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「想い託す可能性へ 〜 にじゅうく 〜(GS)」

月夜 (2008-03-02 16:13/2008-03-03 21:24)
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  想い託す可能性へ 〜 にじゅうく 〜


 戦いがひとまず落ち着いたのを見計らって、令子の上半身を抱えながら地面に座り込んでいた忠夫は、切羽詰っていた先ほどの状況を思い浮かべていた。

 (それにしても、俺の身体はどうなってんだ? いきなり視界がズームアップするわ、ヒャクメ達との念話の痛みが和らぐわ、疑問だらけだ。
 それに……いや、まさかな。はは……こんな弱気だと、あいつに叱られちまう)

 思い出している時に、懐かしい最初の師匠の声を聞いた気がした事をふと思いだす。しかし、あいつはもういないんだという思いが、その考えを苦笑しながら打ち消してしまう。

 「どうしたのね? 横島さん」

 「ん? いや、なんでもない。さて、俺らも拝殿に戻ろう。
 樹海に吹っ飛ばしたとはいえ、あいつらはすぐにもこっちに来るだろうから、それを防がんと」

 ヒャクメが考え込む忠夫に気付いて話しかけるが、彼は首を振って心配ないと伝えて、ごまかす様にこれからの行動を話しだす。

 「そうね。けど、横島? シリアスなのは良いんだけど、その手はなんとかならない?」

 「いくらなんでも、失礼と思うのね」

 「……すまん。なぜか知らんが、令子が消えそうな気がして不安なんだよ」

 未だに令子の胸を愛撫していた忠夫を冷めた目で見ながら言うタマモと、呆れたような口調で注意するヒャクメに謝って、彼はようやく手を止めた。

 (枝世界からの記憶改竄の影響? でも、小竜姫と一緒に来たから、美神さんは対処してるはずよね?)

 忠夫の言葉に、ヒャクメは彼の記憶が改竄され始めているのかと、心配になった。

 「さて、俺のことはいいや。まずはシロに言ったように拝殿に戻ろう。
 ヒャクメ。すまんが、敵の動向を軽くトレースしていてくれないか? シロの攻撃で手傷は受けていると思うが、逆上もしてるはずだからな。予測がつかん」

 「分かったのね」

 「頼む。それじゃ、戻るぞ」

 忠夫はヒャクメに軽く頭を下げ、令子をお姫様抱っこで抱き上げると、少しふらついた足取りで歩き出した。

 その後を、虚空から出したヘッドセットディスプレイを装着したヒャクメと、後頭部に一頭の極彩色の蝶を止まらせたタマモが続く。

 「(危なっかしいわねー) ねぇ? ヒャクメは私達を連れて、拝殿に転移できないの?」

 「え? そうねー、出来ないこともないけど、その間は敵の様子が見れないのね」

 「見れないと言っても、五秒くらいじゃないの? それなら皆と早めに合流した方が、対処がしやすいわ」

 チロッと忠夫に一瞬視線を向けて、ヒャクメの注意を引くタマモ。

 その視線の意味に気付いたヒャクメはコクンと頷くと、タマモの提案に乗ることにした。

 「それもそうなのね。じゃ、タマモちゃんは私に掴まって。横島さんはそのまま美神さんを抱えていてね」

 「こう?」

 「ん、転移するんか? 分かった」

 タマモがヒャクメの左手に掴まり、ヒャクメは立ち止まった忠夫の左肩に右手を置いた。彼女はヘッドセットディスプレイを装着したままなので、なんだか滑稽だ。

 (失礼なのねー!)

 「ヒャクメ、どうかしたんか?」

 「うぅー、なんでもないのねっ」

 「何を怒ってんだ?」

 「さぁ?」

 ヒャクメがいきなり怒り出したことに、首を傾げる忠夫とタマモ。そんな二人を無視して、彼女は無言のまま拝殿へ向け、転移した。


 さてその頃、シロは小竜姫に拾われてパピリオと合流していた。

 「これ、どうしたもんでござろう?」

 小竜姫達に見せたシロが手に持っている物は、二ノ宮浅間神社の神鏡なのだが、それには無数の細かいヒビが入っていた。

 やはり神族五柱を強制転移するには、レプリカの神鏡では荷が勝ち過ぎていたらしい。

 「サクヤ様にお渡しするしかないでしょうね。私ではどうにもなりませんし」

 「私もです」

 「そうでござるか」

 小竜姫とパピリオの答えに、シロは神鏡が割れないようにそっと持ち直した。

 「先生は拙者に拝殿に戻るように言ってござったが、小竜姫殿とパピリオ殿は他に何か聞いてござらんか?」

 「私は、パピリオと一緒に戻って来いとしか聞いてませんね。何か切羽詰っていたようでしたし。
 それに、いきなり横島さんが指揮をし始めたのも変です。何があったんです?」

 小竜姫は、パピリオの方を向いて事情を訊いてみた。

 鱗粉による幻術と情報伝達の統括をタマモと一緒にやっていたパピリオなら、何か知っていると考えたのだろう。

 「ごめんなさい。私が美神を気絶させてしまいました」

 「は?」 「へ?」

 俯いて答えるパピリオの言葉に、小竜姫とシロはビックリして彼女をまじまじと見つめるばかりだ。

 「私達が時々使う念話を人間相手に使うと、人間にとってかなり負担になるなんて知らなかったんです。
 ヨコシマは耐え切ったらしいですが、美神は自分の盾を制御中に私の念話を受けたので気を失ったらしいです」

 とつとつとパピリオは、指揮官が交代した経緯を打ち明ける。自分のせいで、作戦に支障をきたしてしまったと落ち込んでいるのだろう。

 「そうでござったか。さすがは先生でござるな。咄嗟にとはいえ、美神殿の代わりが出来るとは」

 「そういえば、私も人間相手には念話を使った事がありませんでしたね。霊能力者として極みに近い横島さん達でも、私達からの念話を受けるのは大変みたいですね」

 シロは純粋に忠夫の指揮振りを褒め、小竜姫はパピリオを軽く抱きしめて自分も知らなかった事を打ち明けた。

 ヒャクメがやったように、念話の送信出力を下げて忠夫に話しかければ良いのだが、パピリオはともかく小竜姫もその事は知らないらしい。

 念話の中継をしていたパピリオは、本来の状態なら気付いていただろうが、令子を気絶させた事に彼女は動揺してしまっていて、ヒャクメのやった事など気付いていなかった。

 「ともかく、作戦通り一時的に敵を排除できたのですし、シロさんが言われていた通り拝殿へ向かいましょう。シロさん、私に掴まってください」

 「こうでござるか?」

 パピリオを抱く小竜姫の左腕に掴まって、シロは尋ねた。

 「はい。では、転移しますよ」  シュンッ

 シロに答えた小竜姫は、拝殿入り口を思い浮かべて彼女達を連れて転移した。


 ところ変わって、こちらは本殿のサクヤヒメ達。

 「姉さま? 横島殿と何かあったのですか?」

 「なっ 何もありはせぬ! 美神の厄を一時的に受け持っただけだ」  ふしゅっるるー

 顔を赤くして戻ってきた女華姫を怪訝に思ったサクヤヒメはどうしたのかと訊いてみたが、彼女は余計に顔を赤くして否定する。

 その態度は何かあったと雄弁に物語っているのだが、女華姫は気付く様子も無い。

 (美神殿が倒れたとヒャクメ殿から聞いて一緒に行ったというのに、どうされたのでしょう?)

 女華姫が忠夫からの純粋な感謝の念を強烈に受けて、感謝され慣れていない彼女が照れているという事には気付かないサクヤヒメ。

 彼女にとって忠夫はニニギノミコトであり、姉であるイワナガヒメが彼と会った時、どういう反応をするのか心配であっただけに姉の行動が良く分からなかった。

 まさか褒められ慣れていないせいで照れるとは、思ってもいなかったのである。

 「ええっと、美神殿は大丈夫なのですね?」

 「う うむ。 美神を苛む頭痛や霊力消費に伴う身体の疲労等は、妾が現在受け持っている。このまま霧散させる事も容易いではあるが……」  ふしゅるる〜

 「今回の件が終わってからになさって下さいまし。そうしないと、キヌに嫌われますよ?」

 姉が意趣返しを考えていると感じたサクヤヒメは、釘をさした。

 「ううむ。やはり嫌われるか?」  ふしゅるる

 「ええ、嫌われますとも。キヌ自身が赦したのですよ? なのに姉さまが意趣返しをするというのは、ただの我侭です」

 「サクヤは美神に甘くはないか? あの者が何をやったか知らぬからそう暢気にしておれるのだ!」  ふしゅるるる!

 「知っています。私はキヌの半生を体験したのですから」

 「知っておると!? ならば…何ゆえそう赦せるのだ!」  ふしゅるるっ

 サクヤヒメの言葉に女華姫は、自分でも訳が解らない怒りがこみ上げて妹を問い詰める。

 「真に憎むべき者を知っているからです。
 後は…そうですね。同じ殿方を愛してしまった葛藤によって得た答え。その人を愛する事に不器用な女性を、愛する殿方と同じくらいに好きだからでしょうか。
 どちらも失いたくは無い。相手の女性が殿方の伴侶であれば、双方に心許せる者として在る事。もし自分が伴侶であれば、女性に引かせず一緒に愛していく事。
 あの子達は……少なくともキヌは、横島殿と美神殿から離れるつもりは一切無いのですよ。殿方にとって都合の良いように聞こえるでしょうけど、キヌにとってそこまで想えるのは横島殿だけです」

 「どうしてそこまで自分を殺せるのだっ」  ふしゅるっ

 妹の答えを聞いても、女華姫は納得できなかった。人間の人生を送ってきた記憶と照らし合わせてみても、彼女は答えを見つけられない。

 「どうして姉さまは、キヌが自分の心を殺していると考えるのです?」

 「どうしてだと!? 現にキヌの他に女性を娶っているではないか!」  ふしゅるるるっ

 「それはこの枝世界での横島殿の事ですね? 彼が不義を働いていると?」

 「違うと申すか!」  ふしゅっ

 淡々とした態度で質問してくる妹にイライラが募った女華姫は、とうとうサクヤヒメの肩を鷲掴んで咆哮する。

 しかし、サクヤヒメは姉の怒鳴り声にも動じることなく、やんわりと彼女の腕に自らの手を添えて、姉の言葉の矛盾点を突いた。

 「落ち着いてください、姉さま。最初は美神殿に怒っていらしたのに、今度は横島殿に怒りを向けていらっしゃる。キヌの何が気に障るのです?」

 「……!! 妾がキヌに?」  ふしゅっ  ふしゅるるる〜

 冷や水を浴びたように硬直する女華姫。

 「ええ。私には姉さまが、キヌを羨ましがっているように思えます」

 「妾がキヌを羨ましがる?(なぜじゃ? サクヤの言葉を否定したいのに出来ぬ……)」  ふしゅるる〜

 胸の内に湧き上がるモヤモヤとしたものの為に、妹の言葉を否定できない女華姫は戸惑う。

 そこへ、本殿の扉の陰から忠夫がひょこっと顔を出した。

 「あのー、取り込み中のところすまん。サクヤと女華姫にも作戦会議に出て欲しいんだが?」

 ボボン! 

 「うぉっ、どうした女華姫!」

 サクヤヒメと女華姫が話し合っている所に問いかけた忠夫だったが、女華姫が盛大に頭から水蒸気を上げて茹蛸のように真っ赤になった事に驚き、駆け寄った。

 「い いひゃ、にゃんでもない。 き 気にするなっ」  ふしゅるるるっ

 言葉を噛みながら答える女華姫。

 話題に上っていた男が、思いもよらぬタイミングでいきなり話しかけてきて、彼女は思い切りうろたえていた。

 「いや、気にするなって言われてもな。そんな真っ赤だと、体調でも悪いのかと心配になるだろうが。何があったんだ?」

 令子を助けてくれた事で感謝している忠夫は、女華姫の喋り方もあって砕けた言葉で話しかける。

 (むっ。私の時には最初は敬語でしたのに、姉さまには砕けた物言いですね)

 目を細めて忠夫を見ながら、サクヤヒメはザワッと胸が騒ぐのを感じる。今世では姉とは初対面なのになぜこうも? と、考えが及んだ所で自らの考え方に疑問が湧いた。

 (あら? 私が姉さまに嫉妬? 今の彼は私の良人でもないのに?
 でも、このざわめきは……ああっ、そう。そういう事ですか。
 と、いうことは姉さまも?)

 自分の良人の転生した人間という事も、興味の一つではあっただろう。けれど、その事と別に人間の彼に、心惹かれている自分に気付いたサクヤヒメ。

 そしてもう一つ。サクヤヒメは、姉が忠夫を恋とまでは行かないにしても男として、意識しだしたのではないかと推察もしていた。

 「妾はし 神族ぞ? 人間のように体調が悪くなることなぞ、そうありはせぬ。
 それよりも、急がねばならぬのだろう? 横島殿」   ふしゅるるる〜〜〜

 「それはそうだが、本当に大丈夫なんだな? 令子の恩人に何かあったら嫌だぞ、俺は」

 「わ 妾は何とも無いっ。ええいっ、妾にかまうなっ」  ふしゅるるっ

 忠夫の言葉のどれかにカチンときた女華姫は、言葉荒く彼の心配を撥ね付けると、ドスドスと足音荒くして拝殿へと逃げていった。

 「女華姫は、何を怒ってるんだ? サクヤはなんか知ってる?」

 「くすくすくすくす。 ああ、ごめんなさい。まぁ、姉さまは殿方に心配されるという事に慣れていないだけですよ。
 さ、時間も無いことです。横島殿達を急ぎ樹海に送る為にも、拝殿に参りましょう」

 首をひねる忠夫の質問に対して、事実とは微妙に歪めた答えを返したサクヤヒメは、彼の腕に自らの腕を絡ませて歩き出した。

 「おっ、おぉっ。(柔らかい! って、喜んでどうする俺! けどっ、この弾力はー!!)」

 (これぐらいはしても良いでしょう? キヌ、令子殿)

 視る者が視れば、女華姫が堪り兼ねて逃げていったという事が解るだろうが、令子と結婚して七・八年は経ってるはずの彼でも解らないのだろうか?

 それとも融合した結果、その辺の機微を感じるのが鈍いこの枝世界の横島の影響が出始めているのかもしれない。


 忠夫とサクヤヒメが拝殿に来ると、もう全員が車座になって床の敷物に座っていた。

 令子もすでに気絶から回復していて、小竜姫やパピリオとなにやら話していたが、忠夫達に気付いて目を細めた。

 「なにやってるのよ、忠夫? 女華姫は顔を真っ赤にして来るし、あんたはあんたでサクヤヒメと腕を組んでくるし。ただ呼びに行っただけでソレ?」

 言葉は忠夫を詰っているが、令子が睨んでいるのはサクヤヒメの方だ。しかも様付けを外している。

 令子に睨まれたサクヤヒメの方は、彼女の鋭い視線など気にせずにどこ吹く風と受け流し、自然と忠夫から離れる。

 ただ離れ際に、ボソッと忠夫に何事かを呟いて、彼が赤面していた。

 その光景に、令子の嫉妬に燃料がくべられて燃え上がる。

 「あんたはこっち!」 「いてっ、いてててっ(令子殿に愛されていますね…か)」

 怒りもあらわに、忠夫の右耳を引っ張って自分の左隣に座らせる令子。

 忠夫の方も、サクヤヒメの大きな胸の感触を堪能していたこともあって、後ろめたい気持ちがあり痛がるだけで文句は言わない。

 その様子を微笑ましく見るだけで、何も言わずにサクヤヒメは女華姫の隣に正座した。

 明らかに彼女は、令子達の様子を眺めて楽しんでいる。

 令子は気持ちを抑える為に一度深呼吸すると、おもむろにきりだした。

 「さてっと! 時間が無いわ。ヒャクメ、あいつらが今、どうしているか教えて」

 「さっきの戦いで、シロちゃんが最後に放った攻撃で受けた傷の手当をしているみたい。
 でも、それぞれかなり頭にきているようなのね」

 令子の様子に苦笑しながら、ヒャクメはヘッドセットディスプレイを着けたまま答える。どうやらトランクを出すのがメンドイらしい。

 「なるほど。とりあえず、冷静な判断を下せないようにはなっているのね? じゃ、間を置かずに攻めないといけないわね。
 シロ、文珠はいくつ残ってるの?」

 ヒャクメの説明に時間が無い事を改めて認識した令子は、作戦を頭に思い浮かべながら現状を把握しだした。

 「拙者が飲み込んだ<達>と、囮をする為に使った<姿>の二つは消えたでござるから、残りは三つでござるな」

 指を折って数えて、シロは答える

 「三つか(微妙な数ね)。そういえばあんた、霊波刀に癒しの術を組み込んでいたわね? それってあんた自身も癒せるの?」

 「“蒼銀癒刃”でござるか? 面目ござらん。大切な方を救いたいと守護女神様に希(こいねが)う術でござるから、自分には効かないでござる」

 令子が人差し指を軽く顎に当てながら質問した事に、シロは軽く頭を下げて説明する。

 「なるほど(シロらしいわね)。とすると、あんたに持たせた平癒符は何枚残ってるの?」

 「それならば、まだ十枚はあるでござる。ほらって、あれ?」

 シロが腰に下げていた入れ物を見せようと、顔の前に出して首を傾げた。

 その入れ物は、底の方が黒く焦げてささくれ立っていた。そう、底が抜けて中身が無かったのである。

 「ああっ、いつのまに! サクヤヒメ様、面目ござらん。札を失くしてしまった様でござる」

 シロは、サクヤヒメへと向くと頭を下げた。

 「お札はまた作れば良い事ですから気にしないでくださいな。けれど困りましたね。お渡しした平癒符で、手持ちは無くなってしまったのです」

 右頬に手を当てて困った顔をするサクヤヒメ。

 簡単な切り傷などを癒す符ならばすぐにでも作れるが、重度な火傷や重傷となってしまう裂傷などに効く即効性を持たせた汎用性のある符は、サクヤヒメでさえ作るのに一枚につき一日は掛ってしまうのである。

 人間が作るなら専門の術師達十人によって、一枚につき一ヶ月は掛る代物だ。

 ちなみに、サクヤヒメの作る即効性の有る平癒府は、一般には出回っていない。あの厄珍でさえ、手に入れる事は出来ないのである。


 「シロが攻撃された時の余波が、護りの木札の効果が一番弱いそこに集まったようね」

 令子も、シロが持っていた入れ物を受け取って眺めながら、そう感想を漏らす。

 「シロの怪我が心配なら、私が持っている文珠を渡しておくわ」

 タマモが令子達の様子を見て、そう提案する。彼女が隠し持っている文珠も残り三個だったが、前線に出るシロを心配したのだろう。

 「んー、いくつ持っているかは知らないけど、タマモもそんなに多くは持って無いんでしょ?」

 コクッと頷くタマモ。

 「なら、それは持ってて。でも、シロの怪我を防ぐのもそうだけど、シロに対しての指示にどうしても文珠が二個必要なのよね。
 わたしも確認を怠ったから無様な姿を晒したけど、パピリオの眷属を通しての念話はかなりの負担になるわ(最悪、あの方法をやるしかないけど……)」

 タマモの申し出はありがたいが、樹海ではタマモも身を護る必要がある。令子はそれを減らしたくは無かった。

 けれど代案があるかといえば、もう残りは一つしか思い浮かばない。それを人前でやるのは、さすがに令子は嫌だった。

 「あ、その事だけど。念話は送信側が神族とか魔族なら、念を弱めて送れば人間に負担が掛る事は少ないのね」

 「けどそれって、送る側に余裕がある時でしょう? 戦闘中とかの余裕が無い時は無理だわ(やっぱりアレやらないとダメなの!?)」

 ヒャクメの説明に光明が見えた気がした令子だが、その方法の欠点に気付いてだんだん追い詰められてきた。

 「それは、中継するパピリオに任せれば良いと思うのね」

 パピリオの方を向いて、出来るでしょう? と、ヒャクメは言う。

 「任せるですっ」

 「でもね〜……」

 失敗は取り返すとばかり意気込むパピリオ。けれど令子は、それでも心配そうだ。無意識に、自分の左耳後ろの髪に左手を挿しいれ、梳き上げていた。

 忠夫は、令子の仕草で彼女が何を心配しているのか気付いた。文珠が足りない上にこの仕草だ。彼が気付かないはずがない。

 なぜなら彼女がこの仕草をすると、忠夫の方からは令子の脇から左胸が服の上からでも全容が解る上に、髪を梳き上げているからうなじがチラリと覗くのだ。言葉で誘えない令子の精一杯のアピール方法だった。

 彼は周りを一瞬見渡すと、苦笑しながらとりあえずパピリオに任せる流れを作ることに決める。彼としては、令子が心配する方法をやりたいのだけど、今は本気で時間が無い。

 「現状は、パピリオに任せるしかないかもな。あとパピリオ。これだけは約束してくれ」

 「なんですか?」

 パピリオは何を言われるのだろうと身を硬くしながら、自分の右側に座る忠夫を見上げながら訊く。

 「パピリオが感情的になると、全体に影響が出る。だから誰かがピンチに陥ったとしても、氷の様に冷めた思考で、救援するなり応援を呼んだりしてくれ」

 「うぅ、努力するです」

 「ああ、頼んだぞっ」

 忠夫はパピリオの頭に左手を乗せて優しく撫でながら、力強く頼った。

 「うんっ!」

 頼られたと感じたパピリオは、頭を撫でる忠夫の手の感触と相まって嬉しくなり、満面の笑顔で答える。

 「せ、拙者も!」

 その光景にシロが自分も撫でて貰おうと、忠夫の前まで素早く行って座る。

 その仕草に、忠夫は苦笑しながらもシロの要求に応えてやった。とたんに、はにゃーんとするシロ。

 ポンッ トトトトッ  タッ  ポフッ

 すると、タマモがいきなり獣形態になって走り、忠夫の背中を一度蹴って高くジャンプすると、その勢いで彼の頭に乗った。

 「タマモ?」

 いきなり頭に乗られた忠夫は、ちょっと前のめりにグラついたが持ち直して頭の上の狐娘へ問いかける。

 ベシ ベシ ベシ

 しかし、タマモは無言で九つある尻尾で忠夫の左右の頬を叩きだした。

 「いてっ いてっ いてっ たくっ、何だってんだよ!?」

 「タマモもパピリオと一緒に頑張ったんだから、撫でてあげたら?(い、今は譲ってあげるっ。けどっ! なんとしても早く終わらせるわ!)」

 令子は、顔を引き攣らせながら忠夫に助け舟を出した。かなり心中ザワついているようだけど。

 「それならそうと言えよ。いきなり頭に乗られたんじゃ、何がなにやら解らんぞ」

 令子の説明に忠夫は頭の上のタマモに話し掛けるが、彼女はお気に召さなかったらしい。

 ベシ ベシ ベシ ベシ

 「だー! 分かった分かった。たく、これでいいだろっ!」

 そう言って忠夫は、頭に乗ったタマモをヒョイッと掴むと、胸に抱いて口調とは裏腹にその背中を優しく撫でてやった。ソレが心地いいのか、タマモも頭を彼の頬に摺り寄せる。

 小竜姫様はどうしたって? 彼女は俯いて拳を握って何かを耐えているようです。そりゃ、ここで竜化したら、浅間大社はただでは済まないし。

 「じゃれる時間は無いと思うのね。奴ら、動き出しそうなのね」

 タマモの毛触りは意外とかなり気持ち良く、忠夫は撫でるのを続け、それをサクヤヒメが羨ましそうに忠夫達を眺めていると、ヒャクメが忠告してきた。

 「ヤバいわね。具体的な策が思いつかないわ」

 表情を引き締めて、タマモを睨みながら言う令子。

 「(仕方ないですね) とりあえず、樹海に仕掛けている迷いの森結界を、彼らが居る場所まで広げておきましょうか」

 そんな令子達を見かねて、サクヤヒメは助け舟を出した。けれどこれで最後にしなければ、ルシオラの復活に響いてしまう。

 「そんな結界があるの? 初めて聞いたわ」

 「富士に出来た妖穴を人間達からの要請を受けて、誰も近寄れないようにと隠す為に作ったのです。
 それでも妖穴からの死の気配を防ぐ事は出来ず、そのせいで樹海が自殺の名所となってしまったのは嘆かわしい事ですが……。
 ですが、気をつけて下さい。私の護り札があれば結界の中で迷いはしませんが、妖穴からの障気は忌御霊の比ではありません」

 「げっ! そんなに物騒なの!?」

 「はい。九層からなる結界の一番外側を広げますけど、それでも樹木や草花が少しずつ枯れるほどには影響は出てしまいます。
 本当はやりたくは無い手ですけれど、氏子達にも被害が出そうですし、後々横島殿に協力して頂ければ森は生き返りますから」

 「え? 俺!?」

 「はい。その時は、キヌ共々お願いしますね」 「ちょっ」 (まさかっ)

 そう忠夫に告げると、サクヤヒメは目を閉じて集中しだした。

 忠夫はサクヤヒメに何を協力するのか聞こうとし、令子は彼女の物言いがかなり気になって腰を浮かしたが、サクヤヒメが行う術の集中の妨げをするわけにはいかずに互いに顔を見合わせた。

 「な、なぁ? 令子は、サクヤが求める俺の協力って、なんだと思う?」

 「……文珠の提供だけと思いたいわ(おキヌちゃん共々って所が引っ掛かるわ!)」

 令子は忠夫から視線を外すと、サクヤヒメの美貌を睨んだ。

 (命止める禍つ気を阻む九つの結界よ しばし外れにあるその護りを拡げよっ

 サクヤヒメから凄まじい神気が立ち上ったかと思うと、一瞬で静まった。

 その瞬間、五柱の神族達は妖穴からの障気を阻む一番外側の領域へと取り込まれた。

 (ぽわぽわの性格かと思えば、猛る火山のような性格。されど慈愛の水をもって人々を潤すか……相手にとって不足は無いわ!)

 サクヤヒメの放った神気に令子はそう感想を持って、忠夫を求めてくる女として彼女を見做し、負けるものかと決意を新たにする。

 (ひえぇぇぇ、すっげぇ神気だ。けど、なぜか悲しそうに見えたな)

 厳しい表情で術を行使したサクヤヒメを見た忠夫は、その膨大な神気に驚くと同時に彼女が垣間見せた哀惜を感じ取っていた。

 「これで暫くは出て来れないでしょう。横島殿達も、本当に気をつけて下さいね。決して私の護札を失くされぬように。
 一番外側の結界とはいえ、あそこは生きとし生けるモノ達にとっては死しかありませんから」

 「ああ、気をつけるよ。とりあえず時間を作ってくれてありがとうな、サクヤ」

 ゆっくりと目を開けたサクヤヒメの忠告に、忠夫は神妙に頷いて感謝の念を篭めて礼を言う。

 「いえ、貴方の為ですもの

 「えっ!?」

 「冗談ですよ。くすくすくすくす(私とした事が、素で返してしまいました。令子殿達には知られてしまったでしょうね)」

 忠夫の感謝の念を受けたサクヤヒメは、我知らずに頬を染めて言葉が出てしまったものの、忠夫の驚きに何を言ったかを悟って柔らかく微笑んで彼には冗談だと伝えた。

 けれど、令子達はサクヤヒメの予想通りに、彼女の想いを察知していた。

 (ゆ 油断ならないわねホントに)

 と、令子は目を細めてサクヤヒメを睨む。

 (おキヌ殿の姉上もでござるか!)

 シロは忠夫の背中にひっついて、彼の脇からサクヤヒメを見ていた。先ほどの神気で、彼女がちょっと怖いらしい。

 (今は、私達の忠夫じゃない……ないんだけど、横からしゃしゃり出てくるのは気分が悪いわ。いくらおキヌちゃんの姉でもね。
 でも……ふわぁ〜あ、眠くなってきたなぁ)

 タマモは、忠夫に摺り寄せていた時に寝かせていた耳をピンっと立てて警戒する。けれど、彼が背中を撫でる心地好さに、それも長続きはしない。

 「からかうのもそこまでにしとけ、サクヤよ。それよりも、話を進めぬか」 ふしゅるるる〜

 「はい、そうですね。さて、私が手助けできるのもここまでのようです。後はお任せしてもよろしいですね?」

 「随分助かったわ。それ“だけ”は、お礼を言うわ。でも、このままじゃ、いつかあいつらは滅んでしまうんでしょう?」

 「ええ、その通りです。時間として一千年くらいは彷徨っても大丈夫でしょうが、それでも結界の性質上、最期はただの自我の無い精霊になっているでしょうね」

 「それは困るわね。やっぱり行かなくちゃならないか」

 戦闘前に想定していたよりは、難易度が下がったことに令子はホッとするが、それでも気が進まない。

 彼らを撃退したとしても、次が来る可能性はあまりに高いからだ。しかも、人界の方でもキナ臭い動きがあるから、そっちも頭が痛くなる。

 「とりあえず、向こうはすぐに死ぬような事にはならないでしょうから、小竜姫はサクヤヒメから手当てを受けて。
 あと、パピリオには悪いけど、さっきの事にならないようにヒャクメから念話送信の抑え方を教えてもらって」

 「分かりました」

 「分かったです。それと美神、シロちゃんには何も罪は無いです。あれは、私が許したです」

 「過ぎた事はもう良いわ。私でも、シロの技術を知っていたら作戦に組み込んでいただろうし、忠夫のおかげで事無きを得たわ。
 でもね、こういう事は事前に相談して頂戴。相談しなかったからああいう事になるんだから、いいわね?」

 「分かったです」

 パピリオは神妙に頷いた。

 「さて、それじゃヒャクメ。あいつらの監視を任せたわよ。わたしは……寝るわ。一時間くらいしたら起こして」

 令子は監視をヒャクメに頼んでから立ち上がると、フラフラと寝床が置いてある所まで歩く。

 そこでメドーサが寝かされているのに気付いたが、ちょっとだけ眉根を寄せただけで別の寝床に入ってすぐに寝入ってしまった。

 時間的余裕が出来た事に、令子の緊張の糸も切れたのだろう。女華姫に厄を受け持ってもらったといっても、霊力の回復は必要なのだ。

 「お、おい令子っ。 ……ありゃ、本気で寝ちまったぞ。
 なぁ、サクヤ。敵はサクヤの結界を強行突破できると思うか?」

 「さぁ? 普段であれば無理と言えますが、今はキヌにも私の神気を向けていますからね。しかし、易々と通しはしませんよ? 一番外側とはいえ、破られれば周りに甚大な被害が出ますから」

 おキヌちゃんに似た容貌で微笑んでいるのだが、彼女がまとう雰囲気は恐ろしいものだった。

 「そ そうか。ならヒャクメ」

 忠夫はサクヤヒメの微笑みに引き攣りながら頷き、ヒャクメに向き直った。

 「なんなのね?」

 「俺達を、いつでもあいつらん所に転移できるよう、用意しておいてくれ。疲れているとは、思うが頼む」

 「分かったのね。私自身は、そんなに神気を使う事も無いから疲れていないけど……小竜姫は大丈夫?」

 「少々疲れていますが、まだ大丈夫です(パピリオやシロさんとタマモさんが羨ましい)」

 ヒャクメに気遣われた小竜姫だったが、その視線は忠夫達に向けられて、無意識なのだろう右手が胸を押さえていた。

 シロもいつの間にか狼形態になって忠夫の膝で丸くなり、パピリオも蝶になって彼の頭で羽を休めていた。パピリオが自分から人前で本性をさらけ出すなど、これまで一度も無かっただけに驚くべき光景だ。

 その光景を微笑しながら眺めるサクヤヒメ。その隣では、女華姫が腕を組んで仏頂面をしていた。その視線の先は、やはり忠夫だった。

 (イワナガヒメ様は微妙だけど、良くもまぁここまで惹きつけるものなのね。かくいう私もそうなんだけど。それにしても、小竜姫が心配なのね)

 結局トランクを出さなければならなくなったヒャクメは、そんな事を考えつつシロから渡されていたひび割れた神鏡を媒体にして、転移の用意をしていく。

 シロが神鏡をサクヤヒメに返したところ、壊れてしまっても構わないと言われていたのでそのまま使う事にしたのだ。

 彼女達はめいめいに英気を養っていった。


 一時間後。

 令子達は、パピリオの眷属をサクヤヒメの傍に一頭残す事で連絡が取れるようにし、イワナガヒメである女華姫の神気が篭められた神鏡によって、敵が待つ樹海へと転移していった。

 その時、媒体にしたレプリカの神鏡は役目を終えたかのように、サラサラと光る粉となって消えてしまった。

 それを見届けた女華姫は、シロ達が注連縄で縛った神族達を回収する為に拝殿を後にした。

 最後に撃墜した神族は、注連縄で縛りはされていないのだが、ヒャクメの遠見で確認したところ気絶していたので、こいつから最初に縛る事に決めてあった。

 ヒャクメはサクヤヒメと一緒に、己のトランクから投影した映像に視線を移す。

 そこには、脱出を試みるフィルレオ達がある所を境に、強制的に元居た場所に戻されているのが映っていた。


 その頃、本殿の先の奥の間では、おキヌちゃんが一心に祈りを捧げていた。

 彼女のコメカミからはツーっと一筋の汗が流れ落ちる。

 (お姉ちゃんが力を使う度に、私の中へ入ってくる神気が僅かに少なくなる。それを補うように魔法陣からの霊力流入が多くなるんだけど、コントロールが難しい。
 でも、頑張らないと忠夫さんが戻ってきてくれないし、泣き言は言えないよね)

 おキヌちゃんは静かに気合を入れると、また祈りに集中していった。

 彼女の胎内で微かに光りだしていた文珠が、少しずつ発光量を増していく。

 真っ黒だった文珠の色が瑠璃色に変わったその光の中に、女性のように小さい素足の足が見えてきだしていた。


    続く


 こんにちは、月夜です。想い託す可能性へ 〜 にじゅうく 〜 を、お届けします。
 思いのほか筆が進みました。次回はバトルです。
 誤字・脱字、表現のおかしい所がありましたら、教えて頂ければ幸いです。
 では、レス返しです。

 〜星の影さま〜
 毎回レスを頂きありがとうございます。今回のお話も気に入っていただければ幸いです。
>えっと先に一つ気になることが……
 ごめんなさい、私自身気付いてないかもしれません。その後直ぐに改稿しましたので、それで消えていれば幸いですが。
>パピリオ主体の戦闘……
 前回の戦いでは、パピリオはシロのオブザーバーと大社の結界全体に広がった鱗粉の統制。また念話の中継もこなしていました。まぁ、タマモも幻術を使う為に鱗粉の統制は手伝っていたのですけど。
 そのせいで、パピリオは直接戦闘は行っていないです。
>シロは随分と成長したようですね……
 以前、シロが能力的に弱いとご指摘を頂いた事があって、彼女の現時点での最高攻撃力を表現してみました。確かにこの技術を知った令子さんは、喜びそうです。
>月夜様のSSは難しいの一言につきます。
 厳しい一言ですが、痛感しています。私自身、読者が天孫降臨を踏まえた上での書き方になっていると、ある方のレスと星の影さまのレスで気付きました。ただ、気付いた事とそれをどう修正していくのかはまだ思いついていませんので、これ以降のお話では神話のエピソードを交えたりして表現して行こうと考えています。
 面白いと感じていただけるだけでも幸いです。
>横島君がギャグをやらないんだよなぁ……
 そのお気持ちよく判ります。私も彼にはギャグをやってほしいのに、私にそのセンスが無いので四苦八苦してます><

 〜読石さま〜
 毎回のレスありがとうございます。女華姫また出しました。気に入っていただければ幸いです。
>控えめな内助の功が……
 幼な妻ですか^^ 無性別なので彼と表記していますけど、彼は心情的には忠夫の味方なので今後どうなるか判りません(^^ゞ
 一種のストッパー役になってくれればいいなとは考えています。
>シロパピはやはり戦闘を見てると……
 パピは、タマモとはまた違った相性の良さを見せてくれました。精神年齢的にも近いので、共通の目的もあって仲良くなってくれました^^
>過激派連中が下劣な雑魚みたいに思えてしまって……
 うう、カッコイイ敵役を書きたいです。まぁ、彼らの親玉であるフィルレオがかなり汚い奴なので、その影響が出ているんでしょう…と、思いたい><
>久々にしっかり登場の女華姫さま……
 今回のお話でも萌えて頂ければ幸いです^^ 忠夫にしてみれば、彼女を口説こうとしてはいないんですけどね(^^ゞ 本気の彼は、周りの女性には劇薬の何者でもありません(^^ゞ


 次話は、ちょっと長めになるかもしれません。投稿は中旬頃を予定しています。
 読んで頂けている方々に何かを残せていればと願いつつ、失礼します。

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