

「あ・・・竹とんぼが」

そう、せっかく兄ちゃんが作ってくれた竹とんぼが銃弾によって破壊された光景である。さきほどまで満面の笑みを浮かべていた顔が瞬時に曇る。忠夫もそれに気付きケイがそこまで気に入ってくれていたことに嬉しく思うも、そんなケイの笑顔を奪った奴が許せないと思った。忠夫は立ち上がり敵を睨もうと思ったが、どこにも姿が見えない。

「くそっ!誰だ!いきなりこんなことするのは!!」

忠夫の叫びに当然返事はない。だが、ケイにははっきりと感じられた。自分達を殺そうとする奴の放つ殺気が。それは、人よりも鋭い感覚を持つ妖怪であるという理由の他に、小さいころから自分に向けられて来た感情であるために敏感に察知できるようになってしまった悲劇の能力なのだ。でも、ケイは決して後悔はしていない。いつも大好きな母親が護ってくれていたから。それに、その能力が今。役に立とうとしているから。

「兄ちゃん!あっちからくるよ!」
「何!わかった。俺の後ろにいるんだ」
「うん!気をつけてね?」
「ああ!」

そして、そんな自分を必死で護ってくれる人にも出会えたのだから。

ガキィイ!

「よし!走るぞ、ケイ!」
「うん!」

霊気の盾で銃弾を防ぎながら、忠夫とケイは走り出した。姿が見えない敵と戦っては不利だから。姿は見えずともケイが教えてくれる。忠夫はその言葉を信じて敵の銃弾を防ぎ続けた。そして、森から出た二人に見えた光景は・・・待ち伏せするかのように立ちふさがる黒服達の群れであった。

「「あ!」」
「さて、お遊びは終わりだ。恨みはないが、貴様には死んでもらおうか。横島忠夫!」
「俺か!?」

まさか自分が狙われているとは思わなかった忠夫は驚く。襲われても妖怪であるケイを追ってきたGSだと予想していたのだが、見事に外れた。全く心辺りがない忠夫が驚くのも無理はないはずだ。それはケイも同じであったらしい。忠夫と同じくぽかんとしている。

「なんで!俺を殺そうとする?」
「死に行くお前に教えてやる義理はない」
「・・・わかった。殺すなら俺だけにしろ。こいつは関係ないんだし」
「兄ちゃん!?」

黒服に囲まれた状態では多勢に無勢、勝ち目はないと思った忠夫は霊気の盾を消して、せめてケイだけは助けてくれるように頼んだ。そんな忠夫に非難の声を上げるケイだが、忠夫の願いも虚しく黒服達は気って捨ててくる。

「目撃者がいてもらっては困るから、却下だ。あばよ。俺らを恨まないでくれよ」
「くそ!」

かなり自分勝手な言い草を言い、無情にも引き金を引いた黒服。
霊気の盾を消していた忠夫にそれを防ぐ術も、避ける暇もない。そのまま、銃弾は忠夫の胸を貫き息の根をとめるはずであった。
忠夫達の目の前に影が現れるまでは・・・。

キィイン!

ゴオオオオオオオオオオオオ!

その直後、黒服達に炎の壁が襲い掛かる。

「うわあああああ!」
「な、なんだ?これは!?」
「ひぃいいい!」
「あついいいいいいい!!」

突然の出来事に慌てふためく黒服達。忠夫とケイの死体が転がるはずの未来は、自分達が慌てふためく様に変わってしまったのだから。炎を逃れた黒服達は前を見据え、叫んだ。

「なんだ?これは?お前らは誰だ!」
「なんだ?ですって?」

銃弾を弾き、炎を作り出した人影はその問いに怒気を押さえながらも堂々と答えた。

「なんだかんだと聞かれたら〜!」
「せめてもの情けで聞かせてあげましょう!」

「忠夫様の危険を防ぐため!」
「忠夫君の生活を護るため〜!」

「愛と忠義で敵を蹴散らす!」
「恋する無敵の乙女達〜♪」

「フミ!」
「冥子〜♪」

「忠夫様に尽くす恋する無敵の乙女には!」
「ピンクワールド!桃色の未来が待ってるわ〜♪」

「にゃ、にゃ〜んてにゃん・・・///」

堂々と名乗り決めて見せたのはお揃いのフリフリのメイド服を着ている冥子と髪を下ろしているフミ。最後に多分に照れを含んで真っ赤に顔を染めているが、猫のポーズを決めているミイの姿であった。

「「「「「「「・・・・・」」」」」」」

反応に困った黒服や忠夫達には構わず、冥子とフミは戦闘準備万全だ!ただ、一人、ミイだけは恥ずかしさで穴があったら入りたい気持ちでいっぱいであるのは秘密である。
なんともシュールな光景である。


あとがき

FFFのみんな待たせたな!!ラッフィンです。

このシリーズでフミの暴走が〜・・・キターーーーー!!!!

前からやってみたかったネタをついにやってしまった・・・。
こりゃ、もう勢いに乗ってついカッとなってしまったのだよ。
反応が怖いぜ・・・。

ってなわけで次回!


レス返し。


食欲魔人

>ここの皆さんかなりキャラ濃いですし。
一番濃いのはフミさんですよね(笑)

今回のネタでミイの使いどころを見出しました(爆)


聖様

今回もフミさん大活躍ですw
もう、私が描くフミはこんなキャラで定着しちゃいました(笑)


Tシロー様

強くなってますよ!実力も黒さも(爆)

ミイの新たな新境地を見出したので、これからも度々出番があるかもしれません!

失敗しても成功してもフミはフミ!問題ない!!


星の影様

>冥子のお父さん
おまけを期待していてくださいw

ケイ君とのフラグを期待している人が多くて吹いたw

今回もフミさん大活躍ですよ〜wちょ〜っとスペシャルな演出もありましたしねw


HEY2様

ミイさんの出番が増えたかもしれません。最後のアレで・・・(決して性的な意味ではありません)

フミに関しては・・・黙秘でw

冥子の施した厳重な警備を突破しただけでも褒めてあげてください(泣)


俊様

膨らんでいる→忠夫じゃない→フミ、修羅となる→グロテスクな描写が続きますのでおみせすることは出来ません・・・。Orz

冥子から写真をとってきただけでも評価してあげて!!


鹿苑寺様

ハーマイオニー・・・どっから出てきたのか・・・
私、実は本物のハーマイオニーは好きですが。

今回もフミさんです!ミイさんもちょっとおいしいかもwww


カシス・ユウ・シンクレア様

黒服が今回も無謀なことをやっちゃってます。
フミ、冥子、そしてミイはおしおきできるのか?

布団に忠夫以外の人がいたら18禁になりそうですよw(グロ指定で)
今回は、フミと冥子どちらも応援してあげてください。

最後にあの一言をwww


にょふ様

御疲れ様です。
そうです。玉砕覚悟の神風特攻!フミの真骨頂!乙女の為せる技ですねw
ガンガンいこうぜw


DOM様

カラぶったと見せかけてヒット打ってましたw
幸せも束の間、忠夫に迫る黒い手が・・・。
果たしてフミは護りきることが出来るか?

冥子はまだまだ成長中でございます!

ネコミミポケm(ryになりましたw


光と闇様

そんなシーンがあるんですか?見たことないのでわかりません・・・。

今回もフミさんがむばってますw


内海一弘様

とりあえず、今回はミイとフミ、冥子のトリオ結成ってことでwww

またしてもフミさんを敵に回そうとする言葉を吐いてしまいましたか・・・。
黒服さんと同じ目に会いたいと?www


大海様

今回はどうですか?本編、目立っているでしょう!
・・・・・
あれ?
おまけがないぞ?

何故、冥子の父がいたか・・・ヒントは六道秘密会議です!

フミの夜這い・・・これは失敗?成功?


シシン様

複雑ですね〜。世のお父さんも娘の成長をそんな気持ちで見つめているのでしょうかね?

すっきりですか?もっと暴走してもいいですよね?それが私の描くフミなのですから!!

うおおおおおおおおおお!!FFF万歳!!

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