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「『最強の』後継者その20(GS)」

ラッフィン (2008-02-25 00:11)
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――親達サイド――

「ついにこの時がきたのだな」
「はい、この日のために必死になって業務に励みましたな」
「ああ、だから今日は存分に堪能しようじゃないか!」
「はい!!」

がっしりと涙を流しながら握手を交わしている二人の男性。六道冥奈の夫と横島百合子の夫である。彼らはこの日(忠夫の文化祭)に休みをとるために普段の5倍の仕事量をこなしてきたのだ。全てはウェイターをやっている息子(未来のも含む)の姿を見るために。
その夫達の想いと同等、あるいはそれ以上に楽しみにしている冥奈と百合子もいる。だが、一番楽しみにしていたのはやはりこの人かもしれない。

「ああ、ついにやってきたのですね!この日が来る間、私は地獄すらも生ぬるいほどの厳しい生活でした。忠夫様に会えないなんて・・・私に死ねと言っているのと同義です!ですが、ですが!もう我慢しなくてもいいんですね?私自ら収集した忠夫様コレクション☆で慰めなくてもいいんですね!思う存分忠夫様を堪能していいのですね!ああ、もう我慢できません!フミ、逝きます!!」

ちなみに『忠夫様コレクション☆』とはフミが今までで撮った(本人承認、盗撮したものなどなど)写真集である。例の技のときや目にゴミが入って涙目になって目を擦る姿など、何故か萌える仕草やトキめいてしまう姿しか写っていない。
忠夫がバイトすると知ったときも真っ先に履歴書を持って行こうとしたのだが、六道家のメイドとして働いているためにそれも叶わず、学園祭のときの楽しみにと会うことも自ら禁止して、このときのために我慢してきたのだ。この前、電話に出たときも危うく覚悟が砕け散るところだったのだが、なんとか我慢出来た。もし、あのとき冥奈に変わるのが後0コンマ1秒でも遅れたら覚悟?なんですかそれは?ってな具合で吹っ飛んでいたことだろう。
忠夫に会えない日々を続けていたフミは、やつれ、体のいたるところで痙攣が起こり、生気が失せ、危ない状態であったが、見事に復活を遂げていた。そんな極限状態でもメイドの業務は完璧にこなしているのだからフミのスペックの高さが相当なものだと伺えるが。もう、何者も彼女をとめることは出来ないだろう。


――お姉ちゃんズサイド――

「令子ちゃ〜ん、エミちゃ〜ん、早くいきましょ〜」
「ああ、冥子!あんた浮かれすぎよ!まだ始まったばっかだから大丈夫だってば!」
「やれやれ。よほど楽しみにしてたみたいなワケ」

もうスキップすらしそうな勢いの冥子にまるで保護者のような心情で苦笑しながら歩くエミと令子。忠夫の学校で文化祭があると聞いたので参加はするつもりだったが、冥子のように浮かれるまではない。精々、忠夫のウェイター姿をからかってやろうくらいの気持ちであった。

「そういえば、今日は義父さん、義母さんもくるって言ってたわ」
「あら?じゃ、冥奈おばさまもくるかもね」
「なんか、大変なことになりそうだわ」
「同感・・・」

二人はこれから起こりそうなことについてため息をつかずにはいられなかった。


――魔鈴サイド――

「高校なんて久しぶりだわ」
「そうね〜。なんか若々しくていいわね〜」
「なんか可愛く感じるわ」

チアキ、サナ、アンナの3人は高校生について語っている。その3人から一歩下がった位置で歩いている魔鈴はその3人の話題に乾いた笑いを浮かべるだけしか出来ない。間違っても『まるでおばさんのような会話』とは言えない。言ったら何をされるかわからないから。

「そういえば、忠夫君ってどういう子なの?」
「ん〜、やんちゃっぽい感じかな?」
「まぁ、いたら教えますよ」

やっぱり、本来の目的は忘れてはいないらしい。これからなんにも起こらずに済んで欲しいと願わずにはいられない魔鈴だった。


――忠夫サイド――

「横島く〜ん。そろそろ、始まるからフロアに入って〜」
「う〜っす」

六道家が用意してくれた制服(フミさんお手製)を着込み、忠夫はフロアに出る。家を出る前に冥子から見に来ると聞いているのでやる気も満々であった。

『これより、第○○回、文化祭を開催します。みなさん存分に楽しんでください』

放送で文化祭が始まったことが伝えられる。店番がない人は一斉に他のクラスへと向かい、店番の人は客を引き寄せたり自分の業務に勤しむ。それと同時期に保護者にも開放され、幾人かの保護者、他校の人、遊びにきた近所の人達が校舎へと入って来た。

「三名様は入りま〜す」
「は〜い」

忠夫のクラスにもちらほらと客がやってきて対応に追われる。忠夫は早速バイトの経験を生かし、なんなく客を捌いていく。他のウェイターをやっている人もバイトの経験がある人は問題なく、初めての人は初めてなりに頑張って対応しているので今のところは大丈夫のようだ。まぁ、始まったばかりで問題があったら不安だらけの文化祭になってしまうが。そこにまた新しいお客さんがやってきた。一番近かった忠夫が対応に向かう。

「いらっしゃいま・・・父さん!母さん!冥奈さん達まで!?」
「おう、ちゃんとやってるか見に来たぞ、忠夫」
「あら。なかなか似合ってるじゃない」

お客さんの正体は実の両親と両親の盟友夫婦であった。思わず地が出てしまった忠夫。が、後ろが支えているのに気付いて慌てて席に案内するのだった。

「ご注文はお決まりでしょうか?」
「コーヒーを4つとオススメのケーキを4つ御願い」
「かしこまりました」

注文を受け、キッチンへ伝えに行く。親御さんが来たとなったら、クラスメイトから質問されるのはどこにいっても同じことだろう。そっと忠夫に近づいてきたクラスメイトから質問される。

「おいおい。あれが、横島の親御さんか?どっちだ?」
「和服を着てない方だよ」
「おお!あれか。お前、父親似なんだな」
「よく言われるよ」

これ以上は何か気恥ずかしいと会話を早々に切り上げ、注文の品が出来上がったことを幸いにその場を脱出する忠夫。和服姿のほうはあの有名な六道財閥の当主夫婦なんだと言ったらさぞ驚くだろうな、と思いながら。

「おまたせいたしました。コーヒーとオススメのいちごのショートケーキです」
「ありがとう」

両親ズのところにもって届けにきた。幸い、まだ忙しいわけでもなく雑談するくらいには余裕があったため、少しだけ話すことが出来た。そこで大樹と目が合う。

『父さんに今の俺の実力を見せ付けるよ』
『ほう、それは楽しみだ。あれからどうなったのか・・・見せてもらおうか』
『ああ、全力で行く!』

それは一瞬のアイコンタクトでの会話。父親であり、例の技の師匠である大樹に自分の技がどこまでになったかを見定めてもらおうと思った。次のお客さんがきたら勝負!と、令子達に禁止令を出されていることをすっかり忘れてしまっている忠夫である。そして、待ち望んでいた客がきた。忠夫の雰囲気が変わる。

『ほう、なかなかやるようになったじゃないか』

大樹も感心するほどに。

「いらっしゃいませ。何名様でございますか?」
「「「「ポ〜・・・///」」」」
「?どうかなさいましたでしょうか?」

その客は偶然にもお姉ちゃんズ+1の冥子達といつの間に合流したのかメイドのフミであった。教室に入ってきていきなり例の技を使っている忠夫であったために、不意打ちのようなタイミングだったので何の防御も出来ず一瞬のうちに見惚れて惚けてしまった。

「あ、あんた!それは禁止って何回いえ・・・」
「失礼。あなたの美しい髪にゴミが」

令子はすぐに気を取り戻して、例の技を使っている忠夫に説教しようとするも、自分の髪を梳いて、その流れで頬も軽く撫でてゴミを取ったとぬかした忠夫にまたしても固まってしまう。すっかり、忠夫にペースを握られてしまう。

「4名様でよろしいですね?」
「あ!はい〜、4人です〜」
「かしこまりました。お席のほうへ案内いたします」

全員に椅子を引き、腰をおろした瞬間に元の位置に戻す。まるで、執事が主を座らせるためにやっているように様になっていた。
そんな中、フミだけは座ろうとはしなかった。それは職業がメイドなため、主人と同席するということが出来ないのだ。忠夫が関わると暴走するフミだが、自分の職業にはプライドを持っている。そうでなければ、一流になどなれるはずもない。
それを忠夫もわかってはいるが、ここは文化祭である。職業とかを抜きにして楽しんでもらいたいというお節介心が忠夫を動かした。

「どうぞ、お座りくださいお客様」
「いえ、私はメイドなので・・・」
「そんな!!あなたのような美しくか弱い女性を立たせたままになんてさせては置けませんよ」
「う、うつく!?はぅ・・・」
「おっと。具合がよろしくないのでしょうか?ご無理をなさらずにどうぞお座りください」
「は、はい///」

耳元で甘い囁きをされたフミはまた意識を失いそうになり、フラついてしまう。が、忠夫がそっと支えることで倒れることはなかった。支えられていることで余計に密着するようになり、フミはプライドも職務も何もかもが吹っ飛んで正常な思考が出来なくなり、忠夫の言うがままに着席するのだった。なお、誰がか弱いって?というツッコミはなしである。

「では、ご注文をお選びください。本日のオススメはショートケーキになっております」

メニューを人数分に配った忠夫は冥子の後ろへとそっと移動。腰を少しかがめて冥子の耳元に口を持っていくと、囁くようにオススメの品を教える。さらに手を伸ばしてメニューを開いて見せているため、後ろから抱きしめる一歩手前な態勢である。冥子は耳まで真っ赤に染める。令子とエミはそれを極力意識しないようにメニューを選ぶことに。意識してしまったら、自分達もフミや冥子と一緒になってしまうから。令子はすでに手遅れという説もあるが・・・。

「こ、紅茶とモンブランにするわ」
「わ、私はコーヒーとチーズケーキ」
「「ポ〜・・・///」」
「お二人はどうなされますか?」
「ああ、この子達には紅茶とショートケーキでいいわ。かしこまりました。では、お待ちください(チュッ)」
「!?」

人数分のメニューをエミから返してもらうと忠夫は、そのエミの手をとってその甲に軽く口付けをし、颯爽と奥のほうへと引っ込んだ。まるで、女王に忠誠を誓う騎士のようである。エミはしばらく反応できずに、手を差し出した状態のまま動けなくなっていたらしい。

「ふむ、なかなかやるな。まだ、俺の領域へは足りないが」
「そうね。でも、あなたよりも筋がいいかもしれないわね」
「ああ、あの歳であれだけできるんだからな。俺はそんときはまだまだ普通のガキだったぞ」
「私の教育のおかげよね?」
「そうそう」

忠夫の令子達への対応を見ていた横島夫婦の会話である。息子の成長を喜んでいるのか、忠夫を見る目がどこか優しい。もしかしたら、昔を思い出しているのかもしれない。
大樹がこの技を習得したのは百合子の部下になってからである。それまでは、ただのエロいサラリーマン、略してエロリーマンだった。毎日、毎日、女のケツを追っかけまわしている、それが百合子が最初に大樹に抱いた印象であったが。仕事の腕は一流であった。あるとき、全くの平社員だった大樹を百合子は自分の受け持った重大なプロジェクトに参加させ、自分の補佐をさせた。大樹の腕がいいのと、自分の直感を信じて。
すると、百合子も驚くような発想と巧みな話術でプロジェクトを成功に導いたのだ。祖霊以来、百合子は大樹を信頼するようになり、自分の技術を全て教え込んでいく。そして、大樹もその信頼を裏切らないように紳士的に仕事に取り組んでいき、どんどん技を吸収、応用していく。そんな二人が付き合い始めるのは遅くはなかった。

「忠夫君、すごいわ〜。おばさん惚れちゃいそうよ〜」
「確かにあの姿に惹かれない女性は少ないだろうな」
「ふふ、でもまだまだなのよ。アレを完成させたら私でも危ないわ」
「だな。でも、完成させる日も近いぞ」

まだ、あれで完成でないようだ。完成させたら、百合子ですらも危ないらしい。
だから、百合子の夫が出来るのか?大樹の凄さを垣間見た気がする。
一方、キッチンへと戻って来た忠夫に、クラスメイトが困惑気に聞いてくる。

「お、おい・・・お前、横島だよな?」
「どうしちゃったの?横島君」
「失礼ですね。私は君たちにクラスメイトの横島ですよ」
「「そんな!?口調まで変わって!!」」

どうやら、例の技を使った姿を始めてみたクラスメイトは普段の忠夫とのギャップで混乱してしまっているようである。忠夫が一旦でも普段のようになればいいのだが、集中力が切れてしまうとしばらくはあの技が中途半端になってしまうため、戻るに戻れないのだ。
とりあえず、姉達の相手をしてから説明しようと思い、注文の品を持って行く忠夫。

「なんか・・・一流の執事のようだ」
「素敵かも・・・」

後ろで呟くクラスメイト。もちろん小さい声なので忠夫には聞こえない。といっても、聞いてもどうリアクションしていいか困るだろうが。

「おまたせいたしました。モンブラン、チーズケーキ、ショートケーキ2個、紅茶3つ、コーヒーでございます。以上でよろしかったでしょうか?」
「「は、はい!」」
「では、ごゆっくり」

一礼をして下がる間際、忠夫は大樹へと視線を移す。再び親子のアイコンタクトが展開される。

『どう?俺の実力は』
『ふっ、なかなかだが完全ではないな』
『そっか』
『ああ、見本を見せてやる』

大樹は視線を隣の百合子へと移し。

「百合子」
「何?あな・・・・た!」

大樹の目を見た百合子の顔が赤く染まった。忠夫はその光景に驚愕する。生まれてこの方、あんなに恥ずかしそうな百合子を見たことがないのは確かだが、あの母親を視線だけであんな状態にした大樹に。それに比べて自分はなんと未熟なのだろうかと。
つまり、この技の完成系とは『目で堕とせ!』ということなのだろう。忠夫はさらに精進していくことを誓う。

「おかあさああああああさん!どこぉおおおお?」

あれから、元の雰囲気に戻った忠夫は普通に対応していた。その際に、令子とエミにこっぴどく怒られたのだが。まだ仕事中だからという理由で回避(先送りにしたとも言う)、お昼近くになったので客も増えてきたのでちょっと忙しくなる。両親ズとお姉ちゃんズは頼んだものをゆっくりと堪能した後、出て行った。両親達はこのまま帰るようだが、お姉ちゃんズは忠夫のシフトが終ったら一緒に見て回る約束を取り付けたのでどっかで時間を潰すらしい。そのときのフミの喜びようときたら凄かったらしい。
そんなとき、小さな女の子の泣き声が聞こえた。というかちょうど、忠夫達の喫茶店の中に入って来たとこで泣き出してしまったので困った。

「ど、どうしたの〜?」
「ケーキ上げるから泣きやんで〜」
「おかあさああああああああああん」

クラスの女の子達が女の子を宥めようとするが、母親が見つからない不安でなかなか泣き止まないどころか話すら聞いてもらえない。このままでは他のお客さんにも迷惑をかけてしまうため、早くなんとかしないといけないのだが打開策が見つからず頭を抱えてしまう。忠夫も女の子を宥めにかかることにした。

「どうしたのかな?」
「うわああああああああん」
「大丈夫だから・・・ね?」
「ひっく・・・うぅ・・・」

忠夫はかがむと女の子と目線の高さを合わせ、優しく頭を撫でてあげる。すると、女の子が落ち着きを取り戻してきたのか徐々に泣き止んでくれた。完全に落ち着くのを待って、どうして泣いていたのかを聞きだす。

「どうして泣いていたの?」
「あのね。おかあさんとはぐれちゃったの」
「そっかぁ、じゃお母さんがここに来てくれるまでいい子に待ってようね?」
「おかあさんがここにくるの?」
「うん、お兄ちゃんがお母さんを呼んであげるから大丈夫だよ」
「わかった。いいこにまってる」
「偉いね〜」

忠夫は女の子の頭を撫でながらクラスメイトを呼んで、この子のお母さんをここに呼び出してくれるように文化祭実行委員本部に行ってくれるように頼む。クラスメイトは快く承諾してくれて、本部に向かっていった。忠夫は女の子を一番入り口に近い席に座らせるとオレンジジュースとショートケーキを持ってきた。

「はい、これ食べていいから良い子に待ってようね?」
「うん!ありがとう、お兄ちゃん!」

女の子にケーキとジュースを渡すと忠夫は仕事に戻ろうと踵を返すが、後ろから裾を引っ張られ進むに進めなくなってしまう。引っ張られた力は弱弱しいものだったので振りきれるのだが、そんなことをしたら非常にまずいことになるのは明白である。なにせ、この引っ張っている人の心当たりがさっき宥めた女の子しかないのだ。チラっと後ろを振り返ると予想通り忠夫の服の裾を引っ張って涙を浮かべている女の子の姿が。

「お兄ちゃん、一緒にいてくれないの?」
「ああ、泣かないで!一緒にいてあげるから!!」
「やった〜!」

涙目が一転、満面の笑みに変わる。忠夫は困り果ててクラスメイトに視線を送る。クラスメイトも事情を知っているので文句が言えるはずもなく、忠夫が女の子と一緒にいることを了承してくれたのだった。

「ほら、はしごの出来上がり〜」
「わぁ!すごいすごい!ほかのは?ほかのは?」
「んじゃ〜、これだ!東京タワー!」

ただ待っているだけで暇になってしまった女の子に忠夫は紐で輪っかを作り、あやとりをして見せた。忠夫が知っているものを作って見せただけだが、女の子は凄く楽しそうである。と、そこに新たなお客さんがやってくる。

「いらっしゃいませ〜」
「えっと、4人です・・・あら?忠夫君?」
「あ、魔鈴お姉さん」

その客は魔鈴とその友達であった。友達の3人(そのうち二人は面識はあったが)は忠夫のことを品定めするように凝視している。一方、魔鈴のほうも忠夫の隣に座っている女の子を見てとんでもない考えを口にしていた。

「た、忠夫君!もうそんな大きなお子さんが?お母さんは冥子さんですか?」
「「「「ちょっと待ってよ(待ちなさい)!!」」」」

魔鈴のあまりの言葉に忠夫だけでなく、友人達もツッコミを入れずにはいられなかったらしい。
忠夫は魔鈴達にことの詳細を説明し、理解してもらった。

「なるほどね。よし、そういうことならお姉さん達も協力しようじゃない」
「私達と一緒に遊びましょ?」

魔鈴達も加わって女の子の母親を待つことになったが、忠夫の席は4人席だったため一人だけ入れない。そのため、女の子を誰かが抱き上げることになったのだが、女の子が指名したのは魔鈴達お姉さんズではなく、忠夫であった。
それから、魔鈴達はそれぞれ注文を頼む(女の子のおかわりも)と母親がくるまで女の子と雑談をして待つことになったのだが、しばらくすると女の子は疲れてしまったのか、忠夫の膝の腕でコックリコックリと船を漕いだかと思うとあっさりと眠ってしまった。

「あらら。眠っちゃいましたね」
「う〜ん・・・どうしよう?気持ちよさそうに寝てるから起こすのも可哀想だし」
「忠夫君、我慢して寝かせてあげなさい」
「それにしても可愛い寝顔ですね〜」

忠夫を背もたれにして寝ている女の子の頭を魔鈴が優しく撫でる。忠夫は女の子が落ちないようにしっかりと左右から抱えるように抱きしめた。そんな二人を見ていた友人3人はポツリとこうもらす。

「「「まるで、若夫婦ね」」」
「ええ!?」
「そ、そんなまだ忠夫君は結婚できる歳じゃ。でもでも、嫌ってわけじゃなくて。子供は二人がいいかな?あ、その前に私はウエディングドレスが着たいから洋式がいいわ。じゃ、これから忠夫君のご両親に挨拶にいかなきゃ!」
「「「こら〜!!帰って来なさい!!」」」
「ひゃい!?」

あまりの言葉に忠夫は固まり、魔鈴は混乱してしまった・・・ということにしておこう。それからすぐに女の子の母親が現れ、眠っている彼女を引き取っていった。忠夫や魔鈴達にお礼を述べて。
そのころ、お姉ちゃんズは忠夫の学校を出て、近くの喫茶店で時間を潰そうと移動していたのだが突如、緊迫した空気になってしまった。

ピキュイーーーーーン!?

「ぐふぅ!?誰ですか!忠夫様と夫婦なんて羨ましいシチュを体験してるのは!!!それは、私の役目です!断固反対!断固反対!くぅ〜、忠夫様と接する時間がなかった私に対してのアテツケですか!ですが、私の忠夫様への想いがその程度のことで無くなるなんて甘い!甘すぎるぅ〜!デラウェア(世界一甘い果物)より、サッカリン(砂糖の500倍)よりも、濃密であま〜い世界を築くのはこの私ですぅうううう!!」

そう、毎度の如く乙女(?)の勘によって忠夫の状況を察知したフミが暴走を始めたからである。そんな察知能力など持っていない令子達は突然のフミの暴走に固まるが、すぐに正気に戻ってとめに入る。

「ちょっと、フミさん落ち着いて!」
「そうよ。人が見てるじゃない」
「落ち着いて〜!!」

3人が必死で宥めようとするも、そんなことではフミの暴走はやめられない、止まらない♪である。

「ええ〜い!離してください!これから、私と忠夫様の甘く切ない淫らな大人の時間を過ごすんです!」
「ちょ!公衆の面前で何を口走るか!!」
「暴走するのはいいけど、もっと節度を弁えなさい!」
「そうよ〜。忠夫君とそうなるのは私なのよ〜!」
「「あんたも何をぬかすか!!」」
「お嬢様!例え嘘でも言っていいことと悪いことがありますよ!」
「嘘じゃないわ〜。本気の本気よ〜!」
「ふふ。どうやら、お嬢様とは白黒はっきりつけないといけないようですね」
「「ア・ン・タ・ラ・・・いい加減にしろ〜!!」」

スパーン!!

「「ふぎゃ!?」」

フミにつられて冥子まで暴走し出し収拾がつかなくなりそうだったため、頭を小突いて強引に静めた・・・と思ったのだが。

「フフフ、この程度で私をとめられると思ったのですか!」
「痛いじゃな〜い。ひどい〜」

冥子は正気に戻ったようだが、フミはまだ暴走したままであった。

「今、行きますからね!忠夫様〜〜〜〜!!!」
「ちょっと待ちなさい!忠夫は今、仕事中でしょうが!」
「今は緊急事態です!どこぞの馬の骨か知りませんが!私の忠夫様と夫婦シチュという羨ましい状況にいるのですよ?これが落ち着いていられますかぁ!?」
「・・・忠夫に嫌われるわよ?」
「ぐふぅ!?」

フミの9999のダメージ。フミは瀕死の重傷である。忠夫に嫌われる。令子は一撃必殺ワードを唱えてしまったようだ。

「そ、そんな・・・」
「忠夫がせっかくバイトまでやって頑張って来たのに邪魔されちゃうんだもんね〜。そんな人絶対嫌なはずよ?」
「そ・・・そんな。た、忠夫様が私を嫌いになる?」
「れ、令子?ヤバいんじゃない?」
「私もそう思ったわ」

令子が発した追撃の言葉がフミをさらに追い詰めてしまい、精神的ショックが限界を超えてしまったようだ。エミの言葉に令子は自分がやりすぎてしまったことを悟る。フミは自分の肩を抱き締め、体を震わせている。

「そんな、嫌!忠夫様・・・ふ、ふぇえええええええええええええええええええええん!!

フミさん大号泣である。まるで、冥子の暴走したときのように泣いている。さすがは六道家のメイドといったところか?唯一の救いと言えば、式神使いでないので物理的被害はないことであるが、周りの視線が痛いという精神的被害は大きかった。この後、フミは忠夫が合流するまで泣き続け、令子達3人は必死に宥めることとなる。

「ん〜、さて。そろそろ帰りましょうかね」
「そうね。目的は果たしたわけだし」
「そうしましょうか」
「はい。じゃ、忠夫君またバイトのときにね?」

女の子を無事母親の元に送れた魔鈴達はお暇することに。忠夫はまだ時間が残っているためにここでお別れである。魔鈴達に一緒に女の子の相手をしてくれたお礼として、4人分の会計は忠夫のおごりということを伝えて。

「いいの?」
「うん、俺もバイトしてるからそのくらいの余裕あるしね」

原作とは違い、親と一緒に暮らしているため家賃、光熱費、食費などは考えなくていいため、バイト代をほぼ自分のために使えることもあり、このくらいの出費なら大丈夫のようになっていた。魔鈴の友人3人はラッキー♪とご機嫌で帰ったそうな。ただ、魔鈴だけは忠夫のあの技でおもてなしをされなかったことが心残りだったのは秘密である。なお、帰りの道で。

「んふふ〜♪今日は楽しかったね〜」
「そうね。忠夫君がどういう子かわかったのもあるし」
「でも、一番収穫だったのがさ」

「「「魔鈴(さん)が忠夫君に対してどれだけ激ラブっぷりかが見れたことよね」」」

と魔鈴をからかっていた。恥ずかしいのだが、さっき妄想が暴走してしまっているので否定も出来ず、ただた耐え忍ぶしかない魔鈴。これがフミなら恥ずかしがらずに惚気るのだろうが、魔鈴はそこまで暴走するほどぶっとんではいなかった。

「さて、そろそろシフト交代の時間だぞ」
「おう!じゃ、後はよろしく」
「任せろ。それより、なんかメイド服を着た女の人が泣き続けてるって噂があるんだけど、たんなる噂だよな?」
「・・・・」

シフト交代の時間が来た忠夫は私服に着替える。そこで後任のクラスメイトから聞いた噂に嫌な予感がヒシヒシと感じられ、全力でその噂の現場に向かうのだった。

「やっぱり・・・」

忠夫の予感は正しかったらしい。現場には人だかりが出来ていて、その中心には号泣しているフミさんとそれを必死に宥めている姉3人の姿が見えるのだから。
他人のフリをするわけにもいかず、野次馬を掻き分けフミの元へと駆け寄った。

「姉さん。どうしたのさ?」
「あ、忠夫!いいとこにきた。ちょっとフミさんを慰めてくれない?」
「何があったのさ?」
「いや、令子の奴がフミさんにあんたが嫌いになるって言ってさ」
「はぁ?」
「とにかく、慰めなさい!」
「わ、わかったよ」

理由は完全にはわからなかったが、エミの迫力に負け忠夫はフミを宥めにかかる。

「フミさん。どうして泣いてるの?」
「ふぇ?た、忠夫様?」
「そうだよ。どうしちゃったのさ?」
「忠夫様は私を嫌いになりませんよね?」
「どうして嫌いになるのさ?俺はフミさんのこと好きだよ?」
「た、忠夫様〜〜〜〜♪」

涙から一転、満面の笑みを浮かべて忠夫に抱きつき、まるで猫みたいにゴロゴロと喉をならし胸板にほお擦りをするフミ。さっきまで女の子といた影響か、まるで小さい子の相手をしているように忠夫はフミの頭を優しく撫で付ける。
それから忠夫達5人は文化祭の出し物を一緒に見て回った。忠夫の腕には終始フミが抱き着いていて、それに対抗するように反対側には冥子が抱きついていたとか。まぁ、幸せそうな顔をしていたのでいいか?

後日、文化祭のことが広まり、忠夫に様々な噂がくっついた。曰く、ロリコン(迷子の女の子のこと)だとか、、実は女子大生好き(魔鈴達)、お姉さん属性萌え(冥子達)などなど。中でも一番有力だったのが、メイドスキーだったとか。ごく少数だが熟女好きだという噂をあったようだが、すぐに消えたようだ。影でメイド服の女性が暗躍していたとかいないとか。


「ねぇ〜、ちょっと御願いがあるんだけど〜」
「ん?珍しいね。姉さんが俺に御願いするなんて」

文化祭から数日後、二人で夕食をとっているときである。珍しく冥子が忠夫に仕事について御願いをしてきたのだ。いつもだったら、仕事のことを相談するのは令子やエミで、GSになるとは思っていない忠夫には話しをすることはない。が、今回は二人とも別の仕事が入っていて相談したくても出来なかった。なので、忠夫に手伝ってもらおうと思ったのだ。

「どんなことをするの?」
「それがね〜、新しい社を建てたからそっちに霊具を移すことになったんだけど〜。それには結構やっかいなものを封印してるらしくてね〜。私が護衛することになったの〜。でね〜、依頼者はいざというときにそれを封印することになるから〜、霊具を運ぶ人がいないのよ〜。で〜、忠夫君にその役をやって欲しいんだけど〜、いいかしら〜?」
「うん、いいよ」

姉がわざわざ自分を頼ってくれるのだ。断る理由などない。忠夫は悩むことなく了承した。

―おまけ―

その話を喜々として母親に話す冥子に、冥奈はほくそえむ。

「うふふ〜。計画通りだわ〜。さぁて、仕事先でドッキドキ♪擬似新婚生活、略してSDGS計画の発動よ〜」

再び、冥奈の企みが忠夫達の身に降りかかろうとしている。さあ、今こそ立ち上がるときのだフミ!悪の陰謀をとめるため、己の愛のため、立ち上がれ!フミ!!

「はぅあ!!何か黒き陰謀の予感がします!!」

果たしてフミは冥奈の陰謀を打つ崩すことができるのか!?


あとがき

弟子が師匠越えを果たすって燃える展開ですよね?ラッフィンです。

FFFの会員たちよ!我らが主(フミ)が帰ってきた〜〜〜〜!!!!
ってなんか足りない・・・。もっと暴走してもいいはずなのに!
はっ!魔鈴にとられてる!?
しまった〜〜〜〜〜!!!!!!

あっれ〜?でもおっかしいな〜。なぜか魔鈴さんが壊れキャラに〜・・・どうしてだろうな〜?
でも、フミさんには及ばないんですよね〜。同じ壊れキャラになってきたのにこの違いはなんでしょう?
あれですよね?もう、一人壊すのも二人壊すのも同じですよね?(爆)


ごめんなさい・・・orz


さて、文化祭編が終わりましたので今度はGSのお仕事編で〜す。私はバトル描写が苦手なのでそんなド派手になったり、複雑化させることはできないかもしれませんが、よろしく御願いします。


レス返しです。


ハヤト様

>ダ○ープラ○を使用した初○機と同じように目標(忠夫)を殲滅(篭絡)するまで止まりません!
ただちに零号機(冥子)と二号機(フミ)を射出しなさい!なんとしてもとめるのよ!!さもないとサードインパクト(フミ達が怒りくるって)を引き起こすわ!!

フミ、壊れてはいないけど行動が壊れてますよw

誤字報告ありがとうございます。変換ミスですね、気をつけます。


ちゃっき〜様

はじめまして〜!

かなりのエネルギーを要して冥奈に電話をかわったようです。でも、今回で報われたかな?

次回からまたまた冥奈による暗躍がw忠夫君は無事なのか?フミさんは阻止できるか?予想は簡単ですよねw


Tシロー様

普通なフミさんはつまらんでしょう?(笑)

なんでか、魔鈴まで暴走キャラになっちゃいました・・・おかしいな〜?どこでこんなんなっちゃったんだろ?


星の影様

前回は魔鈴に持ってかれたけど、今回はフミさん分が多いかとw
でも、電波の受信が悪いような・・・魔鈴にくわれちゃったかな?

そして、魔鈴とフミはエンカウントせず・・・これはこれでよかったと思います。


DOM様

>執事モード
半分正解w執事から騎士に移行して最後は保父さんになっちゃいましたw

今回、忠夫に様々な噂がたっちゃいましたw
その中にいくつか真実もあるかもw


にょふ様

ベスパは前作でヒロインでしたから今回は入らないですね〜。というか、出番がないですね。フォーチュンって誰でしたっけ?金髪キャラっていうと、後はピートやアン・ヘルシング、タマモくらいしか・・・(汗)

暴走?大いに結構じゃないですかw
でも、暴走って青春♪って感じしません?(笑)


カシス・ユウ・シンクレア様

>GMに洗脳されました(爆)
ならば一緒に叫ぶのです!『栄光を我らの手に!』とwww

魔鈴→暴走→ほのぼの(?)
フミ→暴走→・・・・

この違いは一体?永遠の謎です(爆)


うぃうぃ様

ダ女神様なら覗いてそうですけどねw今回は出番なしですw
それから、そんなこといってると竜神様の仏罰がくだりますよ♪


ラムダ様

はじめましてw

今回は暴走+あまあまでお送りしたフミさん劇場いかがでしたか?
若干、魔鈴がフミよりになってきてしまったのですが(汗)


HEY2様

文化祭は問題なく?終わりました。若干、魔鈴がフミよりにフミが忠夫とあまあまになってしまいましたが・・・

それから、あなたの後ろに黒のオーラを纏った妙齢の女性が見えるのは気のせいですよね?


竜人機様

今回、フミさんを暴走させてみましたが・・・暴走薄いよ!何やってんの!?って感じで・・・最近、暴走度がおちているような・・・魔鈴にくわれましたかね?
魔鈴がフミさん化してきたこのごろ、どうしてこうなってしまったかは私にもわかりませんw


俊様

最近、大人しかったフミさんを久しぶりに暴走させてみましたが・・・ブランクですかね?暴走度がおちているようです。

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