そんなこんなで自分の知らない所で状況が大きく変わって来ていることを知らない横島は妙神山の門前までやってきた。
「お~い、久しぶり~元気にしてたか~」
「「おお、横島ではないか久しいのう」」
「ここもすっかり復興したみたいだな、綺麗にたてかわってるなぁ」
断末魔砲で全壊した建物や鬼門たちが付属(?)している門など綺麗に新築状態となっていた。
「うむ、われらの持ち場もこの通りよい素材で作ってくれ「ヨコチマ~~~~!」ダブァ!」
ドカン!という大音響とともに開いてはいけない方向に開いた門から弾丸のようにパピリオが飛び出してきた。
「ぐぼぁ! 」口から出てはいけない物が出そうになったものの横島が後ずさりながら受け止めた。
「パピリオ元気にしてたみたいだな」と言いながら脂汗を流しつつも横島は嬉しそうにパピリオの頭を優しく撫でてやる。
「早速パピと遊ぶでちゅ」
「ちょっと待ってくれパピリオ、先に老師と小竜姫様への挨拶と相談をさせてくれ、今回は直ぐには帰らないからちゃんと一緒に遊んでやるから」
と修行場の中に向かって歩き出した。
「「わしらの出番はこれだけなのかぁ~~~~!」」
と鬼門たちが叫んだところ、「お~忘れてたこれは2人への土産だ、夜にでも飲んでくれ」と言って日本酒の一升瓶を取り出した。まぁ金は無いからそんなに良い酒じゃないけどな~と呟きつつではあったが・・・
「「わしらが報われるSSなんて今まで滅多になかったの~」」と意味不明の言葉を叫びつつ涙を流し、鬼門たちがすっかり新しく綺麗になった門がどうなったかを忘れているようなので気が付かれる前にこっそり立ち去る2人がいたとか居ないとか。
母屋の前まで行くと小竜姫が横島たちを出迎えに出て来たところであった。
「お久しぶりです。横島さん」
いつもの様に微笑んでそう挨拶する小竜姫ではあったが、内心はその表情とは裏腹なものであった。
あの事件以来、横島の霊能を見い出した師であると自負し、その成長を密かに誇りに思っていた。
自分がその弟子の窮地に何も出来き無かった事を悔やみ、あの重い決断をした弟子の傷ついた心を癒すことさえ全壊した修行場の復興等に追われた為とはいえ何も出来なかった。
そんな自分に師たる資格があるのであろうか?またあの人は私を師として見てくれるのであろうか?と不安で押しつぶれそうであった。
「ご無沙汰してます。小竜姫様、今日は小竜姫様と老師、それからついでにヒャクメにご相談があって来ました。」
「ついでとはひどいのねー」
その一言を聞いたとたん満面の笑みを浮かべながら答えた。
「老師は丁度こちらに居られますし、私も修行者の方が見えられていないので大丈夫です。ヒャクメは先日そろそろ仕事がひと段落付きそうなので遊びに来るとは連絡がありましたので呼んでみます。
日程的には大丈夫ですか?(相談相手に選んでくれたって事は師匠として見てくれてたのですね横島さん・・・)」
「お~ヒャクメも仕事することあったんだ~、春休みに入ったので今回は暫くいれるので大丈夫っす」
「ヒャクメはあの時神族調査官で唯一人界に居ましたので色々報告書やらで”珍しく”忙しかったようです。ささ、老師を呼んで来ますので中で待っててください。」と相談しに来てくれた事に安堵したか、さらりと毒を吐く小竜姫であった。
「お~ 久しいの横島、小竜姫から聞いたが何やら相談があるそうだが」
「はい、ご無沙汰しておりながら申し訳ありませんがその通りです。」
といつに無く神妙な面持ちで答える横島に小竜姫も姿勢を正して尋ねた。
「横島さん、一体どのような相談なんでしょうか?」
「はい、実は・・・」と先日の愛子との会話を説明し、人と人に在らざるものが等しく付き合うのが当たり前の世の中にすることは出来ないかと考えていることを伝えた後、こう言った。
「ほら、ここ妙神山も神族と魔族が一緒に生活してるじゃないですかそんな風に人と妖怪とも一緒に生活できる場所を作りたいんですよ。
とは言っても、まずは人で在らざるものが安心して生活することが出来るところを作るところから始めたいと思ってます。
山の中でひっそりと生活していても人の都合で追われる妖怪も居て住む所を守ろうとして人を傷つければ人に仇なすものとして追われることとなります。まずはそういったことを無くして行きたいんですよ」
それまで黙ってキセルを銜えながら黙って聞いていた斉天大聖であったが徐に問いかけた
「横島よ、神族と魔族の共存とて数千年掛けてやっとここ妙神山だけが成しえたのだ、おぬしの望んである人と人在らざるものとの共存も長く険しい道程となるぞ?」
「ははは、それ位の事しなきゃ折角あいつに貰った命の無駄遣いになっちゃいますからね・・・」
と寂しそうに笑いながら答えると横島の腕に黙ってしがみついたパピリオの頭をそっと撫でた。
「それをなす為に妖を探す手段、安心して住める場所を用意する為の知識を得たいのです。」
「それだけでは足りんぞ、妖は動物が変じたものも多いから己より弱いものの言葉は聞かんことが多いからのう。探す方法はヒャクメが専門じゃから任せるとして知識は小竜姫から力はわしが”しっかりと”面倒見てやろう」
と心底楽しそうにニヤッと笑いながら答えた。
「お、お手柔らかにおねがいします・・・・」
脂汗を滲ませながらもいつもの様には逃げずに頭を下げる横島であった。
一方その頃、ナルニアでは
「そう、忠夫はどこかへ大きな荷物を抱えて出かけたので居ないのね。ありがとうクロサキ君。後は日本に着いたらまた連絡するわね。」
「あなた、ちょっと私は日本にいって忠夫と話をしてみるわ。忠夫は暫く留守っぽいけどその間にちょっとクロサキ君の情報を基に少し探ってくるから。」
「判った、必要があれば俺も日本に戻れるように仕事を前倒しで仕上げておくよ。」
「判ってるだろうけど・・・・羽を伸ばして遊ぶんじゃないよ(ギロリ)」
「ア、ア、アタリマエジャナイデスカ」
次回 GM来日?
あとがき
ご指摘いただきましたよく似た文章「妖との仲介人を」を拝見しました。
確かに良く似た表現となってしまっているようです。
ただ、例え他に手段が無かったとしても、人類の敵として扱われるは挙句恋人を世界との天秤にかけてさせられる等、親として納得出来ない気持ちを著したかったのです。
不快に思われる方が多いようであれば削除して一読者に戻らせていただきます。