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「『最強の』後継者その19(GS)」

ラッフィン (2008-02-13 02:43)
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バイトを始めてから数日が経った現在、忠夫の生活はちょっぴりと変わりました。
授業が終わり、放課後になると魔鈴の家へと向かいます。

「こんにちは」
「あ、忠夫君。すぐ出るから待っててね?」
「はい」

バイトは週3日、それも学校が終った後の午後シフトから深夜までの時間帯に入っている。一方、魔鈴のほうも週5日で大学の講義の問題もあり、休日以外は忠夫と同じ時間のシフトであったために忠夫のバイトがある日は二人一緒に行くことにしていた。

「どう?少しは慣れたかな?」
「う〜ん。仕事はまだ戸惑うこともあるけど問題ないよ。ただ、ちょっと学校でめっちゃ眠くなっちゃって」
「ふふ、やっぱり?実は私もそうなの」
「魔鈴お姉さんも?やっぱ、深夜までやってるとどうしても寝るのが遅くなるからかな?」
「そうね。でも、私の夢のためだし。頑張らないとね」

そんなほのぼのとした雰囲気で二人はレストランへと向かうのでした。
バイト先に着くと二人はそれぞれ更衣室で着替えて、魔鈴はキッチンへ、忠夫はフロアへと向かう。店長、同僚に挨拶をして業務開始だ。

「いらっしゃいませ〜」

忠夫の評価はなかなかに良いものである。元気一杯の挨拶と無邪気な笑顔がお客さんに好印象を与えていた。また、その素直な性格から同僚、店長の関係も良好であり、バイト生活は順調なようである。この分なら、文化祭も問題ないだろう。

「じゃ、お先に失礼しま〜す」

業務時間を終えて帰路に着く忠夫。もちろん魔鈴も一緒である。
二人は行きと同じく、和気藹々と話ながら夜道を歩く。毎回必ず、忠夫は魔鈴を家まで送ってから帰路に着いていた。それはGMの教育の賜物であったりもするのだが。大樹の血であったりする可能性もなきにしもあらずであり、真実は定かではない。
家に帰ると、冥子が作ってくれておいた夕飯を食べて、風呂に入り就寝する。冥子が仕事のときはたまに一緒に食べれることもあるのだが、大抵は仕事に出ていたり、仕事のない日は無理をさせないように先に寝てもらっているのだ。
これが、バイトが入っている日の忠夫の通常の行動であった。


「いらっしゃいませ〜」

この日も忠夫は元気にバイトに励んでいた。バイトに入ってからしばらくたっていたので同僚にも仲良くなった人達も出来て、仕事も慣れ始めたので最初は気疲れしていた忠夫も精神的に大分楽になってきた。それもで、行き帰りはずっと魔鈴と一緒だが。

「和風ハンバーグセットと月見ハンバーグセット、御願いします」
「了解!」

受けた注文をキッチンに伝える忠夫。その元気一杯の声はきちんとコックの耳に入る。中には声が小さくて聞こえない人もいるので、こういうのはありがたいとコック達からも評価は良かった。


一方、文化祭の準備も着々と進められている。内装のデザインやメニューの案、それぞれが順調に決まっていく。忠夫は買出し班になっていたのでただ、言われた材料を買うだけでいたのだが。
そんな中、喫茶店の制服も自作しようと言う話になったのだが、難攻していた。

「おいおい、予算が全然足りないぞ?」
「そうそう、Tシャツだけ揃えるならともかく、制服ってのは無理よね」
「でもな〜、喫茶店だから服を統一したほうが雰囲気出るし、なんかクラス一体で出してるって感じしない?」
「そうだけど、現実には難しいだろう?金はどうすんだよ」

そう、いざ制服をつくろうとなるとクラス毎に至急されるクラス費が圧倒的に足りないということだ。Tシャツだけならともかく、制服となると一人でも結構な額になってしまう。そのために人数分を揃えるのが難しい。
結局、いい案が思いつかずその案は保留ということでその場は解散したのだった。
その日の夕飯時、文化祭準備の進行具合を聞かれた忠夫は冥子にその話をしてみた。

「それは難しいわね〜」
「うん、俺もさ。出来ればみんなで服を合わせて出したいと思ってるんだけどね。さすがにそんなお金を公立の学校が出せるはずないしね」

冥子なら何かいい案が出るかもとほんのちょっぴりの期待を込めて話したのだが、さすがにそんな都合のいい展開にはならない。が、この冥子に話したことで状況が変わることになるのだった。
それは冥子と冥奈が電話で親子の会話をしているときだ。冥奈のほうでも忠夫の文化祭のことが気になったので、冥子に聞いてくる。

「順調みたいだけど〜、制服を作るって話でつまづいてるらしいわ〜」
「あら〜、まぁ公立の学校だしね〜。それは仕方ないわよね〜」
「そうなのよ〜。忠夫君も〜、制服は作りたいけど〜、仕方ないって言ってたわ〜」

と制服の問題が冥奈に伝わったのだ。その場では大変ね〜と言った感じだった冥奈だが、電話を切った後にフミを呼び出す。

「お呼びでしょうか?冥奈様」
「ええ、大至急手配して欲しいことがあるのよ〜」

冥奈は悪戯を思いついたような笑顔でそういった。
その提案を聞いたフミも微笑んで快く了承し、一礼をして部屋を退出する。

「かしこまりました。至急手配を致しましょう」

その答えは数日後に忠夫の学校で解るのだ。


――数日後――

「おいおい!文化祭実行委員。職員室に呼ばれてるぞ」
「ん?サンキュー。なんかあったのかな?」

級友から呼び出しの連絡を受けた文化祭実行委員の男子は軽く礼を言って職員室に向かう。この後、彼は驚きの事実を目の当たりにするのだった。

「・・・・」
「ど、どうしたんだ?」
「そ、っそうよ。疲れたような雰囲気かもし出しちゃってさ。なんかあったの?」

しばらくすると職員室から実行委員が帰ってきた。なにやら相当疲れたような雰囲気を纏って。そんな様子に級友達も何があったか不安半分、心配半分で問いただす。が、彼はそんな問いに一言も返さず真直ぐ、忠夫の元へと歩み寄って来るのだ。そして、前まで来ると忠夫の両肩を掴んでこう言った。

「おい、横島。あれはどういうこった?」
「は?」

問われた忠夫は意味不明である。職員室に呼ばれたと思って、帰って来たらなにやら疲れてる様子だったし、そのままみんなの問いにも答えないで自分のところへ来たと思ったら、この一言である。理解しろというほうが無理だ。

「すまん、少し付き合ってくれ」
「あ、ああ」

どんよりとした雰囲気を纏ったまま、彼は忠夫を誘い職員室へと向かう。そんな彼の様子に断るのを躊躇われ、忠夫は首をかしげながらもついていった。

「失礼します」
「し、失礼しま〜す」

実行委員と一緒に職員室に入る忠夫。なにも悪いことはしてないのだが、職員室に入るのは妙に緊張してしまう。しかし、彼はどうしたのだろう?自分をこんなところまで連れてくるなんて。と、疑問に思う忠夫だったが、黙ってついていくことにする。あのどんより感がその疑問をぶつけることを躊躇わせていた。

「これを見てくれ」
「これって!?」

職員室の奥に高々と積み上げられたダンボールの数々。そして、そのダンボールに張られた紙に書かれている差出人の名前は六道・・・。こうなっては忠夫に否定することができなくなる。だが、どうして実行委員が知っているのか?六道家と忠夫の関係は学校の人達は知らないはずである。

「でも、なんで俺に話しをふってきたんだ?」
「それはな。この荷物と一緒に入ってた手紙に書いてあったんだよ。『この荷物を横島忠夫君の所属するクラスに寄付します』ってな」
「はぁ!?」

荷物の中身はもちろん、喫茶店で着る制服である。学校の予算を使わないで、自分で作ったので(まぁ、正確には自分でも、ましてや家族でもないのだが)問題はない。しかも、この制服は六道家にあった予備のメイド、執事服をベースにデザインを少し変更してしたて直したものであるので、普通に買うより少ない予算で済んでいたりする。
驚きから回復した忠夫は慌てて学校の電話を借りて六道家へと電話をかけた。

「はい、六道でございます」
「あ!フミさん?忠夫だけど、冥奈さんいます?」
「冥奈様ですか?今、かわりますね?」

忠夫はまだ動揺しているため気付かなかったが、普段冥奈がこんな時間に電話に出ることはできないのだ。つまり、このことまで計算していたことになる。冥奈・・・恐ろしい人である。
フミとしてはもう少し忠夫と話したかったのだが、状況が状況なのですぐに冥奈に電話を渡す。それには途方もないほどの覚悟と労力を必要としたと後に語っている。
冥奈に電話がわたると忠夫は制服について問いただした。

「ちょっと、冥奈さんあれは「あ〜、荷物はちゃんと届いたのね〜」
「あの、人のはな「ふふふ〜。気に入ってくれたかしら〜?」
「って、あのです「大丈夫よ〜。家にあった予備のだから〜、お金はかかってないわ〜」
「ですか「学校には家族からだ〜って言っておいてね〜」
「少しは話を「じゃ〜、楽しみにしてるからね〜。文化祭の準備頑張ってね〜」
「ちょっと!冥奈さん!「ツー・・・ツー・・・ツー・・・」・・・ハァ」

忠夫を最後まで話させることなく、自分の用件だけを言い放ち電話を切られてしまった。
もはや、諦めた忠夫はガックリと肩をおとし受話器を置く。忠夫の様子が気になった実行委員は声をかけたが、忠夫は疲れきった雰囲気で一言。

「気にしないで。あの制服を使ってくれ」

といったきり黙りこんでしまった。
普通なら、ラッキーと喜ぶところなのだろうが、家族ぐるみの付き合いをしている忠夫にとってはそんなことはない。忠夫がこんな状態になった理由は二つある。
一つは、冥奈に対しても申し訳ない気持ちである。たぶん、冥子にした話が流れたのだろうと予想はしたが、まさかこんなことまでしてくれるとは思わなかったのだ。それに、形はどうあれ、なにか自分が我侭を言ってねだってしまったようか気がしてならなかったからである。
もう一つは、他のクラスの反応である。いくら、家族ぐるみでの付き合いと言っても他の人から見たら赤の他人同士なのだ。そんな人から無償でこんなサービスをしてもらっている忠夫とそのクラスは他のクラスから嫉妬を受けると考えたのだ。
以上の理由から冥奈に電話をかけたのだが、結果はこの通りだ。落ち込んでしまうのは仕方がないだろう。
何はともあれ、忠夫のクラスは文化祭の準備で一番の問題だった制服の件が解決したのだ。これで心置きなく、作業が進められる。教室に戻った実行委員は何人かを誘って、ダンボールを教室まで運びいれる。
クラスでは大いに歓迎され、忠夫に感謝の言葉がかけられるも、忠夫にはそれを返すほどの気力がない。それを察してか実行委員はクラスのみんなに「しばらくそっとしておいてくれ」と言ったそうな。いい人である。

余談であるが、届いた制服はちゃんと人数分ぴったりに用意されていて、尚且つサイズもぴったりだったとか。それとその中の一着が妙にきっちりと包装されて、『忠夫様専用』と書かれていたとか。誰がやったかは想像に難くない。
実は誰も気付かなかったが裏に小さく、ハートマークが上に乗っている傘の下に忠夫とこれを送ってきた人の名前が刺繍されていたりするのは秘密だ。

「じゃ、みんな今日も頑張ろう!」
「「「「「「「「「おう(うん)!」」」」」」」」」×クラス全員

実行委員の言葉にみんなそれぞれ自分の仕事に取り掛かり始めるのであった。


〜おまけの魔鈴視点〜

大学の講義が終って、今日はアルバイトしているレストランのシフトにも入ってませんでしたので家でゆったりと魔法経典を読みながら過ごしてしました。そこに一本の電話がかかってきました。

「もしもし、魔鈴ですが?」
『あ、魔鈴お姉さん?俺、忠夫だけど』

その電話の相手は忠夫君からでした。たまに、街で偶然会ったりもするんですけど。こうして電話をかけてきたのは初めてですね。何かあったのかしら?

「こんにちは。もう、こんばんわかしら?今日はどうしたの?私のとこに忠夫君が電話してくるなんて初めてじゃないかしら?」
『ああ、そういえばそうだね。これからは電話するようにしようかな?今日はちょっと魔鈴お姉さんに御願いがあってかけたんだよ』
「御願い?」

これからは忠夫君からの電話がかかってくるようになる?とちょっと嬉しい言葉を聞いた私だけど、忠夫君の御願いが気になりました。だって、忠夫君って普段あんまり他人に頼るってことしないから。私はともかく忠夫君と付き合いの長い冥子さんやエミさんにもしないみたい。ときどき、一緒にお茶を飲んでるときに冥子さんやエミさんが良くそう愚痴を零してるんですよ?逆に私たちが甘えてばっかりだって。私だって・・・。
お姉さんだって、たまには甘えられたいのよ?
そんなことを思ってたところに、忠夫君からの御願いが聞けるんです。私、頑張っちゃいます!

「うん、今度文化祭でね。喫茶店をやることになって俺はウェイターをやるんだって。でも、ウェイターってやったことないから、文化祭までの間、短期のバイトをしようかな?って。で、レストラン経営を目指してるお姉さんに相談したくて電話したんだけど」

文化祭で忠夫君がウェイターをやるんですか?それは楽しみですね。是非とも拝見したいものです。も、もしかしたら、あの雰囲気でやってくれるかもしれませんし・・・。とっても楽しみです。・・・はっ!いけません。今は忠夫君の頼みを聞いてあげなくちゃ。

「そうね〜。私の働いているレストランの店長に話してみますよ。最近、人手が足りないって言ってたから大丈夫だと思うわ」
「ありがとうございます。明日に行っても大丈夫ですか?」
「ええ、ちょうど私もシフトに入ってるし。ちょうどいいわ」

うん。なんか、最近レストランの人気が上がってお客さんが増えたから人数増やしたいって言ってたから、大丈夫よね。でも、そうすると忠夫君と一緒に働ける?嬉しかったり。
ちょっと、落ち着きなさいめぐみ。忠夫君が困ってるのよ!これは、そう!弟助けよ。せっかく忠夫君から頼ってくれてるんだから。お姉さんらしくしっかりしないと!これがきっかけで私に甘えてくれると嬉しいんだけど・・・ポッ。って、きゃぁああ。私ったら何考えてるの!?


〜忠夫がバイトを始めて数日経った日〜

「じゃ、講義はここまでだ」

ふう、やっと今日の講義が終わりました。この教授の授業ってただ一定のリズムを刻みながら話しているだけだから眠くなっちゃうんですよね。はふぅ・・・少し眠いです。でも、今日はバイトの日だから寝てる場合じゃないですね。予定もないですし、家に帰って忠夫君がくるまでのんびりしてますか。

「お〜い。魔鈴〜、この後時間ある?いつものメンバーで少しお茶しようって話になったんだけど」

あら?チアキじゃないですか?
声をかけてきたのは私の友人のチアキです。大学で仲の良い3人の内の一人で、明るくて流行に敏感の女の子です。私達のムードメーカーですね。社交的で友達も多いそうです。
でも、お茶ですか〜。時計を確認するとバイトまではまだ時間があるんですよね。まあ、少しくらいならいいわね。

「ん〜、少しならいいわよ。今日はバイトだからあまり遅くまでは無理なんだけど」
「あ、そっか。わかったわ。あまり遅くまでは拘束しないであげる」
「なんだか、偉そうよ?」
「あははは。気にしない、気にしない。ほら、行くわよ」
「あ、もう!引っ張らなくても逃げないわよ」

チアキに手を引かれて私はバランスを崩しそうになりながらもついていきます。つれてこられたのは大学の中にあるカフェテリアでした。チアキ誘導の元、四人がけ席に行くとそこには仲の良い3人で、聞き上手のサナに大人しいアンナが座ってました。私が最後だったみたい。とにかくこれで仲良し四人組勢ぞろいです。
チアキが切り出し、サナが絶妙な相槌で盛り上げ、アンナが褒めて締め、それで調子に乗ってしまうチアキを私が宥める。それがいつもの流れで、性格は全然違う私達ですけど歯車のように上手くかみ合っている気がします。とっても不思議です。
私とチアキが席につくとそれぞれ早速注文を頼みます。私は〜、紅茶にしましょう。ちなみにサナも紅茶、アンナはレモンティーでチアキはコーヒー(ミルク、砂糖付)です。
注文の品が届くのを待って、談笑します。しばらくすると、注文したものが運ばれて来たので早速、一口飲みましょう。ところが、突拍子もなくチアキが私に話しをふってきました。

「ねぇ、魔鈴。あんた最近バイトの日って凄く嬉しそうな顔して帰って行くけど彼氏でも出来たんでしょ?」
「ぶふぅ!?」

い、いきなりなんてこと言い出すんですか!この娘は!?思わず紅茶を吹き出しちゃったじゃないですか!か、彼氏だなんて。忠夫君はそんなんじゃ///。なんて、私はアワアワと焦っているとさらにチアキは追い討ちをかけるように言ってきます。

「だってさ〜、いつもマイペースでおっとりしてる魔鈴がよ?最近じゃ、すっごく嬉しそうにしてるじゃない?帰るときも今にもスキップまでしちゃいそうな浮かれようだし」

わ、私ってそんな風に見られてたんですか?(汗)全然、気付きませんでした。はぅ・・・恥ずかしいです。だ、誰か。忠夫君、私を助けて〜!!

「で?どうなの?やっぱ、彼氏が出来たの?」
「ち、違います!彼氏なんていません!」
「え〜!正直に言おうよ〜!」
「だから、私は彼氏なんていないってば」

チアキったら、私の言うこと全然信じてくれません。完全に彼氏が出来たって思ってますね。どうしたらいいでしょうか?私は途方にくれ、サナとアンナに視線で助けを求めます。私の視線に気付いてくれたサナとアンナはチアキを抑えにかかってくれました。ありがとう。サナ、アンナ。やっぱり持つべきものは友達ですね。

「まぁまぁ、チアキさん落ち着いて。魔鈴さんはまだ彼氏なんていないって言ってるじゃないですか」
「そうよ〜。魔鈴が嬉しそうなのは彼氏じゃなくって、最近入ったっていう弟分の男の子のせいだよ」
「確か、横島忠夫君でしたっけ?」
「そうそう」

助けじゃなくって、とどめを刺しにきたようです(泣)この二人には忠夫君とバイトに向かう途中で偶然に出会ったことがあったので忠夫君のことが知られてるのを忘れてました。あぅ・・・チアキの目が怖いです!

「ほっほ〜。弟分ね〜。詳しく聞こうじゃないですか?ねぇ、魔鈴めぐみさん?」
「あぅ〜///」

この後、私はバイトに間に合うギリギリの時間まで尋問を受けちゃいました。その尋問に隠し通すことも出来ず、忠夫君のことを洗いざらい吐かされたんです。なんとかバイト先に来ることは阻止できたんですけど、チアキ達も忠夫君の文化祭についてくることは阻止できませんでした。なんか大変なことになりそうだわ。ごめんね、忠夫君。今度何か奢るから許して。
その日の夜、私はチアキに言われたことが気になってしまったので使い魔である猫さんに聞いてみました。私ってそんなに浮かれてましたか?

「え?魔鈴ちゃん、気付いてなかったのかニャ?」

私は心の中で泣き崩れました。私って・・・。


〜忠夫のバイト最終日〜

「それでね。クラスでね」
「ふふ、そうなんだ」

今日も午後シフトが入っている日です。週間になりつつある忠夫君との出勤。いつもなら楽しい時間も、今の私には別の考えでいっぱいでした。だって、今日で忠夫君のバイトが終っちゃうんですから。もう、文化祭が間近に迫っているんです。文化祭自体は楽しみなんですけど、忠夫君とのバイト生活はもうとても楽しかったんです。こんなに身近に忠夫君が感じられることはなかったんですよ?それがもう終ろうとしてるんです。

「お姉さん大丈夫?具合悪いの?」
「いえ、平気よ。さぁ、今日も頑張りましょう」
「うん!」

忠夫君に心配されちゃった。駄目ね、私はお姉さんなのに。そうよ。今生の別れになるわけじゃないんだし、何をそんなに落ち込むって言うの?しっかりしなさい。魔鈴めぐみ!
さぁ、今日も頑張りましょう!!

「ありがとうございました〜!」

忠夫君もすっかり仕事に慣れたようですね。忠夫君らしい無邪気な笑顔でお客さんを見送っています。私は当初、忠夫君があの凛々しい雰囲気にならないか心配だった。だって、すっごく魅力的で///。私が仕事できなくなっちゃうかもしれないじゃないですか。べ、別にあの凛々しい忠夫君に変な女性が誘惑してくるんじゃ?とか考えていませんよ?本当ですよ?
あ、余計なことを考えてないで料理に集中しないと!

「お疲れ様で〜す」

勤務時間が終った私は着替えて忠夫君を待ちます。この待っている時は、待ち合わせしてる恋人のような心境なのは秘密です♪でも、今はそんな気分じゃありません。今日で忠夫君はバイトを辞めちゃうんですから。もう、最後なんですね・・・。っと、また私ったら。こんなんじゃまた、忠夫君に心配かけちゃいます。しっかりしないと!めぐみ、ファイト!
それにしても、遅いですね?普段なら忠夫君のほうが早いくらいなのに。私はお店の中を見てくることにしました。
まだ、着替えてるのかな?と思って更衣室の前まで行こうとするとなにやら店長と忠夫君の声が聞こえてきます。店長にお話があったんですね。でも、何を話してるのか気になりますね。
私は悪いとは思いながらも忠夫君と店長の話を盗み聞きしちゃいました。

「いや〜、今日までご苦労様。君も大分慣れたようだね」
「はい、ありがとうございました」
「文化祭、成功するといいね。頑張って」
「はい。ところで、少しバイトのことでお話が・・・」

バイトのことで?もしかして、このバイトを続けてくれるのかな?そうなったら、嬉しいんだけど。

「なんだい?もしかして、続けてくれるとか?」
「実はそうなんです」

ええ〜!!っと、危ない、危ない。思わず叫んじゃうところでした。でも、まさか私の願望通りの答えが出てくるとは思いませんでした。嬉しい誤算ですね♪

「このバイトを今日までやってきましたけど、なんだか楽しくて。このまま続けてみようかなと思いまして」
「そうか、こっちもそのほうが助かるから問題ないね。シフトは今まで通りでいいのかな?」
「はい、今まで通りで御願いします」
「わかった。これからもよろしく頼むよ」
「はい!」

そこで気付きました。あ、忠夫君がくる!このままいたら盗み聞きしてるってことばれちゃいます!私が盗み聞きしてることが知られたら・・・。

『魔鈴お姉さん。もう、大人なのにそんなことしてたなんて、幻滅だよ』

そ、そんな!ああ、早く外に出なきゃ!私は急いで外に行こうとしますが、一足遅かったみたいです。

「あ。魔鈴お姉さん?ごめん、待った?」
「盗み聞きしててごめんなさい〜〜〜〜!!!」
「え?え?」

忠夫君に気付かれちゃったことに動揺して、泣きながら忠夫君に謝ってました。突然私が泣いて謝ってきたことに驚いた忠夫君でしたが、しばらくして状況を理解してくれたのか、柔らかい笑みを浮かべて私を慰めてくれたんです。

「あはは。気にしないでいいよ。あ!話を聞いてたなら俺がバイト続けるってことは聞いたよね?迷惑かけるかもしれないけど、これからもよろしく御願いします」

優しいです。忠夫君。お姉さん、メロメロになっちゃいますよ?

「ん?どうしたの?」
「ふふ、なんでもないですよ♪」

私は忠夫君の腕に自分の腕を絡めます。これからも忠夫君と一緒にいられることに浮かれちゃったってことにしてください♪


あとがき

またオリキャラが・・・・(泣)ラッフィンです。

まぁ、今回出したキャラは一発キャラっぽいものなので(文化祭のときも出ると作中に書いてあるので、っぽいと記載)あんまり気にしてないのですけど。

さって、気になった人もいると思いますけど、仲良し四人組で魔鈴さんだけ、苗字で呼ばれてた件について。
えっと、魔鈴さんはイギリス留学から帰ってきたので実際は知り合ってそんな経ってません。なので、苗字で呼ばれております。ちなみに魔鈴さんは何故、呼び捨てかというとチアキに呼び捨てで呼べ!といわれたからです。単純ですね♪
四人は偶然同じ講義をとっていて知り合い意気投合って感じです。

さて、次回予告!

いよいよ文化祭が始まった!忠夫君のウェイターをしている姿を見ようと冥子、エミ、令子のお姉ちゃんズが学園へとやってくる!お姉ちゃんズの来襲に、心からのおもてなしをしようと気合の忠夫君!彼の本気のおもてなしとは?
さらに、お姉ちゃんズと同じ目的で我らが最強のあの人達も学園へと来襲する!忠夫君はこの事態にどう動くのか!?
そして、魔鈴と仲良し3人組の忠夫君訪問では何が!?

こうご期待!


レス返しです。

Tシロー様

ヒャクメ、彼女は素直ですから(ぉ

今回、おまけとして魔鈴視点を入れてみました。どうでしたか?


ハヤト様

ヒャクメには無意識だけど、挑発もありそうな気が・・・(汗)

ダテ・ザ・キラーの話はどうしましょうかね?
なんか、その話に限らず次々に新しいネタが浮かんで書きたくなってきちゃうんですけど・・・。


星の影様

GMは最強でもあり最凶でもあると思います。ん?最強は忠夫君ですかな?

ヒャクメは素直なんです。だから隠し事ができないんですよ(笑)

冥子ちゃんも最強の血を引いてますからw


DOM様

今回は大人しくなりました。“今回は”
次回の文化祭で私は電波を最大限に受信し!今まで大人しかった反動もつけて大暴走をしようかと!!

忠夫君の称号
神も魔王も人間ですらも屈服させる男?(笑)


にょふ様

>文化祭…
な、なんて羨ま・・・げふんげふん!
金魚すくいですか。文化祭で生き物OKなのは初めて聞きましたよ。私は小さいころ祭りでやりましたね。結局とれなくておまけでもらった記憶しかないですけどw
家で飼ったら3年以上も生きてましたよw長生きしてくれましたw

確かに寒いですね。風邪には気をつけますw


HEY2様

フミさんはただいま、禁欲(忠夫)中でございますwその様子は次回にwww

>ただの親ばか
あれが“ただの”親ばかですか?怖い世の中になっちゃいますよw
黒いし・・・。

>作戦名
ウ〜ン・・・近いんですけど、正解ではないですね〜。


鹿苑寺様

>ていくあうとぷりぃず
GMやダメイド、お姉ちゃんズが怖くなければどうぞw

私としてはもう一度GM美神のアニメ化を希望w
せめて、ルシオラ編までやって欲しいですねw


シシン様

そうですねw忠夫君にはアレがありますから最強かもしれません(爆)

文化祭、どうなるのだろうか・・・
かなり、暴走させる気満々なので書くのが楽しくて楽しくてwww


カシス・ユウ・シンクレア様

>全てはもてない男の為に
え?まさか、忠夫君にも襲撃をかけるつもりですか!?なんて、無謀かつ、壮大な計画を考えてるんですか!?

次回の文化祭で馬鹿騒ぎになるというか暴走することになります。主にあの人がw

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