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「光と影のカプリス 第143話(GS)」

クロト (2008-03-24 19:49)
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 横島たちは愛子と別れると今度こそまっすぐ家に帰り、風呂に入った後はちゃぶ台に向かって冬休みの宿題をやっていた。
 できれば愛子に借りてきたかったのだが、秘密を明かしたことを心から喜んでいた彼女にそんな俗っぽいことは頼めなかったのである。

「まあ、がんばれ。勉強するのは自分のためなんだから」

 と励ましてやったカリン自身は学校の勉強はしていないのだが、今は代わりに家計簿をつけていた。特に今月は1年の締めでもあるため、全体の帳尻合わせと所持金との突き合せもしなければいけないからかなりの作業量である。

「それは分かってるけど、やっぱ量多いんだよなあ」

 横島も「学校の勉強なんて社会では役に立たない」なんて言い出すほど無知ではなかったが、修行との両立はなかなか大変なのだ。
 タマモと半分ずつやってお互い写し合うというアイデアも出してみたが、それはカリンに却下されていた。

「……よし、できた。横島、勉強してるところをすまんがこっちを先に見てくれるか? お茶でも入れてくるから」
「ん? ああ、わかった」

 カリンに家計簿と通帳と財布を渡されて、横島が面倒そうな顔つきながらも教科書とノートを閉じて脇にどける。するとタマモがちょっと不思議そうな顔で、

「前から気になってたんだけど、何でカリンっていちいち横島に家計簿チェックさせてるの? 普通こーゆーのって奥さんが1人で管理してて亭主はタッチしないもんだって思ってたけど」
「ん? まあ確かに普通はそうだが、このお金は横島が体を張って稼いだものだからな。横島が自分で管理するべきだと思うんだ。
 ただ横島には学校の勉強もあるから今は私が預かってるが、使い道の把握くらいはしておいてもらおうと思ってな」

 とカリンはまず建前論を述べた上で、次はもっと実際的な理由を話し始めた。

「お金の使い方について家族で話し合うのは大事なことだし、『誰のおかげで飯が食えると思ってるんだ』なんて恩着せがましいことを言わなくても自分が一家の大黒柱なんだということを認識させられるからな。
 それに家計簿をきちんと見れば、たとえば私がへそくりを貯めこんだり変なことにつぎこんだりしていても見破れるだろう?」

 影法師娘の説明には横島家の状況には当てはまらない点がいくつかあったが、カリンはこういうことを通して脳天気な本体を教育しているつもりなのだろう。

「ふうん……ずいぶん考えてるのね」

 とタマモが感嘆の声をあげた。カリンが家計簿ひとつにそこまでの思惑を持っていた事もだが、それより彼女の言葉の裏を返せば家計簿は見せない方が好き勝手できるという事で、それをわざわざ自分から見せているという誠実さと高潔さに胸を打たれたのだ。
 もっともそういうことを口に出すのは自分のキャラクターではない事は分かっているので、あえて悪戯っぽい笑みを横島の方に向けて、

「ここまで言われたら『面倒だから任せた』なんて言えないわよね。がんばってね横島」
「う゛」

 痛いところを突かれて横島は困惑したが、すぐに脳内で屁理屈をひねり出して反撃した。

「そーゆーおまえはどーなんだ? 小遣い帳ちゃんとつけてるんだろーな?」

 タマモはぐーたら度では横島と似たようなものなので、彼もこのように互角の(低レベルな)戦いができるのである。タマモにとって横島は肩肘張らなくてもいい彼氏だったが、横島にとってもタマモは気楽に軽くゆるーくつきあえる彼女だった。

「わ、私のお小遣いなんて大した額じゃないもん。つけなくても誰も困らないし」

 どうやらきちんと付けていないらしい。たぶん帳簿は穴だらけで、締めの日に残金とつき合わせて適当に数字合わせをしているのだろう。
 タマモの小遣いというのは彼女のバイト代全部だから万単位なのだが、確かに彼女が小遣いをどう管理しようと横島とカリンには何の不都合もない事だから、タマモの主張もあながち間違いではなかった。
 しかし横島にとってはこの小生意気な仔狐に痛撃を加えるチャンスである。まずは自分のことを棚にあげて保護者様に軽口を叩いた罰として胸でも撫でてやろうかと思ったが、さすがに全財産をちゃぶ台に乗せてある状況でセクハラ騒ぎをするのはまずいと考え直した。
 それよりカリンがお茶を持って戻って来たので、さっさと検算を再開しないと怒られる。

「ちっ、運のいいヤツめ」

 横島がそう捨て台詞を吐くと、カリンは横タマのやり取りが聞こえていたのかくすりと笑って、

「気持ちは分かるが、遊ぶのはやる事やってからにしておけ。その後だったら私も何も言わない……いや、私もしてほしいから」
「〜〜〜!?」

 いくら2日間スキンシップが少なかったからとはいえ、まさか真面目でお固いカリンが自分から「してほしい」なんておねだりしてくるとは。激しく興奮した横島は鬼神のような勢いで家計簿の検算と本日分の宿題を終えると、今度は発情期の猫のごとく恋人2人に飛びかかっていったのだった。


 その翌日の10時ごろ。大樹と百合子は出迎えは要らないという話だったので、横島たちはまた宿題をしながら2人が来るのを待っていた。
 すると唐突に電話のベルが鳴ったので、「日本についたってゆー連絡でもしてきたのかな?」と思った横島が受話器を取って名前を告げると、

「ああ、忠夫かい? 今日そっちに行く予定だったんだけど、実は今武装ゲリラが父さんの会社を占拠しててね。行くのはたぶん明後日になると思うから」
「はあっ!?」

 電話の主は予想通り百合子だったが、言ってる内容はむちゃくちゃだ。何だその武装ゲリラというのは。
 しかし百合子にとっては別に何でもない事なのか、ごく普段通りの口調で話を続けてきた。

「さすがの父さんも日本に帰る日にそんなウソついてまでして浮気はしないだろうと思って調べてみたけど、やっぱり本当に占拠されてたのよね。外国企業のくせにレアメタルの採掘で結構な利益上げてるから、それで目をつけられたんだと思うけど」

 29日は日本風にいえば仕事納めの日なので午前中で終わりになっていて、午後一番の便で日本に帰る予定だったのだが、その締めの仕事をしている最中に突然ゲリラが押し入ってきたのである。防ぎようもなくあっさり制圧されて、今は社員一同マシンガンを突きつけられて人質になっているというわけだ。

(……ど、どーゆー反応すりゃいいんだ!?)

 横島は何と答えていいかもうさっぱりだったので、素直に相手に聞いてみることにした。

「……で、俺はどーすりゃいーんだ?」
「別にあんたにどーこーしろなんて言わないわよ。何かあったらまた電話するから、学校の宿題するかタマモちゃんたちとデートでもしてなさい」
「……そーする」

 自分の夫がゲリラに捕らえられているというのにここまで平然としているとは、何という剛胆ぶりだろうか。しかし考えてみればいつもの事なので、横島は素直に頷いて電話を切ったのだった。


「……つーわけで、親父とお袋は今日は来れねーそうだ」

 横島がちゃぶ台の前に戻ってカリンとタマモに電話の内容を伝えると、少女2人は一様に曰くいいがたげな表情を浮かべた。

「何というか……」
「横島のお母さんって、いろいろと常識外れよね」

 横島もその評価には全面的に賛成だったし、父親のことも少しは心配だったが、2人のことを話題にし続ける気にはなれなかったので自分たちのことに論点を移した。

「で、どーする? 3人でデートするか?」
「私はいいわよ」
「そうだな、百合子殿がそう言うのなら家で待機していることもあるまい。今日の分が終わったら遊びに行こうか」

 やはりカリンはタマモより真面目であることを如実に示した回答によって3人の方針は決まったが、その20分ほど後にまた電話がかかってきた。

「ん、もしかして母さんか? ……いや、番号が違うな」

 横島は事件に何か変化があったのかと思ったのだが、電話の主はそれとはまったく無関係のバトルマニアであった。

「よう、横島か。人呼んで伊達雪之丞だ」
「いや、それ本名だろ」

 横島の突っ込みを、雪之丞はクールにスルーした。

「今日は何か用事入ってるか? 空いてるんなら約束してた組み手をやりたいと思ったんだが」
「悪いが今日はちと体調が」
「女子高生のギャラリーが4人いるんだがな」
「どうやら積年の因縁に決着をつける日が来たようだな」

 いきなりやる気を出した横島だが、何も考えずにOKしたわけではない。
 横島はカリンの15ヵ年計画のことは知らないが、自分が人間の霊能者をはるかに超えるペースで成長できるという事は知っている。つまり組み手を延期すればするほど有利になるのだが、嫌いな相手にならともかく友達にそういう事をするのはちょっと気が咎めたのだ。
 約束までした覚えはないが、そういう事とは別に許せないこともあったし。

「だがその前に聞いておくことがある。女子高生4人って、どこの誰をどーやってかどわかしやがったんだ!? 雪之丞のくせに生意気だぞー!!」
「……」

 雪之丞は色々と思うところがあったが、その辺は喉の奥に押し込めて事情を簡潔に説明してやった。

「実は弓とデ……霊的格闘について議論してたら、六道女学院の生徒と出くわしてな。喫茶店で話をしてるうちにおまえも呼ぼうってことになったんだよ。
 名前はえっと、峯と神野と遠藤とかいったかな」
「ああ、そゆことか」

 峯たちの名前が出たことで、ようやく横島は状況を理解できた。
 不埒にも雪之丞が弓とデートしていたらあの3人と偶然会って、それで神野か遠藤辺りが冷やかしのため同行することにしたのだろう。自分が呼ばれたのは峯がカリンに会いたがったか、雪之丞と弓が自分たちへの追及を分散させようとしたのに違いない。
 で、雪之丞がいて自分を呼ぶなら組み手という話になるのは彼の性格からして当然のことであった。

「……ってことはピートも来るのか?」
「いや、あいつは今日は別の約束が入ってるらしくて留守だった」
「何ぃ!? 女か!? 女なのか!?」

 横島が怒りに鼻息を荒げて受話器を握り締めたが、雪之丞はやっぱり軽く流した。

「俺に聞かれても分からん。で、来られるのか?」
「ん? ああ、行けるよ。どこに行けばいいんだ?」

 雪之丞の言い分はもっともなので、横島もとりあえず落ち着いて待ち合わせ場所を訊ねた。雪之丞はいつも逃げ腰な横島をようやく引っ張り出せた事を喜んで、

「ああ、前にやった河原に来てくれ。俺たちもこれから行くから」

 とバトルを先にしたのは、お茶会を先にしたらその間に横島の決意が鈍りかねないという危惧と、それだと自分の気分が落ち着かないからといういかにも雪之丞らしい理由であった。
 しかし横島は特に深く考えた様子もなく、あっさり彼の要望を受け入れた。

「分かった。おまえはどっちでもいーけど、女の子はちゃんと連れて来るんだぞ」
「……分かった」

 いろんな意味で脱力しつつも、雪之丞はついに訪れた雪辱の機会に胸を躍らせるのだった。


 横島たちが河原に着いてみると、雪之丞たち5人はすでに到着して待っていた。横島たちは空を飛んでいけるのだが、その分支度をのんびりやり過ぎてしまったせいだ。
 横島が仔狐姿のタマモをかかえて着地すると、峯がいきなり声をかけてきた。

「横島さん、カリンさんはどうしたんですか?」

 どういうわけか、現れたのは横島とタマモの2人だけで肝心の影法師娘はいなかったのだ。そのために横島の名前を出したのだから、さっさと呼び出してもらいたい。
 しかし煩悩少年はフッと似合いもせぬキザっぽい笑みを浮かべて、

「いや、今日は俺とあいつの勝負だからな。俺自身の力だけでやりたいんだよ」

 とらしくもないことをのたまったが、むろん出任せである。そもそもカリンは横島の一部なのだから一緒に戦っても反則でも卑怯でもないのだが、そうすると自分が目立たなくなってしまうのであえて引っ込んでもらったのである。横島もあれから力も技も成長して、雪之丞ともそこそこやり合える自信がついていたから。
 すでに竜神になった以上、横島は普通の人間の女の子を4号にするつもりはない。しかしちやほやされたいとか、あわよくばデートの1つも楽しみたいとかいう欲求はあるので、こうして自己アピールに努めているのだ。弓と峯は無理だろうが、神野と遠藤はまだ脈があるかも知れぬではないか。
 カリンはむろん横島の思惑など百も承知なのだが、どうせ峯たちが彼になびく事など有り得ないし、いい稽古になるからおとなしく引っ込んでやったというわけだ。

「…………」
「な、おまえ、突っ込みもなしかよ!?」

 峯の生暖かすぎる視線に横島は思わずたじろいでしまったが、それでも何とかそう言い返すと、峯は大仰にはあーっと肩をすくめて、

「ムダなことはやめて、素直にカリンさん呼んだ方がいいと思いますよ?」

 峯は一部で女版横島とか魂の双子とか言われるだけあって、横島の内心など手に取るように読めていた。しかしいくら健闘したところで自分たちが彼に好意を持つ可能性はないから、せめてもの慈悲でそう忠告してやったのである。
 むろん横島のおバカなバトルより、カリンの華麗な戦いぶりの方をもう1度鑑賞したいという彼女自身の欲望もあったが。
 しかし横島はそれを「横島では雪之丞には勝てない」という意味に解釈してますます意固地になった。峯といい愛子といい、何でそこまで自分を見くびってくれるのか。

「む、無駄かどーかはやってみんと分からんだろ。いーからおまえはそこで俺の素晴らしいスーパーファイトをとっくり見物してやがれ」
「はー、そーですか」

 峯がわざとらしく肩をすくめて、踵を返して横島に背を向ける。横島はその後ろから襲い掛かってやりたくなったが、ぐっと歯をくいしばってガマンした。
 その間にタマモは人の姿になって神野たちに挨拶していた。

「こんにちは。えっと、神野さんと遠藤さんと……弓さんだっけ?」
「ええ、こんにちは」

 とこちらはいたって和やかなやり取りである。弓は以前は一部の取り巻き以外には嫌われていたが、今はかなり丸くなって峯たちともそれほど不仲ではないように見えた。デートの邪魔をされているのはもちろん面白くないだろうが、それを露骨に顔に見せるような事もしていない。
 雪之丞がずいっと進み出て、溢れる闘志を抑えるのが精一杯、といった風情で横島に話しかける。

「何のつもりか知らんが、おまえの方からタイマンで来るとはな……楽しませてもらうぜ!」
「へっ、おまえなんぞ俺が女の子たちにカッコいいところ見せるための踏み台にしてくれるわ!」

 女の子たちの前だからか、横島は雪之丞のタンカにもひるまなかった。そして観客席から少し離れて、5メートルほどの距離を取って向かい合う。

(……あんまり水流れてねーな)

 その向かい合うために歩く途中で、横島はさりげなく周りの地形を観察していた。令子や小竜姫に教えられた、戦いの前にやっておくべき重要な作業の1つである。
 水辺は横島のフィールドだ。女湯や海水浴場やプールなら煩悩パワーが上昇するし、湖沼や川なら水を操る技が使える。しかし今は真冬の渇水期なので、横島の武器になるほどの水は流れていなかった。
 弓が横島と雪之丞の真ん中辺りに歩いてきて、2人の顔を交互に見渡す。

「2人とも準備はいいですか? それじゃ……はじめっ!」

 弓としては彼氏である雪之丞に激励の言葉の1つでも投げかけたい所だっただろうが、それを自重したのはやはり寺の跡取り娘として不公平な振る舞いはよろしくないという自覚があるからだろう。
 弓が邪魔にならないよう後ろに飛びのくと同時に、雪之丞も大きくバックステップした。さらにもう1歩退きながら魔装術を展開する。

「おまえの技のことは聞いてるからな。不意打ちは食らわねーぜ!」

 雪之丞はピートからパンドジニウムの顛末(てんまつ)を聞いていたから、横島のブレスが麻痺ガスであることを知っている。生身の時にいきなり浴びせられたらさすがにまずいので、まずは少し間合いを広げてから魔装術を使ったのだ。
 しかし意外にも、横島は先制攻撃を仕掛けては来なかった。しかも雪之丞がなぜ後ろに跳んだのか分かっているという顔つきで、

「フッ、さっきも言ったろう雪之丞。今回は俺のカッコいいところを見せるための戦いだとな。いきなり倒しちまったらつまらんだろ?
 さあ、目ん玉ひんむいてよーく見やがれ!!」

 と右手を高くかかげて気合いをこめる。その拳の表面に淡い燐光がきらめいたかと思うと、次の瞬間には上腕の真ん中辺りから手全体までが緑色の硬そうな鱗に覆われ、指先には白い爪が生えていた。

「こいつは! この光は! 俺と小竜姫さまの輝きだぁっ!! 名づけてハンズオブドラゴン(竜の手)!」
「「……!!?」」

 その異様な術にタマモ以外の全員が驚いて眼をみはったが、しかしさすがに雪之丞はすぐ我に返っていた。

「……なるほど、そーいやおまえ以前はハンズオブグローリーとかいう技を使ってたな。それを小竜姫の指導で進化させたってわけか」

 とまだ奇襲を警戒してか2メートルほどの高さに浮かんだままで己の見解を述べる。技の名前と、小竜姫の名を出したことからその辺りだろうと見当をつけたのだ。

「まーな、この拳は言わば俺と小竜姫さまの愛の証! これならおまえの魔装術にも効くからな、ぶざまに地べたに這わせてくれる」

 横島はそんな答えを返したが、むろん事実ではない。肉体の幽体化にともなって、体の一部分だけを竜モードにする事もできるようになったというのが真実だ。しかしそれを口に出すわけにはいかないので、わざとミスリードするような決め文句を並べたのである。
 ……もちろんカリンの進言でだが。全身を悪魔のような姿に変える雪之丞と比べればおとなしいものだからそれほど怪しまれはするまいということで、いわば初公開用の相方になってもらうというアイデアだった。
 ちなみに竜の爪や鱗というのは世間一般のイメージ通り非常に硬く、栄光の手をはるかにしのぐ強度を持っている。ただし当然ながら形は変えられないので、「敵に攻撃を当てる」という点ではまったく有利にならない。ぶっちゃけ真銀手甲を着けているのと同じような状態だ。

「……小竜姫って誰?」
「妙神山修行場というところの管理人で、えらい竜神様だと聞いていますが」

 神野は小竜姫と聞いても誰のことか分からなかったが、弓はさすがに博識であった。ただそれを聞くと別な疑問もわいてくる。

「……で、愛の証って何?」
「……さあ?」

 まさかそのえらい竜神様とあのおバカが本当にデキているなどと、神野と弓には思いもよらない。むろんタマモにはそのやりとりは聞こえていたが、弓たちにまで横島と小竜姫の関係を教えてやるほど口が軽くはなかった。

「……まあ横島さんのことだから、教育者として教えてくれたのを愛だと勘違いしたんじゃないの?」
「もしくは適当に放言してるだけとかね」

 遠藤と峯も言いたい放題だったが、タマモはやっぱり口出しはしなかった。まあ自業自得、というか事実を知らなければこういう想像になるのは仕方ないと思うし。

「……3人とも、そろそろ雪之丞たちが動くわよ」

 弓は険が取れても真面目なのは変わらないようで、そう言って本来の目的である試合見学に峯たちの意識を引っ張り戻す。その視線の先では、空中にいても今の横島にはアドバンテージにならないことに気づいた雪之丞が地上に降りて、何かが腑に落ちたといったような表情を浮かべていた。

「……なるほど。おまえがいつになく強気だと思ったら、そーゆー新技を開発してたってわけか。面白ぇ、この装甲を破れるモンなら破って見やがれ!」
「おう、やったろーじゃねーか!」

 雪之丞のタンカに横島が吼え、同時に地を蹴って飛び出した。


 ―――つづく。

 両親来日はなぜか先延ばしになって、代わりにユッキーとの積年の因縁に決着をつける話になりましたw
 ではレス返しを。

○遊鬼さん
 横タマは修行や勉強には不真面目なぶん、ラヴとかお遊びには熱心なのです。小竜姫さまが怒るのも当然ですな。
 愛子は今回の件でかなり親密度がアップしましたが、ラヴフラグが再び立ったかどうかはまだ微妙でありますよー。何しろ4号ですしw
 しかし問題はおっしゃる通りGMですね。愛子本人よりこっちの方がよほど難題ですw

○カタカナさん
 愛子は1度フラグブレイクしてますが、状況が違いますからねぇ。
 今後ともよろしくですー。

○cpyさん
 横島君はいつか自分を祀る神社を建ててもらおうという野望を持っていましたが、その邪悪な計画は小竜姫さまの手で打ち砕かれておりますw(第110話参照)
>もてない男がもてるようになるご利益
 むしろ絶対に無いような気も致しますがw
>罰ゲーム
 はい、プラスマイナスゼロで何もなしという事になったようです。

○无さん
 何しろ武の「神さま」ですからねぇ。恐ろしい方であります。

○ばーばろさん
 ヒャクメのお仕置きシーンについては、どうかご自由に想像して楽しんでやって下さいませ(ぉ
>きまじめ
 メイドはダメでも裸エプロンは可という、今いちよく分からないモラル観ですしねぇw
>初詣
 そうなんですよねぇ。もう完全に現実の時間に取り残されてしまいましたorz
 小竜姫さまはあれです、婚約者に煩悩丸出しなお祈りされたら自分の名誉にかかわるというかw
>愛子
 魔鈴さんに比べると、一緒にいる時間が長いというアドバンテージがありますからねぇ。
 横島君としては両方ゲットしたい所でしょうけど。
 というか突っ込ませろってw

○whiteangelさん
 だってバラしたら横島君退学しちゃって、それで終わりじゃないですかー。バラさない方が娯楽は長持ちするんですよw

○星の影さん
 横島君の人外キラーっぷりには本当に困ったものですよねぇ。
>初詣
 確かに書いたら面白そうではあるんですがーw
>駄女神様
 あれこそヒャクメ様クオリティなのです!(酷)
>横島にお仕置き
 それがお仕置きだったら、横島君もっと目の色変えてますよーw
 というかそのお仕置きは小竜姫さまにとっても(以下略)。

○KOS-MOSさん
>駄神鞭
 神界では体の傷を治す手段なんていっぱいあるでしょうからねぇ。精神に対するダメージこそその本領なんですよー。
>横島母のお仕置き?
 今のところお仕置きされるようなことはしてませんが、横島君なのでたぶん何かやってくれることでしょう。
>愛子
 たとえば↑に絡んでくるとか(ぇー

○紅さん
 愛子のことは仰る通りですねー。
 ヒャクメのこともw

○ncroさん
 応援ありがとうございますー。
 仰る通り、横島君は無意識にやった事の方が良い結果が出ることが多いですよね。というか意図してやってることが(以下略)。
 指南役……GSにそういうキャラっていましたっけ?(ぉ

○読石さん
 横島君の煩悩パワーは天才とか秀才とか、そういう世間一般の枠組みでは捉えられないものなのですよー。今回のバトルもかっこよく決まるかどうかは謎ですがw
>タマモ
 もうごちそうさまの極みって感じですヾ(´ー`)ノ
>愛子
 横島君はむしろ本当に口説きたかったかも知れませんな。「俺も人外になったから(以下略)」とか言ってw
>ヒャクメ
 それこそがヒャクメ(以下略)。
>霊力
 何しろ小竜姫さま並みのキャパですからねぇ。仰る通り凄まじいとしか言いようがありません(^^;

○Februaryさん
 愛子が信じないのは仕方ない、というか当然のことでしょうねぇ。横島君ですしw
>ヒャクメ
 そういう趣向もまたアリだと思いますですよ。
>タマモ
 でもそれは絵面としてマズすぎかとw
>色情霊
 むしろそうなってこそ横島かとww
>三大怪獣総攻撃
 自衛隊はまだかー!

○山瀬竜さん
 ハレンチなことを考えない横島君なんて偽者なわけですが、いつもうまくいくほど世の中甘くないのですw
 でも横島君のことなので、いつかは仰る通り小竜姫さまにハレンチな格好をさせてしまうことでしょう。
>愛子
 そうですよねぇ。
 フラグ再立の気配は濃厚ですが、果たして4号というインモラルな立場を受け入れられるかどうかが焦点ですな。
>三股のほうがバレると大変
 何しろ愛子やピートを平然と受け入れ、横島が匿名チョコをもらった時は大騒ぎになる学校ですからw
>横島君のハーレムメンバー
 はい、少なくとも横島君の主観では愛子はバッチリOKです。魔鈴さんもOKぽいですなw
 しかし奥さんズやGMがいるので、仮に仲間入りする気になってくれたとしても一筋縄ではいかなさそうです。
>初詣の件
 は、ご理解いただけてよかったです。
 どっちにしてもロクなことにはなりそうにありませんなw

○内海一弘さん
 お褒めいただきありがとうございますー。
 愛子は今回の件で大幅に好感度アップしましたけど、本格的に参戦するかどうかはまだ分かりません。というかタマモたちは簡単に受け入れたりしませんですよー。友達として仲良くするのと4号として認めるのは別ですからw

○Tシローさん
 はい、横島君はどこまで行っても自爆してギャグをかます男、言うなれば芸人ですから(ぉ
 メドさんは再犯の可能性をなくせるかどうかが分かれ目ですねー。元の人格をたもってなおかつ、となるとなかなか難しそうですが(^^;
 愛子は今後の動きを注目してやって下さいませ。

○アラヤさん
 おお、これは強烈な愛子支持者さまが。
 魔鈴さんもたぶん寿命はどうにでもなりそうな気がしますが、愛子は確実にOKですからねー。身の安全という面では学校にいるより良いですし。
 レベルアップして超付喪神になればタマモたちにも位負けしませんし(ぇ

○XINNさん
 今回は比較的ラヴ分少なめになりました。かなり久しぶりのような気がします(^^;
>初詣
 着物はともかく、大樹がいるのに姫初めは無理があるかとw
 でもイベントは起こしたいところですねぇ。というか横島家の3人がいて平穏無事に終わるはずがないようなw
>愛子
 愛子が不屈というか、横島君が人外キラーすぎるというか。
 パンチラはいずれそのうち(ぇー
>夜はHで回復
 いあ、男はむしろ消耗するのではw
 でも横島君のことだから回復するのかも知れませんねぃ。
>1千万マイト
 竜神王より強そうですものねぇ(^^;
 さすがに小竜姫さまもそこまではやらせないかと。

○風来人さん
 横島君も罪な男ですよねぃ。そんなに彼女つくってどうしようというのでしょうか。まあ大樹に比べればずっと少ないんですがーw
>ヒャクメ
 きっとそのうち、さらに成長したカリンを見て落ち込んでくれることでしょう。というか酒飲むんですかね彼女w
>小竜姫さま
 神さまを甘く見ちゃいけませんですよーw

○食欲魔人さん
>横島君最強化計画?
 まずはユッキーを超えることから始めるみたいです。
>小竜姫さま
 原作だと他人を助けようとしたのが主な敗因なんですが、そうと分かってても見捨てるわけにはいかないですよねぇ。
>愛子
 せっかく1度は邪竜の毒牙から逃れたというのに、何て哀れな(ぉ
>GP
 すいません、ちょっと繰り延べになりましたー。

○ハルにゃんさん
 愛子は今後横島ファミリーとますます親しくなるでしょうな。そして4号の座に……つけるかどうかはまだ明らかではないですよー。奥さんズも自分がかまってもらえる時間が減るのは嫌でしょうしw
>ヒャックメン
 そんな、一応は美少女なのに男みたいな呼び方をw
>ホワイトパンツ
 まったくですな。
>文字通り雲の上の存在になった横島ですが
 言われてみれば確かにそうなんですが、筆者ですらそんな認識まったくありませんでした(ぉ
 愛子も安心して胸に飛び込めることでしょう。

○滑稽さん
 確かに学校の備品よりは横島君の保護妖怪の方が何かと有利ですよねぇ。そうなれば妙神神社についていくのもまた当然……むう、何という狡猾な策略! さすがに32年も委員長をしてただけのことはありますな<マテ

   ではまた。

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